ヤナーチェク

2016年09月01日


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オーストリアの指揮者、チャールズ・マッケラス(Sir Charles Mackerras 1925-2010)が生涯に渡ってその作品の普及に努めた作曲家の1人が、モラヴィアの作曲家、レオシュ・ヤナーチェク(Leos Janacek 1854-1928)である。

そんなマッケラスのヤナーチェク録音の集大成と言えるのが、1976年から1982年にDECCAレーベルに行なったウィーン・フィルとの一連の録音である。

本アルバムは、それらを1つに収めたBox-setとなっており、収録内容は以下の通り。

1) 歌劇『イェヌーファ』(第3幕の序曲「嫉妬」付) A: エヴァ・ランドヴァー S: エリザベート・ゼーダーシュトレーム T: ペーター・ドヴォルスキー 1982年録音 
2) 歌劇『利口な牝狐の物語』(組曲「利口な牝狐の物語」抜粋付) S: ルチア・ポップ Bs: ダリボル・イェドゥリチカ A: エヴァ・ランドヴァー 1981年録音
3) 歌劇『死者の家から』 Bs ダリボル・イェドリチカ Br: ヴァーツラフ・ズィーテク S: ヤロスラヴァ・ヤンスカー 1980年録音
4) 歌劇『マクロプロス事件』 S: エリザベート・ゼーダーシュトレーム T: ペーター・ドヴォルスキー T: ウラディーミル・クレイチーク 1978年録音
5) 歌劇『カーチャ・カバノヴァー』 S: エリザベート・ゼーダーシュトレーム T: ペーター・ドヴォルスキー A: ナジェジュダ・クニプロヴァー 1976年録音
6) シンフォニエッタ 1980年録音
7) 狂詩曲『タラス・ブーリバ』 1980年録音

以前のレビューにも記したことであるが、独特の語法を持つヤナーチェクの音楽は実に面白く魅力的だ。

自由だが法則があり、ポリリズムだが脈があり、メロディアスではないが簡明である。

そんなヤナーチェクらしさを存分に堪能できるのが、全部で11作あるオペラ(前後2部からなる『ブロウチェク氏の旅行』を2つと数えると)である。

オペラの場合、中でも特徴的なのが「発話旋律」と称されるもので、チェコ語の微妙な抑揚に合わせて旋律線を描いた朗唱風の書法で、そのため、演じることが可能な歌手が極端に限定される。

そのため、上演機会もきわめて少ないのだが、マッケラスは中で5つの代表作にすばらしい録音を遺したことになり、DECCAの高品質録音と相俟って貴重きわまりないものだ。

ヤナーチェクのオペラは題材も面白く、『利口な牝狐の物語』は動物が多く登場する童話的設定を持ちながら、多層な哲学を描き出しているし、『死者の家から』はドストエフスキー(Feodor Dostoyevsky 1821-1881)の原作により、シベリアの流刑地での囚人の様子を描いたもので、登場人物はほとんど男性という異色作、また『マクロプロス事件』は年をとらない女優の都市伝説的ストーリー。

どの作品も、素材、音楽、物語など様々な面でこの上なく「芸術的」で、他では得難い固有の価値を持っていると思うが、中でも『利口な牝狐の物語』の自然讃歌は、善でも悪でもない生死による流転を描ききった感があり、超越した世界観を抱合している。

そして『イェヌーファ』は所謂オペラ的分かりやすさという点では、筆頭ということになるだろう。

マッケラスの指揮は、ヤナーチェクの作品を数多く演奏するとともに、楽譜校訂を行ってきたこともあって、厳格なスコアリーディングに基づく楽曲の心眼に踏み込んでいくような彫りの深いものであり、加えてこの指揮者ならではの独特の格調の高さが全体を支配している。

そして、ウィーン・フィルによる豊穣な極上の美演が、本演奏全体に独特の潤いと豊かな情感を付加しているのを忘れてはならない。

完成された録音が、ヤナーチェクのオペラ全部ではないのが残念だが、それでも5つまでこのレベルの録音が行われたのは、きわめて有意義なことだったに相違なく、偉大な録音芸術のセットと言って過言ではないだろう。

歌手陣で注目したいのは、近年亡くなったスウェーデンのソプラノ歌手、エリザベート・ゼーダーシュトレーム(Elisabeth Anna Soderstrom 1927-2009)。

多彩な言語の歌唱が可能で、歌曲、オペラなどあらゆるジャンルで縦横な活躍をした彼女であるが、グラモフォン誌におけるジョン・ワラック氏(John Warrack)による「無限とも思える微細なタッチと慎重な歌いまわしで、ドラマにおける登場人物のキャラクタを描ききっている」との批評は、彼女がヤナーチェクの歌劇『カーチャ・カバノヴァー』でカーチャを演じた際のものだ。

そのハイレベルな万能ぶりはまさしく当盤で堪能できるだろう。

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2016年03月28日


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プラガ・ディジタルスの新シリーズ、ジェニュイン・ステレオ・ラブからの左手のためのピアノ曲集第2集になり、第1集のヴィトゲンシュタインに続いてチェコのピアニスト、オタカー・ホルマン(1894-1967)に因んだ作品を中心に4曲が収録されている。

日頃コンサートやメディアを通して鑑賞する機会の少ない曲種を集めた面白い企画に興味をそそられて買った1枚。

ヴィトゲンシュタイン同様ホルマンも第一次世界大戦で右手の機能を失い、左手のみでコンサート活動を続けたピアニストの1人だ。

彼のために作曲されたのがヤナーチェクの『カプリッチョ』及びマルティヌーの小協奏曲で、前者はフルート、トランペット2、トロンボーン3、チューバのブラス・アンサンブルにピアノの左手がソロとして加わるユニークな楽器編成を持っている。

ヤナーチェク特有の発話旋律が使われた、泥臭さはあるが語りかけるような生き生きしたリズム感とピアノ・パートが超然として斬新な音響を創造している。

一方マルティヌーのそれは『ディヴェルティメント』の副題が示すようにいくらか取り留めのない嬉遊性を感じさせる3楽章の協奏曲に仕上げられた曲だ。

他の2曲はブラームスの『左手のためのシャコンヌニ短調』とリヒャルト・シュトラウスのピアノ協奏曲『家庭交響曲からのパレルゴン』になる。

ブラームスの『シャコンヌ』は右手の故障で演奏活動を休止していたクララ・シューマンの慰みのために編曲されたと言われている。

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調の終曲『シャコンヌ』の骨格と和声を忠実にピアノの左手に移したもので、ヴァルター・クリーンの1964年のラジオ・ライヴから採られている。

クリーンは伴奏家としてもグリュミオーとの協演で知られたピアニストだがブラームスのスペシャリストでもあり、ここでは骨太で力強い彼のソロを聴くことができる。

シュトラウスの方はヴィトゲンシュタインの要請に応える形で自作の『家庭交響曲』からのモチーフを取り入れて作曲され、フリッツ・ブッシュ指揮、ヴィトゲンシュタインのソロで初演された。

単一楽章で書かれていて後半部はタティアーナ・ニコラーエワの超絶技巧を、ロジェストヴェンスキーが華麗で堂々たるオーケストラでサポートしたモスクワ・ライヴになる。

第1集に比べて曲目の知名度がそれほど高くないために音源の選択肢も少なく、それだけに貴重なアルバムだ。

録音状態は概ね良好で鑑賞に難はない。

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2016年03月17日


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ワーナー20世紀クラシックス・シリーズのひとつで、この2枚組のCDにはレオシュ・ヤナーチェクの代表作『シンフォニエッタ』、『グラゴル・ミサ』、ピアノと室内楽のための『コンチェルティーノ』、『消えた男の日記』、ヴァイオリン・ソナタ等13曲が収められている。

このシリーズの中では比較的録音が新しく、鮮明な音色でヤナーチェクのエッセンスが鑑賞できるのが特徴だ。

20世紀の作曲家の中には自国の民族的なエレメント、つまり言語やリズム、メロディーを分析して作品に取り入れる例が少なくない。

その最も徹底した手法をとったのがハンガリーのコダーイとバルトークだろう。

しかしまたヤナーチェクもその1人で、彼は出身地のモラヴィア地方の言葉や民謡を熱心に研究した。

同じチェコの先輩ドヴォルザークは民族色溢れる曲想を多く盛り込んだが、ヤナーチェクはロマン派的な洗練という方法を取らず、むしろ土の薫りのするような音楽をそのまま楽曲に映し出した。

それは時として唐突といえるほどダイレクトで泥臭いが、ある時にはまた八方破れの斬新な印象を与えてくれる。

管弦楽のための『シンフォニエッタ』もその例外ではない。

指揮者サイモン・ラトルもそのあたりを良く心得ているようで、細部にこだわり過ぎることなく、大らかでたくましい曲趣を再現している。

ヤナーチェクはラトルにとって、デビュー当時から思い入れの深い重要なレパートリーで、本盤の演奏に見られる切れば血が吹き出てくるような圧倒的な生命力や、切れ味鋭いテンポ設定などには、現在の偉大なラトルを彷彿とさせるような豊かな才能を感じさせる。

フィルハーモニア管弦楽団を起用したのも成功しており、冒頭のファンファーレなど実に輝かしくて巧い。

バーミンガム市交響楽団との協演になる『グラゴル・ミサ』は、そのスラヴ的な厳粛さとスケールの大きさは流石だが、声楽のソリスト陣がいくらか力み過ぎているのが気になるところだ。

声楽曲の中ではイアン・ボストリッジが原語で歌う『消えた男の日記』が圧巻だ。

この曲では、田舎の因習に縛られて生きる若者の逸脱した恋と衝撃的な結末が見事に描き出されている。

筆者はチェコ語もその方言も全く分からないし、このシリーズでは歌詞対訳が省かれているので、訳詩をダウンロードする必要があった。

勿論対訳を読みながら聴いても一言一句の意味を知ることはできないが、ボストリッジの真に迫った歌唱からはヤナーチェクが望んでいた表現が少なからず実現されているように思う。

少なくともポストリッジの発音は明瞭を極めていて、かなり学習したことが窺える。

現代ではあらゆる声楽曲を原語で歌う習慣が定着しているが、それは作曲家が原詩のアクセントやイントネーションを尊重しながら曲を付けていくために、意味を優先せざるを得ない訳詩ではそうした言葉と音楽を密接に繋ぐ特性が失われてしまうからだ。

その意味でボストリッジのチェコ語への挑戦は非常に好感が持てる。

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2015年09月02日


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プラガ・ディジタルスがリリースしている版権切れ音源の新リイシュー・シリーズは総てがSACDなので、そのつもりで買ったが当ディスクは何故かレギュラー盤のCDだった。

全曲ともコンサートから採られたライヴ録音で、ヴァーツラフ・ノイマン、チェコ・フィルの実力がいやがうえにも示されたお国物ヤナーチェクのアルバムだが、その音質と分離状態の良さや臨場感からも今回敢えてSACD化されなかったことが納得できる。

尚後半のオペラ『死の家から』のオーケストラのための組曲は、ヤナーチェクゆかりのブルノ・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者で、この3曲をピックアップしてまとめたフランティシェク・イーレク自身の指揮になる。

ちなみにトラック1の同オペラの前奏曲はトラック9の組曲第1曲と同一曲で、ノイマンとイーレクの2人のチェコの指揮者で聴き比べることができる。

ノイマンはヤナーチェクが用いた発話旋律を強調することによって、音楽により言語的なメリハリをつけた効果を試みている。

客席及び舞台からのごく僅かな雑音が聞こえてくるが、この時代のライヴとしては稀にみる高い水準の録音で拍手も入っていない。

カンタータ『アマールス』はヤナーチェクのシュールレアリズム的なオーケストレーションとコーラスに支えられて、墓地に惹きつけられるように向かう、愛に目覚めた薄幸の孤児アマールスの死が鮮烈に描かれている。

こうした特殊なシチュエーションや心理を舞台音楽に写し取る描写能力とその音楽語法はヤナーチェクの独壇場だが、ここでもチェコ語の歌詞に密着した旋律を徹底して活かし切るノイマンのアプローチは流石に地に足が着いている。

光彩に包まれて母の墓の上に倒れるアマールス少年の最後は、第5楽章に殆んど狂気と紙一重の壮麗な葬送行進曲で締めくくられている。

アマールス役のテノールが語り手を兼ねているがカンタータとして全く違和感はなく、かえってこの作品から俗っぽい演出を避けた特異な統一感を与えている。

『アマールス』は録音自体が少なく、マッケラス、チェコ・フィルのセッションと並んで貴重な記録でもある。

ライナー・ノーツにはオリジナルのチェコ語の歌詞に英語対訳が掲載されている。

オペラ『利口な女狐の物語』からのオーケストラ用組曲は、ヴァーツラフ・ターリヒのアレンジにヴァーツラフ・スメターチェクが手を入れたもののようだ。

ヤナーチェクの音楽には前置きがなく、強引とも思われる、いきなり核心に迫ってくる凄みがあり、ここでのノイマンの指揮にも単刀直入の大胆さと確信に満ちた力強さが感じられる。

勿論モラヴィアの深い森の中での大自然の神秘な営みを髣髴とさせる情景描写も巧みだが、むしろあれこれ小技を使って音楽を脆弱にしないストレートな表現と、それを支えるチェコ・フィルの弦の瑞々しさや管打楽器の機動力は、この物語のテーマでもある宿命的な死と再生の繰り返しを感知させていて秀逸だ。

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2015年06月25日


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村上春樹氏の小説によってさらに脚光を浴びることになったヤナーチェク。

巷間、チェコの作曲家としては、第1にスメタナ、第2にドヴォルザーク、第3にヤナーチェク、そして第4にマルチヌーとされているところだ。

しかしながら、楽曲の質の高さ、他の作曲家への影響力の大きさなどを総合的に勘案すれば、ヤナーチェクはチェコの第3の作曲家などではなく、むしろスメタナやドヴォルザークを凌駕する存在と言えるのではないだろうか。

モラヴィアの民謡を自己の作品の中に高度に昇華させて採り入れていったという巧みな作曲技法は、現代のベートーヴェンとも称されるバルトークにも比肩し得るものであると言えるし、「利口な女狐の物語」や「死者の家から」などといった偉大なオペラの傑作は、20世紀最大のオペラ作曲家とも評されるベンジャミン・ブリテンにも匹敵すると言えるところだ。

そして、ヤナーチェクの最高傑作をどれにするのかは議論を呼ぶところであると考えられるところであるが、少なくとも、本盤に収められたグラゴル・ミサは、5本の指に入る傑作であるというのは論を待たないところである。

グラゴルとは古代スラヴ王国でキリスト教布教のために用いられた文字のことで、4人の独唱者、混声合唱、管弦楽とオルガンのために書かれた大規模な作品である。

同曲には、オペラにおいて数々の名作を作曲してきたヤナーチェクだけに、独唱や合唱を巧みに盛り込んだ作曲技法の巧さは圧倒的であると言えるし、モラヴィア民謡を巧みに昇華させつつ、華麗な管弦楽法を駆使した楽想の美しさ、見事さは、紛れもなくヤナーチェクによる最高傑作の1つと評してもいささかも過言ではあるまい。

本盤では、世界最高のヤナーチェクの権威で、チェコ音楽のオーソリティーであるマッケラスが心を込めてヤナーチェクの大作を指揮して遺した決定的名盤。

マッケラスは、こうした偉大な作曲家、ヤナーチェクに私淑し、管弦楽曲やオペラなど、数多くの録音を行っている、自他ともに認めるヤナーチェクの権威であり、ウィーン・フィルやチェコ・フィルとの数多くの演奏はいずれも極めて優れたものだ。

本盤に収められたチェコ・フィルや、優れた独唱者(特に第3楽章スラヴァのゼーダーシュトレームのソプラノ独唱は喜びと輝きに溢れていて心が満たされる)、そしてプラハ・フィルハーモニー合唱団を駆使した同曲の演奏は、ヤナーチェクの権威であるマッケラスならではの同曲最高の名演と評価したいと考える。

マッケラスの指揮は明快で曖昧さが皆無であり、アンチェル盤やクーベリック盤等と比較すると、常に作品と一定の距離を置いたアプローチとも感じられる。

しかし、後の再録音盤のように曲を手の内に引き込みすぎて却って作為的になりすぎるような事は無く、曲の魅力を十二分に堪能できるのが嬉しい。

本盤がこのヤナーチェクの傑作グラゴル・ミサの最有力盤としているのは、やはりそのテンションであろう。

主題の目まぐるしい展開がヤナーチェクの特徴であるが、それをテンション高く、エキセントリックさを十二分に伝えており、同じチェコ・フィルでも、アンチェル盤では、エキセントリックさがなく、スケール大きな把握の演奏で、さすがターリッヒ直弟子のマッケラスは、モラヴィアの心まで自家薬籠中のものにした感がある。

スケールの雄大さ、そして独唱者や合唱団のドライブの巧みさ、情感の豊かさのいずれをとっても非の付けどころのない高水準の演奏であり、途中で挿入されるオルガン・ソロの歯切れが悪いことと、録音のせいかオケがやや薄い響きになるのが残念だが、合唱の出来は万全と言って良く、筆者としては、本演奏こそは、同曲演奏の理想像の具現化と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

いずれにしても、ヤナーチェクの傑作グラゴル・ミサを、マッケラス&チェコ・フィルをはじめとしたチェコの独唱者や合唱団による素晴らしい名演で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2015年02月20日


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チェコが世界に誇るカルテットとして活躍したスメタナ四重奏団によるヤナーチェクの弦楽四重奏曲の4度目の録音で、その白熱した名演はライヴでありながら他の追随を許さぬ至芸の域に達している。

これはヤナーチェクの弦楽四重奏曲の数ある録音の中でも最高の名演であるとともに、スメタナ四重奏団の様々な演奏の中でもトップの座を争う超名演と高く評価したい。

本盤をそうした超名演たらしめたのは、ライヴ録音であるということによるのではなかろうか。

スメタナ四重奏団は、本盤の3年前にも、両曲をスタジオ録音している。

それもスメタナ四重奏団の名を辱めることのない名演ではあるが、本盤を前にすれば、太陽の前の星のような存在に過ぎない。

それぐらい、本盤はダントツの出来と言えるだろう。

第1番の第1楽章の冒頭からして、凄まじい緊迫感だ。

この冒頭の悲劇的な主題は、同曲の全体を支配しているが、スメタナ四重奏団は、終楽章に至るまで、冒頭の緊張感を保っており、それでいて随所に見られるモラヴィアの民謡風の旋律の情感豊かな歌い方にもいささかの抜かりはない。

第2番は、第1番をさらに深く、そしてスケールを雄大にした作品であるが、スメタナ四重奏団の鬼気迫る演奏は、他の弦楽四重奏団の追随を許さない至高・至純のレベルに達している。

ヤナーチェクという作曲家の憧憬や焦燥といった心理状態が凄絶なまでに写し出された音楽を、スメタナ四重奏団の精緻を極めたアンサンブルが克明に辿っていくのがこの名演の聴きどころだ。

ライヴ特有の緊張感の中に戦慄が走るような一体感で彼らの演奏が繰り広げられる。

確かに彼らは作曲家と同じチェコの音楽家であり、これらの曲に使われている民族的なエレメントや音楽に隠された言葉のアクセントやイントネーションを悟ることにそれほどの困難は無いかも知れない。

だがスメタナ四重奏団には単に同郷の強みだけではない、言ってみればこうした特異な音楽を普遍的な芸術に昇華する合奏力を持っている。

ヤナーチェクの強いメッセージを感じることができる数少ない演奏だ。

とある小説の登場によって、ヤナーチェクの様々な楽曲の録音は増える傾向にあるが、弦楽四重奏曲のについて、本盤を超える演奏を成し遂げるのは決して容易ではないと考える。

Blu-spec-CD化によって、音質は更に鮮明さを増しており、本盤の超名演の価値をより一層高めることに大きく貢献している。

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2014年12月26日


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本盤にはヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番及び第2番が収められている。

ヤナーチェクと言えば、数年前まではスメタナやドヴォルザークの陰に隠れたチェコ出身の知る人ぞ知る作曲家という地位に甘んじていたところであるが、村上春樹氏のとある小説が大ブレークしてからは、その知名度は大きくアップしたと言えるところだ。

もちろん、小説にも採り上げられていたシンフォニエッタがダントツに有名であるが、ヤナーチェクはタラス・ブーリバをはじめ、合唱曲(特に、グラゴル・ミサ)やオペラ、そして室内楽曲などにも数多くの傑作を遺しているところであり、今後、これらの傑作が幅広く認知されることを大いに祈念したいと考えている。

ヤナーチェクが作曲した弦楽四重奏曲は、本盤に収められた第1番及び第2番のみであるが、これは20世紀に作曲された弦楽四重奏曲としては、バルトークやショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲に次ぐ内容の充実度を誇っていると言えるのではないだろうか。

これだけの傑作であるにもかかわらず、バルトークやショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲と比較すると、その録音の点数はいささか少ないと言わざるを得ない。

最近では、エマーソン弦楽四重奏団による名演などが登場するなど、好ましい傾向にもあるとは言えるが、いまだにチェコの弦楽四重奏団の演奏が幅を利かせている現状を打破するには至っていない。

本盤に収められた演奏は、ヤナーチェク弦楽四重奏団が1963年に行ったスタジオ録音によるものだ。

「ヤナーチェク」を弦楽四重奏団の名に冠しているだけあって、演奏もヤナーチェクへの深い愛着を窺い知ることが可能な素晴らしい名演に仕上がっている。

チェコの弦楽四重奏団だけに、弦楽の音色の美しさには出色のものがあり、アンサンブルの緻密さも相俟って、まさに珠玉の名演奏を行っているとさえ言えるだろう。

この楽団にかかると、これらの楽曲の随所に見られる不協和音についても、いささかも美しさを失わないと言えるところであり、それでいて、畳み掛けていくような気迫や強靭な生命力においてもいささかの不足はない。

また、ヤナーチェクは、モラヴィアの民謡を高度に昇華させてこれらの楽曲の随所に採り入れているが、これらモラヴィア風の旋律の情感豊かな歌わせ方には、まさに抗し難い魅力が満ち溢れている。

いずれにしても、本盤の演奏は、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲の演奏として最右翼に掲げられる名演であるとともに、同曲の美しさや魅力を安定した気持ちで味わうことが可能な演奏としても素晴らしい名演と高く評価したい。

音質は、1960年代のスタジオ録音ではあるが、比較的満足できるものであった。

しかしながら、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤が発売される運びになった。

本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤は、従来CD盤とはそもそも次元が異なる極上の高音質であり、音質の鮮明さ、音圧、音場の広さのどれをとっても一級品の仕上がりである。

いずれにしても、ヤナーチェク弦楽四重奏団による素晴らしい名演を、このような極上の高音質SACD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2014年09月26日


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アバドは、ベルリン・フィルの芸術監督就任後は低迷期にあったと言えるのではないだろうか。

というのも、それ以前にはロンドン交響楽団やシカゴ交響楽団などと豊かな歌謡性と力強い生命力が融合した素晴らしい名演の数々を成し遂げていたにもかかわらず、ベルリン・フィルの芸術監督に就任してからは借りてきた猫のように大人しい演奏に終始するようになってしまったからである。

アバドも、さすがにベルリン・フィルの芸術監督の荷が重かったせいか病に倒れてしまった。

しかしながら、それが皮肉にもけがの功名となり、大病の克服後は、彫りの深い凄味のある演奏の数々を聴かせてくれるようになった。

そのようなアバドであるが、本盤はベルリン・フィルの芸術監督就任前の絶好調時代のアバドによる演奏だ。

当然のことながら演奏が悪いわけがなく、これは前述のような豊かな歌謡性と力強い生命力が融合したアバドならではのアプローチによる至高の超名演と高く評価したい。

両曲のうち「シンフォニエッタ」については、アバドは1966年にロンドン交響楽団とともにスタジオ録音しているが、本演奏の方がはるかに上出来と言えるだろう。

そうなった理由は、もちろんアバドの円熟もあるが、それと同時にベルリン・フィルの好演によるところも大きいと考えられる。

というのも、本演奏が録音された1987年当時のベルリン・フィルは、ザビーネ・マイヤー事件勃発以降不仲となりウィーン・フィルに軸足を移したカラヤンに対抗するため、ポストカラヤンと目される指揮者とは、圧倒的な名演奏を成し遂げていた。

本演奏も、そうした一連の流れの中での名演奏であり、シンフォニエッタにおける金管楽器のブリリアントな響きなどでカラヤン色をあまり感じさせないのも、当時のベルリン・フィルの団員の心意気を窺い知ることができて大変興味深い。

「消えた男の日記」におけるラングリッジやバリーズの歌唱も見事であり、RIAS室内合唱団も最高のパフォーマンスを示している。

なお、本盤には、ガーディナー指揮の「タラス・ブーリバ」が収められている。

演奏自体は優れたものであると言えるが、筆者としては、ベスト100を構成するCDとは言えども芸格があまりにも違いすぎる指揮者(もちろんアバドの方が格上)の演奏とのカップリングについては感心するものではなく、メーカーにもこのような安易なカップリングについてこの場を借りて再考を求めておきたい。

録音は従来盤でも十分に満足できる音質であったが、今般のSHM−CD化によって音質が鮮明になるとともに音場がかなり広くなった。

アバドによる至高の超名演をSHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2014年08月22日


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近年では村上春樹氏のとある有名小説によって、シンフォニエッタが非常に有名になったヤナーチェクであるが、こうした管弦楽曲や室内楽曲、声楽曲など多岐に渡るジャンルの作品を遺したヤナーチェクの最高傑作は何と言ってもオペラと言えるのではないだろうか。

ヤナーチェクは、自作にモラヴィアの民謡を高度に昇華させて取り入れるとともに、その作品には自然の中での人間の在り方、人間の心情などへの鋭い洞察と言ったものが集約されているが、それらの要素がすべて盛り込まれているのはまさにオペラであると考えられるからだ。

そして、そのような数あるオペラの中でも名実ともに最高傑作と言えば、何と言っても本盤に収められた「利口な女狐の物語」であると言えるのではないだろうか。

というのも、このオペラは主人公である女狐ビストロウシュカなどの動物を通して人間の所業を風刺した寓話劇であり、前述のようなヤナーチェクの作品の神髄そのものをテーマとしていると言えるし、音楽もいかにもモラヴィアの民謡的な語法を活用した魅力的なものであるのがその理由である。

チェコではクリスマスにこのオペラを子ども向きに上映するそうであるが、これを観た子どもたちが本当にこのオペラを理解できているのか疑問に思われるような含蓄のある作品であり、聴けば聴くほどに新しい発見がある内容の濃い傑作であるとも言える。

このようにヤナーチェクの最高傑作とも言える「利口な女狐の物語」であるが、録音は極めて少ないと言わざるを得ない。

本盤を除くと、現在でも入手可能なのは、ラトル&コヴェントガーテン王立歌劇場管(1990年)(ただし英語版)、ノイマン&プラハ国立劇場管(1957年)(旧盤)、ノイマン&チェコ・フィル(1979年)の3点しか存在していない。

もっとも、これらはいずれも名演であるが、ヤナーチェクの権威であったマッケラスがウィーン・フィルを指揮して演奏した本演奏こそが、同曲演奏史上最高の超名演であることは論を待たないところだ。

マッケラスの指揮は、ヤナーチェクの作品を数多く演奏するとともに、楽譜校訂を行ってきたこともあって、厳格なスコアリーディングに基づく楽曲の心眼に踏み込んでいくような彫りの深いものであり、加えてこの指揮者ならではの独特の格調の高さが全体を支配している。

そして、ウィーン・フィルによる豊穣な極上の美演が、本演奏全体に独特の潤いと豊かな情感を付加しているのを忘れてはならない。

歌手陣も充実しており、ビストロウシュカ役の今は亡きルチア・ポップをはじめ、チェコの優秀な歌手陣が最高の歌唱を披露しているのが素晴らしい。

英デッカによる超優秀録音による極上の高音質も、本名演の価値を高めるのに大きく貢献している。

ヤナーチェクのオペラには、「利口な女狐の物語」以外にも最晩年の「死者の家から」など優れた名作が多く、演奏時間も概ね85分〜120分の間に収まることから、歌詞対訳付で鑑賞するのが基本ではあるものの、必ずしも歌詞にとらわれずに音楽だけを楽しむというのも、マーラーの交響曲を鑑賞するような趣きでヤナーチェクの素晴らしい音楽を満喫できるという意味において、是非ともお薦めしておきたいと思う。

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2014年06月25日


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ドヴォルザーク作品の中でも屈指のボヘミア的作品と言われる「第6」交響曲と、同じく民族的ながらもきわめて壮麗なヤナーチェクの《シンフォニエッタ》の組み合わせ。

 
どちらもクーベリックの得意なレパートリーであり、いずれの作品においてもまずは指折られるべき名演奏と言えるだろう。

このオルフェオから出されたライヴ録音は、ただでさえ筆者の垂涎のカップリングである上に、演奏も空前の名演であるとされているから、完全に溺愛しているCDである。

クーベリックのヤナーチェク《シンフォニエッタ》のCDは正規盤だけで5種類に及ぶ。

1946年の亡命前のチェコ・フィルとのもの、ウィーン・フィルとの1955年頃のモノラルのスタジオ録音と、時期を接したライヴ録音、1970年代に入ったばかりのDGへのバイエルン放送響とのスタジオ録音に、この1980年代のバイエルン放送響とのライヴである。

録音の時期も適当にばらついており、比較しやすい特徴もあるが、ウィーン・フィルとの2種類は出来が芳しくない。

むしろ、若いときに残したチェコ・フィルとの録音に魅力を感じる。

DGとのものは、定評のある名盤であり、とても優れた演奏で、客観的な安定した標準的名演として永く語られるであろう録音である。

この1981年のライヴは、少々バランスはDG盤に劣ると思われるが、ヤナーチェクへのクーベリックの思いが、よりストレートに表出されている点で優れている。

その分、リズムが幾らか刺激的に刻まれており、ヤナーチェクの語法が生々しく語られるさまは、好きな者にとって快感ですらある。

筆者がイメージするボヘミアの情景に最も近いのが、クーベリックのドヴォルザーク「第6」であるという基本的な考え方は、DG盤を聴いて以来、個人的には未だに変わってはいない(少なくともこの曲におけるクーベリックの絶対的優位性は、筆者にとって一度も崩されていない)。

当盤のドヴォルザークの「第6」は特にその感が強く、熱心な愛好家以外にはあまり馴染みのないこの作品が、ドヴォルザークならではの美しい旋律美にあふれた魅力作であることを教えてくれる。

特にアダージョ楽章の質朴な味わいは、バイエルン放送響木管セクションの巧さも手伝って秀逸、続く第3楽章もさながら“スラヴ舞曲”の趣きで楽しめる。

もちろん、前半の《シンフォニエッタ》も含め、溢れかえる民族的要素を決して泥臭くならずに表出するクーベリックなればこその名演であることは言うまでもないことであろう。

特に弦楽セクションの瑞々しさはこれまでにない美点で、クーベリックの採るヴァイオリン両翼型配置の妙味もなおさら際立つ。

ただ、DG盤とこのライヴ録音を比較すると、細部で相当な心境の変化がクーベリックに生じたことを吐露した録音とも言え、とても興味深い。

それが彼の本質的な解釈の変化なのか、それともDG盤がベルリン・フィルで、このオルフェオ盤が直前まで手兵だったバイエルン放送響によるものかは、分からない。

しかし、クーベリックは本質的な解釈自体をライヴであるからといって変えることはなかったので、クーベリックの心境の変化だと捉えている。

ドヴォルザークの「第6」をクーベリックで聴くと後期3大交響曲を上回る大名作に聴こえるから不思議だ。

巨匠が晩年敢えて取り上げた曲だけに値千金の重みがある。

音質が大変に良好なことも朗報で、《シンフォニエッタ》終曲のフィナーレなど素晴らしい響きだ。

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2014年03月02日


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まずは、カップリングのセンスの良さを評価したい。

非独墺圏のヴァイオリン・ソナタを集約しているわけであるが、それぞれの作品の作風は著しく対照的だ。

情熱的で劇的とも言えるヤナーチェク、民俗色豊かで抒情的なグリーグ、そして、スケールの雄大さではベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」にも匹敵する壮大なフランク。

これらは、特にヴァイオリンパートに顕著にあらわれており、ここからは推測になるが、レーピンも、ドイツ・グラモフォンへのリサイタルアルバムへのデビューとして、敢えて自らの表現力の幅の広さを披露したいと思ったのかもしれない。

確かに、本盤におけるレーピンの卓越した技量と表現力の幅の広さは出色のものである。

特に、ヤナーチェクにおける劇的な表現は圧巻の迫力であり、グリーグの幾分楽しげな民俗舞踊的な表現や、随所に垣間見られる抒情的な美しさは、実に感動的だ。

そして、フランクにおける威風堂々たる表現は、レーピンの豊かな音楽性と、その前途洋々たる将来性を確約するものと言える。

このレーピンのヴァイオリンの豊かな表現力をしっかりと下支えするルガンスキーのピアノも素晴らしい。

レーピンのヴァイオリンの影に隠れがちではあるが、ルガンスキーのレーピンへの深い共感と豊かな音楽性があるが故に、本盤のような名演を成し遂げることができたものと考える。

録音も鮮明であり、音場も幅広く、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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2014年02月14日


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村上春樹氏の小説によってさらに脚光を浴びることになったヤナーチェク。

巷間、チェコの作曲家としては、第1にスメタナ、第2にドヴォルザーク、第3にヤナーチェク、そして第4にマルチヌーとされているところだ。

しかしながら、楽曲の質の高さ、他の作曲家への影響力の大きさなどを総合的に勘案すれば、ヤナーチェクはチェコの第3の作曲家などではなく、むしろスメタナやドヴォルザークを凌駕する存在ではないだろうか。

モラヴィアの民謡を自己の作品の中に高度に昇華させて採り入れていったという巧みな作曲技法は、現代のベートーヴェンとも称されるバルトークにも比肩し得るものであるし、「利口な女狐の物語」や「死者の家から」などと言った偉大なオペラの傑作は、20世紀最大のオペラ作曲家とも評されるベンジャミン・ブリテンにも匹敵すると言えるところだ。

そして、ヤナーチェクの最高傑作をどれにするのかは議論を呼ぶところであると考えられるところであるが、少なくとも、本盤に収められたグラゴル・ミサは、5本の指に入る傑作であると言うのは論を待たないところである。

同曲には、オペラにおいて数々の名作を作曲してきたヤナーチェクだけに、独唱や合唱を巧みに盛り込んだ作曲技法の巧さは圧倒的であるし、モラヴィア民謡を巧みに昇華させつつ、華麗な管弦楽法を駆使した楽想の美しさ、見事さは、紛れもなくヤナーチェクによる最高傑作の一つと評してもいささかも過言ではあるまい。

マッケラスは、こうした偉大な作曲家、ヤナーチェクに私淑し、管弦楽曲やオペラなど、数多くの録音を行っている、自他ともに認めるヤナーチェクの権威であり、ウィーン・フィルやチェコ・フィルとの数多くの演奏はいずれも極めて優れたものだ。

本盤に収められたチェコ・フィルや、優れた独唱者、そしてプラハ・フィルハーモニー合唱団を駆使した同曲の演奏は、ヤナーチェクの権威であるマッケラスならではの同曲最高の名演と高く評価したい。

スケールの雄大さ、そして独唱者や合唱団のドライブの巧みさ、情感の豊かさのいずれをとっても非の付けどころのない高水準の演奏であり、筆者としては、本演奏こそは、同曲演奏の理想像の具現化と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

モラヴィア民謡を基調とした、むせび泣くような哀感のこもった音楽であり、血のなせる技というほかないオケと合唱の抜群の反応もさることながら、映像で初めて明かされるマッケラスの熱い指揮姿を通して、この演奏に参加したメンバー全員グラゴル・ミサを愛して止まないことが肌で伝わってくる。

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2014年01月02日


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1982年 プラハ、芸術家の家での録音。

ヤナーチェクの2大管弦楽曲を収めたCDは、近年発売された村上春樹氏の小説の影響もあって、かなりの点数が発売されている。

両曲ともに、ヤナーチェクならではのモラヴィアの民俗音楽を高次元で昇華させた独特の美しい旋律に満ち溢れた傑作であるが、特に、「シンフォニエッタ」の第1楽章の金管楽器によるファンファーレなど、技術的にも相当なものが求められることもあって、現代の名うてのオーケストラにとっても、演奏しがいのある楽曲と言える。

それ故に、オーケストラの輝かしい音色や技量などが売りの演奏(それも重要な要素であるが)が多いが、このノイマン盤は、そうした音色や技量面を売りにした演奏ではない。

故国の大作曲家への畏敬の念を踏まえた全体を貫く情感の豊かさは、過去のどの演奏にも優る。

したがって、本盤にオーケストラの技量や輝かしい音色などを期待する聴き手には、いささか物足りないという印象を与えることもあるとは思うが、同曲のモラヴィアの民俗音楽を土台とした本質的な魅力を味わいたいという聴き手には、底知れぬ感動を与える名演である。

ノイマンとチェコ・フィルは2曲ともヤナーチェクの音楽の本質をよく摑んだ演奏で、リズムや音色の面でのヤナーチェクの特色を余すところなく伝えている。

モラヴィアの生んだ異色の大作曲家ヤナーチェクの作品は、同じチェコ出身のスメタナやドヴォルザークとは一味違った色合いを持っているが、ノイマンとチェコ・フィルはそうしたヤナーチェクならではの音楽的魅力を余すところなく描き出している。

「シンフォニエッタ」の金管と弦の扱いもすばらしいし、「タラス・ブーリバ」の各曲の表す物語の描き方もうまく、綿密な計算のもとに巧緻に組み立てられている。

全体を通じてチェコ・フィルの弦の美しさと金管のうまさに圧倒される。

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2013年11月03日


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本盤は、ヤナーチェクのオペラからの管弦楽曲の名曲を集めた全集の第3弾である。

最近発売されたとある小説によって、一躍脚光を浴びるようになったヤナーチェク。

ヤナーチェクの作品と言えば、巷間、シンフォ二エッタなどが最も有名であるが、筆者は、オペラにこそヤナーチェクの真の魅力が込められていると考えている。

ヤナーチェクは、モラヴィアの民俗音楽を自作の様々な旋律に生かしていったが、そうした独特の作風が最も色濃く出ているのはオペラだと思うからである。

しかしながら、ヤナーチェクのオペラは、チェコ語で書かれているとともに、ストーリーも一筋縄ではいかないものが多く、鑑賞する際には、どうしても対訳と首っ引きにならざるを得ない。

それ故に、ヤナーチェクがオペラに配した名曲の数々をゆったりとした気持ちで味わうことがなかなか難しい。

そのような中にあって、本盤のようなオペラからの名曲を抜粋したCDが発売されたのは何と言う幸せなことであろうか。

本盤は、ヤナーチェクのオペラの中でも最も有名な「利口な牝狐の物語」と、シリアスな最後のオペラである「死者の家から」を収録した好選曲であり、ブレイナー&ニュージーランド交響楽団による名演や、価格の安さなども相俟って、現在望み得る最高の名CDと高く評価したい。

まだ、ヤナーチェクのオペラに接したことのない人や、これからヤナーチェクのオペラを観賞したいという人には特にお薦めしたいCDだ。

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本盤は、ヤナーチェクのオペラからの管弦楽曲の名曲を集めた全集の第2弾である。

ここには、「カーチャ・カバノヴァー」と「マクロプロス事件」という、ヤナーチェクのオペラの中でもあまり知られていない曲が収められているが、その音楽は実に魅力的だ。

ヤナーチェクは、モラヴィアの民俗音楽を自作の様々な旋律に間接的に取り入れていったとされるが、その音楽の何とも美しくて魅力的なこと。

もちろん、オペラそのものも、大変に魅力的な一級の作品であるが、言語がチェコ語であったり、ストーリー展開が一筋縄ではいかないこともあって、鑑賞の際にはどうしても対訳と首っ引きにならざるを得ず、こうしたヤナーチェクの魅力的な音楽そのものを味わうことが難しい面もある。

しかしながら、本盤のようなオペラから聴かせどころの名曲を抜粋してくれると、ヤナーチェクの音楽そのものをゆったりとした気持ちで大いに満喫できる。

これは、ヤナーチェクの音楽の魅力を広く知らしめる意味においても、大変意義のある好企画CDであるということができるだろう。

ブレイナー&ニュージーランド交響楽団も素晴らしい名演を成し遂げており、本盤の価値をより一層高めることに大いに貢献している。

まだ、ヤナーチェクのオペラに接したことのない人や、これからヤナーチェクのオペラを観賞したいという人には特にお薦めしたいCDだ。

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本盤は、ヤナーチェクのオペラからの管弦楽曲の名曲を集めた全集の第1弾である。

ヤナーチェクの音楽は実に魅力的だ。

モラヴィアの民俗音楽を様々な自作の旋律に生かしているが、同じボヘミアの作曲家でも、先輩にあたるスメタナやドヴォルザークのように直接的ではなく、あくまでも、こうした民俗音楽を自己のものとして昇華し尽くして、いわば間接的に活用している点に、独特の魅力がある。

したがって、親しみやすさという点では、スメタナやドヴォルザークに一歩譲るが、聴けば聴くほどに味わいが出てくるという点においては、ヤナーチェクのほうに軍配をあげたい。

そんなヤナーチェクは、様々なジャンルで名曲を遺したが、その本領を発揮したのは、筆者としてはオペラではないかと思う。

ただ、チェコ語であるとか、ストーリーが一筋縄ではいかない点もあって、どうしても対訳を参照しながらの鑑賞にならざるを得ない面もあり、その魅力的な音楽を満喫するのは困難を極めるが、ブレイナー&ニュージーランド交響楽団による、オペラからの管弦楽組曲集が発売されたのは、ヤナーチェクの音楽の魅力を広く知らしめる意味においても、大変意義深いものであると思われる。

本盤に収められた「イェヌーファ」は、ヤナーチェクのオペラ入門に最適だが、特に「ブロウチェク氏の旅」の音楽の魅力には格別なものがある。

ヤナーチェクのオペラの中でも、特に難解さを極めた作品だけに、その音楽の魅力をゆったりとした気持ちで満喫できるのは実に素晴らしいことだ。

まだ、ヤナーチェクのオペラに接したことのない人や、これからヤナーチェクのオペラを観賞したいという人には特にお薦めしたいCDだ。

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2013年03月05日


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若きラトルによる素晴らしい名演だ。

日本でもようやく「次代を担うイギリスの新鋭指揮者」として認識されてきた頃で、当時27歳だった若きラトルのみずみずしい感性がはじけている。

ヤナーチェクはラトルにとって、デビュー当時から思い入れの深い重要なレパートリー。

「シンフォニエッタ」や「タラス・ブーリバ」は、ヤナーチェクの管弦楽曲の2大傑作であり、特に、近年においては、とある小説の影響もあるとは思うが、数々の名演が生み出されるに至っている。

ところが、本盤が録音された1982年当時は、これらの両曲は、せいぜいチェコ出身指揮者が指揮するローカルな作品の域を脱していなかったのではないかと考える。

その後は、アバドやマッケラスなど、チェコ出身の指揮者以外の国際的な大指揮者による名演が数々生み出されるようになったが、それだけに、若きラトルが、両曲に挑戦したというのは、前述のような背景を考えると、並々ならぬ意欲があったものと拝察される。

本盤の演奏に見られる切れば血が吹き出てくるような圧倒的な生命力や、切れ味鋭いテンポ設定などには、現在の偉大なラトルを彷彿とさせるような豊かな才能を感じさせる。

「タラス・ブーリバ」の第1曲のオルガンがいかにも弱過ぎるのが一つだけ残念な気はするが、全体の演奏の評価を下げるほどではなく、当時27歳という若さを考慮すれば、むしろそうした強弱を思い切って行うという表現を褒めるべきであると考える。

フィルハーモニア管弦楽団を起用したのも成功しており、「シンフォニエッタ」の冒頭のファンファーレなど実に輝かしくて巧い。

HQCD化によって、音質により鮮明さを増したのも大いに評価できる。

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2012年10月29日


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2007年2月25日 ロンドン、バービカン・センターでコンサート形式で行われた上演のライヴ録音。

「ブロウチェク氏の旅」はなかなかの名作だとは思うが、数々のヤナーチェクのオペラの中にあっては、「利口な女狐の物語」や「イエヌーファ」などに比して、知る人ぞ知る存在に甘んじている。

主人公であるブロウチェクが月に旅したり、フス戦争時代の15世紀に旅をしたりするなど、きわめて奇想天外なストーリーであり、特に、第1部の多くの芸術至上主義者が登場する箇所の筋立てが相当に複雑であり、それ故に、あまり親しみを持って迎えられていないのかもしれない。

しかしながら、一人二役や三役といった、登場人物に伏線を設けている点や、モラヴィアの音階を巧みに取り入れた実に美しい民謡風の繊細な音楽など、ヤナーチェクの個性が満載の魅力作であると言うべきであり、本盤登場までは、輸入盤を含め入手できるCDすら市場にないというのは実に悲しむべきことであった。

そのような中で、本盤の、しかも国内盤の登場というのは、大いに歓迎すべき快挙であると言える。

チェコ出身のビエロフラーヴェクの指揮は、同国人のヤナーチェクへの深い愛着が溢れる感動的なものであり、BBC交響楽団や歌手陣、合唱団も最高のパフォーマンスを示している。

まるでチェコ・フィルのように統率が取れ、シルクの肌触りような弦楽器がここにあり、管・打楽器が軽いのはロンドンのオケの常なので仕方あるまい。

とはいえ、その上質に磨かれた弦楽器が織り成す和声は、全てが抗し難い魅力だ。

演奏終了後の圧倒的な拍手喝采も、当日の深い感動を示していると言える。

この組み合わせで、ヤナーチェクの他のオペラ録音を聴いてみたいと思ったのは、筆者だけではないのではあるまいか。

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2012年09月23日


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ヤナーチェクの《シンフォニエッタ》には、いくつかの優れた録音があり、個人的には1965年のセル&クリーヴランドや1980年のマッケラス&ウィーン・フィルなどが挙げられるが、今では、他にもいくつかが挙げられよう。

アバドにとっては、1968年にロンドン響と吹き込んで以来の1987年の再録音となる、2回目の《シンフォニエッタ》であり、その演奏スタイルは、かなり異なっているが、ベルリン・フィルの高度の機能と緻密なアンサンブルが、最も望ましい形で発揮された好演だ。

細部にわたってきめ細かく作り込んでいた旧録音に対して、当盤では、ロンドン響よりもはるかに重厚なベルリン・フィルの特質を活かしながら、金管群や別働隊を華やかに鳴らし、あえて手綱を引き締めることなく、猛者たちの勢いと流れにまかせて押しまくっているのが興味深い。

ベルリン・フィルの金管をはじめとする豊かな響きと高度な機能性がフルに発揮された彫りの深い表現はすばらしい。

それでいて客観的であり、やや響きに明るさがあるものの、作品の根底を流れる民族的な特質は、かなりよく描かれている。

アバドは、ヤナーチェクの土俗性にスポットを当てていくのではなく、基本的に洗練されたアプローチをとっており、「ベルリン・フィルで、この曲をみたかった」という音楽ファンには、見逃せない演奏が展開されている。

実際には、オーケストラの音色的な特質も表現そのものも、きわめて情熱的で華やかに引き出されており、強烈でさえある。

ただ、イディオマティクな面からみれば、洗練されすぎるといえるかもしれない。

民族色豊かなアンチェル盤とは多少性格は異なるが、アバドの演奏は冒頭のファンファーレにおける金管の威力と立体感をはじめ、作品にみなぎる音のエネルギーと豊かな生命力など、非常にユニークな楽器編成と形式による音楽の特徴を鮮明に表現している。

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2012年07月31日


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チェコの音楽の魅力を存分に味わうことができる名演だ。

楽曲の魅力、演奏の見事さ、そしてSACDによる高音質録音という3拍子揃ったCDも珍しく、このような名演が12年もの間、お蔵入りであったことが実に不思議なくらいである。

まさにチェコ・フィルにしかできないご当地演奏で、当時(05/1997)のチェコ・フィルの音(金管や木管、弦の独特な音の美しさは他では聴けないもの)に浸ることができる。

スークの交響詩「プラーガ」は、ドヴォルザークやスメタナの楽曲でも有名ないわゆるフス教徒の旋律を巧みに交えた親しみやすく、わかりやすい音楽であるが、ヴァーレク&チェコ・フィルは、実に明朗で、なおかつ郷愁溢れる美しい演奏を行っている。

繊細な弦やフルート・ソロが光り、トランペットの音の伸びはさすがであり、金管によるフス教徒のコラールの昂揚感も気持ちがいい。

とても親しみやすい曲なので、演奏会でももっと採り上げられるといいと思う。

また、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」も、豊潤なチェコ・フィルのブラスセクション(大音量でも音がマイルドで全くキンキンしていない)をベースとしつつ、ここぞという時の迫力(金管のアンサンブルが凄まじい)にも、そして繊細な美しさにもいささかの不足もない。

ティンパニは制御気味で、人によっては「ぬるい」という向きもあろうが、それでも演奏スケールは大きいし、これはこれでとても良いと思う。

「タラス・ブーリバ」はこのCDの中でもずば抜けて素晴らしい。

冒頭から、イングリッシュホルン、ヴァイオリン・ソロ、そしてオルガンの深い響きにウットリしてしまう。

特にオルガンの絡み方が見事であり、ヤナーチェクの音楽の魅力を存分に満喫させてくれる。

ヴァーレクの指揮は奇を衒わずとても真摯で、個人的にはテンポの落とし方など所々でアンチェルの演奏を彷彿させた。

録音の優秀さも含めてこの曲のベスト盤となりうる演奏だ。

SACDによる高音質録音も見事であり、エクストンとしても最高の部類の出来と言ってもいいのではなかろうか。

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2011年01月22日


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モラヴィアの作曲家、ヤナーチェク(1854-1928)は弦楽四重奏曲を2曲作曲したが、いずれも自己告白的内容を持つ作品で、20世紀に作られた室内楽中最高傑作のひとつと見られて注目されている逸品だ。

スメタナSQの後継者と目され、常にみずみずしい感性と多感な音楽性を持つパノハSQは、これらの作品が出来上がった背景を充分に研究した上でこの2曲の録音に取り組んだという。

スメタナSQがあれほど広く日本の愛好家たちに愛されたのに比べると、その後継者たるパノハSQの知名度はまだまだ高いとは言えない。

だがどうか、彼らの音楽に静かに耳を傾けてみて欲しい。

いくらか線が細く、押しつけがましさのない地味なキャラクターではあるけれども、まことにセンスの良い、素晴らしい音楽家たちである。

パノハSQのCDは、たとえばドヴォルザークなども悪くないが、現時点でどれかひとつをとるとすればこのヤナーチェクだろう。

透明で清涼感溢れるアンサンブルの美しさにうっとりさせられる。

また38歳年下の人妻カミラを慕う作曲者の恋心に同情する激しい情熱の表出にも欠けていない。

作品も演奏内容もなぜか愛おしく、抱きしめたくなる音楽である。

巨大な空間には向かないクヮルテットだが、逆にこぢんまりしたホールなら最高、むろんCDならその点問題ない。

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2011年01月17日


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4種類あるスメタナSQのヤナーチェクの弦楽四重奏曲2曲のなかの3度目の録音。

成り立ちについても、解釈演奏についても、論議の的となってきた第1番は、この時からその前年に出版されたこの四重奏団のヴィオラ奏者シュカンパが徹底的に校訂し直した版が使われ、それまでの演奏に比べてテンポの緩急や強弱の対比の幅が広がり、それだけに激しい起伏に富んだ、彫りの深い音楽として響くようになっている。

とくに第3楽章がそうで、終楽章との対照も一段と明瞭になり、標題音楽的な意図がそれまで以上に明らかになっている。

こうした校訂の基本姿勢は、いちおう従来の版に従っていた第2番の解釈演奏にも、おのずから反映されている。

スメタナSQは初来日の時、このヤナーチェクを暗譜で演奏して聴衆をびっくりさせたというが、これは彼らの円熟をよく示している。

各声部が精妙に絡み合い、響きは安定し、表情は多様。

そうした中でヤナーチェク独特のヒューマニズムを感じさせる。

しかもこの作曲家が好んだモティーフの構成やリズムもはっきり打ち出している。

こうしたことはチェコの団体でなければ不可能だろう。

長年彼らが主要レパートリーとして演奏してきた作品だけに、作品自体がすでに彼らの血肉と化している。

彼らが自らの言葉で語り、訴えているかのように、あらゆる音が緻密な表情をもって息づいている。

ヤナーチェクが表現したかったドラマの世界が、暗譜演奏の興奮を伴って、いとも解明に表出されている。

1979年の実況録音も良いが、当盤の方がより精度が高い。

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2011年01月11日


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ヤナーチェクの《クロイツェル・ソナタ》と《ないしょの手紙》という表題をもった2つの弦楽四重奏曲は、激しい起伏に富んだ表現主義的な作品だ。

エマーソンSQは、この曲を単なる民族的な作品として捉えることなく、現代的な厳しさを感じさせる作品として捉え、曲の核心に迫ろうとする気迫の鋭さ、内面を表現し尽くそうとする意欲の激しさなど、表現主義の世界に一歩も二歩も入りこんでいる。

作曲家ヤナーチェクの心の叫びは、そのまま彼等の叫びとなって演奏そのものに内燃しており、切々たる愛を訴える激しいスル・ポンティチェロ奏法は、各楽器に受け継がれ、作曲家の想いを託して、聴く者の心に突き刺さるように打ちこまれる。

ヤナーチェクの標題音楽としての劇的な葛藤が、精緻なアンサンブルと精妙な音色の変化で、鮮やかに浮き彫りとなり、その表現力の幅広さは、ただ驚き入るばかりだ。

エマーソンSQのメンバーは、自分たちが21世紀に生きている演奏家であることを強烈に自覚しているようだ。

彼らは、これらの作品にまさに現代的意味を与えると同時に、20世紀の作品であることを改めて知らしめたのである。

《クロイツェル・ソナタ》では、4つの楽器がきわめて強く自己主張している。

それがヤナーチェクの作曲語法やこの作品の構成を明らかにするうえで大きな力になっているのだが、加えてトルストイの小説にヒントを得た標題音楽としての劇的発展や、主人公たちの心理的葛藤までも見事に表現している。

《ないしょの手紙》も表現主義的な趣をもって開始される冒頭からもうかがえるように、内声部の表現の豊かさが見事だ。

マルティヌーも見逃せない快演。

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2010年12月30日


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ヤナーチェクの死の半年前に完成し、最後の傑作となった弦楽四重奏曲第2番《ないしょの手紙》は、カミラとの出会いから、愛が芽生えて、この若い人妻へのプラトニックな愛が満たされるまでを音で書き綴った作曲者の手記のような曲である。

これをロマンティックな眼で回想的にとらえたスメタナSQ4回目の録音(1979年のライヴ)の名演も忘れ難いが、アルバン・ベルクSQがヤナーチェクの作風のなかの表現主義的な一面を前面に引き出して熱演した最新盤も、ライヴとしては最高級の録音とあいまって強烈に訴える。

《ないしょの手紙》としてはいささか雄弁すぎる表現かもしれないが、組み合わされた第1番《クロイツェル・ソナタ》の演奏はこのアルバン・ベルクSQの右に出るものはないだろう。

トルストイの禁欲主義を偽善と非難し、不倫といえども、人生にとって真実の恋に優るものはないとした内容を、表現主義のオペラのようにとらえて緻密に再現しているからだ。

すでにヤナーチェクに地方性を求めようとするのは時代遅れになっているが、秘密告白癖はそうはいかない。

鮮烈に、えぐりだすように、アルバン・ベルクSQは、ヤナーチェクの告白を響かせてしまう。

いたたまれないというか、背筋にくるというか、いささか度を越した音楽のドラマトゥルギーに拒否反応を起こすのだって、立派な聴き方ではないか。

《クロイツェル・ソナタ》も《ないしょの手紙》も、なんていやらしいんだろう、なんて露悪趣味なんだろう!

でもそう感じてしまった時、ヤナーチェクの音楽と、アルバン・ベルクSQの演奏の魔の手にとらえられてしまう怖れがある。

困ったCDというべきか。

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2010年11月16日


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ヤナーチェクの《シンフォニエッタ》には、いくつかの優れた録音があり、個人的には1965年のセル=クリーヴランドや80年のマッケラス=ウィーン・フィルなどが挙げられるが、今では、他にいくつかが挙げられよう。

そうした中で、1968年のアバド=ロンドン響の録音も、なかなかの好演なのであるが、それが登場した時、あまり注目されなかったのは、ヒンデミットとプロコフィエフの曲に挟まれていて、目立たなかったからかもしれない。

どちらかというと地味な書法を見せるヤナーチェクの音楽のなかで、これは珍しく明るく開放的だ。

第1楽章の冒頭のファンファーレが高らかに鳴り響く。

12本のトランペットが用いられ、実に広々とした空気感が生み出される。

だからたいていの演奏は色彩的な輝きに満ちた壮大さと、たたみかけるようなリズムで聴かせる。

ところがアバドはそれをできるだけ抑制し、ヤナーチェクの心の奥底に秘めた情念にふれようとしている。

金管のひびきは鈍重で沈みがち。表面はどんなに派手に振る舞っても、それは逆に心の悲哀感を焙り出すのに役立つばかりだ。

そんな複雑な心のひだに、これほどの共感と親密感をもってふれ得た演奏もまれだ。

アバドは、外面的な効果などには一切目をくれず、純音楽的アプローチを見せており、作品に秘められた作曲者のメッセージを叫びにも似た気迫で再現している。

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2010年07月28日


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ヤナーチェクの傑作であると同時に、弦楽四重奏曲史上でも最大級の傑作であるこれら2曲には、幸いなことに、注目すべきディスクがいくつかある。

まず、イの一番にあげたいのは1963年に録音に録音されたヤナーチェクSQ盤だ。

別に作曲家の名前を冠しているから、同じチェコのグループだからというわけではなく、この演奏内容は素晴らしい。

この四重奏団のテクニックの高さと積極的な表現力に感心させられる1枚だ。

強烈な色彩感、大胆なアクセントなどをむき出しにしたようなところのある演奏で、聴き手は力づくでねじ伏せられてしまう感じだ。

まさにヤナーチェクの音楽特有の郷土色、方言のような訛に彩られた演奏だけれど、それが普遍的な高みにまで達しているところが、なんとも凄い。

ヤナーチェクはこの2曲で、四重奏団に対し、さまざまな音色を要求しているが、この団体はそれに見事に応えている。

しかも、それだけのことで精一杯にならずに、人間ヤナーチェクを感じさせる演奏をしている。

そのためにヤナーチェクの考え方や性質がしのばれて、思いがけなく新発見したような気になることさえある。

並大抵の演奏ではない。

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2009年11月21日


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ドイツ・レコード賞、国際レコード批評家賞などを受けた名盤である。

作曲者の死後約半世紀にして、20世紀最大のオペラ作家の一人と見なされるようになったヤナーチェクの9つ残されたオペラの最終作。

このオペラの慣用版は、作曲者が追認した《イェヌーファ》のコヴァジョヴィツ版などとは異なり、作曲者がもし生きていたら許すはずがない改悪も含んでいた。
 
そこで、マッケラスと音楽学者のジョン・ティッレルは、自筆譜以外の資料も駆使して、作曲者本来の意図になるべく近づけるのを原則としている。

演奏はマッケラスの持ち味が完璧に示された名演で、音楽の細部を丁寧におさえてゆく彼の職人的技の確かさが最大限に生かされている。

微妙な音の動きやリズム、あるいはヤナーチェク独自のオーケストラの響きの滲みを、マッケラスは申し分なく生かしている。

歌手陣をチェコの歌い手でまとめたのも成功しており、ウィーン・フィルの細やかで美しい響きと実に溶け合っている。

男声の囚人たちに交じってズボン役で少年囚を演じるソプラノの役柄のつかみ方など今一歩だが、最後まで一気に聴かせてしまう名演である。

「どのような人間にも神聖なひらめきというのはあるものだ」と楽譜の扉に書いた作曲者のヒューマニズムが聴いた後に胸に焼きついて残る。

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2009年11月20日


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国際レコード批評家賞受賞盤。

ヤナーチェクの9つのオペラのなかでも、オペラの通、あるいは好き者的なプロの間で最も評価が高いのがこの第8作。

その音楽は、彼のオペラのなかでも最も伝統的なオペラの在り方に背を向けたもので、ヤナーチェクとしては珍しく表現主義の音楽への歩み寄りも見られる。

ここでもマッケラスが、ウィーン・フィルの表情豊かな演奏と配役の充実に助けられて、他の全曲盤を寄せつけない。

ウィーン・フィルの最美の音質と、最高の音楽的ニュアンス、そしてマッケラスの作品の持つ独特の世界を美しく幻想的に描き出してくれる指揮が素晴らしい。

歌手陣ではゼーダーシュトレームの入魂の歌唱が、マッケラスの路線と完全な一致を示した名唱である。

ゼーダーシュトレームのヒロインは、すでにこの不老不死の霊薬の実験台にされて、300年以上生き続けることになったオペラ界の花形という特異な役を舞台で何ヶ国語で歌った末に原語挑戦した曲。

その役づくりは規範とすべきものであろう。

ドヴォルスキーの情熱的な歌唱も聴きものだし、チェコのヴェテラン、ジーテクもそのキャリアの重みを感じさせる味わいを醸し出している。

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2009年11月19日


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グラモフォン・レコード賞受賞盤。

ヤナーチェクの7番目のオペラ《利口な牝狐の物語》は、彼が自分を取り巻く森羅万象のすべてに創造の霊感の源を求め続けたことを物語る傑作。

ひとつとして同じ内容のものがないヤナーチェクのオペラの中でも、この「牝狐」はとびきりの傑作だ。

まずウィーン・フィルが断然素晴らしく、流麗でまろやかな夢に膨らむウィーン・フィルの好演と、しかもあくまでもヤナーチェクの音楽の素朴な本質を見失わないマッケラスの指揮も見事。

マッケラスの踏み込みの深い指揮は彼のヤナーチェクのなかでも最高の部類で、その個性的な手法をよく活かしながら、作品の本質に迫る。

歌手の充実ぶりでもこのCDは既存のすべての録音を上回る。

特にポップとランドヴァーがよく、2人による第2場「愛の場面」は傑出している。

牝狐ビストロウシカの性(さが)と宿命を聴き手に鮮明に印象づけたポップの名唱は忘れ難い。

人間の世界と動物の世界との接点に立って狂言回しをやりながら、波乱の人生を体験した末に、晩年の悟りの境地に到達した作曲者の心境を代弁する猟場番役のイェドリチカ以下、チェコから応援のあとの主役・脇役も好演。

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2009年11月18日


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ACCディスク大賞、モントルー国際レコード大賞などを受賞した名盤。

この作品はロシアの作家オストロフスキーの戯曲『嵐』に基づいて、1919年から21年にかけて作曲されたものである。

ヴォルガ河上流の小さな町を舞台に、封建的な家庭に嫁いだカーチャが、抑圧された生活の中で引き起こす、不義と悲惨な死がリアルなタッチで描かれている。

指揮者マッケラスはヤナーチェクの権威者だけに、確信をもってこの作品のもつ独自の美しさと真実味をよく描き出しているし、歌手たちも充実している。

演奏はじかにその核心に迫ろうとする情熱と気迫を感じさせ、ウィーン・フィルもすこぶるこまやかな情感とムードに満ちあふれている。

聴き手はヤナーチェクのオペラのユニークな特質と生命に完全に魅了されつくしてしまう。

特に歌手ではゼーダーシュトレーム(カーチャ)が好演。

ゼーダーシュトレーム以外はチェコの歌手だが、みな大変見事な歌唱で絶賛を捧げたい。

ウィーン・フィルの起用も成功で、ヤナーチェク・オペラのオーケストラの豊かな表現力を存分に生かしている。

なおこのCDではマッケラスがブルノで発見したという2つの間奏曲が加えられていて効果をあげている。

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2009年11月17日


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マッケラスは人も知るとおり、ヤナーチェクの権威で、このウィーン・フィルを振った演奏は既に定評のあるところ。

マッケラスは、ヤナーチェクを最も得意としている指揮者だけに、熱い生命のほとばしりがある。

マッケラス盤は1980年になってデジタル録音された。

スケールの大きさのなかに、熱っぽい語り口に満ちた演奏内容である。

聴き手をいやがうえにも興奮させる演奏だ。

決して華やかすぎず、かといって朴訥一方の演奏でもなく、ウィーン・フィルの美質を生かした洗練味、彼の大きなセールス・ポイントであろう。

中庸の表現で人を説得するというのは、実に凡手ではないことの証明であろう。

ヤナーチェクの音楽に深く傾倒していたマッケラスならではの、作品への強い共感に支えられたような演奏といえよう。

ウィーン・フィルの好演も特筆され、その底力のある表現力が過不足なく生かされている。

特に金管と弦のメロウなブレンディングはウィーン・フィルならではの美しさである。

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2009年10月29日


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ヤナーチェクのピアノ曲の演奏には、モノラル時代から幾度も録音している作曲者の生徒だったフィルクスニーの新録音がまず挙げられる。

5歳でヤナーチェクの知遇を得、その後生涯の愛弟子となったフィルクスニーの真実味あふれる演奏である。

このピアニストにとってヤナーチェクは自身の心の一部ででもあるのか、自在さに溢れる表現で心象風景を映し出している。

なによりも魅力的なのは、ここでは我々が日頃忘れがちな音楽の原点に立ち帰らされるということで、すべての曲がまさしくかけがえのない音色と表情をもって響いてくる。

フィルクスニーは楽譜を仲介とした解釈者としてではなく、生身の人間として創造の原点から音楽を連れ出してくるかのようだ。

そうした姿勢は旧録音も同じで、そのため、むしろ同一のピアニストとは思えないほど表現される心象風景が違う。

前者が穏やかな感情の内省的な表現なのに対して、後者では、もっと感情の振幅の大きい表現が確信を持って提示される。

特に、ヤナーチェクの代表的なピアノ作品、組曲「草かげの小径にて」は、心の底を映し出す〈鏡〉でもあるのだ。

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2009年07月03日


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蘭エディソン賞、グラモフォン・レコード賞を受賞した名盤。

ヤナーチェクのオペラを聴くならまず「イェヌーファ」からというのが常道だろう。

イギリスの名指揮者マッケラスはチェコで学んだこともあり、ヤナーチェク復興に大きな足跡を残している。

ウィーン・フィルとの一連のヤナーチェクのオペラ録音シリーズは、いずれも高い水準と非凡な魅力を持っている。

ヤナーチェクの主要な作品の現在までのところ最も信頼できる版の作製に努めているマッケラスは、初演の直後にヤナーチェク自ら改訂した最終稿を用いながら、そこへたどり着くまでになぜか削除された序曲やオリジナル版の音楽を加えるなど、「イェヌーファ」の最も純粋な原型の再現を意図している。

演奏もヤナーチェクの音楽の魂を率直に力強く表現したもので、これまでにない深い感動をおぼえる。

マッケラスの指揮は作品への愛着と共感に根ざした踏み込みの深いもので、登場人物の一人一人に生命を吹き込んでいる。

ゼーダーシュトレームのイェヌーファ、ランドヴァーの教会のおばさんなどを揃えた配役も万全で、それにイェヌーファをめぐる対照的な性格の2人の男性、血のつながらない兄弟同志でもあるラツァとシュテヴァを演じるオフマンとドヴォルスキーは、これ以上望み得ない適材適所の配役で、作品への愛着と共感に根ざしていて、マッケラスの名指揮に花を添える。

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2008年10月18日


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幾度聴いても、この「グラゴル・ミサ」は真の傑作だとつくづく思う。何故もっと広く聴かれないのか、不思議に感じてしまうほどだ。

確かに、実際の演奏会でこの大曲を取り上げるのは何かと大変であろうが、そのためにもこうしたディスクなどはあるのに……。

これまでに聴いたこの曲のディスクはいずれも聴きどころをもったものばかりであったが、まず最初に紹介したいのはロンドン響、他を指揮したT・トーマス盤である。

スラヴ的な色彩が遠のいて、都会的洗練に傾いていることを前提とすれば、非常な好演だ。

T・トーマスは誰にでもアピールする演奏を心掛けており、「サンクトゥス」のデリケートな肌触りなど心憎い出来映えだし、「アニュス・デイ」の合唱も絶妙なピアニッシモを聴かせ、音楽の中から民族性を濾過し、普遍的なヤナーチェクを描き出している。

民族色より現代色が優先している演奏だが、独唱・合唱を含めたアンサンブルは実に見事だ。

もうひとつ、チェコの演奏家から選ぶとすれば、チェコ・フィル、他を指揮したアンチェル盤が立派な演奏内容である。

それぞれの要素が充分に手のうちに入っており、安定感のある演奏となっている。

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2008年03月27日


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レーグナー盤は両曲とも彼の長所が万全に発揮された見事な演奏だ。

ことに遅めのテンポで丹念に練り上げながら、作品の持ち味を十全に表出した「タラス・ブーリバ」が大変充実した立派な演奏で、ヤナーチェク固有のオーケストレーションを鮮やかに再現する卓抜な手腕はレーグナーならでは。

「シンフォニエッタ」はやや重厚にすぎるが、レーグナーの高度な職人技がしっかりと息づいており、骨格のがっしりとしたコクのある表現には強く惹かれる。

ファンファーレ型のオケ・ドライブに酔い痴れるだけの演奏が大半のなかで、ほぼ1人レーグナーだけが作品の振幅の大きさと精妙な構造を明らかにしている。

その1つが絶対に絶叫しない、一見静かな佇まいである。

どの楽章においても、その美点が活きているが、とくに終楽章の見事なまでの音色変化と重層的な響きは天才的!

何度聴いても飽きないほどの美しく力強い音楽である。

ヤナーチェクの土臭さといった民族性は若干希薄ではあるが、独特の語法は明確に眼前に広がっている。

これはドイツの美感とでも言うべきか、両曲ともしなやかでいながら決して軽くならず、実に味わい深い出来栄えだ。

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2007年12月20日


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引退した1989年まで、弦楽四重奏界の帝王として君臨したスメタナSQが、その活躍後期にデンオンにデジタル録音した多くのアルバムの中でも出色の出来栄えを示すもの。

スメタナSQにとって、ヤナーチェクの2曲の弦楽四重奏曲が、スメタナやドヴォルザークのそれとともに、きわめて重要な意義を持つレパートリーであることはいうまでもあるまい。

両曲とも他の追随を許さない立派な演奏が繰り広げられている。

ボヘミアとともにチェコと呼ばれるモラヴィアのこの作曲家が、トルストイの文学作品や自己のかくれた愛を彼らは回を重ねて録音しているが、これは、1979年10月10日のプラハでのライヴで、彼らにとって4回目のものということになる。

もちろん同郷人という血から来る深い共感が随所に滲み出ていることは言うまでもないが、そうしたものにとどまらず、作品に対する理解に並々ならぬものがあり、各フレーズに込められた意味の深さ、イメージの豊かさ、それらから生み出される説得力の大きさは尋常ではない。

そこでは、それまでの彼らの蓄積が充分に生かされ、いわば作曲家の内心にまで入り込み、その言わんとするところを作曲家に代わってドラマティックに語っているようにも見える。

4人が作品を暗譜してしまうほど弾き込んでいるだけに、単にアンサンブルの精度が高いといった言葉では済まされないような密度の濃さがある。

4人の奏者が一心同体となって作品の深部に迫ってゆくが、その際微妙に絡み合う声部が生み出す表情が生きているし、リズムに自発性があって活力がある。

彼らにとっても記念すべき録音の一つだろう。

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