2022年05月24日
絵に語らせた、孤高の天才に寄り添った秀作
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ブルーレイで鑑賞するとファン・ゴッホの強烈な色彩感とデッサンの力強さが動き始める説得力が印象的だ。
余白に付いているボーナスに制作過程が詳しく映像化されているが、最終的に世界中の100人を超える画家がオーディションの末に、この企画に参加したようだ。
実際に俳優たちが演じるシーンにファン・ゴッホ風の油彩のタッチをオーバーラップさせることにも成功している。
ここでの主人公になるアルマンを始めとして登場人物の殆どの肖像画が遺されているので、彼の絵画を見たことがある人なら一層親しみも湧いてくるに違いない。
バックに流れる「スターリー・スターリ―・ナイト」も孤独の生涯を送った画家と、不器用で喧嘩っ早いアルマンが次第に人間的に成長する様子と、天才と共有する寂しさを表現している。
ファン・ゴッホの死については自殺とも他殺とも断定していない。
この作品を鑑賞する人の判断に任せているのも自然で好感が持てる。
ファン・ゴッホは37年の短い人生の中でも絵を描いたのは後半の10年で、油彩だけでも860点になるが、最後の2年間ほど精力的に描いた時期はなかった。
しかし空と雲の渦巻くような強い色彩からは、言い知れない孤独感が感じられる。
その生涯で売れた絵はわずか1点だが、生活費と画材一式は弟テオが総て負担していた。
20人に宛てて投函した手紙は800通あり、この作品のテーマになる最後の手紙もテオに向けて書かれている。
しかし彼の死後からほぼ半年後にテオは発狂し、精神病院で亡くなった。
33歳の時だった。
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