2023年02月05日
偉大かつ雄弁🗣️音のひとつひとつを大切に弾き🎵音楽が匂い立つよう💮グリモーのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》🫅🏻ピアノ・ソナタ第28番
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進境著しい才色兼備のピアニスト、グリモーのベートーヴェンは、すべてがそろった名演だ。
シュターツカペレ・ドレスデン(指揮者ユロフスキはミスキャストの感は否めない)は世界最古の歴史を誇る伝統のある楽団だけに、その響きは素晴らしく、ことに弦楽合奏の柔らかく味わいのある音色は申し分ない。
まずシュターツカペレ・ドレスデンの出だしのフォルテを聴いてほしい。
これほど威風堂々とした響きは、ほかのオーケストラからはなかなか聴くことのできない、伝統の響きだ。
グリモーもその響きに優るとも劣らない風格をもっており、偉大かつ雄弁に音のひとつひとつを大切に弾いており、音楽が匂い立つようだ。
明るい音色と垢抜けたセンスが快く、タッチは変化に富み、洗練された響きを生み出していて単なる透徹した響きとは違った魅力を発散している。
遅めのテンポが、ソロ、オケ双方に良い効果をあげていて、弦のいぶし銀のような音色と柔らかい響きはグリモーのフレージングに美しい品位を与えている。
第1楽章は音の1粒1粒が大切にされ、ベートーヴェンが何気なく書いた飾りの音型からも新しい意味を掘りおこしてゆく、力強く深々とした表現である。
第2楽章は初めは淡々と弾いてゆくが、途中からにわかに輝きを増し、円熟味のある芸となる。
フィナーレも懐の深い表現で、グリモーとユロフスキの、乗りに乗った白熱的なかけあいが聴きものだ。
《皇帝》はもちろんのこと数多くの演奏家が録音しているが、演奏として心を打つものは意外に少ないように思える。
グリモーの《皇帝》は、様式がそのまま表現になっており、型が崩れないままに、ナイーヴな人間の歌が聴こえてくる。
バックも純ドイツ風で、充実し切った有機的な響きが快く、ふくよかな響きと自然な表現でよくグリモーをサポートしている。
ピアノ・ソナタ第28番は、ピアノのタッチの美しさの光った繊細な演奏であるが、《皇帝》に較べると感銘はやや落ちるようだ。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2023年02月05日 08:06

2. Posted by 和田大貴 2023年02月05日 08:20
先ず、昨今のドイツ系のオーケストラも、国際化の波には勝てず、名門シュターツカペレ・ドレスデンもかつて顕著であったいわゆるジャーマン・サウンドが廃れつつあるとも言われています。奏者の技量が最重要視される状況が続いており、なおかつベルリンの壁が崩壊し、東西の行き来が自由になった後、その流れが更に顕著になったと言えますが、それ故に、かつてのように、各オーケストラ固有の音色というもの、個性というものが失われつつあるのではないでしょうか。かつてのアラウ&デイヴィス盤、シフ&ハイティンク盤と比較するとそのことが顕著に表れていて残念な気がします。グリモーは流石にブラームスほどの秀麗極まりない演奏とはいっていませんが、仲道郁代よりも立派なので恐れ入った次第です。