2022年10月12日
🛸若きフランスの名手ベロフの珍しい🔰ドイツ・ロマン派の協奏曲録音👴ヨッフム&シュターツカペレ・ドレスデン🫶しか出せない神の如くの名演奏
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晩年のヨッフムはドイツ・ロマン派の交響曲に多くの名盤を残した。
ブルックナーはその代表であろうが、このブラームスもそれに劣らぬ名盤と言えよう。
悠々たる豊かな流れの中にロマン的情緒をたっぷりと注ぎ込み、きわめて味わい深い出来映えとなっている。
基本的にはドイツ正統派としての構築性ある骨組みの確かな演奏であるが、晩年のヨッフムにはそれは当然身に染みついたものとして、さらにそこからブラームス特有の陰りと潤いある表情を滲ませている。
これは一朝一夕でできる表現ではない。
その意味で筆者は特に交響曲第4番を推したい。
作曲者晩年の寂寥感が暗く表現されるのではなく、温かな歌として全篇に美しく広がっていく。
全体がヒューマンな抒情と感情の起伏に埋め尽くされている。
その他の曲も巨匠ならではの風格があり、立派のひとことに尽きる。
シュターツカペレ・ドレスデンが渋く重厚な、ヨッフムが求めたであろう響きを、そのまま表出しているのが素晴らしい。
曲の真髄と深く触れ合った演奏や、壮麗で爽やか、どことなく甘美さを秘めた表現も、もはや当節の指揮者では及びもつかない。
若きフランスのピアニストであるベロフと穏健長老派指揮者のヨッフムという、一見すると水と油のように思える組み合わせも、本盤を聴くとそれが杞憂であることがよくわかる。
ヨッフムの温かくも、決して隙間風の吹かない重厚な指揮ぶりがブラームスの渋い曲想に見事にマッチしており、加えて、ベロフがブラームスの協奏曲の難曲とも言われるピアノパートを力強い打鍵で弾き抜いている。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2022年11月18日 09:14

2. Posted by 和田 2022年11月18日 09:32
1902年に生まれ、87年に世を去ったドイツの名指揮者ヨッフムは、質実剛健で堅実な指揮をした典型的なドイツの巨匠で、作品に対する徹底した楽理的な分析に裏付けられた飾り気のない実直な再現を信条としていました。彼のスタイルはドイツ的とよく称されますが、それは、中央ヨーロッパの、落ち着いた色合いの響きから、奥行きの深い、しかし溶け合ったサウンドを引き出し、ここぞという所では勇壮な迫力を導いたことを表しています。一方でヨッフムはオーケストラのインストラクターとしての実力も高く評価されています。何故なら彼はヨーロッパの幾つかの楽団、例えばバイエルン放送響、コンセルトヘボウ、バンベルクなどの窮状を救った功績が広く認められているからです。揺るぎない基礎から積み上げていく堅牢な音響は特にブルックナー、ブラームス、ベートーヴェン、ハイドンの交響曲に顕著で、細部までぶれのないまとめ方をしますが、むやみにスケールを強調して作品を誇大に見せたり、聞こえよがしの演出的効果などは嫌っていました。ヨッフムは、父親は音楽家、兄は作曲家兼合唱指揮者、オルガニスト、弟も指揮者という、豊かな音楽的背景をもつ家庭で育ち、彼の父親は南ドイツの小さな街バーベンハウゼンの教育者であり、また教会でのミサや劇場運営に携わっていて、敬虔なカトリック信者だったヨッフム自身も教会オルガニストとして少年時代を送ったようです。オーケストラル・ワークと声楽曲のみならず宗教と世俗というふたつの対照的なジャンルの音楽を同時に吸収していたことが、その後の彼の音楽観の形成にも色濃く影響していることは確実です。