2022年03月25日
歓喜に満ちたハイドン『天地創造』、アントニーニ&イル・ジャルディーノ・アルモニコの本領
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全曲を通して溌溂とした覇気を伴った演奏が特徴的で、生命誕生の喜びを歓喜の中に描き出したアントニーニの腕が冴え渡っている。
時にユーモアたっぷりに、そして時にはアグレッシブなイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は、彼らの本領とするところである。
ごく古典的な『天地創造』とはかなり印象が異なるが不思議な説得力を持っている。
こうした解釈を邪道とする人もいるかもしれないが、個人的には充分納得のいくものだ。
また歌手陣が充実しているのも評価できる。
ソプラノのアンナ・ルツィア・リヒターはリリックな歌い回しも上手いが、コロラトゥーラのテクニックにも優れている。
さらにこの曲にちりばめられた速いアジリタのパッセージも小気味良く歌い切っている。
バスのフロリアン・ベシュはバリトンの快活さを持った声質だが、低声の声域も広く表現力に富んでいる。
テノールのマクシミリアン・シュミットも軽快で無理がない。
彼らの重唱も聴きどころで、コーラスが加わる第26曲及び終曲はオペラの華麗な幕切れのように心地良い。
アルファ・クラシクスのHAYDN2032の企画のひとつとして、ハイドン生誕300周年記念する交響曲全集と並んでリリースされた。
10年以上の歳月を見越した遠大な企画だけに、おそらくこの『天地創造』の他にも『四季』や『十字架上のキリストの最後の七つの言葉』のオラトリオ版などのレコーディングも期待したいところだ。
実際交響曲全集の中にはハイドンの他のジャンルの作品も併録されているので可能性は高いだろう。
このディスクは2019年にミュンヘンのヘラクレスザールで収録されたものだが、潤沢な残響と解像度に優れた音質は極めて良好だ。
尚CDであればライナーノーツにはドイツ語の歌詞に仏、英語の対訳リブレットが掲載されている。
またイル・ジャルディーノ・アルモニコの全メンバーと使用しているピリオド楽器も明記されている。
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