クナッパーツブッシュ
2008年06月09日
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クナッパーツブッシュのワーグナーの凄みを最も手っ取り早く聴くことのできるディスクだ。
クナッパーツブッシュが生前最も得意としていたワーグナーだけに、そのスケールは桁違いに大きく、この人独自の風格がある。
堂々とした格調の高い演奏で、その悠然とした音の流れは、豊かなロマンにあふれている。強烈な個性をもった演奏だが、聴いた後に深い感動を覚える。
名歌手フラグスタートとニルソンの歌唱が聴けるのも素晴らしい。
ここに収められた6曲は、いずれも悠然たる構えで運んだ雄渾かつ重厚な表現で、音楽の彫りが大変深い。
まさにワーグナーの真髄を極めた巨匠の至芸である。
ことに「ジークフリートの葬送行進曲」とニルソンの歌った「愛の死」は圧倒的。「ヴォータンの別れ」も全く凄い。どの曲も彼の芸格の高さに心を打たれる。
一時代を画したすぐれたワーグナー演奏だ。
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2008年06月07日
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1951年バイロイト音楽祭のおけるライヴ。
戦後初の開催となったこの年の音楽祭では、カラヤンとクナッパーツブッシュという対照的な指揮者が「指環」のチクルスを分担した。
両方の演奏はEMIとデッカによって収録されたが、日の目を見たのはカラヤン指揮の「ワルキューレ」第3幕のみだった。
このクナッパーツブッシュの「神々のたそがれ」は1999年になってようやくリリースされたもの。当時としてはきわめて良好な音質で、巨人クナッパーツブッシュのワーグナー解釈を聴くことが出来るのが何より有り難い。
クナの「リング」全曲盤には1956年と57年のバイロイトライヴがあったものの、音が鈍すぎて到底彼の真価を伝えていなかった。
そこに忽然と現れたのがこのCD。しかも録音は英デッカ。「神々のたそがれ」だけというのが残念だが、まさにレコード界の一大快挙といえよう。
演奏はプロローグから雰囲気満点、歌の背景のオーケストラが常にものをいい、ワーグナーの音楽の美しさを満喫させる。
物語が進むにつれてオケの有機的な意味深さ、生々しさ、恐怖感が増してゆき、息もつかせぬ緊迫感など他に類例を見ない。
第1幕第3場、そして第2幕第3場、第4場、第5場あたりの凄みは圧倒的。
歌手も錚々たる顔ぶれがそろっており、ブリュンヒルデ、ハーゲン、アルベリヒ、ワルトラウテなど最高で、何より心の表出が素晴らしい。
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2008年04月29日
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ブルックナーとワーグナーに定評のあった、巨匠クナッパーツブッシュが1960年にウィーン・フィルを指揮したライヴで、乗りに乗った演奏を聴かせる。
確信にみちたゆるぎない表現で、随所に個性的な表情も見られるが、それがブルックナーの音楽的様式を少しも損ねないところは、さすがクナッパーツブッシュだ。
深さのある演奏とは、こうした表現の場合をいうのであろうか。
耳と心とで感じとる以外に説明のしようがない、美しい象徴だけが体をしびれさす。
両端楽章の生気に満ちたダイナミックスや、第2楽章の悠揚とした歌の大きさはまさに巨匠の音楽。
ウィーン・フィルもそれによく応え、彼らの最善を発揮している。
クナッパーツブッシュとウィーン・フィルはブルックナーを心で感じつくしている。
そして、この共感と魂の一致がなかったならば、いかにたくみに計算された演奏でも、ブルックナーは生きた姿として、我々に訴えてこない。
演奏には改訂版を用いているが、これはノヴァーク版とあまり変わらない。
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2008年02月04日
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クナッパーツブッシュの棒から生まれる、滔々たる大河の流れにも似た音楽の壮大さは、深遠崇高な音の叙事詩にも例えられよう。
いつの間にか、聴き手を底知れない恍惚と法悦の中に引き込む魔術的な手腕は、まさに彼独特の名人芸だ。
加えて歌手陣の充実ぶりと歌の素晴らしさ。
ホッターの神韻たる威厳と感動にあふれるヴォータンは、他に比肩するものがなく、ヴァルナイの力強いブリュンヒルデも傑出している。
「ワルキューレ」第1幕全曲は、クナッパーツブッシュがステレオで遺した唯一のスタジオ録音によるワーグナー演奏としてかけがえのないものだ。
表現の雄大なスケール、悠揚迫らぬその足取りには本当に感嘆させられる。
しかしワーグナー後期のこの作品のもつロマンティシズムと官能の陶酔にはいささか不足しているように感じられる。
が、ともあれ、クナのファンにとっては聴き逃せないものであることは確かだろう。
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2007年10月19日
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では即興性とは果たして何だろうか?
私はこの「即興性」というものは、名演奏家の大きな条件であると考えているが、芸風からしてフルトヴェングラーの場合はいっそう強く感じられたのである。
彼と同時代に活躍した、クナッパーツブッシュはリハーサル嫌いで、舞台での演奏はほとんど即興で行われたといわれる。
なるほど彼の指揮した小品はそのように思われるが、ワーグナーやブルックナーになると表現が極めて綿密で、とてもぶっつけ本番とは思えない。
フルトヴェングラーは反対に練習の好きな人であった。往年のベルリン・フィルの楽員も誇っているように、彼は練習も本番と同じように全力を尽くして行うので、すぐに疲れてしまい、結果として練習時間が短かったそうだ。
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2007年10月17日
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ワーグナーには毒がある。酒や煙草と同じで、一度味を覚えたらやめられない。しまいには中毒になってしまうのだ。
でも酒や煙草と違って、体には毒にならないから、どっぷりこの世界に浸ってみようという気持ちを変えないで今日に至っている。現に私がそうだし(今カラヤンの「タンホイザー」を聴いている)、ある友人はここ一か月程ワーグナーしか聴いてないというし、また別の友人はクナッパーツブッシュの「パルジファル」を全部集めようとしている。
私はどうしたことか、上映に四日もかかる「リング」も全曲盤をフルトヴェングラーで二種、あとクナ、クラウス、バレンボイム、全曲盤の抜粋でベーム、カラヤン、ショルティ、レヴァインと持っている。「リング」の全曲なんて生涯に何度聴くであろうか?それなのにまだ集めようという気を断つことができないのである。
ワーグナーにはいつの間にか聴き手を底知れない恍惚と法悦の中に引き込む魔術的な手腕があるのだ。初心者はまずクナッパーツブッシュの「序曲、前奏曲集」を耳にタコができるまで聴き込んでみてほしい。
その段階を終えたら、いよいよ全曲盤にチャレンジ。まずは「リング」をお薦めする。といってもあんなに長いものをいきなり最初から聴く必要はない。「ワルキューレ」それも第1幕だけを何度も耳にするのが賢明であろう。
ここでも指揮者によってスケールと深みが断然違ってくることを強調せねばならない。CDはクナッパーツブッシュ/ウィーン・フィルのデッカ盤。表現の雄大なスケール、悠揚迫らぬその足取りには本当に感嘆させられる。キャストもショルティ盤より上だ。人類の宝といいたい。
究極的には「パルジファル」をやはりクナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭(62年、フィリップス)。極めて鮮明な音のなかに「パルジファル」の絶妙な世界が繰り広げられ、いつの間にか形容を絶した陶酔と感動と法悦に導かれていく。この名盤はクナッパーツブッシュの深い沈潜と共感に満ちた芸術の至高の結晶だったばかりでなく、この作品のもつ、神秘と官能、祈りと浄化のドラマの、ひとつの理想的な表現にまで達したものだったといっていいだろう。
ワーグナー演奏についてはクナに限る。
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