オルフ

2015年07月28日


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プレヴィンはオルフのカルミナ・ブラーナを2度ににわたってスタジオ録音を行っている。

最初の録音が本盤に収められたロンドン交響楽団ほかとの演奏(1974年)、そして2度目の録音がウィーン・フィルほかとの演奏(1993年)である。

いずれ劣らぬ名演と評価したいが、筆者としては、プレヴィンの全盛期はロンドン交響楽団とともに数々の名演を成し遂げていた1970年代前半であると考えており、本盤に収められた演奏の方を僅かに上位に掲げたいと考えている。

それにしても、本演奏は素晴らしい。

何が素晴らしいかと言うと、とにかく奇を衒ったところがなく、カルミナ・ブラーナの魅力を指揮者の恣意的な解釈に邪魔されることなく、聴き手がダイレクトに味わうことが可能であるという点である。

同曲はあまりにもポピュラーであるため、個性的な解釈を施す指揮者も多く存在しているが、本演奏に接すると、あたかも故郷に帰省してきたような安定した気分になるとも言えるところだ。

プレヴィンは、クラシック音楽の指揮者としてもきわめて有能ではあるが、それ以外のジャンルの多種多様な音楽も手掛ける万能型のミュージシャンである。

それ故にこそ、本演奏のようなオーソドックスなアプローチをすることに繋がっていると言えるだろう。

楽曲を難しく解釈して峻厳なアプローチを行うなどということとは全く無縁であり、楽曲をいかにわかりやすく、そして親しみやすく聴き手に伝えることができるのかに腐心しているように思われる。

プレヴィンは、ポピュラー音楽の世界からクラシック音楽界に進出してきた経歴を持っているだけに、楽曲の聴かせどころのツボをしっかりとおさえた明瞭なアプローチを行うのが特徴と言える。

本演奏においてもそれは健在で、特に、楽曲がカルミナ・ブラーナという世俗カンタータだけに、かかるプレヴィンの明瞭なアプローチ、演出巧者ぶりが見事に功を奏している。

本演奏のどの箇所をとっても曖昧模糊には陥らず、各フレーズをくっきりと明快に描くのに腐心しているとさえ感じられるところである。

かかるアプローチは、ベートーヴェンやブラームスの交響曲などのような陰影に富む楽曲の場合、スコアに記された音符の表層だけをなぞった浅薄な演奏に陥る危険性を孕んでいるが、前述のように、楽曲が当該アプローチとの相性が抜群のカルミナ・ブラーナであったということが、本演奏を名演にした最大の要因であるとも考えられるところだ。

聴かせどころのツボを心得た演出巧者ぶりは心憎いばかりであり、プレヴィンの豊かな音楽性が本演奏では大いにプラスに働いている。

特筆すべきはロンドン交響楽団、そして同合唱団及び聖クレメント・デインズ小学校少年合唱団の見事な好演であり、シーラ・アームストロング(ソプラノ)、ジェラルド・イングリッシュ(テノール)、トーマス・アレン(バリトン)による名唱も相俟って、本名演をより一層魅力のあるものにするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

クラシック音楽入門者が、カルミナ・ブラーナを初めて聴くに際して、最も安心して推薦できる演奏と言えるところであり、本演奏を聴いて、同曲が嫌いになる聴き手など、まずはいないのではないだろうか。

いずれにしても、本演奏は、プレヴィンによる素晴らしい名演であり、同曲を初めて聴く入門者には、第一に推薦したい名演であると評価したい。

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2015年05月24日


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名指揮者オイゲン・ヨッフム以下ソリスト、コーラス、オーケストラ総てをドイツ勢で固め、ドイツの底力を示した稀代の名演。

ヨッフムの棒の下に非常に几帳面な音楽作りがなされていながら、結果的にはこの曲が持つ神秘的な静寂と、大地の底から湧き上がる叫び声のような奔放でしかも驚異的な音響効果の双方を表現することに成功している。

本盤ついては不朽の歴史的な超名演として名高いものであり、既に筆者も次のようなレビューを投稿済みである。

「最近では非常に人気のある作品であり、数々の録音がなされているカルミナ・ブラーナであるが、録音以来40年以上が経過した現在においてもなお、本ヨッフム盤の価値がいささかも色褪せることはない。

それどころか、本演奏は、プレヴィン&ウィーン・フィル盤(1995年)などの様々な指揮者による名演に冠絶する至高の超名演と高く評価したい。

作曲家オルフが認めた演奏であり、ヨッフム自身が同曲の初演者であるということもあるが、それだけでなく、やはり演奏自体が非常に優れている。

同曲は、紛れもないドイツ音楽であるが、ヨッフムの演奏は、同曲をドイツ音楽であることをあらためて認識させてくれるのが何よりも素晴らしい。

同曲は、華麗な合唱やオーケストレーションを誇る楽曲であることから、最近ではそうした華麗さに焦点を当てた演奏が数多くなされているように思うが(それも、魅力的ではある)、ヨッフムの演奏は、外面的な華麗さよりは、ドイツ音楽ならではの質実剛健さを基調としている。

したがって、全体の造型の堅固さには際立ったものがあるが、それでいてヨッフムは、これ以上は求め得ないようなドラマティックな演奏を展開しており、その畳み掛けていくような気迫と力強い生命力は、圧倒的な迫力を誇っている。

あたかも壮大なドイツ・オペラを鑑賞しているような趣きがあり、そのスケールは雄渾の極みである。

歌手陣も優秀であり、特に、ソプラノのヤノヴィッツとバリトンのフィッシャー=ディースカウの歌唱は秀逸である。

このうち、フィッシャー=ディースカウの歌唱は巧すぎるとさえ言えるが、これだけ堪能させてくれれば文句は言えまい。

ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団やシェーネベルク少年合唱団も最高のパフォーマンスを示している。」

演奏評については、現在でもこれに付け加えることは何もないが、本盤で素晴らしいのはシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化によって、およそ信じ難いような鮮明な高音質に生まれ変わったことである。

従来CD盤では、各合唱が一部混濁して聴こえたりしたものであるが、本盤では明瞭に分離して聴こえるところであり、オーケストラとの分離についても申し分がない。

マルチチャンネルが付いていないにもかかわらず、臨場感についても抜群のものがあり、おそらくは現在において望み得る最高の鮮明な超高音質である。

シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化により、ダイナミックレンジ、ボリュームそして音質の解像度が飛躍的に向上し、沸き立つばかりのリズムの躍動感、管弦楽と合唱のダイナミックな音楽に、思わず興奮させられるところであり、こうした大編成用の楽曲では十二分にその効果を発揮している。

いずれにしても、ヨッフムによる不朽の歴史的な超名演を、シングルレイヤーによる超高音質SACDで味わうことができることを大いに歓迎したい。

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2014年12月12日


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ドイツ・カンマー・フィル音楽監督、マーラー室内管音楽監督、ロンドン交響楽団首席客演指揮者などを歴任している、ダニエル・ハーディング指揮による、人気ソプラノのプティボン、ベテラン・テノールのイェルザレム、活躍目覚しいバリトンのゲアハーヘルという第一級のソリストを迎えてバイエルン放送響を振った人気曲「カルミナ・ブラーナ」を収録したアルバム。

次代を担う若手指揮者のホープ、ハーディングによるDGへの2枚目のレコーディングアルバムであるが、そうした期待を裏切らない名演だ。

「カルミナ・ブラーナ」は、最近ではすっかりポピュラーな名曲になった。

かつては、初演者のヨッフムやケーゲルなど、独墺系の指揮者が演奏するローカルな作品との位置づけだっただけに、近年の傾向は隔世の感がある。

しかしながら、近年の演奏がすべて名演かと言うと、必ずしもそうとは言い切れない面がある。

プレヴィン&ウィーン・フィル(特にSACD盤が最高!)などの名演との評価に相応しいものも散見されるが、特に、録音の面で、いささか不満が残るものが多々あったと言わざるを得ない。

大編成の合唱を伴うだけに、なかなかバランスのとれた録音が難しいのかもしれないが、本盤は、まずはその録音が素晴らしい。

ライヴ録音という大変難しい状況であるにもかかわらず、オーケストラも、合唱も、非常に鮮明な音質でとらえられており、その点だけでも、相当なアドバンテージだ。

それに加えて、ハーディングの指揮の見事さ。

ハーディングのアプローチは奇を衒うということはいささかもなく、あくまでもオーソドックスなものであるが、比較的ゆったりとしたテンポをとることにより、全体をスケール雄大に纏め上げている点が素晴らしい。

こうした巨匠風の演奏をする点を見ても、ハーディングの将来性を大いに感じる。

合唱やゲアハーヘルをはじめとする独唱陣も完璧であり、指揮者、オーケストラ、合唱を含む歌手陣、録音の4拍子揃った稀有の名盤として、過去の同曲の名盤の中でもトップの座を争うものと高く評価したい。

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2014年11月24日


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ヒコックスによる圧倒的な名演である。

ヒコックス2回目の録音で、ロンドン交響楽団としては久々の再録音(正規盤として)となった意欲作である。

全体を通してかなりオーソドックスな仕上がりで、安定感が高く、カルミナ・ブラーナの世界に温かく包み込んでくれる。

ヒコックスの老練な指揮に率いられて、ロンドン交響楽団も同合唱団も、そして各独唱者も最高のパフォーマンスを示している。

英語圏のソリストを揃えたが、やはり現在を代表する歌手だけあってなかなかの好演を聴かせてくれる。

それに、このコーラスはよく歌う。

ともすれば器楽的に扱われる演奏が多い中で、こんなにのびのびと声の出たカルミナ・ブラーナはむしろ珍しい。

指揮者がコーラス畑の出というのがプラスになっているのだろう、とても人間味のある歌が聴こえる快演だ。

ライヴ録音だけに、指揮者、オーケストラ、合唱団や独唱者、そしてコンサートホールの客の熱気も、冒頭から終結部に至るまで尋常ではない盛り上がりを見せており、CDを聴いている筆者までもが、心が高揚していくのを感じた。

コンサートホールでの生演奏ではよくあることだが、CDを聴いて今回のように心が高揚することはあまり経験はなく、それだけこの演奏が圧倒的な名演であるということなのだと思う。

SACDマルチチャンネルの効果も実に素晴らしく、音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても超一級品の仕上がりである。

いずれにしても、ヒコックスによる素晴らしい名演を、現在望みうる最高の高音質SACDで味わうことができるのを大いに喜びたい。

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2014年11月04日


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2002年よりベルリン・フィルの芸術監督に就任したラトルであるが、就任後の数年間は、オーケストラへの気後れもあったとは思うが、気合だけが空回りした凡演が多かった。

そのようなラトルも、2008年のマーラーの交響曲第9番において、猛者揃いのベルリン・フィルを巧みに統率した奇跡的な名演を成し遂げ、その後は、殆ど例外もなく、素晴らしい名演の数々を聴かせてくれるようになった。

本盤に収められたオルフのカルミナ・ブラーナの演奏は、2004年の大晦日のジルヴェスター・コンサートでのライヴ録音である。

この時期は、前述のように、ラトルが未だベルリン・フィルを掌握し切れていない時期の演奏ではあるが、かかるジルヴェスター・コンサートという独特の雰囲気、そして何よりも、ラトル自身がオペラにおける豊富な指揮の経験により合唱や独唱者の扱いが実に巧みであることも相俟って、当時のラトルとしては、例外的に素晴らしい名演を成し遂げていると言えるのではないかと考えられるところである。

もちろん、本演奏においても、気合は十分であり、ラトルの得意とする合唱曲、そして現代音楽であるということもあって、思い切った表現を随所に聴くことが可能だ。

テンポの効果的な振幅や思い切った強弱の変化などを大胆に駆使するとともに、打楽器の鳴らし方にも効果的な工夫を施すなど、ラトルならではの個性が満載であると言えるところである。

要は、当時のラトルの演奏の欠点でもあったいわゆる表現意欲だけが空回りするということはいささかもなく、ラトルの個性が演奏の軸足にしっかりとフィットし、指揮芸術の範疇を外れていないのが見事に功を奏している。

そして、ラトルは、前述のように合唱や独唱者の扱い方が実に巧いが、本盤の演奏においてもその実力が如何なく発揮されているとも言えるところであり、ベルリン放送合唱団、ベルリン大聖堂国立合唱団少年合唱団員を見事に統率して、最高のパフォーマンスを発揮させている手腕を高く評価したい。

ソプラノのサリー・マシューズ、テノールのローレンス・ブラウンリー、そしてバリトンのクリスティアン・ゲルハーヘルによる名唱も、本演奏に華を添える結果となっているのを忘れてはならない。

いずれにしても、本演奏は、ベルリン・フィルを完全掌握して、水準の高い名演の数々を成し遂げるようになった、名実ともに世界最高の指揮者である近年のラトルを十分に予見させるような圧倒的な名演に仕上がっていると高く評価したい。

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2014年10月16日


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オルフの「カルミナ・ブラーナ」については、合唱や独唱などを含む大編成のオーケストラの使用による壮麗な迫力、そしてその旋律や歌詞の親しみやすさなどから、近年においては特に数多くの演奏・録音がなされている人気作である。

中堅・若手指揮者はこぞって録音しているような印象があるが、その中でも本盤のティーレマンによる演奏は、最右翼に掲げられる名演と評価してもいいのではないだろうか。

初演者のヨッフムやケーゲル以降は、独墺系の指揮者による同曲の名演が殆ど皆無であったことを考慮に入れると、本名演は長年の渇きを癒すものとも言っても過言ではあるまい。

ティーレマンの指揮が素晴らしく、ルフトパウゼ(殆どの演奏では無視されている)の意味を今回ほど重要と思ったことはなかった。

ともすれば単調な繰り返しのこの曲を最後まで聴かせてしまう指揮者の力量は、従来の鈍い演奏を根底から見直すいい機会となった。

とにかく、全体の造型が堅固で、どこをとっても重厚な音色が支配しているのが素晴らしい。

あらためて、同曲がドイツ音楽であることを認識させてくれるものと言える。

それでいて、各曲のトゥッティに向けて畳み掛けていくようなエネルギッシュな気迫や力強さ、それと対置する繊細な抒情など、同曲の歌詞が含有する中世ヨーロッパの生活や感情に鋭く踏み込んでいくような彫琢の限りを尽くしたドラマティックな表現には際立ったものがあり、これはいかにもオペラの指揮を軸足とする独墺系指揮者の伝統を受け継ぐティーレマンならではの至芸である。

このようなオペラにも比肩し得るようなスケール雄大でドラマティックな名演を聴いていると、あらためてティーレマンが次代を担う独墺系指揮者として将来を嘱望されている理由がよく理解できるところだ。

独唱陣はいずれも素晴らしい歌唱を披露しており、ティーレマンの確かな統率の下、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団や同合唱団、少年合唱団も最高のパフォーマンスを示している。

同曲の録音は、大編成による楽曲であるだけに、オーケストラと合唱をバランス良く収録し得たものにはなかなかお目にかからないが、本盤はかなり成功している部類に入ると言えるのではないだろうか。

今後もこの演奏を超える演奏はなかなか現われないだろう。

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2014年10月15日


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近年では数多くの演奏がなされているオルフのカルミナ・ブラーナであり、名演には事欠かないところであるが、現在においてもなお随一の名演として掲げられるのは、ヨッフム&ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団ほかによる超名演(1967年)であると言えるところだ。

初演者ということもあるのであろうが、ヨッフムの確信に満ち溢れた強靭な気迫と力強い生命力は、圧倒的な迫力を誇っており、あたかも壮大なドイツオペラを鑑賞しているような趣きがある豪演でもあった。

もっとも、当該盤は音質が今一つ冴えないという欠点があったのであるが、ユニバーサルがSHM−CD盤やシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤などを相次いで発売することによって、音質の問題もほぼ解消し、今では随一の超名演の地位を確固たるものとしていると言えるだろう。

したがって、ヨッフムによる当該超名演を超える演奏というのは今後も容易には現われないのではないかとも考えられるが、現在のところ、これに唯一肉薄する名演こそは、本盤に収められたプレヴィン&ウィーン・フィルほかによる演奏(1993年)であると考えるところだ。

プレヴィンは、ポピュラー音楽の世界からクラシック音楽界に進出してきた経歴を持っているだけに、楽曲の聴かせどころのツボをしっかりとおさえた明瞭なアプローチを行うのが特徴と言える。

本演奏においてもそれは健在で、特に、楽曲がカルミナ・ブラーナという標題音楽だけに、かかるプレヴィンの明瞭なアプローチ、演出巧者ぶりが見事に功を奏している。

本演奏のどの箇所をとっても曖昧模糊には陥らず、各フレーズをくっきりと明快に描くのに腐心しているとさえ感じられるところである。

プレヴィンの指揮は雄弁そのもので、ホルン、ティンパニ、木管群などの濃厚な音色は光彩陸離として愉しさのかぎりをつくし、ドラマティックな振幅の大きさも最高、思い切りのよい、しかも歌心にあふれたハーモニーを創り出す。

かかるアプローチは、ベートーヴェンやブラームスの交響曲などのような陰影に富む楽曲の場合、スコアに記された音符の表層だけをなぞった浅薄な演奏に陥る危険性を孕んでいるが、前述のように、楽曲が当該アプローチとの相性が抜群のカルミナ・ブラーナであったということが、本演奏を名演にした最大の要因であるとも考えられるところだ。

特筆すべきはウィーン・フィル、そしてアルノルト・シェーンベルク合唱団及びウィーン少年合唱団の見事な好演であり、バーバラー・ボニー(ソプラノ)、フランク・ロパード(テノール)、アントニー・マイケルズ=ムーア(バリトン)による名唱も相俟って、本名演をより一層魅力のあるものにするのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

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オルフのカルミナ・ブラーナは、近年では多くの指揮者がこぞって録音を行うなど、その主要なレパートリーの一つとして定着しつつある。

親しみやすい旋律や内容、そして大規模な管弦楽編成や大合唱団など、現代人を魅了する要素が多く存在していることや、CD1枚に収まる適度な長さであることが、その人気の理由ではないかとも考えられるところだ。

音響面だけでも十分に親しむことが可能な楽曲であるだけに、これまでの録音はいずれも水準以上の名演奏と言っても過言ではないが、その中でも、トップの座に君臨するのは、初演者でもあるヨッフムがベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団ほかを指揮した名演(1967年)であると考えられる。

これに次ぐのが、諸説はあると思うが、プレヴィン&ウィーン・フィルほかによる名演(1995年)ではないかと考えているところだ。

この他にも、筆者としては、ケーゲルによる名演(2種(1959年及び1974年))などを掲げたいが、更に知る人ぞ知る名演として紹介したいのが、本盤に収められたオーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団ほかによる名演(1960年)である。

本演奏の当時は、前述のヨッフムの旧盤(新盤(1967年)は未だ発売されず、旧盤(1952〜1956年)のみが発売されていた。)やケーゲルの旧盤(1959年)以外には目ぼしい録音は存在せず、同曲が現在のように広く認知されている存在ではなかった時期の演奏である。

それだけに、オーマンディも、手探りの状況で本演奏に臨んだのではないかと考えられるところだ。

それだけに、本演奏におけるオーマンディのアプローチも、きわめて明瞭でわかりやすいものに徹している。

各楽想を精緻に描き出していくとともに、オーケストラを壮麗かつバランス良く鳴らし、合唱や独唱をこれまた明瞭に歌わせていると言えるだろう。

要は、オルフがスコアに記した音符や歌詞を余すことなく明快に描出した演奏と言えるところであり、当時のフィラデルフィア管弦楽団の卓抜した技量や、徹底した練習を行ったことと思われるが、ラトガース大学合唱団による渾身の大熱唱、そして、独唱のヤニス・ハルザニー(ソプラノ)、ルドルフ・パトラク(テノール)、ハルヴェ・プレスネル(バリトン)による名唱もあって、同曲を完璧に音化し尽くしたという意味においては、まさに完全無欠の演奏を行うのに成功したと言っても過言ではあるまい。

例えば、ヨッフム盤のようなドイツ的な重厚さや、プレヴィン盤のようなウィーン・フィルの極上の美音を活かした味わい深さと言った特別な個性は存在していないが、同曲が知る人ぞ知る存在で、他に目ぼしい録音が殆ど存在していなかった時期にこれほどの高水準の演奏を成し遂げたことを、筆者としてはより高く評価すべきではないかと考えるところだ。

いずれにしても、本演奏は、同曲の魅力を純音楽的に余すことなく表現するとともに、同曲異演盤が殆ど存在しない時期にあって、同曲の魅力を広く認知させるのに貢献したという意味でも極めて意義が大きい素晴らしい名演と高く評価したい。

音質は、1960年のスタジオ録音ではあるが、リマスタリングが繰り返されてきたこともあって、従来盤でも比較的良好なものである。

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2014年08月24日


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最近では非常に人気のある作品であり、数々の録音がなされている「カルミナ・ブラーナ」であるが、録音以来40年以上が経過した現在においてもなお、本ヨッフム盤の価値がいささかも色褪せることはない。

それどころか、本演奏は、プレヴィン&ウィーン・フィル盤(1995年)などの様々な指揮者による名演に冠絶する至高の超名演と高く評価したい。

作曲家オルフが認めた演奏であり、ヨッフム自身が同曲の初演者であるということもあるが、それだけでなく、やはり演奏自体が非常に優れているのである。

同曲は、紛れもないドイツ音楽であるが、ヨッフムの演奏は、同曲をドイツ音楽であることをあらためて認識させてくれるのが何よりも素晴らしい。

同曲は、華麗な合唱やオーケストレーションを誇る楽曲であることから、最近ではそうした華麗さに焦点を当てた演奏が数多くなされているように思うが(それも、魅力的ではある)、ヨッフムの演奏は、外面的な華麗さよりは、ドイツ音楽ならではの質実剛健さを基調としている。

したがって、全体の造型の堅固さには際立ったものがあるが、それでいてヨッフムは、これ以上は求め得ないようなドラマティックな演奏を展開しており、その畳み掛けていくような気迫と力強い生命力は、圧倒的な迫力を誇っている。

あたかも壮大なドイツオペラを鑑賞しているような趣きがあり、そのスケールは雄渾の極みである。

歌手陣も優秀であり、特に、ソプラノのヤノヴィッツとバリトンのフィッシャー・ディースカウの歌唱は秀逸である。

このうち、フィッシャー・ディースカウの歌唱はうますぎるとさえ言えるが、これだけ堪能させてくれれば文句は言えまい。

ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団やシェーネベルク少年合唱団も最高のパフォーマンスを示している。

録音は、何度もリマスタリングを繰り返してきたこともあって比較的良好であるが、数年前に発売されたSHM−CD盤がこれまでのところでは最も音質が優れている。

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2014年08月18日


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指揮者ギュンター・ヴァント生誕100年、没後10年(2011年時)特別企画盤で、北ドイツ放送交響楽団との伝説ライヴを収録。

あまりの立派な演奏ぶりにくぎ付けになる演奏で、明確なリズムが堂々たる格調を醸し出し、合唱の弱音部も精妙さの極み、驚かされる。

第1部のダンスの低音部の重厚さは北ドイツ放送響ならではで、バリトンのペーター・ビンダーもF=ディースカウばりの熱唱、曲が進むにつれ興奮させられる。

定評高いヨッフム盤とならぶドイツ本流のオルフと言えるところであり、ヨッフム盤にないリズムのキレ、緊迫感、厳格なアプローチがみられる。

ギュンターヴァントは現代音楽の紹介者としても有名であったが、特にウェーベルンやツィンマーマンの解釈では他から一線を画するものを持っていた。

またフォルトナーも含め、第2次世界大戦前後の作曲家いわゆる「現代音楽」というものが名実ともに、世をはばかることなく「現代音楽」と言えた時代の作品をコンサートでも取り上げていた。

そしてヴァントにとって忘れられない作曲家はストラヴィンスキーとバルトークである。

さて、オルフについてはどのような評価になるのかと今回CDを聴いて驚いたのは、ヴァントのスケールの大きさである。

もちろん大変なリハーサルを乗り越えてステージに上がらせているわけだから演奏の質は高い。

ピアノも抜群に上手く、この作品はピアノ伴奏の合唱音楽のようなところもあるぐらいだからピアノがまずいと話にならないが、とても達者である。

それ以上に健闘して、やってくれているのが独唱と合唱で、久々に聴かせてくれた。

バリトンの「In Taberna: Ego Sum Abbas」は奮闘しており、スピーカーから唾が飛んでくるかのような雄叫びである。

その後の合唱「In Taberna Quando Sumus」が見事に接合し、阿鼻叫喚の場を演出し、そこに本当に酒飲んで狂乱状態の人がいるかのような臨場感である。

バリトンのビンダーは高音もきれいだし、大変な使い手と言えるところであり、この人の声と表現にヴァントも楽しんでいるんじゃないかと思わせるほどで、どこかで彼の音楽性にヴァントが任せているような感じもする。

このバリトンは全体を牽引する力も持っており、合唱も素晴らしく、本当に人間がうごめくように自然に声が動く。

これは曲が進むにつれて次第に音楽自体が熱を帯びてくると合唱がいい意味で図に乗ってくる。

「Tempus Est Iocundum」もなかなか聴けない調子の良さで、その後のソプラノの独唱も素晴らしい。

そしてヴィーナスを讃えた後の「Fortuna Imperatrix Mundi:O Fortuna」の落とし方も驚異と納得ではないだろうか。

徹底的に練習をして我が物にし、そして自由になった演奏の空間を垣間見る思いがする。

録音がまた鮮烈極まりなく、ヴァントの指揮ぶりを際立たせている。

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2010年01月19日


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酒、女、歌など、中世人の喜怒哀楽を歌っている。簡潔にして雄弁、これぞ作曲家一世一代の天才的な作品だ。

この曲については、一部愛好家の間で、ヘルベルト・ケーゲル指揮(2種類あるが、1960年録音のほう)の演奏が珍重されてきた。

確かに珍重に値する演奏である。

異常な興奮状態で白熱の限りをつくし、まともな精神状態とは思えないほどだ。

普通の演奏家のレッドゾーンをとっくに振りきっている。

ことに「芝生の上で」の諸曲はまさに眼前に中世人の祝祭が見せられるがごとく溌剌としている。

熱狂、滑稽、泥臭さというかイモっぽさ、生々しい欲望……それらが絶妙に配合されている。

演奏者の血が騒いでいるのがはっきりわかるし、子供ならこれに合わせて踊り出すこと間違いなしだ。

歌手が決して超一流でないところも味わい深い。その辺のお兄ちゃんが声をからして大熱演のNHKののど自慢的品のなさが、曲にピッタリ。

しかも、そのような生の歓喜をさんざん謳歌したあとに、思いがけず、あの冒頭の「運命の女神よ」が不気味な恐ろしさで回帰してくる。

いくら楽しくても、運命の采配に対して人間は無力なのだと改めて確認される、その戦慄。

スバリ、ここがこの曲のキモであり、チャイコフスキーやマーラーと共通するところなのだ。

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2009年07月23日


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この曲の若々しさと、エネルギッシュな精力を感じさせる演奏としては、レヴァイン指揮シカゴ響が素晴らしい。

きわめて現代的な感覚の、すこぶる明るく切れ味のよい演奏で、これほど開放的で陽気な表現というのも、珍しい。

中世の猥雑さや、原始的な生命の謳歌とは別の、底抜けに明るく華麗な音の渦巻きと、若さのリズムの絶え間ない繰り返しによって積み重ねられるエネルギーの噴出が、ここに青春を歌いあげている。

こういう解釈の「カルミナ・ブラーナ」があってもいい。レヴァイン会心の演奏だろう。

レヴァインはオペラの指揮者として定評があるだけに、劇的な盛り上げが実にうまく、全体を大きな放物線で、ひとつのドラマのように捉えている。

独唱者のアンダーソン(S)、クリーチ(T)、ヴァイクル(Br)なども、現役バリバリの一級の歌い手で、きわめて表情豊かな歌唱が魅力となっている。

ことにアンダーソンの第23曲など絶品だ。ヴァイクルの、のびやかで屈託のない表情もいい。

合唱、独唱ともに乗りに乗った熱っぽい歌唱で光っており、それよりも、さらに魅力的なのはオーケストラのうまさだ。

シカゴ響のダイナミックな演奏は、特筆大書されてしかるべきで、その絶妙なオスティナートの効果は最高といえよう。

その艶やかで輝かしい音色は、シカゴ響ならではのもので、ことに打楽器群と金管楽器群は、唖然とするほど見事である。

録音も、各楽器が鮮明にとらえられていて自然だ。

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2008年02月14日


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カラヤンによるオルフはこれが唯一の録音で、ケルン放送響との録音もおそらく唯一であろう。

当曲はオルフが初期キリスト教の神学者オリゲネス他の思想をもとに世の終わりを描いた黙示録的なコメディアで、1973年8月20日ザルツブルク音楽祭で当CDと同じキャストで初演された。

当録音は、それに先だって行われている。

オルフ最後の大規模な作品で、ラテン語とドイツ語による台本はオルフ自身が書いている。

「シビュラ」は9人の巫女、「隠者」は9人の隠者によって歌われる。

オルフの総決算ともいうべきこの作品は、人気という点では「カルミナ・ブラーナ」に及ばないが、規模の壮大さ、オルフ技法の集積として、これからしばしば上演されてくるだろう。

カラヤン以下、オーケストラ、合唱団、声楽陣全員が一丸となった、白熱的な共感あふれる演奏は、オルフの生涯をかけたこの大作をより感動深いものとしている。

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2008年01月16日


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関屋晋が指導しているアマチュア合唱団、晋友会合唱団の出演が注目され、特筆すべきうまさで絶賛を博したベルリン・フィルの定期公演の直後に録音された。

小澤にとっては2度目の録音で実にスケールの大きく、熱っぽい演奏となっている。

小澤の《カルミナ》は再録音になるが、晋友会合唱団を引き連れての演奏で、そのホットな共感ほとばしる熱気は、まさにお祭り気分も最高の出来である。

鮮烈度ということでは、ボストン響との旧盤の方が魅力的ともいえるが、完成度の高さとベルリン・フィルの名人芸は、やはり聴き逃せないものがある。

この演奏には、「カルミナ・ブラーナ」がもつ生命の根源から爆発するような逞しさがある。

この逞しさは晋友会合唱団の熱唱が大きな力となっているが、それだけではなく、ここでは作品の各章の特質がよく歌い出されており、さまざまな人間模様を見る思いさえする。

独唱者3人も揃っていて、特にバスのハンプソンの異なった表情をもつ歌に対しての適切な対応のうまさが光る。

グルベローヴァとエイラーも熱演。

ソロイストも強力そのもので、日独の演奏家の幸福な出会いが記録されている。

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