ルプー

2015年01月26日


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若き日のルプーによるブラームスであるが、いずれも名演だ。

創意に溢れた2曲のラプソディをはじめ、作曲家晩年の心境を刻んだ傑作として知られる間奏曲集や小品集を収録した、ブラームスのピアノ作品集は、やや晦渋な曲と思われるかもしれないが、ルプーが透明な音色で美しく紡ぎ出した気品に満ちた詩情溢れる世界が繰り広げられる。

シューベルト、ベートーヴェン、モーツァルト等、限られたレパートリーの中でその比類のない音楽性を発揮するピアニスト、ルプー。

滋味溢れるブラームスの小品等でも、そのリリシストぶりを聴かせてくれる。

晩年のブラームスの単純ななかにも様々な顔をのぞかせるこれらの小品をルプーが見事に弾き分けている。

少しでも余計な重さが加わるとバランスが壊れそうなくらいガラス細工のような繊細な演奏、それとこの温かさと懐かしさは何だろう。

ルプーの演奏は一生独身を貫き通したブラームスの枯れた老境をあまねく表現していて、とても味わい深い。

2つのラプソディは、千人に一人のリリシストと称されるルプーとは信じられないような劇的な表情を垣間見せる。

もちろん、抒情的な箇所における美しさにもいささかの不足もなく、その意味においては、剛柔バランスのとれた名演と高く評価したい。

3つの間奏曲は、かのグレン・グールドやアファナシエフの超個性的な名演の印象があまりも強いために、他のいかなるピアニストが弾いても物足りなさを感じさせる危険性が高いが、ルプーのような清澄な美しさを湛えた演奏に接すると、正直ほっとさせられる。

あたかも故郷に帰郷したような気分だ。

ブラームスの最晩年の傑作が内包する深い精神性は、むしろ、このような抒情的な演奏によってこそ表現し得るのではないかとも考えさせられるような強い説得力が、本名演にはある。

6つの小品や4つの小品にも、3つの間奏曲とほぼ同様のことが言える。

抒情溢れる清澄な音楽の中から、ブラームスの最晩年の至高・至純の深遠な境地が浮かび上がってくるような趣きがある。

昔のバックハウスの超名演があるが、ルプーがあと20年も経てば、一層したたり落ちる渋みが出て来そうだ。

本盤のSHM−CD化は、ブラームスの重厚な音楽ということもあるが、ピアノの各音が通常CDと比較して、明快に分離し、かなり鮮明な高音質になったような印象を受けた。

その意味では、本盤については、SHM−CD化は、やや高額な価格が適正かどうかはともかくとして、先ずは成功と言えるだろう。

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2015年01月15日


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シューベルトの即興曲集は、名旋律の宝庫である。

透明感溢れる清澄さをいささかも失うことなく、親しみやすい旋律が随所に散りばめられており、数々の傑作を遺したシューベルトの名作群の中でも、上位にランクされる傑作であると考える。

ルプーは、並みいる有名ピアニストの中でも、「千人に1人のリリシスト」とも評される美音家を自認しているだけに、このような即興曲集は、最も得意とする作品であり、ピアノの抒情詩人と言われたルプーの、代表的録音のひとつ。

即興曲は構成が不安定で、展開部が異常に長かったり、また無かったり、曲によっては変奏曲の形式をとるものもあるので、構築感を出すのが難しいと思われるが、ルプーの演奏は全体が1つの曲であるかのような見事な構築力であり、またこれほどまでに弱音をコントロールできるピアニストも珍しい。

正確にコントロールされたきらめくような粒立ちの美音に乗せて丁寧に歌われるシューベルトの調べにただ圧倒される。

弱音の美しさは言うに及ばず、フォルテも力強くしかも美しく響き、しかも決して軽くない。

繊細で濃やかなロマンが、全編を覆い、微細な陰影が、得も言われぬメランコリックな雰囲気とリリシズムを醸し出している。

晩年のシューベルトの曲に聴かれる死の影はここではその姿を潜めて、美しい自然の移り変わりを表現するかのような、さわやかな演奏である。

聴いていてあまりに自然に流れるので、テクニック面などどうでもよくなってくるが、聴き手にそうした思いを抱かせることこそ、最高のテクニックの持ち主であるという証左を示している。

この曲の代表的なCDとしてはリリー・クラウスと内田光子のものがよく知られているが、彼女たちの鮮やかな演奏に比べると、ルプーの演奏は少し系統が違う気がする。

全体に抑えたトーンで派手さでは劣るが、細かいコントラストや全曲を貫く優美さなどでは引けを取らないし、旋律を歌い上げる際の表現も見事。

デリケートさでは内田の方が上だろうが、神経質さが耳につく彼女の演奏と比べるとルプーにはそれが皆無。

我々聴き手が、ゆったりとした気持ちで安心して即興曲集を満喫することができるという意味では、オーソドックスな名演であると高く評価したい。

音質は、従来盤でも、英デッカの録音だけに透明感溢れる十分に満足し得る音質である。

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2012年12月30日


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1993年に録音された、シューマンのよく知られた作品3つをカップリングした1枚。

「フモレスケ」と「子供の情景」が、ルプーの個性が発揮された名演だと思う。

「千人に一人のリリシスト」と言われるルプーであるが、この2曲でも美音家ルプーの面目躍如たる抒情豊かな演奏を繰り広げている。

シューマンのピアノ曲は、同時代のショパンなどとは異なり、下手なアプローチをすると、やたらと理屈っぽい演奏に陥る危険性を孕んでいるが、ルプーの場合は、そのような心配は皆無。

各曲の性格をよくとらえ、華美にしすぎずに色鮮やかな演奏を聴かせてくれるあたりはルプーならでは。

シューマンのピアノ曲の美しさをいささかの嫌みもなく、安心した気持ちで満喫できる点を高く評価したい。

もちろん、抒情の豊かさだけではなく、「フモレスケ」の第5曲や、「子供の情景」の〈大事件〉、〈竹馬の騎手〉などにおける力強い打鍵による迫力においても、いささかの遜色はない。

他方、「クライスレリアーナ」は、「フモレスケ」や「子供の情景」の名演に比較すると、やや落ちると言わざるを得ない。

同曲の演奏にあたっては、各曲の性格を巧みに弾き分けていくことが必要不可欠であるが、同曲を得意とし、思い切った表現を行ったアルゲリッチの豪演などに比較すると、いささか大人しい感じがしないでもない。

ルプーなら、もう一歩次元の高い演奏を期待したい。

SHM−CD化によって、ほんのわずかではあるが、鮮明さが増したように感じたが、通常CDとの差は、殆ど誤差の範囲と言える。

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2012年12月27日


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1981年に録音されたルプーのブラームスで、「主題と変奏」は弦楽六重奏曲第1番第2楽章のピアノ独奏版である。

いずれもブラームスの若書きの作品であり、後年の傑作ピアノ作品と比較すると、いささか水準が劣る作品とも言える。

それ故に、録音の点数も限られているが、その中でも、このルプー盤は、知られざる作品の価値を高めることに大きく貢献する最高の名演の一つと言っても過言ではないのではなかろうか。

ピアノ・ソナタ第3番という、若きブラームスの青雲の志を描いた作品を、これまた若きルプーによる生命力溢れるピアニズムが見事に表現し尽くしていると言えるだろう。

まさに作曲者の作曲年代と演奏者の演奏年齢の見事なマッチング。

ブラームス初期の3つのソナタのうち、規模が大きく5楽章という変則形式のソナタを、ルプーが豊かな感受性で、晦渋さの残るこの大曲を見事にまとめあげている。

「千人に一人のリリシスト」と呼ばれるルプーだけに、抒情的な箇所の美しさは、他のピアニストを一切寄せ付けない至高・至純の境地に達しているが、それでいて、第3楽章や第5楽章などについても、若きルプーならではの勢いのある前進性、力強さにも不足はなく、その意味においては、各場面の描き分けを巧みに行ったバランスのとれた名演と言える。

特に極めてセンシティヴに弾きあげた第3楽章は魅力的だ。

他方、ルプーの美質が生きた「主題と変奏」も聴きもので、力強い打鍵の下、峻厳な表情を見せる。

リリシストたるルプーの異なった一面を垣間見せる異色の名演と言えるだろう。

SHM−CD化によって、通常CDよりかなり音質に力強さと鮮明さが加わったところであり、価格は少々高いとは思うが、音質については十分に合格点を与えることができる。

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2012年12月08日


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ルプーの実に9年ぶりのソロ・レコーディングは、ルプーの代名詞とも言えるシューベルト(1991年デジタル録音)であった。

リリシストとして知られるルプーとシューベルトの相性はやはり抜群のものがあるのではないかと思う。

シューベルトのピアノ・ソナタは、最後の3つのソナタについては内容の深さにおいて尋常ならざるものがあるが、それ以外のソナタについては、ベートーヴェンのそれとは異なり、人生における闘争だとか重厚な力強さではなく、むしろ、抒情的な美しさを基調とした作品が多く、そうした作品の特徴とルプーの芸風が見事に符合していると言えるからである。

このような点にかんがみれば、ルプーならではの名演は第13番ということになるのではないだろうか。

中期のピアノ・ソナタの中では、最も愛らしい旋律に満ち溢れたこの傑作を、ルプーは、あたかも満点の星のきらめきのような美しさでニュアンス豊かに描き出していく。

特に、第1楽章の美麗さは、筆舌には尽くしがたいものがある。

これに対して、第21番は、シューベルトの最後のソナタだけあって、あの冬の旅や弦楽五重奏曲にも匹敵する深みを有する作品であるだけに、さすがのルプーも、ニュアンス豊かな美しさで曲想を描いて行くものの、今一歩、精神的な踏み込みが足りないように思われる。

しかしながら、それも高い次元での比較の問題(例えば、リヒテルや内田光子など)であり、全体としてみれば、名演と評価するのにやぶさかではない。

今、世界にはピアノの名手達が大勢いるが、これほどしっとりと濡れた音が出せる奏者はルプーをおいてほかにいない。

SHM−CD化によって、音質はかなり鮮明になったように思われる。

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ルプーの繊細な感受性によって、この曲の抒情性と古典的な均整美が磨きあげられ前面に出ている演奏として話題となった1枚。

ルプーはリパッティと同じルーマニア出身のピアニストでモーツァルト、シューベルトなどを主なレパートリーとして活躍していたが、最近あまり新盤が出ないのは寂しい限りである。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番は、ブラームスの青雲の志を描いた若き日の作品であるが、ピアノパートだけでなく、オーケストラについても分厚く作曲されており、あたかもピアノ伴奏つきの交響曲の様相を呈していると言える。

それだけに、過去の名演、例えば、ルービンシュタイン&メータ(イスラエル・フィル)や、ブレンデル&アバド(ベルリン・フィル)は、いずれも重厚でシンフォニックな性格の名演であった。

ところが、本盤は、これらの名演と比較すると、かなり性格が異なっていると言わざるを得ない。

もちろん、第1楽章の終結部や終楽章など、力強さにおいていささかの不足もないが、全体としては、抒情的で繊細さが支配していると言える。

ルプーのピアノはどんなに最強奏の箇所でも、優美さを失うことはなく、特に、第2楽章の美しさは出色のものであり、ブラームスの若き青春の日々の傷つきやすい繊細な心根を表していると言えるのかもしれない。

さすがはリリシストであるルプーの面目躍如と言ったところだと思われる。

こうしたルプーのピアノに、デ・ワールト&ロンドン・フィルは、ルプーの資質を生かした見事な合わせ方をしており、独墺系の指揮者やオーケストラとは一味もふた味も違った抒情的な演奏を行っていると言える。

1974年の録音が、SHM−CD化によって、わすかではあるが、音質がやや鮮明になった点も高く評価したい。

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ルプーの若き日の名演である。

作品の奥深くに秘められた抒情を追求してやまないピアニスト、それがルプーだ。

柔らかいタッチと響きは天性の資質によるものだろう。

そんな彼にとって、シューベルトが最も大切なレパートリーのひとつであることは充分に察しがつく。

ここでもまた、ルプーらしい思い入れの激しさが際立つ個性的な音楽を歌い上げている。

ルプーはシューベルトを得意としているが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタとは異なった魅力を有するシューベルトのピアノ・ソナタ特有の抒情的な美しさと、リリシストで美音家と称されるルプーの芸風が見事に符合するという点がその理由ではないかと考える。

第20番と第14番のカップリングであるが、イ長調とイ短調のソナタを組み合わせたという点においても、その抜群のセンスの良さを感じさせる。

まず、第20番であるが、これは、シューベルトの最高峰とも称される最後の3つのピアノ・ソナタの中間にあたる至高の傑作。

深みのある作品ではあるが、第21番のような底知れぬ深さを感じさせず、むしろ、シューベルトならではの抒情的な美しい旋律が魅力の作品であり、こうなるとまさにルプーの独壇場。

これ以上は考えられないような優美な名演に仕上がっており、その抒情的な美しさだけをとれば、過去の名演と比較してもトップの座を争う名演と高く評価したい。

他方、第14番は、若きルプーの生命力溢れる力強さが際立った豪演。

第20番で見せた抒情的なアプローチとは全く別人のような力強いアプローチであり、ルプーというピアニストの一筋縄ではいかない多彩な至芸を感じさせてくれる。

SHM−CD化によって、音質がかなりグレードアップした点も高く評価したい。

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シューベルトを得意としたルプーの超名演。

ルプーの才覚を聴くのには適したプログラムであろうと思い購入したが、全くその通りで期待にたがわぬ名演奏。

シューベルトの最後の3つのソナタは、まぎれもなくシューベルトのあらゆる作品の最高峰とも言うべき至高の傑作群であるが、ルプーは、第20番及び第21番を1970年代半ばに録音して、第19番を1980年代になって漸く録音した。

満を持して録音しただけあって、第20番や第21番も名演ではあったが、それらをはるかに凌ぐ深みのある名演に仕上がっていると言える。

リリシストで美音家と称されるルプーだけに、抒情的な美しさが全体を支配していることは言うまでもないが、むしろ第2楽章のゆったりとしたテンポによる思索的な歩みなど、表面的な美しさに留まらず、内面の深みに入り込んでいこうという味の濃さが際立っている。

それでいて、第1楽章や終楽章の力強さにおいても、いささかの不足もなく、まさに知情兼備。

詩情豊かで、優しく心休まる演奏であるが、劇的な部分の表現がまた素晴らしく、穏やかな表情と大きな対照を生み出す。

総じてバランスのとれた至高・至純の名演に仕上がっていると言える。

楽興の時も第19番と同様の傾向で、安心して聴いていることができるが、この表情、叙情、表現力は並みのものではなく名演である。

ルプーならではの繊細な美しさが支配しているが、表面上の美しさに留まらず、実にコクのある深みのある名演を成し遂げている点を高く評価したい。

SHM−CD化による音質向上効果も非常に素晴らしいものがある。

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2012年12月01日


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ルプーの日本でのデビュー盤(1972年録音)で、リリカルなピアニズムと堅固な構築感をもった新鮮なベートーヴェンとして好評を得た1枚だ。

「千人に一人のリリシスト」とか美音家ピアニストなどと称されているルプーであるが、本盤は、その若き時代に録音したベートーヴェンのピアノ・ソナタの最も有名な3作品を収めている。

さすがに、リリシストと言われるだけあって、ここでも実に抒情的で美しい演奏を行っている。

特に、「悲愴」の第2楽章や「月光」の第1楽章は、出色の美しさと言えるだろう。

それでいて、若き時代故の生命力にも満ち溢れており、「悲愴」や「月光」の終楽章のたたみかけるような力強さは、強靭な打鍵も相まって、圧倒的な迫力を示していると言える。

しかしながら、これら「悲愴」や「月光」よりも、さらにリリシストであるルプーの個性が発揮されているのは、「ワルトシュタイン」と言えるのではないだろうか。

第1楽章など、大抵のピアニストは踏みしめるような重い足取りで演奏するが、ルプーは実に繊細なソフトタッチで演奏し、他のピアニストの重厚な演奏に慣れた耳からすると、物足りなささえ感じるほどだ。

しかしながら、その精緻とも言えるピアニズムの美しさは尋常ではない。

他の箇所も、ゆったりとしたテンポにより決してわめかない演奏を心がけており、「ワルトシュタイン」の過去の名演の中でも、最も優美さを兼ね備えた名演と高く評価したい。

ピアノ曲との相性抜群のSHM−CDによる高音質により、ルプーの紡ぎだす音が一層冴えわたるのも本盤の大きな魅力の一つと言える。

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リリシストとか美音家として知られる名ピアニストであるルプーと、パワフルな指揮ぶりで知られるメータの組み合わせ。

芸風が全く異なる両者によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集であるが、完全にルプーペースの演奏に仕上がっていると言える。

その意味では、メータは、あくまでもルプーの支え役に徹していると言える。

ルプーペースの演奏というだけあって、これほどまでに美しいベートーヴェンのピアノ協奏曲は過去にも例を見ないのではなかろうか。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲だけに、重厚さであるとか、力強さなどを売りにする名演が多いが、ルプーの手にかかると、そのような点は薬にもしたくはない。

それでいて、軟弱さは皆無であり、むしろ、ベートーヴェンの威圧の対象にしていない点を高く評価すべきであろう。

ルプーの大理石のような硬質なタッチは透明で粒が揃い、極上の瑞々しさをもったピアニズムで、音色は完璧なまでに磨き抜かれ、全ての音が透かし彫りのように聴こえてくる。

どんなに最強奏をしても、音が割れたり、無機的になるということはいささかもなく、フォルテが連続する楽句でも演奏は常に明晰であり、あたかも星がきらめくような美麗さに満ち溢れていると言える。

そして、それが決して表面的な美しさにとどまっていない点も特筆しておかなければならない。

どの箇所も、美しさの中に豊かなニュアンスが込められていて、そのデリケートな緻密さが素晴らしい。

匂うように美しいハーモニーを武器としながら、やるべきことはすべてやりつくした模範的解釈である。

メータの指揮は若々しい力を前面に押し出した力強いものだが、一方で落ち着いた情感もあり、清々しい余韻を残す。

SHM−CD化により、ピアノ曲との相性の良さも相まって、音質がかなりグレードアップしているのは嬉しい限りだ。

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2011年12月15日


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これは1970年代前半の時期の、ルプーがデビューして間もない頃の演奏だが、ピアノの抒情詩人ルプーの面目躍如たる、代表的な演奏のひとつに数えられる。

ルプーは極めて若々しい感覚でソフトに作品にアプローチし、ブラームス晩年のピアノ小品によくいわれる枯淡とか諦観とは違った輝かしい光りを当てている。

特に《間奏曲》はいわば行間で語るようなところがある音楽だが、ルプーは流麗といってもよい生き生きとした音楽の流れをつくり出す。

そこに彼独特の爽やかな抒情が加わり、ブラームスの小品は新鮮な表情を湛えて語りかけてくるのである。

ブラームスのこれら晩年の小品集を、これほど親しみやすく、これほど快く聴かせる演奏が、これまでにあったであろうか。

そう思わせるほど、ルプーはこれらの作品で洗練された抒情性を徹底して追求している。

その意味で、ルプーの演奏芸術の持つリリシズムが改めて強く確認される演奏ともいえる。

ちょうど同じ頃にルプーは、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番《幻想》を出したが、これが旋律を大きなフレーズで歌わせた見事な演奏であった。

このシューベルトのソナタは作品自体が非常に抒情的な性格をもっているが、これらブラームスの小品の場合、《ラプソディ》は別にしても、晩年の作品は枯淡で渋い音楽と一般に思われてきたものを、ルプーの演奏はなんと親しみやすく、チャーミングに聴かせていることか。

どの曲もルプーの繊細な感覚が光っており、作品のもつ多彩な表情をニュアンス豊かに表現した演奏で、ルプーの音楽的特性がよくあらわれたものとなっている。

さまざまに変化する各曲の表情を、繊細で、透明感にみちた音色で巧みに表現していて見事である。

ブラームスのこれらの作品が秘めている新しい側面に、眼を見開かせてくれた演奏として、大きな価値を持つように思われる。

この演奏を聴いてこれらの曲を好きになった人もいると思う。

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2010年04月15日


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チョン・キョンファとルプーの唯一の共演盤で、彼女の初のソナタ録音だった。

"情熱"のチョンと"抒情"のルプーがコンビを組んだ異色のアルバム。

数多くあるフランクのヴァイオリン・ソナタの録音の中でも、チョン・キョンファとラドゥ・ルプーが1977年に録音したこのディスクは、全く別格の演奏を聴かせてくれる。

チョンもルプーも、共に完璧なテクニックの持主でも特別な美音の持主でもない。

その代わりチョンには余人をもって代え難い集中力が、ルプーには心の襞に染み入る繊細さがある。

その反面チョンには時に激し過ぎる感情表出、ルプーには内省的過ぎる弱さもある。

ここでの2人の共演は、2人の長所を融合する事によって短所を駆逐し、高度の精神的営みとも呼べる演奏を達成している。

崇高なまでの音楽の優しさと慈しみがここでは美しく歌われている。

チョンは初めてのソナタ録音だけに少々構えたのか、フランクでは控え目な表現になっており、彼女にしては音がスリムだが歌いまわしはロマン性に富んでいる。

これに対しドビュッシーでは積極的に発言しようとする姿勢が目立つ。

おそらくチョンとルプーの2人に"弱々しいドビュッシー"に反発する気持ちがあったためだろう。

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2008年12月09日


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ルプーが音楽界に登場してまもない1973年に録音されたディスクである。

夭逝した名ピアニスト"リパッティの再来"とまで呼ばれているこの人の、鋭敏な感覚の冴えた演奏で、シューマンの濃厚でロマンティックな味を見事につかんで、清新な音楽をつくりあげている。

夢とデリカシーに満ち、多感なニュアンスが作曲者の傷つきやすい魂を伝えてやまない。

2曲のうちでは特にグリーグがみずみずしい音色を駆使した美演である。

これほどていねいに、じっくり間をとった演奏も珍しい。

この人固有の弱音を生かしながら、みずみずしく弾きあげた演奏である。

ルプーは"千人に一人のリリシスト"といううたい文句で音楽界に登場したとき、いくつかのレパートリーとともに、この曲を、その最も得意とする作品のひとつに入れていた。

彼は決して技巧まかせに弾きまくるタイプではなく、音楽の流れの美しさを大切にする人だけに、ここでも、そのしなやかな旋律の歌わせ方は聴きものだ。

プレヴィンの指揮もルプーに負けないほどの抒情や愁いを前面に押し出しており、ソリストに表情もテンポもぴったりの伴奏ぶりだ。

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2008年05月06日


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千人に一人のリリシスト」(デイリー・テレグラフ紙)という名文句で登場したのが1970年。その後シューベルトのスペシャリストとして知られているルプーの代表的なディスク。

ルプーは、現代の人気ピアニストの中でもリリシストとしての資質を最高度に具えたひとりにほかならないが、この作品を手がけた彼は、そこで自己のそうした持ち味を十二分に打ち出し、作品のふくよかな抒情に実に深く多彩なニュアンスを付与することに成功している。

特に、ピアノの響きを柔らかく整え、入念に歌いこんでいる。

各曲とも実に美しい響きの演奏で、詩的情緒を大切にしながら、てんめんと歌わせているのが特徴だ。

抒情的表現と劇的表現の幅が極めて大きく、その推移そのものがドラマティックである。

シューベルトの小品を、大きな人生を凝縮した、実に味わい深い濃密な表現のメディアとし、深い沈黙に裏打ちされた確固たるものにしたルプーにとって、この曲以上に腕を振るい得る作品はちょっと見当たらない。

この名作は、その情緒豊かで美しい外観の中にシューベルトの不安、苦悩、絶望、諦めなどをも映し出しているが、ルプーの演奏では、そうした一面もが悲しいまでに美しく表現されているのだ。

自然の振る舞いを会得した、非常に魅力的な演奏である。

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