2022年05月23日
スカラ座音楽監督時代のジュリーニ、統率が素晴らしい『アルジェのイタリア女』
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カルロ・マリア・ジュリーニは1953年に、それまでのヴィクトル・デ・サーバタのアシスタントからスカラ座の音楽監督に就任した。
既に彼はオペラの舞台を何本か手掛けていたが、この『アルジェのイタリア女』は1954年の録音で、若き日の颯爽とした指揮ぶりと歌手、オーケストラの統率が優れている。
歌手陣はイサベッラがシミオナート、リンドーロがヴァレッティ、エルヴィーラはシュッティ、そしてムスタファがペトリという役者ぞろいなので、このオペラの面白さを倍増させてくれるキャスティングだ。
下稽古がしっかりしているために、それぞれのアリアで披露するロッシーニのコロラトゥーラは勿論、きめの細かいアンサンブルにジュリーニらしさが良く表れている。
特に第1幕幕切れの五重唱は抱腹絶倒だが、正確なリズムの中に、早口の言葉を歌い込んで揃えるのは至難の業で、ジュリーニは鮮やかに締めくくっている。
ともすればドタバタ劇に陥りやすい作品を、一歩手前で芸術的にこなす音楽性は流石だ。
歌手達はいずれも芸達者で、シミオナートは広い音域を巧みなアジリタで歌っているし、ヴァレッティのフレッシュで軽快なリンドーロも好感が持てる。
マリオ・ペトリは間抜けなバッソ・ブッフォを見事に演じている。
この作品の台本は、もっぱらばかばかしいお笑いに主眼が置かれたもので、高尚な哲学などひとかけらもない。
ロッシーニの腕にかかると、他の作曲家の間に合わせに書いた速筆とは思えないほど一流の喜劇として蘇る。
モノラル録音なのが残念だが、リマスタリングのためか音質は極めて良好。
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