2022年03月22日

クーベリックの繊細・緻密にして気宇雄大な音楽性がウェーバーのロマンティシズムを十全に歌いあげる《魔弾の射手》随一の名盤


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ドイツ・ロマン派オペラ最初の傑作として有名な《魔弾の射手》だが、このオペラにあふれるロマンティックな情感を最もみずみずしく表現しているのは、キャストも素晴らしいクーベリック盤である。

正統派の解釈による堂々たる名演にもかかわらず、長年国内盤、輸入盤ともに廃盤、しかもネット配信もハイライト盤に限られるという嘆かわしい現状であるが、C・クライバー盤と並ぶ《魔弾の射手》の代表盤(しかもデッカの名録音)なのでご紹介せずにはいられない。

ドイツ・ロマン派オペラの故郷とも呼ぶべきこの作品の多くの録音の中でも、このクーベリックほどにけれん味が無く、しかも繊細さとダイナミズムの両面を満たした演奏は少ない。

クーベリックは、ウェーバーのスコアに真摯に向かい合い、何のはったりもけれん味もなく、その音楽の深々とした味わいを具現している。

また巨匠は隅々まで神経を行き渡らせ、音楽的にすっきりと美しくまとめあげている。

この巨匠ならではの折り目正しい演奏を通して、神秘的な森とそこに生きる人たちの葛藤を自然に浮かび上がらせている。

表現力も豊かで、整った演奏のなかからドラマがくっきりと浮かび上がってくる。

繊細・緻密にして、気宇雄大なクーベリックの音楽性は、生気に満ちた息づかいと細やかな情感表出によって、ウェーバーのロマンティシズムを十全に描き上げる。

狼谷などのドラマティックでデモーニッシュな表現も見事だが、同時に抒情的な精妙な表現によって、各場面をとても奥行きと陰翳深く描き上げているので、まっすぐにこの作品のよさが伝わってくる。

クーベリックは、《オベロン》のすぐれた全曲盤を遺しているが、この《魔弾の射手》は一段と充実している。

1979年、65歳という円熟期の録音だけに、あくまで堂々とスケールゆたかであるとともにバイエルン放送交響楽団ならではの精度良く柔軟な響きと表現力を生かして、ドイツ・ロマン派オペラにふさわしい手厚い演奏をつくっている。

クーベリックの音楽的要求と、ウェーバーの音楽語法を自家薬籠中のものとしているバイエルン放送交響楽団の高い音楽性も素晴らしい。

クーベリック時代のバイエルン放送交響楽団は、旧西ドイツで最も音楽的なオーケストラと呼ばれていた。

クーベリックの薫陶を受けたこの名オーケストラとの集大成とも呼ぶべき名演である。

ともかくオーケストラ、合唱団を含め、当時のバイエルンの高度な実力を明示した演奏と思う。

ソリストに目を向けると、ベーレンスのアガーテ、ドナートのエンヒェン、コロのマックス、メーヴェンのカスパールといった主要な配役も、このCDの価値を高めている。

中でも、ベーレンスのアガーテは、ドラマティックな声の力と、リリカルな音楽性を併せ持つ稀有の名唱となっている。

コロのマックスも、《魔笛》のタミーノとヘルデン・テノールの中間にあるこの役にふさわしい。

派手さはないがこのクーベリックの録音は犖漆佑Δ鵜瓩垢襪い屬袈笋量庄蕕噺世┐襪世蹐Α

なお、クーベリックだけでなく、当時の一流歌手陣のすべてが初録音だったことも付記しておく。

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classicalmusic at 17:56コメント(0)ウェーバー | クーベリック 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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