ブリテン

2015年03月22日


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ブリテンは、パーセルの主題による変奏曲とフーガ(青少年のための管弦楽入門と称されているが、作品の質の高さからしてもこの呼称は全く気に入らない)だけがやたら有名であり、他は、近年小澤による渾身の名演によって知られるようになった戦争レクイエムを除けば、殆どの作品はあまり知られているとは言い難い。

ブリテンは、交響曲や管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、そして声楽曲など多岐に渡る分野の作品を数多く遺しているが、その真価は何と言ってもオペラにあると言えるのではないか。

これは、ブリテンと同じ英国出身の大指揮者であるラトルなども同様の見解を表明しており、20世紀を代表するオペラとしてもっと広く知られてもいいのではないかとも考えられるところである。

ブリテンは、10作を超えるオペラを作曲しているが、その中でも名実ともに傑作であるのは本盤に収められた「ピーター・グライムズ」であるというのは論を待たないところだ。

ピーター・グライムズという問題児に冤罪の濡れ衣を着せて、多数の人々によって自殺を強要されるという、いかにも20世紀的なテーマを扱っているが、ブリテンはこうしたストーリーに組曲「4つの海の間奏曲」や「パッサカリア」などに編曲されるほどに魅力的で親しみやすい管弦楽を付加して、実に奥深い内容を有した作品に仕立て上げている。

同曲の名演としては、ブリテンによる自作自演である本演奏とデイヴィス盤(1978年)が双璧にある名演として掲げられる。

オーケストラや合唱団は同じくコヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団と同合唱団だ。

ブリテンは、作曲者であるとともに指揮者としても相当な実力を有しており、同曲の演奏においても作曲者としての権威はいささかも揺るぎがないと言えるが、デイヴィスの指揮もその統率力といい、彫りの深さといい、ブリテンに決して引けを取っているとは言い難い。

両演奏の大きな違いは、主人公であるピーター・グライムズ役であり、骨太なジョン・ヴィッカーズに対して、抒情的なピーター・ピアーズと言ったところではないだろうか。

したがって、後は聴き手の好みの問題であるが、ブリテンと長年に渡って親交のあったピーター・ピアーズによる名唱は、同曲の静謐な悲劇を見事に音化していると言えるところであり、筆者としては本演奏の方をわずかではあるが上位に置きたいと考えている。

その他の歌手陣も最高の歌唱を披露しているのも素晴らしい。

英デッカによる超優秀録音による極上の高音質も、本名演の価値を高めるのに大きく貢献していると評価したい。

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2014年12月24日


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次元が異なる超高音質SACDの登場を大いに歓迎したい。

本盤に収められた演奏は、カザルスと並ぶ20世紀最大のチェリストであったロストロポーヴィチと、20世紀を代表する作曲家の1人であるブリテンによる歴史的な超名演だけに、既にSACDハイブリッド盤やSHM−CD盤などが発売されてきたが全く問題にならない。

本盤では、既発のCDでは聴き取ることが難しかったロストロポーヴィチのチェロの細かい弓使いなどが鮮明に再現されるとともに、特に、チェロの低音域に一本太い芯が通ったような力強さが加わったことが何よりも大きい。

これによって、ロストロポーヴィチのスケールの大きい卓越した至芸を、望み得る最高の音質で味わうことが可能になったと言える。

他方、ブリテンのピアノの音色は、やや籠りがちな箇所も散見されるが、それでも既発CDと比較すると格段に音の鮮度が増しており、とりわけ高音域がクリアに聴こえるのが素晴らしい。

演奏は、息の合った盟友どうしの歴史的な名演奏であり、いずれの楽曲も史上最高の名演と言える。

ロストロポーヴィチのチェロは、重量感溢れる低音から抒情豊かな高音に至るまで表現力の幅は桁外れに広く、シューベルトのアルぺジオーネ・ソナタに込められた寂寥感や、民謡風の5つの小品が内包するシューマン最晩年の絶望感に苛まれた心の病巣を切れ味鋭く描出している点を高く評価したい。

他方、ドビュッシーのチェロ・ソナタでは、同曲独特の瀟洒な味わいの描出にもいささかの不足はない。

ブリテンのピアノも、こうしたロストロポーヴィチの彫りの深い表現をしっかりと下支えしているのが素晴らしい。

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2014年11月29日


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長年に渡って、作曲者の自演盤と並ぶ名演と称されてきた、ヴィッカーズらの快演が光るコリン・デイヴィスの名盤である。

ブリテンは、パーセルの主題による変奏曲とフーガ(青少年のための管弦楽入門と称されているが、作品の質の高さからしてもこの呼称は全く気に入らない)だけがやたら有名であり、他は、近年小澤による渾身の名演によって知られるようになった戦争レクイエムを除けば、殆どの作品はあまり知られているとは言い難い。

ブリテンは、交響曲や管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、そして声楽曲など多岐に渡る分野の作品を数多く遺しているが、その真価は何と言ってもオペラにあるのではないだろうか。

これは、ブリテンと同じ英国出身の大指揮者であるラトルなども同様の見解を表明しており、20世紀を代表するオペラとしてもっと広く知られてもいいのではないかとも考えられるところである。

ブリテンは、10作を超えるオペラを作曲しているが、その中でも名実ともに傑作であるのは本盤に収められた「ピーター・グライムズ」であるというのは論を待たないところだ。

ピーター・グライムズという問題児に冤罪の濡れ衣を着せて、多数の人々によって自殺を強要されるという、いかにも20世紀的なテーマを扱っているが、ブリテンはこうしたストーリーに組曲「4つの海の間奏曲」や「パッサカリア」などに編曲されるほどに魅力的で親しみやすい管弦楽を付加して、実に奥深い内容を有した作品に仕立て上げている。

同曲の名演としては、ブリテンによる自作自演とデイヴィスによる本演奏が双璧にある名演として掲げられる。

オーケストラや合唱団は同じくコヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団と同合唱団だ。

ブリテンは、作曲者であるとともに指揮者としても相当な実力を有しており、同曲の演奏においても作曲者としての権威はいささかも揺るぎがないが、デイヴィスの指揮もその統率力といい、彫りの深さといい、ブリテンに決して引けを取っているとは言い難い。

両演奏の大きな違いは、主人公であるピーター・グライムズ役であり、骨太なジョン・ヴィッカーズに対して、抒情的なピーター・ピアーズと言ったところではないだろうか。

したがって、後は聴き手の好みの問題であると言えるところであり、その他の歌手陣も最高の歌唱を披露しているのも素晴らしい。

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2014年11月23日


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作曲・指揮・ピアノと、音楽のジャンルを問わずボーダーレスな活躍を続けるマルチ・ミュージシャン、アンドレ・プレヴィンの生誕80年と、NHK交響楽団の首席客演指揮者就任(2009年時)を記念したアルバム。

今回、そのN響を指揮するために来日したプレヴィンの来日記念盤として、コロンビア・レーベルに録音したクラシックとジャズの名盤をそれぞれ厳選してリリースされた。

アメリカ近現代の音楽の録音に強いプレヴィンだが、ここではコープランドが映画『赤い子馬』のために作曲したものを自身が管弦楽用にアレンジした組曲を演奏。

また、カップリングのブリテンの『シンフォニア・ダ・レクィエム』は、日本政府が皇紀2600年奉祝曲として依嘱し作曲されたが、祝う曲に『レクイエム』というタイトルが付けられていたため、演奏するのはふさわしくないとされ却下されたという逸話でも有名。

本盤はプレヴィンがクラシック音楽の録音に初挑戦した際の演奏とのことであるが、プレヴィンの抜群のセンスと音楽性を味わうことができる名演だと思う。

ブリテンの『シンフォニア・ダ・レクイエム』は、冒頭の「ラクリモサ」の重厚な迫力に圧倒されてしまう。

あたかも20世紀の世界が経験しなくてはならない惨禍を予見するような音楽であり、プレヴィンは、そうした悲劇を克明に描いて行く。

「ディエス・イレ」のたたみかけるような音楽の卓越した表現も、プレヴィンの真骨頂を見るようで、終楽章の「レクイエム・エテルナム」の天国的な美しさも感動的である。

作曲者による自作自演は別格として、現在入手できる最高の名演と評価したい。

コープランドは、プレヴィンによる編曲ということであるが、そのオーケストレーションの実に巧みなこと。

各部の描き分けも見事の一言であり、眼前に各場面が思い浮かぶような表現ぶりだ。

このような名演が、約45年もの間、我が国において発売されなかったというのは損失ではあるが、逆説的に言うと、今日の我が国において、クラシック音楽の受容の幅が広がってきたとも言えるところであり、併せて、発売の英断を下したソニーにも大いに感謝したい。

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2014年11月07日


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本盤には、エルガーの傑作であるエニグマ変奏曲と、ブリテンの有名な管弦楽曲2曲が収められているが、いずれも名演だ。

パーヴォ・ヤルヴィは、父ネーメ・ヤルヴィ譲りの広範なレパートリーを誇る指揮者であり、発売されるCDの多種多様ぶりやその質の高さに大変驚かされるが、本名演によって、イギリス音楽においても名演を成し遂げることが可能なことを広く認知させるのに成功したと言えるだろう。

北欧出身の指揮者であるだけに、既発CDで見ても、シベリウスの「第2」やトゥヴィンの「第5」、ステンハンマルの「第2」などで見事な名演を成し遂げているだけに、北欧音楽との親近性が囁かれるイギリス音楽においても名演を成し遂げたのは当然と言えるのかもしれない。

実際に、2009年に発売された、イギリス音楽の人気作でもあるホルストによる組曲「惑星」も素晴らしい名演であり、今後、他のイギリス音楽にも、更なるレパートリーの拡充を図っていただくように大いに期待したいと考える。

それはさておき、本盤に収められた各楽曲におけるパーヴォ・ヤルヴィのアプローチは、例によって純音楽的な自然体のものと言える。

恣意的な解釈などを行うことを避け、曲想を精緻に丁寧に描いて行くというものだ。

音楽は滔々と流れるとともに、どこをとっても情感の豊かさを失うことはない。

したがって、イギリス音楽特有の詩情の豊かさの描出にはいささかも不足はなく、これはまさにパーヴォ・ヤルヴィの豊かな音楽性の面目躍如と言ったところではないかと考える。

エニグマ変奏曲における各変奏曲や、ブリテンの4つの間奏曲における各間奏曲の描き分けの巧みさも特筆すべきであり、パーヴォ・ヤルヴィの演出巧者ぶりが見事に発揮されていると高く評価したい。

シンシナティ交響楽団も、パーヴォ・ヤルヴィの統率の下、最高のパフォーマンスを誇っており、とりわけパーセルの主題による変奏曲とフーガ(「青少年のための管弦楽入門」という曲名は、楽曲の内容の充実度からしても筆者は全く好みではない)では、あたかも同楽団の各奏者が、その卓越した技量を披露する品評会のような趣きさえ感じさせる。

テラークよる極上の高音質録音も、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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2013年10月27日


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本盤に収められたブリテンの「戦争レクイエム」は、食道がんを患い長期療養していた小澤がニューヨーク公演において奇跡的な復帰を果たしたが、その記念すべき復帰コンサートの最終日(18日)の記録である。

既に発売されているブラームスの交響曲第1番(14日)、幻想交響曲(15日)は圧倒的な超名演であったが、本演奏もそれらにいささかも劣らない至高の超名演と高く評価したい。

小澤&サイトウ・キネン・オーケストラは、2009年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本におけるコンサートのライヴ録音も既に行っており、マルチチャンネル付きのシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤により発売されている。

したがって、演奏内容自体は、小澤の健康状態やホームグラウンドであるということによるオーケストラ演奏の安定性等の観点から、2009年盤の方が優れていると言わざるを得ないだろう。

したがって、本演奏を2009年盤と比較することによって、演奏上の瑕疵などについて批判することは容易なことである。

しかしながら、本演奏には、小澤のこの演奏にかける執念や灼熱のように燃え上がる圧倒的な生命力が感じられるところであり、かかる渾身の命がけの豪演は我々聴き手の肺腑を激しく打つものである。

ショスタコーヴィチが20世紀における最高傑作と評価し、ブリテン自身の反戦思想を色濃く反映した「戦争レクイエム」であるが、小澤による渾身の豪演を聴いていると、死を克服してひたすら力強く生きようとする小澤の「死」というものに対するレクイエムのような趣きさえ感じられる。

小澤の命がけの指揮に導かれて、サイトウ・キネン・オーケストラやアンソニー・ディーン・グリフィーをはじめとする独唱陣、そしてサイトウ・キネン・フェスティバル合唱団及び少年合唱団も、持ちうる実力を最大限に発揮した渾身の演奏や歌唱を披露しているのが素晴らしい。

小澤や、オーケストラ、独唱者、合唱団による大熱演を客席において固唾をのんで見守った当日の聴衆も、この超名演の立派な立役者であると言えるところであり、まさに、本演奏は、指揮者、オーケストラ、歌手、合唱団そして聴衆が一体となって作り上げた聖なる音楽と言っても過言ではあるまい。

音質は、マルチチャンネル付きのシングルレイヤーによるSACD&SHM−CDによる極上の高音質録音であり、音質の鮮明さ、臨場感溢れる音場の幅広さのすべてにおいて、一級品の仕上がりとなっている。

あらためて、SACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。

いずれにしても、小澤&サイトウ・キネン・オーケストラ等によるかかる聖なる至高の超名演をこのような極上の高音質SACDで味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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2013年01月13日


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演奏について評価する前に、まずは録音について言及しておきたい。

ユニバーサルは、2010年になってSACDの発売を再開するという快挙を成し遂げたが、これまでのところ、何年か前に既に発売されたSACD盤のより高音質化での再発売が中心となっている。

そのような中で、小澤&サイトウキネンのブラームスの「第2」ほかを収めた盤と本盤は、ユニバーサルが満を持して発売したSACDの新録音だ。

ブラームスの「第2」の録音は見事であったが、本盤も極上の高音質だ。

しかも、本盤は、マルチチャンネル付きのシングルレイヤーである。

このような仕様は、SACD草創期にエクストンが何枚か発売していたくらいしか記憶がないが、おそらくは、ガラスCDは別として、現在望み得る最高の高音質と言えるだろう。

「戦争レクイエム」のように、静謐な合唱を中心とする作品には、このような仕様は抜群の効果を発揮しており、いささか大げさではあるが、「戦争レクイエム」の最も理想とする録音がついに現れたと言っても過言ではないのではなかろうか。

演奏内容も素晴らしい名演。

演奏がスタートすると、凄まじい緊張感に包まれていることが分かる。

そして、その緊張感は最後まで持続することになる。

最近、健康が悪化するなどファンを大変心配させている小澤であるが、ここではオーケストラや合唱団を抜群のバトンテクニックで統率し、実に清澄なレクイエムの世界を構築している。

「火刑台上のジャンヌダルク」も名演だったが、小澤にこのような声楽入りの曲を振らすと天下一品である。

今や大指揮者となった小澤には、今後とも健康に留意していただいて、本盤のような名演を一つでも多く残していただきたいと思う聴き手は筆者だけではないはずである。

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2011年04月05日


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この《戦争レクイエム》の録音からほどなくして、ヘルベルト・ケーゲル(1920-90)は自殺した。

旧東独にあって果敢にも前衛作品を擁護したケーゲルが、旧東独の崩壊直後、自らの命を絶ったのは今では謎である。

小説家で自ら命を絶つのは数多けれど、指揮者でピストル自殺なんて本当に珍しいのは、おそらくこの職業が人をも恐れぬ鉄面皮でなくてはやっていけないからだと思うが、ともかくケーゲルはひどい躁鬱だったらしい。

いわば芸術的遺言となってしまったこの録音は、何らかの暗示なのだろうか?

それを汲み取れとばかりに演奏は鋭く、厳しい。

怒りに憑かれたようなこの演奏には寒気を感じるが、聴き手を滅多にない音楽体験に浸らせる。

目が血走ったような熱狂と、見るものを石に変えてしまうような冷やかさが同居し、こんな演奏が表す心象風景とはいかなる地獄図だったのかと思って、ケーゲルに共感させられてしまうのだった。

キビキビとした声楽パート、しかしヒタヒタと胸を打つ歌わせ方だ。

声楽を伴った交響作品には見事な手腕を発揮したケーゲル(マーラーやノーノの名演を聴け!)の持ち味と力量が全開した観。

名演の多い同作品だが、この演奏は「オレは命をかけたんだぜ」とばかりにニラミを利かせる。

ケーゲルは不滅だ!!

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2011年02月27日


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第25番は、ブリテンの高雅な趣味を感じさせる「小ト短調」である。

ブリテンは疾風怒涛のこの作を、6分から7分の力で振りながら、そこに無限のニュアンスを散りばめていく。

両端楽章は、一切力の入る場面はないのだけれど、要所要所に然るべきアクセントが置かれたり、さりげなく陰影が施されているので、充足感が満点である。

第2楽章は、夢の中に沈み込むような趣が堪らず、メヌエットはそのまま宮廷の舞踏会で奏でられるほどの優雅さだ。

第29番は、短調の「25番」で行ったことを、長調で実践すればこうなるのかという、惚れ惚れする美演である。

なんという多彩で豊富なニュアンスが通り過ぎていくことだろう。

モーツァルトの演奏に、まず求められるものは気品である。

どんな熱演であろうと、どれほど精密なアンサンブルでも、そこに気品の二文字がなければモーツァルトは沈黙してしまう。

そして、もうひとつは涙である。大声を上げて泣く涙ではない。抜けるような青空を見上げながら、あまりの美しさに頬にこぼれてしまう涙。悪い冗談に馬鹿笑いしながらも、胸の奥を濡らしている涙である。

ブリテンは、そのふたつの大事なものを生まれながらに持っている。

モーツァルトとブリテン。もし、このふたりが同時代に生きていたなら、きっと大親友になっていただろう。

この演奏は、そんなことを思わせてくれる。

「プラハ」でも、やはり大声でものを言わない演奏で、ただの1音符もメゾ・フォルテ以上強くならないのでは、と思わせるくらい奥ゆかしいアプローチながら、聴く者の心に大きな痕跡を残すという不思議な魅力を持っている。

第1楽章のコーダなど、シューリヒトやワルターがここぞとたたみ掛けていく場面ですら、ジワジワと静かな昂まり方に終始する。

しかし、ひとつひとつの音が愛おしげに奏される様は哀しいほどに美しく、全篇に涙に濡れたようなニュアンスが散りばめているのだ。

第40番も、人を驚かせるような表現は一切ないのだが、すべてのニュアンスが心に親しげに語りかけてくる。

その声に心の窓が一つひとつ開かれていく歓び!その語りかける声が、血気盛んな頃には聴こえなかった。否、聴こうともしなかったのだ。

この演奏を聴くたびに、新たな窓がひとつふたつと増えていく。

年齢を重ねることも悪いことばかりではないと思わせてくれる、素敵な演奏だ。

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2009年08月06日


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作曲者の自作自演だからといって、すべてがすぐれているわけではない。

しかし、1947年にはオールドバラ音楽祭を創設するなど、若い頃から指揮者としても活動したブリテンは、自作だけでなくモーツァルトなどにもすぐれた演奏を残している。

中でも、この《青少年のための管弦楽入門》は、そうしたブリテンの自作自演の中でも、最も良く知られた名演である。

副題に「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」とあるように、パーセルの劇音楽か採られたロンドーの旋律を主題にしているが、そのパーセルの主題を、ブリテンは、いくぶん速めのテンポできびきびとした表現と推進力をもって、とても表情豊かに提示する。

入門用の音楽だからといって聴き手に媚びたり、手心を加えたりすることなく、あくまで音楽に徹した真摯な演奏である。

その点では、少々そっけないところがあるほどだが、個々の変奏曲の細部まで作曲者ならではの眼で巨細に読み込まれた演奏は、大変聴き映えがする。

この曲にはナレーターによる解説つきの版と語りのないコンサート版があり、ブリテンは後者を用いているが、各変奏曲を明快にくっきりと彫りあげた演奏は、いかにもコンサート版にふさわしい。

ブリテンの自在な指揮に、時にはオーケストラが翻弄されそうになるところもあるが、それが真摯な演奏で、作品にふさわしい親しみと、ほどよい笑みを添えているのも、この演奏の魅力になっている。

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2008年07月01日


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同曲の初演翌年(1963年)に録音されたもので、ブリテンの代表作の、作曲者自身の指揮による歴史的演奏である。

名曲ゆえに世界各地で演奏され録音も少なくないが、初演当時の熱気を収めた作曲者指揮の録音は、ドキュメンタリーとして貴重なだけにどんな名演奏が現れても存在価値を失わない。

文字通り渾身の力をこめた凄まじい迫力をもった演奏で、ブリテンがこの作品にこめた死者への鎮魂と平和への祈念の深さは、聴く者の心を打たずにはおかない。

ブリテンが作曲にあたって想定したが、初演の時には揃わなかった、英・独・ソの3人のソリスト(ピアーズ、フィッシャー=ディースカウ、ヴィシネフスカヤ)の、緊張とドラマにあふれた熱い歌が感動をよぶ。

誠実さを絵に描いたようなブリテンの指揮も音楽の訴えかけるメッセージを聴き手に伝えてくれる。

敵同士の魂が「さぁ、みんな眠ろう」と静かに歌い出す最後のくだりは、天使の声を象徴するような児童合唱の歌声とともに、胸を締めつけられながらも自らの魂が救済されるかのようで、最も感動的な部分だ。

歴史に残る名盤のCDとしての復活には大きな意義がある。

ちなみに根っからの人道主義者のブリテンは、第2次世界大戦の際にも兵役を自ら拒否した反戦主義者でもあった。

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2008年06月05日


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ロストロポーヴィチが、イギリス現代を代表する作曲家のひとりブリテンと共演したもので、その組み合わせが珍しい。

チェロとピアノの呼吸が見事に合っている。

「アルペジョーネ・ソナタ」でのロストロポーヴィチは、遅めのテンポで朗々と旋律を歌わせ、陰影をはっきりつけて表現しており、味わい深い。

そしてブリテンのピアノも達者だ。

シューベルトの音楽としては、必ずしも深みのある作品とはいえないこの曲を、実に美しく、きめこまやかに再現していて、あたかも宝石のような仕上がりとなっている。

こうした2人の音楽性と技巧に支えられた強みがどの演奏にも表れて、シューマンではロマン的な歌が大切にされ、詩情もきわめて豊かになっている。

ドビュッシーの気のきいた洗練された味わいも特筆されていいだろう。

1968年の録音で、やや音は古いが、2人の巨匠の音楽性も見事に合っており、ブリテンの伴奏も、実にうまい。

演奏といい、2人の巨匠の顔合わせといい、歴史に残るものだ。

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2008年03月04日


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1982年に75歳で世を去ったイギリスのピアニスト、カーゾンは、レコーディングの数が少なく、その実力のわりには日本ではあまり知られてなかった。

この演奏はそうしたこの人の真価を、十二分に伝えた名演奏である。特にブリテンとの第27番は折り紙つきだ。

この曲は「短調の協奏曲にみられるように、情熱的でなく、ひたすら諦観へと傾いていった」というアーベルトの言葉を思わせるように、典麗優雅なこの作品の内面にひそむ哀感を、すこぶる繊細な弱音効果を生かしながら、てんめんと表出した演奏である。

作曲家として名高いブリテンの精妙な指揮も、心に熱く訴えかけてくる。

その他では第24番が美しい。

清水のように透明な音色を基本に弱音を重視し、しっとりとした女性美を展開するが、何気ない虚無感の中から、モーツァルトの音楽が哀しいばかりの魅力を伴って流れてくる。

ピアニストの存在を忘れさせる演奏で、それにはケルテスの指揮も大きな力になっている。

他の曲も同じスタイルによるものだ。

カーゾンにはクーベリックと共演したライヴがauditeから出ていたが、そちらも名演である。

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