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テンシュテット

2008年02月15日


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コダーイとプロコフィエフのユーモラスな名作の魅力満点のカップリングだ。

晩年のセルには音楽のなかにゆとりや遊びといったものが感じられるようになったが、これもそうした円熟の芸風をあますところなく伝えている。

「ハーリ・ヤーノシュ」はオーケストラのアンサンブルの緻密さと、セルの巧緻な演出に圧倒され、しかもこの曲のもつユーモラスな味を見事に出している。

「キージェ中尉」も遊びの精神が全編にみなぎった楽しい演奏で、どれをとっても心憎いまでに素晴らしい。

このように両曲の組み合わせはセルの名演があったが、テンシュテット盤はそれ以来といっても良いもので、企画の上でもヒットである。

両曲とも聴いていて、ふと笑いがこみ上げてくるような、絶妙の演出を行っている。

まことに楽しい演奏だ。

「ハーリ・ヤーノシュ」は最初の総奏によるクシャミからしていかにもユーモラスな雰囲気だし、「キージェ中尉」も、全体に遅めのテンポで運んだ、まことに設計のうまい演奏である。

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2008年01月15日


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選曲がすぐれていて、これがなかなか魅力的。

テンシュテットのワーグナーは全体に遅めのテンポでじっくりと歌いあげたもので、そのねっとりとした情感の描き方や、腰を割って音楽をつくりあげてゆくところなど、古いドイツの演奏スタイルを守っている。

「指環」のハイライトも全体に遅めのテンポで悠然と進められている。

いかにも重厚でスケール雄大な表現の「ワルキューレの騎行」、ゆったりとしたテンポで劇的に展開される「ジークフリートの死と葬送行進曲」、独特の厚みと輝きをもったブラスの合奏で開始される「ヴォータンの告別と魔の炎の音楽」など、いずれも感動的な演奏。

特に彼の長所と特性が発揮されているのは「タンホイザー」序曲と「ローエングリン」第1幕前奏曲で、見事な計算と緻密な演出の光る、彫りの深い演奏を聴かせる。

全曲を通じて、ベルリン・フィルのもつ機能美が十全に発揮されている。

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2007年12月04日


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テンシュテットによるマーラーの第5番は旧録、新録いずれも捨てがたい。いずれも作品の内面にひそむ抒情のことごとくを引き出した演奏である。

前者は冒頭から悠揚としたテンポと大きな息づかいでメロディを濃厚に歌わせ、あらゆる部分に多感な表情が与えられている。

それは感傷におちいる一歩手前まで接近するのだが、不思議なことに造形が歪曲された感じはまったくない。

有名なアダージェットも誇張せず、高ぶらず、ひたすら内面に迫っている。

これほど思いのままに見事な演奏を作れるのは、天与の才能といえるだろう。

後者は再録音だが、前記のスタジオ録音より音楽が著しく主情的かつ個性的になり、ガンを克服して再起したテンシュテットが音楽的に大きく変化したと感じられる。

何よりも表情の彫りが深くなり、マーラーの内面にある寂寥と孤高の哀愁が切実に表出されている。

弦の響きも以前の艶やかな輝きより透明感が目立ち、柔軟な流動性のしなやかさがさらに強まり洗練され、感情を具体的に表すようになっている。

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「巨人」は遅めのテンポが大きな緩急で揺れ動き、光と影を交錯させた絶妙な表現による感動的な名演だ。

第1楽章は冒頭から非常な緊張に満たされ、しかも各部の起伏と表情の的確さと多様さが魅惑的だ。

第3楽章の淡々とした進行と伸びやかな美感も、この上なく純粋なかたちで示され、終楽章は比肩するものがないほどスケールが大きい。

夢見るような第2主題も、テンシュテットだからできるといえるほど思い切って歌う。

「千人の交響曲」はテンシュテットの全身全霊を注ぎ込んだような演奏だ。

しかも人間的スケールの大きさをもって堂々と劇的に全曲を構築しているのが凄い。

第1部のフーガでの線の明快さと躍動感、コーダでの輝くばかりの美しさ、そして第2部の管弦楽の温雅な響きと、後半での悠揚と昇華する感動的な音楽など、見事というほかない。

まさにこれは、構造美と劇的迫力の合致した稀有の名演といえるだろう。


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