2021年12月08日

リヒテルのアメリカ・デビュー盤待望のSACD化、RCAがセッション録音したベートーヴェン作品を集大成


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1960年、リヒテルのアメリカ・デビューに際してRCAがセッション録音したベートーヴェン作品を集大成した2枚組。

シャルル・ミュンシュとボストン交響楽団のサポートによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番は、明るくメリハリのあるオーケストラと、当時45歳でアメリカ・デビューを華々しく飾ったリヒテル壮年期特有の覇気に満ちたダイナミックな表現が堪能できる。

ミュンシュの指揮ともども構えの大きなアグレッシヴな演奏が聴きものだ。

ミュンシュの表現が常にそうであったように、この作品でもベートーヴェンの音楽を内側に凝縮させるというよりも、逆に外側に向かってエネルギーを発散させるような開放的で、生命力にあふれた解釈が特徴だろう。

ベートーヴェン初期の曲としての性格と、この時期のリヒテルの演奏スタイルも相性が良く、現在鑑賞しても決して時代を感じさせないフレッシュな魅力を持っている。

ミュンシュとリヒテルの双方にも一期一会の雰囲気があり、独特の緊張感が伝わってくるのも事実だ。

ただミュンシュと違う点は、リヒテルは音楽の流れに任せて即興的に弾くタイプのピアニストではなかったことだ。

このディスクにカップリングされている11月下旬にニューヨーク、ウェブスター・ホールでRCAのセッションで収録された「熱情」「葬送」を含むピアノ・ソナタ3曲は、10月のカーネギー・ホールのデビュー・リサイタルで弾いてセンセーションを巻き起こしたリヒテルお得意のレパートリーである。

3曲のピアノ・ソナタでも彼のヴィルトゥオジティを発揮した華麗な表現を聴かせてくれる。

それでいて骨太で綿密な音楽的ビジョンが明確に感知される優れた演奏で、後年の内省的な世界を予期させるものがある。

特に「熱情」におけるダイナミズムの幅広いドラマティックな表現は、このソナタの極限の一つだ。

いずれもRCA所蔵の3chオリジナル・アナログ・マスターを稀少なアンペックス社製デッキで再生した上でリミックスし、DSDマスタリングでSA-CDバイブリッド化されたものになる。

1960年の録音だが音質はクリアーで、僅かなテープ・ヒスを無視すれば臨場感にも不足していない。

2004年のJVCXRCD以来久々のリマスタリングで、1960年代のアメリカ録音ならではの野太いながらも繊細なサウンドが蘇っている。

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classicalmusic at 11:40コメント(0)リヒテル | ミュンシュ 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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