シェーンベルク
2008年07月03日
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1979年に行われたボストンでのライヴ録音だが、小澤の成熟ぶりが感じられるすぐれた演奏である。
小澤の「グレの歌」は、ブーレーズに比べるといくぶん速めのテンポ設定で、トリスタン的世界から離れて爽やかな情感の世界を描き出す。
世紀末的な耽美主義に的を絞った演奏で、重厚かつ色彩的だが、むしろ醒めているところがヤコブセンの詩の世界に近づいている。
ブーレーズが、鋭く楽曲を分析しているのに対して、小澤はより自由にこの作品をとらえ、生き生きと表現しているところがよい。
全体に若々しい気分にあふれ、詩情も豊かである。
彼の良さは音楽を分析的に見ることなく全身で受け止めている点にある。全身的共感が健やかなかたちで聴き手の心を開かせている。
こまやかな明るいきらめきにも欠けず、そこから漂い出るロマンティシズムのほのかな香りも聴きものだ。
ことに、後半にかけて熱っぽく盛り上げていくその設計は、小澤のこの作品に対する深い共感を物語っている。
独唱者もヴァルデマルのマクラッケンが特に良い。
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2008年07月02日
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インバルのフランクフルト放送響常任指揮者退任コンサートと並行して録音されたもの。
これを聴くとブーレーズもロマンティック。ブーレーズの新ウィーン楽派演奏は表現主義がロマン主義を内包しつつそれを論理で分節したものであったことを明らかにしたが、この演奏は、そんな同時代的問題意識からも解放されて客観的な世界をつくる。
だが劇性も豊か。数ある録音の中でも、最も熱さを感じさせるインバルの「グレの歌」だ。
インバルは、この作品のあるべき姿を赤裸々に描き出す。巨大な容量と繊細なディティールを同時に満たしてしまうような貪欲な演奏を実現させている。
「山鳩の歌」の前の間奏曲や、第3部の「荒々しき狩り」の白熱的燃焼などでは、オーケストラ全員がひとつのうねりに向かって突き進み、昇華していくさまが手にとるように熱く伝わってくる。
独唱陣には多少の難点はあるものの、合唱の絢爛とした充実には、それを吹き飛ばしてしまうだけの凄さがある。
マーラーとブルックナー演奏で一時代を築き上げたインバル&フランクフルト放送交響楽団の最後のコンサートがまさに同作品だったが、本盤は彼らの集大成的な録音としても凄味がある。
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2008年06月28日
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シェーンベルクの音楽を愛する人にとっては待望のディスクといえよう。
無調時代の作品19でグールドは鋭いが温かみをもった響きを聴かせる。
12音技法に移行しはじめた作品23では、彼の音色への感度はさらにソフィスティケートされた感触を加え、厳しい表情に変貌する。
12音技法が完全な姿で表れた作品25では音が一層磨き抜かれ、1音1音が存在を主張しているかのようだ。
作曲家最後のピアノ独奏曲作品33は、グールドの劇的表現により幻想の色を濃密に放っている。
作品47がとりわけ名演だ。凝縮されつくした音楽の凝縮しつくした演奏とでもいうべきか。
作品41も見事で、グールドとジュリアード弦楽四重奏団の卓越した技術と感覚美はまさに研ぎ澄まされており、ホートンの語り口もうまい。
作品42はグールドの透明なソロがこの曲にぴったりの味わいだ。
シェーンベルクの歌曲も、現代ではロマン的心情の告白として受けとめられるのではあるまいか。現代音楽を敬遠気味の人にとっても、このアルバムでのグールドの表現の噴出力の前に、これらの歌曲が気に入ってしまうだろう。
作品1はグラムがロマン的な感情を秘めながら格調高く歌いあげ、作品2はフォールが情熱的でドラマティックな歌を聴かせる。
作品15はシェーンベルクが長年考え続けた表現と美学の結晶ともいえる作品だが、ヴァニーは確かな技巧と表現力でニュアンスのこまやかさと深さを表出している。
グールドも声とのバランスを適度に保ちながら、ピアノの美しい音色を広く歌の中に浸透させる見事な演奏だ。
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2008年06月26日
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シェーンベルクは、12音技法を完成させるためのさまざまな実験を、特にピアノ曲を使って行っている。したがって、彼のピアノ曲を通してみていっただけでも、彼の作風の多彩な変化を知ることができて面白い。
このディスクはポリーニ初のシェーンベルクで、シェーンベルク生誕百周年を記念して録音されたものである。
若々しい迫力と、カチッとした緊迫感をもったもので、全体にきりりと引き締まった、まことに切れ味のよい表現である。
無調性の世界に入ったシェーンベルクの妥協のない造形と、それが生み出す厳粛な緊迫感を、ポリーニが見事に再現している。
シェーンベルクの造形は、音量・音色・リズム・動機・声部進行などの点で、およそ考えうる限り緻密で論理的だ。
そこには一瞬のうちに燃えつき消え去る花火のような美しさがあり、ポリーニはそういう造形を情熱をもって再現している。
作品のもつ熱っぽい高まりと厳粛さを見事に表現した演奏だ。
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2008年06月19日
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シェーンベルクの名前を一躍天下にとどろかせたこの「グレの歌」は、頽廃と官能にみたされた後期ロマン主義音楽の残照ともいうべき大作である。
ちなみに、シェーンベルクは、この作品を作曲するために、普通の楽譜の約2倍の48段の五線紙を特別にあつらえたという。
そういったこの曲の難解なスコアをすみずみまで徹底して分析したブーレーズの手腕が、最高度に発揮された演奏だ。
「グレの歌」には名演が多いが、ブーレーズは未来に向けての"ネオ・ロマンティシズム"の旗手たるべき、新鮮な演奏を繰り広げる。
全体に音楽の設計の明晰さが際立っており、音色は磨き抜かれて宝石のように美しく、しっとりとした味わいがある。
ブーレーズは、華麗で豊穣な音に包まれ、北欧の神秘的抒情を彩るこの作品から贅肉をそぎ落とし、現代的な照明を与えることによって、後期ロマン派のよどみから「グレ」を救い出したのだ。
やはり、これは稀代の名演のひとつだろう。
ただ、ブーレーズの特性は、シェーンベルクの音楽にある「表現主義」の残滓を徹底的に排除しようとしており、問題があるとすれば、この点であろう。
独唱陣は、いずれも立派だが、特に語り手のライヒが光っている。
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2008年04月26日
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シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンといった、新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲を収録したラサール四重奏団の画期的な全集。世界各国の芸術大賞を総なめにした録音であることでも有名。
これらの作曲家のすこぶる特異な内容をもつ芸術の奥行きをとらえた稀有の名演である。
どの曲も緊張感を持ち、しかも作品が要求する多様な技巧を尖鋭をきわめた正確さで音にしながら、たんに精密な表現ということでなく、音楽を全身で受けとめ、演奏する楽しみや喜びさえも生々しく伝えてくる見事な演奏だ。
つまり、作品のもつ精緻な表現を前面に押し出した演奏ではなく、人間的な感情の温かさ、豊かさを感じさせる演奏となっているところに魅力を感じる。
この演奏により、新ウィーン楽派の音楽が頭デッカチの曲なのではなく、身体と心で聴くものだと認識させられた。
そしてこの3人の作曲家の相互の差異や、作曲家個人の内部での様式の変化といったものを、この優れた演奏を通じて具体的に知らせてくれる。
おそらくは作曲者も予期しなかったようなスコアの再現ぶりで、聴く者を魅惑する。
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2008年02月08日
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いずれもカラヤン唯一の録音で、彼の数多くの録音の中でも屈指の名盤とされている。
いずれもカラヤン一流の綿密な設計と巧緻な演出が光る卓出したもので、こうした《新ウィーン楽派》の作品演奏にも優れた手腕を発揮するあたり、さすがカラヤンである。
なかでも特に傑出しているのはベルク「抒情組曲」からの3章で、ベルクの音楽特性を的確につかみ、巧みな語り口で曲の持ち味をあますところなく表出している。ことにみずみずしくしなやかな第1楽章は絶品。
またウェーベルンの4曲も極めて質が高い。どの曲も造形のしっかりとした実に精緻な表現で、音の響きが大変美しい。
特に「管弦楽のためのパッサカリア」が素晴らしく、カラヤンは精妙な指揮で、この曲の持ち味をくっきりと浮き彫りにしている。
また「6つの管弦楽曲」は音色の変化が絶妙で、交響曲も一分の隙もなく緊密に仕上げられている。ベルリン・フィルも見事な演奏ぶりだ。
シェーンベルクではまず「ペレアスとメリザンド」の演出のうまさに魅せられる。造形のしっかりとした名演で、ベルリン・フィルもカラヤンの意図に十全にこたえている。
好き嫌いの差があろうが「浄夜」がすごい。きわめてシンフォニックなアプローチで、オーケストラは精密。しかも、むせ返るような情感に満ち、この曲を後の12音主義者シェーンベルクの最初期の作品というよりも、ワーグナー以降の後期ロマン派の残光を示す曲としてとらえている。後期ロマン派的な官能と陶酔を、実にしなやかに表現している。
そして、きわめて精緻に各部を描きつくしながら、全体に豊かな流れが少しも損なわれてないのはカラヤンのうまさであり、凄さだろう。
「変奏曲」もきわめて洗練された演奏で、微細だが適度に鋭くなりすぎることのない筆致で各声部を美しく解きほぐし、かつ織りなした色彩の変化が素晴らしい。9つの変奏を非常に精緻に比類なく描き分けている。
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2008年01月04日
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投稿数300件を記念してディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)について書きたい。
私にとってミトロプーロスはとても不思議な指揮者だ。
有名な指揮者でありながら、彼の私生活を知る人は非常に少ないこと。彼の演奏は死後20年余りたって初めて録音で世界に知られるようになったなど、指揮していた事実を除けば、ほとんど隠遁っぽい生活を送っていた現代最高の指揮者である。
快楽を忌み嫌う、生活が質素である、芸術に厳しい、生涯独身である、純粋に音楽的に冷静で完璧な演奏といった点で、彼に太刀打ちできるのは、グレン・グールドぐらいだろう。
「私はギリシャ人なので、何でも参考になる」という謙虚さなど、ギリシャ正教が音楽に対してもっと寛容であったなら聖職者になっていたに違いない。
彼はベルクの「ヴォツェック」を全幕暗譜で演奏し、その恐るべき記憶力で語り草になっている。
正規の録音では上にあげたCDが精緻を極めた名演だ。
特に「浄夜」がよい出来栄えで、ミトロプーロスはニューヨーク・フィルの優れた弦の技量を生かしながら、全体をすこぶる緊密に仕上げている。
冷たいばかりの透明な弦の美しさなど、たまらない魅力だ。
当時の録音(58年)にしては音もよく、ミトロプーロスの卓抜した芸術を知るという意味で貴重なディスクといえよう。
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2007年11月15日
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シェーンベルクの登場した背景が19世紀末ウィーンであることは言うまでもないが、もっと広い視野で後期ロマン派の終焉を彼に見る方が適当だ。「グレの歌」の成立にはワーグナーの存在を考えないわけにはいかない。
彼の直接の先輩や同僚、つまりマーラーやツェムリンスキーとの関連も当然大きい。特にマーラーは終始シェーンベルクの強力な支持者であった。彼の助力なくして、ほとんど独学のシェーンベルクがあのような軌跡をたどることはできなかったのではなかろうか。
シェーンベルクは表現主義の時期以後多数の生徒を持った。中でも単に生徒にとどまらずアルバン・ベルクとアントン・ウェーベルンの存在は非常に大きい。最後のドイツロマン派作曲家としてのベルクの作品は、2つのオペラ「ヴォツェック」「ルル」や遺作の「ヴァイオリン協奏曲」等がよく知られている。
またシェーンベルクをなかばリードしていた先駆的な生徒、ウェーベルンの作品は、初期、中期の表現主義から後期の徹底してシンプルな12音の作品まで、筆舌に尽くせない鋭い感性に貫かれており、更に第二次大戦後の現代音楽の出発点になっていた。
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そして特定の調性によらずに全曲を構成統一するために12の半音を1回ずつ使って音列を作り、その順序に従って作曲していく方法に行きついたわけなのだ。
それは決して前もって音列を機械的に定めておく、といったものではなく、音楽表現の原形質の中から少しずつ抽出されてきた素材全体からひとつの音列が結果的に帰納されて来るのであって、その、生の素材の必要性から生まれた音列というシステムで楽曲を構成することで、初めて個々の無機的、表現的な音楽要素が相互に有機的に関連し合って、高次元の音楽構造体、ソナタとかフーガに比肩すべき全体となるのである。
だからこそシェーンベルクは
「12音列の発見により今後300年のドイツ音楽の優位は保証された」
と高らかに宣言したのである。
その実12音によるドイツ音楽の優位など何もなかった。ただ、個々の優れた作品が残っただけだ。
「ワルソーの生き残り」のような驚異的な作品はそれ一つとして存在するものだ。アウシュヴィッツの惨劇を前にして、一ユダヤ人シェーンベルクの遺した凄まじい人間の肉声の前には、「数理的操作」といった言辞は消え飛んでしまうだろう。
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「月に憑かれたピエロ」をひとつの頂点としてシェーンベルクの表現主義期は収束しはじめ、1910年代後半、彼は沈黙の時期に入ることになる。
自由な半音階的音楽で、鮮烈な表現的効果をあげることを彼は考えていたが、一方で、そうした表現がヒステリックでその場限りにならないようにするにはどうしたらよいか、構成的統一感といったものはどのようにすれば得られるのか、等を苦慮していた。
この時期の多くの作曲家の作品、マーラー、レーガーからドビュッシー、スクリャービン、といった人々の曲が、ひとつの音程を強調するよりその周りを迂回したり縫うように動いて、調感がぼやけていたり、部分的には調性が消失していたりするのは、聴いてみればすぐに明らかなことだろう。
シェーンベルクもまた、人間感情の表現とか音楽を通しての自己実現といった目的を押し進めていくうち、いつしか「ピエロ」の無調の域にまで達したのであった。
しかし調性こそ音楽の構造や形式を支える土台だったのだから、何とかしてこの「無調」の中から積極的に楽曲を構成する原理、仕組みを見出さなければならない。
シェーンベルクは数年間の沈黙を通じて、ウェーベルンらと共にこの原理を求めていた。
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シェーンベルクの12音列は、無機的なパズルだけで済ましてしまえるものではない。具体的にひとつ「音列」を考えてみよう。
『ドレミファソ』。
これも確かに音列である。
この逆行形は『ソファミレド』、反行形は(移調して)『ミレドシラ』、反行逆行形『ラシドレミ』。
つまり長調の音階を行って帰って逆行形、反行すれば5度ずれた短調の音階になる。
何のことはない、バッハ以来ほとんどすべての西洋音楽は「音列的」な性格を持っているのだ。
実際シェーンベルクらはそうした思考で多くの古典作品を分析している。
そもそもシェーンベルクは音楽の革命を目指したことは一度もない。
常に伝統主義者をもって、自認していたのである。
12音音楽を非人間的な操作による音楽だと決めつけるのがおかしいと思うのが自然だろう。
よく、現代音楽はわからない、などと言われるが、先入観にとらわれていては何も聴こえないのは当然だ。
少なくとも日本の古典文法の知識で現代英文に挑戦しても仕方がないのと同じだ、とは言えるだろう。
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アーノルド・シェーンベルクの名前は、「12音技法の創始者」として知ってる人も多いと思う。しかし、12音技法とは何なのだろう。バッハやベートーヴェンも1オクターヴの中にある12の半音を使ってるではないか、何が特別なのだろうか・・・?
よくある解説には12音列という言葉が使われている。
「1オクターヴの中にある12の半音を並べかえて1つの音列(セリー)を作り、その音列をさかさまにしたり、逆から読んだりしたものを組み合わせる作業、何か数理的なパズルのようなもので、どちらかといえば、非人間的な音楽である。」
などといまだに恥かし気もなく書いてあるものが無くもない。
しかし、J・S・バッハをはじめ、モーツァルトやベートーヴェンにさえそうした素材の「遊び」の要素は確かに存在している。
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「クラシック名盤 この1枚」(光文社)の佐藤眞氏によるシェーンベルクの「モーゼとアロン」の項を読んだ時は衝撃的だった。氏の傾倒ぶりは以下の文に要約されている。
「私がこのレコードを最高のものとするわけは、シェーンベルクのオペラ『モーゼとアロン』がおよそこの世でもっともすぐれた作品であり、またロスバウトが指揮したこの演奏が、そのことを余すことなく伝えてくれるからに他ならない。」
私は前に西洋音楽史上最も優れた傑作としてマーラーの交響曲第9番第1楽章をあげたが、まさかシェーンベルクを筆頭にあげてくる人がいるとは想像つかなかった。
私は自らの耳で確かめようとロスバウト盤を求めたが入手できなかった。仕方がないので、佐藤氏が批判するブーレーズ(旧盤)とケーゲルを買って、じっくり聴き込んだ。
しかし、私の耳には「およそこの世でもっともすぐれた作品」とまでは聴こえなかった。12音技法に慣れないせいもあるのだろうと思って、何度も繰り返し聴いたが、さすがに佐藤氏の傾倒ぶりを理解するには至らなかった。
次回からはその「12音技法」について私なりに考察してみたい。
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