ラフマニノフ

2010年10月02日


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ラフマニノフのピアノ作品は、まず何よりも、20世紀前半のロシア・ピアノ界の大巨人たるピアニスト、ラフマニノフ自身のために作曲されている。

ラフマニノフの"巨人"とも呼ぶべき体躯、そして、その身体にふさわしい腕と指、そして今日でも古さを感じさせないテクニックを前提として、彼のピアノ作品は作られたのだ。

アシュケナージもリヒテルもオボーリンもギレリスも、ホロヴィッツですら、この点において、ラフマニノフには及ばない。

もしも、ラフマニノフが現代に生きていたら、一体どれだけ多くのロシアのピアニストがソリストとしての仕事を失っていただろうか。

ラフマニノフは、その音楽性においても、リストとアントン・ルビンシュテインの弟子であったシロティの流れを引きながら、そこに20世紀的な新しい方向性を与えたピアニストであり、作曲家であった。

その音楽性は、ヨーロッパとロシアのピアニズムの融合から生まれた濃厚で甘美なものであった。

ショパンやシューマンを弾くラフマニノフは、19世紀ロマン派のピアニストだったが、自作自演のラフマニノフは、ノイエ・ザッハリヒカイト以後の20世紀のピアニストだった。

ともあれ、ラフマニノフが残した自作自演の録音には、不世出とも呼ぶべき巨大な音楽性とヴィルトゥオジティの記録が刻まれている。

彼の自作自演は、決して古びない偉大な芸術の証である。

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2010年05月08日


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現在ではスタンダードな名曲の仲間入りをしているが、再評価のきっかけになったのがこの録音で、この曲の真価を広く知らしめるのに貢献した名盤。

この曲はカットして演奏される慣習が今も残っているが、これは完全全曲盤で、プレヴィンとロンドン響の傑作のひとつである。

爛熟したハプスブルク王朝を思わせる一大ロマン叙情詩といった雰囲気を持つこの曲は、プレヴィンが得意中の得意とするナンバー。

ロンドン響との蜜月時代に録音されたこの演奏には、現在の彼の演奏にはない艶っぽさと強烈なロマンとエネルギーのほとばしりがあふれるばかりで、吹きつけるようなロンドン響の弦の高まりが圧倒的だ。

全体に実に豊かな情感を持った感情豊かな演奏で、特に奇数楽章の表情にはプレヴィン独自の魅力がある。

広大なロシアの大地をイメージさせる第1楽章、こぼれるようなロマンティシズムにあふれた第3楽章、情熱的なフィナーレなどなど、聴きどころは満載だ。

そして全体にいくらか楽天的な印象を与えるのがすぐれた特色であり、弱点でもあるが、その評価は聴き手によって異なるだろう。

モスクワで演奏した際にはセンチメンタルな歌わせ方で女性の聴衆を泣かせたというエピソードも、心のひだに訴える音楽家プレヴィンの真骨頂なのである。

録音は色褪せてきたものの、安定した解釈と温かみのある音楽は今なお価値が高い。

ラフマニノフの交響曲第2番の愛好者は、プレヴィンに足を向けて寝ることはできない。

なぜなら、「長すぎる」「甘ったすぎる」「締まりがない」などと非難され、演奏ではカットされるのが日常的になっていたこの交響曲を、プレヴィンは元に戻しただけでなく、完全全曲版でなくてはこの作品の本質は味わえないと先駆的名演を聴かせてきたからである。

そこに解釈の緻密さ、演奏家としての美学と責任感があることは言うまでもないが、作品との強い一体感、音符一つ一つを抱きしめるかのように再現していくプレヴィンの共感に満ちた演奏に耳を傾けていると、プレヴィンとラフマニノフとが互いに求め合う磁気のように強く結ばれていることが納得される。

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2010年01月06日


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ラフマニノフの交響曲第2番はザンデルリンクとフィルハーモニア管のCDが圧倒的に素晴らしい。大柄な音楽作りが堪能できる、掛け値なしに偉大な演奏だ。

彼方にまで伸びていくかのような旋律線がとても美しく、ロマンティックな音楽に酔わせてくれる素晴らしい演奏だ。

ザンデルリンクの演奏は、以前のものとは比べものにならないほど円熟しており、しかも個性的である。

抒情と劇性が雄大なスケールで濃厚に表出され、第1楽章冒頭からきわめて充実した音楽を聴かせている。

各楽章とも完全に曲を手中に収めた表現で、すべてが歌に満ち、アゴーギクとルバートの多用も内奥から溢れ出る感興を表している。

その共感と生命力の強さは驚くべきものである。

私は常々イギリスのオーケストラは、整ったこぎれいな音は出すけれども、踏み込みが足りない、いや踏み込もうとしない点に不満を覚えていた。

礼儀正しいが本心が見えないと喩えたらよいだろうか。リアルに見えすぎるのを嫌うと言ったらいいか。上手でお行儀がよいだけではすまない作品がたくさんあるにもかかわらず。

けれども、この盤、とりわけ第1楽章での弦楽器群のうねり方は凄い。催眠術にかけられたがごとく、ザンデルリンクの大きな指揮棒の動きに合わせて陶酔の波を漂っている。

弦楽器だけでなく、オーケストラ全体の気の入り方が尋常ではない。

音楽の収縮は堂に入り、旋律線はぐんぐん途方に延びていって果てしがない。

こんな雄大かつ恍惚とした音楽は、この曲の他の演奏からは聴けない。

これほどの名演を聴くと更なる欲が出てくる。

ベルリン・フィルとの超絶的名演のライヴ録音(かつて石丸電気で売られていたCD−R)の再発はならないのだろうか。

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2009年06月29日


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「故郷を離れた時、私は作曲するという希望を捨てました。故郷を失った私は自身も捨てたのです」と語るラフマニノフは、四半世紀近い亡命生活の中で、6曲程の作曲しかしていない。

そうしたラフマニノフが1934年の夏に、7週間でこの曲を一気に書き上げたのは、おそらく、彼の脳裏に、突然、第18変奏の美しく甘美でノスタルジーに満ちた旋律が浮かんだからに違いない。

ラフマニノフの演奏は、この第18変奏を実に淡々と弾いているのだが、内声部が、次第に高まる潮のように、旋律の上に浮かび上がる時、胸を刺すようなそれでいて甘美な世界が開ける。

他の演奏ではセンチメンタルであったり美しかったりだけで何かが欠けている。

ラフマニノフだけが、この旋律を通して、過去の扉を開けることができる鍵を持っていたからであろう。

この曲に新しい視点を導入するような天才ピアニストが現れないかぎり、こうした往年の名演奏を越えることは、なかなか難しいのではあるまいか。

そうした意味で、このラフマニノフの自作自演は、まさに歴史的遺産といえよう。

ピアノ協奏曲第1番は冒頭から気迫の凄まじさに驚かされるが、デリカシーも満点だ。

ストコフスキーとオーマンディもラフマニノフの表現にピッタリの好演だ。

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2009年04月14日


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ラフマニノフを得意とするアシュケナージの録音のなかでも、その長所が端的に発揮された名盤。

まず、肉厚で暖かみがあり、ほのかな陰影をたたえた彼のピアノの音がこの作曲家の作品にぴったり。

そして、それぞれの曲が持つ雰囲気を表現し尽くすのには彼が持つロシア人のテンペラメントが大きく役立っているように思われる。

アシュケナージのラフマニノフはスケールの大きい演奏ではないが、外見的な壮麗さを排し、精神の慰めと調和を作り出すことによって、1曲1曲に音楽としての生命を吹き込んでゆく。

同じようにラフマニノフを得意とするピアニストでも、ホロヴィッツの場合など奏者の個性が強く出る場合が多いが、アシュケナージの場合は、作品自体に語らせるという姿勢に貫かれている。

「前奏曲集」では、アシュケナージの響きによってラフマニノフの清新なイメージが喚起されてくるのを感じる。

ロシア的なロマンティシズムを濃厚に漂わせた演奏で、各曲をすこぶる多彩な音色で弾き分けている。

技巧面でも内容面でも、大家を思わせるかのような風格と、威厳があり、アシュケナージの円熟ぶりを示した好演である。

「ソナタ第2番」はきわめて大言壮語な装いをもった作品だが、彼はここでも真のリアリティを甦らせている。

1913年の原典版を使った演奏で、アシュケナージは、華麗なホロヴィッツの演奏と比べると、音楽の内面に深く沈潜した表現で、じっくりと聴かせる。

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2009年03月09日


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ラフマニノフのピアノ曲は、ソナタや変奏曲のような規模の大きい作品より、前奏曲や練習曲あるいは編曲ものなどの小品にこそ、彼らしい魅力が光っている。

ラフマニノフについては、しばしば言われる「ロシア的憂愁」という形容が象徴するように、情緒連綿たるセンチメンタルなものだという印象が広くいきわたっているようだ。

しかし、前奏曲をはじめとする小品を彼自身が弾いた「ラフマニノフ/プレイズ・ラフマニノフ」を聴くと、そんなヤワなものではないことが分かる。

20世紀前半最大のヴィルトゥオーゾ・ピアニストのひとりだったその演奏は、思い入れたっぷりの感情吐露やガンバリズムとはまったく正反対。

巨人が楽々と鍵盤を愛でるような、軽々とした自在さがあふれ、しかも造形が明快なので、スリリングでありながら安心感がある。

ことに細かいパッセージの玉を転がすような感触は、今日では聴けなくなった名人芸で、切れ味の良い演奏が楽しめる。

素晴らしくしっかりとした芯のある響きで、ファンタジー豊かに繰り広げられる演奏には気品があり、ラフマニノフの演奏が単なる名人芸の展示ではなく、やはり充分な反省精神を持った芸術家のそれであると納得できる。

また良い意味での遊び心も堪能させられる。

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2009年02月01日


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リヒテルの十八番、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番はグラモフォン盤が名盤として有名だが、メロディア盤の方がリヒテルのラフマニノフに対する共感がいっそう直截にあらわされており、指揮、オケも断然素晴らしい。

リヒテルは、ゆったりとしたテンポで、感傷性を排しながら弾いている。

1つ1つの音の持つ意味をこれほど明らかにした演奏もあるまい。

ラフマニノフの不健康な情緒を、リヒテルほど心をこめて表出したピアニストはいない。

この曲にもっともぴったりした表現で、情感豊かな出来映えである。

特に第2楽章は聴いていて心がうずくようだ。

ザンデルリンクの指揮も、遅いテンポから濃厚な味わいを見せ、盛り上がりの威力はすごい。

それに、レニングラード・フィルの演奏が素晴らしく、第2楽章で、ピアノの伴奏にのってフルートが旋律を吹き、クラリネットに変わるあたりなど、このオケの魅力を余すところなく伝えている。

チャイコフスキーは指揮者のせいか、リヒテルにしてはテンポが速いが、その中で力強さと情感を同時に生かしていく。

ムラヴィンスキーの細かいニュアンスと音楽性はさすがに見事だ。

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2009年01月18日


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1915年、ラフマニノフがアメリカに亡命する直前に初演された作品。

キエフのズナメイおよびロシア正教の聖歌に由来する聖歌に基づいた宗教音楽で、すこぶる壮大な規模をもっている。

ロストロポーヴィチの初の合唱指揮アルバムであった。

いかにもロストロポーヴィチのロシア人としての血の躍るような、ロシア的情感の濃厚な表現である。

ロストロポーヴィチの指揮は、力感あふれる重厚さと、ラフマニノフ独特の濃厚なロマンティシズムを兼ね合わせ、全15曲を変化のあるまとめ方をしている。

あの手、この手で曲に変化を与えようとする、ロストロポーヴィチのサービス精神が熱いほど伝わってくる演奏だ。

独唱のふたりも、りっぱなうたいぶりで、合唱団の洗練された合唱で、充実した演奏となっている。

合唱の精緻さという点では他に優れた演奏もあるが、ここには生命の祈りと讃歌がある。

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2008年12月05日


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かつては「ジャムと蜂蜜でべたべたの交響曲」と非難された作品だが、今では、ラフマニノフならではの慰めにあふれた音の世界が世の音楽ファンすべてを虜にしている名曲中の名曲。

聴きすすむほどに、深みへ深みへと誘い込まれる、そんな媚薬にも似た雰囲気をもつ作品で、こんなに甘美に書き上げられた交響曲というのも珍しいだろう。

名演も数多いが、やはり筆頭は、この交響曲の普及に尽力してきたプレヴィン盤に尽きるといえよう。

実に3度目の録音だ。第一人者の貫録で聴かせる名演である。

56歳のベテランとなってからのこの演奏は、愛情の深度が深く、しかも穏やかさと誠実さも併せ持っている。

手に入った演奏で、ラフマニノフに対するほとんど体質的ともいえる共感が表れており、音の艶やかさもプレヴィンの特色だ。

第1楽章や第3楽章はよく歌い、フレーズが息長くとられている。

第2楽章は響きが瑞々しく、モデラート部には独自のしなやかな美しさがあり、第3楽章も曲の抒情感は甘美なほど表現され、第4楽章では作品の劇性を端的に表している。

現代人の苦悩が的確に捉えられた演奏である。

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大ピアニストとしても知られていたラフマニノフの自作自演盤である。1929年(第2番)と1939年(第3番)の録音だけに、音の状態はCD化されても、決してよいとはいえない。

しかし、この伝説的な大ピアニストの演奏を、実際に聴くことができること自体が価値のあることだ。

ラフマニノフの演奏は、全体にすこぶるスピーディーに運んでいて、速いテンポでさらりと弾きのけていて、肩すかしを喰らうようだが、じっくり聴いてみるとその中に無限のニュアンスや情感が秘められており、その表情の繊細さに驚いてしまう。

第2番ではフィナーレがすごい。19世紀のヴィルトゥオーゾ趣味が存分に発揮されている。

ことに第3楽章の有名な第2主題のうたわせかたなど最高だ。

アメリカでのラフマニノフはあまり作曲活動はおこなわず、主にコンサートを中心に活躍していたが、第3番の録音は、ちょうどそのころのもので、演奏家として最も脂の乗りきってきた時代だけに、この演奏は申し分のないうまさだ。

全体に速めのテンポで爽快に弾きあげているが、実に情感豊かなロマンティックな表現である。

ことに第1楽章が美しく、速いテンポですっきりと流しながらもわびしさがあふれ、音色やルバートも哀切を極めている。

録音の古さが気になるかもしれないが、作曲者自身の原点の解釈を知るという意味でも貴重だ。

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2008年10月02日


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"幻のピアニスト"といわれたリヒテルが、西側に鮮烈なデビューを飾る直前の録音(1959年)。

録音こそ多少古くなったが、演奏のスケールの大きなことでは、王者の貫録を誇っているといえよう。

この時すでに彼は同曲を2度録音していたというから、かなりの執着と思い入れがあったことは確かである。

冒頭、ピアノの伴奏音型が細部までクリアに浮かび上がってくるだけでも、これは並のラフマニノフではないことを実感。

リヒテルの音色は暗く重く、いかにもロシアのピアニズムを思わせ、ゆっくりとしたテンポで、悠々と歌わせているのが素晴らしい。

甘美な旋律線も彫りが深く超然としたリリシズムを湛えている一方、クライマックスでは情熱のほとばしりがストレートに伝わる高揚と緊張が漲っている。

エネルギッシュでありながら曲の本質を見事に貫くシビアな感触がこの演奏にはある。

そしてまだ若さも弾力性もあった頃のリヒテルで、その技巧の素晴らしさと鮮やかさは、アシュケナージ以上といえるかも知れない。

音楽の内面を深々と掘り下げているのも魅力で、ことに第2楽章は精妙きわまりない。

山ほどある名演の中でも、襟を正させるラフマニノフを聴かせるのはリヒテル以外にない。

ただヴィスロツキの指揮が、いささか微温的なのが物足りない。

プロコフィエフもピシッと一本芯の通った鋭い表現で、スケールの大きな演奏である。

随所に、ロシア的な情感を表出しているところに、リヒテルらしさを感じさせる。

いずれも共演している指揮者とオーケストラが、もっと著名なものであったなら、という気がしないでもないが、これは聴き手の欲というものだろう。

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2008年09月21日


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ラフマニノフ没後25周年記念演奏会他のライヴ録音を元に制作したアルバム。

自らもピアニストであったラフマニノフのグランド・マナーが生き生きと甦ってくる演奏だ。

それは同じ血をひく音楽家としての作品への共感と無関係ではないだろうし、特にソナタ第2番は熱気をよく捉えている。

今でこそ第2番のソナタはメジャーになっているが、このレコードが出た当時はほとんどホロヴィッツの専売特許のようなものだった。

ホロヴィッツの十八番ともいえる作品で、実際に演奏した体験を踏まえて作曲者に改作をすすめた。

ラフマニノフがそれを果たさないうちに他界したため、ここでは両者の話し合いをもとにホロヴィッツが手を加えた演奏をしている(1913年版と31年の改訂版をもとにホロヴィッツ自身が手を施したもの)。

引き締まった構成と絢爛なテクニックを配し、原曲以上の魅力と生彩を引き出している。

この曲の華やかな効果とその中にひそむ熱い感情を引き出した演奏は見事というほかはない。

曲頭の数十秒を聴けば、雷に打たれたような衝撃を覚えるはず。

ラフマニノフの、というよりホロヴィッツのピアニズムを濃縮した印象。

他の小品も素晴らしく、すぐれた解釈者としてのホロヴィッツが示されている。

秘曲「楽興の時」第3曲の叙情的な美しさや滋味、「音の絵」第9曲での聴く者を熱狂させずにはおかない高揚感など、最後まで圧倒し、魅了し続ける充実のアルバムである。

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2008年02月26日


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協奏曲は1978年1月、ホロヴィッツの「アメリカ・デビュー50周年記念コンサート」のライヴ録音である。

この曲は古今のピアノ協奏曲の中でも屈指の難曲として知られる。

ところがホロヴィッツは若い頃からこの曲を得意中の得意にしており、ラフマニノフは「この曲を完全に消化している」と脱帽した。

この難曲を《見せ物》にしてしまうホロヴィッツの恐ろしいまでのヴィルトゥオジティは圧巻。

つまりホロヴィッツの代名詞といえる曲なのである。

彼にとって協奏曲を手がけるのは25年ぶりなだけに、この演奏にかける意気込みは並々ならぬもので、とても73歳の高齢とは思えない、スケールの大きな、打鍵のしっかりとした演奏である。

若い頃に比べるとテクニックの面でやや弱さはあるものの、深々とした呼吸で、ラフマニノフの曲のもつ暗い情熱を濃厚に表出している。

テンポは以前の録音よりいくぶん落ちるが、表現力はその分増している。

叙情的フレーズをジェントルに歌いまわすかと思えば、超絶技巧をワイルドにうならせる。

このピアニストの神技の凄味をたっぷりと楽しませてくれる壮絶な演奏なのである。

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2008年02月12日


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ワイセンベルクらしからぬコクのあるラフマニノフで、ユニークな美学に支えられたハード・ボイルドでありながら、ロマンティックな快演となっている。

ワイセンベルクはありあまるテクニックを駆使し、わずらわしいほど手練手管のかぎりを尽くして雰囲気満点に弾いている。

強弱と音色変化の幅の広さは驚くほどであり、なだめたり、すかしたりといった自在なエスプレッシーヴォを見せる。

バーンスタインの指揮も同様だ。

思わせぶりな甘いセンチメンタリズムとスケールの大きい迫力の対比がユニークな演奏である。

ワイセンベルクは少年時代からラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の演奏を夢見てピアニストになったと伝えられるが、彼が残したこの協奏曲の録音は、万感の思いを胸に秘めながらそれに溺れることなく、スマートに作品を語り継いでいった演奏である。

ダイナミックで雄渾な快演と言えるスケールの大きい演奏であり、壮麗な彫刻を想わせるようなその彫りの深い表現が圧倒的なアピールを放っている。

第1楽章では遅いテンポがムードと情感を最高に生かし、クリアーなピアニズムを駆使しながら、曲の粘りや哀感を存分に描きつくしている。

第2楽章のあふれんばかりの感情と燃え立つ心、フィナーレのリズム感、いずれもこれぞラフマニノフといいたいほどだ。

全楽章が抜き差しならぬ人間感情を伝え、彼の外面性がすべてプラスに作用している。

ワイセンベルクは好調を維持していた時期は非常に短かったが、その頃の彼の演奏はなかなか言葉で表現しにくいまったく独自の魅力をもっていたことも確かだろう。

一見クールに見受けられる無表情な語り口の中に、ナイーヴでロマンティックな自己の内面をほのかに覗かせているのだ。

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2008年02月09日


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アシュケナージは指揮の分野に進出してしばらくは、鳴かず飛ばずの状態が続いた。

やはりピアニストの余技かと思っていたら、このラフマニノフの交響曲全集でホームランをかっ飛ばしたのだった。

コンセルトヘボウ管弦楽団の輝かしいサウンドもさることながら、何よりもアシュケナージの共感に溢れた曲へのアプローチが、聴き手の心を捉えたのに違いない。

ノスタルジックに旋律を歌わせる一方で、スケール感のある構成力にも冴えをみせた。 

アシュケナージはコンセルトヘボウ管の強固な合奏力を駆使し、これら3曲のオーケストレーションをそれ自体の特色を失わず明快に表出する。

その響きは深く、重厚で、各曲の表面を整えるばかりでなく、激しい共感をもってラフマニノフの劇性と抒情、ロシア的特質を表現している。

全体の造形も平衡感が強く、アシュケナージの鋭敏な感受性のことごとくが注ぎ込まれた秀演だ。

第2番はアシュケナージとコンセルトヘボウ管の初共演。

アシュケナージの類まれな音楽性と作品への共感が、素晴らしい演奏を作っている。

あらゆる楽句が感興に満ちて歌い、しかも対位法的な書法や重厚な和音が見事なバランスで表出されているため、すこぶる彫りの深い表現が生まれているのだ。

数多いこの曲のディスクの中でも、トップを争う出来映えといえよう。

これで一皮むけた彼は、指揮者として全世界的な認知を受けるようになったのである。

これは後世に残してしかるべき、素晴らしい名演と評したいと思う。

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2007年12月24日


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旧盤を上回る出来。

アシュケナージのタッチが実に魅力的だ。

美しい響きを無理なく引き出して、低音も決して重くない。

センチメンタルにならず、常に品位を保ち、しかも暖かい感情を失わない。

第2番の第1楽章は透明なタッチと美しいリリシズム、すばらしい生きたリズムやアクセントが、アシュケナージらしい。

第2楽章も、高音には滲み出すような哀しみの色がある。

フィナーレの透明度は、とてもピアノという楽器が発するとは思えないほど。

ハイティンクの円熟ぶりも目をひく。

弦を豊かに響かせながら、それを自在にコントロールしてラフマニノフにふさわしい豊かな広がりをつくり出している。

オケも指揮者も音楽性満点で、フィナーレでの生命力、最高の厚みなど、ただ聴きほれるのみ。

「パガニーニの主題による狂詩曲」は現今、これ以上は不可能という線まで達した超名演。

アシュケナージの音色の色彩感は、オーケストラ以上とさえいえるし、リズムやテクニック、タッチ、洗練されたしゃれっ気、孤独な心の告白など、ただ舌を巻いて聴き入るのみだ。

ピアノの生き生きとした表情が豊かな振幅をつくり、聴く者をひきつける。

ハイティンクの指揮も生々しく敏感で響きがいかにも立派。

第3番も名演だが、成功の半分はハイティンクによるものだろう。

アシュケナージのピアノは華やかな響きから虚無感まで、表情の幅が非常に広い。

第4番も同様だ。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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