2023年02月08日

落ち着きと安らぎ😮‍💨まろやかなタッチ🎹ロマンの息吹きを詩情豊かにひき出しℹ️即興性にみちた"歌"の比類がない美しさ👨🏻‍🎤《ブレンデルのシューベルトの世界》🗺️


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美しいたたずまいのなかにも緊張感のみなぎった感動的な表現で、詩人ブレンデルの面目躍如たる名演集だ。

ブレンデルの演奏するシューベルトは落ち着きと安らぎがあって、単に耳に快いという以上の楽しみ方を与えてくれる。

まろやかなタッチで、これらの作品からロマンの息吹きを詩情豊かにひき出した演奏で、その即興性にみちた"歌"の美しさは比類がない。

各曲とも、実に綿密に設計された演奏で、それぞれの曲の性格をしっかりと浮き彫りにしている。

構造の把握もよく練られたもので、抒情性の強い音楽をただ流れるように演奏することがないのも好ましく、音の美しさも魅力的だ。

ソナタ第19番はブレンデルらしいスケールの大きな演奏だ。

鮮やかな主張の提示ときめ細かい、くっきりと陰影を刻んだ展開は、このソナタの持つドラマの大きさをくっきりと描き出す。

そうした意味で極めて骨っぽい男性的なシューベルトなのだが、それだけに第3楽章メヌエットのかげりの深い表現が印象的。

第20番の第2楽章で、嬰へ短調で歌い継がれていく主題のしっとりとした抒情はたとえようもなく美しい。

実にヒューマンな、切々たる情感が流れる主題を聴いているうちに中間部に入り、たくましく華やかな楽想が出現し、それを受けて主部が再現され嬰へ短調の印象的な主題が静々と歌い出される。

このあたりのブレンデルの運びのうまさはまったく堂に入っており、感心するほかない。

第21番は演奏者と作品との調和ある一体感をこよない同意のうちに味わえる名演だ。

ブレンデルはこの音楽の日常的な情感の流れの中から、ニュアンスに富んだ感情の機微にふれる緻密なドラマの起伏を心理的に無理なく引き出す。

微妙な音色変化は楽曲の折々の表情と結びつき、あらゆる声部とリズム型がふさわしい息づきを与えられている様子は、まさに至芸としか言いようがない。

即興曲集では、ブレンデルはシューベルトの抒情を大切にしながらも、この曲集を2つのソナタのように、統一感のある構成力で美しくまとめている。

作品90のハ短調のテーマが鳴りだすと、心はもう《ブレンデルのシューベルトの世界》に移り住まされてしまう。

主旋律、低声、アルペッジョ、それぞれの音色、音量、アーティキュレーションが絶妙にコントロールされ、この曲に限らず、あとの7曲もすべて細部にいたるまで、《音楽》が満ちみちて、柔らかで優しい色調が全体にみなぎっている。

特に作品142の第3番は、纏綿とうたわれる歌が実に美しく、ウィーンの音楽家シューベルトを実感させるだろう。

和音の微妙なニュアンスも絶品で、ブレンデルのデリケートで考え抜かれたアプローチが全面的に生かされているといえる。

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classicalmusic at 23:04コメント(2)シューベルト | ブレンデル 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2023年02月09日 06:44
5 シューベルトのピアノ曲の素晴らしさを伝えた選集。録音も良好で,星5つは問題ないでしょう。今となっては多くのピアニストがシューベルトの秀演を繰り広げていますが,1970年代でシューベルトに注目していたピアニストはケンプ,ブレンデルそしてリヒテル位でした。その中でもブレンデルは知的でダイナミックな演奏を展開していました。とりわけ,<楽興の時>と即興曲op. 142がそうした彼の特徴が出た秀演だと思います。次いで,ウィーン流の<さすらい人幻想曲>と繰り返しを省いたソナタ21番が傑出していると感じます。
2. Posted by 和田大貴   2023年02月09日 07:38
ブレンデルの評価を一段と高めたのは、1970年にフィリップスと契約し、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどの一連の作品を録音するようになってからであり、とくに清新な魅力あふれるシューベルトは、ブレンデルの名声を高めるとともにシューベルトのピアノ曲の素晴らしさを再認識させました。ブレンデルの演奏は、音と表現も彫りが深く、ニュアンスも豊かです。きわめて意欲的なブレンデルの演奏で、シューベルトの音楽の構造性・意志性といった側面への読みが深い強固な表現です。音楽に込められた細部の陰影はより深みを獲得し、精神的にも深みを増し、知的感性と素晴らしくバランスのとれた抒情性も十二分に味わえます。美しく歌いつつ、しかもそれぞれの旋律の性格を見事に把握した演奏は、シューベルトならではの旋律美を内面的に掘り下げ、それを極限まで生かします。ブレンデル一流の見事なコントロールによる響きの美しさが、魅力の大きな要因となっているのは言うまでもありません。《さすらい人》幻想曲や後期ソナタでエキセントリックにならず、柔軟に幻想の深い広がりを追求するのはこの人ならでは。個々の曲にはより個性的な演奏もありますが、シューベルトのピアノ曲の多様な魅力を満喫させてくれる名演です。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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