クリュイタンス

2016年05月07日


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アンドレ・クリュイタンスのフランス物の中では圧倒的に評価が高く、また曲数の上でも他を凌駕するラヴェルの演奏集は、概ね国内でSACD化されているが、ドビュッシーの作品となるとその演奏水準の高さにも拘らず録音自体僅かしか遺されていない。

クリュイタンスが全盛期に亡くなったことも関係しているかも知れないが、ここに収録された2曲の他には2種類の『ペレアスとメリザンド』ライヴ録音と『神聖な舞曲と世俗的な舞曲』があるのみだ。

とりわけ、『映像』は絶品で、クリュイタンスは、音楽を自然に流しながら、陰影にとんだドビュッシーの世界を、実に精緻に表出している。

「イベリア」での比類のないみずみずしさとしなやかさ、「夜のかおり」の官能的な響き、「春の踊り」もデリカシーがあって感覚の整然としたまとまりの中から、なごやかな詩がほのぼのとわきあがってくる。

『遊戯』も、まことに折り目正しい演奏で、フランス風のエレガントなセンスと、表情づけの細やかさという点で傑出した演奏である。

この2曲は幸いステレオ・セッション録音で、音源の状態も良好なのでSACD化の価値は高いと言えるところであり、レギュラー盤に比較してオーケストラに一層艶やかな色合いが醸し出されている。

特に印象派の作品ならではの移り変わる陰翳や光彩の表現に管弦楽をリミックスする絶妙な技を発揮したクリュイタンスだけに、ドビュッシー作品集は欠かせないコレクションになるに違いない。

確かに50分余りの収録時間は1枚のディスクにしては少な過ぎるとは思うのだが。

ところで、ドビュッシーには明らかに現代音楽の先駆の顔がある。

しかも、一筋縄ではいかない狷介さも併せ持っている。

『遊戯』や『映像』という標題性や具体的な楽曲につけられた解説を読んで、イメージをふくらませることはできるが、聴いた後に、それだけでは得心できないものを感じるリスナーも多いであろう。

ドビュッシー音楽のこのような複雑な構造を、クリュイタンスは「あるがまま」に描き出そうとしているようだ。

標題性の強調よりも、斬新なパーカッションの使い方や、弦楽器のデフォルメされたグラマラスな響きなどを実に慎重に扱いながら、魅力的な音楽空間をそこに創り出している。

たとえば、フォーレのレクイエムでみせた「非作為」のスタンスから導かれる自然の美しさの表出をここでも感じる。

クリュイタンスという秀でた指揮者は、どんな音楽でも、彼のもつ抜群の平衡感覚で素材の良さを最大限に引き出せるところにあるのではないか。

クリュイタンスの手によって、ドビュッシー音楽の先駆性を考えさせられた1枚である。

ベルギー生まれの名指揮者であるクリュイタンスは、パリ音楽院管弦楽団の正指揮者を1944年から67年までつとめ、このオーケストラの黄金時代を築き上げた。

当時のパリ音楽院管弦楽団は一癖も二癖もある奏者が揃っていて、団結力では他のオーケストラに譲るが、曲中随所に現れるソロやアンサンブルの部分ではそれぞれの名手がここぞとばかりにスタンド・プレイ的な名人芸を聴かせてくれた。

中でもウィンド、ブラス・セクションにはこの時代の彼らにしか聴けないような官能的な雰囲気を漂わせた音色と奏法が特徴的で、クリュイタンスも彼らに最大限の敬意を払い、それを許容していたと思わせる大らかさが感じられる。

他のレパートリーはいざ知らずフランス物に関しては彼はパリ音楽院には統率ではなく、如何に個性を引き出すかを考えていたのではないだろうか。

そうした面白さを知っているオールド・ファンにとっては解散前の彼らの極めて個性的で貴重なサンプルでもある。

このコンビによる『海』や『夜想曲』などの録音がないのが惜しまれてならない。

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2016年02月06日


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ヴェニアス・レーベルからリリースされているアンドレ・クリュイタンス・シリーズの第3集に当たり、今回は1948年から1964年までの彼のオペラ録音をセッション、ライヴともに網羅的に収集した、これ迄では最多数の56枚のセットになる。

ただし1964年以降の代表盤であるオッフェンバックの『ホフマン物語』ステレオ録音は含まれていない。

当時のスター歌手を文字通りきら星のように配した豪華絢爛なキャストで、クリュイタンスのレパートリーから外すことはできない筈だが、次回以降に回すということだろうか、ここでは同曲の1948年のモノラル盤が収められている。

多くのCDが既に製造中止の憂き目に遭っていて復活が望まれていたものばかりだが、その幾つかを紹介すると、先ず1962年にパリでセッション録音されたムソルグスキーの『ボリス・ゴドゥノフ』のステレオ音源で、鮮やかな情景描写と登場人物のキャラクターを描き分ける手腕が縦横に発揮された、クリュイタンスの数少ないスラヴ系オペラのレパートリーだ。

彼はボリスの死で幕が降ろされる1908年のリムスキー=コルサコフ版を採用している。

歌手ではシャリアピンの再来と言われたボリス・クリストフがタイトル・ロールの他にピーメン、ヴァルラームの3役を歌った、彼にとっては2度目の録音で、中でも第2幕時計の場(CD28トラック13)でのボリス狂乱のシーンが迫真の演技でこの物語のおぞましさを象徴している。

ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』はバイエルン放送交響楽団との1955年盤とフランス国立放送管弦楽団との1956年盤の2種類が入っている。

どちらもモノラル録音だが後者のジャンサン、デ・ロス・アンへレス、スゼーを配した演奏の方がより精妙でシュールレアリズム的なストーリーを象徴している。

ビゼーの『カルメン』も2種類が収録されているが、1950年のオペラ・コミーク版は後に編曲される壮麗なグランド・オペラとはかなり異なった、生前作曲家自身が構想していたセリフを交えて進行する、本来の舞台劇としての細かいニュアンスを伝える演奏が秀逸だ。

後半はドイツ物で、クリュイタンスがバイロイト音楽祭の3シーズンを続けて振った3種類の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』が圧巻だが、それぞれのキャストが微妙に違っている。

例えば1956年にハンス・ザックスを歌ったホッターは1958年にはポーグナーに替わり、ヴァルターは1956年がヴィントガッセン、1957年はヴァルター・ガイスラー、そして1958年にはヨーゼフ・トラクセルが歌っている。

歌詞対訳は一切省略されているし、ライナー・ノーツさえ付いていない。

ボックスは幅16X奥行き13,5X高さ12,5cmの美麗でしっかりした装丁だが、底面にMADE IN UEとだけ記されていて会社の住所もサイトの表示もない、一種のダミー・カンパニーなのだろうか。

ヴェニアス・レーベルの企画はオールド・ファンにとっては魅力的なものが多く、またコスト・パフォーマンス的にもかなりリーズナブルだが、CDは何故か欧米のマーケットには全く出ていないので、主として日本人のクラシック通をターゲットにした商法なのかも知れない。

尚それぞれのジャケットの裏面に収録曲とトラック見出し及び演奏者、録音データが掲載されている。

音質は概ね良好で、一番古い1948年の『ホフマン物語』でも声楽部分は良く捉えられている。

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2015年11月03日


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絢爛豪華なメルヘンの世界を堪能できるオペラだ。

主人公ホフマンが失恋する3人の女性にダンジェロ、シュヴァルツコップ、デ=ロス・アンヘレスといった当時のプリマ・ドンナ3人を配し、それに対抗する男声側もタイトル・ロールのゲッダほか強力かつ贅沢な布陣が聴きどころで、さながらJ.シュトラウスの『こうもり』のガラ・コンサートを聴くようなスリルと豪華さにこのオペラの醍醐味がある。

はっきり言ってストーリーの筋書きは殆んど荒唐無稽だが、終幕大詰めのシーンで絶望するホフマンに天の声が語りかけて、彼が感極まる部分でクリュイタンスは見事なクライマックスを創り上げている。

リブレットだけを読むと安っぽい台本にしか思えないが、これを一晩の飛びっきり気の利いた慰みに仕上げてしまうオッフェンバックの職人技と、劇場感覚に精通した勘の良さには改めて驚かざるを得ない。

アンドレ・クリュイタンスはワーグナーのバイロイト・ライヴは別として、彼の全盛期にいくつかのオペラをEMIにセッション録音で遺している。

モノラル時代の代表としてはオペラ・コミークとの『カルメン』やストラヴィンスキーの『うぐいす』、第1回目の『ホフマン物語』そしてドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』、そしてムソルグスキーの『ボリス・ゴドノフ』、グノーの『ファウスト』の最初の録音などがあり、ステレオ時代に入ってからは共に2回目になる『ホフマン』及び『ファウスト』が挙げられる。

しかもそれらの総てが名演の名に恥じないもので、クリュイタンスのオーケストラル・ワークばかりに拘っている方にも是非お薦めしたい演目だ。

この『ホフマン』が1回目のセッションと大きく異なっている点は、入れ替わり立ち代りする多くの登場人物に当時を代表する名歌手を当て、ライヴでは殆んど望めないキャスティングを組んでいることだ。

また物語自体のシュール・レアリズム的な雰囲気に加えて、オッフェンバックのシンプルだが巧妙なオーケストレーションと効果的な歌唱がちりばめられて、オペラが絢爛豪華な一大メルヘンの様相を呈している。

こうした作曲家のストラテジーを究極的に活かしたクリュイタンスの指揮者としての采配にも感心させられる演奏だ。

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2015年09月15日


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EMIのミドル・プライスによるオペラ・シリーズの1組で、クリュイタンスの全盛期1958年にパリ・オペラ座管弦楽団及び合唱団を率いてのセッションは歴としたステレオ録音だが、この音源は1989年にデジタル・リマスタリングされ音質も充分満足のいくものになっている。

この演奏ではクリュイタンスのリリシズムが抜きん出ていて、グノーの音楽的な趣味を溢れんばかりに伝えている。

グノーはゲーテの原作の精神性とは裏腹の声と視覚に訴える、華麗で映像的なオペラに作曲しているのだが、その色彩感やドラマ性の魅力を余すところなく引き出して、堂々たるグランド・オペラに仕上げたクリュイタンスの力量を高く評価したい。

歌手では主役級の4人の活躍が聴きどころで、この時期ならではのキャスティングによる名歌手達の饗宴を堪能できるのも大きな魅力になっている。

またパリ・オペラ座管弦楽団は、劇場のオーケストラらしく融通の利いたサポートとカラフルでダイナミックな音響も特筆される。

ニコライ・ゲッダの歌うタイトル・ロールには若返ったファウストの颯爽とした高貴さが良く表れている。

第3幕のアリア「清らかな住まい」の抒情と苦もなく聴かせるハイCはこの場の醍醐味のひとつだ。

筆者は過去に1度だけゲッダのリサイタルを聴く機会に恵まれたが、その美声だけでなく他国語を母国語のように操る並外れた才能と長身で舞台映えのする容姿が印象に残っている。

メフィストフェレスを演じるボリス・クリストフによる第2幕の「金の子牛の歌」と第4幕の「眠ったふりをせずに聞きたまえ」はアクの強い強引とも思える歌い回しだが、シャリアピンを髣髴とさせる徹底した舞台役者としての演技が感じられる。

彼はクリュイタンスとムソルグスキーの『ボリス・ゴドノフ』も録音しているので、同シリーズでの復活も望みたい。

一方デ・ロス・アンへレスの清楚なマルグリートも得がたい当たり役だと思う。

第3幕の「昔トゥーレに王ありき」に始まる「宝石の歌」のシーンを、世間知らずの純粋さと仄かな甘美さで表現し切っている。

また出番は短いがマルグリートの兄ヴァランタン役のバリトン、エルネスト・ブランは第2幕のカヴァティーナ「この土地を離れる前に」で若々しく誠実な役柄を歌い上げていて、これもこのオペラの名唱に数えられるだろう。

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2015年09月14日


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EMIマスター・シリーズに移行してから更にパッケージのデザインを一新しての再リリース。

1962年と63年の古いセッションだが、リマスタリングされているので音質は極めて良好だ。

フォーレの『レクイエム』については若干手薄なコーラスが気になる他は、ソリストを含めて稀に見る演奏で、名盤と呼ばれるに恥じない天上的な美しさを持っている。

フィッシャー=ディースカウの包み込むような慈愛に満ちた表現と、清楚でありながらそこはかとない艶やかさを持ったデ・ロス・アンへレスの歌唱はこの曲の録音の中でも傑出したものだろう。

そしてパリ音楽院管弦楽団から、いかにもフォーレらしい淡い光彩と穏やかな情感を引き出したクリュイタンスの力量は流石だ。

また初出時は単独のリリースだったが、このシリーズではドビュッシーの管弦楽のための『映像』が加わったことは評価できる。

こちらも歴としたステレオ録音で、意外と思えるほど音質が改善されていて鑑賞に全く不都合はない。

ここに収録された5曲のドビュッシーは彼の数少ない録音で、以前日本盤でリリースされた時には、1枚のCDにこの『映像』と舞踏詩『遊戯』がカップリングされていた。

後者は現在ラヴェルの『ダフニスとクロエ』の余白に入った外盤が入手可能だ。

言い尽くされたことだが、クリュイタンスのフランスものには格別の味わいがある。

元来パリ音楽院管弦楽団は団員の個性が強く、オーケストラのソロ・パートの巧みさや味のある演奏にかけては人後に落ちなかったが、さほどバランスのとれた統率感の感じられる楽団ではなかった。

しかしクリュイタンスの指揮の下では、実に良くまとまった暖色系の美しい音色を自在に発揮している。

絵画に例えるなら油彩の強烈さと水彩の微妙な色彩変化をも敏感に描き出す実力を持ち合わせていた。

それだけにメンバーのクリュイタンスに寄せる信頼と敬意は大きかったに違いない。

現在ではオーケストラの国際化の影響で、抜きん出た特徴を持つ楽団は次第に姿を消しつつあるが、パリ音楽院はその最たる例で、彼らの解散は後のグローバル化の象徴になってしまった感がある。

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2015年08月04日


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アンドレ・クリュイタンスが1962年にトリノのRAI放送用ライヴとして録音したドビュッシーのカンタータ『放蕩息子』及びオネゲルの交響曲第3番『典礼風』の2曲を収録したCDで、当時のライヴとしては優れたステレオ録音で鑑賞できるのが嬉しい。

オーケストラはどちらもトリノRAI交響楽団で、この頃イタリア国営放送局RAIではトリノ、ローマ、ナポリのそれぞれの都市に専用のオーケストラを抱えていて一流どころの指揮者の客演によって高水準のコンサートや放送用演奏を行っていた。

現在ひとつに統合されたこのオーケストラは、サンタ・チェチーリア以外にはオペラ劇場から独立した楽団がなかったイタリアで、純粋なオーケストラル・ワークも器用にこなす機動力を備えていた。

クリュイタンスはかなりの量のラヴェルの作品をセッションで遺してくれたが、ドビュッシーに関してはオペラ『ペレアスとメリザンド』以下数えるほどしかなく、いずれもが素晴らしい仕上がりだけにその早過ぎた死が惜しまれてならない。

この『放蕩息子』は、ルカ福音書にあるキリストの喩え話からエドゥアール・ギニャンが脚色した抒情詩を22歳のドビュッシーが簡潔なカンタータ風に仕上げた作品で、和声的にも後の『ペレアス』の萌芽とも考えられている。

リア役にソプラノのジャニーヌ・ミショー、アザエルにテノールのミシェル・セネシャル、シメオンにバリトンのピエール・モレのベテラン・フランス系歌手を起用したことも成功の要因だろう。

劇場作品でキャリアを始めたクリュイタンスならではの自然にドラマを引き出して情景をイメージさせる指揮法の巧みさと、家族との再会によって救われる息子と母の安堵、父の寛大な赦しと神への感謝と続くリリカルな高揚感は官能的でさえある。

一方オネゲルについても他にクリュイタンスのサンプルがなくそれだけでも貴重なコレクションになり得るものだが、戦争の傷跡から立ち直りつつあった状況下で収録されただけに、この曲に賭けた平和への切実な願望と熱意が伝わって来る演奏だ。

しかしオーケストラの色調はむしろ明るく、未来に希望を託して平穏のうちに終了するフィナーレも生命感に漲っていて神々しいものがある。

客席からの拍手の他に咳払いや雑音が若干入っているが、鑑賞に煩わしくない程度のもので音質は鮮明。

12ページほどのライナー・ノーツにはクリュイタンスのキャリアとごく簡単な曲目解説が英、独、仏、伊語で、『放蕩息子』のリブレットはオリジナルの仏語で掲載されている。

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2015年03月04日


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天才ピアニストフランソワと名指揮者クリュイタンス、加えてオーケストラはパリ音楽院管弦楽団という、当時のフランスを代表していた最高のメンバーによるラヴェルの有名な2つのピアノ協奏曲を収録。

クリュイタンス&フランソワという夢のようなコンビによるラヴェルのピアノ協奏曲の名演だ。

クリュイタンスの最高の遺産と言えば、やはりラヴェルの管弦楽曲集を掲げる聴き手が多いのではなかろうか。

フランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わい、ドイツ音楽を得意とした巨匠ならではの重厚さと造型美、これらを合わせ持つアプローチが、華麗なオーケストレーションを誇るラヴェルの管弦楽曲の魅力を完璧に表現してくれているからである。

そうしたラヴェルを得意としたクリュイタンスによるピアノ協奏曲、左手のためのピアノ協奏曲も素晴らしい。

フランス系の指揮者ならではのエスプリ漂う瀟洒な味わいと、シンフォニックな重厚さが、見事にマッチングして、独特の魅力を醸し出している。

パリ音楽院管弦楽団も、そうしたクリュイタンスの指揮の下、最高のパフォーマンスを示している。

そして、それらを土台としたフランソワの個性的なピアノの見事さ。

あくの強いと言われるフランソワであるが、ここでは、センス満点のきらめくようなピアニズムで、ラヴェルの魔法のような旋律を完璧に再現している。

天才だが気分屋で出来不出来が激しかったとされるフランソワだが、本盤では気品溢れるクリュイタンスの指揮とガッチリ噛み合っており、最初から最後まで輝きに溢れた演奏を聴かせてくれる。

その美しさには、あたかも「メトロの臭いがする」というセリフがぴったりとするような香気に溢れると言えるほどだ。

フランス的な風味の濃い、孤高の名演と言えるところであり、クリュイタンスの率いるオーケストラとフランソワのピアノは見事に調和して1つの音楽を形成し、何度聴いてもそのたびに感銘を受ける。

音質は、従来CD盤が今一つの音質であったが、数年前に発売されたHQCD盤は、若干ではあるが音質が鮮明になるとともに、音場が幅広くなったと言えるところであり、筆者も当該HQCD盤を愛聴してきたところだ。

しかしながら、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって大変驚いた。

従来CD盤やHQCD盤とは次元が異なる見違えるような、そして1960年代のEMIによるスタジオ録音とは到底信じられないような鮮明な音質に生まれ変わった。

いずれにしても、フランソワ&クリュイタンスによる至高の名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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2015年02月24日


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1964年5月7日 東京文化会館に於けるライヴ録音。

クリュイタンスがパリ音楽院管弦楽団とスタジオ録音した4枚にもわたるラヴェルの管弦楽曲全集は、フランス風のエスプリに満ち溢れた不朽の名盤として名高い。

本盤は、当該全集が録音された直後の来日時のライヴ録音であるが、演奏は実に素晴らしい。

いずれの曲も、スタジオ録音と同様に、フランス風のエスプリに満ち溢れているが、それに加えて、ライヴならではの圧倒的な迫力や即興性があるのが特徴だ。

ここには、優雅さの表出にかけては右に出るもののいないクリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団のコンビが作り出すフランス本場物の“熱さ”が聴ける。

スペイン狂詩曲やラ・ヴァルス、ダフニスとクロエの第2組曲の終結部の猛烈なアッチェレランドと劇的な大強奏や、マ・メール・ロワやクープランの墓での絶妙に揺れ動くテンポ設定の下、各楽章を巧みに描き分けをしていくという、いわゆる即興性は、スタジオ録音には見られない本盤の特徴と言うことが出来よう。

有名な亡き王女のためのパヴァーヌも、決して通俗には陥らず、クリュイタンスが指揮すると、高貴にして優美な抒情で満ち溢れるのはさすがと言うべきであろう。

『日本のファンはパリ音楽院の最後の香りを味わった。ラヴェルは彼らの最も得意とする曲目だけに僕も体がしびれる思いがしたものだ。「亡き王女」はなんとまたエレガントに始まることだろう、これぞ王朝の音楽だ。「ラ・ヴァルス」における多彩な表現力「ダフニスとクロエ」における木管の震えるような魅力についてはどんな絶賛してもしすぎることはないだろう』(宇野 功芳)

かつて発売されていたモノラル録音は、やや音質に難があったが、リマスタリングによりかなり聴きやすい音質に生まれ変わった。

更に、嬉しいのは、本盤には、新たに発見されたステレオ音源が収録されていることで、より一層音質に臨場感が加わったのは素晴らしい限りだ。

クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団が日本でラヴェルを演奏した記録が高音質で再現される衝撃は大きく、このコンビがEMIにスタジオ録音したラヴェルと同水準のものが、ライヴで再現されるのをCDで聴くのは素晴らしいことだ。

特に、ラ・ヴァルスの劇的な終結部が、モノラルではやや籠った音であったが、かなり鮮明な音質に変化した点が印象的であった。

この演奏を実際に聴いた人にはもちろん、そうでない人にもこれはかけがえのない「アルバム」となることであろう。

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2015年02月03日


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幻想交響曲の名演のひとつであり、クリュイタンスの代表的録音のひとつでもある名高いディスク。

クリュイタンスによる幻想交響曲と言えば、来日時の爆演が思い浮かぶが、長らくの間、モノラル録音のみの発売であったこともあり、本盤のスタジオ録音の方に食指が動く聴き手も多かったものと思われる。

しかしながら、先般、来日時の爆演のステレオ録音盤が発売されたことにより、ついに、クリュイタンスの幻想交響曲の決定盤としての地位が固まったように思われる。

しかしながら、だからと言って、本盤の価値がいささかも減じたわけではない。

鋭敏なリズム感と色彩感覚が見事に一体となり、豊かな響きを作り出していて、あくまでも高雅な雰囲気をたたえつつ、熱いほとばしりにも富んだ、絶妙なバランスをもった演奏になっている。

ライヴ録音ならではの凄まじい迫力においては、一歩譲ると言わざるを得ないが、ライヴ録音特有の瑕疵がなく、オーケストラの安定性などを加味すれば、本盤も、来日時の名演に優るとも劣らない名演と評価しても過言ではないものと思われる。

幻想交響曲は、多くのフランス系の指揮者によって演奏されてきたが、クリュイタンスのアプローチは、そうしたフランス系の指揮者特有のフランス風のエスプリと、ドイツ風の重厚さを併せ持った独特の味わいを持つと言える。

その理由としては、クリュイタンスが、ベートーヴェンやワーグナーなどをも得意のレパートリーとしていたことが掲げられる。

クリュイタンスの演奏は、決して激情にまかせて我を忘れることなく、最初から最後まで絶妙のテンポをきっちり守り、ある種の規則正しい素っ気なさの中に実に豊かな色あい、幽玄の美、内に秘めた情熱、絶望の底知れない暗さ、生きる力強さなどが矛盾しながら見事にまとめあげられ1つの作品解釈として完成している。

柔らかい中に強さがあり、規則性のなかの人間性というように矛盾を昇華させ表現することができる稀有の指揮者だ。

この演奏を聴くにつれ、胸の中で青白い炎が揺らめき、うねっていくような感情に捉われた。

終楽章のスタジオ録音とは思えないような畳み掛けるようなアッチェレランドの凄まじさも、素晴らしいの一言だ。

クリュイタンスの操る精緻ながらにして伸びやか、また堅強なソリストに支えられた激情の波は、決して最終章まで幻想の中で過去にされることを拒み続ける。

クリュイタンス&フィルハーモニア管弦楽団は、ベルリオーズの譜面を単に音にしたのではなく、ベルリオーズの報われない壮大な美しい恋の幻想を、時空も幻想も超えた音に乗せて命を吹き込んでくれたのであった。

この当時のフィルハーモニア管弦楽団も多文化性の中に伝統を感じさせ、力のこもったよい演奏だ。

併録の2つの序曲も名演だ。

HQCD化によって、音場が広くなり、より鮮明になった点も、本盤の価値を高めることに大きく貢献している。

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2014年11月18日


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クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団という黄金コンビが遺した素晴らしい名演だ。

特に、「アルルの女」の第1組曲及び第2組曲については、同曲随一の超名演と高く評価したい。

何よりも、演奏の持つ筆舌には尽くしがたいフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいに完全にノックアウトされてしまう。

クリュイタンスの指揮は、テンポの設計や間のとり方など、単にお国物というだけではない名人芸を披露している。

ビゼーのオーケストレーションが実に巧みであることもあって、どの演奏を聴いても、それなりにプロヴァンス地方の雰囲気を彷彿とさせるような味わい深い演奏をすることは可能であるが、クリュイタンスの表現はそもそも次元が異なる。

クリュイタンスは、やや遅めのテンポで丹念に仕上げながら、ビゼーならではの色彩感を格調高く引き出し、「アルルの女」の舞台となったのどかなプロヴァンスの雰囲気を色濃く表現している。

1音1音に独特の表情付けがあり、管楽器や弦楽器、そして打楽器に至るまで、そのすべてがセンス満点の響きに満たされているのだ。

それは他の演奏には聴かれない本演奏固有のものであり、あたかも演奏の端々から南仏の豊かな香りや空気感さえもが漂ってくるかのようだ。

これはクリュイタンスならではの表現世界と言えるところであり、永遠に光を失うことのない、歴史的な名演奏と言えよう。

これほどのセンス満点の名演は、クリュイタンス、そしてパリ音楽院管弦楽団としても会心の演奏であったと言えるのではないだろうか。

上昇管付きフレンチホルン、細管の金管、バッソンなど、生粋のフランスの音が花盛りであり、ビゼーの傑作をこんな音で聴く楽しさは筆舌に尽くせない。

これは失われたフランスの香りに満ちた超一流の名演で、まさにオーケストラのグローバル化が進む前の貴重な記録と言えよう。

他方、「カルメン」についてはクリュイタンスとしては普通の出来であると思うが、それでも名演と評価するのにいささかも躊躇しない。

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2014年08月06日


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これは素晴らしい名演だ。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ベートーヴェンが作曲した最も美しい作品との評価がなされており、いわゆる4大ヴァイオリン協奏曲の中でもその格調の高い優美さが際立った作品である。

本演奏は、かかる同曲の作風と見事に符号したものと言えるだろう。

オイストラフのヴァイオリンは、本演奏でもその持ち前の卓越した技量を聴き取ることは可能であるが、技量一辺倒にはいささかも陥っておらず、どこをとっても情感豊かで気品に満ち溢れているのが素晴らしい。

とりわけ、第2楽章における豊麗で歌謡性豊かな歌い方は、抗し難い美しさに満たされている。

この気高い美しさを誇るオイストラフのヴァイオリンを見事に引き立てているのが、クリュイタンス&フランス国立放送局管弦楽団による美演ということになる。

クリュイタンスは、もちろんフランス音楽が主要なレパートリーと言えるが、ベルリン・フィルとベートーヴェンの交響曲全集を録音するなど、ベートーヴェンを得意のレパートリーとしていた。

本演奏でも、クリュイタンスのベートーヴェンに対する深い理解と愛着に根差した円熟の指揮ぶりが見事であり、重厚なドイツ風の演奏の中にも、独特の洒落た味わいが感じられるのが魅力的である。

クリュイタンスの統率の下、フランス風の瀟洒な味わいの音色が魅力のフランス国立放送局管弦楽団も、要所においてはドイツ風の重厚な演奏を展開しているのが素晴らしい。

いずれにしても、本演奏は、同曲演奏史上でも最も気高い優美さに満ち溢れた名演と高く評価したい。

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2014年04月29日


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フォーレのレクイエムは、世界3大レクイエムの一角を占める名曲中の名曲ではあるが、あまりにも慎ましやかな楽曲であるだけに、演奏自体は3大レクイエムの中で最も難しい。

静謐さを旨とする楽曲であるだけに、とりわけ合唱があまりにも壮麗であると楽曲自体の雰囲気をぶち壊してしまう危険性があり、起用する独唱者や合唱団によってその演奏の成否がかかっていると言っても過言ではあるまい。

本演奏については、とある影響力の大きい某音楽評論家は独唱にボーイソプラノではなく、通常のソプラノ(女声)を使用していることを採り上げて酷評しているし、エリザベト・ブラッスール合唱団による女声合唱についても静謐さを欠くとの批判をする聴き手も一部に存在していると言えるところだ。

もっとも、かかる批判の是非は別として、本演奏全体に漂う独特のエレガントな味わいには抗し難い魅力があると言えるところであり、筆者としては、本演奏を、コルボ&ベルン交響楽団による名演(1972年)と並んで、同曲の演奏史上でもトップの座を争う至高の超名演と高く評価したいと考えている。

本演奏で何よりも素晴らしいのは、前述のようなクリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団が醸し出す瀟洒な味わいに満ち溢れたセンス満点の美演であると考えられる。

あまりにも静謐で、全体的に弱音が支配する同曲のオーケストラパートであるが、この黄金コンビはいかに静寂が支配する箇所においても、いわゆるフランス風のエスプリに満ち溢れた豊かな情感に満ち溢れており、清澄さと優美さを併せ持つ稀有の演奏に仕上がっていると言えるのではないだろうか。

加えて、独唱陣が極めて優秀であり、ヴィクトリア・デ・ロス・アンへレスとディートリヒ・フィッシャー=ディースカウともども、これ以上は求め得ないような圧倒的な名唱を披露していると評価したい。

エリザベト・ブラッスール合唱団による女声合唱については、確かに前述のコルボ盤におけるサン・ピエール=オ=リアン・ドゥ・ビュール聖歌隊による少年を主体とする合唱と比較すると、その清澄な美しさにおいて若干の問題がないとは言えなくもない。

しかしながら、それは高い次元での比較の問題であり、筆者としては、合唱についてもさすがに清澄の極みとも言うべき名唱とは言い難い面もあるが、少なくとも本名演の価値を減じるほどの瑕疵はないのではないかと考えている。

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2014年02月18日


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ネット配信が隆盛期を迎えパッケージメディアの権威が失墜しつつある中で、一時は絶滅の危機に瀕していたSACDが、一昨年あたりから息を吹き返しつつあるようである。

というのも、SACDから撤退していた大手のユニバーサルがシングルレイヤーによるSHM−CD仕様のSACDの発売に踏み切るとともに、本年からはEMIがSACDの発売を開始したからである。

これには、オクタヴィアやESOTERICなどの国内レーベルがSACDを発売し続けてきたことが大きいと思うが、いずれにしても、今後とも過去の大指揮者による名演を可能な限りSACD化して、少しでもかつてのパッケージメディア全盛期の栄光を取り戻していただきたいと心より願っているところだ。

そして、今般、大指揮者の歴史的な来日公演のCD化に積極的に取り組んできたアルトゥスレーベルが、ついにSACDの発売を開始したのは、かかる昨年来の好ましい傾向を助長するものとして大いに歓迎したい。

本盤に収められたベルリオーズの幻想交響曲は、クリュイタンスの十八番とも言うべき楽曲である。

本演奏の6年前にもフィルハーモニア管弦楽団とともにスタジオ録音(1958年)を行っており、それはクリュイタンスならではのフランス風のエスプリに満ち溢れた瀟洒な味わいの名演であった。

ところが、本演奏においては、クリュイタンスは1958年盤とは別人のような指揮ぶりである。

来日時のコンサートでのライヴということもあると思うが、これは爆演と言ってもいいような圧倒的な高揚感を発揮していると言えるだろう。

どこをとっても凄まじいまでの気迫と強靭な生命力が漲っており、切れば血が噴き出てくるような灼熱のような指揮ぶりである。

とりわけ、終楽章においては、トゥッティに向けて畳み掛けていくような猛烈なアッチェレランドを駆使しており、その圧巻の迫力は我々聴き手の度肝を抜くのに十分だ。

それでいて、とりわけ第2楽章や第3楽章などにおいて顕著であるが、パリ音楽院管弦楽団の各奏者による名演奏も相俟って、この指揮者ならではのフランス風のエスプリ漂う洒落た味わいに満ち溢れている。

いずれにしても本演奏は、我々が同曲の演奏に求めるすべての要素を兼ね備えた至高の超名演に仕上がっていると高く評価したい。

併録の2曲は当日のアンコールであるが、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」からの抜粋である古い城は濃厚なロマンティシズムを感じさせる名演であり、ビゼーの組曲「アルルの女」からの抜粋であるファランドールに至っては、金管楽器の最強奏などによりとてつもない音塊が迫ってくるような壮絶な演奏であり、そのド迫力に完全にノックアウトされてしまった。

そして、このような歴史的な超名演を心行くまで満喫させてくれるのが、今般のシングルレイヤーによるSACDによる極上の高音質である。

既に、アルトゥスから発売されていた従来盤と比較すると、そもそも次元の異なる鮮明な高音質に生まれ変わった。

いずれにしても、かかる歴史的超名演を現在望み得る最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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2013年09月06日


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果たしてこれ以上の演奏が可能と言えるであろうか。

ラヴェルの管弦楽曲は、光彩陸離たる華麗なオーケストレーションが魅力の一つであり、それ故に多くの指揮者によってオーケストラ曲としての醍醐味を味わわせてくれる数々の華麗な名演が成し遂げられてきているところであるが、クリュイタンスの演奏は別格の素晴らしさを誇っていると言えるのではないだろうか。

もちろん、他の指揮者による演奏と同様に華麗さにおいてもいささかも不足はないが、どこをとってもフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと独特の気品に満ち溢れているという点において、他の指揮者による演奏とは一線を画している。

そして、一聴すると曲想を精緻に描き出して行くというオーソドックスな演奏のように聴こえなくもないが、よく聴くと各フレーズには独特の洒落たニュアンスと瑞々しいまでの感性が満ち溢れており、常にコクのある響きが全体を支配しているのが素晴らしい。

しかも、コクのある響きと言っても厚手の衣装をまとったような重苦しさなどはいささかもなく、むしろ現代的な清新さを兼ね備えていると言えるところであり、こうしたいささかも古色蒼然としていない清新さが、本管弦楽曲集を普遍的な価値を有するものとするのに大きく貢献している。

本盤に収められた各小品もそうしたクリュイタンスの芸風が顕著にあらわれた超名演であり、華麗さと繊細さを併せ持つ剛柔のバランス、フランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと格調の高さ、そして瑞々しいまでの清新さといった、望み得るすべての要素を兼ね備えた完全無欠の演奏と言っても過言ではあるまい。

とりわけ、有名な亡き王女のためのパヴァ―ヌの冒頭のホルンソロの美しさには、身も心も蕩けてしまいそうになるほどだ。

そして、クリュイタンスの統率の下、美しさの極みとも言うべき名演を繰り広げたパリ音楽院管弦楽団にも大きな拍手を送りたい。

いずれにしても、本盤を含め、クリュイタンスがパリ音楽院管弦楽団とともに録音したラヴェルの管弦楽曲集は、クリュイタンスの遺した最良の遺産であるとともに、様々な指揮者によるラヴェルの管弦楽曲集の中でも随一の名演と高く評価したい。

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クリュイタンスのラヴェルは素晴らしい。

クリュイタンスがパリ音楽院管弦楽団とともに録音したラヴェルの管弦楽曲集は、クリュイタンスの遺した最良の遺産であるとともに、様々な指揮者によるラヴェルの管弦楽曲集の中でも随一の名演と高く評価してもいいのではあるまいか。

他のフランス人指揮者によるラヴェルと比べても群を抜いて素晴らしいとも言えるだろう。

ラヴェルの管弦楽曲は、光彩陸離たる華麗なオーケストレーションが魅力の一つであり、それ故に多くの指揮者によってオーケストラ曲としての醍醐味を味わわせてくれる数々の華麗な名演が成し遂げられてきているところだ。

クリュイタンスのラヴェルにも、そうした華麗さを有していると言えるが、どこをとってもフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと独特の気品に満ち溢れているという点において、他の指揮者による演奏とは一線を画している。

そして、一聴すると曲想を精緻に描き出して行くというオーソドックスな演奏のように聴こえなくもないが、よく聴くと各フレーズには独特の洒落たニュアンスと瑞々しいまでの感性が満ち溢れており、常にコクのある響きが全体を支配しているのが素晴らしい。

しかも、コクのある響きと言っても厚手の衣装をまとったような重苦しさなどはいささかもなく、むしろ現代的な清新さを兼ね備えていると言えるところであり、こうしたいささかも古色蒼然としていない清新さが、本管弦楽曲集を普遍的な価値を有するものとするのに大きく貢献している。

本盤に収められたバレエ音楽「マ・メール・ロア」や高貴で感傷的な円舞曲もそうしたクリュイタンスの芸風が顕著にあらわれた超名演であり、華麗さと繊細さを併せ持つ剛柔のバランス、フランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと格調の高さ、そして瑞々しいまでの清新さといった、望み得るすべての要素を兼ね備えた完全無欠の演奏と言っても過言ではあるまい。

クリュイタンスの統率の下、美しさの極みとも言うべき名演を繰り広げたパリ音楽院管弦楽団にも大きな拍手を送りたい。

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ラヴェルの管弦楽曲集は、その光彩陸離たる華麗なオーケストレーションの魅力もあって、様々な指揮者による主要なレパートリーとなり、これまで多種多様な演奏が繰り広げられてきているところだ。

そのようなあまた存在する演奏の中には名演と評価し得るものも数多くあるが、かかるあまたの名演に冠絶する至高の超名演こそは、本盤に収められたクリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団による演奏である。

録音から約50年が経過したにもかかわらず、現在でも本演奏を凌駕する名演があらわれていないというのは殆ど驚異的である。

本盤に収められた各曲の演奏におけるクリュタンスのアプローチは、意外にもゆったりとしたテンポにより曲想を精緻に描き出して行くというオーソドックスなものと言える。

しかしながら、一聴すると何の変哲もない演奏の各フレーズの端々からほのかに漂ってくるフランス風のエスプリには抗し難い魅力があると言えるところであり、演奏全体が醸し出す瀟洒な味わいにおいては、他の演奏の追随を許さないものがあると言えるだろう。

また、ボレロ、ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲ともに、終結部に向けて圧倒的な盛り上がりを見せる楽曲であるが、本演奏では強靭さにおいては不足がないものの、かかる箇所においても洒落た味わいをいささかも失うことがないのは、クリュイタンスのラヴェルの音楽への深い理解・愛着と同時に、その抜群の相性の良さを感じることが可能だ。

まさに、クリュイタンスによる本演奏こそは、ラヴェルの管弦楽曲演奏の理想像の具現化とも評価し得るところである。

このように洒落た味わいが際立つ演奏ではあるが、パリ音楽院管弦楽団の卓越した技量も、ラヴェルの華麗なオーケストレーションを色彩感豊かに描き出すのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

このような演奏を聴いていると、クリュイタンスが62歳という指揮者としては比較的若くしてこの世を去ってしまったことを大変に残念に思う聴き手は筆者だけではあるまい。

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クリュイタンスがパリ音楽院管弦楽団とともに録音したラヴェルの管弦楽曲集は、クリュイタンスの遺した最良の遺産であるとともに、様々な指揮者によるラヴェルの管弦楽曲集の中でも随一の名演と高く評価したい。

ラヴェルの管弦楽曲は、光彩陸離たる華麗なオーケストレーションが魅力の一つであり、それ故に多くの指揮者によってオーケストラ曲としての醍醐味を味わわせてくれる数々の華麗な名演が成し遂げられてきているところだ。

クリュイタンスもそうした指揮者の列に連なるものと考えるが、クリュイタンスの演奏はそうした華麗さにとどまらず、どこをとってもフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと独特の気品に満ち溢れているという点において、他の指揮者による演奏とは一線を画している。

そして、一聴すると曲想を精緻に描き出して行くというオーソドックスな演奏のように聴こえなくもないが、よく聴くと各フレーズには独特の洒落たニュアンスと瑞々しいまでの感性が満ち溢れており、常にコクのある響きが全体を支配しているのが素晴らしい。

しかも、コクのある響きと言っても厚手の衣装をまとったような重苦しさなどはいささかもなく、むしろ現代的な清新さを兼ね備えていると言えるところであり、こうしたいささかも古色蒼然としていない清新さが、本管弦楽曲集を普遍的な価値を有するものとするのに大きく貢献している。

本盤に収められたバレエ音楽「ダフニスとクロエ」も、そうしたクリュイタンスの芸風が顕著にあらわれた超名演であり、華麗さと繊細さを併せ持つ剛柔のバランス、フランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいと格調の高さ、そして瑞々しいまでの清新さといった、望み得るすべての要素を兼ね備えた完全無欠の演奏と言っても過言ではあるまい。

そして、クリュイタンスの統率の下、美しさの極みとも言うべき名演を繰り広げたパリ音楽院管弦楽団や、最高のパフォーマンスを発揮したルネ・デュクロ合唱団にも大きな拍手を送りたい。

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2013年07月30日


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1955年12月8日、パリでのライヴ録音。

ハスキルはベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を好んで弾いたらしく、いくつかの録音が残っている。

彼女の解釈に剛健とか力強いとかいう形容詞はそぐわない。

彼女はそういう外面的な要素とは関係なく、彼女の心にベートーヴェンの音楽が喚起したイメージを現実のものにする。

したがって、その演奏は、精神の純粋さと豊かな自発性を、生き生きした感情で音楽に対する親近感を聴き手の心に喚起する。

ハスキルが好んだ指揮者の1人がクリュイタンスで、音楽に対する純粋な感受性に基づく演奏には清々しさがある。

ピアノとオーケストラの交替で進められる第2楽章は、その点で2人の心の対話とでも呼びたい演奏になっている。

ハスキルは偉大なモーツァルト解釈者で、豊かな自発性と謙虚な姿勢がモーツァルトの音楽をありのままの姿で再現させた。

彼女のこまやかな感情に裏づけられたタッチが、音楽を生き生きと再現する時、聴く人も無私の世界に遊ぶことができる。

このライヴ録音では、彼女の個性が強い臨場感を伴って感じられる。

長調の作品におけるのびやかな飛翔と違って、音楽の悲哀感やドラマティックな性格がこまやかな陰影を伴って示される。

彼女が共演を好んだクリュイタンスの指揮にも品位があり、ハスキルへの共感が演奏を支えている。

マルケヴィチと共演したスタジオ録音も優れた演奏だが、クリュイタンスとの共演も大変貴重である。

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2011年05月30日


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クリュイタンス盤は、ゲッダ、ダンジェロ、シュヴァルツコップ、デ=ロス・アンヘレス、ロンドンなどの名歌手たちの持ち味を活かした大時代的、幻想的ロマンを感じさせる名盤である。

クリュイタンスは、この大時代的なシューダン版を用いながらも、少しも鈍重にも冗長にも陥ることなく、全てほれぼれとするばかりの美しく洒落た音楽を生み出している。

そのギャラントな味わいと、洗練された美感は、CDの鮮明な音の中に甦っている。

この成功は一にも二にもクリュイタンスの精妙をきわめた指揮の功績である。

彼の洗練された感覚と素晴らしい劇的な表情が、このオペラの逸楽ムードと美を余すところなくとらえているばかりでなく、作品により大きな風格を与え、オッフェンバックの音楽の脆弱ささえ救っているのは驚くばかりである。

クリュイタンス盤の描き出す夜は官能的で暖かく、怪奇性は減退している。

そのため全体は饗宴のような豪華絢爛とした夜の雰囲気に包まれている。

3人の恋人がそれぞれ声質の異なった歌手に割りふられていることもそれにあずかっていよう。

豪華なキャスティングも素晴らしく、ゲッダのみずみずしいホフマンを始め、各歌手の持ち味も十分に生かされている。

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2011年05月08日


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クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の最初で最後の来日公演は、1964年5月であった。

その中で、ベルリオーズの《幻想交響曲》と、この『ラヴェル・フェスティヴァル』が録音されたのは、実に幸いなことである。

《スペイン狂詩曲》、《マ・メール・ロワ》、《ラ・ヴァルス》、《クープランの墓》、《亡き王女のためのパヴァーヌ》、《ダフニスとクロエ》第2組曲というプログラムで、そのすべてがすばらしい演奏だ。

どの曲でもクリュイタンスの端正で想像力に富んだ解釈が、パリ音楽院管弦楽団の繊細で典雅な響きと結びついて芳醇なシャンパンを思わせる演奏を行ない、聴く人を快い酔いに誘ってくれる。

とくに《ラ・ヴァルス》で、混沌のうちにワルツの旋律が少しずつ形をとりながら浮かび上がってくる時の洗練されたニュアンスは忘れ難い。

また、《ダフニスとクロエ》の冒頭「夜明け」で、オーケストラの管と弦がキラキラと輝きを放ちながら、しだいに音量を加えていく時の解釈は、実に繊細で喚起力に富んでいる。

ラヴェルの音楽の古典的な性格、明晰な造型、洗練された感覚を、これほど鮮やかに再現した演奏はない。

クリュイタンスは、決してオーケストラを強い意志で引っ張ってゆくタイプの指揮者ではない。

むしろ、オーケストラの個性を引き出し、自発的な演奏に向けてまとめてゆくタイプである。

このような彼の資質が、一つ一つの情景を生き生きと再現していた。

実際、いま久々にクリュイタンスのラヴェルを聴いてみても、オーケストラの芳香、デリカシーにみちたディテールの仕上げなど、その魅力は、時代を経てもいささかも失われていない。

来日の翌年、クリュイタンスは癌で亡くなり、パリ音楽院管弦楽団は解散してパリ管弦楽団に変わってしまった。

62歳の死は、指揮者として円熟期を迎えたばかりの彼にとっては悲劇であった。

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2010年10月10日


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クリュイタンスによるベートーヴェンの交響曲全集ということに、多少の違和感を持つ人々もあるかもしれない。

しかし、このカラヤン時代初期のベルリン・フィルを指揮して1960年に完成された全集を聴けば、むしろそれが遺されたことに感謝することもできよう。

もちろん、彼がラヴェルなどのフランス音楽に最高の世界を開いた一人であることはいうまでもないが、ここでは、彼がドイツ=オーストリア音楽にも卓越した感性と識見を持っていたことが明らかにされている。

ベートーヴェンの演奏に、洗練や典雅といった表現がふさわしいのかどうかは別であるが、そこにある豊かな音楽と品格の高さは、単なる客観的演奏という以上の魅力を示している。

きびきびした音、音楽の流れの躍動性、けっして重くにごったりしない明澄な響きで演奏され、無理な作為が絶対にない。

クリュイタンスは、ゆったりとしたテンポで、それぞれの曲を処理していて、劇的にまぎれずに音楽が自然に流れている。

ベートーヴェンを豊かに歌わせるにはこのテンポが適切であった。

テンポは遅いがリズムは粘らない。どの曲も明瞭で、よく歌いよく響く。

そのためにあっさりして明朗な感じがするのだが、やはりクリュイタンスのラテン人としての性格がそうしたところに表れているのであろうか。

旋律と和声が、実に豊かに感じられる演奏である。

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2010年03月12日


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ヴェリズモ・オペラの起源は《カルメン》にまでさかのぼる。女主人公の強烈な個性、激情的なホセ、嫉妬、舞台上の殺人など、なるほどここにはヴェリズモの特徴的な要素がそろっている。

しかし《カルメン》はフランスのオペラだ。

さらにこれはオペラ・コミックでもある。

あまりにもどろどろしたドラマをいったん離れて、しゃれた台詞回し、フランス語の繊細な表現など、本来のオペラ・コミックの軽やかな雰囲気を楽しもうと思ったら、このCDがいい。

1875年に《カルメン》を初演したパリのオペラ・コミークでは、現在のレシタティーフで歌われる部分が台詞で語られていた。

この様式を伝えるのがクリュイタンスの録音で、同時にスペインを舞台としながら本質的にフランス音楽である《カルメン》の性格を最高に生かした演奏である。

クリュイタンスは軽快なテンポで演奏を進めるが、フレーズとリズムに反映された洗練された感覚が、端正な演奏にこまやかなニュアンスをもたらしている。

これほど自然で爽やかな《カルメン》は、その後聴いたことがない。

カラスやバルツァのような強烈な表現がなくても、ドラマの劇性が減じるわけではない。

クリュイタンスの明快な棒のもと、粘っこい思い入れや感情の淀みなどなくてきぱきと展開する音楽とドラマは、とても新鮮で現代的だ。

歌手の発声もフランス式、発音も純粋、オーケストラの明るい音色と軽やかな響きもクリュイタンスの解釈にふさわしい。

発声法が世界的にヴェリズモから離れ、過去のベルカントやバロックを志向している現在、《カルメン》の原点を伝えるこの演奏の価値は今後ますます高まるに違いない。

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2009年10月03日


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クリュイタンスは、ドビュッシーの管弦楽曲で優れた演奏を聴かせてくれたが、《ペレアスとメリザンド》でも音楽の微妙な響きを見事に再現している。

演奏は、申し分なく美しい。

クリュイタンスの指揮も絶妙で、声に沿って静かに流れ続けるときの見事に抑制された表現も聴きものだが、数多い間奏の気分のもたせ方もうまい。

微かなアクセントで流れてゆく声にオーケストラが繊細な色彩を重ねてゆく。

構造の隅々まで神経の行き届いた彼の解釈は、カタストロフに向かう劇と音楽の緊張感を、自然で美しい流れをもってつくり出している。

フランス語の美しさをいかした歌手達、ジャンセン(T)、スゼー(br)、ロス・アンヘレス(S)、コラール(Ms)など、当時第一線歌手の好演も忘れ難い。

特にジャンセンはうまい。

スゼーも役の雰囲気が出ている。

デ・ロス・アンヘレスは声の美しさと精妙なテクニックを豊富に聴かせる。

フランス国立放送管弦楽団の繊細な音色も魅力の一つである。

モノーラル録音ながら、この曲の最高の演奏といえよう。

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2009年09月24日


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クリュイタンスのラヴェルについては、「パリ音楽院管弦楽団とは」の項でも述べたが、特別な魅力のある名盤なので、改めて記す。

ここに聴くクリュイタンスのラヴェル解釈は、とても垢抜けしており、エレガント。

力強さは充分にあるものの、力みすぎるようなことがないし、デリケートな部分はたいそうデリケートに対処しながらも、弱々しくなってしまうようなことがない。

ラヴェルのコンテクスト固有の、気むらな感じで突如として流れが変わってしまうようなところへの対応の仕方が、少しも不自然さがなく、スムーズ。

おしゃべりになりすぎたりせず、それでいて必要なことはきちんと語り尽くしている。

パリ音楽院管弦楽団の個性を巧みに駆使しており、音色が自在で、多彩。

耳にキラキラとするような部分と、抑えたような部分とのバランスがよい。

どの曲の演奏においても、随所に出てくる管楽器のソロがたいそう効果的で、うまく演出されているという感じだ。

指揮者にとっても、オーケストラにとっても、ラヴェルの音楽が無理なく血肉化していると思える演奏内容である。

全4枚のCD、そのいずれからも洗練されたラヴェルを聴くことができるといえよう。 

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2009年04月04日


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ステレオ初期の名盤といわれていたものだが、CD化され、その音もみずみずしく蘇っている。

クリュイタンスの「幻想」にはこのほかにパリ音楽院管弦楽団との来日公演盤もCD化されているが、金管のパートにやや荒さが目立つのと、録音の点で、ここではこのフィルハーモニア管弦楽団のほうをとった。

クリュイタンスの解釈は、ロマンティックな情緒を現代的な感覚で処理したところにある。

したがって情感の潤いにはやや不足する点もあるが、少しも固くならず、やはり柔らかく冥想的な要素をはっきりつかんでいる。

まことに徹底した「幻想」の表現である。

曲の開始第1音から終楽章の最後の和音まで、すべての楽想が生き生きと再現されているばかりでなく、曲想のくまどりがくっきりとしているし、その上ごく自然でしかも生気に満ち、馥郁たる香気を放つ。

単に曲想が克明に描き出され、ファンタジーに満ちているというばかりでなく、気品があるということが、何よりクリュイタンスの特長なのである。

イギリスのオーケストラなので音色に華やかさこそないが、現代的で音色感のはっきりしたこのクリュイタンス盤を推奨したいと思う。

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2009年04月03日


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この作品はクリュイタンスの資質にぴったりして、間然するところがない。

ベルリオーズの激しい情熱の反面にある静かな抒情のひとときが、何よりベルリオーズその人の人間性を描いている。

クリュイタンスのベルリオーズに対する"愛"が、こまやかに語られる。

クリュイタンスの長所が生かされた演奏であり、みずみずしいエレガントな雰囲気と香りは何ものにも代えがたいものだ。

特に風景の喚起力は抜群で、聴き手を牧歌の異空間や、この上なく自然に、親しみを感じさせながら誘い込む。

そして全体を夢見るような浮遊感と臨場感を漂わせながら、ちょうど映画のシーンの転換のように、情景をなめらかに移し換えてゆくのである。

クリュイタンスは、こういう劇的表情のものになると、曲の動きとその情緒的な展開をうまく一致させている。

交響曲などでみせる冷たさは少しもなく、見事である。

オーケストラもうまい。

歌手では特にテノールのジロドーとバリトンのノゲラが素晴らしく歌い上手で申し分ない。

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2008年09月23日


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ほとんどの名ヴァイオリニストがこの曲を一度または二度録音している。

そのため往年の大家による演奏記録が幾つもあるが、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の録音は、1958年の録音ながら今もってこのオイストラフ盤を推す。

1974年に66歳で亡くなったオイストラフの、心技ともに最も円熟し、最も脂の乗った時代の演奏で、おそらく彼自身も会心の作と思ったのではなかろうか。

スタイルとしてはやや古めかしさを感じさせるものの、これほど曲の内面を深く掘り下げた演奏というのも少ない。

一点一画もゆるがせにしない整然たる演奏で、それでいて音楽は暖かく、作曲者の肌のぬくもりといったものを感じさせる。

たっぷりとした音色を基盤に、健康的な明るさと甘美な歌にみちている。

線が太く、たくましく、旋律を朗々と歌わせている点も忘れ難い長所で、なつかしい魅惑とスケールの大きさによって、ひとつの規範的な演奏となった。

曲の抒情的な性格を、豊かな美音でスケール雄大に表現した名演中の名演として、録音後半世紀以上たっても燦然と輝いている。

オイストラフ唯一の共演となったクリュイタンスの格調高いバックも見事というほかはなく、すぐれた音楽性をもとに堂々と立派に振り切っている。

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2008年05月30日


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1964年5月10日、東京文化会館におけるライヴで、その名演は長くファンの間で語り草となった。

いかにも、このコンビらしく、洗練された透明なソノリティと品のよさを兼ね備えながら、しかも凄絶な活力にみちている。

フランスのオーケストラならではの音色の華やかさがあり、この曲の燃えたぎるような情熱を、これほどまでに直截に伝えた演奏というのも珍しい。

クリュイタンスは曲にのめり込むのではなく、一歩退いて知的にまとめている。そのため細部が入念に処理されながらもあくの強さがなく、音楽がさらさらと流れている。

第1楽章からクリュイタンスは、堅固な造形で曲をまとめながら、推進力と高揚感を表出する。

「舞踏会」は優雅そのもの、「野の風景」も広々とした音空間が生まれている。

終りの2楽章も見通しのよい表現だ。

クリュイタンスならではの格調の高さと手際のよさにひかれる名演である。

戦後日本のフランス音楽の理解に大きな衝撃を与えた、古きよきフランス文化の栄光の記録だ。

HQCD化により、音質が鮮度を増したことも評価したい。

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2008年02月26日


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ベルギー生まれの名指揮者であるクリュイタンスは、パリ音楽院管弦楽団の正指揮者を1944年から1967年までつとめ、このオーケストラの黄金時代を築きあげた。

このビゼーの録音はクリュイタンス晩年の録音のひとつ。

「アルルの女」は遅めのテンポで、各曲を入念に練り上げながら、劇の舞台となったプロヴァンス地方の南欧的な雰囲気を色濃く表出し、軽やかなリズムと色彩で生き生きと情感豊かに描き上げた名演である。

南仏アルルの光と影、そして空気の温度と湿度までも、このクリュイタンスの名演奏は聴き手に体感させてくれる。

特に第1組曲の「アダージェット」の夢見るような表情、リズムの生き生きとした「メヌエット」、第2組曲の郷土色濃厚な「パストラール」と「ファランドール」、優美なフルート・ソロが一段と輝く「メヌエット」など、どの曲をとっても一点のキズすらない。

これは、クリュイタンスの残した数多い録音中、特に傑出した稀代の名演と呼ぶべきものであり、この組曲の最高の演奏といっても過言ではない。

「カルメン」組曲も非の打ちどころがない見事な演奏だ。

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もう一つ今はないオーケストラを挙げるとすれば、パリ音楽院管弦楽団を忘れることはできない。

このオーケストラはクリュイタンスの死後、パリ管弦楽団を新しく創設するために解散させられたのだが、これほどフランス独特の響きをもったオーケストラはない。

機能的にはパリ管弦楽団の方がすぐれているかもしれないが、楽員の自発性に富む表現やエスプリがすばらしく、それがもはや永久に失われてしまったことは、クリュイタンスが指揮したラヴェル全集を聴けば明らかである。

どの曲も、ラヴェル固有の、フランス的詩情とラテン的色彩美にあふれており、クリュイタンスの表現は精妙で、しかも気品がある。

特に「マ・メール・ロワ」はクリュイタンス自身が「自分の最も素晴らしいレコード」と語ったように秀逸である。

「ダフニスとクロエ」は各場面の情景描写がうまく、構成力もしっかりしている。

その他、高雅で気品に満ちた「亡き王女のためのパヴァーヌ」、官能美と情熱的な気分を鮮やかに表出した「スペイン狂詩曲」をはじめ、どれも永遠に光を失うことのない感動的な名演奏だ。

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2008年01月19日


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その精神は極めて明晰かつ合理的ながら、感覚の楽しみも置き去りにしない美点にある。

深刻さと生々しさからは遠く、繊細優美な淡い色彩と、あまたのニュアンスに対して最も粋で洗練された反応を示すのが特徴だ。

一体にテンポは速めでリズムも軽く、造形もスタイリッシュであり、爽やかでイマジネイティヴでもある。

こうした特徴を持ついかにも《フランス的》な作品は、クープランの「諸国の人々」、ドビュッシーの「夜想曲」、「フルート・ヴィオラ・ハープのためのソナタ」、ラヴェルの「クープランの墓」などなど。

クリュイタンスの指揮したラヴェルの「マ・メール・ロワ」、フランソワの弾いたショパンのピアノ曲や、トルトゥリエによるフォーレの「チェロ・ソナタ」の演奏は、フランス的とは何かを着実に物語る。

でもどうせなら、フランソワとクリュイタンスが協演したラヴェルの2曲の「ピアノ協奏曲」という、狂気のようにぶっ飛んだ演奏を聴いてしまおう。

フランソワのピアノはコルトーの雄弁さをもっとフランス風に洗練された姿で味わわせてくれるし、クリュイタンスの洒落たセンスも一度耳にしたら忘れられない。

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2007年12月17日


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フォーレは、フランスでも特にカトリック信仰の篤い南フランスのパミエで生まれ、終生敬虔なカトリック信徒であったから、この曲にも、そうした彼の篤い宗教的な感情がよくあらわれている。

だがこの曲は普通のレクイエムとは形が少し違っており、曲中、どの作曲家も一番力を入れて作曲する劇的な「ディエス・イレ(怒りの日)」は省略され、最後を「イン・パラディスム(楽園にて)」という安らぎに満ちた音楽でしめくくるなど、独特の構成になっている。

そのためこのレクイエムは、抒情派の巨匠といわれたフォーレの特色がよく出ており、繊細優美で、清澄な音楽特性がぐっと全面に押し出されている。

クラシック音楽ファンには、死んだらこの曲をかけてほしいと心の底から愛してる人も少なからずいるのではないだろうか。

クリュイタンス盤は彼のエスプリに充ちた指揮に加えて、フィッシャー=ディースカウとロス・アンヘレスの2人のソロが聴きもの。

特にロス・アンヘレスの「ピエ・イエズ・ドミネ」の1章は全く美しく、ラテン的な透明さの中に、思いやりのあふれた歌唱で心を打たれる。

ボーイ・ソプラノを起用し、純粋無垢な感じをよく引き出したコルボの作為のない名演も捨て難いが、フォーレ「レクイエム」で1枚を、と言われればやはりこれを挙げるだろう。

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