2022年07月09日

クライバー&ウィーン・フィルのブラ2&リンツ 音楽の喜びと美しさに満ち溢れたカルロスのライヴ!


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1991年10月、カルロス・クライバーは突然公開演奏会のOKを出し、モーツァルトの《リンツ》とブラームスの交響曲第2番というプログラムで、ウィーン・フィルによるコンサートが2日間にわたって行われた。

指揮棒を振り下ろすやいなや、聴衆も楽員もクライバーのタクトによって、魔法にかかったように音楽に引き込まれていく。

クライバーとウィーン・フィルによる音楽の喜びと美しさに満ち溢れた演奏が、音と映像を通して鮮やかな感動を呼び起こす。

よく残っていたな、これが機嫌がいいときのクライバーであるが、実際にはかなり気難しい人。

クライバーのブラームスでは同じ顔ぶれの第4番のCDのほうが定番となっているが、華麗な指揮姿とともに演奏を楽しめるこちらに筆者を指を屈する。

いやはや、絶好調で乗りに乗っているクライバーの映像である。

彼の華麗な指揮姿を見れたのは、1994年のR・シュトラウス「ばらの騎士」(少し枯れが見え始めている)の映像までである。

このDVDの時までがピークで徐々に動きにしなやかさが失われ、硬さが出るようになってしまうし、演奏に勢いも同様だ。

クライバーはブラームス特有の長く美しいフレーズを活かすように工夫しながら(弦楽器のプルトを2つに分け、アップボウイングとダウンボウイングに分けて弾くことにより、音色が均一に、そして途切れないようにしている)3楽章までは牧歌的に進めているが、第4楽章のアレグロから一気にアクセルを踏み込む。

手をぐるぐる回転させ、先を読んだタクト裁きでオーケストラを鼓舞させている。

ウィーン・フィルの面々が、ここまで顔を紅潮させ必死に食らいついて演奏する姿はそうは見れないし、アドリブにも敏感に反応している。

綿密なリハーサルで有名だが、実演ではそれを基本に即興的に演奏するのが彼の常套手段。

そこが高名な父 エーリッヒ・クライバーとの決定的な違いで、もともとのテンペラメントの違いだろうが、アルゼンチンで育ったのも一因かもしれない。

キャンセル魔のカルロスのしかも全盛期、しかもマジシャンのような指揮ぶり、ウィーン・フィルの本気度、逸するべきではない。

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classicalmusic at 08:53コメント(2)クライバー | ブラームス 

コメント一覧

1. Posted by Josh   2022年07月10日 12:45
5 取り上げて頂きありがとうございます。

音楽の根源的な美しさ、至福と愉悦以外何も感じさせませんね。これ以上なく典雅で優美、リズム弾ける「リンツ」、そして彼岸の音楽かのようなこの上なく抒情的で融通無碍、湧き上がる感情に、極上の香り高い音楽美を添えるウィーンフィルの音色、文句のつけようもありません。深刻さも暗さもなく、愉悦の中に儚さや哀しさすら感じさせる表現。
C.クライバーも、キュッヘル率いるウィーンフィルも音楽の化身となった頂点の状態での演奏動画だと思います。このドキュメントが残されて本当に良かったと思います!
2. Posted by 和田   2022年07月10日 19:34
LDからDVDに買い替えて何回も繰り返し観ている映像ですが、今回「オリジナルの35mmネガフィルムから8K 22.2マルチチャンネル*2に復元」ということで、画質は見違えるほど鮮明になっていますね。テレビのスピーカ―ではほとんどわかりませんでしたが、音声もかなり改善されているのだろうと思います。語り尽くされた感のある演奏ですね。さすが紹介者だけあってよくご存じのようで繰り返しませんが、クライバーという天才は本当に天才的、としか言いようがありません。スコアの解釈/音楽をあれほど見事に体現できる指揮者はクライバー以外にはいないとあらためて思います。スマートで優雅、しなやかでエレガント、形容する言葉は限りないですが、本文で触れなかった「リンツ」の冒頭やメヌエットの指揮ぶりを視聴していると、指揮自体が芸術のように思えてきます。私的にはブラ2の緩徐楽章の突然大音量で嘆きだす様子が伝わってくるチェリビダッケもおすすめです。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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