2021年07月15日
初出音源1曲と即興演奏を含むヴァルヒャ・エディション32枚
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ヘルムート・ヴァルヒャ(1907-1991)の没後30周年でリリースされたアルヒーフ、ドイツ・グラモフォン及びフィリップス音源の集大成32枚になる。
EMIから彼のバッハ・チェンバロ作品集13枚組が出た後、オルガン音楽全集が期待されていただけにタイムリーな企画だ。
ライナーノーツにはリマスタリングの記載が見当たらないので、従来のマスターを使ったようだ。
既出盤と聴き比べてみたが、確かにステレオ録音の方の音質は全く変わっていない。
一方モノラル音源に関しては、以前メンブランから出ていた10枚組の第1回目の録音集より雑味が取れバランスの良い音質になっている。
同音源には違いないが明らかに異なるマスターだ。
このセットでは2種類のバッハ・オルガン音楽全集と楽器指定のない未完の大作『フーガの技法』、シュニットガー・オルガンの即興デモ演奏、バッハ以前の北ドイツ・オルガン楽派、ブクステフーデ、リュベック、シャイト、ブルーンス、トゥンダー、ベーム、パッヘルベルの作品を集めた3枚、そしてチェンバロ演奏では4曲のデュエット、ピリオド楽器を使った2度目の『平均律』全曲及びセッションでは唯一の共演でシェリングとの6曲のヴァイオリン・ソナタが含まれている。
更にはヴァルヒャが19歳の時にライプツィヒ聖トマス教会合唱団の歌う『主よ、汝に向かい』BWV452のイントロダクションを弾いた初出音源が加えられている。
この時期彼はバッハの鍵盤音楽全曲の暗譜を決意し、その願望は40歳の誕生日に見事に達成された。
中でも興味深い演奏は、ヴァイマール近郊カペルの街のシュニットガー・オルガンのデモンストレーションだ。
名工アルプ・シュニットガー製作のオルガンの多彩な音色と表現力を紹介するものだが、最初にレジスターの組み合わせがアナウンスされ、ヴァルヒャがその音色に相応しい音楽をそれぞれ短い即興演奏で聴かせる。
これは今まで一部の全集にしか収録されていなかったので、インプロヴィゼーションの大家でもあった彼の貴重なサンプルだ。
また今回のライナーノーツには使用楽器が詳しく説明されている。
オルガンについては写真も掲載されているが、例えば4曲のデュエットのチェンバロ版はユルゲン・アンマーのモダン・チェンバロ、『平均律』は第1巻がヤン・ルッカース(1640年)、第2巻はジャン=アンリ・エムシュ(1756年)のそれぞれ二段鍵盤のヒストリカルを修復したものである。
ヴァイオリン・ソナタはパスカル・タスカン(18世紀)を内側の絵画まで忠実にコピーしたピリオド楽器になる。
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