アンセルメ

2016年02月21日


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一世を風靡したチャイコフスキーの“3大バレエ”の不滅の名盤で、アンセルメによるそれぞれ唯一の全曲盤。

アンセルメは80歳に近い晩年にチャイコフスキーの3大バレエを一挙に録音したが、クラシック・バレエのいわばバイブル的な作品演奏の“奥義”を後世に残す目的も少なからずあったように思える。

爛丱譽┣山擇凌斥有瓩半里気譴織▲鵐札襯瓩蓮⊆磴日にディアギレフのロシア・バレエ・リュスの専属の指揮者を務めたという経歴の持ち主で、モントゥーと共に数々の新作バレエに取り組み、歴史的な舞台に立ち会ったことは周知のとおり。

アンセルメのバレエ音楽に対する知識と実践的な技術はこの時育まれ、鍛え上げられたのである。

同時代の音楽を得意にしたアンセルメは、チャイコフスキーのバレエ音楽でも、的確なテンポを設定して、リズムを必要に応じてきちんとキープする一方で、恣意的なためを用いないアプローチを繰り広げており、作曲者特有の甘いメロディを趣味よく奏で上げている。

その軽やかで明るいアプローチは、やや好き嫌いが分かれるかもしれないが、過度にもたれることなく、よく耳になじむ演奏が展開されている。

アンセルメの演奏にはすっかり安心して身を委ねられる、何か、とても大きなものがあって、おじいさんが炉端で子供たちに語って聞かせてくれているような、そんな温かい響きがある。

《白鳥の湖》の演奏は、クールで淡泊ではあるが、推敲され尽くした精妙で入念な表現を楽しませてくれる。

メリハリには乏しい反面、淡くデリケートな色彩感がすばらしく、さらにその誇張を排したケレン味のない表情の美しさは、アンセルメならではのものだ。

《眠りの森の美女》の演奏も、表面的には少し淡泊であり、興奮や感動には欠けるが、聴くほどに味のでる熟演と言ってよいだろう。

コントロールされた表情の美しさや巧妙なリズム処理などは、この演奏の得難い聴きどころとして注目される。

几帳面かつ克明に作品を描きあげた《くるみ割り人形》も、表現傾向としては少し淡泊であるが、このバレエの童画的なおとぎの世界をきわめて巧みな演出でリアリゼしている。

作品の意味と特徴を入念に吟味した演奏であり、練達の棒さばきが特筆される名演で、いろいろなキャラクターの入り混じったこの曲全体を、見事な感情のコントロールのもとに、実に上品に、典雅にまとめてしまう。

それでも一般の聴き手にとって、アンセルメの残した録音はそれほどの価値を見いだせないかもしれないが、ダンサーにとってその評価は絶大なものとなる。

メリハリの利いたリズムや踊りに最適なテンポ、そして独特の間のとり方など、実舞台のバレエの寸法に対応した演奏であることは現代でも変わらない。

一言でいえば、アンセルメの演奏は爐修里泙淪戮譴覘瓩里任△襦

テンポの設定からリズムのとり方、そして間のとり方まで、見事に踊りに適合する。

この盤は、そういう意味ではバレエ音楽のまさに“普遍的”と言い得る演奏で、バイブル的存在といえるのである。

なお全曲盤とはいえ、録音当時に行なわれていた慣習的なカットが施されているのは、仕方のないところだろう。

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2015年11月13日


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ここ数年ユニヴァーサル・イタリーの企画によるバジェット価格のセット物が矢継ぎ早にリリースされていて、それぞれが気の利いた内容を持っているためにクラシック・ファンには目が離せない。

エルネスト・アンセルメのデッカへの録音の集大成は、ドビュッシーの2種類の『ペレアスとメリザンド』を含むフランスの作曲家の作品をまとめたこの30枚組が第1巻で、これ以外にも彼が得意としたロシア物の第2巻が既に刊行され筆者もレビューを書いたところだが、今後はファリャを始めとする彼の初演になる作品群も組み込まれるらしい。

幸いアンセルメの代表的なセッションはその殆んどがデッカに録音されていて、1950年代から1960年代にかけての比較的良好な音質に恵まれた音源がこのシリーズで網羅されることは、オールド・ファンにとって朗報には違いないが、反面当時の正価で1枚1枚買い揃えた学生時代を思い出すと複雑な気持ちにならざるを得ない。

このセットでのオーケストラは13枚目、ラヴェルの『ボレロ』及び『ラ・ヴァルス』を演奏しているパリ音楽院管弦楽団以外は、アンセルメ自身によって設立されたスイス・ロマンド管弦楽団が総てのレパートリーをカバーしている。

かつて彼らがオーケストラとしては二流のレッテルを貼られたことも事実だろう。

確かに現代の一流どころに比べれば個人個人の技術的な差は否定し難いが、一方でアンセルメによって統率された表現力となると、彼ら独自の機動力と真似のできない鮮やかな音色を駆使した驚くほど高い水準の演奏に到達している。

現在私達が接するオーケストラの典型とも言える安定した中低音に支えられた整然としたアンサンブルとは趣を異にした、やや線の細い華奢な響きだが、透明感のある軽妙洒脱なセンスが感じられるのが特徴だろう。

それはとりわけフランスの音楽に本領を発揮していて、このセットでは彼らの水を得た魚のような、生き生きとして虹のような光彩を放つ表現が至るところで堪能できる。

アンセルメは指揮者として舞台デビューを果たす以前は数学の教師だったそうだが、ピエール・モントゥーの後を受けて、ディアギレフ率いるバレエ・リュスの専属になってからは、モントゥー同様数多くの創作バレエの初演を果たしている。

彼の演奏のオリジナリティーが、当時の革新的な作品上演の連続的な実践によって培われ、洗練されていったことは想像に難くない。

またアンセルメの手腕はオーケストラの音響作りにも良く表れていて、その鮮烈な響きに感知されるセオリーと感性のバランス感覚の鋭さには尽きない魅力がある。

尚ライナー・ノーツは34ページで演奏曲目の他に簡易なアンセルメのキャリアが英、伊語で紹介され、最後の5ページを録音データに当てている。

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2015年09月06日


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ケースの裏面にステレオ・ライヴ・アナログ・ブロードキャスト・マスターテープからのDSDマスタリングという表示がある。

いずれも保存状態の極めて良好なオリジナル・オープンリール磁気テープから制作されたSACDで『スペインの庭の夜』が1960年、『はかなき人生』及び『三角帽子』が1961年の録音と記されている。

このディスクもSACD化の成功例と言える分離状態の良い音像とホールの奥行きを感じさせる立体感や低音から高音までのむらのない鮮明な音質で、マヌエル・デ・ファリャの3曲の歴史的名演が蘇っている。

1曲目の『スペインの庭の夜』は愛国心を煽るような熱狂的な作風ではなく、むしろスペイン風の趣味を織り込んだファンタジーに昇華された独奏ピアノと管弦楽のための魅力的な作品で、ドビュッシーの同様の楽器編成による『ファンタジー』に共通するものがある。

ハスキルのレパートリーの中では異色ながら、マルケヴィチの好サポートと相俟ってLP時代から名盤の誉れ高いもの。

指揮者イーゴリ・マルケヴィチはウクライナ生まれだがパリで教育を受け、その後も主としてラテン系のオーケストラで研鑽を積んだ経歴を持っているだけあって、ファリャにおいても決して他人行儀ではない洗練された音楽性と鋭敏な感性を手兵コンセール・ラムルーに託した演奏に高い価値がある。

またソロ・パートを弾くクララ・ハスキルにはラテン的な感受性と共に神々しいような神秘的な表現が共存していて、この曲でもパワーではなく、特有のカリスマ性を発揮して聴き手を惹きつけてしまう。

同曲のピアノ・パートは難技巧と、ギターなどスペイン音楽のイディオムが盛り込まれているため、弾き手を選ぶ音楽と言えるが、ハスキルは死の直前の演奏ながらタッチは力強く明快で、大編成のオーケストラと真っ向から張りあっている。

ハスキルのピアノは、通常この作品で演じられる濃厚な官能性はなく、端正かつ清明で、まるでモーツァルトのようだが、意外なスペイン気質も感じさせ感動的。

マルケヴィチの充実ぶりも素晴らしく、複雑なオーケストレーションを見事に統率、熱き血のたぎる盛り上がりを見せている。

テープに起因するヒスノイズは感じらるものの、SACD化により各楽器の解像度が格段に向上してぐっと接近し、物凄いエネルギーまで放つようになったのが驚きだ。

一方オペラ『はかなき人生』からの「間奏曲」及び「スパニッシュ・ダンス」とバレエ音楽『三角帽子』はエルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団の演奏で、アンセルメの民族主義的な曲想の輪郭を際立たせる手腕が冴え渡った秀演。

こちらもLP時代からの名盤で、いにしえのデッカ特有のマイク多用の効果がSACD化でますます発揮され、スコアが見えるほど各楽器が際立っているが、少しも人工的でなく、意外にアンセルメがエネルギーあふれる情熱的演奏をしていたことを証明している。

彼が舞踏場面の緊張感を高める時に、テンポを落としてかえって熱狂的なシーンの演出に成功しているのには驚かされる。

『三角帽子』はバレエ・リュスを率いていたディアギレフの委嘱作品で、指揮はアンセルメ自身が初演し、衣装デザインにはパブロ・ピカソが起用された意欲作だっただけに、初演時の意気込みが伝わってくるような情熱的な演奏だ。

ここでは若かったテレサ・ベルガンサの鮮烈な歌声も聴きどころだが、オーケストラにこれだけ幅広い表現力が引き出せるのかと思えるほど、多彩でスペクタクルな響きを楽しませてくれる。

後半の2曲はスペインの民族色を色濃く反映させた作品だが、その演奏に関してはスペインには名門オーケストラが育たなかったためか、その後ファリャがフランス系のオーケストラの独壇場のレパートリーになっていったのも皮肉な結果だ。

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2015年06月27日


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デッカの看板指揮者のひとりとして、1950年代から60年代にかけて膨大な数のセッション・レコーディングをおこなった巨匠、エルネスト・アンセルメ[1883-1969]の偉業を偲ぶイタリア・ユニバーサルの大型企画。

近年、有名作曲家の作品全集や有名指揮者・演奏家の録音全集がBOXで数多く発売されているが、ありそうでなかったのがアンセルメの録音全集だった。

エルネスト・アンセルメが指揮者としてのキャリアをはじめた頃は、クラシックの楽壇にも急激な変革がもたらされていた。

彼はそうした動向に強い情熱を示して、誰よりも先頭に立って新しい潮流を受け止め、深い理解と緻密な分析を通して自己の芸術を模索した指揮者だったと思う。

アンセルメはまたスイス滞在中のストラヴィンスキーへの共感から、このセットに収められたCD33枚分の音源のうち14枚が彼の作品に当てられている。

それはまたアンセルメがピエール・モントゥーの後釜としてディアギレフ率いるバレエ・リュスと共に多くのバレエを上演した経験が結実したレパートリーなのだろう。

これはライナー・ノーツからの受け売りだが、彼らが1916年にアメリカ公演に出た時、105日間で105公演という現在では考えられないハード・スケジュールをこなし、しかも演目は『春の祭典』や『ダフニス』などの難曲揃いだったというが、ニジンスキーの振り付けや新進気鋭のダンサー、レオニード・マシーンを抜擢したキャストがその成功をもたらし、アメリカの音楽界にも新鮮な衝撃を与える結果になったようだ。

アンセルメのロシア物への造詣の深さと驚異的なレパートリーは、こうした背景によって培われた成果に違いない。

幸い33枚のCDは作曲家ごとに再編集されているので聴きたい曲目を容易に見つけることができる。

参考までに作曲家ごとのCDの割り振りを見ると、やはり圧倒的な量を誇っているのがストラヴィンスキーのCD15-28で、中でもバレエ音楽『火の鳥』に関してはCD15(1955年録音、スイス・ロマンド管弦楽団)、CD23(1968年、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)、そして同年、同オーケストラとのリハーサル盤がCD24に、更に組曲版としてCD26(1919年版、1950年、スイス・ロマンド管弦楽団)とCD28(1910/1919年版、1946年、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)の実に5種類の演奏を鑑賞することができる。

次がチャイコフスキーで3大バレエを含むCD1-6の6枚、プロコフィエフにはジュリアス・カッチェンをソロに迎えたピアノ協奏曲第3番や『スキタイ組曲』が収められたCD29-33の5枚が当てられている。

またリムスキー・コルサコフは2種類の『シェラザード』を含むCD8-11の4枚、ボロディンがCD7、その他ムソルグスキー、バラキレフ、リャードフ、グラズノフ、グリンカ、ラフマニノフの作品がCD12-14の3枚にまとめられている。

オーケストラは上述の他にCD13のグラズノフの『四季』『ワルツ』及びラフマニノフの『死の島』はパリ音楽院管弦楽団、CD28ストラヴィンスキー『詩篇交響曲』がロンドン・フィルハーモニー管弦楽団で、その他は総てアンセルメによって設立されたスイス・ロマンド管弦楽団の演奏になる。

アンセルメの録音は今日でもなお新鮮に感じられるし、スイス・ロマンド管弦楽団の技量については個性的ではあっても二流のオーケストラではない。

例えばストラヴィンスキーの組曲版『兵士の物語』では、ピックアップ・メンバーであったにせよ素晴らしいアンサンブルを聴かせている。

使用音源の大半は鮮明なステレオ録音で、モノラルの音源についてもデッカ・クオリティのため十分に聴きやすい水準なので、音質もモノラル、ステレオ共に極めて良好で鑑賞に全く不都合はない。

ライナー・ノーツは33ページほどで収録曲目一覧及び英、伊語によるアンセルメのキャリアについてのコメントと、最後に全曲の録音データが掲載されている。

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2015年02月09日


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バレエ音楽の神様と称されたアンセルメの面目躍如たるドラマティックで素晴らしい名演だ。

ドリーブのバレエ音楽の代表作である「コッペリア」及び「シルヴィア」の長大な全曲からの抜粋であるが、有名な楽曲はほぼ網羅されており、バレエ音楽全体を俯瞰するには、これくらいがちょうど良いと言えるのかもしれない。

演奏は、ドリーブの音楽のもつ、あたかも絶世の美女が片えくぼをつくりながら微笑んでいるかのような気品に満ちた、艶麗な感じを見事に表出したものだ。

どの曲も、ふっくらとして美しく、それでいて情緒におぼれているようなところが少しもない。

こうしたあたりに、アンセルメの卓越したうまみを感じる。

そして何と言ってもアンセルメ&スイス・ロマンド管弦楽団の素晴らしさは、瀟洒な味わいに満ち溢れた色彩豊かな音色ということになるだろう。

アンセルメの音に対する美意識は実に鋭いものがあり、どこをとっても光彩陸離たる華麗な音がしているのが素晴らしい。

力強さにおいてもいささかも不足はないのだが、どのようにオーケストラが最強奏しても、前述のような瀟洒な洒落た味わいを失わないのは驚異的な至芸とも言える。

本盤におけるアンセルメも、聴かせどころのツボを心得たセンス満点の美演を繰り広げており、これら両曲の最高の名演としての評価は、現在においてもいささかも揺るぎがないものと考える。

アンセルメの実演を実際に聴いた方々によると、スタジオ録音されたレコードとのギャップに失望したとのことであり、アンセルメの美演の数々は多分に英デッカによる極上の名録音が寄与しているとのことであるが、実演を聴くことができない現代に生きる我々聴き手は、CDを聴いて判断するのみ。

CDにおいて、これだけの素晴らしい極上の美演を堪能させてくれるアンセルメ&スイス・ロマンド管弦楽団に対しては、決して文句は言えまい。

リマスタリングによる音質向上効果も上々のものがあり、この素晴らしい名演を鮮明な高音質で聴くことができることを大いに歓迎したい。

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2014年03月03日


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アンセルメはLP時代に一世を風靡した名指揮者である。

現在でも一部のコアなファンの間では人気が高いとも言えるが、CD時代に入ってからは、かつての人気がやや下火になったのではないかとも思われるところだ。

アンセルメと言えば、手兵のスイス・ロマンド管弦楽団とともに行った膨大なスタジオ録音で知られているが、英デッカによる当時としては極上の鮮明な録音によって、極彩色とも言える独特の音色を作り上げたところであった。

もっとも、このコンビが来日した際の実演が、スタジオ録音とはかけ離れた凡庸な演奏であったことから、このコンビによる演奏の高評価は多分に英デッカによる優秀な録音に支えられていたということを指摘する識者もいるところである。

編集が容易ではなかったアナログLP時代には大きなアドバンテージを有していたアンセルメによる各種のスタジオ録音も、デジタルCD時代になり、編集などが容易に行われるようになると、そのアドバンテージはほぼなくなったとも言えるからかもしれない。

加えて、アンセルメと同様の芸風を有するとともに、レパートリーもほぼ重なるデュトワが、手兵モントリオール交響楽団とともに、CD時代の到来と軌を一にして、数々の美演を録音するようになると、アンセルメの影はますます薄くなっていったと言えるのではないだろうか。

デュトワの場合は、アンセルメと異なって実演でも圧倒的な名演を成し遂げたことから、アンセルメが知る人ぞ知る存在になっても致し方がない面もあると言えるのかもしれない。

それでもアンセルメが遺した膨大なスタジオ録音の中で、未だに他の指揮者の追随を許さない名演が存在している。

それこそは、本盤に収められたファリャのバレエ音楽「三角帽子」、歌劇「はかなき人生」からの間奏曲と舞曲、そしてバレエ音楽「恋は魔術師」を収めた1枚である。

アンセルメは数学者でもあったことから、精緻にして緻密なアプローチを基調としていたが、本演奏においては、そのようなアンセルメの印象を根底から覆すような大熱演を展開している。

演奏全体に漲る気迫や切れば血が噴き出てくるような強靭な生命力は、とてもスタジオ録音とは思えないほどであり、各フレーズからは、スペイン風の異国情緒溢れるむせ返るような熱き情感が滲み出している。

とりわけ、バレエ音楽「三角帽子」についてはアンセルメが初演をつとめたということもあると思うが、あたかも楽曲自体がアンセルメの血となり肉となっているような趣きさえ感じられる超弩級の名演に仕上がっているとさえ言えるところであり、その後、デュトワもモントリオール交響楽団とともに同曲の素晴らしい名演を成し遂げてはいるが、とても本演奏には敵わないと言える。

テレサ・ベルガンサやマリーナ・デ・ガバラインによる歌唱も最高のパフォーマンスを発揮しており、本名演に華を添えている点を忘れてはならない。

いずれにしても、本盤に収められたファリャの管弦楽曲集は、アンセルメの膨大なスタジオ録音の中でもトップクラスの名演であるとともに、これらの楽曲の様々な指揮者による演奏の中でもトップの座に君臨する至高の超名演と高く評価したい。

音質は、1955年〜1961年のステレオ初期の録音ではあるが、英デッカによる超優秀録音ということもあり、従来盤でも十分に通用する音質であった。

数年前には、SHM−CD盤も発売されるなど、音質的にはかなり恵まれた状況であったが、今般、ついに待望のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤が発売されるに及んで驚いた。

音質の鮮明さ、音場の幅広さなど、すべてにおいて一級品の仕上がりであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の凄さを認識した次第である(本盤に収められた楽曲のうち、バレエ音楽「三角帽子」及び歌劇「はかなき人生」からの間奏曲と舞曲については、既にESOTERICからSACD盤が発売されており、それとの音質面での優劣については議論が分かれるところだ)。

いずれにしても、アンセルメによる歴史的な超名演を、現在望み得る最高の高音質であるシングルレイヤーによるSACD&SHM−CDで味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2011年03月25日


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アンセルメと言えば、フランスものというイメージが強いが、若い頃にディアギレフが主宰するロシア・バレエ団の指揮者を務めていたことも関係してか、ロシアものにも定評がある。

スイス・ロマンドを使ってのここでのボロディンの2曲の交響曲においても、もちろんそれを実証する手腕が鮮やかに示されている。

いくらか理知的と言える表現の中にロシア的なものを充分に感じさせ、色彩的にまとめ上げている。

もちろん聴くべき中心となるのは第2番だが、第2楽章途中で未完となった第3番が聴けるのは、長らくこのディスクだけだった。

ステレオ録音が一般的になるのは1956年頃からだが、これはそれ以前の最初期のステレオ録音。

アンセルメとスイス・ロマンドは感覚的に明るく洗練されているので、ボロディンの曲にあるスラヴの土の匂いが、西欧風の美感におきかえられているのが興味深い。

ここに収められた曲は、いずれもその好例である。

しかも演奏はそれなりに完成されており、ロシア音楽の洗練された表現を望む人には、好個のものといってよいだろう。

原色的な管弦楽の使い方が、粗野に流れず、しかも鮮明に表現されている。

繊細な音色の配合を表現しうるスイス・ロマンドが、ボロディンの交響曲では、思い切って原色的な色彩構成をとっている。

しかも、表面的な荒々しさに堕することなく曲想にくっきりとしたくま取りをあたえている。

これはアンセルメの配慮にもとづくものであり、成功した演奏である。

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2010年08月19日


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ベートーヴェン=ドイツ=重厚と考える向きには、アンセルメのベートーヴェンなど選択肢のひとつにも入らないかも知れないが、これはまことに傾聴に値する録音であり、広く推奨したい。

アンセルメの演奏を一言で説明するなら「理知の光に照らされたベートーヴェン」と言うことができる。

アンセルメの頭脳によって明快に読み込まれたスコアが生き生きと再現されているのだ。

この辺りは、盟友であったシューリヒトと相通ずる芸風であるが、シューリヒトの方がよりドイツのロマンティストであったと言えようか。

オケの響きは、とても軽やか。

弦の音色は明るく、管もオーボエやホルンを筆頭に鼻にかかったフランス風の音。

それらが、アンセルメの颯爽としたテンポの中で伸び伸びと歌っている。

しかし、決して感覚的、即興的に流した演奏ではなく、不意に訪れる大小のテンポの変化や全体のバランスの妙には油断がならない。

これほど考え抜かれた演奏でありながら、いっさいの理屈っぽさを思わせない点にアンセルメの芸の深さがある。

我々がアンセルメの芸術に打たれるのは、このように怜悧な数学者と熱き表現者の共存する姿に出会うときなのだ。

この全集を手に取る者は、どの作品、どの楽章からも、同じ種類の感動と遭遇することになるだろう。

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2010年05月14日


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アンセルメの得意としていたロシアものを集成したアルバムで、新しく再発された盤もあるが、収録曲はこの旧盤の方が充実している。

フランス音楽とロシア音楽を得意としていたアンセルメだが、その表現のコンセプトは都会的な洗練味にあり、彼は近代西欧的な視点でこれらの作品の魅力を明らかにしている。

それだけに表現は明晰かつ繊細に洗練されており、また色彩の変化が多様で、絢爛とした豪華さが味わえる。

どの曲もアンセルメが得意としているものだけあって、それぞれ見事な演奏で、彼の実力が遺憾なく発揮されている。

ことに《だったん人の踊りと合唱》は凄く、その圧倒的な迫力には息をのむ。

《はげ山の一夜》などは、リムスキー=コルサコフの華麗なオーケストレーションと、オリジナルの持つ怪異な雰囲気をミックスさせて、何ともコクの深い表現を聴かせている。

録音こそやや古びたとはいえ、その語り口の巧さと勘所を押さえた演奏は、やはりヴェテランならではの貫録といえるだろう。

また《3つのオレンジへの恋~行進曲とスケルツォ》とか《ルスランとリュドミラ》など、いわゆる小品も颯爽として洒落た表現になっているのも、昔懐かしいアンセルメ節で、そこはかとない郷愁のようなものを感じてしまう。

ただ洗練された表現が、曲の原初的な力を淡白なものにしているのも事実で、このあたりは好みの分かれるところだろう。

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2009年10月24日


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巨匠アンセルメは1918年にスイス・ロマンド管弦楽団を創設し、以来引退する67年までの間にこのオーケストラを指揮して数多い名演を残した。

「レクイエム」も秀演で、ひとつひとつの音を大切にしながらフォーレの音楽固有のデリケートな音の綾織りと抒情的な美しさを十全に表出している。

ダンコ(ソプラノ)のソロは、情感豊かなメロディー処理のロマン性で、独特の味わいを聴かせてくれる。

また、スーゼイ(バリトン)の清潔感をみなぎらせたソロは、宗教曲になくてはならぬ透明な祈りのイマージュを歌い出していて素晴らしいものがある。

「ペレアスとメリザンド」組曲は、この悲恋物語にふさわしい運命の予感をはらんだ出だしで、切迫感に富み、高貴な悲劇の世界へと聴き手を誘い込む。

水平線の彼方へ視線を誘う広い展望感や、エーテルの浮遊のなかにかげろうように浮かぶ夢幻的な風景は精妙に息づき、色彩感も申し分ない。

フォーレの音楽の世界と抒情味を生かした演奏で、〈メリザンドの死〉の木管の扱い方など、ため息のでるようなうまさである。

アンセルメは「ペレアスとメリザンド」組曲の第3,4曲を入れ換えて演奏している。

「マスクとベルガマスク」は繊細な表現が見事で、ソツのない演奏だ。

この演奏を聴くと、アンセルメがいかに音づくりの名人であったかがよくわかる。

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2009年04月25日


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スイスの大指揮者アンセルメが、最も得意としていたものにロシアものがあるが、その中でもこの曲は十八番中の十八番で、なんと1000回も演奏したと彼は語っていた。

演奏は、東洋的なムードを巧妙な演出で描きながら、交響的に、華麗に仕上げており、この曲のもつ東洋的情感を色濃く表出した壮麗な表現も大変魅力的だ。

全体にテンポを遅めにとり、ゆったりとした呼吸で丹念にまとめており、ことにめくるめくような色彩美にあふれた終楽章は出色の出来だ。

アンセルメは、こういう色彩的な派手なものを手がけると、少しもけばけばしくなく、しゃれた工夫をした演奏をする素晴らしい演奏家である。

金管楽器の表情などはアンセルメが自分でつくってしまうところがあるほど演奏効果を考えた表現なのである。

ややゆっくりとしたテンポで、まるで絵巻物を繰り広げてゆくような劇的設定のうまさにはまったく感心させられる。

バレエ・リュス時代にアンセルメはストラヴィンスキーのみならずロシア音楽を振った好評を博したというが、ストラヴィンスキーの恩師であるリムスキー=コルサコフが悪いはずはない。

近代管弦楽法のテクストともいうべきこの組曲の色彩感を見事に描き分けている。

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2009年02月11日


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ラヴェルとともに、ドビュッシーの音楽もまたアンセルメは得意中の得意とした。

アンセルメとスイス・ロマンド管の最盛期の演奏だけあって、文句なしに素晴らしい。

選曲が魅力的で、演奏もいまだに価値を失わない。

アンセルメは若いころ、ドビュッシーと親交があり、その演奏は作曲者直伝ともいえるものである。

特に「牧神の午後への前奏曲」は極めつけの演奏ともいうべきもので、その抜群の雰囲気の作り方には改めて賛辞を呈するまでもない。

幻想的なマラルメの詩の世界を、情感豊かに表出した演奏で、官能的な気分と磨き抜かれた美しさが、ドビュッシーの描いた幻想的な音の世界を理想的に再現している。

「海」はこの音楽の持つ色彩感をみごとにあらわし、あの独特な音色で精妙に描いており、「海上の夜明けから昼まで」の冒頭の、模糊とした気分の描き方や、「波のたわむれ」の木管楽器の扱いかたのうまさは比類がない。

こういう軽やかで輝かしい音色はドイツ系のオーケストラには出せないものだ。

「夜想曲」も「祭り」が絶品で、「雲」「シレーヌ」は少々粘った表現である。

どれもアンセルメならではの秀逸な演奏で、ドビュッシーの音楽の楽しさと美しさを存分に堪能させてくれる。

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2009年02月10日


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音の響きをきわめて大切にするアンセルメにとって、ラヴェルの作品はまさに打ってつけだが、ここに収められている演奏を耳にすればそれが納得できよう。

アンセルメのラヴェル演奏は、作曲者の要求している冷たく透明な、そして絹のスカーフのように滑らかな音色を実に巧みに再現しているし、どの曲もアンセルメ一流の巧みな演出と絶妙なリズムの扱いに魅了されてしまう。

1曲1曲を入念・精巧に仕上げた「クープランの墓」、そして高雅な詩情にあふれた「亡き王女のためのパヴァーヌ」は特に素晴らしく、アンセルメの本領が遺憾なく発揮されている。

「スペイン狂詩曲」は一見冷たい肌ざわりながら非常に精緻で華麗な音色はラヴェルにまったくふさわしく、スペイン情緒たっぷり。

「ラ・ヴァルス」と「ボレロ」では、怜悧な中にも退廃的な雰囲気をよくただよわせている。

「ダフニスとクロエ」はなんというデリカシーだろう。これこそ詩情というのだろうか。

「夜明け」の濡れた情感とみずみずしさなど絶品だ。

切ないくらい美しいソロ・ヴァイオリン、鮮明な色彩感を失うことなく、なおダイナミックな中に柔らかさを保ち続けるフォルティッシモなど、まさにアンセルメの最高潮を思わせる。

最高の境地に達した演奏といえるだろう。

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2008年09月05日


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アンセルメ死の3か月前、燃え尽きんとするローソクの最後の輝きを見るような名演である。

この作品の幻想的な色彩性を、アンセルメはいかんなく演奏に出している。

精密な表現と比類のない造形力をもったこの演奏は、長年にわたってこの曲を手がけてきた彼の自信と執念を感じさせる。

このバレエは、ときに舞踏的というよりは記述的になる交響詩的要素をもっているが、その性格描写と魔術的世界の色彩性とがこんなにもぴったりと表された演奏は初めてである。

特に各場面の描き方のうまさ、リズムの迫力ある扱い方、そして「子守歌」から最後にかけての盛り上げ方のうまさは、まさに絶妙。

劇的効果を強く出した演奏で、「火の鳥」の最大の演奏といっても過言ではない。

オーケストラはスイス・ロマンド管弦楽団(OSR)ではなく、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団との録音だが、これはアンセルメがOSRよりすぐれたオーケストラを望んで実現したもので、彼がいかに自分の求める音を見事に引き出しているかがわかるという意味でも非常に興味深いものである。

巨匠アンセルメの貴重な遺産。

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2008年07月15日


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エルネスト・アンセルメは優れた才能と精緻な美的感覚をラヴェルの音楽において最高度に発揮した指揮者であった。

才人ラヴェルの感受性豊かで高度に洗練された童話風な幻想的オペラ・バレエ「子供と魔法」の録音はその結晶ともいうべき名盤。

ラヴェルの精緻な音楽と感覚を、これ以上考えられないほどデリケートで、しかも正確なタッチで完璧に描きつくしている。

当時のフランスにおける粒選りの歌手たちを揃え、ナイーヴな夢と憧れを秘め、ウィットに富み、多彩な音色とセンシティヴな音響効果に満ちた楽しいメルヘンを、アンセルメはデリケートに絶妙なタッチで美しく変幻自在に描き上げている。

歌手たちの中では、お姫さまとリスを歌うダンコ、羊飼いの少女と雌猫とこうもりを歌うトゥレーヌ、ティー・ポットと小人の老人と雨蛙を歌うクエノーが、特に優れている。

アンセルメのラヴェルの中でも特に優れた名演だ。

「スペインの時」におけるアンセルメの指揮は、リズムの感覚の鋭さと洗練された音色への卓越した敏感さがそのままラヴェルの音楽のドラマとなって表れている。

歌手陣もよく歌っており、特にレーラスの男らしい歌い方が印象的である。

このディスクは1953、54年の録音だが、信じられないくらい音の状態もよく、ラヴェルの精妙な音楽と舞台的な効果が十分に楽しめる。

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2008年03月25日


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「バレエ音楽の神様」といわれたアンセルメの定評ある名演奏。

「コッペリア」は全曲盤から主要な13曲を選んだハイライツ、「シルヴィア」は4曲の組曲盤だが、それぞれの曲の持ち味を巧みに描き分けながら、優雅で艶麗なドリーブの音楽特性を万全に表出している。

ドリーブの音楽というのは、聴いている人たち一人一人に愛想のよいkissを投げかけているような音楽だ。

流麗で洒落ていて、そして片エクボの女のように艶っぽい。

アンセルメはそうしたドリーブの音楽の特徴を実によく摑んで再現している。

アンセルメの棒さばきがまことに素晴らしく、ドリーブの音楽特性である気品に満ちた優雅さと艶っぽい色気との両面を見事に表出している。

幅の広い豊かな表現力はアンセルメならではのもので、リズム処理のうまさは無論のこと、その高雅な美しさは筆舌に尽くしがたい。

その表現の美しさは、ほれぼれしてしまうほどで、オーケストラもうまい。

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2008年01月01日


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アンセルメは若い頃、ディアギレフの主宰するロシア・バレエ団の指揮者をつとめており、その時に初演した作品のなかには、この「三角帽子」も含まれていた。

そうした彼が、自家薬籠中のものとした作品だけあって、冒頭の金管の旋律やカスタネットの音、手拍子、そして、ベルカンサの歌う悩ましい歌声などを聴いただけで、強烈にひきつけられる魅力をもった演奏である。

アンセルメの指揮したバレエ音楽の素晴らしさは別項のチャイコフスキーでも述べたので、改めて述べるまでもないだろう。

「三角帽子」も「恋は魔術師」も素晴らしい出来栄えだが、なかでも彼の手で初演された「三角帽子」は、作品を完全に手中に収めた決定的演奏とでもいうべきもの。

そのリズム処理と間のとり方のうまさはこの人ならではのもので、惚れぼれしてしまう。

曲全体にスペイン的熱狂が息づいている。

「恋は魔術師」も劇場的な雰囲気が絶妙で、スペイン色の濃厚な味わいに魅了される。

ファリャの作品は、アンセルメの得意としていたものである。

それだけに、この演奏はきわめつきといってよい。

演奏は、《バレエの神様》とまでいわれた彼の、要所要所をピシリと押さえた、リズム処理の見事なものだ。

やや作為の目立つ表現だが、この作品の南国の太陽がギラギラ輝くような、スペイン情緒を、洗練された感覚で見事にまとめており、色彩豊かな生命力にあふれる音楽となっている。

この曲はまた、バレエ音楽としては珍しく、メゾ・ソプラノ独唱を用いてるが、ガバレインの歌唱も、よく感じを出している。

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2007年12月22日


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「白鳥の湖」はラテン的な明るさ、エレガントなロマンティシズムに溢れた、いかにもアンセルメらしい音楽だ。

ロシア的粘っこさを求めるむきには繊細に過ぎるかもしれないが、鮮やかな色彩感と表情付けのうまさは、ちょっと比類がない。

「眠りの森の美女」は決定盤の名にふさわしい名演だ。

アンセルメは、3大バレエの中でも最もシンフォニックな性格をもつこの曲を、クールな弦に輝かしい金管を配した絶妙な演出ぶりで絢爛とまとめている。

精緻なリズム処理には驚嘆するほかない。

ロシア芸術の祭典とまでいわれるこのバレエの精髄である、まばゆいばかりの色彩美がここでは完璧に再現されている。

「くるみ割り人形」は舞台の動きまでも彷彿とさせる素晴らしい演奏だ。

この作品の真価はやはり、アンセルメのようなバレエ音楽を知り尽くした大指揮者の手になる全曲盤を聴いてみないとわからないだろう。

3大バレエでもアンセルメがこよなく愛した名作だけに、演奏は巧緻極まりない演出ぶりで非の打ち所がない。

チャイコフスキーの3大バレエの決定盤であり、まさしく熟し切った境地というべきだろう。

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