2021年11月22日

ロッシーニの醍醐味、軽妙洒脱なアジリタの応酬、心憎い美しさと楽しさ!ロッシーニ『シンデレラ』


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ロッシーニは聴き手を必ず幸福にしてくれる、そんな魅力を童話的気分で楽しませてくれるオペラが『シンデレラ(チェネレントラ)』である。

確かに魔法は筋書きから取り去られたが、それに変わる魔法はロッシーニの音楽そのものだったのである。

本盤はロッシーニ歌いを贅沢に揃えた名演で、指揮者リッカルド・シャイーの素晴らしい統率と新時代のロッシーニの音楽的解釈が面目躍如。

早口のレチタティーヴォやアンサンブルは精緻に仕上げられ、ロッシーニ特有のクレッシェンドも劇を効果的に運んでいる。

第2幕後半の六重唱「これは厄介な結び目、絡まった集団」でのスタッカートとイタリア語のRの巻き舌を強調したアンサンブルは、それぞれがアジリタの速いパッセージを絡めて、滑稽であると同時に美しい和声を響かせることも忘れていない。

またこの録音では通常のチェンバロ伴奏のレチタティーヴォ・セッコが、フォルテピアノにチェロ及びコントラバスの通奏低音を加えたトリオが担当して、場面の状況に応じて巧みな表情を与えている。

イタリアの名指揮者シャイー(1953年生まれ)はロッシーニをもっとも得意とし、長年にわたって指揮し続けてきた。

シャイーの才気煥発な指揮は、シンプルな中にも作曲家の豊かな音楽性と喜劇としての軽快さを遺憾なく引き出していて秀逸。

血の共感というだけでなく、彼はロッシーニを人生の機微を心憎い巧さと的確さで写し取った愛すべき作曲家とみなした節があり、すべてが好きでたまらないといった勢いでこのオペラを再現している。

オーケストラはボローニャ・テアトロ・コムナーレ管弦楽団で、シャイーの指揮に良く呼応し、また歓喜に満ちた幕切れを迎えている。

ソリストではタイトルロールのチェチリア・バルトリが、天衣無縫さの優雅さと華やかさで聳え立っており、天成の相性の良さを実感させる。

細かい装飾音をあたかも刺繡をするように正確に歌い切って、幕切れの「悲しみと涙の中に生まれ」が驚異的な聴かせどころになっている。

彼女に対抗できるのは先輩ルチア・ヴァレンティーノ=テッラーニくらいだった。

また他の諸役も適材適所の布陣で、王子ドン・ラミーロのウィリアム・マテウッツィも負けじと、カデンツァではしばしば超高音をちりばめて、華やかな舞台を創り上げている。

ちなみに彼はベッリーニの『プリターニ』でハイfを楽譜通りに歌った強者だが、コロラトゥーラも良くこなしている。

ダンディーニ役のコルベッリもアジリタでは引けを取らないし、ベテラン、エンツォ・ダーラの男爵も抑制された中に絶妙な歌唱力で応じている。

録音は1992年で音質は極めて良好。

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classicalmusic at 09:20コメント(0)バルトリ | シャイー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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