2022年03月23日
黄金コンビの印象新た、クリアな音質に一驚!ヴァント、北ドイツ放送響首席指揮者就任後、初の定期の「展覧会の絵」、ボレット独奏のチャイコフスキー第1番
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
ギュンター・ヴァント・エディションの第20集になり、ホルヘ・ボレットとの共演のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番及びムソルグスキー/ラヴェル編曲の『展覧会の絵』を収録している。
前者が1985年、後者が1982年のそれぞれハンブルガー・ムジークハレで録音された。
オーケストラはヴァントが首席指揮者時代の北ドイツ放送交響楽団で、音質は極めて良好。
ヴァント&北ドイツといえば、BMGによる重厚な雰囲気たっぷりの名演の数々が思い浮かぶが、今回正規初CD化の2曲はNDRのオリジ ナル・テープからCD化されたもので、その音質のあまりのクリアさに驚かされた。
音が残響で曇ることなく、細部まではっきり聴き取れるため、いままでの同コンビの印象も新たになるようで、ヴァント首席指揮者就任時の覇気あふれる『展覧会の絵』も「バーバ・ヤガー」から「キエフの大門」に至る崇高な盛り上がりなど無類である(ちなみにBMGは1999年録音)。
チャイコフスキーでのボレットとの共演は圧巻の一語で、こちらも音質抜群。
緊迫感ただならぬものがあり、当レーベル社主のギュンター・ヘンスラー氏の自薦する録音のひとつである。
チャイコフスキーでは両者の知性が滲み出た演奏で、爆演的なはったりは一切なく整然とした秩序を保ちながら、スケール感よりも細部まで音楽だけで訴える手腕に驚かされる。
それだけにしっかりとした構成感を示す手堅さが聴きどころだろう。
ボレットのソロもテクニックを誇示するような表現はなく、また大げさな抒情性を引き摺るようなこともない。
しかしさりげないロマンティシズムが、かえってこの作品の良さを引き出している稀なサンプルだ。
『展覧会の絵』はオーケストラの多様性が華やかに表現されている演奏で、その意味ではムソルグスキーの泥臭さは影を潜め、洗練されたラヴェルの趣味が横溢している。
それぞれのソロ楽器の奏者も手兵だけに指揮者の要求に良く呼応しながら、主張すべき部分は思い切って歌い、全体として骨太で緻密なサウンドを醸し出している点はやはりドイツのオーケストラである。
よりゴージャスな演奏は他にもあるが、まとまりの良さでもこの作品の録音の中でも特にお薦めしたい演奏のひとつだ。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。