2022年03月18日

ホロヴィッツ&ワルター/怒涛のチャイコフスキー&ブラームス:ピアノ協奏曲第1番


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



数あるホロヴィッツのチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番の録音の中でも、断トツにスリリングな演奏で、ホロヴィッツの豪快な打鍵と冴え渡るテクニックには、ただただ唖然として聴き入るのみだ。

確かに音質はあまり良くないが、演奏内容がとにかく素晴らしく、聴いていると感動が音質を超越してくるので、音の悪さは気にならなくなってしまい、心底満足感が得られた。

ホロヴィッツのチャイコフスキーは一般にはトスカニーニとの演奏が評価が高いが、筆者にとっては、あの2人の組み合わせは、マジソン・スクウエアー・ガーデンでプロレスの試合でも見ているような趣がして(ファンの方々には申し訳ないが)音楽としての潤いに欠けるように感じられる。

それに対してこのワルターとの演奏は、同じ超絶技巧を誇示しながらの演奏だが、大きくうねる音楽、全曲を通じてのロシアの憂愁がある。

この演奏を生で聴けたら、一体どんな感動を覚えるのであろう…、同曲の演奏でホロヴィッツを超えるピアニストはいないのだから。

驚嘆したのは、ワルターの荒れ狂った、熱い指揮で、トスカニーニにも迫る大迫力である。

当時全盛期だったワルターは、 晩年の穏やかな芸風とは全く異なる指揮で、ホロヴィッツを強力にサポートしている。

録音がどうのこうのというのはこの演奏の前にどうでもよいことだと思うが、トスカニーニ盤よりピアノの音色がはっきり聴こえる。

筆者としてはホロヴィッツの同曲異演盤では、この演奏を第一にお奨めしたい。

ホロヴィッツ&ワルターのブラームス:ピアノ協奏曲第1番も驚くべき名演奏である。

1936年、アムステルダムに於ける実況録音で、若き31歳のホロヴィッツと、59歳のワルターががっぷり四つに組み、火花を散らして闘っているのだ。

それにしてもワルターの気迫は物凄く、凄まじい緊迫感にあふれたリズム、アクセント、速いテンポによる推進力、ティンパニの最強打、特に第1楽章のコーダは阿修羅のようだ。

しかもむきになって造型を崩すことがなく、アンサンブルもぴったりと決まっている。

ワルターはレコード録音と実演との差があまりなかった指揮者らしいが、このブラームスは特別な例なのだろうか。

新鋭の天才ピアニスト、ホロヴィッツとの協演、メンゲルベルクが君臨するアムステルダム・コンセルトヘボウへの客演など、種々の要素が絡み合って、このように火と燃えた演奏が可能になったのであろう。

このブラームスはあたかも鬼神が乗り移ったかのように、エネルギーを完全に音化し切っているのだ。

終楽章の歯切れの良いリズムや、興奮の極と言いたい加速の効果も見事だが、そうした迫力と共に、憧れにせつなく燃えつきる歌や、フルトヴェングラーを思わせるような聴こえないくらいのピアニッシモや、あえかな木管のデリカシーにおいても、ワルターは別人のように思い切った表情を見せるのである。

彼は客演のとき、そのオーケストラの特質を充分に生かす指揮者であった。

全曲にわたって、あのメンゲルベルク節とも言える、濃厚で脂切ったポルタメントやヴィブラートが頻出するのはその表れだが、もちろんワルターには様式ぶった人工的なテンポの動きは見られない。

ホロヴィッツの演奏もまさに言語を絶するすばらしさで、何よりも人間業を超えたテクニックの冴えに舌を巻くし、魔術的とさえ言えよう。

しかも技術に溺れず、音楽を最大限に生かし抜くのだ。

感じ切ったピアニッシモから超人的なフォルティッシモまで、表現の幅は著しく広く、自然なルバートが多用されて音楽を息づかせ、表情の強い歌や情感も決してワルターに負けてはいない。

そしてカデンツァでは猛然たるアクセントと共に、奔放な即興性さえ見せるのである。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 19:57コメント(0)ホロヴィッツ | ワルター 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ