2021年08月08日

よりリアリスティックに描写されたミトロプーロスの『ドン・ジョヴァンニ』


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



このライヴもモーツァルト生誕200年のザルツブルク音楽祭から収録されたものだが、その2年前の1954年の同曲のフルトヴェングラーによるライヴと比較して、ミトロプーロス盤はドラマがよりリアリスティックに描かれている。

フルトヴェングラーの振った『ドン・ジョヴァンニ』は日本風に言えば古典的な歌舞伎に喩えられるかもしれない。

勿論ドラマティックな手法は超一流だが、ミトロプーロスのそれはより新派的で、それぞれの登場人物のキャラクターの扱いも更に細かい。

DVDにもなったフルトヴェングラーの54年の舞台のキャストと多くは重複するが、ミトロプーロスは、テンポの変動を抑さえ気味にしながらも、終盤に向けてに黒い情念を燃え滾らせていて、カロリーの高さには変わりがないものの、ミトロプーロスらしさが光る演奏になっている。

歌手との呼吸などを聴くと、METに何度も登板しているだけに、フルトヴェングラーよりは技術的なオペラ的手腕に長けているとも言えるところであり、4年後に世を去ったこの鬼才の晩年を代表する名盤となっている。

また歌手陣の一部がリフレッシュされているのも特徴だ。

フルトヴェングラー盤でのドン・オッターヴィオ役のアントン・デルモータは貴族然とした青年を演じたが、こちらのレオポルド・シモノーは当時40歳で、全盛期の若々しい歌唱を聴くことができる。

彼はカナダ人だが良く計算された表現でのイタリア風のベルカントを満喫させてくれる。

ツェルリーナはフルヴェン盤ではベテランの大歌手で既に54歳だったエルナ・ベルガーから36歳のリタ・シュトライヒに若返りした。

レポレッロはオットー・エーデルマンからブッフォ役では右に出る者がいないとされたフェルナンド・コレナに替わっている。

彼らがミトロプーロスによって見事に統制され、しかし一方で個性的な演技をする面白さはこのライブの聴きどころだろう。

ちなみにこの年はバックハウスやハスキルが協奏曲を演奏し素晴らしい音源を残すなど非常に豪華なものだった。

おそらく1956年もフルトヴェングラーが存命だったら、おそらく指揮台に立っていただろう。

音質は当時のモノラル・ライヴ録音としては時代相応と言ったところで、鑑賞に不都合はない。

尚同じ音源はオルフェオ・シリーズとは別個にソニーからもリリースされている。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 11:49コメント(0)モーツァルト | ミトロプーロス 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ