2022年05月24日
音質優秀!放送用セッション録音 天才デニス・ブレインとギュンター・ヴァント モーツァルトのホルン協奏曲!
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このディスクの特徴はギュンター・ヴァントがモーツァルトのホルン協奏曲第3番、ブラウンフェルスの『ベルリオーズのテーマによる幻想的変奏』及びタデウシュ・バイルトの『オーボエと管弦楽のための四つの対話』というレパートリーをカップリングしていることで、多彩なプログラムがたいへん魅力的だ。
ヴァントの幅広い時代をカヴァーする指揮者としての力量を示したアルバムになっている。
ベイルド以外の録音は放送用のセッション録音というだけあり、音質も高水準で、特にモーツァルトの美音したたるブレインとの共演は品格あふれる逸品だ。
拾いものはヴァルター・ブラウンフェルス(1882-1954)(デッカ頽廃録音シリーズ「鳥」が有名)。
ブラウンフェルスはドイツ作曲家で、非常に緻密なオーケストレーションを施しているが、ロマン主義の伝統を尊重した「内省的とは極めて対照的に効果的で劇的な手法」(ニューグローブ音楽事典1994)と評される作風だけあり、リヒャルト・シュトラウスの交響詩ばりに、ひたすら盛り上がる曲調が爽快ですらある。
ヴァントも絶好調の激しさで、オーケストラに鮮明に音の綾を織らせて、優雅といえるほどの音の抑揚を創り上げている。
これは彼が得意とする音楽学的分析の成果だろう。
一方タデウシュ・べイルト(1928-1981)はポーランドの作曲家でトーン・クラスターに代表される前衛的な作法が斬新な印象を残す。
ベイルドはポーランドの重要作曲家でこの「4つの対話」が代表作といえるもの、「彼の主眼は強烈であふれるばかりの音の美しさなのである」と前掲のニューグローブ音楽事典1994で取り上げられている名曲。
ただしオボイストのローター・ファーバーにはいまひとつ説得力が欲しいところだ。
この曲だけがステレオ・ライヴ録音で、他の2曲がモノラルなのが残念だが、音質は良好だ。
このディスクのセールス・ポイントはデニス・ブレインを迎えた1951年のモーツァルトのホルン協奏曲第3番で、絶頂期のブレインの天真爛漫にして不思議なほど精緻な表現力は相変わらずだ。
ここでも夭折の天才ホルニストの面目躍如の演奏が聴きものだろう。
ヴァントのサポートも几帳面に抑制を利かせながら、オーケストラにも軽やかに歌わせている。
協奏曲の伴奏にも優れた腕を示した音源のひとつだ。
ドイツの放送用音源は、概して音質においても期待外れになることはないが、この音源も録音状態、音質共に時代相応以上と言っていいと思う。
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