2012年03月30日
マダム・リスト復活、フランス・クリダのリストのソロ・ピアノのための作品集
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フランス・クリダが1968年から74年にかけて録音したリストのソロ・ピアノのための作品集。
分売されていたCDも既に製造中止の憂き目に遭っていたもので、今回14枚組のボックス・セットでの復活になる。
この演奏での聴き所はエレガントに洗練されたサロン風のリストであり、超絶技巧のアクロバットを期待する人には他のピアニストのものをお薦めする。
勿論クリダはリスト弾きとしてのテクニックにも、またスケールの大きさにも不足していないが、彼女にとって技巧はあくまでも表現のための手段であり、目的そのものにはなり得ない。
それだけに解釈も比較的シンプルで、いわゆるはったりのない常に品格を保った華麗な表現に優れている。
この曲集の中でも『メランコリックなワルツ』や超絶技巧練習曲第9番、伝説『鳥と話す聖フランチェスコ』や巡礼の年から『エステ荘の噴水』などに彼女の音楽性が最も良く表れていると思う。
2010年のショパン・イヤーに続いて翌年2011年はフランツ・リスト生誕200周年にあたり、大手メーカーから既にいくつかのセットものがリリースされていた。
中でもマニアックな全集物で知られるハイペリオンからはレスリー・ハワードの演奏による全99枚のソロ・ピアノ作品全集が刊行された。
しかしオペラのパラフレーズはともかく、よほどのマニアか専門家でない限り、ベートーヴェンの交響曲全曲やベルリオーズの『幻想』をピアノで聴かされるのは体力的にも苦痛を伴う鑑賞になりそうだ。
このセットにはそうした編曲物は含まれていないが、リストのピアノ曲のエッセンスが味わえる優れた選曲と高水準の演奏で充分満足できるだろう。
リストは標題音楽の旗手であり、彼が書き記した音形や和音が何を意味しているか理解できないと音楽自体が冗長に受け取られてしまうこともあるし、実際駄作のそしりを免れない作品も少なくない。
そうした意味では決して充分とは言えないが、31ページのライナー・ノーツにはクリダ自身のこのセットへの巻頭辞と仏、英語の簡易な解説が付されている。
録音状態はごく一部に音の歪みが聞かれるが概ね良好で、音質もこの時代のものとしては優れている。
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