2023年02月08日
クールな情熱🧊知・情・意のバランス☮️透明感のある音色🗿新時代ベートーヴェン像を打ち立てた🎻タカーチSQ🎼弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」⚔️第13番
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タカーチ弦楽四重奏団の評価を決定づけたベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集からの抜粋で、レコード・アカデミー賞受賞盤(中期が2002年第40回、初期が2004年第42回、後期が2005年第43回)。
この団体の強い音楽的個性や主張がアルバム全体を通して終始一貫しており、今尚実に強烈な印象を残すアルバムである。
全体にテンポはやや速めだが、決して軽薄に流れず、むしろメリハリが実に明確で、音楽を絶えず前へ前へと駆動する力に溢れているため、若々しい推進力や軽快な躍動が生まれる。
清新な意気に満ち、強い集中力によって統御された緊張度の高さも素晴らしいが、何よりも一期一会的な完成度の高さが魅力的である。
ベートーヴェンの音楽に内在する可能性を鮮烈に引き出した演奏で、アンサンブルの緊密度や柔軟性、各奏者の技術的、精神的な充実感も並々ならぬ高さにある。
初めて彼らの弦楽四重奏を聴いた時には、例えばOp.95『セリオーソ』の極限まで高揚するようなアグレッシブなアタックや第1ヴァイオリンのスタンド・プレー的な独特のディナーミクにいくらか違和感を持った。
しかし追って聴き込んでいくうちに決して表面的でグロテスクなパフォーマンスではないことに気付いた。
そこには外側に表出されるサウンドの斬新さとは裏腹に曲の内部へ掘り下げていく表現の凝縮を感知させることにも成功しているからだ。
しかも彼らのアンサンブルは精緻を極めていて、4人の士気の高さとともに音色には特有の透明感がある。
個人的には特に後期の作品群が、最も彼らの解釈に相応しいのではないかと思うところで、第13番になると鮮明さを強調しすぎることなく音のバランスが良くなっている。
聴覚を失って音響から切り離された世界で作曲を続けなければならなかったベートーヴェンの境遇を考えれば、どうしてもそこにセンチメンタルな表現を期待しがちだ。
彼らはむしろクールな情熱で弾き切り、清澄だが感傷的なイメージを払拭することによって新時代のベートーヴェン像を見事に描き出しているところが秀逸だ。
改めて感じたのはこの団体は、スピード感、刺激といった現代的なセンスをもちながら、決して優美さを失わない点。
強い表現性をもちながら、知・情・意のバランスの良い全集(廃盤)は筆者の愛聴盤になりそうだ。
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