ブロムシュテット

2018年11月16日


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残念ながらこのセットも既に製造中止の憂き目に遭っていて、現在ではプレミアム価格を覚悟しなければならない。

ただし全曲集と言っても9セットの個別売りされているSACDをごくシンプルなカートン・ボックスに収納しただけのもので、ライナー・ノーツはそれぞれのディスクに付いているのでばら売りで購入するのと殆んど変わりはない。

むしろ後者の方がまだ正規価格で入手可能だろう。

また欧文に比べると半分以下の1ページ弱だが日本語による解説も掲載されている。

音質は極めて良好で、SACDの本領を発揮した高音の伸びに無理がなく、また低音部も誇張された印象はなく全体的なバランスも取れている。

録音会場は総てライプツィヒ・ゲヴァントハウスのグローサー・ザールで、彼らの伝統になるヴァイオリン両翼配置のオーケストラや決して華美になることのない特有の音色による深みのあるサウンドも鮮やかに再生される。

そしてそれらがブレンドされる広い音響空間と潤沢な残響もブルックナーには相応しい録音環境と言える。

全曲ライヴ音源だが観客席からの雑音は最低限に抑えられていて、終楽章終了後もしばし沈黙の時があって、その後に拍手が始まる。

これは事前に聴衆に協力が求められていたのだろう。

ブロムシュテットの指揮者としての活動の中でもシュターツカペレ・ドレスデン及びゲヴァントハウスとの2種類のベートーヴェン全集と並ぶ大事業がこのブルックナーの交響曲全集の録音だったとも言える。

彼はこのシリーズを始める前に、やはりかつての手兵シュターツカペレ・ドレスデンを振った第4番及び第7番を1980年と81年にそれぞれ録音しているが、何故かその後同企画は頓挫してしまった。

90歳を迎えた現在の彼が更にこれから大掛かりな企画に挑戦することは殆んど望めないので、これがブロムシュテット唯一のブルックナー全集になる筈だ。

第8番だけが2枚組で、都合10枚のハイブリッド仕様のSACDになり、2005年7月から2012年3月まで7年がかりで収録されている。

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2018年10月25日


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日本でもおなじみの名匠ブロムシュテットと400年を越える伝統を誇るシュターツカペレ・ドレスデンという燻し銀コンビによる美しく香り高い名演。

ブロムシュテットはかつての手兵シュターツカペレ・ドレスデンとモーツァルトの最後を飾る4曲の交響曲を録音した。

そのうち第40番ト短調及び第41番ハ長調『ジュピター』も、既にもう1枚のディスクでUHQCD化されている。

この2曲も1982年にドレスデン・ルカ教会でディジタル録音された音源で、当時の日本コロムビアとドイツ・シャルプラッテンの共同制作になる。

音質は初期のディジタル録音よりかなり向上していて、それ以前のグランド・オーケストラを使ったスタイルによるモーツァルトでは沈みがちだったウィンド・セクションも立体的な音像で再生される。

潤沢な残響を持った録音会場だがサウンドに混濁はなく臨場感も充分に出ていて、シュターツカペレ・ドレスデンの伝統的な奏法や音色の特徴を捉えることにも成功している。

この時代のエンジニア達のレコーディングに懸けた意気込みを伝えた録音のひとつでUHQCD化はタイムリーな企画だ。

交響曲第38番ニ長調『プラハ』はプラハ初演を念頭において書かれたためか、ウィーンの聴衆には欠かせなかった第3楽章のメヌエットを省いている。

ベートーヴェンは早くからメヌエットをやめてスケルツォを挿入したが、やはり様式にはそれほど固執しない柔軟な感覚を持っていたモーツァルトの一面を見る思いがする。

しかし第1楽章には見事な対位法が使われていて、彼の晩年の自在な作曲法の境地を示している。

ブロムシュテットはそれぞれの声部をダイナミックに聴かせて巧妙なオーケストレーションを堪能させてくれる。

第39番変ホ長調でも彼らは愚直なほどスコアに真正直な演奏をする。

そこに洒落っ気こそ感じられないが、剛毅な力強さに溢れていて、シュターツカペレ・ドレスデンの底力をみせた演奏に違いない。

もっと軽快で輝かしいモーツァルトもあるが、現在これだけ真摯な解釈でしかも高貴な雰囲気を湛えた重厚な再現に出会うことは珍しい。

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2018年10月13日


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R.シュトラウスの交響詩集は密接に文学やそのストーリーに結び付けた音楽と言うより、文学作品から受けたイメージを洗練されたオーケストレーションによって発展させ、結果的にはタイトルの如何に拘らず、独自の音楽的なインスピレーションとアイデアを披露する場になっているので、物語との整合性を求めてもあまり意味がないだろう。

このディスクに収録された『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』も原作の卑近で尾籠な話の中に鋭い風刺を織り込んだ笑話集とはかなり印象の異なった、高度な音楽性と趣味の良いシュトラウス=サウンドがブロムシュテットの端正で的確な指揮ぶりと美しく充実したシュターツカペレ・ドレスデンによって理想的に再現されている。

風刺的表現に関してはむしろ後退しているが、純粋な管弦楽曲としての完成度の高さは流石と思わせるものがある。

勿論、当時の首席ホルン奏者だったペーター・ダムの軽妙なソロも聴きどころのひとつだ。

『メタモルフォーゼン』は交響詩とは名付けられていない弦楽のための作品だが、大戦によって失われた芸術への追悼がブロムシュテットの強い共感と共に鮮烈に表現され、晩年の作曲家の黄昏に佇むような心境を偲ばせるものがある。

3曲目の交響詩『死と変容』でもシュターツカペレ・ドレスデンの首席奏者達の巧みなソロとアンサンブルが秀逸で、改めてこの楽団の水準の高さを知らされる。

ブロムシュテットは強い個性を主張する指揮者というよりは、むしろ作曲家の構想をスコアから隈なく読み取るタイプなので、R.シュトラウスの精緻なオーケストレーションが淀みなく整然と描かれているところが彼らの一連の演奏集の特徴だろう。

その上でシュターツカペレ・ドレスデンはR.シュトラウスの9曲のオペラを初演し、アルプス交響曲を献呈された、作曲家に最も信頼されていたオーケストラだったこともあり、団員達の伝統的な解釈が演奏に反映され、他のオーケストラとは一線を画しているのも事実だろう。

R.シュトラウスのオーケストラル・ワークに関してはブロムシュテットより6代前のカペルマイスター、ルドルフ・ケンペとの1970年代初期のCD9枚分の網羅的な録音集が歴史的名演として知られたところだ。

ブロムシュテットはケンペほど徹底した管弦楽曲集は残さなかったにしても『英雄の生涯』を手始めに『ツァラトゥストラ』、『ドン・ファン』、そして『ティル』『メタモルフォーゼン』及び『死と変容』の6曲を3期に亘って録音した。

このディスクの3曲はシリーズ最後の時期に当たる1989年にドレスデン・ルカ教会で行われたセッションになる。

奇しくも東西ドイツ統合の数ヶ月前の録音だが、この頃既に東側ではPCMディジタル録音が一般化していたために音源は極めて良好で、グレードアップされたリニューアル盤が待たれていただけに今回のUHQCD化はタイムリーな企画だ。

これで、ブロムシュテット、シュターツカペレ・ドレスデンによる6曲の管弦楽曲集の高音質盤が完結したことになる。

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2018年10月09日


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このディスクにはヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』及び『ドン・ファン』の2曲が収録されている。

どちらも1987年にドレスデン、ルカ教会でのPCMディジタル録音だが、ライナー・ノーツによると前者のオルガン・パートはベルリンのシャウシュピールハウスでの演奏がシンクロナイズされたようだ。

制作は日本コロムビアとドイツ・シャルプラッテンのコラボで、この頃には既に16ビット4チャンネルの録音機が導入されていたこともあり、今回のUHQCD化によって彼らの精妙な演奏が鮮明な音質で再生される。

ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンは『マクベス』を除く6曲のR.シュトラウスの交響詩を3期に分けて録音したが、今回の企画でその総てがUHQCD化されたことになる。

オーケストラの音の伸びも自然で、ルカ教会の高い音響空間を活かしたクリアーな空気感の中に拡散する奥行きのあるサウンドが特徴だ。

『ツァラトゥストラ』はR.シュトラウス特有の絢爛豪華なオーケストレーションが駆使されている性格上、華美になり過ぎると曲想が上滑りして強烈な冒頭部分のみが突出して、残りの部分の影が薄くなりがちだ。

ここではブロムシュテットの全曲を見極めた均整のとれた造形が、9部分から構成されるストーリーの結束を固くして、最後まで聴き手の注意を逸らせない。

音響の壮大なドラマに重点を置かずに1つ1つの音符を誠実に再現し、その結果として自然に堂々とした風格が出てきた表現と言うべき特色を持っている。

最後の部分に現れるヴァイオリン・ソロを始めとするソロやアンサンブルも洗練されていて、シュターツカペレ・ドレスデンの伝統的な奏法といぶし銀の音色が、指揮者の音楽的構想を可能にしていると言ってもいいだろう。

『ドン・ファン』でも華やかでドラマティックな曲想にシックな趣が加わって、文学的な高尚さを醸し出している。

ここでの主人公はモーツァルトの描いた、人間の業の権化のようなドン・ジョヴァンニ像とは性格を異にする、R.シュトラウスによって理想化された人物として表されている。

2曲ともに、ブロムシュテットの落ち着いた語り口と真摯で丁寧な表現が、シュターツカペレ・ドレスデンの中欧的な柔らかい響きの魅力を旨く活かす結果になった演奏で、オーケストラの機能美ばかりが追求されるR.シュトラウスの演奏に一石を投じる解釈と言える。

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2018年07月24日


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ブロムシュテットらしく、いわゆるオペラティックで劇場的な派手さを狙った演奏ではないが、堅実な采配がかえってこの作品の舞台効果を高めていると同時に、手際の良い場面の進行でストーリーにも連続性が保たれている。

ベートーヴェンがシーンを盛り上げる時に歌手の個人的な見せ場のアリアよりも重唱で一人一人の心理描写や葛藤を描く、アンサンブルの音楽的高みを創って緊張感を高めていることが良く理解できる。

名高い囚人のコーラスでも抑制された、しかし力強い男声合唱を聴かせている。

またシュターツカペレ・ドレスデンの飾り気のないオーケストラの音色がこのオペラの文学性と交響的な作風の両面を矛盾することなく表現していて秀逸で、そこにはこの作品に懸ける彼らの強い意気込みが感じられる。

この録音の後、ベルリンの壁が崩壊してからドレスデンのオペラの殿堂ゼンパーオーパーでの彼らの最初の演目も『フィデリオ』で、旧体制からの開放をこのオペラのストーリーになぞらえて、苦しみの末に勝ち得た人類愛と歓喜を上演に託している。

このディスクに収録されているのは初稿なので、現在では牢獄のシーンの後に習慣的に挿入される序曲『レオノーレ』第3番はここでは演奏されない。

ブロムシュテットの抜擢した歌手陣もそれぞれが実力派で、エッダ・モーザーの知的な歌唱はヒロイン、レオノーレの毅然とした性格を良く表している。

ただし第11番のシーンでは後半やや力み気味になっているのが惜しまれる。

ベートーヴェンは発声の生理的メカニズムを活かすメロディーというより、どちらかと言えば器楽的な作法をとっているので実際声楽曲として歌い切ることには困難があるに違いない。

テノールのリチャード・カシリーは超美声というわけではないが、発声が柔軟で力任せに歌うタイプではないために、変化する心理描写が欠かせないフロレスタンには適役だ。

数年前、ウィーン・シュターツオーパーで『フィデリオ』が上演された時、絶叫するテノールに辟易した思い出がある。

刑務所長ドン・ピツァロ役のテオ・アダムも性格俳優さながら安定した歌唱で脇を固めている。

1976年ドレスデン・ルカ教会でのセッション録音で、音質は極めて良好。

ブリリアントからのバジェット盤でシノプシスは掲載されているが、リブレットは省略されている。

ベートーヴェンの唯一のオペラ『フィデリオ』は、彼の命名では原作の戯曲と同様の『レオノーレ』だったが、初演の失敗や既に存在していた同名の作品との混同を避けるため主人公レオノーレの仮名フィデリオで上演されるようになった。

ブロムシュテットが採用したのはベートーヴェンが1805年にひとまず書き終えた初稿版で、セリフ付オペラ・コミク様式の3幕仕立てで構成されている。

冒頭に置かれた序曲は現在『レオノーレ』第2番と言われているものだが、初演のために用意されたオリジナル作品で、劇中のモチーフを取り入れた舞台の情景を暗示させる充実した内容を持っている。

序曲『レオノーレ』第1番は実際には1806年に第2稿として作曲されたもので、更に同第3番を1807年のプラハ初演の機会に、そしてオペラのモチーフを全く欠いたフィデリオ序曲を1814年に書いている。

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2018年07月08日


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首席指揮者時代のブロムシュテット、シュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルト協奏曲集で、1973年にルカ教会で収録されたやや古い音源だが、新規のリマスタリングとUHQCD化によって鮮やかな音質が甦っている。

このディスクに収録された3曲の協奏曲とフルートと管弦楽のためのアンダンテのソロ・パートはいずれもシュターツカペレの首席奏者だ。

優れたオーケストラでは団員一人一人が一家言持ったソリストであり、気張らないコンサートでは著名な演奏家を外部から呼ばなくても仲間内でソロをカバーできるものである。

そうしたインティメイトな雰囲気の中で行われたセッションが当アルバムだ。

ヨハネス・ヴァルターのフルートを実際に聴いたことはないが、最近聴いた現在のシュターツカペレ・ドレスデンのフルート奏者の音色がこの録音と極めて似ていることに驚いた。

彼らはグローバル化が進んで個性を失いつつあるヨーロッパのオーケストラの中でも、かなり頑固なスタイルと音色を維持している。

ヴァルターは名人芸を聞こえよがしにアピールするタイプではないし、音色は輝かしくも耽美的でもないので、目の醒めるようなテクニックや甘美なソロを望む人には期待外れだろう。

しかしヴァルターの奏法が彼らの典型であることは認めざるを得ない。

クルト・マーンのオーボエもやや太く硬質な音色だが真摯な演奏にブロムシュテットのメリハリのあるサポートがひときわ精彩を加えている。

モーツァルトが音楽の基本とも言われるのは、彼の作品には他のあらゆる作曲家の作品に応用できる普遍的な音楽の表現力やテクニックの基本が要求されるからだ。

とは言え、彼ら全員がモーツァルトのオペラ上演でも鍛えられたゼンパーオーパーのオーケストラであることも無視できない。

シュターツカペレ・ドレスデンはやはりブロムシュテットの指揮で首席ホルン奏者ペーター・ダムとモーツァルトのホルン協奏曲を中心とする数多くの協演を残している。

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2018年06月08日


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1976年から77年にかけてドレスデン・ルカ教会で収録された3曲のディヴェルティメント及びアダージョとフーガハ短調をカップリングしたドイツ・シャルプラッテン音源で、リマスタリングとUHQCD化によって鮮明な音質が得られている。

収録時間がいくらか短いが、その分音質に反映されていると思えばリーズナブルな価格と言えるだろう。

ブロムシュテット首席時代のシュターツカペレ・ドレスデンの、常に真摯かつ几帳面でありながら硬直した演奏に陥ることなく、ディヴェルティメントらしい活き活きしたスピリットが一陣の心地良い風が吹き抜けるような爽やかさを感じさせる。

彼らから紡ぎ出されるオーケストラの音色は甘美ではないにしても、若き日のモーツァルトのウィットを伝えるに相応しい落ち着いた響きと柔軟さで、ブロムシュテットの指揮に敏感に呼応しているところが秀逸。

ブロムシュテットの解釈は総じて中庸で、作為は一切排し、極めて自然に音楽を流している。

上質なオーケストラのアンサンブルと響きを最大限に活かしながら、バランスよく爽快に聴かせて、特に高弦部の清澄で古雅な響きは傾聴に値する。

近年のブロムシュテットの円熟ぶりからすると今一歩の感はなきにしもあらずだが、伝統的なモーツァルト演奏としての価値は充分にある。

モーツァルトは作曲家としてのシリアスな能力が問われる仕事、つまり劇場作品や宗教曲、交響曲や協奏曲、弦楽四重奏曲などの他に、肩の凝らない娯楽機会用のアンサンブルやオーケストラル・ワークでもかなりの作品を遺している。

勿論こうしたジャンルだからと言って彼が手を抜いて作曲したわけではなく、むしろ諧謔の天才たるモーツァルトの機知とユーモアが高度な音楽性を伴って示された優れた作品群であることに違いない。

このディスクに収録された3曲のディヴェルティメントはザルツブルク時代の作品で、16歳の若書きとは言え後の交響曲に発展する前のミニアチュアにも喩えられる、既に完成したテクニックが颯爽とした曲想に垣間見える。

アダージョとフーガは明らかにバッハの対位法作品からの影響を受けた作品で、曲の構成からバロック風に名付ければさしずめプレリュードとフーガになるだろう。

しかしアダージョは鮮烈だがもはやバロック的な深刻さがそれほど感じられない、どちらかと言えばロココ風の優美な嗜好が感じられる。

モーツァルトは少年時代イタリア旅行でマルティーニ神父から対位法ののレッスンを受けているが、宗教曲以外でも弦楽四重奏曲や最後の交響曲『ジュピター』の終楽章のように高度なフーガの作法にも熟達していたが、このフーガの後半でのストレッタで次第に緊張感を高めていく彼のテクニックが証明されている。

この作品はピアノ連弾用として作曲され、その後モーツァルト自身によって弦楽合奏用にオーケストレーションされたが、厳格な雰囲気の中に瑞々しい美しさを湛えている。

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2018年06月06日


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ブロムシュテットが手兵シュターツカペレ・ドレスデンを指揮したシューベルトの交響曲全集は1978年から81年にかけて旧東独のドイツ・シャルプラッテンに録音された。

現在でも同社のクラシック部門エーデル・レーベル、オランダ・ブリリアント・クラシックスからの廉価盤、キング・レコードからの日本盤のいずれも入手可能だ。

鮮明な音質に加えて分離状態の良いオーケストラの音響が広い音場の中で明瞭に再生される。

ちなみに日本では第8番ロ短調『未完成』のみがドヴォルザークの第8番とのカップリングでUHQCD化されているが、将来ブルーレイ・オーディオなどによるグレードアップを期待したい全集だ。

ブロムシュテットがこれまでに完成させた交響曲全集には他にシュターツカペレ・ドレスデン及びゲヴァントハウスとの2種類のベートーヴェン、ゲヴァントハウスとのブルックナーがある。

それらも録音史上に残るべき真摯で説得力のある演奏だが、このシューベルトも全く優るとも劣らない緻密な構成で力強い響きが導き出されている。

数多いシューベルトの交響曲全集の中で、これほど全曲が均質化され、気高く交響的な美感をもって演奏された例は少ないだろう。

シューベルトのなかにある独自の孤独感や、祖父がシュレージェン地方の農民であったという血の表明をドイツ的な堅実さで確実に表出し得ている。

シューベルトの本質を衝いた秀演で、全8曲どれをとってもむらがなく、禁欲的節度と気品を持った演奏だ。

ウィーンの伝統である楽天性や感傷とは一線を画しているが、そこにシューベルトの孤高の心情を描いており、ドイツ的とも言える堅実な感触が、第5番までの初期交響曲から堂々とした交響性を引き出している。

『未完成』では第1楽章の雄大なスケールと第2楽章の内面の豊かな歌、『ザ・グレイト』での山脈のように聳え立つ緊密な構築も特筆して良い。

さらに、シュターツカペレ・ドレスデンのふくよかな響きが素晴らしい雰囲気を味わわせてくれる。

シューベルトの交響曲の歴史的な評価はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンに引き継がれる圧倒的な系譜からするといくらか影の薄い印象があるが、ロマン派交響曲の先駆としてベートーヴェンとも異なった手法で生み出されたところが2人のピアノ・ソナタの性格の違いにも一脈通じるものがあって興味深い。

しかも彼が僅か31歳で生涯を終えたことを考えれば、その後のメンデルスゾーンやシューマンに与えた影響は決して軽視できるものではないだろう。

ベートーヴェンは短いモチーフを極限まで展開して堅牢な楽曲を築き上げたのに対して、シューベルトはリート作曲家らしく、しばしば歌謡的な長いメロディーをテーマに持ち込んで、流麗で溌剌とした音楽に仕上げている。

そのために技巧を凝らしたフーガやそれぞれの楽章間の緊密な統一感などは望むべくもないが、平明な美しさとおおらかさには替え難いものがある。

シュターツカペレ・ドレスデンの音色は華麗ではないにしても、個人的なテクニックの水準は高くアンサンブルも洗練されていて、作曲家のカンタービレを自在に歌う融通性がある。

それは彼らがオペラ劇場ゼンパーオーパーのオーケストラ・ピットに入る楽団であることからも納得できる。

筆者は以前ブロムシュテット指揮する彼らのコンサートを聴いたが、その時ごく僅かな身振りから変化に富んだ多彩な音楽が引き出されるところに両者の信頼関係と強い絆を実感できた記憶がある。

尚シューベルトにはピアノ譜で遺された交響曲の草稿が他にもあり、このセットでは旧ナンバーリングで最後の2曲は第8番及び第9番になっているが、彼自身がオーケストレーションを施したものは事実上ここに収録された8曲になる。

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2018年05月27日


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自らの生涯を描いたと言われるリヒャルト・シュトラウスの壮大な音絵巻を、ブロムシュテットの豊穣にして端正な指揮、R.シュトラウスを知り尽くしたドレスデンのオーケストラによる極め付きの名演。

1984年9月ドレスデン・ルカ教会でのセッション録音で、マスターの音質の良さに加えて今回のUHQCD化によって、レギュラー・フォーマットCDでのリーズナブルな価格帯で更に音質向上の可能性を追究しているところを評価したい。

確かに従来盤より見通しの良い鮮明な音場が得られているが、その中でブロムシュテットの緻密でありながら溢れるほどのアイデアと音楽性を湛えた指揮と、ルカ教会の広く豊かな音響空間に無理なく伸展するシュターツカペレの潤沢なサウンドがこの交響詩にひとつの理想の姿として映し出されている。

また随所に現れる名コンサート・マスター、ペーター・リミングのヴァイオリン・ソロも非常に巧妙でこの作品に欠かせない聴きどころを創っている。

彼は1972年のケンペとの共演でもソロを弾いているが、オン・マイクでヴァイオリン協奏曲のように録音されているのに対して、こちらではあくまでもオーケストラの一部から響いてくるように採音も改善されている。

リヒャルト・シュトラウスの多くの作品は作曲家自身、或いは彼の信任に厚かったカール・ベームの指揮によってドレスデンで初演されている。

また1970年代にルドルフ・ケンペがシュターツカペレ・ドレスデンとEMIに交響詩全曲録音を完成させている。

そうしたオーケストラに蓄積された貴重な経験を現代のシュターツカペレが受け継いで、R.シュトラウスの老舗としての伝統を引っ提げていることは無視できないだろう。

R.シュトラウスの時代に作曲上のオーケストレーションのテクニックは爛熟期を迎え、後期ロマン派から受け継いだ手法を更に発展させた、大編成のオーケストラのための洗練を極めた豊麗な音響で魅了する音楽が殆んど飽和状態に達する。

6管編成100名を超えるオーケストラ、3人の独唱者と大合唱のための『吟遊詩人タイユフェ』はその象徴的な作品だ。

彼の作曲した殆んどの作品はタイトルが付けられた標題音楽で、管弦楽曲でもオペラにおいても独自の管弦楽法が最高度に発揮されていて、音楽によって細密画的に描写するストーリーの展開に熟達している。

一方で標題音楽と絶対音楽との宿命的な邂逅とせめぎ合いがあり、彼の作曲上のスタンスを良く示している。

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2018年05月15日


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名匠ブロムシュテット、シュターツカペレ・ドレスデンのコンビによる馥郁たる魅力にあふれたブルックナーの交響曲はこの第4番『ロマンティック』と第7番の2曲しか残されていない。

少なくともセッション録音については他に見当たらないし、現在90歳というブロムシュテットの年齢を考慮すれば、今後同メンバーによる他の交響曲を追加することは殆んど期待できないが、いずれも名演の名に恥じない演奏だ。

ブルックナーの大規模な交響曲の中でもそれほど複雑な構成を持たず、また第2楽章のように美しいメロディーや終楽章での壮大なクライマックスの聴きどころも周到に準備されていることから入門者のファースト・チョイスとしてもお薦めできる。

このディスクはUHQCDで従来盤よりいくらか高いが、音質に関しては明らかに改善されている。

特にブルックナーのオーケストレーションのように総奏部分で分厚く和声を重ねる書法では、どうしても再生時の解像度の高さが不可欠だが、幸いこのリニューアル・バージョンでは楽器ごとの分離状態もクリアーで充分満足のいくものに仕上がっている。

レギュラー・フォーマットのCDでもまだ音質改善の余地があることを示したシリーズで、今後リリースされる曲目にも注目したい。

演奏内容については、今更云々するまでもなく評価の高いディスクだが、ブロムシュテットのバランスのとれたしかもスケールの大きい表現力には改めて敬服させられる。

冒頭のいわゆるブルックナーの霧の中に現れるホルンは首席奏者だったペーター・ダムのソロと思われるが、惚れ惚れするような弱音のカンタービレが絶妙な導入部を形成している。

第2楽章ではヴァイオリン・パートの飾り気のない鄙びたカンタービレが朴訥でシンプルなブルックナー像を暗示していて興味深い。

大編成のオーケストラが決してグロテスクな鈍重さに陥らず、繊細でありながら緊張感を失うことなく力強く輝かしい音響を創り上げるシュターツカペレ・ドレスデンの鍛え抜かれた演奏テクニックと団員の結束も超一流だ。

1981年にドレスデン・ルカ教会で録音されている。

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2018年05月09日


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ドイツ王道の音楽を得意とする名匠ブロムシュテットによる香り高いモーツァルトで、奇を衒うことなく、あくまでも美しく夕映えのようなモーツァルトの美点を余すところなく描いた名演。

古典的な手堅い構成の中にきめ細かな抒情を湛えたブロムシュテットの手法は、モーツァルト最後の交響曲2曲にも生き生きと示されている。

それはまたシュターツカペレ・ドレスデンの上滑りしない落ち着いた音色と頑固なまでに鍛えられた余裕のあるアンサンブルによって確実に裏付けられている。

このディスクはUHQCDバージョンで、音質の鮮明さと同時に分離状態でも従来盤を上回っていることが明確に感知される。

シュターツカペレ・ドレスデンの柔らかい音色美がUHQCDにより瑞々しく蘇り、彼らの毅然として引き締まった演奏を更に引き立てる結果になった。

ブロムシュテット、シュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルト演奏集で、これまでにUHQCD化された音源は首席奏者だったヨハネス・ヴァルターをソロに迎えたフルート協奏曲集、ディヴェルティメント集及びこの2曲の交響曲になる。

ピリオド・アンサンブルによる演奏形態が主流になっている中で、これらはモダン楽器によるモーツァルト演奏集の最上位に置くべき選択肢である筈だ。

第40番ト短調のイン・テンポを保った溌剌とした表現からは、それまでのあざとい激情や鬱状態の音楽としてではなく、モーツァルトの死にまつわるエニグマとは切り離された、スコアに記された音楽そのものに語らせた現代的な解釈であることが理解できる。

鑑賞を始めて気付いたことだが、通常の演奏では2本のクラリネットが加わるモーツァルト自身の改訂稿が使われるが、ここではウィンド・セクションにオーボエとファゴット2本ずつとフルートのみの初版が採用されている。

それゆえオーケストラの音色に陰翳が少なくなって、より古典的な形式と調和を重んじたグランド・マナーの演奏に仕上げられている。

晩年のモーツァルトが到達した作曲上のテクニックは驚くほど自由闊達だが、彼らのシンプルな演奏がかえってその妙味を明らかにしていると思う。

第41番『ジュピター』ではブロムシュテットの堅牢な造形の中に明朗快活で柔軟な表現が冴え渡っていて非常に均整の取れた演奏だ。

その意味ではジュピターというよりはアポロン的な美しさに喩えられるかも知れない。

メヌエットはベートーヴェンによってスケルツォに取って代わる終焉のサンプルだが、終楽章と共に対位法が縦横に活かされている。

バッハのフーガにも精通していたモーツァルトが晩年に辿り着いた音楽の理想の姿を表しているようで興味深いが、ここでもブロムシュテットの構成力が見事に発揮された緊張感と歓喜に満ちた再現が秀逸。

録音はどちらも1981年にドレスデン・ルカ教会で行われている。

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2018年04月03日


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ブロムシュテット、ゲヴァントハウスによるブルックナー交響曲全集のプロジェクトは2012年に完成され、日本では9曲の交響曲が9枚のSACDセットに纏められたが、何故か既に製造中止の憂き目に遭っていてばら売りでも入手困難な状態だ。

一方こちらは彼のもうひとつの手兵、シュターツカペレ・ドレスデンとの1980年代の共演で、このコンビではこれまで第4番及び第7番のみが録音されている。

幸いこの2曲は現行のレギュラー・フォーマット盤でも手に入るが、昨年両曲ともUHQCDとしてリニューアルされた。

第7番ホ長調はおそらく全曲集へ発展させるつもりで開始した第一弾で、1980年にドレスデンのルカ教会で収録されている。

広い空間に進展する音響が良く捉えられていてブルックナーの巨大なスケール感にも不足していない。

当時まだ爆撃で破壊された都市の復元が続いていたドレスデンでは録音会場として相応しい唯一の場所だったようだ。

東側でもPCMディジタル録音が普及しつつあった頃の音源としては極めて良好で、彼ら特有の虚飾のない精妙なサウンドが一層鮮明に再生される。

ブロムシュテットのドイツ王道をゆく誠実な指揮により、第7番の雄大で美しい響きが理想的に再現されていて、熟成の極みともいえるドレスデン・サウンドとの組み合わせがその魅力を最大に高めている。

ここではブロムシュテットがブルックナーの作曲時に描こうとした音楽的構想にできるだけ忠実な演奏を試みたことは間違いないだろう。

作曲家自身の決定的なスコアというものが存在しない限り、最もシンプルに校訂された版を参考にすることは解釈の上での重要な解決策の筈だが、彼がハース版を採用していることからもそうした傾向が明らかだ。

ただし彼らの演奏から醸し出される音楽は決して地味一辺倒なものではなく、光彩を放つような豊穣な音色の変化と生命力に溢れた推進力があってまったく脆弱さを感じさせない。

シュターツカペレ・ドレスデンとのブルックナー全集が頓挫した理由は分からないが、ブロムシュテットの現在の年齢を考えれば彼らが再び採り上げることに殆んど期待は持てない。

しかしブルックナー・ファンにとっては第4番と共に是非コレクションに加えておきたい名演のひとつであることは確かだ。

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2017年12月20日


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ヘルベルト・ブロムシュテットは既にシュターツカペレ・ドレスデンとのベートーヴェン交響曲全集を完成させていて、このライプツィヒ・ゲヴァントハウスとのセットは彼がここ数年間で成し遂げた2度目の録音になる。

ブロムシュテットは現在90歳でスクロヴァチェフスキ亡き後のクラシック楽壇でも最長老だが、また現役の中では最高峰のベートーヴェン指揮者と言っても過言ではないだろう。

彼は1975年から85年までの10年間はシュターツカペレ・ドレスデンの、そして98年から2005年まではゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターに就任していたので、今回の全集も自ら鍛え上げた手兵を見事に統率した演奏がいわゆる客演とは一味も二味も異なった、細部まで練り上げられた緻密さと地に足の着いた安定感を持っている。

確かに個性を前面に出したスリルに満ちた演奏ではないが、テンポは概して快速で、その推進力に生命感が漲っている。

また管弦共にヴィブラートを抑制したピリオド奏法を採用しているために和声の進行も一層明瞭に感知できる。

ライプツィヒがまだ旧東ドイツの都市だった頃のゲヴァントハウスのコンサートでマズアによるベートーヴェンの第8番を聴いたことがある。

洒落っ気のない素朴な音色だったが強力に統率されたパワフルな響きに驚かされた。

その時にベートーヴェンのあるべき演奏の姿を知らされた思いだった。

今では楽員のグローバル化も進み、また音色も随分洗練されているが、新しいこの交響曲全集を聴いても飾り気の少ない重心の低さが如何にもゲヴァントハウスらしい。

前任者クルト・マズアとも全曲録音を行っているが、ブロムシュテット自身も長期間に亘って旧東ドイツのふたつのオーケストラを任された経験から、楽団の持っている伝統的なスタイルを熟知している。

彼はオーケストラの配置にチェロを中央に据えて第2ヴァイオリンを上手に置く両翼型を常套的に採用しているが、これはメンデルスゾーンがゲヴァントハウスのカペルマイスターだった時にその原型が形成されたようだ。

これによってベートーヴェンのオーケストレーションの妙味も明らかにされている。

音質は鮮明で分離状態も良好だが、低音部がかなり豊かに響いているのは録音会場の音響の特質かもしれない。

例えば交響曲第9番第2楽章スケルツォでのティンパニ・ソロの深く重厚な響きには圧倒される。

4人のソリストを合唱団と同列のオーケストラの後ろに配置しているのも特徴的で、声楽の突出を避けたバランス感覚も独自のものがある。

ただしテノールのエルスナーはいくらか影の薄い存在だ。

現在のゲヴァントハウスは1981年にオープンした三代目のコンサート・ホールで、ライプツィヒ歌劇場と並んで新時代を象徴するようなモダンな建築様式によるライプツィヒのクラシックの殿堂になっている。

尚このセットは横からスライドして引き出すカートン・ボックスの中に、それぞれが見開きのダブル・ジャケット4つに5枚のCDを挿入したコレクション仕様で、ブロムシュテットのスナップや演奏会場となったゲヴァントハウス大ホール内部の写真が掲載された独、英、仏語による70ページの充実したブックレットが付いている。

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2017年07月24日


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昨年末に旧東独のドイツ・シャルプラッテン音源が50枚の高音質UHQCDシリーズとしてリイシューされた。

その1枚がブロムシュテットがペーター・ダムをソロに迎え、気心の知れた自分の所属オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンのもとで録音したモーツァルトのホルン協奏曲集になる。

本盤ではペーター・ダム独特のややメロウな響きによるのびやかな歌の味わいが格別で、バックも素朴で自然だ。

新規にリマスタリングされてCDのマテリアルも一新されたようだが、確かに雑身が払拭された澄んだ音質が得られている。

オリジナル・マスター自体がかなり良い状態であることが想像されるが、オーケストラのそれぞれの楽器の分離状態も良く、一段と磨きがかかった潤いのある音色とバランスのとれた音場が再生されている。

ペーター・ダムは1988年に同曲集をフィリップスに再録音しているが、聴き比べると音質的に全く引けを取っていない。

ちなみに2度目の録音はモーツァルト没後200周年記念として刊行された全180枚のコンプリート・エディションに組み込まれた演奏で、現在でも協奏曲だけをエクストラクトしたデッカの9枚組セットで入手可能だ。

尚今年になって本家ベルリン・クラシックスからダムの6枚組の演奏集がリリースされたが、このモーツァルトの協奏曲集は除外されている。

このホルン協奏曲集の特徴はブロムシュテット率いるシュターツカペレ・ドレスデンの精緻なサポートにある。

再録音のネヴィル・マリナー&アカデミー室内との演奏では、室内楽としての嬉遊性に富んだ溌剌とした表現が聴かれダムのソロもより自由闊達だ。

しかしモーツァルトの音楽に内包されている恒久的な安らぎという哲学的観点では、ブロムシュテットの抑制を効かせたオーケストラにダムが敬意を表しているような、両者間での完璧な調和が感じられる。

モーツァルトのピリオド的な再現という点ではマリナーとのものがより近いかも知れないが、一方で美学的な説得力ではこちらが掛け替えのない価値を持っている。

当時ダムが首席ホルン奏者だったシュターツカペレ・ドレスデンだが、あくまでも音楽性において自らの名人芸を披露するという、極めて優れた協調性に彼のインテリジェンスが窺われるアルバムだ。

ダムはホルンと管弦楽のためのロンドも両指揮者と2回の録音を果たしている。

しかしこの作品の後半60小節の自筆譜が再発見されたのが1989年なので、どちらもそれ以前の短いバージョンの演奏になっている。

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2016年03月23日


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薫り高いドイツ音楽の王道をバックボーンにもつ名匠ブロムシュテットと名門シュターツカペレ・ドレスデンによる名盤の誉れ高いディスク。

モーツァルト後期の傑作交響曲のカップリングであるが、いずれも素晴らしい名演だ。

夕映えのようなモーツァルトを奏でさせたら天下一品として、ウィーン・フィルの好敵手のように讃えられてきた400年以上の伝統を誇るシュターツカペレ・ドレスデンによる極上のモーツァルト演奏である。

その音色だけで魅了されてしまうと絶賛された、モーツァルトの交響曲の最初に聴きたい最右翼盤と言えよう。

ブロムシュテットによる本演奏に、何か特別な個性があるわけではない。

奇を衒ったり、意表を突くような余計な装飾は一切無い、オーソドックスな演奏ではあるが、このオケの美しい音色をブロムシュテットは丁寧に引き出してくれる。

テンポも、楽器の鳴らし方も、全てが標準的と言えるが、このオーケストラの音色、アンサンブルは比類のないものであり、ここでもまるで指揮者なしのような、自然で癖のない音楽運びが、繰り返し聴きたくなる演奏の秘密であろう。

ブロムシュテットは、第40番においては、地に足がついたゆったりした荘重なインテンポで、重厚すぎると感じられる部分もあるが、この交響曲にある悲愴美を余計なことをしないで自然に引き出しているのが良い。

とりわけ有名な第1楽章第1主題の歌は胸に突き刺さる。

第41番「ジュピター」においても、ゆったりとしたテンポを基本にしたスケールの大きい演奏で、愚直に楽想を進めていくのみである。

19世紀的なモーツァルト観の現代版とも言えるロマンティックなものだが、表現自体は丁寧かつ自然な流れがあるので説得力がある。

モダン・オーケストラでならこのような解釈もこの交響曲の魅力の1つとして十分に楽しめる。

ブロムシュテットは、自己の解釈をひけらかすようなことは一切せずに、楽曲の魅力をダイレクトに聴き手に伝えることのみに腐心しているようにも感じられる。

これは、作品にのみ語らせる演奏ということができるだろう。

それでも、演奏全体から漂ってくる気品と格調の高さは、ブロムシュテットの指揮による力も多分に大きいものと考える。

ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの落ち着きのある演奏は、その爽やかで端正な音楽の流れが何ともすがすがしく、聴いていて心の安らぎを覚えるようである。

いずれにしても、モーツァルトの第40番や第41番「ジュピター」の魅力を深い呼吸の下に安心して味わうことができるという意味においては、トップの座を争う名演と言っても過言ではないと思われる。

こうした作品のみに語らせるアプローチは、時として没個性的で、無味乾燥な演奏に陥ってしまう危険性がないとは言えないが、シュターツカペレ・ドレスデンによるいぶし銀とも評すべき滋味溢れる重厚な音色が、演奏内容に味わい深さと潤いを与えている点も見過ごしてはならない。

刺激的な演奏、個性的な演奏も時には良いが、こうした何度聴いても嫌にならないどころか、ますます好きになって行く演奏、オーケストラの響きの素晴らしさに感心させられるばかりの演奏は他になかなかない。

適切なテンポで噛み締めるように演奏し、モーツァルトの個人的な情感を表現したというよりも交響曲としての陰影を克明に描いていると言えるものだが、心の中に自然としみ込んでくる演奏である。

しかし、これほどの演奏をするのは並大抵のことではない。

ここにブロムシュテットの音楽家としての力量と敬虔なクリスチャンである彼の作品に対する奉仕の姿勢がはっきりと読み取れるのではないだろうか。

表面の華麗さや古楽器などの面白味のあるモーツァルトとは正反対のモーツァルトであるが、誰が聴いても納得のいく普遍性を持つ演奏である。

残響の豊かなドレスデンのルカ教会における高音質録音もきわめて優秀であり、Blu-spec-CD化によって、さらに音場が拡がるとともに、音質により一層の鮮明さを増した点も高く評価したい。

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2015年09月09日


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R.シュトラウスの楽曲というと、筆者としてはどうしてもカラヤンの呪縛から逃れられない。

特に本盤に収められた両曲に関して、カラヤンは何度もスタジオ録音しており、「ツァラ」に関しては先般圧倒的なライヴ録音が発売され、そのいずれもが完成度の高い名演で、聴き手を魅了し続けてきた。

しかしカラヤンの演奏だけが正解ではないはずで、別のアプローチの仕方もあってしかるべきである。

カラヤンとは正反対のオーソドックスなアプローチで、R.シュトラウスの名演を成し遂げたのはケンぺだと考えている。

本盤のブロムシュテット盤も、ベースはケンぺのオーソドックスなアプローチを踏襲するものではないだろうか。

オーケストラも同じシュターツカペレ・ドレスデンで、いぶし銀のような渋いサウンドが、演奏に落ち着きと潤いをもたらすのに大いに貢献している。

作曲家とも縁の深い名門オーケストラによる質実剛健で緻密なサウンドメイクと言えるところであり、このまろやかさと繊細な表情の魅力は、他のオーケストラには求められない。

ブロムシュテットは、1927年アメリカ生まれのスウェーデン人で、ドイツ人でない彼がシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を10年間(1975〜85年)にわたって務めた事は注目に値する。

菜食主義者として知られ、その贅肉を削ぎ落とした透明感の高いオーケストレーションは彼の人格をそのまま映し出している。

シュターツカペレ・ドレスデンのいともコクのある音響を得て、スケール大きく徹頭徹尾正攻法で展開されたR.シュトラウス演奏であり、ブロムシュテットは、この名門オーケストラの美しさを最大限に発揮させたスケール大きな名演を繰り広げている。

ブロムシュテットの円熟のタクトは、R.シュトラウスを知り尽くしたシュターツカペレ・ドレスデンの重厚緻密な響きを駆使して、巧みに聴く者を高揚へと導く。

解釈も品がよく、大人の風格を感じさせるものであり、流麗で端正、まったく一分の隙もない表現である。

非常にズシリと手ごたえのある、巨匠の風格を持った演奏であり、音色はどちらかと言えば渋い方で、玄人好みと言っても良いだろう。

個人的に筆者がR.シュトラウスのオペラの世界に接する機会が多いためだろうか、およそダイナミズムや尖鋭さを主軸として余りにエネルギッシュに繰り広げられてゆく演奏よりも、当ディスクのごとく、緻密なアンサンブルを聴かせつつ、じっくり味わい尽くさせてくれるような彫りの深い落ち着いた演奏に好感がもてる。

ブロムシュテットの構想はまさに堅実で精緻、あくまで純音楽的な観点からこの作品の普遍的な魅力をさぐりあてている感があり、複雑な対位法の織りなしも十全に描出しきっている。

ただ、いかにもブロムシュテットらしいのは、随所に大仰とも言えるような劇的な表現もしているということで、この点ではカラヤン風の劇的な要素も多分にある。

その意味では、洗練と濃密さが一体となった硬軟併せ持つバランスのとれた美演という表現が適切かもしれない。

流麗な美しさの中に、R.シュトラウスの音楽の本質が立ち現れる薫り高い名演と言えるだろう。

いぶし銀のようなシュターツカペレ・ドレステンのサウンドとケレン味のないブロムシュテットの音楽づくりで醸成されたR.シュトラウスの素晴らしさを是非多くの方に堪能していただきたい。

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2015年08月16日


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薫り高いドイツ音楽の王道をバックボーンにもつ名匠ブロムシュテットと名門シュターツカペレ・ドレスデンによる名盤の誉れ高いディスク。

モーツァルト後期の傑作交響曲のカップリングであるが、いずれも素晴らしい名演だ。

ブロムシュテットによる本演奏に、何か特別な個性があるわけではなく、誠実で丁寧で温かく優美な最良のモーツァルトを奏でる。

夕映えのようなモーツァルトを奏でさせたら天下一品として、ウィーン・フィルの好敵手のように讃えられてきた400年以上の伝統を誇るシュターツカペレ・ドレスデンによる極上のモーツァルト演奏である。

その音色だけで魅了されてしまうと絶賛された、モーツァルトの交響曲の最初に聴きたい最右翼盤と言えよう。

奇を衒ったり、意表を突くような余計な装飾は一切無い、オーソドックスな演奏ではあるが、このオケの美しい音色をブロムシュテットは丁寧に引き出してくれる。

テンポも、楽器の鳴らし方も、全てが標準的と言えるが、このオーケストラの音色、アンサンブルは比類のないものであり、ここでもまるで指揮者なしのような、自然で癖のない音楽運びが、繰り返し聴きたくなる演奏の秘密であろう。

ブロムシュテットは、第38番「プラハ」においては、地に足がついたゆったりした荘重なインテンポで、重厚すぎると感じられる部分もあるが、この交響曲にある優美な魅力を余計なことをしないで自然に引き出しているのが良い。

第39番においても、ゆったりとしたテンポを基本にしたスケールの大きい演奏で、愚直に楽想を進めていくのみである。

19世紀的なモーツァルト観の現代版とも言えるロマンティックなものだが、表現自体は丁寧かつ自然な流れがあるので説得力がある。

モダン・オーケストラでならこのような解釈もこの交響曲の魅力の1つとして十分に楽しめる。

ブロムシュテットは、自己の解釈をひけらかすようなことは一切せずに、楽曲の魅力をダイレクトに聴き手に伝えることのみに腐心しているようにも感じられる。

これは、作品にのみ語らせる演奏ということができるだろう。

それでも、演奏全体から漂ってくる気品と格調の高さは、ブロムシュテットの指揮による力も多分に大きいものと考える。

ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの落ち着きのある演奏は、その爽やかで端正な音楽の流れが何ともすがすがしく、聴いていて心の安らぎを覚えるようである。

いずれにしても、モーツァルトの第38番「プラハ」や第39番の魅力を深い呼吸の下に安心して味わうことができるという意味においては、トップの座を争う名演と言っても過言ではないと思われる。

こうした作品のみに語らせるアプローチは、時として没個性的で、無味乾燥な演奏に陥ってしまう危険性がないとは言えないが、シュターツカペレ・ドレスデンによるいぶし銀とも評すべき滋味溢れる重厚な音色が、演奏内容に味わい深さと潤いを与えている点も見過ごしてはならない。

刺激的な演奏、個性的な演奏も時には良いが、こうした何度聴いても嫌にならないどころか、ますます好きになって行く演奏、オーケストラの響きの素晴らしさに感心させられるばかりの演奏は他になかなかない。

適切なテンポで噛み締めるように演奏し、モーツァルトの個人的な情感を表現したというよりも交響曲としての陰影を克明に描いていると言えるものだが、心の中に自然としみ込んでくる演奏である。

しかし、これほどの演奏をするのは並大抵のことではない。

ここにブロムシュテットの音楽家としての力量と敬虔なクリスチャンである彼の作品に対する奉仕の姿勢がはっきりと読み取れるのではないだろうか。

表面の華麗さや古楽器などの面白味のあるモーツァルトとは正反対のモーツァルトであるが、誰が聴いても納得のいく普遍性を持つ演奏である。

残響の豊かなドレスデンのルカ教会における高音質録音がきわめて優秀な点も高く評価したい。

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2015年07月13日


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R.シュトラウスの楽曲というと、筆者としてはどうしてもカラヤンの呪縛から逃れられないが、カラヤンの演奏だけが正解ではないはずで、別のアプローチの仕方もあってしかるべきである。

カラヤンとは正反対のオーソドックスなアプローチで、R.シュトラウスの名演を成し遂げたのはケンぺだと考えている。

本盤のブロムシュテット盤も、ベースはケンぺのオーソドックスなアプローチを踏襲するものではないだろうか。

オーケストラも同じシュターツカペレ・ドレスデンで、いぶし銀のような渋いサウンドが、演奏に落ち着きと潤いをもたらすのに大いに貢献している。

作曲家とも縁の深い名門オーケストラによる質実剛健で緻密なサウンドメイクと言えるところであり、このまろやかさと繊細な表情の魅力は、他のオーケストラには求められない。

ブロムシュテットは、1927年アメリカ生まれのスウェーデン人で、ドイツ人でない彼がシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を10年間(1975〜85年)にわたって務めた事は注目に値する。

菜食主義者として知られ、その贅肉を削ぎ落とした透明感の高いオーケストレーションは彼の人格をそのまま映し出している。

シュターツカペレ・ドレスデンのいともコクのある音響を得て、スケール大きく徹頭徹尾正攻法で展開されたR.シュトラウス演奏であり、ブロムシュテットは、この名門オーケストラの美しさを最大限に発揮させたスケール大きな名演を繰り広げている。

ブロムシュテットの円熟のタクトは、R.シュトラウスを知り尽くしたシュターツカペレ・ドレスデンの重厚緻密な響きを駆使して、巧みに聴く者を高揚へと導く。

解釈も品がよく、大人の風格を感じさせるものであり、流麗で端正、まったく一分の隙もない表現である。

非常にズシリと手ごたえのある、巨匠の風格を持った演奏であり、音色はどちらかと言えば渋い方で、玄人好みと言っても良いだろう。

個人的に筆者がR.シュトラウスのオペラの世界に接する機会が多いためだろうか、およそダイナミズムや尖鋭さを主軸として余りにエネルギッシュに繰り広げられてゆく演奏よりも、当ディスクのごとく、緻密なアンサンブルを聴かせつつ、じっくり味わい尽くさせてくれるような彫りの深い落ち着いた演奏に好感がもてる。

ブロムシュテットの構想はまさに堅実で精緻、あくまで純音楽的な観点からこの作品の普遍的な魅力をさぐりあてている感があり、複雑な対位法の織りなしも十全に描出しきっている。

ただ、いかにもブロムシュテットらしいのは、随所に大仰とも言えるような劇的な表現もしているということで、この点ではカラヤン風の劇的な要素も多分にある。

その意味では、洗練と濃密さが一体となった硬軟併せ持つバランスのとれた美演という表現が適切かもしれない。

あまり文学的で深刻なアプローチをとらずに淡々と進む「死と変容」や、オーケストラ団員に自由に演奏させている伸び伸びした「ティル」も好演だが、作曲者最晩年の「メタモルフォーゼン」が特に美しく、やや暗くくすんだ響きと共に、挽歌が静かに奏でられている。

流麗な美しさの中に、R.シュトラウスの音楽の本質が立ち現れる薫り高い名演と言えるだろう。

いぶし銀のようなシュターツカペレ・ドレステンのサウンドとケレン味のないブロムシュテットの音楽づくりで醸成されたR.シュトラウスの素晴らしさを是非多くの方に堪能していただきたい。

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2015年07月12日


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自らをモデルに作曲したと言われる《英雄の生涯》は、R.シュトラウスの交響詩の中でも屈指のスケールを誇る名作。

《英雄の生涯》のみならず、R.シュトラウスの楽曲というと、筆者としてはどうしてもカラヤンの呪縛から逃れられない。

3種のスタジオ録音の名演に加えて、最近ではこれまた優れたライヴ録音がいくつか発掘され、そのいずれもが、自らの人生を重ね合わせるかの如く劇的な名演である。

しかし、他の楽曲と同じく、カラヤンの演奏だけが正解ではないはずで、別のアプローチの仕方もあってしかるべきである。

カラヤンとは正反対のオーソドックスなアプローチで、《英雄の生涯》の名演を成し遂げたのはケンぺだと考えている。

本盤のブロムシュテット盤も、ベースはケンぺのオーソドックスなアプローチを踏襲するものではないだろうか。

オーケストラも同じシュターツカペレ・ドレスデンで、いぶし銀のような渋いサウンドが、演奏に落ち着きと潤いをもたらすのに大いに貢献している。

作曲家とも縁の深い名門オーケストラによる質実剛健で緻密なサウンドメイクと言えるところであり、このまろやかさと繊細な表情の魅力は、他のオーケストラには求められない。

ブロムシュテットは、1927年アメリカ生まれのスウェーデン人で、ドイツ人でない彼がシュターツカペレ・ドレスデンの音楽監督を10年間(1975〜85年)にわたって務めた事は注目に値する。

菜食主義者として知られ、その贅肉を削ぎ落とした透明感の高いオーケストレーションは彼の人格をそのまま映し出している。

シュターツカペレ・ドレスデンのいともコクのある音響を得て、スケール大きく徹頭徹尾正攻法で展開されたR.シュトラウス演奏であり、ブロムシュテットは、この名門オーケストラの美しさを最大限に発揮させたスケール大きな名演を繰り広げている。

ブロムシュテットの円熟のタクトは、R.シュトラウスを知り尽くしたシュターツカペレ・ドレスデンの重厚緻密な響きを駆使して、巧みに聴く者を高揚へと導く。

解釈も品がよく、大人の風格を感じさせるものであり、流麗で端正、まったく一分の隙もない表現である。

非常にズシリと手ごたえのある、巨匠の風格を持った演奏であり、音色はどちらかと言えば渋い方で、玄人好みと言っても良いだろう。

個人的に筆者がR.シュトラウスのオペラの世界に接する機会が多いためだろうか、およそダイナミズムや尖鋭さを主軸として余りにエネルギッシュに繰り広げられてゆく演奏よりも、当ディスクのごとく、緻密なアンサンブルを聴かせつつ、じっくり味わい尽くさせてくれるような彫りの深い落ち着いた演奏に好感がもてる。

ブロムシュテットの構想はまさに堅実で精緻、あくまで純音楽的な観点からこの作品の普遍的な魅力をさぐりあてている感があり、複雑な対位法の織りなしも十全に描出しきっている。

ただ、いかにもブロムシュテットらしいのは、随所に大仰とも言えるような劇的な表現もしているということで、この点ではカラヤン風の劇的な要素も多分にある。

その意味では、洗練と濃密さが一体となった硬軟併せ持つバランスのとれた美演という表現が適切かもしれない。

流麗な美しさの中に、R.シュトラウスの音楽の本質が立ち現れる薫り高い名演と言えるだろう。

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2015年07月08日


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ブロムシュテット初のブルックナー録音で、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めていた時期(1975〜85年)に残された最良の演奏のひとつ。

同じコンビによる「第4」も極上の名演であったが、本盤もそれに優るとも劣らない出来を誇っている。

「第7」は、シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音色を十分に生かしたブロムシュテット壮年期の素晴らしい稀有の名演として高く評価したい。

ブロムシュテットは、北欧の出身でありながら、ドイツ音楽を得意とするとともに、オードソックスなアプローチをする指揮者であると考えているが、本演奏でも、そうしたブロムシュテットの渋い芸風が曲想に見事にマッチングしていると言えるだろう。

いささかも奇を衒うことなく、インテンポによる自然体のアプローチが、「第7」の魅力を聴き手にダイレクトに伝えることに大きく貢献している。

指揮者もオーケストラも作品に奉仕した演奏と言えば良いのか、ここには作為めいたもの、過剰なもの、演出めいたものは一切なく、ただブルックナーの豊かな音楽が滔々と、淀みなく、しかも温かい温度感をもって流れている。

カンタービレの心が優しく、音楽の表情がふくよかであり、そうした幸福感が自然に聴き手を包み込んでくれる。

ブロムシュテットの指揮は敬虔な信仰家といった趣があり、過剰さはないが、人間の音楽としてのふくらみがあり、不足感はまったく感じさせない。

オーケストラのサウンドがまた素晴らしい。

ウィーン風のふくよかで雄大ながら愚純な趣のブルックナーともドイツ風のどこか無骨な巨人のようなブルックナーとも違う、引き締まってガッチリした壮大かつ精緻なブルックナーが聴ける。

これは、神と対話するオルガン的な宗教サウンドのブルックナーではなく、コンサート・ホールで交響曲としてサウンドさせるシンフォニック・ブルックナーの理想形のひとつかも知れない。

第1楽章の展開部や第2楽章のモデラートの進ませ方は丁寧すぎるとも言えるが、スケルツォの躍動とフィナーレにおける高揚により、すべてが明るく解決している。

特に終楽章の大聖堂のような充実した構築性は素晴らしい。

加えて、前述のように、シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀のジャーマンサウンドが、演奏に潤いを与えている点も見過ごしてはならない。

深みのある弦と金管とのブレンドが美しく、落ち着いた佇まいをもった、端然とした演奏である。

ドレスデン・ルカ教会の豊かな残響も、同オーケストラの音色をより豊穣なものとしている点も大きなプラスだ。

音質は今回のBlu-spec-CD化によって、長年の渇きが漸く癒されたと言えるところであり、さすがにSACDにはかなわないが、従来盤と比較すると鮮明さが相当に増しており、本演奏の価値は大いに高まったと考える。

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2015年07月03日


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ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンによるブルックナーの交響曲の録音は、何故か「第4」と「第7」にとどまったが、いずれも名演だ。

旧東ドイツの名門オーケストラと新しい世代のドイツ系指揮者ががっぷり組み、精緻さと質感を十二分に備えたこのコンビならではの素晴らしい構築あふれる名演である。

影響力の大きい某評論家は、ブルックナーの「第4」には冗長な箇所が多いので、あまり味付けをせずにインテンポで演奏してしまうと、のっぺりとした味気のない薄味の演奏になるとして、特に、ベーム&ウィーン・フィルの名演を酷評している。

そして、ヴァントや朝比奈の最晩年の名演を絶賛している。

確かに、ヴァントや朝比奈の最晩年の演奏はいずれも、ブルックナー演奏史上に冠たる至高の名演だ。

そのことを否定するものではないが、しかしながら、ヴァントや朝比奈の演奏だけが正しいわけではない。

ベーム&ウィーン・フィルのような、ある意味では、愚直な演奏も、同曲の魅力を知らしめるに足る素晴らしい名演と評価してもいいのではないか。

本盤も、アプローチの仕方はベームにきわめて近い。

比較的ゆったりとしたインテンポで、愚直に曲想を描いていくというものであるが、ベーム盤と同様に、オーケストラの音色の魅力が素晴らしい。

ベーム盤では、ウィーン・フィルの極上の響きが演奏に潤いとコクを与えていたが、本ブロムシュテット盤も決して負けていない。

シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音色は、演奏に重心の低い渋みと内容の濃さをもたらしている。

ブロムシュテット時代のこの楽団は、彼らのひとつのピークを示したと言えるところであり、この演奏も比類なく精緻であり、威容と叙情を兼ね備えている。

アンサンブルそれ自体が自発的に有機的な音楽を歌っているが、指揮者も豊かな感興で音楽を起伏させている。

すこぶる格調高いブルックナーであり、精緻な構図の中ですべてが自然体でまとめ上げられ、味わいとこくに満ちた世界が展開している。

豊かな叙情を第一の特色とした演奏と言って良いと思うが、同時に金管のフォルティッシモも実に重厚で強烈、この交響曲の魅力を過不足なく引き出す要因となっている。

加えてテンポ設定にも説得力があり、全曲を通じきわめて適確な曲運びを示し、最良の意味での普遍的な演奏と評するべきか。

オーケストラの美しい響きとブロムシュテットの棒の精彩とが、高次元で合体している印象が素晴らしい。

このコンビのブルックナーでは「第4」と「第7」の録音のみ残されているが、このレベルでぜひ「第8」と「第9」も録音して欲しかった。

こうした自然体のブルックナーは、探してみるとその実なかなか見当たらない。

そして、何といっても素晴らしいのは、ペーター・ダムのホルンであろう。

当時のドイツにおけるザイフェルトと並ぶ2大ホルン奏者であるが、ダムの深みのあるホルンの音色を聴くだけでも、一聴の価値がある。

音質は今回のBlu-spec-CD化によって、長年の渇きが漸く癒されたと言えるところであり、さすがにSACDにはかなわないが、従来盤と比較すると鮮明さが相当に増しており、本演奏の価値は大いに高まったと考える。

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2015年07月02日


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ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団のブルックナー・チクルスが漸く完成した。

演奏はいずれも実際のコンサートでの演奏をライヴ録音したもので、曲により多少のムラはあるものの、ライヴという条件を考慮すると、全体の水準は十分に高いレベルに達していると考えられる。

今回のシリーズでは、ブロムシュテットの円熟の境地と、ドイツ経済の繁栄と共に実力もレベル・アップしたかのようなゲヴァントハウス管弦楽団の充実した演奏を楽しむことができる。

ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団という稀代の名コンビは、様々な名演を成し遂げてきたが、何と言ってもそのレパートリーの中心にあったのは、ブロムシュテットが最も得意とする独墺系の音楽、中でもブルックナーの交響曲であったことは論を待たないところだ。

何よりも、これまでブルックナーの交響曲を自らの中核と位置づけてきたブロムシュテットであるだけに、本演奏には、ブロムシュテットの確固たる信念を感じ取ることが可能な、仰ぎ見るような威容を湛えた堂々たる演奏に仕上がっているのが素晴らしい。

本演奏においても、基本的なアプローチは、楽想を精緻に、そして丁寧に描き出していくというものであり、これは近年のブルックナーの交響曲演奏の王道を行くものである。

そして、かかるアプローチは、誠実とも言えるこの指揮者の美質そのものであると言えるが、例えば、かつてシュターツカペレ・ドレスデンとともにスタジオ録音を行った交響曲第4番や第7番の定評ある名演などと比較すると、彫りの深さ、懐の深さにおいて、遥かに凌駕している。

近年のブロムシュテットの好調ぶりを伝える見事なもので、どの作品でも細部まで丁寧に誠実にリハーサルしたと思われる着実なアプローチを土台に、作品それぞれの個性がきちんと伝わってくるのが嬉しいところだ。

この指揮者ならではの全体の造型の堅固さは健在であるが、スケールも雄渾の極みであり、各楽想の描き出すに際しての彫りも深い。

全体としてはゆったりとしたインテンポを基調としているが、ここぞという箇所では微妙にテンポを動かしており、それが演奏全体を四角四面にしないことに大きく貢献している。

ブラスセクションなども最強奏させているが、無機的になることはいささかもなく、どこをとっても奥行きの深さを損なっていないのが素晴らしい。

シャイー時代になってオーケストラの音色に色彩感を増したと言われているゲヴァントハウス管弦楽団ではあるが、本演奏ではブロムシュテットの確かな統率の下、かつてのシュターツカペレ・ドレスデンのような独特の魅力的な音色を湛えているとは言い難いが、それでもドイツ風の重心の低い音色で重厚な演奏を繰り広げているのが素晴らしく、さすがは伝統のあるドイツのオーケストラと言うべきである。

ブロムシュテットは、厳しいトレーニングで機能性と音色にさらに磨きをかけ、引き締まった力強いサウンドにゲヴァントハウス管弦楽団を鍛えなおし、コンヴィチュニー時代の再来を思わせる第2ヴァイオリン右側の対向配置も効果的だ。

そして音楽自体に何とも言えない深みがあり、これはブロムシュテットの円熟であるのみならず、ブロムシュテットが晩年に至って漸く到達し得た至高・至純の境地の表れと評しても過言ではあるまい。

このような名演奏を聴いていると、ヴァントや朝比奈なき現在においては、ブロムシュテットこそは、スクロヴァチェフスキと並んで、現代を代表するブルックナー指揮者と評しても過言ではあるまい。

いずれにしても、本演奏は、あまた存在するブルックナーの交響曲全集の中でも、最も優れた名演の1つに掲げられる至高の名演と高く評価したいと考える。

そして、本盤でさらに素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

コンサート会場の豊かな残響を取り入れた臨場感溢れる鮮明な高音質は、本名演の価値をさらに高めることに大きく貢献している点を忘れてはならない。

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2014年11月14日


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ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲全集も、本盤の交響曲第9番と同時発売の第2番の登場を持ってついに完結した。

全集のセット版も同時発売されるようであるが、これまで1枚ずつ買い揃えてきた聴き手にはいささか残念な気もしないでもない。

第2番がブロムシュテットによる初録音であるのに対して、第9番は、1995年のゲヴァントハウス管弦楽団との録音以来、16年ぶりの再録音。

これまでのレビューでも記したように、旧録音が同じゲヴァントハウス管弦楽団との演奏であっただけに、再録音しない可能性についても言及してきたところであるが、ブロムシュテットは待望の再録音を行ってくれた。

旧盤の演奏も優れた演奏ではあったが、本盤の演奏は、ブロムシュテットの円熟を大いに感じさせる、さらに優れた名演に仕上がっていると高く評価したい。

何よりも、これまでブルックナーの交響曲を自らの中核と位置づけてきたブロムシュテットであるだけに、本演奏には、ブロムシュテットの確固たる信念を感じ取ることが可能な、仰ぎ見るような威容を湛えた堂々たる演奏に仕上がっているのが素晴らしい。

この指揮者ならではの全体の造型の堅固さは健在であるが、スケールも雄渾の極み。

シャイー時代になってオーケストラの音色に色彩感を増したと言われているゲヴァントハウス管弦楽団ではあるが、本演奏ではブロムシュテットの確かな統率の下、ドイツ風の重心の低い音色で重厚な演奏を繰り広げているのが素晴らしい。

全体としてはゆったりとしたインテンポを基調としているが、ここぞという箇所では微妙にテンポを動かしており、それが演奏全体を四角四面にしないことに大きく貢献している。

ブラスセクションなども最強奏させているが、無機的になることはいささかもなく、どこをとっても奥行きの深さを損なっていないのが素晴らしい。

そして、旧盤の演奏よりも優れているのは、各楽想の描き出すに際しての彫りの深さであると言えるだろう。

音楽自体に何とも言えない深みがあるということであり、これはブロムシュテットの円熟であるのみならず、ブロムシュテットが晩年に至って漸く到達し得た至高・至純の境地のあらわれと評しても過言ではあるまい。

いずれにしても、本演奏は、ブロムシュテットの円熟を大いに感じさせる、全集の掉尾を飾るに相応しい名演であり、ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲全集の中でも、最も優れた名演の1つに掲げられる至高の名演と高く評価したいと考える。

そして、本盤でさらに素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

コンサート会場の豊かな残響を取り入れた臨場感溢れる鮮明な高音質は、本名演の価値をさらに高めることに大きく貢献している点を忘れてはならない。

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2014年10月22日


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当盤にはブロムシュテットがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター退任後、名誉指揮者として最初に指揮台に上がった時(2006年11月)のライヴ録音が収められている。

ブロムシュテットによるブルックナーの交響曲第7番と言えば、何と言っても、1980年にシュターツカペレ・ドレスデンとともに行ったスタジオ録音が念頭に浮かぶ。

当時のドレスデンは、今はなき東ドイツにあり、シュターツカペレ・ドレスデンも、現在ではすっかりと色褪せてしまったが、いぶし銀とも言うべき独特の魅力的な音色を誇っていた。

ホルンのペーター・ダムをはじめとした伝説的なスター・プレイヤーもあまた在籍していただけに、当該演奏の魅力は絶大なるものがあった。

ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンのコンビは、同時期に来日を果たして、第4番の演奏を披露し、NHKなどでも放映されたが、とにかく、シュターツカペレ・ドレスデンの音色に完全に魅了されてしまったことを鮮明に記憶しているところだ。

ブロムシュテットの指揮も、自我を極力抑制して、シュターツカペレ・ドレスデンの魅力的な演奏にすべてを委ねているとさえ言えるところであり、そのことが、当該演奏を独特の魅力のあるものとしていたのではないかとも思われるところである。

本盤に収められた第7番の演奏は、当該演奏から四半世紀以上も経った2006年のものであるが、ここで感じられるのは、今や、現代を代表する大指揮者となったブロムシュテットの円熟と言えるのではないだろうか。

同曲演奏に対する基本的なアプローチに変わりはないが、楽想を描き出していく際の彫りの深さ、懐の深さは、1980年の演奏を遥かに凌駕している。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団も、かつてもシュターツカペレ・ドレスデンのような独特の魅力的な音色を湛えているとは言い難いが、それでも重心の低い音色は、さすがは伝統のあるドイツのオーケストラと言うべきであり、ブルックナーの交響曲の演奏としては、まさに理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本盤の演奏は、ブルックナーの交響曲の演奏を数多く手掛けてきたブロムシュテットの円熟を感じさせるとともに、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の相性の良さ、そして、近年の同曲の演奏でも最上位にランキングされる見事な名演と高く評価したい。

そして、本盤で素晴らしいのは、最近では珍しくなったマルチチャンネル付きのSACDであるということである。

クヴェルシュタント・レーベルの録音技量は素晴らしく、弦のかすかなトレモロまでもが臨場感を持って聴き取れる超高音質のマルチチャンネル付きのSACDは、本盤の演奏をより魅力的なものとするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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2014年10月03日


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本盤に収められたブルックナーの交響曲第8番は、85歳となった現代を代表する巨匠指揮者であるブロムシュテットが、長年にわたって務めてきたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマスターを退任するに当たって行われた記念碑的なコンサートのライヴ録音である。

ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団という稀代の名コンビは、様々な名演を成し遂げてきたが、何と言ってもそのレパートリーの中心にあったのは、ブロムシュテットが最も得意とする独墺系の音楽、中でもブルックナーの交響曲であったことは論を待たないところだ。

既に、このコンビは、英デッカに第9番をスタジオ録音(1995年)しているし、1998年には第3番を録音している。

そして、今般の2005年の第8番のライヴ録音であるが、本演奏があまりにも素晴らしいものであったせいか、その後、このコンビによるブルックナーの交響曲チクルスが開始され、2012年のライヴ録音である第2番の登場により、既に交響曲全集が完成したところだ。

このように、本演奏は、退任コンサートにとどまらず、このコンビの新たな出発点にもなった演奏とも言えるが、それだけにその演奏の質の高さは尋常ならざるものがある。

このような名演奏を聴いていると、ヴァントや朝比奈なき現在においては、ブロムシュテットこそは、スクロヴァチェフスキと並んで、現代を代表するブルックナー指揮者と評しても過言ではあるまい。

本演奏においても、基本的なアプローチは、楽想を精緻に、そして丁寧に描き出していくというものであり、これは近年のブルックナーの交響曲演奏の王道を行くものである。

そして、かかるアプローチは、誠実とも言えるこの指揮者の美質そのものであるが、例えば、楽曲自体は異なるが、かつてシュターツカペレ・ドレスデンとともにスタジオ録音を行った交響曲第4番や第7番の定評ある名演などと比較すると、彫りの深さ、懐の深さにおいて、はるかに凌駕している。

ブラスセクションなどもかなり強靭に鳴らしていると言えるが、無機的な音は皆無であり、どこをとっても奥深い、それこそブルックナーらしさを失っていないのが素晴らしい。

ライヴ録音ならではの熱気には事欠かないものの、かつてのブロムシュテットにあった唯一の欠点でもある、楽曲の頂点における力みが感じられないというのは見事であり、これは、ブロムシュテットの円熟の証左と言えるだろう。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団も、かつてもシュターツカペレ・ドレスデンのような独特の魅力的な音色を湛えているとは言い難いが、それでも重心の低い音色は、さすがは伝統のあるドイツのオーケストラと言うべきであり、ブルックナーの交響曲の演奏としては、まさに理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本盤の演奏は、ブルックナーの交響曲の演奏を数多く手掛けてきたブロムシュテットの円熟を感じさせるとともに、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の相性の良さを感じさせる見事な名演と高く評価したい。

そして、本盤で素晴らしいのは、最近では珍しくなったマルチチャンネル付きのSACDであるということである。

臨場感溢れる超高音質のマルチチャンネル付きのSACDは、本盤の演奏をより魅力的なものとするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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2014年09月30日


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ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲全集も、本盤の交響曲第2番の登場を持ってついに完結した。

全集のセット盤も同時発売されるようであるが、これまで1枚ずつ買い揃えてきた聴き手にはいささか残念な気もしないでもない。

第2番は、先般発売された第1番と同様に、ブロムシュテットにとっての初録音でもあり、その意味においても極めて貴重な演奏と言えるだろう。

第2番の場合、第3番などと同様にどの版を採用するのかが大きな問題となるが、ブロムシュテットが選択したのは第3番と同様に何と初稿。

第3番のレビューにも記したように、何故にブロムシュテットが初稿を採用したのかは疑問が残るが、ブルックナーの当初の作曲の意図が最も表れているものとも言えるところであり、ブロムシュテットもそうした点に鑑みて、初稿を採用したのではないだろうか。

かつては、初稿はブルックナーを研究する音楽学者の学究的な関心事項でしかなかったが、近年では、インバルやティントナー、シモーネ・ヤングなどの初稿を尊重する指揮者によって、芸術的にも優れた名演が数多く成し遂げられるようになってきたことから、今日では初稿のグレードが大いに上がってきている。

本盤の演奏もブロムシュテットの円熟ぶりを窺い知ることが可能な大変優れたものであり、本演奏によって、第2番の初稿のグレードはさらにアップしたと言えるだろう。

何よりも、これまでブルックナーの交響曲を自らの中核と位置づけてきたブロムシュテットであるだけに、本演奏には、ブロムシュテットの確固たる信念を感じ取ることが可能な、仰ぎ見るような威容を湛えた堂々たる演奏に仕上がっているのが素晴らしい。

この指揮者ならではの全体の造型の堅固さは健在であるが、スケールも雄渾の極み。

シャイー時代になってオーケストラの音色に色彩感を増したと言われているゲヴァントハウス管弦楽団ではあるが、本演奏ではブロムシュテットの確かな統率の下、ドイツ風の重心の低い音色で重厚な演奏を繰り広げているのが素晴らしい。

全体としてはゆったりとしたインテンポを基調としているが、ここぞという箇所では微妙にテンポを動かしており、それが演奏全体を四角四面にしないことに大きく貢献している。

ブラスセクションなども最強奏させているが、無機的になることはいささかもなく、どこをとっても奥行きの深さを損なっていないのが素晴らしい。

第2楽章の聖フローリアン教会の自然の美しさを感じさせるような抒情豊かな演奏も抗し難い魅力に満ち溢れていると言えるところであり、いい意味での剛柔のバランスがとれた演奏に仕上がっているとも言えるところだ。

同曲の近年の初稿による名演としては、シモーネ・ヤングによる名演が存在しているが、本演奏は当該名演と同格か、あるいはオーケストラの優秀さを勘案すれば、それ以上の名演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本演奏は、ブロムシュテットの円熟を大いに感じさせる、全集の掉尾を飾るに相応しい名演であり、同曲の初稿による演奏としては、最も優れた名演の1つに掲げられる至高の超名演と高く評価したい。

そして、本盤でさらに素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音であると考える。

コンサート会場の豊かな残響を取り入れた臨場感溢れる鮮明な高音質は、本超名演の価値をさらに高めることに大きく貢献している点を忘れてはならない。

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2014年04月19日


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モーツァルトのホルン協奏曲は、不世出の名ホルン奏者と称されたデニス・ブレインをはじめとして、これまで海千山千の名ホルン奏者によって数多くの名演が成し遂げられてきた。

そうした名うての錚々たるホルン奏者による名演奏の中でも、テクニックもさることながら、その音色の独特の魅力においては、本盤に収められたペーター・ダムによる演奏は、最右翼に掲げられる名演奏と言えるのではないだろうか。

シュターツカペレ・ドレスデンは、現在でも伝統ある独特の音色において一目置かれる存在であるが、とりわけ東西ドイツが統一される前の1980年代頃までは、いぶし銀の重心の低い独特の潤いのある音色がさらに際立っていた。

そうした、名奏者で構成されていたシュターツカペレ・ドレスデンの中でも、首席ホルン奏者であったペーター・ダムは、かかるシュターツカペレ・ドレスデンの魅力ある独特の音色を醸し出す代表的な存在であったとも言えるだろう。

ペーター・ダムのホルンの音色は、同時代に活躍したジャーマンホルンを体現するベルリン・フィルの首席ホルン奏者であったゲルト・ザイフェルトによる、ドイツ風の重厚さを持ちつつも現代的なシャープさをも兼ね備えたホルンの音色とは違った、独特の潤いと温もりを有していたとも言えるところだ。

モーツァルトのホルン協奏曲は、卓越したテクニックが必要であることはもちろんであるが、それ以上に愉悦性に富む楽想をいかに内容豊かに演奏していけるのかが鍵になるが、ペーター・ダムの場合は、持ち前のホルンの独特の魅力的な音色だけで演奏全体が実に内容豊かなものになっていると言っても過言ではあるまい。

ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンも、ペーター・ダムのホルン演奏の引き立て役に徹するとともに、モーツァルトの音楽に相応しい高貴にして優美な名演奏を展開していると評価したい。

いずれにしても、本演奏は、ペーター・ダムの全盛時代のホルン演奏の魅力を満喫することが可能であるとともに、モーツァルトのホルン協奏曲のこれまでの様々な演奏の中でも、ホルンの音色の潤いに満ち溢れた独特の美しさにおいては最右翼に掲げてもいい名演と高く評価したい。

併録のロンドヘ長調も、ペーター・ダムのホルン演奏の素晴らしさを味わうことが可能な素晴らしい名演だ。

なお、ペーター・ダムの魅力的なホルンの音色は、同時期のシュターツカペレ・ドレスデンの演奏、例えば、特にホルンが大活躍するブロムシュテット指揮によるブルックナーの交響曲第4番において聴くことが可能であるということを付記しておきたい。

音質は、本リマスタリング盤もなかなかの良好な音質である。

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2014年02月05日


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ブルックナーの「第6」といえば、筆者も、これまでは、ヴァント盤やヨッフム盤などの曲のスケールの小ささに応じ、あまり風呂敷を拡げ過ぎない演奏に親しんできた。

しかし、このブロムシュテット盤は、これらの演奏とは一線を画し、風呂敷を拡げるだけ拡げ、「第6」を、後期の3大交響曲のようにスケールの大きい大作と捉えて演奏している。

そしてブルックナー演奏の決め手である、重厚さと透明感を両立させるという難しい課題を、これ以上ない程見事に具現している。

リズムの刻みが全編を支配する作品であり、縦の線が揃っていないと話にならない曲だが、ブロムシュテットは実にきっちりと指揮してくれている。

しかし、それでは杓子定規で堅苦しい演奏かというと決してそうではなく、メリハリやふとした柔らかさが至るところで効いている、人間味に溢れた演奏になっているのだ。

ブロムシュテットは年齢を重ねるたびに若々しさを取り戻しているかのようだ。

それはこの演奏を耳にしても明らかであり、決して大げさな指揮こそしていないが、そこにあるのはブルックナーの美しい造形である。

また、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の懐深い響きにも惚れ惚れとしてしまう。

シャイー時代になってから響きが華奢になったと評されることの多いゲヴァントハウス管だが、やはり指揮者がブロムシュテットだと往年の響きが戻ってくるようだ。

これは、アバド時代になって質が下がったベルリン・フィルを、ヴァントが見事に復活させた例と似ている。

ブロムシュテットらしさ、ゲヴァントハウス管らしさがよく示された1枚と言えよう。

そして、本盤で素晴らしいのは、最近では珍しくなったマルチチャンネル付きのSACDであるということである。

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2014年02月02日


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意外な録音の登場だ。

ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲全集の録音は、今般の第1番の登場でついに第7弾ということになった。

既に第3番〜第8番の6曲が登場しており、残るのは第2番と第9番のみとなった(第9番は既に英デッカに1995年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とともにスタジオ録音しており、再録音するかどうかは不明。第0番や、更に第00番に挑戦するかどうかも不明だ。)。

筆者もまさか第1番をブロムシュテットが録音するとは思っていなかった。

85歳になった今や押しも押されぬ巨匠であるブロムシュテットにとっても、ブルックナーの交響曲演奏に関する長いキャリアの中でも初めての録音になったものであり、これはブロムシュテットが高齢になっても今なお失っていない飽くなき探求心とともに、ブルックナーの交響曲に対する深い愛着の賜物と言っても過言ではあるまい。

それにしても、本演奏において聴くことができるのは、ブロムシュテットにとって初めての録音とは到底思えないほどの熟練の指揮芸術と言えるのではないだろうか。

楽想を精緻に、そして丁寧に描き出していくというのは、誠実とも言えるこの指揮者の美質そのものであるが、例えば、楽曲自体は異なるが、かつてシュターツカペレ・ドレスデンとともにスタジオ録音を行った交響曲第4番や第7番の定評ある名演などと比較すると、彫りの深さ、懐の深さにおいて、はるかに凌駕している。

ブラスセクションなどもかなり強靭に鳴らしているが、無機的な音は皆無であり、どこをとっても奥深い、それこそブルックナーらしさを失っていないのが素晴らしい。

かつてのブロムシュテットにあった唯一の欠点でもある、楽曲の頂点における力みが感じられないというのは見事であり、これは、前述のように、ブロムシュテットの円熟の証左と言えるだろう。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団も、かつてのシュターツカペレ・ドレスデンのような独特の魅力的な音色を湛えているとは言い難いが、それでも重心の低い音色は、さすがは伝統のあるドイツのオーケストラと言うべきであり、ブルックナーの交響曲の演奏としては、まさに理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本盤の演奏は、ブルックナーの交響曲の演奏を数多く手掛けてきたブロムシュテットの円熟を感じさせるとともに、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の相性の良さ、そして、比較的数少ない同曲の様々な指揮者による演奏の中でも最上位にランキングされる見事な名演と高く評価したい。

そして、本盤で素晴らしいのは、最近では珍しくなったマルチチャンネル付きのSACDであるということである。

臨場感溢れる超高音質のマルチチャンネル付きのSACDは、本盤の演奏をより魅力的なものとするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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2014年02月01日


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ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーの交響曲シリーズもついに第6弾、それも最もポピュラーな交響曲第4番の登場だ。

ブロムシュテットによるブルックナーの交響曲第4番と言えば、何と言っても、1981年にシュターツカペレ・ドレスデンとともに行ったスタジオ録音が念頭に浮かぶ。

当時のドレスデンは、今はなき東ドイツにあり、シュターツカペレ・ドレスデンも、現在ではすっかりと色褪せてしまったが、いぶし銀とも言うべき独特の魅力的な音色を誇っていた。

ホルンのペーター・ダムをはじめとした伝説的なスター・プレイヤーもあまた在籍しており、特に、同曲はホルンが大活躍する交響曲だけに、当該演奏の魅力は絶大なるものがあった。

ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンのコンビは、同時期に来日を果たして、同曲の演奏を披露し、NHKなどでも放映されたが、とにかく、シュターツカペレ・ドレスデンの音色に完全に魅了されてしまったことを鮮明に記憶しているところだ。

ブロムシュテットの指揮も、自我を極力抑制して、シュターツカペレ・ドレスデンの魅力的な演奏にすべてを委ねているとさえ言えるところであり、そのことが、当該演奏を独特の魅力のあるものとしていたのではないかとも思われるところである。

本盤に収められた同曲の演奏は、当該演奏から約30年も経った2010年のものであるが、ここで感じられるのは、今や、現代を代表する大指揮者となったブロムシュテットの円熟と言えるのではないだろうか。

同曲演奏に対する基本的なアプローチには変わりがないと言えるが、楽想を描き出していく際の彫りの深さ、懐の深さは、1981年の演奏をはるかに凌駕している。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団も、かつてもシュターツカペレ・ドレスデンのような独特の魅力的な音色を湛えているとは言い難いが、それでも重心の低い音色は、さすがは伝統のあるドイツのオーケストラと言うべきであり、ブルックナーの交響曲の演奏としては、まさに理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。

いずれにしても、本盤の演奏は、ブルックナーの交響曲の演奏を数多く手掛けてきたブロムシュテットの円熟を感じさせるとともに、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の相性の良さ、そして、近年の同曲の演奏でも最上位にランキングされる見事な名演と高く評価したい。

そして、本盤で素晴らしいのは、最近では珍しくなったマルチチャンネル付きのSACDであるということである。

臨場感溢れる超高音質のマルチチャンネル付きのSACDは、本盤の演奏をより魅力的なものとするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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2014年01月28日


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2001年4月28日(第4番)、1985年12月5日(第5番)/NHKホールに於けるライヴ録音。

ブロムシュテットのマーラーは世紀末的な情感よりも、古典的なスタイルと構成感に特徴がある。

それが清明な第4番にはうってつけで、精緻な演奏を聴かせてくれている。

第4番は、2001年とごく最近の録音だけに、音の状態も良く、N響の響きも艶やかで、技術的にも高水準だ。

清澄ななかにリリコの魅力を込めた中嶋彰子の歌唱も絶品。

ブロムシュテットのマーラーは、サンフランシスコ響との第2番があって評価が高いが、これも良いと思う。

ヴァイオリンは対向配置にしているようだ。

第5番はさらに15年をさかのぼる1985年の録音で、良くも悪くも当時のN響である。

金管、とりわけトランペットが相当に情けなく、最初の2楽章を聴いている途中で、これでプロを名乗れるのかと心配になってきたが、ブロムシュテットは燃えており、厚みと力感を伴った弦の彫りの深い表現が聴けるし、トランペットも途中から持ち直してくる。

第3楽章のスケルツォはかなり速いテンポ設定で、音楽が良く流れている。

一転、アダージェットは意外にも遅いテンポでじっくり歌う(13分もかけている)。

その流麗な美しさは素晴らしく、ブロムシュテットならではの演奏である。

ロンド・フィナーレも、かなり細部にまで神経が行き届き、N響も良く応えている。

ホルンが好調、木管もまずまず健闘、音楽がよく弾んでいる。

大円団のコーダにいまひとつの高揚感とスケール感が欲しいところだが、贅沢を言えばキリがないところだ。

ブロムシュテットはN響と素晴らしいマーラーの第9番を演奏した記録があるのだが、発売にこぎつけてはくれまいか。

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2013年09月23日


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本盤に収められたブルックナーの交響曲第3番は、ブロムシュテット&ゲヴァントハウス管弦楽団によるブルックナーチクルスの第5弾であるが、前作の第5番と同様に素晴らしい名演と高く評価したい。

このコンビによるブルックナーが、いよいよ快調の波に乗ったことを裏付ける内容である。

本演奏の売りは、何と言っても初稿を採用しているということであろう。

このコンビによるこれまでの演奏では、第5番や第8番などにおいても初稿を採用していなかったことに鑑みれば、第3番において何故にブロムシュテットが初稿を採用したのかは疑問が残るところだ。

かつては、初稿はブルックナーを研究する音楽学者の学究的な関心事項でしかなかったが、インバルやケント・ナガノ、シモーネ・ヤングなどの初稿を尊重する指揮者によって、芸術的にも優れた名演が数多く成し遂げられるようになってきたことから、今日では初稿のグレードが大いに上がってきている。

とりわけ、第3番の初稿は、その愛称が示すとおりワーグナーの楽曲からの引用が数多く見られるなど、一般的な第2稿や第3稿とはその内容が大きく異なり、あたかも別の作品のような楽曲であることから、ブロムシュテットも余程のポリシーを持って初稿を採用するに至ったことは想像するに難くない。

いずれにしても、本演奏には、ブロムシュテットの確固たる信念を感じ取ることが可能な、仰ぎ見るような威容を湛えた堂々たる名演に仕上がっている。

この指揮者ならではの全体の造型の堅固さは健在であるが、スケールも雄渾の極み。

シャイー時代になってオーケストラの音色に色彩感を増したと言われているゲヴァントハウス管弦楽団ではあるが、本演奏ではブロムシュテットの確かな統率の下、ドイツ風の重心の低い音色で重厚な演奏を繰り広げているのが素晴らしい。

全体としてはゆったりとしたインテンポを基調としているが、ここぞという箇所では微妙にテンポを動かしており、それが演奏全体を四角四面にしないことに大きく貢献している。

ブラスセクションなども最強奏させているが、無機的になることはいささかもなく、どこをとっても奥行きの深さを損なっていないのが素晴らしい。

随所にあらわれる初稿ならではのワーグナーの楽曲の旋律の歌わせ方も実に巧みであり、初稿を採用したこれまでの演奏の中でも、シモーネ・ヤングによる名演と同格か、あるいはオーケストラの優秀さを勘案すれば、それ以上の名演に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。

そして、本盤でさらに素晴らしいのはマルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。

コンサート会場の豊かな残響を取り入れた臨場感溢れる鮮明な高音質は、本名演の価値をさらに高めることに大きく貢献している点を忘れてはならない。

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2013年07月14日


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筆者は、このコンビの同曲を実演で聴いたが、その時の感銘をまざまざと蘇らせてくれる待望のSACDの登場だ。

某有名誌の高名な評論家には酷評されている演奏であるが、筆者としては、ブロムシュテットならではの名演と評価したい。

ブロムシュテットのブルックナーと言えば、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮してスタジオ録音した「第4」や「第7」が思い浮かぶ。

今から30年以上も前の演奏ではあるが、オーケストラのいぶし銀の音色を生かした美しい名演であった。

ブロムシュテットは、今や80代も半ばであるが、本盤におけるアプローチも、前述の「第4」や「第7」とはあまり変わっていない。

ややゆったりめのインテンポで、オーケストラを愚直に鳴らしていくというものだ。

ある意味では職人肌の演奏と言うべきものであり、ヴァントなどのアプローチと共通するものがある。

ヴァントと異なるのは、厳格なスコアリーディングに基づく徹底したこだわりとか、凝縮とも言うべき厳しい造型の構築などが見られないという点であると思われる。

それでも、オーケストラを無機的には陥ることなく、壮麗に鳴らし切るというアプローチは、ブルックナー演奏の王道を行くものである。

加えて、本盤は録音が素晴らしい。

マルチチャンネル付きのSACDは、鮮明さに増して臨場感があり、まさにブルックナーのCDの理想像と言える。

最後に一言。

前述の某評論家は、特に、終楽章において、ヴァント&ベルリン・フィルのみを比較の対象に採り出してきて、本盤の演奏の程度では存在意義はないと切り捨てていた。

高名な評論家に対して申し訳ないが、これは批評には値しない暴言と言える。

ヴァント&ベルリン・フィルは、そもそも次元の異なる歴史的な名演なのだ。

これに優る演奏など、これまで名演の評価を勝ち得てきた演奏の中には皆無である(朝比奈&東京交響楽団、ヨッフム&コンセルトへボウなど)。

にもかかわらず、ブロムシュテット盤だけが、なぜ、他の名演を差し置いて比較の対象にされないといけないのか、はなはだ理解に苦しむ。

この場を借りて、苦言を呈しておきたい。

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2012年09月27日


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世界屈指の名門オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮してブロムシュテットが成し遂げた金字塔、シューベルト交響曲全集録音から2大名曲のカップリング。

まず、《未完成》はその昔に流行したウィーン情緒を強調した演奏でもなく、最近の古楽器演奏に代表されるような奇抜な響きを追い求めたものでもない。

スコアに書かれた情報を可能な限り忠実に再現したものであり、非常に中庸な解釈とも言える。

テンポの配分も適正であり、オーケストラの渋く落ち着いた音色も魅力的である。

一方の《ザ・グレイト》の解釈の基本は同じである。

特に印象的なのは第2楽章の中間部の清潔な表情であろう。

過度なロマン的表現は、それこそいっそう凡長な印象を与えかねない。

第4楽章のきっちり整えた響きも、たいへんに新鮮である。

音楽そのものは完全にロマン派なのだが、シューベルトの基本はやはりモーツァルトやベートーヴェンなどの古典派の枠組みである。

それを謙虚に描いたのがこの演奏ではないか。

《未完成》に聴かせるメロディアスな歌、《ザ・グレイト》にみせる緊密な構築。

これほど気高く、交響的な美感をもって、シューベルトの本質を衝いた演奏はない。

ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンのコンビが残した最高の成果である。

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2012年08月05日


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このコンビの来日公演があまりにすばらしかったので、思わず買ってしまったが、予想通りの名演であった。

ゲヴァントハウス管の魅力満載のディスク集で、決して優れたソリストを擁している(ベルリン・フィルのように)というわけではないが、全体としてとても性能が高く表現力が高い。

シャイーが振ると「巧い」だけのゲヴァントハウス管が、魂の音楽を奏でており、とにかく実に細部に至るまで念が入っている。

決して情緒に浸らないところはブロムシュテットらしいが、それでいて表情の彫りが深くダイナミックだ。

昨今、特にシャイーが就任してからのゲヴァントハウス管は、どうも響きが雑になってしまった。

しかし、ブロムシュテットの時代は違う。

オケのポテンシャルを自然体で引き出すブロムシュテットに引導され、知・情・意の見事な均衡を見せている。

特にメンデルスゾーンが素晴らしい。

メンデルスゾーンはこのオケの十八番中の十八番として知られているが、いくらそのような曲でも、指揮者の解釈如何によっては名演にも駄演にもなり得てしまう。

例えばコンヴィチュニーは遅めのテンポをとっており、仄暗くも壮大なスケールに仕上げているが、見方によっては緊張感の不足を感じてしまうだろう。

最近出たシャイーも、歴史考証自体は面白いが、オケの響きが乱雑で、テンポも拙速に過ぎている。

ではブロムシュテットはというと、彼らしく“中庸”である。

しかし決して面白みに欠けることはなく、キビキビとした運びで、よく躍動し、しかも歌うところではよく歌うといった具合に非常にバランスがよいのだ。

他に、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーといったドイツ本流の作曲家も秀逸。

少しの奇の衒いもない、正攻法の表現は、個性ばかり出そうと躍起になる余り曲の魅力を損ねることの多い昨今の音楽界にあって、大変貴重と言えよう。

録音も、いぶし銀の重厚なサウンドをよく捉えた硬派な仕上がりである。

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2012年06月18日


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ブロムシュテットのブラームス「第1」というと、N響への客演が記憶に新しく、そちらを絶賛される方もいる。

しかし、映像を確認して頂きたいのだが、ブロムシュテットと共にもう一人、著名なヴァイオリニストが客演していたことにお気付きだろうか。

そう、シュターツカペレ・ドレスデンの首席コンサートマスター、ペーター・ミリングである。

あれはN響の実力というよりも、シュターツカペレ・ドレスデン縁の2人に支えられた所以の名演だったのだ。

さて、当CDはN響のそれより十数年前のシュターツカペレ・ドレスデンの録音だが、やはりN響とシュターツカペレ・ドレスデンでは響きの格が違う。

勿論N響も核心に迫っていたが、シュターツカペレ・ドレスデンの内声部の充実ぶりは追随を許さない。

音の層が幾重にも折り重なるような独特のサウンドであり、どんなに微弱な音にも魂を宿らせる。

全ての音が有機体のように相互作用しつつ、しかも全体のまとまりにも事欠かないという希有な合奏能力!

もっともライヴゆえ、ややアンサンブルが乱れるところもあるが、作品に真摯に向き合う姿勢は、ややするとルーティンワークになりがちな有名曲でさえ、今まさに出会うかのような新鮮さを感じさせる。

音質はややヒスノイズがあるものの概して良好である。

因みに“シュターツカペレ・ドレスデンでブラームスの「第1」はザンデルリンクだけ”というのは誤りで、実際にはケンペ盤やハイティンク盤もある。

個人的には、廃盤となったハイティンク盤の再発売を望むが、ブロムシュテット盤も中々聴かせると思う。

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2011年09月08日


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2005年7月1日〜2日にかけて行われた、ブロムシュテットのカペルマイスター退任記念コンサートのライヴ録音である。

旧東ドイツの名門オーケストラと新しい世代のドイツ系指揮者ががっぷり組んだ構築あふれる名演。

ゲヴァントハウス管弦楽団の美しい響きとブロムシュテットの棒の精彩とが、高次元で合体している印象が素晴らしい。

深みのある弦と金管とのブレンドが美しく、落ち着いた佇まいをもった、端然とした演奏である。

ウィーン風のふくよかで雄大ながら愚鈍な趣のブルックナーともドイツ風のどこか無骨な巨人のようなブルックナーとも違う、ひきしまってガッチリした壮大かつ精緻なブルックナーが聴ける。

すこぶる格調の高いブルックナーでり、精緻な構図の中ですべてが自然体にまとめ上げられ、味わいとこくに満ちた世界が展開している。

豊かな叙情を第一の特色とした演奏といってよいと思うが、同時に金管のフォルティッシモも実に重厚で強烈、この交響曲の魅力を過不足なく引き出す要因となっている。

精緻さと質感を十二分に備えた名演である。

加えてテンポ設定にも説得力があり、全曲を通じきわめて適確な曲運びを示す。

アンサンブルそれ自体が自発的に有機的な音楽を歌っているが、指揮者もゆたかな感興で音楽を起伏させている。

最良の意味での普遍的な演奏と評するべきか。

これは、神と対話するオルガン的な宗教サウンドのブルックナーではなく、コンサート・ホールで交響曲としてサウンドさせるシンフォニック・ブルックナーの理想形のひとつかも知れない。

特に終楽章の大聖堂のような充実した構築性は素晴らしい。

こうした自然体のブルックナーは、探してみるとその実なかなか見当たらない。

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2010年12月02日


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ブロムシュテットが、サンフランシスコ交響楽団の音楽監督に迎えられた時、その顔合わせによる最初のレコーディングにヒンデミットの作品を選んだということはきわめて興味深い。

1995年の生誕100年を通じてその存在が再認識されたとはいえ、ヒンデミットの音楽は、一般的にいってわが国では、まだまだ充分に評価され、認められているとはいえない。

それでも、いくつかの作品については眼が向けられてきたが、オーケストラ作品の中で最も親しみやすいのは、やはり《ウェーバーの主題による交響的変容》であろう。

それは、彼がいわば"おもしろい音楽"を書いた時期に属するが、ブロムシュテットもそれを親しく聴かせてくれる。

サンフランシスコのオーケストラが、完全に磨き上げられ、ソロイスティックな面とアンサンブルが、ほどよいバランスと明快さをもって、密度の高い構成感とともに好演を生み出しているのである。

明るく楽しい面での技巧性という意味では、ブロムシュテットの新しいヒンデミット解釈の特徴があると感じられる。

ヒンデミットの録音を積極的に行っているコンビであるが、《画家マチス》の柔らかく繊細で、感受性に富んだ演奏には特筆に値する新鮮さが感じられる。

ブロムシュテットならではの解釈であり、サンフランシスコ響ならではの響きだ。

ふくよかな弦の響きを生かしながら、管の潤色を充分に施した第1楽章から出色の出来ばえである。

繊細な弦が絡む第2楽章も素敵だ。

ぐっとスケール感と重量感の増す第3楽章の扱いも見事で、息も長くたっぷりと歌われる旋律は、ヒンデミットが決して一介の無味乾燥な即物主義者にとどまらなかった事実を裏づけているようで興味深い。

そうした特徴は《葬送音楽》でさらに内容的な深まりを示している。

それに続き、中でも最も聴き応えのあるものは《いとも気高き幻想》などである。

オーケストラのアンサンブルはよく整えられており、独特の対位法的な書法も線的に描き出すと同時に、音楽の構成上の均衡や一つの抒情的要素も生かしながら、3つの楽章をじっくり聴かせてくれる。

終曲のパッサカリアの構成的な運びは、とくに魅力的である。

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2010年11月05日


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第40、41番に続くブロムシュテットのモーツァルト/交響曲シリーズ第2作。

シュターツカペレ・ドレスデンの特徴的な音質をよく示していて、柔らかな音ですすめられている。

ブロムシュテットも、この特徴を音楽面で生かすのに成功していて、角ばらない、柔らかさと滑らかさのある音楽を作っている。

両曲の両端楽章にもそういうことがいえるし、それでいて表現力は極めて豊かであり、緩徐楽章には優しさの中に特に燃えるような激しさがある。

録音のロケーションが教会ということもあるのだろうが、オーケストラの響きが若干ふわふわと聴こえる点で評価が分かれるかもしれないが、しかしブロムシュテットの表現そのものは極めて力強い。

特に《プラハ》は、堂々とリズムを刻んでゆく第1楽章の重量感といい、続くアンダンテの語り口といい、むしろ硬派の演奏になっている。

そのあと、引き締まったフィナーレがたいへん美しい。

第39番もスケールの大きな演奏だが、ここでは世界屈指のオーケストラの固有の魅力がいちだんと物を言っている。

中でも第1楽章導入部の後半やメヌエットのトリオなどには、それこそはっとするような美しい瞬間が続出する。

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2010年08月18日


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旧東独を代表する名手ペーター・ダムの代表盤。

大変生真面目なモーツァルトである。

いくぶん遊びやゆとりに乏しい感じはあるものの、緩徐楽章などそうした飾り気のなさが一種の素朴な美しさとして聴き手の心を打つ。

ダムの置かれた環境(旧東独)が、過小評価の一因となっているのであれば悲劇である。

ダムは20世紀屈指のホルン奏者に数えられるべき逸材である。

音色やテクニックはいうまでもなく、音楽作りの旨さには、熟練だけでは到底及びもつかぬ天賦のものを感じる。

ダムのソロは響きが柔らかく、豊かな広がりを生み出す。

解釈も素直でソノリティともども圧迫感がない。

そのために音楽は非常に温かい雰囲気を伴って再現される。

テクニックは完璧だが、それを感じさせないところに彼のすぐれた個性がある。

テンポの設定にも無理がなく、いたずらにソロをフィーチュアする意図が感じられない。

このような演奏で聴くと、モーツァルトの音楽が実に人間的な親しみを感じさせる。

ダムのモーツァルト協奏曲集には、もっと新しいマリナー指揮アカデミーとのレコーディングもあるが、こちらは彼がドレスデンの首席になってまだ日も浅いころのもの。

そもそもシュターツカペレ・ドレスデンの美しいホルン・セクションを聴くとああダムの音だと思うくらいだから、このソロとオーケストラがしっくりと溶け合っているのは当然と言うべきか。

それにしてもこのオケは素晴らしい。

ダムのソロは決して派手ではないし、テクニックもテクニックとして目立つ類いのものではない。

しかしホルン固有のまろやかな音色や、華やかさと何とも言えぬユーモアが同居するこれらの曲の味わいを、心ゆくまで楽しませてくれる演奏である。

また、モーツァルトのホルン協奏曲を学究的な態度でとりあげたものとして、モーツァルトの研究家やこの曲の演奏を志す人にも貴重なCDといえる。

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2009年12月30日


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ブロムシュテットの、よりモダンで力強く、多彩な表現をもった個性的指揮者としての主張が明確に表れている。

それぞれ異なった作風と内容を持つニールセンの6曲の交響曲で、ブロムシュテットはそのひとつひとつの特質を鮮明に表す演奏を行っており、ニールセンの音楽的道程を深く印象づけている。

表面的な音の効果にとらわれず、その内面にある孤高の本質をきびしく見据えているブロムシュテット以上に、ニールセンの交響曲を演奏できる指揮者はいないであろう。

ブロムシュテットは作品の本質をよく見きわめ、このニールセンの第1番と第6番の2つの作品の間に横たわる30年の歳月を実感させている。

第1番は内部に秘められた情熱を強い運動性で表出しており、すべての表情をよく手中に収め、デュナーミクも効果的だ。

第6番も楽想をきめこまかく表出しながらも、ディティールだけにとらわれず全体の見通しがよく、各変奏はそれぞれ興趣に満ちた表現で、この曲の真髄を知らしめる優れた演奏である。

第2番は強い確信をもった演奏で、強靭な意志力が曲全体にみなぎり、オケも重量感のある響きで指揮者に応えている。

第3番は動感豊かな、荒々しいといえるばかりの演奏だが、全4楽章が緊密・堅実に表現されているのは、やはりこの人の見識といえよう。2人の独唱者も好演。

第4番では終末的クライマックス形成のティンパニ、第5番では全編で重要な役割を果たしている小太鼓が、ニールセンのモダニズムを象徴しているが、管・打楽器に卓越した奏者を擁するアメリカのオケの起用が図に当たって、面白く楽しめる演奏が生まれた。

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2009年08月19日


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イプセンの戯曲《ペール・ギュント》への付随音楽は全26曲の構成。そのうちブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団による録音は、20曲を抜粋し、独唱、合唱、俳優による語りを加えて物語の全貌を把握できるように工夫されている。

生まれはアメリカだが、スウェーデン国籍を持ちストックホルムで教育を受けたブロムシュテットにとって、ノルウェーの国民的作曲家グリーグの音楽は近しく感じられるに違いない。

1988年にサンフランシスコ交響楽団を指揮して入れたディスクは再録音にあたる。

1977年にシュターツカペレ・ドレスデンを指揮して入れた原語による抜粋盤は組曲の形での演奏が広く行なわれていた当時、まさに画期的なものだった。

この旧盤を通して作品の魅力に開眼した人も少なくないだろう。

重厚かつ艶やかな音色を生かしたドレスデン盤もきわめて充実したものだった。

しかし、サンフランシスコ交響楽団の澄み切った音色はより作品の世界に似つかわしい。

また、そこには11年の間のブロムシュテットの円熟も如実に反映されている。

世界を駆け巡るペールの冒険譚をブロムシュテットは生き生きと描き出すとともに、北欧の音楽ならではの心に染み入るような抒情を醸し出す。

ウルバン・マルムベルイ、マリ=アンネ・ヘガンデルの独唱も北欧人の強みを生かしたすぐれたもの。

ノルウェー民話の世界に心おきなく浸ることが出来る名盤だ。

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2009年05月08日


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数多いベートーヴェン交響曲全集の中でも規範的な表現で、作品の原像をそのまま表出しており、作品自体に音楽を語らせている。

そこにブロムシュテットの自己主張があるばかりでなく、随所に豊かな感興を表している。

全9曲の全てが全く歪曲のない古典美の極致を描いており、ムラのない演奏を作っている。

オケの古雅な美感と洗練された精緻なアンサンブルも特筆すべき美しさだ。

世界最古のオーケストラで、400年という歴史をもつ、シュターツカペレ・ドレスデンならではの、落ち着いた響きが魅力の演奏である。

やや淡白ではあるが、作為的なところが少しもなく、旋律をごく自然に歌わせている。

弦楽器のひなびた音色と、やわらかな管楽器のからみあいが素晴らしく、全体にあたたかみのある演奏となっている。

指揮者の個性よりも、オーケストラの自発性が、巧みに生かされた好演だ。

ことに木管楽器は、このオーケストラ独特の響きで、そうした特徴は「田園」の第2楽章によくあらわれている。

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2009年03月26日


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シベリウスの交響曲全集では、ブロムシュテット盤がオーケストラの技巧も録音もとびきり優秀だ。

作品への愛情と理解ではベルグルンドにひけをとらず、彫りの深い明確な造形で、スケールの大きい名演となっている。

ブロムシュテット/サンフランシスコ響の一つ一つの音にこめられた透明感と陰影、磨き抜かれた音の壮麗さと奥深いダイナミズムによって繰り広げられる音楽の世界は、叡智と美の結晶体を思わせる。

外国のオーケストラにとってシベリウスは必ずしも理解し易いものではない。

しかしブロムシュテットはまず第4番と第5番を与え、彼の豊かな経験と学識、自身によって立つ北欧人の感性によって見事にしかも最高にシベリウスの世界を実現した。

全体に骨格がたくましく、ニュアンスが豊かな音楽に仕上がっている。

第4番は重厚さと独自の洗練性が特色で、第3楽章ではひとつひとつの楽想を吟味するように歌わせ、孤高の哀愁を漂わせる。

終楽章ではグロッケンシュピールの代わりにテューブラーベルズを用いているのがユニークだ。

第5番も秀演で、何よりもこの曲が牧歌的様相を持っていることを発見させられるのが興味深い。

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2009年03月07日


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このコンビによる初のモーツァルト/交響曲録音。

心が悦びで満たされ、聴き終えたあとの気持ちがすばらしく豊かになる演奏。

第40番は、テンポが遅く重厚すぎると感じられる部分もあるが、この交響曲にある悲愴美を余計なことをしないで自然に引き出しているのが良い。

とりわけ第1楽章第1主題の歌は胸に突き刺さる。

1音たりとも心から離れて浮遊する音のない、目のしっかりつんだ織地のよう。

表現は一貫して古典的で、特に両端楽章の端然とした豊かな表現は真に古典的なモーツァルトを聴く思いがする。

「ジュピター」は、ゆったりとしたテンポを基本にしたスケールの大きい演奏で、19世紀のモーツァルト観の現代版ともいえるロマンティックなものだが過剰な表現にはなっていない。

また、表現自体に丁寧かつ自然な流れがあるので説得力がある。

緩徐楽章の悠々たる優美さも同様で、メヌエットのトリオなどは、2曲ともまさに古典的宮廷舞曲の脈をひくリズムとテンポだ。

モダン・オーケストラでならこのような解釈もこの交響曲の魅力の一つとして十分に楽しめる。

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2008年10月15日


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アルプス交響曲は、登山の一日を描写する内容を持っている。そのため"頂上"など中間部に最大のクライマックスがある。

しかし、それは飽くまで音量的な盛り上がりであって、内容的には"日没"以下の後半が真のクライマックスと言える。

その点に加え全体が単なるパノラマ的描写だけではなく、純粋な音の組み立てのドラマとして如何に再現されているかも選ぶポイントとしたい。

ブロムシュテットの演奏は地味ながら強固な力感と、必要にして十分な緊張感をもって作品の本質に迫る。

ブロムシュテット盤のサンフランシスコ交響楽団は優秀で、その抜けの良い響きがブロムシュテットの引き締まった解釈と相まって、彫りの深い充実した演奏を生んでいる。

「アルプス交響曲」は膨大な編成によるオーケストレーションを見事に整理した上で、ふくよかさと明晰な響きを両立させ、ディティールを入念に表出している。

サウンド志向の人も満足させる実に豊麗な音質も特筆もの。

「ドン・ファン」も作品ののびやかさと音の繊細な効果をよく表現しており、劇的な力感も強い。

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2008年09月29日


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ブロムシュテット初のR.シュトラウスである「英雄の生涯」は、実に見事なR.シュトラウスの音の世界を作りあげている。

そのよく彫琢されたまろやかな響きは、まことに素晴らしい。

最もよい例が「英雄の敵」で、細部にまで神経を行き届かせながら、緻密に音楽を組み立てている。

特に感銘を受けた「英雄の伴侶」では、ミリングのヴァイオリン・ソロがよいムードを作り出していた。

指揮者と楽員の精神的一致が見事に開花した、快演といってよかろう。

「ツァラトゥストラ」はブロムシュテットの音楽的な成熟を感じさせる。

全体にテンポを遅めにとり、じっくりと腰を割り、1音1音かみしめるよう丹念に仕上げている。

またシュターツカペレ・ドレスデンも、まさにいぶし銀の音のすばらしさをきかせる。

「ドン・ファン」も冒頭のホルンから聴き手をひきつけ、旋律を十全に歌わせながら、しだいに興奮をかきたてていく語り口のうまさには感嘆させられる。

「メタモルフォーゼン」はややゆっくりとしたテンポで丹念に練り上げており、ブロムシュテットの表現力の豊かさもさることながら、このオケの重厚な響きに魅了される。

「死と変容」はひとつひとつの音を大切にしながら、生と死のはざまにある人間の心情を克明に描出している。

「ティル」は各場面を精緻に描出しているがあまりにも慎重になりすぎてか、多少生気に欠けるのが惜しい。

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2008年05月05日


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ウェーバー生誕200周年記念録音。

クラリネットのために書かれた3つの協奏曲では第1番が最も有名で、演奏会でもよく取り上げられる。

ザビーネ・マイアーのクラリネットはいつものことながら大変魅力的だ。

抜群のテクニックを誇るマイアーの演奏は、細かな表情を巧みにつけながら、クラリネット独特の、ロマンティックな味わいを濃厚に出しており、音色も美しく、名演だ。

第1番の第1楽章など、テクニックも音色も抜群といえる。

抒情的なテーマでデリケートな息づかいや思いやりの情にあふれ、しかも決して神経質にならず、終始この楽器特有の深い艶のある音を満喫させてくれる。

第2番や小協奏曲も同じスタイルで、柔らかさから輝きに至る幅広い表情が素晴らしい。

オケも実に見事で、マイヤーのソロを一層ひきたてている。

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2008年01月15日


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ブロムシュテット壮年期の素晴らしい名演だ。

同じコンビによる第7番も極上の名演であったが、本盤もそれに優るとも劣らない出来を誇っている。

実に壮麗な演奏で、ブロムシュテットの解釈には誇張や無用の作為がない。

しかも響きや表情が確信にみちあふれている。

特にテンポがよく、一種独特の推進力を感じさせるが、同時に金管の処理に厚味と華麗さをもっているのが、作品にふさわしい。

従って、開始から終結まで文字通り交響的であり、威容と抒情を兼ね備えている。

もちろん、こうした演奏を可能としたのは、シュターツカペレ・ドレスデンあってのことである。

シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音色は、演奏に重心の低い渋みと内容の濃さをもたらしている。

そして、何といっても素晴らしいのは、ペーター・ダムのホルンであろう。

当時のドイツにおけるザイフェルトと並ぶ2大ホルン奏者であるが、ダムの深みのあるホルンの音色を聴くだけでも、一聴の価値がある。

Blu-spec-CD化によって、音質がより鮮明になった点も高く評価したい。

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2008年01月14日


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「第7」は、ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンが、気迫のこもった渾身の名演を聴かせる。

見事なまでに均整のとれた造形とまろやかにブレンドされた響きによる、充実した素晴らしいブルックナーである。

冒頭のトレモロから磨き上げたように彫りの深い表情をもち、第1主題は心にしみ込むようなニュアンスをもっている。

精妙でありながら、しかも人為の屈折を微塵も漂わせない。

これほど晴朗なブルックナーは滅多にない。

そしてブロムシュテットは、オーケストラの洗練されたアンサンブルを御して、彫りの深い、宗教的ともいえる瞑想的な表現で迫る。

この指揮者は従来淡白な表現に特色があったが、ここではまるで別人のような燃焼を示しているのである。

彼もハース版を用いながら、ノヴァーク版の打楽器を盛大に鳴らしている。

最強音でも鋭くならず、それでいて広大なディナーミクを表出している。

だが単なる楽天主義というか、極楽トンボではなく、ドラマティックな効果を発揮しているのである。

これはブロムシュテットの数多い録音の中でも、特筆される名演奏と言えると思う。

Blu-spec-CD化によって、さすがにSACDにはかなわないが、従来盤と比較すると鮮明さが相当に増しており、本演奏の価値は大いに高まった。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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