2022年03月21日
廃盤間近に迫る!1963年に初来日したベルリン・ドイツ・オペラの日生劇場で上演された一期一会の公演の貴重な録音!ベームの《フィガロの結婚》
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本ベーム盤は1963年に初来日したベルリン・ドイツ・オペラの日生劇場で上演されたもののライヴで、68年盤とは違う。
舞台の雑音が入るとはいえ、音質は鮮明、なによりも純音楽的なスタジオ録音に対し、きわめてドラマティックな超名演なのだ。
《フィガロの結婚》の数多い名演盤の中で、クレンペラー盤と同じく指揮者(オーケストラ)を中心に聴くことができるただ2つのディスクである。
当時69歳のベームもテンポが速く、モーツァルトの生き生きした世界を見事に再現、全体に燃焼度の高い、一期一会の公演の貴重な記録となっている。
序曲から腰の強いカロリー満点のフォルテに驚かされ、そのきれいごとでないひびきやたたきつけるようなアタックに嬉しくなる。
迫力も最高、前進性も最高である。
幕が上がってもオーケストラの厚みと緊張感は変わらない。
典雅さ、優雅さ、デリカシーなどはクレンペラー盤にやや譲るが、それは劣るというよりもベームの音楽の特徴であり、むしろそのことが愉しい。
しかも第2幕の伯爵夫人のアリアなどに見せる優しい共感や心の震えはさすがベームといえよう。
同じくケルビーノが部屋の窓からとび下りるときのスザンナとの二重唱の絶妙な最弱音もこれがベストだと思う。
しかし彼の真骨頂は人間味たっぷりで雄弁をきわめたドラマの進行であろう。
どの一部をとっても今まさにそこで劇が行なわれている、その醍醐味がこのライヴにはある。
第2幕フィナーレのアッチェレランドがかかった終結の高揚感など、ベームならではだ。
歌手ではデビュー当時のマティスが聴きものである。
まだ25歳の彼女の初々しいケルビーノは場内の全聴衆をとりこにしたそうだが、第1幕のアリアはクライバー盤のダンコと並んでベストといえよう。
他の歌手もみな芸達者だが、グリュンマーの伯爵夫人は声も表現も重すぎ、ベリーのフィガロはいかにも庶民的で、気品や立派さに欠ける。
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