2021年12月01日

古くて素敵なクラシック・レコードたち、実はクラシック音楽にも造詣の深い世界的文豪の最新作


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村上春樹氏は自己の内面と世界との関わり方についての指針を常に現在進行形で示唆を与えてくれる存在である。

そして彼が小説家としての生き方、世界との関わり方、モノゴトに対する姿勢の在り方たるや既成の価値観を常に打破し、進取の精神が感じ取れるのは今も昔も変わりがない。

もはや彼にとって必要なのは勲章ではなく、自らの内面世界の豊穣さを実り豊かな果実として後世に遺すことに腐心されているように思われるのは筆者だけであろうか。

拙ブログで個人的な読書の体験を余り書くことは余りないが、村上さんの著作から感知し得る音楽性、例えば小澤征爾氏との対談記事や文藝春秋誌にバイロイト初体験レポートなど身近な存在になったのは比較的最近のことだ。

現在では筆者も村上さんの全著書、更には翻訳家としての知られざる(特に米文学)を読まずにはいられないほどの村上主義者(かれはハルキストと呼ばれるのを嫌う)の一人となる。

村上さんがジャズのみではなく、かなりのクラシック音楽に造詣の深いひとだということが彼の長編小説全体にモチーフとして散りばめられていることは有名で、次々と発売されてきた長編小説作品が全く他人事とは思えなくなり、内面の王国を築く上で欠かせぬ滋養であったことをもう疑いの余地がない。

そんな村上さんが『意味がなければスウィングはない』で、当時誰も注目していなかったシューベルトのピアノ・ソナタ第17番に的を絞って同曲異演盤を独自の視点で徹底的に深掘りしていたのも今思えば懐かしい。

さらにはプーランクについてかなり高度なクラシック音楽鑑賞をされているのを読み、それが何とも言えないノスタルジアを覚えたものだ。

常に次第の先端を自らトップランナーとして走り続けた彼ももはや(何と時の流れるのがはやいことか!)、年齢的に自らの歩みを振り返ってもおかしくはない。

そんな村上さんが初めてクラシック音楽のみのガイドブックを最近発表されたのには思わず快哉を叫びたくなる。

ここではもはやLPでしか音楽を聴かないという今日的な姿勢からは作曲家の時代もとうに終焉し、演奏芸術が虚業となり果てた現状に鑑み、もう一度不滅の巨匠に新たな豊饒の海を見出そうというスタンスに何だか運命の絆に結ばれているかのような夢のような話だ。

既に音楽評論自体が壊滅し、現代人としての視点からクラシック音楽への愛着の源泉を自らの豊かなディスコグラフィーに絞り込まれ過去のLPからはむしろ自明の理というか音楽業界全体の確実に衰退を自覚されておられるかのようですらある。

筆者自身も拙ブログで既に現在のクラシック音楽を取り巻く状況に限界を感じ、過去の巨匠にばかり目を向けてしまう。

懐かしいとしか言いようのない村上さん所有のLPのジャケットが掲載された外装からしてノスタルジックな雰囲気が漂い、かつてポスト・モダンと称された村上ワールド全開。

その円熟した語り口に接するに現在の筆者自身と世代は違うにせよ同じ土俵で究極のオアシスと癒しの場を提供された本著に感謝の念しかない。

ともかく20世紀録音芸術の真髄を知る者にとっては欠かせない総括的書物となると言えるが、村上さんの現在到達された境地に同時代人として共感させられずにはおかない内容だ。

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classicalmusic at 20:52コメント(0)筆者のこと | 芸術に寄す 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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