ヴィヴァルディ

2016年10月30日


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リナルド・アレッサンドリーニ指揮によるコンチェルト・イタリアーノがこれまでにリリースしたCDから主にJ.Sバッハとヴィヴァルディの作品を中心に選択した6枚組セットで、CD1では最もポピュラーな『四季』を取り上げている。

この曲にはファビオ・ビオンディとエウローパ・ガランテの絵画的アプローチによる演奏があるが、それとは異なった目の覚めるようなドラマティックな表現が特徴だ。

CD2−3はバッハのブランデンブルグ協奏曲(全曲)で、このセットの中でも出色の出来と言える。

廉価盤化で初出時の録音風景とインタビューを収めたボーナスDVDは付いていないが、数多い古楽アンサンブルの中でも演奏内容、録音状態共にトップクラスのひとつとしてお薦めしたい。

CD4はアレッサンドリーニ自身のチェンバロ独奏によるバッハの作品集で、鮮やかなテクニックを披露する『半音階的幻想曲とフーガ』はもとより、演奏される機会が少ない初期の作品『最愛の兄の旅立ちに寄せるカプリッチョ』も心暖まるような美しい表現で聴かせている。

ちなみに彼の使用しているチェンバロは1740年にドイツで製作された作者不詳の楽器をアントニー・シドニーがコピーしたもので素晴らしい音色と表現力を持っている。

CD5ではヴィヴァルディのトラヴェルソと弦楽及び通奏低音のための協奏曲『夜』やA.マルチェッロのオーボエ協奏曲ニ短調が秀演だが、バッハの『イタリア協奏曲』の復元ヴァイオリン協奏曲版も良くできていて興味深いところだ。

尚CD6にはヴィヴァルディが珍しく対位法を使った弦楽のための協奏曲が12曲収録されている。

イタリアのピリオド楽器使用の古楽アンサンブルというと、このセットのアレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノより、むしろジョヴァンニ・アントニーニのイル・ジャルディーノ・アルモニコのほうがそのポピュラー性と演奏の奇抜さから知名度が高いかも知れない。

またその他にもソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ、アンドレア・マルコンのヴェニス・バロック・オーケストラやファビオ・ビオンディのエウローパ・ガランテなどが、かなり自由奔放で個性的な解釈を試みているが、お互いに盛んな交流があることも事実である。

例えば、アレッサンドリーニはエウローパ・ガランテと、ヴェニス・バロックのカルミニョーラはジョヴァンニ・アントニーニと、そしてビオンディはコンチェルト・イタリアーノとしばしば協演している。

こうした合奏団の中でもメロディックな表現に優れ、和声の変化の面白さを明瞭に聴かせてくれるのがコンチェルト・イタリアーノで、それはバッハは勿論フレスコバルディやモンテヴェルディにも造詣が深いアレッサンドリーニならではのスコアへの読みがあるからだろう。

彼らのCDはシングルで既に50枚ほどにもなるが、今回の廉価盤化はバロック音楽ファンにとっては朗報に違いない。

5つの曲集がそれぞれ独立したジュエル・ケースに入っているので外側のボックス・サイズは14,5X13,5X5cmで枚数の割には多少かさばるのが弱点だ。

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2015年12月14日


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過去2回に分けてリリースされたそれぞれ2枚組の『和声と創意への工夫』と『調和の霊感』全曲が今回合体して廉価盤ボックス・セットになった。

特に『四季』では作曲者ヴィヴァルディがインスピレーションを得た作者不詳の14行詩、ソネットがそのまま音でアニメーション化されたような奇抜な面白さがある。

それはさながらペーテル・ブリューゲルの絵画に活写された農民の生活を連想させるような、生き生きとした機知に溢れる表現だ。

ファビオ・ビオンディの構想は、凝り固まってしまった古楽の解釈からの音楽の開放であり、それまでのバロック音楽へのイメージの打破にある。

現在私達が『四季』に対して持っている明るく流麗なイメージは、多分にイ・ムジチ合奏団の貢献によるものだし、筆者自身もアーヨ盤を聴いてその洗礼を受けた1人だった。

それは感動的な名演奏だったし、素晴らしい印象を残してくれたが、まったく違った意味でビオンディとエウローパ・ガランテの革新的な世界にも惹かれる。

一流の古楽アンサンブルの数も飛躍的に増えた現在、互いにオリジナリティーを主張し、自由にその技を競い合う時代になったと言うべきだろう。

ところで『四季』の人気は相変わらず高く、モダン楽器による新しい録音にもクレーメルとクレメラータ・パルティカ、ムターとトロンヘイム・ソロイスツなどのすぐれてユニークな演奏があるが、やはり主流はピリオド楽器による演奏だろう。

ビオンディとエウローパ・ガランテは、結成間もない1991年にも録音しており、明るい響きを切れ味良く生かして歌い、描写した演奏は、この俊英団体らしい奔放な閃きにとんだ表現に満ちていて、とても新鮮で刺激的だった。

前回と同様にマンチェスター手稿によるこの演奏は、基本的な解釈や奏法に大きな違いはないので、そうした驚きは当然少ないが、この間にアンサンブルはさらに柔軟に磨かれ、ソロとトゥッティが絶妙な感覚で呼応して、いっそうしなやかに精妙な表現をつくっている。

強弱のコントラストが鮮やかで、即興性にとんだ緩急自在な表現はきわめて精妙多彩で、かつ強い表出力をそなえているし、それらがしなやかな流れと起伏の中に巧みな統一感をもって織りなされている。

ソロだけでなくアンサンブルの細部における表現も、より柔軟でこまやかになっており、それがビオンディの冴えたソロをいっそう聴き映えのあるものにしている。

快速で奔放自在な変化をみせる演奏は数あるヴィヴァルディの録音の中でも最も爽やかな生命感にあふれていて、イタリアの団体らしい流麗なカンティレーナや細部の彫りの鮮やかさも特筆されよう。

ヴィヴァルディの音楽がバッハに多大な影響を与えたことは周知の事実だ。

バッハはヴィヴァルディの楽章形式をそのまま踏襲したし、ここに収められた『調和の霊感』からもヴァイオリン協奏曲ト長調RV310をソロ・チェンバロ用に、また二つのヴァイオリンの為の協奏曲イ短調RV522をオルガン用に、そして4つのヴァイオリンの為の協奏曲ロ短調RV580を4台のチェンバロの為の協奏曲に編曲している。

その当時バッハが流行の最先端を行く音楽を熱心に研究していたことは意外だが、ビオンディの演奏にはそれを納得させるようなヴィヴァルディの斬新な創意を強く感じる。

廉価盤ながら曲目及び演奏者紹介のライナー・ノートが英、仏、独語で付されている。

録音は『調和の霊感』が1997年、『和声と創意への工夫』が2000年で、どちらも音質は極めて良好。

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2015年12月10日


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ピリオド楽器使用の古楽合奏団はここ数十年ほどで雨後の筍のように増え、またそれぞれの団体が個性的な演奏活動を行っている。

もはや古楽はピリオド楽器なしには考えられないほど一般的な傾向になっていると言えるだろう。

その草分けのひとつがトレヴァー・ピノック創設のイングリッシュ・コンサートで、彼らは1973年結成以来バロック音楽に新風を吹き込むように颯爽と登場し、斬新な解釈で古楽界をリードしてきた。

それはネーデルランド系の古楽奏者とは常に一線を画していて、より軽快で開放的な雰囲気を持っていた。

中でもこの7枚のCDに収められた55曲のヴィヴァルディの協奏曲集ではこうした傾向が顕著で、録音も彼らが絶頂期にあった1981年から1995年にかけてのセッションでその鮮烈な演奏は現在でも決して色褪せてはいない。

また『四季』以外は殆んど知られていなかったヴィヴァルディという天才の真価を明らかにした功績も無視できない。

仕様ピッチはa'=415で通奏低音のチェンバロとオルガンはピノック自身が担当している。

ヴィヴァルディはおよそありとあらゆる楽器のために協奏曲を書いた。

彼が当時を代表するオペラ作曲家であり、ヴァイオリニストであり、また孤児院ピエタの教師であり司祭であったことを考えると驚異的な仕事量だ。

彼が作曲した協奏曲は500曲を超えると言われ、それらはヨーロッパ中に散逸していて未だに発見されていないものも少なからずあるようだ。

そのスタイルは極度に単純化され、当時の音楽としては斬新極まりない作風でテレマン、バッハ、ヘンデルを始めとする多くの作曲家に多大な影響を与えたことは周知の通りだ。

このセットに収められた曲の中でも、バッハが4台のチェンバロ用に編曲した名高い『4つのヴァイオリンのための協奏曲ロ短調』RV580、特有の哀愁を持つ『ヴィオラ・ダモーレとリュートのための協奏曲ニ短調』RV540、また11人のソリストが競う『多くの楽器のための協奏曲ハ長調』RV558などのアイデアはバッハの『ブランデンブルグ協奏曲』に通じるものがある。

彼がバッハより7歳ほど年上で1741年にウィーンで没したことを考えると、今更ながらこの作曲家の天衣無縫とも言える自由で新奇な試みに驚かざるを得ない。

このセットはイングリッシュ・コンサートがLP時代からシングルでリリースしてきたものをまとめたリイシュー廉価盤になり、ブックレットは24ページで曲目紹介、録音データの他に英、独、仏語の簡単なライナー・ノーツが掲載されている。

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2015年10月28日


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ジュリアーノ・カルミニョーラが1999年から2002年にかけてソニーに録音したCD7枚をまとめたセットで、バジェット価格でのリイシュー化を評価したい。

中でも彼の音楽性が最も高次元で表出されているのは、やはりヴィヴァルディの協奏曲集だ。

尽きることのない作曲家のファンタジーが、カルミニョーラの比較的シンプルなカンタービレやあらゆるヴァイオリンのテクニックを駆使した激情的な表現手段によって効果的に示されているが、それらが彼の情熱のごく自然な発露として噴出しているのが秀逸だ。

それに続くロカテッリの『ヴァイオリンの技法』はそれぞれの協奏曲に長大な超絶技巧のカデンツァを挿入した協奏曲集で、言ってみれば当時の最高峰の秘伝的奏法をカルミニョーラの美しい音色と理想的な演奏で聴けるのは幸いだが、そこには後のパガニーニが『24のカプリース』で試みた、殆んど技巧のための技巧の曲集といった、時としてくどい印象が残るのも事実だろう。

アンドレア・マルコン指揮、ヴェニス・バロック・オーケストラのスリリングで気の利いたサポートも特筆される。

意外だったのがバッハのヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのための6曲のソナタで、カルミニョーラは抑制を効かせながらも流麗に、しかも誠実に弾いている。

チェンバリストのアンドレア・マルコンもレジスターを使った音色の変化を控えめにして、ソナタの曲想や対位法の忠実な再現に心掛けているように思える。

この曲集はいずれのパートにも一切ごまかしのきかない厳格なアンサンブルが要求され、また彼らが得意とする即興演奏の余地もないが、2人のイタリア人がピリオド楽器で演奏するバッハとして非常に高い水準であることは確かだ。

尚最後の1枚はリュート奏者のルッツ・キルヒホフを迎えた4曲のトリオ・ソナタ集で、ヴァイオリンと相性の良いリュートの響きが耳に心地良く、キルヒホフの堂に入った奏法も聴きどころだ。

全体的に音質は極めて良好。

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2015年09月25日


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ヴィヴァルディにインスピレーションを与えた作者不詳のソネットには北イタリアの四季折々の田舎の生活が歌われていて、ヴィヴァルディはこれらの詩の内容をほぼ忠実に追って作曲した。

ファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテはそれを彼らの豊かなファンタジーとアイデアで巧みに描写し尽くしている。

画家ピーテル・ブリューゲルは農民や狩人達の姿を活写した歳時記的な多くの名画を遺したが、この『四季』はあたかもブリューゲルの絵画がアニメーション化されたかのような愉しさがある。

「春」冒頭のかまびすしい鳥の囀りや第2楽章の番犬の吠え声の強調はユニークだし、「夏」では稲妻と激しい雷鳴を伴った嵐の情景が目に浮かぶような、ドラマティックで一気呵成の表現が冴えている。

「秋」では第2楽章での満ち足りた人々のまどろみをチェンバロが即興演奏で幻想的に描き、終楽章では勇む狩人の意気込みが伝わって来る。

また「冬」の凍てつくような空気感と氷の上で滑って転ぶ人の可笑しさなどが次々に映し出されていて、聴き古された曲がそのリアルで映像的な効果で聴く者を飽きさせない。

標題音楽はヴィヴァルディに始まったことではないが、ソネットと一体化した描写を試みる彼らのアンサンブルとしての結束と技量も高く評価したい。

『四季』が含まれる『和声と創意への試み』作品8は12曲からなる協奏曲集で、標題が付いたものにはその他に第5番変ホ長調『海の嵐』、第6番ハ長調『喜び』、第10番変ロ長調『狩』などがあり、それぞれがタイトルをイメージさせるような凝った曲想で作曲されている。

第7番ニ短調は題名の付かない独奏ヴァイオリンと弦楽、通奏低音のための協奏曲だが、この作品はヴィヴァルディの弟子でもあったドイツの作曲家、ヴァイオリニストのピゼンデルに献呈されている。

特にこの曲の終楽章はダブル・ストップの連続で、「ピゼンデル氏のために」の添え書きに相応しい高度なテクニックが要求される難曲だ。

ビオンディの使用楽器は1732年製のフェルディナンド・ガリアーノのコピーになるが、張りのある明るい音色を生かしたパフォーマンスが特筆される。

尚音源は2000年にオリジナル手稿譜から初録音されたもので、今回はそのリイシュー盤になる。

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2015年09月18日


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カウンター・テナー歌手、フィリップ・ジャルスキーによる、ヴィヴァルディの代表作の一つ《スターバト・マーテル》などソロ歌手のためのモテット作品を収録したアルバム。

収録曲はヴィヴァルディの宗教曲の中からアルト用の作品を集めたもので、ジャルスキーによって組織されたアンサンブル・アルタセルセとの演奏になり、彼自身が指揮したものだが、実際にはバロック・ヴァイオリンを弾くアレッサンドロ・タンピエーリがリーダー・シップを発揮しているようだ。

ジャルスキーの瑞々しいカンタービレが冴え渡った歌唱で、特にアルトの声域で歌われる曲の場合ソプラノとは違った特有の情緒と陰影が加わってくるが、少しも無理を感じさせない伸びやかな発声は、宗教曲に相応しい崇高さと同時に豊かな情感の表出を両立させて、現在の彼が到達した歌唱法を示している。

尚このCDには歌もの以外に弦楽合奏と通奏低音のための協奏曲RV120が加わっているが、このピリオド・アンサンブルのお披露目の演奏として興味深い。

特に終楽章は4声の短いフーガで、こうした古い作曲技法に拘らなかったヴィヴァルディの協奏曲の中では珍しいサンプルだ。

このページでは明確に記されていないが、ヨーロッパでリリースされたものにはCD1枚のみのレギュラー盤と、ジャルスキー自身が案内するヴィヴァルディの故郷、ヴェネツィアで撮影された20分程度の動画を収録したボーナスDVD付の2種類がある。

ごく僅かの価格差なので購入なさりたい方には後者をお薦めするが、日本でのオン・ライン購入には事前にDVDの有無の確認が必要だろう。

この動画では録音風景を挿みながらジャルスキーが運河を巡って作曲家ゆかりの地、生家や音楽教師として活躍したオスぺダーレ・デッラ・ピエタなどを紹介していくもので、水の都ヴェネツィアの美しい映像と共に当セッションへのアプローチや聴きどころを語っている。

ジャルスキーはフランス語で話しているが、英語の字幕スーパーも付けられている。

ライナー・ノーツにはラテン語の全歌詞に英、独、仏語の対訳が掲載されている。

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2015年09月12日


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先頃イル・ジャルディーノ・アルモニコのいくつかのセッション録音が復活した。

ヴィヴァルディのリュートとマンドリンをソロに含む協奏曲集、『四季』、そしてバッハの『ブランデンブルク協奏曲』全6曲などがそれに当たる。

本作は、イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏による、リュートとマンドリンのためのヴィヴァルディ作品の主要曲を収録したアルバムで、快適な躍動感に満ちた演奏を堪能できる1枚。

このCDは彼らの典型的な演奏スタイルが面目躍如の1枚で、いくらかアグレッシヴな表現の中にヴィヴァルディの協奏曲の快活な愉しさと演奏への喜びが横溢していて、理屈抜きで聴き手を引き込んでしまうような魅力がある。

彼らは古楽を宮廷趣味から解放し、辻音楽師風の野趣豊かで気取りのない演奏で人気を集めたが、メンバーのそれぞれが古楽の専門家であるためにその演奏水準は高く、このヴィヴァルディ協奏曲集でも手堅いアンサンブルの合わせ、小気味良いリズム感や和気あいあいとした雰囲気がいやが上にも伝わって来る。

1990年及び92年の収録だが音質も極めて良好だ。

とりわけ第1曲目を飾る『さまざまな楽器のための協奏曲ハ長調』は数あるこの曲の録音の中でも最も先鋭的な演奏だ。

ソロ楽器群はふたつのヴィオリーネ・イン・トロンバ・マリーナ(共鳴ブリッジ付ヴァイオリン)、ふたつのフラウト・ドルチェ(リコーダー)、ふたつのサルモ(クラリネット属)、ふたつのマンドリン、ふたつのティオルバ(アーチリュート)及びチェロの11名で、これに弦楽合奏と通奏低音が加わる賑やかな編成がその彩りの豊かさと、天性の閃きによって一気に書き上げられた楽想で如何にもヴィヴァルディらしい。

イル・ジャルディーノ・アルモニコも彼らの一種挑発的なアプローチで曲の面白さを充分に引き出している。

一方リリカルな美しさでは『ヴィオラ・ダモーレとリュートのための協奏曲ニ短調』が挙げられる。

このふたつの楽器の組み合わせにも彼の非凡な発想が窺われるが、何よりもヴィヴァルディにしては珍しく哀愁を帯びた曲想が特徴で、弦楽部にはミュート装着の指示がありソロの囁くような音量と微妙な音色を妨げないように配慮されている。

特に第2楽章のイタリア風カンタービレは彼らならではの歌心に満たされていて流石に巧い。

ヴィヴァルディの作品はしばしば書きなぐりの反復のように誤解されることがあるが、スピリットに欠けたものは何一つないことを実感させてくれる。

その他にも良く知られた『マンドリン協奏曲ハ長調』や『2挺のマンドリンのための協奏曲ニ長調』など奇抜なソロ楽器が大活躍する魅力的な作品が集められている。

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2015年08月27日


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このCDに収録された6曲のヴァイオリン協奏曲は、指揮者であり、ピリオド楽器のアンサンブル、アカデミア・ビザンティーナを率いるチェンバリスト、オッターヴィオ・ダントーネによって選曲された作曲家晩年の作品で、手稿譜からオリジナルの形を復元したスコアを使っているところに特徴がある。

250曲にも上るヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲は、彼自身によって校訂された出版譜は少なく、当時から手を加えられたり、改作されたものが氾濫していて本来の原曲の美しさが歪められてしまっているようだ。

ライナー・ノーツの冒頭に紹介されている1739年のベンティヴォッリォ侯爵宛のヴィヴァルディの書簡には、自分の作品への音符の勝手な変更や如何なる改竄をも一切禁じることが殆んど怒りと軽蔑を持って書かれている。

ここではダントーネの研究者としての注意深い楽譜校正によって、これらの曲がソロ・ヴァイオリンのみならず、弦楽合奏や通奏低音の部分にも作曲家が指示した曲想やディナーミクを忠実に辿りながら再現を試みている演奏に面白みがある。

アカデミア・ビザンティーナのサポートもかなり積極的で、鮮烈な音質が相俟って低音の強調やバロック特有の深い明暗の対照、大胆で動的な楽想が浮き彫りになって、ヴィヴァルディ晩年の音楽観を知る上でも興味深い。

ちなみにRV281ホ短調及びRV187ハ長調の2曲はオリジナル版の演奏で、またRV283ヘ長調は世界初録音になる。

特に後者の第3楽章では短いながらカルミニョーラの弾く華麗なカデンツァが聴きどころだ。

カルミニョーラはダントーネの解釈に従って、極めて多彩な表現でヴィヴァルディの協奏曲の華やかさや、また時にはアグレッシブな奏法でその劇的な特徴を良く捉えているが、毎回オリジナル楽器の音を堪能させてくれるのが楽しみのひとつでもある。

今回このセッションに使われたヴァイオリンは、1739年に製作されたボローニャの名工ヨハネス・フロレーヌス・グィダントゥスの手になるもので、その明るい音色や高音の輝かしさ、幅広い表現力などは如何にもイタリアの名器らしい。

時代的にはストラディヴァリウス直後に活躍した工匠で、ヴァイオリニストにとっては一度は手にしてみたい楽器のようだ。

尚ピッチはa'=415Hzで現在より半音低いスタンダード・バロック・ピッチを採用している。

2012年6月の録音で音質は極めて良好。

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2015年08月19日


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この音源は1997年と翌98年に録音されたもので、新譜ではないことを断わっておく必要があるだろう。

しかし彼らのヴィヴァルディの解釈は新鮮そのもので、私達の時代を反映した演奏として現在でもその斬新さは評価されるべきだと思う。

ビオンディの演奏の特徴は歯切れの良いリズム感と、対照的なピリオド・スタイルの憂いを含んだカンタービレ、そして自由で即興的な雰囲気を持っていることなどが挙げられる。

それは取りも直さずイタリア趣味のエッセンスでもあり、特にヴィヴァルディではこうした自然な感性の発露が支配的だが、アンサンブルとしても良く鍛え上げられていて一糸乱れぬエウローパ・ガランテのサポートにも強い説得力がある。

この12曲の中でも第6番イ短調がその典型的なサンプルだ。

ヴァイオリンの教則本にも取り上げられているこの協奏曲は、基礎的なテクニックを学ぶためにも価値のある作品だが、彼らはメソード的なイメージからは全く離れた、緊張感に満ちた急速楽章とラルゴでのメランコリックで芸術的な表現は流石だ。

『調和の霊感』作品3はJ.S.バッハによって12曲中5曲までがさまざまな形に編曲されている。

そこまでバッハを夢中にさせた理由は、曲中のダイナミズムの劇的な変化や、これ以上省略できないほどに簡略化された効果的な書法だろう。

例えば第8番イ短調は2挺のヴァイオリンのための協奏曲だがバッハはオルガン独奏用に、第3番ヴァイオリン協奏曲ト長調はチェンバロ独奏用に、また第10番4挺のヴァイオリンのための協奏曲ロ短調は4台のチェンバロのための協奏曲にそれぞれアレンジしている。

それだけヴィヴァルディの作品には融通性があり、変幻自在の可能性を秘めているとも言えるだろう。

バッハの編曲はそれ自体魅力的だが、ここでのビオンディとエウローパ・ガランテは原曲の持っているオリジナリティーの魅力を究極的に引き出して、その美しさとドラマティックな世界を堪能させてくれる。

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2015年08月18日


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このCDは2004年に制作され、当時から評判の高かった演奏だが2倍以上の価格でリリースされていた。

それが2012年になってから220ページ、全カラー写真入りの2012年度のハルモニア・ムンディのカタログ付で再販されて、興味深い演奏なので今回の廉価盤化は歓迎したい。

この曲集は一般に『ラ・チェトラ』の名称で親しまれている12曲のヴァイオリン協奏曲集で、アンドリュー・マンゼはその中から6曲を選んでヴィヴァルディの時代に演奏されたであろうスタイルに再現している。

マンゼ率いるイングリッシュ・コンサートのメンバーは今回16人で、通奏低音は曲趣に合わせて適宜入れ替わっている。

それぞれが名立たるピリオド楽器を使っていて彼ら特有の音色を創りあげているが、協奏曲ホ長調『アモローソ』ではミュートを付けた弦楽器の静かな伴奏にのせて、題名どおりソロ・ヴァイオリンが愛らしいメロディーを奏でる。

またチェンバロの代わりにバロック・ギターを通奏低音として取り入れているのも効果的な演出だ。

この曲集ではカデンツァにマンゼ自身の即興が挿入されているのも特徴のひとつだ。

緩徐楽章においてもRV277のアンダンテのみはヴィヴァルディの自筆の装飾音が残されているが、それ以外は総て彼のインプロヴィゼーションになる。

マンゼのインスピレーションを掻き立てたのは1715年にヴィヴァルディの実演に接したフォン・ウッフェンバッハの記述に違いない。

「左手を弓がやっと入る弦のブリッジの傍らに構え、信じられないスピードで演奏していた」というコメントがライナー・ノーツに引用されている。

ヴィヴァルディは1728年に、この協奏曲集を当時トリエステに滞在していた神聖ローマ帝国皇帝カール6世に献呈した。

皇帝は彼に相当の褒美を下賜されたが、ヴィヴァルディの望んでいたものは宮廷作曲家兼ヴァイオリニストの地位だったようだ。

しかしその願いは結局受け入れられなかった。

マンゼの推測では、彼の急進的な音楽はオールド・ファッション・スタイルを好んでいた皇帝の趣味とは相容れないものであった。

その証拠としてこの地位に選ばれたのが、保守派のイタリア人で今日では無名のマッテオ・パロッタだったことを挙げている。

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2015年08月03日


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スイスのリコーダー奏者モーリス・シュテーガーのニュー・アルバムはヴィヴァルディの笛のための協奏曲集で、あたかも作曲家の霊感に取り憑かれたかのような彼が、殆んど曲の様式を崩壊させてしまう一歩手前までテンポを速め、多彩なアーティキュレーションと悪魔的なテクニックを駆使して吹きまくるスリルに満ちた演奏集だ。

それは伝説として語り継がれているヴィヴァルディ自身の、あらゆる技巧を盛り込んだカリスマ的ヴァイオリン奏法を意識したパフォーマンスに違いないが、一方でそれぞれの緩徐楽章で聴かせる歌心の表出は美しく、彼が決してゆったりしたメロディーを持て余す人ではないことを証明している。

また随所を飾るイタリア式装飾の華麗なアドリブも手馴れたものだ。

特にトラック18-20の『フルートとオーボエ、ファゴットと通奏低音のための協奏曲ト短調』RV103がソロの独りよがりではなく精緻なアンサンブルで特有のメランコリーを醸し出していて秀逸。

それにしても最後の『ごしきひわ』の鳥の鳴き声の模倣は愉快そのもので、バロックの合奏の楽しみを満喫させてくれる。

スイスのオルガニスト、ディエゴ・ファソーリス指揮するピリオド・アンサンブル、イ・バロッキスティの演奏は打てば響くような反応が見事で、かえってシュテーガーを煽るような挑発的なサポートでソロに拮抗していて息もつかせない緊張感を持続させている。

メンバーひとりひとりがソリストとしての技量を持っているが、アンサンブルとしての結束も固く、全体として統一のとれた協奏曲集に仕上がっている。

スイス、ルガーノにおける今年2014年1月から3月にかけてのセッションで、彼らのアグレッシヴとも言える音響を良く捉えた鮮やかな音質と豊かな臨場感が特徴的だ。

CD版のライナー・ノーツによると今回のシュテーガーの使用楽器はRV443ではデンナー・モデルの3本のC管ディスカントを使い分けている。

RV439、566、103にはブレッサン・モデルの2本のF管トレブル、RV95及び90にデンナー・モデルのG管トレブル、更にRV375にデンナー・モデルB管デスカントと多様な音色を披露しているが、その他にもこの曲集では『ラ・パストレッラ』でファソーリス自身が弾く珍しいハーディーガーディー(手廻し式ヴァイオリン)や前回ナポリのアルバムで登場したプサルテリウムも加わっている。

尚ピッチはa'=416Hzで、ミーントーンを調整した調律が採用されている。

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2015年08月02日


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ヴィヴァルディ、テレマン、ボワモルティエの室内協奏曲7曲を収録したCDで、演奏者のピリオド・アンサンブル、フィオリトゥーラは1995年にニューヨークで結成された。

ちなみにフィオリトゥーラは開花を意味するイタリア語だが、音楽用語としても華やかな装飾を指している。

彼らもアメリカでの盛んなバロック音楽嗜好を支えているアンサンブルで、中庸なテンポを設定したごく正統的な演奏が奇をてらったような印象を全く与えない。

また彼らの音楽はいたって快活で、古楽奏者としての気負いや野心的なところのない和やかな雰囲気が好ましい。

ヴィヴァルディの作品集の中にはフルートと弦楽合奏及び通奏低音の楽器編成で知られる『ごしきひわ』や『海の嵐』なども含まれている。

当時の演奏習慣では使用楽器の選択はソロ楽器の音域さえ一致するのであれば演奏者に任され、作曲家が厳密に指定した例はむしろ少ない。

またソロに通奏低音楽器をひとつ加えることによって大概の器楽曲の演奏が成立するという、バロック特有の融通性と広い可能性を示したサンプルだ。

この演奏では娯楽のための集いというリラックス感があるが、アンサンブルとしても良く修錬されていて、また個人的なテクニックも高水準にあるので、トリオ・ソナタなども聴いてみたい気がする。

基本的にソロ楽器のリコーダー、トラヴェルソ、オーボエ、ヴァイオリン及びファゴットに通奏低音としてチェロ、テオルボ、チェンバロが加わる8人が構成メンバーの総てで、曲によって適宜演奏者が交替している。

2003年の録音で教会内での豊かな残響を捉えた音質は良好だが録音レベルがいくらか低めで、音像が中央にまとまっているのでアンサンブルとしては良い響きが得られているが、臨場感はそれほどでもない。

ピッチは現在より半音ほど低いスタンダード・バロック・ピッチで、演奏者紹介と全員の使用楽器の明細が書かれたライナー・ノーツ付。

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2014年12月13日


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本盤に収められたヴィヴァルディの協奏曲集「四季」は、ムターにとっては2度目の録音ということになる。

前回の録音は本盤から15年前の1984年のものであり、帝王カラヤン&ウィーン・フィルをバックにしたものであった。

ムターがカラヤンの赤いセーターを羽織った衝撃的なジャケットや、カラヤンにとってのEMIへの最後の録音という何かと話題の多いものではあったが、演奏自体は終始カラヤンのペースに乗ったものであり、名演ではあるもののムターの個性が全面的に発揮されたものとは言い難い面があったと言わざるを得ない。

これに対して、本演奏はムターによる弾き振りによるものであり、バックも17名の若手奏者で構成されるトロンハイム・ソロイスツであることから、まさにムターの個性が全面的に発揮された演奏ということが可能である。

そして演奏は、いかにもムターならではの個性的な演奏であると言えるだろう。

ムターは、持ち前の卓越した技量をベースとしつつ、変幻自在のテンポ設定や思い切った強弱の変化などを駆使して、彫琢の限りを尽くした演奏を行っている。

各楽章の描き分けも大胆に行っているし、わざと旋律を途切れがちに弾いて見せたり、消え入りそうな最弱音を駆使したり、はたまた粘ったような奏法を垣間見せたりするなど、その表現力の幅の広さは桁外れの凄さである。

ムターは、このように自由奔放とも言えるような演奏を行っているのであるが、いささかも格調の高さが損なわれることなく、どこをとっても瑞々しいまでの情感が宿っているのは、ムターの類稀なる音楽性の豊かさの賜物であると考えられる。

いずれにしても、本演奏は、チョン・キョンファやヤンセンなどの若手女流ヴァイオリニストによる名演とも十分に互角に渡り合えるだけの素晴らしい名演と高く評価したい。

タルティーニのヴァイオリン・ソナタ「悪魔のトリル」も、このようなムターの個性全開の素晴らしい名演だ。

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2014年10月19日


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ヴィヴァルディの「四季」の録音と言えば、アーヨとイ・ムジチの古典的名盤や最近ではヤンセンの録音が極上の名演に仕上がっているが、本盤も、後述のような演奏の水準の高さも相俟って、これらの名盤に匹敵する至高の名盤として高く評価したい。

筆者がアナログ盤で最初に買った「四季」がこれで、今聴いても素晴らしい名演だ。

パイヤールの指揮は速めのテンポとレガート奏法で、爽やかにすっきりと流してゆく。

純美のハーモニーとアンサンブルも見事だが、ことに響きの新鮮なことは無類と言えるところである。

レガートにしても速いテンポにしても適度に抑制のきいたもので、品の良さと小味な繊細さを失わなず、多用されるピアニッシモが柔らかいしっとりとした味を出している。

ヴィヴァルディはイタリアの作曲家ではあるが、本盤は、いかにもフランスの音楽家たちが成し遂げた瀟洒な味わいによる「四季」と言える。

同じくラテン系ではあるが、ここには、そうしたラテン系の明るさとともに、フランス風のエスプリ漂う極上の優美さが備わっている。

このようなセンス満点の「四季」は、他にもあまり類例は見ないところであり、聴いていて、あたかもヴィンテージものの高級ワインを味わっているかのような、最高の気分を味わうことができる極上の名演と言えよう。

ところで、1960〜70年代のバロック復興は「四季」に始まると言って良く、各楽団がそれぞれ工夫を凝らした「四季」を録音しているので聴き比べると実に面白い。

現代では考えられないが、フルオケの豪壮華麗なカラヤン、重量級のストコフスキーからピリオド演奏の元祖とも言えるバッハ・ゾリスデンや学究的なアーノンクールまで本当に多種多様である。

その中で正統派と言えるのがイタリアのイ・ムジチ、イギリスのアカデミー室内管、それとこのフランスのパイヤール室内管であるが、最近聴き返してみてパイヤールが一番嫌味のない純音楽的なヴィヴァルディになっており、バランスが取れているように思う。

やや存在感が弱い気もするが、アンサンブルに全く破綻が無いし、ジェラール・ジャリのヴァイオリン・ソロも流麗かつ上品で深みがあり、各曲の第2楽章の描き分けも明快で、特に「冬」のラルゴは暖かで人間味溢れていて素晴らしい。

他レビューで、「録音が悪く明瞭感が無い」ということが書かれてあったが、最近のピリオド演奏の残響の無いクリアなサウンドに慣れた人には、そう感じられるのかもしれない。

筆者としては、むしろ質の悪いデジタル録音のチェンバロなどが耳障りなのを気になるタイプなので、当盤を聴いてデジタルリマスターされてもパイヤールならではの包み込むような優美なる空気感、暖かで豊かな弦の響きが損なわれてなかったのが実に嬉しいところである。

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2014年07月13日


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ケーゲルによるヴィヴァルディの協奏曲集とシンフォニア集という珍しい録音。

協奏曲集は比較的よく見られるが、シンフォニアの録音は思った以上に少なく、当盤では2曲のシンフォニアを収録している。

思わずぎょっとするような(作品/演奏者)組み合わせではあるし、ヴィヴァルディの作品中、あまり著名でないものを集めたというのもマニアック。

ヴィヴァルディは明るく軽快、軽妙な響きが基本なので、これはいったいどうなるのかとかつてはずいぶんと話題になったものだ。

これがやはりケーゲルの手に掛かると少々悲劇度増して、弦は泣き、オーボエは上手いが地味で神妙。

弦の編成は絞り込んでいるようで大編成の違和感はないけれど、両端楽章の雄弁なる切迫感は何とも言えぬ味わいだ。

ライプツィヒ放送室内管弦楽団の演奏は、何よりもまずその透明な響きに魅せられる。

1曲目のシンフォニアのアンダンテでしめやかに歌われる弦の調べは、まさに天上から響き渡るかのようだ。

しかしそれ以上に「聖なる墓にて」の荘厳で、包み込むような深い響きは、聴き手の心の奥深くに染み込んでいく。

とても深刻で静謐な世界から始まって、題名の由来は知らないが、いかにも“それ”らしい神々しい、神妙な囁きである。

「ダリウスの戴冠」は豊かで厚みのある弦楽合奏で、いかにもハ長調らしく親しげな開始なのが、少しずつ暗転するところに緊張感というか、悲劇的な味わいになっていくから不思議だ。

急緩急のイタリア風序曲から「アンダンテ」には纏綿と深刻な味わいになって、ラスト「プレスト」はわずか33秒。

ファゴット協奏曲はイ短調なだけあって、再び弦が悲痛な叫びを上げる。

ファゴットという管楽器はユーモラスな持ち味なのだが、ここでの旋律もやたらと陰影に沈んで、軽快なる味わいにあらずだ。

クレツマーの技巧は文句なしで、ここでも緩徐楽章の嘆きが白眉であり、ヴィヴァルディなのに何と哀しい音楽なのだろう、そう思わせる音楽の力がある。

チェロのオブリガートがいい味を出しており、終楽章の弦(のラッシュ)はバロック音楽として違和感のあるものではないだろう。

協奏曲イ長調にはソロ楽器はないが、第1楽章は朗々とした押し出しの良い「アレグロ」である。

ところが第2楽章「アダージョ」に至ると再び嘆きの音楽となってしまう。

ほんの1分ほどであるが、最終楽章のヴァイオリン・ソロの絡み合いは哀しみに満ち、弦楽合奏がそれを否定して明るく振る舞う、といった不思議な風情。

「ごしきひわ」 はこのCD中唯一の著名作品であり、フグナーの豊かで厚みのある太い音色はいかにもドイツ的だ。

第2楽章「カンタービレ」には悲劇はなくて、悠々と安らぎの風情である。

終楽章はフルートとヴァイオリンのユニゾンが晴れやかな世界を醸し出しており、しっとりとして、華やかではないが、この作品が全曲中一番明るい。

この世の中に不幸な人間のいる限り、このケーゲル盤を愛聴する人間が絶えることはないと筆者は信じている。

前記したケーゲル最晩年の「アルルの女」とともに、録音史上に残る大傑作であることは間違いない。

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2014年03月06日


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巨匠カラヤンは2つの『四季』を遺したが、これは2度目のもの。

名門ウィーン・フィルの同曲の録音も珍しく、大きな話題となった1984年録音盤である。

ムター(Vn)との新盤では、オケがウィーン・フィルということもあって、弦の響きが美しい上に、表情が優雅で洗練されている。

優美で清新な演奏で、ムターの若々しい独奏にウィーン・フィルの鮮やかな音色が同調している。

カラヤン一流の示威的なムードがないのも印象的で、自然体の演奏に若さが加わり、名曲の真価を伝えている。

カラヤンは、全体を通して弦を壮麗に響かせるが、その中からムターのソロがすっきりと浮かび上がる。

これはまったくカラヤン好みで、ソフィスティケートされた演奏の極致である。

女流ムターのソロも音が引き締まって、美しく流麗なヴァイオリンも魅力的で、洗練された優美なヴィヴァルディとなった。

ムターの若々しさと晩年の最も円熟したカラヤンの演奏がうまく絡み合っているいい作品で、イ・ムジチ以上の評価を与えても良い最高のレコーディングと言えよう。

ムターの『四季』には後年のトロンヘイム・ソロイスツとの共演によるものがあるが、それに比べて彼女の個性はかなり抑えられた演奏である。

全面にカラヤン&ウィーン・フィルのゴージャスな響きが押し出されている。

それはイ・ムジチのような安心して聴いていられる模範的なものから、アーノンクールのような挑発的な演奏とも違う堂々たるな響きである。

ムターの艶めかしい個性を発揮した「四季」が聴きたければトロンヘイム・ソロイスツとの盤をお薦めするが、今となっては時代遅れなバロック解釈をしたウィーン・フィルの豪華絢爛な演奏に耳を傾けてみるのもいいかもしれない。

ちなみにこの録音では、カラヤン自身が2台のチェンバロのうちのひとつを担当している。

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2011年12月29日


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1981年10月10日、ホートン・チャペル、ウェルズリー大学、マサチューセッツでの録音で、小澤&ボストン響の初の「四季」として話題を呼んだ。

先日小澤征爾がSKF松本で1時間ばかりバルトークの「青ひげ公の城」を振って復帰を果たし、筆者もテレビで見て安堵しているのであるが、本盤はかなり以前のまだ彼が46歳の頃ボストン響を指揮してヴィヴァルディ「四季」を演奏したもので先ずボストン響の「四季」が珍しい。

編成が小さく、弦の音が美しい。

音楽が爽やかで、イタリアの弦の艶やかな音色と豊麗な響きとは別の魅力をもっている。

小澤の解釈は、テンポをやや遅めに設定し、リズムに明確なアクセントをつけている。

そのために演奏全体が強い安定感をもち、明快ななフレージングで旋律を歌わせているし、一方、急速楽章では気迫に溢れた「四季」をみせている。

小澤の指揮そのものは格調の高いものだが、ヴァイオリン独奏の装飾が聴きものである。

ボストン響の名物コンマス、シルヴァースタインのソロが装飾を豊かにとり入れて美しく聴かせる。

マリナーやアーノンクールは独創的なわりにソロの装飾は少なかったが、小澤は目いっぱいやっており、単純な旋律線がきわめて複雑なものに変わっている。

数多いこの曲のレコードでも注目すべき秀演。

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2009年12月22日


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ヴィヴァルディの演奏に、新しい様式感を与えた演奏である。

いかにもピノックらしい独特のリズム処理で、きわめて歯切れのよい音楽となっている。

また、古楽器のもつ透明な音色が、実にすがすがしい。

ここには、ヴィオラ・ダモーレとリュート、オーボエとファゴットといった珍しい組み合わせの協奏曲が収められている。

ピノックの演奏は、きわめて流麗で、かつ生命力にあふれ、各独奏者の腕も達者だ。

躍動感と愉悦感とにあふれ、メリハリがあって大変楽しませてくれる演奏だ。

生命感と躍動感に満ちた演奏で、ピノックの才気が時おり矢のようにほとばしり出て、ハッと胸をつかれる瞬間がある。

「アラ・ルスティカ」は、何よりリズムののりがよく颯爽としており、オリジナル楽器による弦楽合奏の醍醐味を聴かせる。

2つのマンドリンのための協奏曲では、ガット弦を張った2挺のマンドリンを、ピノック自身がポジティーヴ・オルガンで支えるくだりなど、今までにない新しく繊細なヴィヴァルディだ。

とりわけ感服したのはグッドマンのヴィオラ・ダモーレとノースのリュートが、かつて聴いたことのないレヴェルの高さで腕を競う、ヴィオラ・ダモーレとリュートのための協奏曲。

この第2楽章での気品高い抒情と、第3楽章での一糸乱れぬアンサンブルは絶賛に値する。

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2009年12月21日


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ヴィヴァルディを論ずる場合、また協奏曲の歴史を概観する場合、無視することのできない重要な曲集である。

12曲全部聴いてもひとつも退屈しないばかりか、満ち足りた楽興の時を持ちうるのは、さすがヴィヴァルディの力量といわなくてはならない。

これは、ヴィヴァルディの音楽を得意としているイ・ムジチによる、22年ぶりのこの曲集の再録音である。

イ・ムジチの演奏はバッハに変身していくヴィヴァルディではなく、大バッハが憧れつつも、ついに到達し得なかった、もうひとつ別の顔のヴィヴァルディを心憎いまでに描き出している。

いくぶん速めのテンポをとり、さっそうと表現した若々しい演奏で、のびやかな旋律の歌わせ方が、すこぶる魅力的だ。

旧盤のミケルッチに代わって今回はカルミレッリがヴァイオリンを担当しているが、彼女はイ・ムジチの音色に自らをやわらかく溶けこませ、暖かい音楽を展開させてゆく点において稀有な存在である。

合奏も以前にも増して爽やかで、ふっくらとした情感があり、ヴィヴァルディの"歌心"をいっそう強めている。

ヴィヴァルディ・ファンにとっては聴き逃すことのできない名盤であろう。

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2009年10月13日


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イ・ムジチ合奏団の看板曲のようになっているヴィヴァルディの《四季》を、同合奏団は何回にもわたって録音しているが、ここに挙げたのは最初のステレオ録音のものである(通算2度目)。

イ・ムジチはコンサートマスターが代わるたびに《四季》を録音しているが、結局演奏本位に考えると、初代のアーヨがソロをつとめたこの録音が、ロマンティックな表現で、この曲の演奏としては理想的である。

旋律の装飾や変奏のないオーソドックスな《四季》だ。

緊密なアンサンブルと美麗な音色、そして自発的なのびやかな表現は、この曲の南国的な瑞々しい躍動感を見事に表出している。

適正なテンポ、柔らかい艶やかな音色とレガート奏法での、いかにも流麗な仕上げは、まさにイタリア本場物の味わいがある。

アーヨのソロは雄弁かつ剛直で、何よりも音色があたたかく、技巧もしっかりしている。

アンサンブルなどの技術面も見事で、磨かれた外面の美しさを誇りながら、滲み出るような情感も豊かだ。

アンサンブルのダイナミックスも素晴らしく、まるでフル・サイズのオーケストラのような迫力で、聴き手に迫ってくる。

新しい録音になるほどもちろん音質は良くなっているが、演奏には覇気が薄れ、かえって洗練味で勝負するようになったのが物足りない。

この演奏が超ロングセラーとなったのも当然であろう。

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2008年09月26日


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この中の第1〜4番「四季」は発売当初から大変な話題を呼んだ。

ルバートが多く、ラプソディックで、時には荒々しく思える演奏で、意外性という点で人々の注意をひきつけたかのようだった。アーノンクール独自の解釈とテキストの読みにより、独特の骨っぽい響きの世界を作り上げている。

バロック期の音楽でこの曲くらい有名なものもないだろう。戦後の室内合奏団隆盛の時代以後、無数の録音が生まれた。

そして、アーノンクールとウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによる録音は、名曲に付されたソネットのテキストを当時の音型論的脈絡において戯画的に強調してみせるという斬新な解釈で、後に続く古楽の演奏家たちに多大な影響を与えた。

そうした、いわば表現主義的な「四季」は、1980年代後半になって登場して脚光を集めている、オイローバ・ガランテやイル・ジャルディーノ・アルモニコなど若いイタリアの古楽の演奏家たちによりずっと洗練された形で継承されているように思える。

劇的なドラマに満ち満ちたバロック音楽の出発点である。

この演奏が、いわゆるオリジナル楽器による正統的なバロック演奏であり、ヴィヴァルディの曲の真の姿を伝える唯一の演奏だと断定されては困る。

この「四季」に感動したファンには、「和声と創意への試み」の後半の6曲も是非薦めたい。しかしアレルギーをおこされた方は、それ以上症状を悪化しないように、といっておこう。

ただ、この演奏こそ「好奇な恣意の試み」とはいえる。

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2008年04月16日


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カラヤンは2度ヴィヴァルディの「四季」を録音している。

ベルリン・フィルのコンマス、シュヴァルベ(Vn)&ベルリン・フィルとの旧盤は、速めのテンポで流麗の限りをつくした、いかにもカラヤンらしい演奏。

柔らかいアタック、角のとれたリズムと、艶やかではあるが、霞のかかったいぶし銀のフィルターをつけた音色等、ムード満点だ。

「春」の第3楽章でのレガートと音のからみの美しさ、上質なハーモニーは彼ならでは。

シュヴァルベの没個性的なソロも、この場合には指揮者の意図に忠実ということでかえって利点となっている。

アルビノーニも傑作だ。

じっとりとした重たいリズムの上に、濃密な弦楽器が重なってくる。

その濃厚な味わいは、さながら砂糖もバターもリキュールも惜しげもなく投入したフランス菓子のようなもの。

舌の上に、いや耳の中に甘さが広がってくる。

あるいは脂の乗り切った大トロと言ってもいい。

こんな演奏をした人は他に誰もいないだろう。

まさに、カラヤンの個性が全開になった演奏である。

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