2022年04月06日
この演奏を聴かないでマーラー・ファンは名乗れない!いかなる手段を尽くしても聴かなければいけないテンシュテット&北ドイツ放送響の『巨人』『復活』
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テンシュテットは亡命するまで東欧に籍を置いており、また指揮者としての全盛期に癌で亡くなっているため、活躍した期間は実質非常に短い。
その短期間の活動でもっとも重要なレパートリーがマーラーであったのだが、彼のマーラーには大きな問題がある。
正規録音のオーケストラがロンドン・フィルハーモニー管弦楽団なのである。
ロンドン・フィルはベルリン・フィル、ウィーン・フィル、コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送響などに比べて明らかに実力は低い。
同じイギリスのオーケストラのロンドン交響楽団やフィルハーモニア管弦楽団などと比べても劣る。
もともと北ドイツ放送交響楽団の音楽監督をしていたのに、あまりに厳格であったためごく短期間で決裂してしまう。
そしてその後は必ずしも一流とは言えないロンドン・フィルとの録音が殆どとなってしまった。
この演奏は数少ない北ドイツ放送響との演奏であり、しかも稀代の名演と謳われるものである。
正直、震撼させられるような演奏である。
マーラーに個人の苦悩の姿を見る人にとっては、いかなる手段を尽くしても聴かなければいけないディスクだろう。
特に第2番『復活』は徹底していて、緩急の変化も激しく、じつにたくましいタッチでマーラーの天国と地獄を描き出すのだ。
第2楽章は、骸骨が躍る「死の舞踏」のように不気味だ。
第4楽章の伴奏も深く、何かの拍子に音楽が途切れ、突然の沈黙が襲うのではないかという不安まで感じさせる。
そして、フィナーレでは一転、酒池肉林、否、阿鼻叫喚の白熱ぶりで、合唱はまるでミサ曲のように荘重敬虔に歌い出し、それがやがてユートピア待望の叫びに移り行く。
ロマン主義とは引き裂かれていることなのだと、これほどまでにわからせてくれる演奏は少ないだろう。
もはやこの演奏を聴かないでマーラー・ファンは名乗れないとすら言ってよいかもしれない。
北ドイツ放送響はテンシュテットを嫌って、両者の関係はたちまち途絶えたが、それもそのはず、こんな演奏を常にさせられていたら身が持たない。
頭もおかしくなるかもしれない。
人間は真実よりも自己保存選ぶというちょっと寂しい教訓を与えてくれる。
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