2022年04月23日

自他ともに認めるバレエのスペシャリストであったドラティ全盛時代に録音した唯一のチャイコフスキー《白鳥の湖》


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30代のほぼ10年間をモンテ・カルロのロシア・バレエ団の指揮者として過ごすなど、自他ともに認めるバレエのスペシャリストであったドラティがその全盛期に当時の手兵ミネアポリス管弦楽団と録音した唯一のチャイコフスキー《白鳥の湖》。

むろん、オーケストラ・ビルダーとしても手腕を発揮したドラティは、ここでいかにもヴェテランらしい、貫禄十分の名演を展開している。

入り組んだリズム処理に、抜群の手腕を発揮するドラティならではの、あざやかな指揮ぶりに驚嘆させられる全曲盤である。

この曲の交響的な性格をあますところなく生かしながら、構成的な美しさを尊んだ演奏だ。

この演奏は、細部まで的確に構成された明快でシンフォニックな表現とバレエとしてのドラマをバランス良く合わせそなえている。

ドラティの指揮は設計が綿密で、しかも演出と表情づけが実にうまく、あの夢幻的な舞台の雰囲気が手にとるようによくわかる。

こうした表現は実際の舞台の経験が豊富なこの人ならではのもので、このグランド・バレエにふさわしく、メロディー・メーカー、チャイコフスキーの旋律美を存分に堪能することができる。

全曲を通じて、各場面の変化に富んだ描き方も秀逸で、まさに"バレエの神様"ドラティの面目躍如たる会心の演奏。

ドラティという指揮者の並々ならぬ底力のほどを、あらためて思い知らされるような演奏といえよう。

それでも一般の聴き手にとって、ドラティの録音はそれほどの価値を見いだせないかもしれないが、ダンサーにとってその評価は絶大なものとなる。

メリハリの利いたリズムや踊りに最適なテンポ、そして独特の間のとり方など、実舞台のバレエの寸法に対応した演奏であることは現代でも変わらない。

一言でいえば、ドラティの演奏は爐修里泙淪戮譴覘瓩里任△襦

テンポの設定からリズムのとり方、そして間のとり方まで、見事に踊りに適合する。

この盤は、そういう意味ではバレエ音楽のまさに“普遍的”と言い得る演奏で、バイブル的存在といえるのである。

ドラティは円熟期にコンセルトヘボウ管弦楽団とチャイコフスキーの残りの2つのバレエ《眠れる森の美女》及び《くるみ割り人形》の演奏・録音ともに文句のつけようのない全曲盤を遺してくれた。

不思議とウマが合う名門オケとの《白鳥の湖》の録音が果たせなかったのはさぞかし心残りだったことだろう。

なお全曲盤とはいえ、録音当時に行なわれていた慣習的なカットが施されているのは、仕方のないところだろう。

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classicalmusic at 12:50コメント(0)チャイコフスキー | ドラティ 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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