ビゼー

2015年07月23日


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本盤には、ビゼーが作曲した南フランスの牧歌的な風景の中で繰り広げられる劇音楽から編纂した馴染み深いメロディが次々に登場する「アルルの女」組曲と情熱的なスペイン情緒を背景にした歌劇の名旋律を独立したオーケストラに再編した「カルメン」組曲などが収められている。

本盤に収められた演奏は、カラヤンがこれらビゼーの2大有名管弦楽曲を手兵ベルリン・フィルとともに行った演奏としては、1度目の1970年盤のスタジオ録音ということになる。

1980年代にスタジオ録音された新盤も、一般的な意味においては、十分に名演の名に値すると言えるであろう。

しかしながら、本盤に収められた1970年の演奏があまりにも素晴らしい超名演であったため、本演奏と比較すると新盤の演奏はいささか落ちるということについて先ずは指摘をしておかなければならない。

カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代は1960年代、そして1970年代というのが一般的な見方であると考えられるところだ。

この黄金コンビによる同時期の演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの朗々たる響き、桁外れのテクニックを披露する木管楽器の美しい響き、そして雷鳴のようなティンパニの轟きなどが鉄壁のアンサンブルの下に一体化した完全無欠の凄みのある演奏を繰り広げていた。

そして、カラヤンは、ベルリン・フィルのかかる豪演に流麗なレガートが施すことによって、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功していたと言える。

しかしながら、1982年にザビーネ・マイヤー事件が勃発すると、両者の関係には修復不可能なまでの亀裂が生じ、この黄金コンビによる演奏にもかつてのような輝きが一部の演奏を除いて殆ど聴くことができなくなってしまった。

新盤に収められた演奏は1982〜1984年にかけてのものであり、これは両者の関係が最悪の一途を辿っていた時期でもあると言える。

加えてカラヤン自身の健康悪化もあって、新盤の演奏においては、いささか不自然なテンポ設定や重々しさを感じさせるなど、統率力の低下が顕著にあらわれていると言えなくもないところだ。

したがって、カラヤンによるこれらの楽曲の演奏を聴くのであれば、前述のようにダントツの超名演である1970年盤の方を採るべきであると考える。

演奏は、カラヤン一流の緻密な設計と巧妙な演出の光るもので、その豊かな表現力には舌を巻く。

カラヤンの指揮した舞台の付随音楽は天下一品といってよく、この「カルメン」組曲の前奏曲など、まさに幕開きの音楽にふさわしい劇場風の華やかな気分にあふれている。

「アルルの女」も文句のつけようのない卓越した演奏で、カラヤンの卓抜な棒がそれぞれの曲の性格をくっきりと浮き彫りにしている。

本演奏でカラヤンがみせる執念と集中力はたいへんなもので、手になれた作品を扱いながら、手を抜いたところは少しもなく、南欧特有の陽光に包まれた情緒を豊かに匂わせている。

ベルリン・フィルの木管セクションの軽妙洒脱な歌いまわしも絶妙といっていいほど冴え渡っており、愉悦感に満ち溢れた規範的な演奏を繰り広げている。

音質については、これまでリマスタリングが行われたこともあって、本従来盤でも十分に良好な音質である。

もっとも、新盤の演奏においては、とりわけ緩徐箇所における情感豊かな旋律の歌わせ方などにおいて、晩年のカラヤンならではの味わい深さがあると言えるところだ。

そして、管弦楽曲の小品の演奏におけるカラヤンの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さにおいては、新盤の演奏においてもいささかも衰えが見られないところであり、総じて新盤の演奏も名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。



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2015年02月25日


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一時代を画した《カルメン》だろう。

アルコア版を用い、カラヤン得意の細やかな作品分析によって作りあげたアルバムのひとつであり、カラヤンの残した最上のオペラ全曲演奏のひとつだ。

カラヤンは、20世紀後半の、音楽の美を作り上げた人物の代表で、オペラはその中心にあったのだが、《カルメン》はそのまた中心ということになる。

力を入れつつ、時を得ないで必ずしも最高のキャストが揃えられず、成功しない場合も多かったのだが、これはうまくいった。

そしてカラヤンの求める《カルメン》像が実現した。

カラヤンのオペラはいずれもゴージャスな響きを追求するもので、オペラ・コミーク版でありながらもグランド・オペラ風に響くのが面白い。

とはいえ、絢爛豪華な旧盤と正反対なフランス風のあっさりとして洒落たタッチで、ビゼー本来の創作意図がこうであったのかとわれわれの感じ方を改めてくれるような演奏である。

オペラのなかの場面それぞれが、まるで一番の見せ場であるかのように聴かせてくれる。

各楽器のあらゆる音を聴きわけ、あらゆるテンポの変化をあやつり(もっとも本作の大部分は非常にゆっくりとしたテンポだが)、あらゆる注釈に注意を払って、カラヤンは情熱的に指揮している。

激しいコントラストで描き出されるビゼーの名作は、録音されてから40年も経って、新鮮さこそ失われたが、聴く者に迫ってくる力は変わらない。

もちろん最高のキャストが揃えられたことが、カラヤンにこういう演奏を可能にさせたわけだ。

強烈なアグネス・バルツァのカルメンは、艶っぽく強気なカルメンで、これ以上ないほど役にフィットしている。

斬新でなく、従来のカルメン像の延長線上にあるのだが、ほとんどその頂点を極めているように思える。

バルツァのカルメンは、中に入っている写真では魔女のようだが、歌は艶があり、かつドラマティックな要素も十分で、本当に申し分がない。

激しく気まぐれなカルメンに、ひたすら迫るドン・ホセとしてのホセ・カレーラスもまた、伝統的ドン・ホセ像の、20世紀の頂点だろう。

特に、2人のラストシーンは特に圧巻で、声だけなのに目の前に2人がいるかのような迫力が感じられる。

そして、バルツァの強烈な個性に満ちたカルメンと、カレーラスの情熱に溢れたホセを重厚なカラヤンの指揮が支えている。

カティア・リッチャレッリのミカエラなど、ほかの歌手たちにもまったく弱点がない。

カラヤンのひたむきな指揮によって、バルツァの威勢のいいカルメンは際立ったものとなり、録音時には最盛期を過ぎていたカレーラスのドン・ホセもまた、朗々と声を響かせることになったのだろう。

このドン・ホセは、ほとんど病的に思えるほどに情熱にあふれ、それでいて大きな困難を抱えていることを声に感じさせる。

また、ホセ・ヴァン・ダムは、いかにも不屈の男エスカミーリョらしく聴こえるし、カティア・リッチャレッリの声は人生に疲れきっている様子を伝えている。

リッチャレッリのミカエラには好き嫌いがあるかも知れないが、第1幕のドン・ホセとの2重唱や第3幕のアリアなど、とてもスケールの大きい歌唱を披露している。

ファン・ダム以外はフランス語を母語としていないので、少し発音に疑問を持つところもあるが、それを補ってあまりある歌唱が楽しめる。

誰もにお薦めできる名盤だが、特に、歌の中に演技力・臨場感を求める人は必聴であろう。

ベルリン・フィルも凄い存在感を示しており、カラヤンの指揮の下、鮮やかにうねるようにスケールの大きい演奏を聴かせる。

オペラ・コミックとしての軽やかで風通しのいい《カルメン》とは正反対の、壮麗なグランド・オペラとしての大悲劇だが、これこそカラヤンの《カルメン》で、たとえこれからこのオペラの演奏が変わってゆくとしても、これは座標ということになるはずだ。

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2015年02月22日


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フランスの名指揮者パレーの偉大な遺産とも言うべき素晴らしい名演だ。

本盤のメインでもあるビゼーの劇音楽「アルルの女」第1及び第2組曲や歌劇「カルメン」組曲については、クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団による素晴らしい名演(1962年)が遺されており、大方の音楽評論家からも、当該演奏こそは両曲の決定的な名演との評価がなされているところである。

これに対して、本演奏は、当該クリュイタンス盤の陰に隠れた、一部のコアなクラシック音楽ファンのみが高く評価している知る人ぞ知る名演の地位に甘んじているが、クリュイタンス盤にも十分に比肩し得るほどの高度な演奏内容を誇っていると言えるだろう。

今般の本演奏の高音質盤の低価格による販売を契機に、多くのクラシック音楽ファンの間で、本演奏について正当な評価がなされることを心より願うものである。

それにしても、パレーの指揮芸術は、例えて言えば、書道における名人の一筆書きのようなものであると言えるだろう。

テンポはやや速めであり、一聴すると淡々と曲想が進行していくような趣きがあり、いささかも華美には走らない即物的で地味な様相の演奏である。

しかしながら、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの薄味の演奏では決してなく、各旋律の端々には細やかなニュアンスが施されており、演奏に込められた内容の濃さにおいては、クリュイタンス盤と比較しても遜色はないものと思われるところだ。

パレーについては、一部の音楽評論家がフランスのシューリヒトと称しているが、まさに至言とも言うべきであり、その指揮芸術には、シューリヒトのそれと同様に、神々しいまでの崇高ささえ湛えていると言えるだろう。

それにしても、淡々と進行していく各旋律に込められたニュアンスの独特の瀟洒な味わい深さには、フランス風のエスプリ漂う抗し難い魅力が満ち溢れていると言えるところであり、これぞフランス音楽の粋とも言うべきものではないかと考えられるところだ。

加えて、デトロイト交響楽団という、最もアメリカ的なオーケストラがこのようなフランス風のエスプリ漂うセンス満点の演奏を展開していることが大変な驚きであると言えるところであり、これはまさしくパレーによる不断の薫陶とともに、その類稀なる統率力の賜物であると言っても過言ではあるまい。

カップリングされているビゼーの序曲「祖国」や、トマの歌劇「ミニョン」序曲や歌劇「レーモン」序曲も、パレーならではの老獪とも言うべきセンス満点の指揮芸術の魅力を十二分に味わうことができる素晴らしい名演と評価したい。

音質は、今から50年以上も前のスタジオ録音であるが、今般のルビジウム・クロック・カッティングによって、極めて鮮明な音質に改善されたことも、本盤の価値をより一層高めるのに大きく貢献していることを忘れてはならない。

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2015年01月08日


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素晴らしい名演で、CD時代になって古い名盤の復刻がなされるようになる直前、LP末期には最高の名盤とされていたものである。

筆者としては、アバドが最も輝いていた時代はロンドン交響楽団時代ではないかと考えている。

特に、このロンドン交響楽団時代に録音されたいわゆるラテン系のオペラは、いずれ劣らぬ名演と高く評価したい。

そうした中で、本盤の「カルメン」も、こうした席に連なる資格を有する名演で、アバドが明快な指揮で等身大の「カルメン」を描いていく。

当時のアバド&ロンドン響は、構えが大きいアンサンブルとアバドの鋭い棒さばきによる、ある意味で刺激的な演奏が特徴であったが、このオペラではそうした印象は少なく、むしろ、オペラに通じたアバドが各幕、全曲の見通しを良くつけて、ストーリーを遮ることなく、コンパクトなアンサンブルで演奏をスムーズに運んでいる。

「カルメン」の名演には、カラヤン&ウィーン・フィルという超弩級の名演があるが、カラヤン盤は、4幕形式のグランドオペラ版を使用していることもあり、ウィーン・フィルを使用したことも相俟って、シンフォニックな重厚さを旨とするもの。

これに対して、アバド盤は、スペイン風ともフランス風とも言えないイタリア人アバドのラテン人としての血を感じさせるラテン系の情緒溢れるものであると言えよう。

アバドの解釈は音像が硬質で贅肉がなく、構成が協調されており、アンサンブルなども緻密であるが、いささかも杓子定規には陥らず、どこをとってもラテン系の音楽の情緒が満載である。

歌手陣も、カラヤン盤に優るとも劣らない豪華さであり、特に、カルメン役のベルガンサ、ドン・ホセ役のドミンゴは見事なはまり役である。

ベルガンサの、“魔性の女”というよりは、アクのないお嬢さん風の“コケット”でユニークなカルメン、ドミンゴの上手さが光るドン・ホセなどキャストが大変に魅力的だ。

また、エスカミーリョ役のミルンズも大健闘であり、ミカエラ役に可愛らしいコトルバスとは何という贅沢なことであろうか。

合唱陣も、少年合唱も含めて大変優秀であり、本名演に華を添える結果となっている点を見過ごしてはならない。

アナログ録音末期の録音で、今日のデジタル録音のように、ダイナミック・レンジも広くなく、音の分解能も高くないが、聴く分には何らの問題もなく、むしろ、アナログらしい優しい音作りとなっている。

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2014年11月18日


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クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団という黄金コンビが遺した素晴らしい名演だ。

特に、「アルルの女」の第1組曲及び第2組曲については、同曲随一の超名演と高く評価したい。

何よりも、演奏の持つ筆舌には尽くしがたいフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいに完全にノックアウトされてしまう。

クリュイタンスの指揮は、テンポの設計や間のとり方など、単にお国物というだけではない名人芸を披露している。

ビゼーのオーケストレーションが実に巧みであることもあって、どの演奏を聴いても、それなりにプロヴァンス地方の雰囲気を彷彿とさせるような味わい深い演奏をすることは可能であるが、クリュイタンスの表現はそもそも次元が異なる。

クリュイタンスは、やや遅めのテンポで丹念に仕上げながら、ビゼーならではの色彩感を格調高く引き出し、「アルルの女」の舞台となったのどかなプロヴァンスの雰囲気を色濃く表現している。

1音1音に独特の表情付けがあり、管楽器や弦楽器、そして打楽器に至るまで、そのすべてがセンス満点の響きに満たされているのだ。

それは他の演奏には聴かれない本演奏固有のものであり、あたかも演奏の端々から南仏の豊かな香りや空気感さえもが漂ってくるかのようだ。

これはクリュイタンスならではの表現世界と言えるところであり、永遠に光を失うことのない、歴史的な名演奏と言えよう。

これほどのセンス満点の名演は、クリュイタンス、そしてパリ音楽院管弦楽団としても会心の演奏であったと言えるのではないだろうか。

上昇管付きフレンチホルン、細管の金管、バッソンなど、生粋のフランスの音が花盛りであり、ビゼーの傑作をこんな音で聴く楽しさは筆舌に尽くせない。

これは失われたフランスの香りに満ちた超一流の名演で、まさにオーケストラのグローバル化が進む前の貴重な記録と言えよう。

他方、「カルメン」についてはクリュイタンスとしては普通の出来であると思うが、それでも名演と評価するのにいささかも躊躇しない。

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2014年11月10日


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フランスの名指揮者パレーの偉大な遺産とも言うべき素晴らしい名演集だ。

パレーについては、一部のコアなクラシック音楽ファンのみが高く評価している知る人ぞ知る名匠の地位に甘んじているが、タイプは異なるとはいえ、実際にはモントゥーやミュンシュ、クリュイタンスなどにも十分に比肩し得るほどの高度な芸術性を誇っていると言えるだろう。

今般の「コンサート・ホール」レコーディングスの販売を契機に、多くのクラシック音楽ファンの間で、パレーについて正当な評価がなされることを心より願うものである。

それにしても、パレーの指揮芸術は、例えて言えば、書道における名人の一筆書きのようなものであると言えるだろう。

テンポはやや速めであり、一聴すると淡々と曲想が進行していくような趣きがあり、いささかも華美には走らない即物的で地味な様相の演奏である。

しかしながら、スコアに記された音符の表層をなぞっただけの薄味の演奏では決してなく、各旋律の端々には細やかなニュアンスが施されており、演奏に込められた内容の濃さにおいては、他のフランス系大指揮者と比較しても遜色はないものと思われるところだ。

この指揮者ならではの、フランス系指揮者の曲線的なイメージとは完全に一線を画した剛毅闊達なアプローチがきわめて壮快な演奏揃いであるが、とりわけ『ラ・ヴァルス』の豪快な白熱ぶりは一聴に値する見事さである。

パレーについては、一部の音楽評論家がフランスのシューリヒトと称しているが、まさに至言とも言うべきであり、その指揮芸術には、シューリヒトのそれと同様に、神々しいまでの崇高ささえ湛えていると言えるだろう。

それにしても、淡々と進行していく各旋律に込められたニュアンスの独特の瀟洒な味わい深さには、フランス風のエスプリ漂う抗し難い魅力が満ち溢れていると言えるところであり、これぞフランス音楽の粋とも言うべきものではないかと考えられるところだ。

本盤は、パレーならではの老獪とも言うべきセンス満点の指揮芸術の魅力を十二分に味わうことができる素晴らしい名演集と評価したい。

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2014年09月01日


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ビゼーの最高傑作でもある歌劇「カルメン」は、舞台となったスペインのエキゾチックとも言うべき名旋律に溢れた作品であるだけに、そうしたスペイン風の雰囲気を十分に生かした演奏が多い。

そして、そのようなスタイルの演奏こそが、歌劇「カルメン」を演奏する際のアプローチの王道ともなっているが、ショルティによる本盤の演奏は、それとは一線を画するタイプのものと言えるだろう。

ショルティは、もちろん、同曲の随所に散りばめられたスペイン風の情緒溢れる旋律の数々を情感豊かに歌わせることを全く行っていないわけではない。

ただ、そうした旋律を歌わせることよりもむしろ、同オペラを一つの壮大な交響曲と見做して、絶対音楽として描き出しているような趣きがあると言えるだろう。

ショルティの演奏の特徴でもある切れ味鋭いリズム感と明瞭なメリハリは、本演奏においても最大限に発揮されていると言えるところであり、後世の様々な作曲家にオーケストレーションを激賞されたとされるビゼーがスコアに記した音符の数々、そして旋律の数々を、他のどの演奏よりも明晰に描き出すのに成功している。

したがって、前述のように、スペイン風の情緒溢れる旋律の数々の歌わせ方が若干犠牲になっているという側面も否定できないところであり、このあたりが、本演奏に対するクラシック音楽ファンの好悪を分ける最大の分岐点であるとも思われるところだ。

なお、ショルティは、同オペラを録音するに当たっては、当時音楽監督をつとめていたシカゴ交響楽団ではなくロンドン・フィルを起用しており、その分だけ1970年代のショルティの演奏において時として聴かれ、そして欠点ともされている力づくの強引さが薄められているとも言えるが、それでも前述のようなリズムの鋭さやメリハリの明晰さは健在である。

このように、クラシック音楽ファンにとっては、好悪が大きく分かれる演奏とは思われるが、筆者としては、あまりにも有名過ぎて手垢にまみれているとも言える歌劇「カルメン」の演奏に対して、ある種の清新さを付加したという意味において、十分に存在意義のある名演と評価したいと考える。

歌手陣も、ショルティならではの考え抜かれたキャスティングであり、何と言ってもカルメン役のタティアナ・トロヤヌスの迫真の絶唱が圧倒的な存在感を示している。

また、ドン・ホセ役のプラシド・ドミンゴ、エスカミーリョ役のヨセ・ヴァン・ダム、そして、ミカエラ役のキリ・テ・カナワなど、録音当時全盛期を迎えた超一流の歌手陣が一同に会するというこれ以上は求め得ないような超豪華な布陣であり、それらの布陣が最高のパフォーマンスを発揮しているというのは、本演奏の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

音質も、英デッカによる見事な高音質録音であり、1975年のスタジオ録音とは思えないような鮮度を誇っているのも素晴らしい。

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2014年08月25日


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本盤にはビゼーの有名な管弦楽曲の演奏が収められているが、いずれも素晴らしい名演だ。

チョン・ミュンフンは、パリ・バスティーユ管弦楽団とともに幻想交響曲の名演を成し遂げるなど、フランス音楽を得意中の得意としているが、本演奏においてもその実力や楽曲との相性の良さが如何なく発揮されている。

ビゼーの管弦楽法は、その後の作曲家からの賞賛の的とされているが、チョン・ミュンフンは、その巧みなオーケストレーションを完璧に音化し、色彩感溢れる演奏を繰り広げている点を先ずは評価したい。

また、楽曲のトゥッティに向けて畳み掛けていくような生命力溢れる力強さや、抒情的な楽曲における情感の豊かさにおいても申し分がないところであり、いい意味での硬軟バランスのとれた演奏に仕上がっている。

また、「カルメン」組曲における情熱的なスペイン的情緒や、「アルルの女」組曲における南仏の牧歌的な雰囲気などの描出にもいささかも抜かりがなく、オペラにも名演の数々を成し遂げているチョン・ミュンフンの演出巧者ぶりが際立っていると言えるだろう。

「カルメン」組曲や「アルルの女」組曲については、先般SACD化によって更にグレードが上がったクリュイタンスによる超名演(1964年)があり、それはフランス風のエスプリに満ち溢れた瀟洒な味わいを色濃く有していた。

本盤におけるパリ・バスティーユ管弦楽団による演奏も、金管楽器によるロマンティシズムに満ち溢れた華麗な音色や木管楽器の軽妙洒脱な音色など、クリュイタンスの指揮の下で演奏したパリ音楽院管弦楽団と遜色がないほどのセンス満点の名演奏を繰り広げており、少なくともオーケストラ演奏に関しては、クリュイタンス盤に一歩も引けをとっていないと考える。

録音は従来盤でも十分に満足し得る鮮明な音質であり、チョン・ミュンフンによる素晴らしい名演を、鮮明な高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2014年07月16日


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かつてのCD全盛時代においては、膨大な数の新譜CDの発売が毎月のようになされていたが、近年においては殆ど数えるほど。

かつての名演の高音質化や大指揮者のライヴ録音の発掘などが大半(それも素晴らしいことではあるが)で、ネット配信が隆盛期を極める中で、CDにとっては極めて厳しい時代が続いていると言えるだろう。

そのような中で、膨大な投資を必要とするオペラの新譜が激減しているのは必然的とも言えるところであり、ましてや国内盤の新譜にオペラCDが登場すること自体が、もはや奇跡に近い状況にあるとさえ言えるだろう。

その意味では、本盤に収められた歌劇「カルメン」全曲の登場はにわかには信じ難い出来事。

ましてや、現代最高の黄金コンビとも言えるラトル&ベルリン・フィルによる演奏という豪華な布陣にはただただ驚くばかりだ。

前述のような厳しい時代だけに、この黄金コンビとしてもオペラの録音は何と10年ぶり2度目。

かつてのカラヤンやアバドが、自らの膨大なオペラ・レパートリーをベルリン・フィルとともに録音していたことを考えると、まさに隔世の感があるとも言えるだろう。

それだけに、この黄金コンビにとっても満を持してのオペラ録音ということになるのであろうが、演奏も素晴らしい。

何よりも、ラトルが芸術監督に就任してから10年を経て、いよいよベルリン・フィルを完全掌握している好調ぶりが如実にあらわれている。

カラヤン時代のような重厚さはないが、少なくともアバド時代と比較するとオーケストラの力感は十分に圧倒的であり、何よりも卓越した技量に裏打ちされた、各場面毎のいい意味での柔軟性に富んだ機能性の凄さは、かのカラヤン時代さえ凌いでいるとさえ言えるのではないだろうか。

ラトルの現代的な感覚の鋭さ、そしてベルリン・フィルの伝統に卓越した技量と伝統に裏打ちされた柔軟性と機能性が見事にマッチングして、まさに清新な歌劇「カルメン」像の確立に成功しているとも言える。

ベルリン・フィルやウィーン・フィルとともに同曲の超名演を遺したカラヤン、そしてロンドン交響楽団とともに強靭な生命力と豊かな歌謡性を併せ持った稀有の名演を成し遂げたアバドによる演奏とはひと味もふた味も異なる演奏と言えるが、あざとさをいささかも感じさせない現代的なセンスに溢れた本演奏は、まさにラトル&ベルリン・フィルという稀代の名コンビぶりとともに、21世紀における新しい歌劇「カルメン」像を確立したという意味において、偉大な両先輩による名演にも比肩しうるだけの素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。

歌手陣も、いわゆるラトルの旗本とも言えるコジェナーやカウフマンなどが圧倒的な名唱を披露しており、ベルリン国立歌劇場合唱団の秀逸さも相俟って、最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

そして、音質はSACDによる圧倒的な超高音質だ。

歌手陣の細やかな息遣い、そして独唱、合唱、オーケストラ演奏のそれぞれが明瞭に分離して聴こえるのはさすがはSACDと言うべきであり、音質の鮮明さ、音場の拡がり、音圧の凄さのどれ一つをとっても超一級品の仕上がりになっている。

いずれにしても、現代最高の黄金コンビであるラトル&ベルリン・フィル等による歌劇「カルメン」の圧倒的な名演を、最高の高音質SACDで味わうことができる喜びを大いに噛みしめたい。

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2014年07月13日


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これまでは、「アルルの女」第1組曲、第2組曲、そしてオペラ「カルメン」の4つの前奏曲は、クリュイタンスの指揮したものが名盤の誉れ高かったが、この盤を聴いてみて驚いた。

ダイナミックな部分(「アルルの女」第1組曲の〈前奏曲〉の前半、〈カリヨン〉の前半、第2組曲の〈ファランドール〉など)は、他の指揮者の演奏よりもダイナミックに、たゆたうようなしっとりとした情感溢れる部分(「アルルの女」第1組曲の〈アダージェット〉、第2組曲の〈メヌエット〉など)はよりゆったりとしているのである。

「アルルの女」第1組曲の〈前奏曲〉からして、あまりに淡々とした端正な音楽に畏敬の念すら覚える。

まったく何の不足も余分もない、凍りついたような清潔な美しさである。

最初の弦楽器に続いて登場する木管楽器たちの何か寂しげな様子もただごとではない。

そのあともひたすら端正であり、大げさな気配は微塵もないのだが、有無を言わさぬ迫力があるのだ。

そして、まるでシューベルトの「未完成」交響曲第2楽章終結部のような黄昏を経て、恐ろしい後半部がやってくる。

ブルックナー第9番のスケルツォのような〈メヌエット〉も、よく歌いながらまったく楽しさがないという戦慄の音楽だが、ついで流れ出す〈アダージェット〉は、初めて聴く人を間違いなく瞠目させるに違いない。

そう、まさにマーラー第5番のアダージェットのようなのだ。

きわめて遅い、何という美しさ、何という憧れ、何という悲しさ、何という切なさ。

〈カリヨン〉では再び明るく透明な響きが戻ってくるが、これが明るさとは裏腹に、まるで死者が浮かべる微笑のうつろなまなざしのようで怖い。

とりわけ中間部は虚無感そのもので、もはや心はここになしという様子だ。

第2組曲では、〈パストラル〉中間部がまるでブルックナー第4番第2楽章のようだ。

〈間奏曲〉のしみじみとした味といい、〈ファランドール〉の祭の興奮とは正反対の冷えた感触といい、「アルルの女」をこれほどユニークに演奏した例は古今無双であろう。

この演奏全体を通じて、恣意的な臭みのまったくない弱音の表現力の豊かさに圧倒される。

人間のむなしさ、存在の悲しみをここまで表した音楽を筆者は他に知らない。

そして、こういう切実な音楽に対し、語る言葉は無力だ。

しかも録音が素晴らしく、全ての音が驚異的に鮮明に捉えられているのである。

ただ、近年なかなか手に入らなくなったこのディスク、読者諸氏が無事に手に入れていただくことを切に祈るのみである。

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2014年05月27日


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ビゼーの最高傑作でもある歌劇「カルメン」は、舞台となったスペインのエキゾチックとも言うべき名旋律に溢れた作品であるだけに、そうしたスペイン風の雰囲気を十分生かした演奏が多い。

そして、そのようなスタイルの演奏こそが、歌劇「カルメン」を演奏する際のアプローチの王道ともなっているが、ショルティによる本盤の演奏は、それとは一線を画するタイプのものと言えるだろう。

ショルティは、もちろん、同曲の随所に散りばめられたスペイン風の情緒溢れる旋律の数々を情感豊かに歌わせることを全く行っていないわけではない。

ただ、そうした旋律を歌わせることよりもむしろ、同オペラを一つの壮大な交響曲と見做して、絶対音楽として描き出しているような趣きがあると言えるだろう。

ショルティの演奏の特徴でもある切れ味鋭いリズム感と明瞭なメリハリは、本演奏においても最大限に発揮されていると言えるところであり、後世の様々な作曲家にオーケストレーションを激賞されたとされるビゼーがスコアに記した音符の数々、そして旋律の数々を、他のどの演奏よりも明晰に描き出すのに成功している。

したがって、前述のように、スペイン風の情緒溢れる旋律の数々の歌わせ方が若干犠牲になっているという側面も否定できないところであり、このあたりが、本演奏に対するクラシック音楽ファンの好悪を分ける最大の分岐点であるとも思われるところだ。

なお、当ライヴ録音ではロイヤルオペラのオケを指揮しているだけあって、1970年代のショルティの演奏において時として聴かれ、そして欠点ともされている力づくの強引さが薄められているとも言えるが、それでも前述のようなリズムの鋭さやメリハリの明晰さは健在である。

このように、クラシック音楽ファンにとっては、好悪が大きく分かれる演奏とは思われるが、筆者としては、あまりにも有名過ぎて手垢にまみれているとも言える歌劇「カルメン」の演奏に対して、ある種の清新さを付加したという意味において、十分に存在意義のある名演と評価したい。

歌手陣も、ショルティならではの考え抜かれたキャスティングであり、何と言ってもカルメン役のシャーリー・ヴァーレットの迫真の絶唱が圧倒的な存在感を示している。

また、ドン・ホセ役のプラシド・ドミンゴ、エスカミーリョ役のヨセ・ヴァン・ダム、そして、ミカエラ役のキリ・テ・カナワなど、録音当時全盛期を迎えた超一流の歌手陣が一同に会するというこれ以上は求め得ないような超豪華な布陣であり、それらの布陣が最高のパフォーマンスを発揮しているというのは、本演奏の価値を高めるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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2013年11月29日


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本盤にはビゼーの「アルルの女」組曲と「カルメン」組曲が収められている。

本盤の演奏は、カラヤンがこれらビゼーの2大有名管弦楽曲を手兵ベルリン・フィルとともに行った演奏としては、1970年盤に続いて2度目のスタジオ録音ということになる。

本演奏は、一般的な意味においては、十分に名演の名に値すると言えるであろう。

もっとも、1970年の演奏があまりにも素晴らしい超名演であったため、当該演奏と比較すると本盤の演奏はいささか落ちるということについて先ずは指摘をしておかなければならない。

カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代は1960年代、そして1970年代というのが一般的な見方であると考えられるところだ。

この黄金コンビによる同時期の演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの朗々たる響き、桁外れのテクニックを披露する木管楽器の美しい響き、そして雷鳴のようなティンパニの轟きなどが鉄壁のアンサンブルの下に一体化した完全無欠の凄みのある演奏を繰り広げていた。

そして、カラヤンは、ベルリン・フィルのかかる豪演に流麗なレガートが施すことによって、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功していた。

しかしながら、1982年にザビーネ・マイヤー事件が勃発すると、両者の関係には修復不可能なまでの亀裂が生じ、この黄金コンビによる演奏にもかつてのような輝きが一部の演奏を除いて殆ど聴くことができなくなってしまった。

本盤に収められた演奏は1982〜1984年にかけてのものであり、これは両者の関係が最悪の一途を辿っていた時期でもある。

加えてカラヤン自身の健康悪化もあって、本盤の演奏においても、いささか不自然なテンポ設定や重々しさを感じさせるなど、統率力の低下が顕著にあらわれていると言えなくもないところだ。

したがって、カラヤンによるこれらの楽曲の演奏を聴くのであれば、前述のようにダントツの超名演である1970年盤の方を採るべきであると考える。

もっとも、本演奏においては、とりわけ緩徐箇所における情感豊かな旋律の歌わせ方などにおいて、晩年のカラヤンならではの味わい深さがあると言えるところだ。

そして、管弦楽曲の小品の演奏におけるカラヤンの聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さにおいては、本演奏においてもいささかも衰えが見られないところであり、総じて本演奏を名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。

音質については、これまでリマスタリングが行われたこともあって、従来盤でも十分に良好な音質であったが、今般のSHM−CD化によって、若干ではあるが音質が鮮明になるとともに、音場が幅広くなったように思われる。

カラヤンによる名演をSHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2012年09月09日


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オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団という、かつて一世を風靡した黄金コンビの素晴らしさを堪能できる名演だと思う。

ストコフスキー、オーマンディの長期政権で確立されたフィラデルフィア・サウンドと細部まで見事にかみあうアンサンブルは聴きものだ。

このビゼーは、オーマンディ&フィラデルフィア管の定番レパートリーでLP時代から最高の名演奏とされていたもの。

オーマンディとフィラデルフィア管の力量のほどが、はっきりと示された優れた演奏である。

そのまばゆいばかりの色彩豊かな表現は大変見事で、何よりも「カルメン」については組曲のすべてが収められているのが嬉しい。

選曲、演奏ともに良く、『カルメン』という長大なオペラの中の隋所に収められている珠玉の名曲のほぼすべてを味わうことができ、このオペラの雰囲気が十分に伝わってくる。

確かに、フランスのエスプリを味わうには、やや趣きが異なる演奏であるのかもしれないが、「アルルの女」を含め、各楽曲を抜群の技量で巧みに描き分けていく名匠の老獪さには、ただただ圧倒されるのみである。

「アルルの女」も、南欧的な情緒とフランス的な洗練された味にはやや乏しいが、巧みな棒さばきでそれぞれの曲の楽しさ、美しさを存分に表出しているあたりは、さすがにオーマンディだ。

パリっと冴えたオーケストラの響きの心地よさ、美しい弦楽パート、そして随所に顔を出す管楽器のソロのうまさなど、聴き所満載のCDである。

1958年と1963年の録音なのでハイファイとはいかないが、音色的にはとてもきれいで、聴いていて十分幸福感に浸ることができる。

この1990年創設の米名門オーケストラ、フィラデルフィア管弦楽団は昨年4月16日、破産法の適用を申請することを明らかにした。

米経済が低迷する中、米主要オーケストラによる破産申請は初めてで、残念でならない。

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2012年08月01日


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「アルルの女」は、個性的でニュアンスに富んだ名演で、数多い同曲中のベスト・ワンに疑いの余地はないところだ。

ドイツ的か否かを議論するまでもなく、よくある初心者向けのサントラ的演奏とは一線を画した、ドラマティックな演奏だ。

重心を低く保つサウンドはさすがドイツのオケといったところだが、リズム感や躍動感にも事欠くことなく、エッジの効いた起伏もピカ一だ。

殊に《カリヨン》における小気味よいアクセントや弦の微妙な色彩の変化などはさすが。

有名な《ファランドール》では、曲のダイナミクスを打楽器だけに頼らず、コシのあるベースによって表現しており、この点も独特。

もっとも、ベルリン放送響の音はシュターツカペレ・ドレスデンやシュターツカペレ・ベルリンなどよりドライだし、余韻も乾いているが、ギクシャクした感じは微塵もなく、むしろ鋭敏な感じさえする。

ケーゲルの寒色系、クリュイタンスの暖色系に比し、レーグナーは程良い中間色系で作曲者の意図を的確に汲んで表現している。

ドイツ風でがっちりしているが、ほんのり暖かいなつかしさが何ともいえず、とても気に入っている。

「美しきパースの娘」もよい出来映えで、ことに《行進曲》と《ジプシーの踊り》が見事であり、そのみずみずしい表情にあふれた新鮮な表現には強く惹かれる。

レーグナーが残した録音の白眉であり、完璧な演奏とはこのことを言うのであろう。

録音も直接音と間接音とのバランスが豊かだし、輸入盤に見られるような金属臭は皆無。

知らない間に亡くなってしまったレーグナー、もっともっと評価されていい名指揮者だ。

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2010年12月22日


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ギローによるレチタティーヴォ付きの版による演奏。ADFディスク大賞受賞盤。

今日でもこの《カルメン》の魅力は色褪せていない。

《カルメン》というポピュラー極まりないオペラは、そのポピュラリティゆえに通俗的解釈に陥りやすい危険性も大きい。

毒婦、妖婦としてのカルメン、娼婦としてのカルメンといったイメージは、大衆の多くが持つものであるし、それはメリメの原作でのジプシーに対する強烈な偏見にも由来しているのだろう。

しかし、ビゼーの音楽は、メリメの"毒"とは一線を画した"品格"を持っている。

ジプシーとしての誇りと女性らしい魅力を持ったロス・アンヘレスのカルメンが素晴らしい。

自由奔放な女性としてのカルメン像、その自由に対する誇りを持つ女性としてのカルメン像を、ロス・アンヘレスは見事に打ち出した。

ロス・アンヘレスの名唱は、自然にして自由なスペイン女性としての誇りと魅力を持ったカルメン像を描き出す。

彼女は、この録音当時(1958年)は舞台ではミカエラをうたい、カルメンを劇場でうたったのはかなり後になってからだが、カルメンを妖婦タイプではなく魅力的な女性として見事に表現している。

音楽的なセンスにあふれたブランクのエスカミーリョに、若々しい美声と初々しい歌唱のゲッダのドン・ホセも素晴らしく、主役陣も万全で、ビーチャムの作り出す音楽の中に完全に適合している。

これらの名歌手たちを統率するビーチャムの、軽妙洒脱なセンスに満ちた指揮も魅力的で、全曲を見事にまとめあげている。

ビーチャムの美しい音楽作りも含め、この曲の屈指の名盤だ。

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2010年12月21日


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ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団を率いてマゼールが1970年につくった名盤。

若き日のマゼールの、意表をつくオーケストラのバランスや自由なテンポ・ルバートの妙が、痛快な面白さを与えてくれる。

主役にモッフォを起用していることからも明らかなように、これはいわゆる典型的な《カルメン》の演奏ではない。

だから泰西名画風の名演を期待すると裏切られるかもしれない。

だがここにおけるドラマの大胆な力たるや、尋常一様のものではない。

歌手陣もマゼールの破天荒な解釈にふさわしい名手達で、モッフォの妖艶なカルメンは、卑俗に堕する一歩手前で踏み止まった絶妙な味わいを聴かせるし、ドン・ホセのコレッリも抜群の存在感を示す。

エスカミーリョのカプッチッリは堂々たる美声の威力で男性的魅力にあふれた闘牛士像をつくり出している。

ところで、美貌を誇ったアンナ・モッフォだが、ディスク面でみると、とくにこれといったものはそれほど多くはない。

その中にあって、際立った存在が当《カルメン》盤であろう。

ここにおけるモッフォのカルメンは、指揮者マゼールがつくり出す音楽の中で、たいそううまく生かされている。

というか、彼女の声のなさ、表現が単調になりがちといった弱点が、巧みにカヴァーされている、といったほうがよいのかもしれない。

マゼールの音楽づくりによって、モッフォのカルメンが充分に血肉化している。

それにしても、ここに聴くマゼールの《カルメン》は、なんと大胆でスリリングなのだろうか。

その切り口の鋭さたるや、まさに天下一品である。

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2010年09月10日


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チョン・ミュンフンが、そのすぐれた才能を多くのファンに強く印象づけたのは、ベルリオーズの《幻想交響曲》とメシアンの《トゥーランガリラ交響曲》につづいて録音したパリ・バスティーユ管弦楽団とのビゼーだったのではないだろうか。

《アルルの女》の他、《カルメン組曲》、《子供の遊び》というビゼーのポピュラーな管弦楽曲を収録した演奏も、久しぶりに聴くフランスのオーケストラならではの明るい色彩あふれる名演だった。

チョン・ミュンフンとパリ・バスティーユ管弦楽団による演奏は、プロヴァンス地方の南欧的な雰囲気と洗練された抒情を存分に表出し、そこにさらにフランスのオーケストラならではの色彩豊かなサウンドを加味して、味わいの濃い音楽を作りあげている。

チョン・ミュンフンは力を抜くことなく、かといって構えたところもなく、より柔軟な運びのなかに、感興美しい表現を展開している。

チョン・ミュンフンは、鋭敏な色彩感覚と切れ込みで、各曲をきりりとまとめ上げて立派である。

切れ味の鋭いリズムと多彩な響きもすばらしいのだが、とくにチョン・ミュンフンの演奏が見事なのは、ビゼーの魅力的な旋律をたっぷりと歌わせながら、南国のまばゆい陽光を思わせる色彩豊かな響きでビゼーの音楽に新鮮な魅力をもたらしていることだろう。

この《アルルの女》の2つの組曲も、しなやかなカンタービレとひきしまった表現がすばらしく、どの曲にも溌剌とした生気があふれ、また瑞々しい詩情が感じられる名演である。

いわゆる現代の感覚でもってした、新しい《アルルの女》になっている。

チョン・ミュンフンのものにこだわらぬ率直さが、この場合大きな成功をもたらすことになったのだろう。

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2010年07月10日


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あまりにもポピュラーになりすぎたビゼーの音楽から、一切のけばけばしさを洗い落とし、まるで生まれたばかりのような瑞々しい生命と抒情と透明な美感を引き出したベルガンサとアバドの名演。

ベルガンサのカルメンが素敵である。

ちょっと上品な、おっとりした感じのカルメンで、物語に描かれた激情的なカルメンとは趣を異にするが、全曲を通じて情感豊かに、ドラマティックにうたいあげているあたり、やはりスペイン出身の歌手ならではの味である。

この録音で初めてカルメンに挑戦したベルガンサは「これぞビゼー自身が選んだと思われるカルメン!」と絶賛されたという。

カルメンを「自分に忠実なひとりの女性」として表現したというベルガンサの歌唱は、いわゆる情熱的なジプシー女としては異質といえば異質だが、瑞々しい美声と爽やかな情感をたたえた表現には独特の魅力がある。

ベルガンサのカルメンは、悪女ぶりが物足りないという向きもあろうが、ジプシーとして純粋に恋に殉じた女としては、けだし適役というべきであろう。

ドン・ホセのドミンゴ、エスカミーリョのミルンズ、ミカエラのコトルバスもそれぞれの役柄を見事に表現しているが、この演奏で特徴的なのはベルガンサとアバドの指揮で、余分なものをそぎ落としてビゼーの音楽の輝きと情熱を生き生きと表現した演奏は、今も新鮮さを失っていない。

メリハリをきかせたアバドの指揮もさすがにうまいし、ロンドン交響楽団もいつになくオペラティックな気分をみなぎらせていることも特筆に値する。

このオペラの最もスタンダードな名演として推薦できよう。

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2010年04月24日


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豊かなキャリアを重ねた後、モントリオール交響楽団という意にかなった手兵を得たデュトワは、そこで根底からその機能を育て磨きあげ、"フランスの楽団よりもフランス的"と言われるようなオーケストラを手中にした。

この録音がなされた時点でも、すでに彼らは、音色、リリシズム、リズム感などのすべてを相互に向上させ、演奏と音楽との双方に洗練の度を加え、爽やかさも増して、それらの特質をすべて生かし得ている。

デュトワの表現はどこまでも上品で、エレガントなところが素晴らしい。

クリュイタンス盤と似た、おっとりとした上品な演奏で、デュトワは繊細な表情をつけながら、各曲を丹念に練り上げ、生き生きと描出しており、特に抒情的なナンバーの美しさは、筆舌につくし難いものがある。

サウンドも洗練されていて、モントリオール響のフランス的持ち味が、フルに発揮された例と言っていいだろう。

ことに管楽器の名人芸には舌を巻いてしまう。

「アルルの女」は遅めのテンポで入念に練り上げている。

軽快なメヌエットやロマンティックな気分あふれるアダージェット、間奏曲中間部の牧歌的な旋律の歌わせ方や、ファランドールの熱気あふれる表現など、まさにプロヴァンスの雰囲気だ。

「カルメン」組曲も極上の出来で、デュトワの演出巧者な表現の光る演奏である。

前奏曲での華麗さと、運命のテーマの暗さとををくっきりと対比させたデュトワの語り口のうまさには息をのむ。

どの曲も、曲の性格を的確につかんだ表情豊かなもので、デュトワの実力がいかんなく発揮された名演である。

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2010年03月12日


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ヴェリズモ・オペラの起源は《カルメン》にまでさかのぼる。女主人公の強烈な個性、激情的なホセ、嫉妬、舞台上の殺人など、なるほどここにはヴェリズモの特徴的な要素がそろっている。

しかし《カルメン》はフランスのオペラだ。

さらにこれはオペラ・コミックでもある。

あまりにもどろどろしたドラマをいったん離れて、しゃれた台詞回し、フランス語の繊細な表現など、本来のオペラ・コミックの軽やかな雰囲気を楽しもうと思ったら、このCDがいい。

1875年に《カルメン》を初演したパリのオペラ・コミークでは、現在のレシタティーフで歌われる部分が台詞で語られていた。

この様式を伝えるのがクリュイタンスの録音で、同時にスペインを舞台としながら本質的にフランス音楽である《カルメン》の性格を最高に生かした演奏である。

クリュイタンスは軽快なテンポで演奏を進めるが、フレーズとリズムに反映された洗練された感覚が、端正な演奏にこまやかなニュアンスをもたらしている。

これほど自然で爽やかな《カルメン》は、その後聴いたことがない。

カラスやバルツァのような強烈な表現がなくても、ドラマの劇性が減じるわけではない。

クリュイタンスの明快な棒のもと、粘っこい思い入れや感情の淀みなどなくてきぱきと展開する音楽とドラマは、とても新鮮で現代的だ。

歌手の発声もフランス式、発音も純粋、オーケストラの明るい音色と軽やかな響きもクリュイタンスの解釈にふさわしい。

発声法が世界的にヴェリズモから離れ、過去のベルカントやバロックを志向している現在、《カルメン》の原点を伝えるこの演奏の価値は今後ますます高まるに違いない。

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2009年06月25日


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ジェシー・ノーマンのタイトル・ロール、小澤&フランス国立o.という話題の顔合わせとなっていた「カルメン」。

ノーマンのカルメンは初めて(舞台でも歌ったことがないと言われる)。

小澤の円熟が際立つ名演だ。

小澤の指揮はフランス風とでもいえる軽快で明るいもので、悲劇のわりにはからっとしているのが特徴だ。

ビゼーの音楽の生き生きとした活力、そこに躍動する色彩を、そしてそれが表現する生々しい性格やドラマを、小澤は狙った獲物を捕らえる野獣にも似た動物的本能をもって見事につかみ、かつ鮮やかに描き尽くす。

正確なテンポ、リズムを支えに精巧に仕上げられていくその音楽は交響楽的と言えようが、豊麗で力強い盛り上がりから繊細なディミヌエンドに至るまで、どの部分も表現が生きている。

ソプラノのノーマンがカルメンだが、このカルメンは貫録充分で、シコフ(T)が演じるドン・ホセが可哀相になるほど、堂々として奔放な名演になっている。

ノーマンのカルメンは娼婦的な面を表に出しすぎず、死を恐れずに受容するカルメン像を創造していく。

その点で、ベルカンサとの共通項が認められ、終幕の二重唱などは死の予告の重唱のように響く。

エスカミーリョはエステス(Bs)で、この黒人のバスはやや重苦しい。

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2008年08月26日


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交響曲ハ長調は1959年のステレオ録音だが、すでに歴史的名盤といってよいだろう。

1930年代に発見されたこのビゼーの若書きを今日のようにポピュラーにしたのはビーチャムだそうだが、それを裏付けるようにこの演奏も大変に素晴らしい。

ビゼーの没後80年目に初演されたビゼーの若書きである交響曲ハ長調は実に愛すべき作品でビーチャムは春を想わせるような、この曲の性格を美しく引き出している。

1879年生まれのこのイギリスの巨匠の最晩年の演奏だが、いま聴いても不思議なほど若々しい香気があり、エレガントで洒落た表現も大変に味わい深い。

オケがフランス国立管であることも、この演奏の色彩を美しく新鮮なものにしている。

手兵ロイヤル・フィルとの「アルルの女」も、ビゼーの音楽を愛したこの大人ならではの巧まざるウィットとエスプリに富み、聴いていてほのぼのと頬が緩んでくる。

「アルルの女」ではビーチャムが育てたロイヤル・フィルの木管および金管(特にホルン)のソロがまろやかで筆舌につくしがたい魅力を放っている。

アンサンブルのまとまりもORTFをしのいでいるのも面白い。

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2008年04月26日


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カラス唯一のスタジオ録音で、ライヴ録音も他には残されていない。

この演奏の最大の魅力は、カラスの素晴らしい歌唱にある。

そのドラマティックな表現の幅の広さと深さでは、プレートル盤のカラスにまさるものはない。

まさにカラスのカルメンに脱帽するディスクで、まるでカルメンそのもののような、奔放で情熱的な演唱には完全に魅了されてしまう。

自由奔放で妖しい魅力を発散するカルメン、激情にかられてののしり叫ぶカルメン。

余りに強い凝集力が息苦しさを感じさせることも事実だが、これほど劇的緊張感に富んだ演奏もほかにはないことも確かだ。

それは、およそカルメンの音楽とキャラクターの中にあるドラマと感情のすべてを最も深く、最も鋭く、そして最も音楽的に歌い出したものとして他に類がない。

この録音当時、カラスは41歳。

彼女の歌には、女盛りの妖しい色気が満ち満ちている。

そのほかではゲッダのドン・ホセが名唱で、これは、カラスの残した数多くのディスクのなかでも特に音がよく、彼女の至芸を存分に味わうことができる。

現在ではいささか時代遅れになってしまったギロー校訂のレチタティーヴォ版による演奏でありながら、緊迫した劇的表現のおかげで、少しも古さを感じさせない。

プレートルのフレッシュな指揮も申し分ない。

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前者は1982年に録音された、カラヤンにとって2度目のもので、音が抜群によい。

演奏も、この作品のもつスペイン情緒を豊かに表出していてたいへんみごとだ。

カラヤンのタッチは精妙をきわめ、歌い手と管弦楽を魔術的に駆使して、素晴らしい「カルメン」を生み出している。

もちろん悲劇としての緊張も欠けていない。

旧盤にはなかった軽やかで爽やかな息吹きと透明な色彩に満ちた音楽があり、この演奏により「カルメン」というユニークなオペラの真の魅力が実感される。

歌手陣ではバルツァのカルメンが秀抜で、独自の魅力と官能を見事に歌い出している。

彼女のカルメンは知的で、カラスのような激しさにはやや欠けるが、声に艶があり、歌のうまさは抜きんでている。

これは彼女の真価をはっきりと示した名演だ。

後者の名場面集はギローによるレチタティーヴォ版での演奏で、この版がもっているグランド・オペラとしての恰幅のよさを前面に押し出したスケールの大きな演奏である。

プライスの妖艶さと野性味を合わせ持ったカルメン、圧倒的な声の力で男性的なドン・ホセ像を歌いあげるコレッリなどは、グランド・オペラのスタイルにふさわしい名唱である。

選曲もよい。

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2008年02月26日


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ベルギー生まれの名指揮者であるクリュイタンスは、パリ音楽院管弦楽団の正指揮者を1944年から1967年までつとめ、このオーケストラの黄金時代を築きあげた。

このビゼーの録音はクリュイタンス晩年の録音のひとつ。

「アルルの女」は遅めのテンポで、各曲を入念に練り上げながら、劇の舞台となったプロヴァンス地方の南欧的な雰囲気を色濃く表出し、軽やかなリズムと色彩で生き生きと情感豊かに描き上げた名演である。

南仏アルルの光と影、そして空気の温度と湿度までも、このクリュイタンスの名演奏は聴き手に体感させてくれる。

特に第1組曲の「アダージェット」の夢見るような表情、リズムの生き生きとした「メヌエット」、第2組曲の郷土色濃厚な「パストラール」と「ファランドール」、優美なフルート・ソロが一段と輝く「メヌエット」など、どの曲をとっても一点のキズすらない。

これは、クリュイタンスの残した数多い録音中、特に傑出した稀代の名演と呼ぶべきものであり、この組曲の最高の演奏といっても過言ではない。

「カルメン」組曲も非の打ちどころがない見事な演奏だ。

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2007年12月15日


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カラヤンは同一作品を回を重ねて録音したことで知られるが、これは1970年の、まさにカラヤン&ベルリン・フィルが最絶頂期を謳歌していた頃の録音であり、所謂「カラヤンサウンド」が全篇に満ち満ちた演奏である。

それだけにカラヤンがみせる執念と集中力はたいへんなもので、手になれた作品を扱いながら手を抜いたところは少しもない。

演奏はフランス的な香りにはやや欠けるが、オーケストラの卓越したうまさと、カラヤン一流の緻密な設計と巧妙な演出が光るもので、その豊かな表現力には舌を巻く。

彼の指揮した舞台の付随音楽は天下一品といってよく、この《カルメン》組曲の「前奏曲」など、まさに幕あきの音楽にふさわしい劇場風の華やかな気分にあふれている。

《アルルの女》もクリュイタンス盤の牙城に肉薄するすぐれた演奏で、カラヤンはこの組曲を一編の田園風物詩というよりも、むしろ、起伏にとんだ規模の大きな交響詩のように扱っている。

文句のつけようのない卓越した演奏で、カラヤンの卓抜な棒がそれぞれの曲の性格をくっきりと浮き彫りにしている。

その表現は自信に満ちており、どの曲もまことによく彫琢されていて、南欧特有の陽光に包まれた情緒を豊かに匂わせている。

第1組曲の「前奏曲」の中間から後半にかけてや、「アダージェット」「カリヨン」など、いずれも、その演出は巧妙をきわめたもので、まさにカラヤンの至芸といってよい名演奏だ。

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