2021年10月13日

ワーグナーのオーケストレーションの魅力を最大限に表現し尽くした他に類を見ないユニークなカラヤンの「指環」、待望のブルーレイ・オーディオ化


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1960年前後にカラヤンがウィーン国立歌劇場の芸術長だったとき、シーズンの目玉は《ニーベルングの指環》の通し上演だった。

しかし当時のデッカはそれらの上演とほぼ同じ歌手陣とオーケストラを起用しながら、指揮だけはカラヤンではなく、ショルティに任せてしまった。

それをどう思っていたのか、ウィーンを辞めたカラヤンは間もなくザルツブルク・イースターを創始、1967〜70年に上演に並行してクラモフォンに「指環」セッション録音を行なうことにした。

歌手陣もショルティ盤とは異なるが、特色は何よりもベルリン・フィルを起用したことで、精緻かつ重厚な響きが聴ける。

カラヤンの透徹した意志が全4部作を支配し、精妙緻密で洗練された響きの美しさから生まれる抒情性に覆われた、他に類を見ないユニークな「指環」だ。

しかもカラヤンの手腕の恐るべき点は、ゲルマン音楽の伝統的な心理のうねりと巨大なダイナミズムをも盛り込んでいることだ。

その意志は歌手のひとりひとりにまで徹底し、絶妙の心理描写を全員が成し遂げているのである。

「ラインの黄金」は音楽自体のもつ一種の若々しい覇気と、壮大なドラマの発端としての可能性を秘めた率直さが、カラヤンの明快で壮麗な表現の中に見事にとらえられている。

フィッシャー=ディースカウのヴォータンは若々しい知能犯的な性格が面白い。

シリーズ第1弾の「ワルキューレ」は完成度のうえで多少の不満はあるものの、このうえなく精妙で美しい。

従来のワーグナー演奏から余計な脂肪分を取り去ろうとしたカラヤンの意図は、ここでもはっきりと表れている。

「ジークフリート」は完成度のうえで最も素晴らしい出来映えといえる。

精妙で透明なリリシズムの中に、ワーグナーの音楽の新しい姿と生命を発見しようとするカラヤンの意図は、ここでその頂点をきわめた。

旧来のロマンティックな情緒過剰な表現とは無縁の室内楽的透明さをもつ抒情的な美のきわみがある。

「神々のたそがれ」はカラヤンの「指環」の最後を飾るもので、「ワルキューレ」から比べるとその意図も一段と徹底し、ベルリン・フィルの演奏にも、より雄弁な呼吸がうかがわれる。

歌い手の出来にやや不揃いな面があり、「ジークフリート」ほどの完成度はないものの、その中ではみずみずしい情感にあふれ、しかも力強い緊張も兼ね備えたデルネシュのブリュンヒルデは素晴らしい。

古い音源ながら新規の24bit/96kHzリマスタリングも良好で、ブルーレイ・オーディオの長所が良く出ていて、音場がより立体的になり、歌声とそれぞれの楽器の音像もかなり明瞭に聴くことができる。

低音から高音までのオーケストラのサウンドの拡がりも充分で、CDで初めてリリースされた時の音質より格段に向上している。

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classicalmusic at 12:48コメント(0)ワーグナー | カラヤン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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