パールマン

2016年08月06日


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ソニーから10枚組のオリジナル・ジャケット・コレクションとしてリリースされたセットからモーツァルトの交響協奏曲を除き、初期のレコーディングから数曲を追加して9枚にリカップリングしたもので、半額以下の廉価盤で復活したことを歓迎したい。

勿論今回は完全節約企画のためジャケットは総て同一でライナー・ノーツも省略されているが、装丁のオリジナリティーなどを度外視した内容重視のシンプルな企画は、インターネット等によってあらゆる情報が入手可能な時代にあって、パールマン・ファンのみならずクラシック入門者にとっても朗報に違いない。

このセットではニューヨークのウェブスター・ホールで1965年に行われた最初期のセッションを皮切りに、1998年の映画音楽のテーマ曲集に至るパールマンの長いキャリアをカバーしたヴァイオリン奏法のエッセンスが満載されている。

パールマンの演奏には屈託がなく、常に余裕を持った輝かしい響きを縦横に駆使した表現が特徴的だが、このセットでは彼が19歳の時に録音したパガニーニの3曲の『カプリース』が、1972年にEMIに録音した全曲盤に比べてかえって生々しくスリリングな面白さがある。

一方アンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン交響楽団とのラヴェルの『ツィガーヌ』は1968年のもので、やはり1974年にEMIに入れたマルティノン、パリ管との幻想豊かな協演に比較して、より機能的で古典的な仕上がりになっている。

プロコフィエフの協奏曲第2番は1966年のラインスドルフ、ボストン交響楽団、2曲のソナタはアシュケナージとの1969年のセッションでいずれも若き日のパールマンの瑞々しい記録だ。

尚1枚目のバッハとヴィヴァルディの協奏曲はアイザック・スターン及びピンカス・ズーカーマンが加わる1980年のニューヨーク・ライヴで会場に集まった聴衆から盛大な拍手が送られている。

一流どころのヴァイオリニストの中でもパールマンほどクラシック以外のジャンルに情熱的に取り組んだ演奏家もいないだろう。

それは彼のサービス精神旺盛で気さくな性格の証しでもあるわけだが、彼はまた聴き手の心を巧みにつかみ取る狡猾とも言うべき術を熟知している。

逆に言えばそれだけ彼の苦難を強いられた人生経験が、特有の優しさと説得力を持った音楽を生み出させているに違いない。

最後の映画音楽を収めた1枚は、彼自身がサウンド・トラックの制作に参加した『シンドラーズ・リスト』のテーマを始めとして『ニュー・シネマ・パラダイス』の愛のテーマや『呪いの家』の星影のステラ、そして『シェルブールの雨傘』などは映画の名シーンが目に浮かび、思わず溜息が出るような美しさと哀愁に満ちていて理屈抜きに感動的だ。

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2015年10月22日


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ヴァイオリニストにとって必須のレパートリーとなっているフランス・ヴァイオリンの名曲4曲を1枚に収めた魅力的なアルバム。

当代屈指のヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンの秀でた音楽性と華麗なテクニックの万能性を示した1枚で、パールマン若き日の最良の記録でもある。

パールマンの明るく艶やかな音色を一瞬たりとも失わない滑らかなボウイングと、圧倒的な余裕で弾き切る華麗なテクニックがひときわ冴え渡る演奏だ。

歌う楽器としてのヴァイオリンの特性を最高度に発揮した演奏は、豊かで美しく生命力に溢れたもの。

パールマンはどんな曲であっても曲想にのめり込まず、常に高踏的な解釈に踏みとどまって、なおかつそれらの曲の本質と個性を的確に把握する。

テクニックの冴えはもちろん、曲によって様々に表情を変える音色の豊かさはパールマンならでは。

またこうしたフランス物では軽妙洒脱さと同時に狡猾とも言える聴き手に対するさりげない媚があって、それぞれの作品がコケティッシュで魅力的なものに仕上がっている。

パールマンを巧妙にサポートしているのがジャン・マルティノン指揮するパリ管弦楽団で、彼ら特有の美的感性を漂わせた色彩豊かで陰影に富んだ音響がソロ・ヴァイオリンを際立たせている。

ショーソンの『詩曲』での直情的で鮮烈なロマンティシズムと陰影の濃い叙情も素晴らしいが、白眉は何と言っても最後に置かれた(後のズービン・メータとの再録音に先立つ)ラヴェルの『ツィガーヌ』だ。

『ツィガーヌ』では前半の長い無伴奏の部分を豊麗なダブル・ストップやフラジオレット、ピチカートで弾き込むパールマンの幅の広い表現と魔術師のようなソロに、妖艶なハープによって導入されるオーケストレーションのコントラストが極めて幻想的な美しさを醸し出していて格別だ。

彼らの応酬は常に緊迫感を持っていて、後半のソロの超絶技巧を駆使したパッセージとマルティノンのたたみこむような追い込みによる音楽の高揚が虹のような色彩感を体験させてくれる。

この音源は1974年に録音されたもので、以前カップリングされていたアンドレ・プレヴィン指揮、ピッツバーグ交響楽団とのサラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』を除いて、ジャン・マルティノン指揮、パリ管弦楽団の協演になるフランス物のみの4曲を1枚にまとめたリイシュー盤で収録時間は短いが、音楽的にはよりバランスのとれた編集になった。

24Bitリマスタリング盤で音質は極めて良好。

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2015年05月12日


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本盤には、パールマンのヴァイオリンとバレンボイム指揮ベルリン・フィルが1992年にベルリンのシャウシュピールハウスで行ったコンサートの模様のライヴ映像が収録されている。

この両曲の現役盤ではパールマン&バレンボイムが、いかにも伸びやかな素晴らしい名演で、最右翼に挙げられるだろう。

何よりもパールマンの音は美しい。

無駄のないボウイングは緻密で清らかな音を生み出し、それが明快なフレージングと結びついた演奏は、実に伸びやかで同時に引き締まっている。

実に堂々として充実した演奏で、パールマンは、持ち前の美しい音色をぞんぶんに生かしながら、実にていねいに弾きあげている。

ロマンティックな気分にあふれた演奏で、その官能的な味をもった音色と、仕上がりの美しさは比類がない。

パールマンはユダヤ系のヴァイオリニストで、旋律をたっぷりと歌わせることのうまい人であるだけに、ここでもヴァイオリンの特性を生かした、朗々と歌う美しい演奏を展開している。

この両作品の旋律的な美しさを、あますところなく表出した演奏で、明るく艶やかな音色で健康的に弾きあげているのが良く、これほど豊かに歌わせ、しかも美麗に磨き上げた演奏というのも珍しい。

響きの美しいロマンティックな演奏で、感覚はすこぶる知的で若々しく現代的だが、実に力強く堂々と弾きこんでいる。

パールマンの技巧は完璧そのもので、しかも豊かで美しい音色はこの上もなく魅力的だし、また演奏のスケールも大きく、ヴィルトゥオーゾの風格を漂わせている。

テクニックの優秀さは言うに及ばず、音色の透明なことと歌に感情がこもっていることでも、他に比肩する演奏はちょっと見当たらない。

快刀乱麻を断つような技巧の冴えと、磨き抜かれた美しい音色、そしてヴァイオリンをヴァイオリンらしく歌わせる、そのセンスの良さは、パールマンの天性の賜物であり、少しも難曲らしくなく、自然で融通無碍な演奏だ。

パールマンは技巧的に安定しているばかりでなく、終始自信に満ちた演奏で、どの部分をとっても楽器が完全に鳴り切っている。

旋律はよく歌い、音色は明るく艶やか、情感にも富んでいて、瑞々しい抒情性も失わず、音楽があくまで自然で豊かに溢れ出てくる。

あまりにも美しくうますぎて、内面性に乏しいなどと、贅沢なケチもつけたくなるほどの、完全無欠な演奏なのである。

パールマンの個性は両曲の緩徐楽章で最も効果を上げており、真摯であるがむきにならず、余裕をもって演奏しているため、音楽は豊かな雰囲気で聴き手に訴えかけてくる。

バレンボイムの好サポートも特筆すべきであり、実に堂々としたスケールの大きな立派なもので、充実した荘重な運びの中にソロを包み、遺漏がなく、パールマンとの熱っぽく激しいわたりあいは聴きもの(見もの)だ。

パールマンの数ある演奏のなかでは、いまひとつ生気に欠けるものの、豊かな風格が感じられ、バックの豊麗なオーケストラの響きも、大きな魅力のひとつとなっている。

文句のつけようがない名演で、このコンビで聴いていると、この両曲は少しも難しくなく、きわめてスムーズで美しい音楽に聴こえるから不思議である。

音声はPCMステレオ、ドルビー5.0サラウンド、DTS5.0サラウンドの3種類が選択でき、画質、音質とも優秀だ。

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2015年02月21日


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本盤には、パールマンとジュリーニが、1976年に録音したブラームスのヴァイオリン協奏曲が収められている。

ブラームスならではのロマンティックで香り高いこの名曲は、ベートーヴェンやメンデルスゾーンの作品に劣らぬ人気を誇っており、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の名盤は数多いが、このディスクは独自の光彩を放っている。

このCDは独奏者の名人芸を楽しむような演奏とは対極の演奏であり、真にブラームスを愛するファンには、曲そのもののもつ美しさを心ゆくまで堪能できる、たまらない魅力を持った演奏と言える。

素晴らしい名演だと思うが、その成功の要因は、まずはジュリーニ&シカゴ交響楽団による名演奏にあると言えよう。

ジュリーニは、イタリア人指揮者でありながら、ブラームスなど独墺系の楽曲を得意とした指揮者であるが、本盤でも、そうした実力を大いに発揮している。

ブラームスの重厚なオーケストレーションを、無理なくならすとともに、そこに、イタリア人ならではの温かみのある音色を加えた味わい深い演奏を行っていると言えるのではないか。

どの箇所をとっても、ヒューマニティ溢れる美しさに満ち溢れている。

ブラームスの他の楽曲では、こうしたアプローチが必ずしも功を奏するわけではないが、ブラームスの楽曲の中でも明るさを基調とするヴァイオリン協奏曲の場合は、こうしたジュリーニのアプローチは見事に符合する。

常々ジュリーニはゆったりとしたテンポで十分歌いつつ、巨大な伽藍のようなスケール感を持ったブラームスを聴かせてくれるが、このパールマンとの共演においてもスタンスは一向に変わっていない。

楽譜に刻まれた1音1音を真摯に読み込み、オーケストラをよく歌わせている。

シカゴ交響楽団もジュリーニの指揮の下、実に楽しげに音楽を奏でているようだ。

シカゴ交響楽団の優秀さは改めて言うまでもないが、ここではジュリーニの指揮のもと、低弦の安定した分厚い、いかにもドイツ的なサウンドをつくり上げていて見事である。

こうした骨太で安定感抜群の伴奏の下、若きパールマン(31歳)の、気迫あふれる演奏が印象的で、変幻自在の素晴らしい名技を披露している。

まさに唖然とする巧さと言うべきであるが、ジュリーニの名指揮によって、技量だけが全面に出ることなく、ロマンティックでスケールの大きなブラームスとなっていて、内容の豊かさが伴っているのも素晴らしい。

そのレパートリーなどから、やや軽く見られてしまうパールマンも、ジュリーニの要求によく応え、ブラームスの音楽への献身的な演奏を実現している。

どんな難曲でもスイスイとこなしてしまうパールマンだが、これは少し違っている。

それはまるで挑戦者のようにもの凄い意気込みで、彼の情熱がじかに感じられる数ないもののひとつだろう。

このディスクが仏ACC,ADFディスク大賞、米グラミー賞など、さまざまな栄誉に浴したことも当然の事だろう。

巨匠ジュリーニの見事なリードとサポートにより、パールマンが伸びやかに、そして緻密に聴かせる演奏は今でも同曲随一の名盤としての地位を譲っていない。

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2015年01月25日


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20世紀における最も偉大なヴァイオリニストの1人と評され、全世界で演奏活動を続けているヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンが録音した20世紀ヴァイオリン協奏曲の名曲。

20世紀を代表する2つのヴァイオリン協奏曲を収めているが、両曲ともに、ヴァイオリニスト、指揮者、オーケストラの3拍子が揃った類稀なる名演だと思う。

筆者は、ベルクのヴァイオリン協奏曲の数多い録音を聴いてきたが、パールマンのこの録音以上に美しい音色でこの曲を弾いた演奏を知らない。

ベルクのヴァイオリン協奏曲は、親しかったアルマ・マーラーの愛娘の死を悼んだレクイエムであると同時に、自らの死を予感した自伝的作品とも言われるが、パールマンは、決して技巧のみを全面に打ち出してはいない。

ヴァイオリニストにとっての難曲の1つであり、超絶的な技巧を要する曲であるのだが、パールマンは、むしろ内容重視。

ベルクが同曲に込めた人生の寂寥感や絶望などを、実に清澄な美しい音色で描いて行くが、表面的な美しさにとどまらず、同曲に込められた深い内容を掘り下げていこうという真摯なアプローチが素晴らしい。

それでいて、卓越した技量にはいささかの不足はなく、このような現代音楽を得意とした小澤&ボストン交響楽団も、これ以上は求め得ないほどの最高のパフォーマンスを示している。

パールマンの色気のあるヴァイオリンと小澤の繊細で美しいオケ・ドライヴが楽しめる。

アルマの娘のエピソードも、この演奏の前にはあまり意味がないように思えるほど「純」ヴァイオリンに徹していて気持ちがいい。

この名曲を初めて聴く人も、既にいろいろな演奏を聴いている人も、十分満足できる名演である。

それにしても、第2楽章の中間部で、雲の切れ間に現れる青空の様に聴こえるバッハのコラールは、何と美しい音楽だろうか。

筆者は、あのコラールに、ベルクが、自分の深い秘密をこめたような気がしてならない。

一方、ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲は、ベルクに比べると、暗いトンネルを抜けた明るさが持ち味の曲であるが、あくまでも内容重視のパールマンのアプローチや小澤&ボストン交響楽団の好パフォーマンスには変わりがない。

パールマンが少々強引な演奏を聴かせるが、小澤の指揮が非常に生き生きしていて、ストラヴィンスキーの新古典主義と小澤の相性の良さを感じる。

他方、併録のツィガーヌは、パールマンの超絶的な技巧を味わうことができる名演だ。

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2014年10月26日


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本盤にはヴァイオリン界の雄パールマンが、30歳を少し越えた頃の、脂の乗り始めた時期に残したブルッフの2大名作が収められている。

ブルッフは、ブラームスとほぼ同時代の作曲家であり、交響曲をはじめ、様々なジャンルの作品を遺しているにもかかわらず、今日でも演奏される機会があるのは、ヴァイオリン協奏曲第1番、本盤に収められたスコットランド幻想曲など、僅かしかない。

辛口のブラームスでさえ、ブルッフを評価していたのであり、それは相当に不当な評価と言わざるを得ない。

ブラームスのように、堅固な様式美を誇ったわけでもなく、むしろ旋律の美しさが際立つ作品を遺したこともあって、もしかしたら、そのあたりに聴き手に飽きられる要因があるのかもしれない。

もっとも、スコットランド幻想曲など、その極上の旋律美には、身も心もとろけてしまいそうになるくらい魅力的だ。

そのような作品だけに、パールマンのように、明るくて美しい音色と華麗なテクニックを看板にするヴァイオリニストの演奏がよくないわけがない。

パールマンは、何の抵抗もなく音楽自体の美しさを伝えてくれる。

序奏ではデリケートに感じ入ったピアニッシモや心をそそるポルタメントが美しく、特に高音の浸透性は絶品だ。

パールマンの明るく美しい音色と華麗なテクニック、加えて豊かなニュアンスがこの名作をひときわ印象深いものにしている。

本演奏は、スコットランド幻想曲の美しさを見事に表現し尽くした素晴らしい名演と高く評価したい。

併せて、本盤には、第1番に比して殆ど演奏されないヴァイオリン協奏曲第2番が収録されているが、極めて美しい名演であり、録音が殆どなされていないという意味でも貴重な演奏と言える。

筆者としても余り親しみのある楽曲ではないが、それでもパールマンの手にかかると思わず聴かされてしまう。

落ち着いたテンポで仕上げているが、香りや懐かしさに満ち、心のこもった演奏だ。

およそ隙というものが見られぬ偉大なる名演と言える。

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2014年04月26日


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チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」は、必ずしも室内楽曲を得意とはしていなかったチャイコフスキーの作曲した室内楽曲の中でも異例の名作であるだけでなく、古今東西の作曲家によるピアノ三重奏曲の中でも、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲「大公」と並ぶ傑作と言えるのではないだろうか。

ベートーヴェンの楽曲ほどの深みはないかもしれないが、それでも旋律のロシア風の憂愁に満ち溢れた美しさは実に魅力的であり、楽曲全体の構成的にも非常によく書けた作品である。

これだけの名作だけに、チョン・トリオやウィーン・ベートーヴェン・トリオによる名演、そして、いわゆる百万ドルトリオ(ルービンシュタイン、ハイフェッツ、ピアティゴルスキー)による歴史的な超名演など、数々の素晴らしい名演が成し遂げられてきているところだ。

また、アルゲリッチ、マイスキー、クレーメルによる現代的なセンスに満ち溢れた名演も存在しており、おそらくは、今後も、名うてのピアニストやヴァイオリニスト、チェリストによる様々な個性的名演が生み出されていく可能性を秘めた懐の深い名作と言っても過言ではあるまい。

本盤には、アシュケナージ、パールマン、ハレルの3者による同曲の演奏が収められている。

本演奏は、個性という意味においては、前述の海千山千の個性的な錚々たるピアニストやヴァイオリニスト、チェリストによる名演と比較すると、若干弱いと言わざるを得ないところだ。

しかしながら、聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さには出色のものがあり、加えていい意味でのヴィルトゥオーゾ性も見事に発揮している。

要は、同曲の美しさ、魅力を十二分に描出した演奏を行っていると言えるところであり、我々聴き手が同曲の魅力を安定した気持ちで味わうことが可能な演奏と言えるのではないかと考えられる。

いずれにしても、本演奏は、前述のように強烈な個性にはいささか欠けるところがあるが、いい意味での演出巧者ぶりを十二分に発揮した素晴らしい名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

音質については、1980年のスタジオ録音であり、従来CD盤でも比較的満足できる音質であった。

しかしながら、今般のSACD化で大変驚いた。

従来CD盤とはそもそも次元が異なる見違えるような、到底信じられないような鮮明な音質に生まれ変わって、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

アシュケナージのピアノタッチや、パールマンによるヴァイオリン演奏、ハレルによるチェロ演奏の弓使いまでが鮮明に再現されるのは殆ど驚異的ですらある。

いずれにしても、アシュケナージ、パールマン、そしてハレルによる素晴らしい名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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2010年07月01日


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パールマンの溌剌とした情感があふれ出たような演奏だ。

アーティキュレーションが格別に見事な、そして自らの表現力とテクニックを誇示するといっても過言ではないその演奏は、それぞれの曲をいわば白日のもとに置く。

あまりに光の部分が表に出過ぎてはいるが、このヴァイオリンの名手の音楽に輝かしい光を当てる、颯爽とした見事な演奏であることは確かなことだ。

このヴァイオリニストらしい、本質的に奔放さをもった音楽的資質と楽器そのものの生理とあいまって、まことに自在感に満ちた表現を生み出している。

小品のそれぞれが鮮やかな個性を主張する若々しい演奏であり、じっくりと味わえる演奏。

イツァーク・パールマンとクライスラーの作品というと、ちょっと合わないように思う人もいるかもしれないが、実は彼の演奏するクライスラーの音楽は、ウィーンの演奏家にも劣らないほどウィーン風の美しさを持っている。

それはひとつには、パールマンがどんな曲を弾いても常に自分自身で音楽を楽しんで演奏する、そうした彼の演奏の本質によるものだが、それに加えてこのクライスラーの音楽では、嫌味のない自然なポルタメントを用いて、ウィーン独特の雰囲気を醸し出していることにもよる。

例えば、ドヴォルザークの《スラヴ舞曲》の編曲では、多用されている二重音の表現にノスタルジアさえも感じられ、ドヴォルザークよりもウィーンのクライスラーを強く感じさせる。

また《美しきロスマリン》や《愛の悲しみ》などの、微妙なテンポの揺れやワルツのリズムの取り方にも独特のものがあり、ピアノのサンダースのうまさも注目される。

ヴァイオリンの音楽には、この楽器の官能性を追求する作品があるが、クライスラーの作品はその最たるものである。

そこでは倫理的な音楽はかえって邪魔になるといった事情をパールマンはよくわきまえ、一応芸術としての枠内に留まりながら色気をも充分に発揮した演奏を聴かせてくれる。

その境界をわきまえることは、実はとても難しいのである。

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2010年04月19日


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パールマンというヴァイオリニストは、いつも高度なテクニックを万全に発揮させ、明るい音色を駆使しながら、活気あふれる雄弁さで底抜けに楽天的な音楽を、高い完成度でつくり上げていく。

それはここに聴くシベリウスの協奏曲(併録されているコルンゴルド、シンディングともども)においてもかわりはない。

きわめて明るく開放的な音色をもつパールマンだけに、重く暗い北欧的な情緒にはやや乏しいが、内に秘められた情熱を、メリハリをつけながら、巧みな設計で表出しているところにひかれる。

複雑に屈折したり、暗く悲観的になったりはしないで、どこまでも明るく、のびやかに発想された演奏となっている。

ごく通念的な見かたでは、シベリウスの協奏曲は北欧ふうの澄みきった情感とほの暗いトーンが入り混じっていると解されることが多い。

その点ではこのパールマンの演奏はユニークだ。

ユニークで、完成度の高い演奏である。

シベリウスはパールマンが真正面からケレン味なく切り込んだ演奏で、凛然たる音色が美しく、緊張感に満ちている。

北欧の楚々としたいじらしい香りには乏しいが、高度な実力に支えられた開放感と雄弁な迫力がすさまじい。

フィナーレなど後期ロマン派の作品を聴くような趣だ。

シンディングも鮮やかな技巧によって、ものおじせずに楽器を鳴らしきった名演だ。

プレヴィンのバックも立派。

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2010年02月08日


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パールマンとレヴァインという同一世代の顔合わせで演奏様式の統一がはかられ、素晴らしい演奏になっている。

パールマンとレヴァインはほぼ同世代にアメリカに育った音楽家で、どこか共通の気質を持っており、それがモーツァルトの音楽の底に流れる個性と一致して、見事な演奏を生み出している。

モーツァルトの音楽のもつ優美な趣を、完全に身につけているウィーン・フィルのバックだけに、パールマンは思い切って自分の音楽をつくりあげ、流麗に弾きあげている。

パールマンはグリュミオー同様、すこぶる美麗な音色の持ち主で、それに加え曲想の変化を巧みにつかみ、微妙に音色を変化させている。

パールマンの美しい音、それは単に感覚的な美しさだけでなく、緻密な音質と滑らかな響きをもつ。

音色が感情の動きに応じて変化し、演奏も自然な流れの中で細かく変化する。

パールマンは一分の隙もないと同時に、余裕が十分あり、それが演奏に豊かな、落ち着いたムードを与えている。

ここでは、あざやかなテクニックとともに、そうしたこまやかな音楽づくりも見事で、モーツァルトの演奏家として高い評価を得ているレヴァインの好伴奏に支えられ、のびのびと、活気をもって表現しているのがよい。

レヴァインの指揮はすっきりまとめており、オケの柔らかな響きを生かして、力とエネルギーを引き出している。

明確なフレージングで、かなり引き締まった演奏をしているが、堅さは少しもない。

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2010年02月07日


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断片や未完の作品を除いて、第24番以降のヴァイオリン・ソナタ全16曲が収められたアルバム。

一聴してヴァイオリンとピアノの流麗な響きに耳を洗われる思いがする。

パールマンとバレンボイムの2人が、全ての曲にわたって実にこまやかな神経の行き届いた、それでいて随所に鋭い踏み込みのある表現を見せる。

パールマンとバレンボイムの心の通い合った絶妙のアンサンブルが、モーツァルトの作品の魅力を余すところなく引き出している。

それは単に豊かな情感のなかに溺れるのではなく、ここには時に支え合い、時には競い合うといった、真のアンサンブルの幸福な瞬間を聴くことができる。

その安定したリズム感は抜群だ。

どの曲においても、パールマンの艶やかで繊細さを持った音色と、豊かで歌心のある表情が冴え渡っており、モーツァルトの心を隅々まで照らし出して余すところがない。

そして何よりもバレンボイムのピアノが本当に雄弁なのには驚かされる。

そのちょっとした表情のつけかたが、いかにも粋でセンスがあり、言いたいことがすっきり浮かび上がる。

また、彼のピアノは抑制され、考えぬかれた繊細な表情のなかに音楽の陰影が見事に描かれている。

まさにバレンボイムが天性のピアニストであることを強く印象づける演奏だ。

なかでも第28番と第30番は聴きものである。

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2009年07月20日


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パールマンの20代後半の演奏。

ヴァイオリンの超絶技巧をもりこんだこの難曲を、パールマンはこともなげに楽々と、そして見事に弾ききっている。

「魔神」とまで恐れられたパガニーニが開発したといわれる極めて高度な難技巧が集約された《24のカプリース》は、技巧のための練習曲とみなされた時代もあったためか、ハイフェッツをはじめとする20世紀前半の名手たちはほどんど録音していないし、演奏家にとって録音する時期が難しい作品でもある。

1960年代後半から活躍をはじめたパールマンにとっても、最良の時期の録音だったに違いない。

そのほとんど完璧といえる研ぎ澄まされた技巧のすばらしさは、アルペジオやスピッカート、各種の重音奏法など、さまざまな難技巧に余裕すら感じさせるし、作品本来の魅力を鮮やかに再現している。

パールマンは、4歳の時小児麻痺にかかり、以来下半身が不自由となったが、彼の演奏にはそうしたことからくる暗さはみじんも感じられない。

むしろ、持ち前の美音を生かしながら、のびのびと明るい音楽をつくりあげているが、これは、そうした彼の持ち味が最高度に発揮された演奏といえよう。

各曲のもつ味わいを、表情豊かに、時には幻想的に表現しており、聴いていて飽きることがない。

同曲の演奏にときおり見られるような自虐的な悲壮感はなく、その音色はどこまでも暖かく、どの曲からも演奏という行為の愉悦が感じられるところが好ましい。

パールマンにとっても二度と望めぬ名演だろう。

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2009年07月03日


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極めて自信たっぷりな、実に健康的な名演。

ラロはこの作品にみなぎる、明るくリズミカルな性格を強調した演奏で、開放的でエネルギッシュな表現である。

こうした色彩的で華やかな作品は、パールマンの肌にぴったりと合っているせいか、隅々にまで乗りに乗って演奏しているのが、なんとも快い。

特に第1楽章は優れており、ヴァイオリンの音として結晶化しきっていて、この楽器の種々相を最高のテクニックと音楽性で示してくれる。

バレンボイムの好サポートも見逃せない。オケから豊かな量感を引き出し、堂々とした厚みのある、スケールの大きな演奏を展開する。

特に舞曲調の終楽章は、このふたりの息の合ったかけあいが聴きものだ。

サン=サーンスも同様の好演だが、作風に合わせてパールマンの特質がやや制御されているのも極めて妥当だ。

音色の美しさはグリュミオーと同じだが、パールマンの演奏は、巧みな抑制をきかせながら、内からわきあがる情熱を力強く表出している。

第1楽章の暗く劇的な表現も見事だし、第2楽章の豊かな歌にあふれたバルカロールの歌わせ方も素敵だ。

バレンボイムの棒も、パールマンとの共演が多いだけに、息が合っている。

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2009年06月16日


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ベートーヴェンは、この曲の旋律的な美しさをあますところなく表出した演奏である。

パールマンの技巧は完璧そのもので、しかも豊かで美しい音色はこの上もなく魅力的だし、また演奏のスケールも大きく、ヴィルトゥオーゾの貫録を漂わせている。

終始自信に満ちた演奏で、どの部分をとっても楽器が完全に鳴り切っている。

旋律はよく歌い、音色は明るく艶やか。情感にも富んでいて、瑞々しい抒情性も失わず、音楽があくまで自然に豊かに溢れ出てくる。

無駄のないボウイングは緻密で清らかな音を生み出し、それが明快なフレージングと結びついた演奏は、実にのびやかで同時に引き締まっている。

これほど豊かに歌わせ、しかも美麗に磨きあげた演奏というのも珍しい。

パールマンの演奏で聴いていると、この曲は少しも難しくなく、きわめてスムーズで美しい音楽に聴こえるから不思議である。

彼の個性が最も効果を挙げているのは第2楽章だろう。

真摯であるがむきにならず、余裕をもって演奏しているため、音楽は豊かな雰囲気で聴き手に訴えかけてくる。

ジュリーニの堂々としたスケールの大きな好サポートも特筆すべきで、充実した荘重な運びの中にソロを包み、第1楽章や第3楽章などでのパールマンとの激しいわたりあいは聴きものだ。

再録音のブルッフも素晴らしく、自信にあふれた美音であくまでも明るく、粘りをもって弾いており、楽器が完全に鳴り切っている。

テクニックの切れも素晴らしい。

ハイティンクの指揮も、彼にしては珍しいほど気迫に満ち、オケも燃え切っている。

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これは数多いパールマンの録音の中でも特にすぐれたもので、歌う楽器ヴァイオリンの魅力を手放しで謳歌したような名演。

やはりのびのびと屈託のないスムーズな技巧でパガニーニの超絶技巧を再現した、素晴らしいものといえよう。

アッカルド同様、立派な弾きっぷりで、思い切りカンタービレを効かせた第1&2楽章も卓抜だが、ことに素晴らしいのは浮き立つようなリズムを軽やかに表現した第3楽章で、切れのよいリズムが躍動し、この楽章のしゃれた気分を見事に弾きあげている。全曲愉しさの限りだ。

全体に明るく甘美で、この曲がヴィルトゥオーゾのための難曲中の難曲とは思えないほど、すっきりと明快に、楽天的な気分で演奏している。

テクニックも抜群で、これほど小粋で爽快なスタッカートを弾ける人はそう多くない。

五嶋に比べるとパールマンには、一種の甘美さといった要素も含まれていて、ふくよかな音色の美しさはパールマンならではだ。

五嶋のような熱情的な曲への没入はみられないが、より覚めた感覚の客観性が、かえって一般的といえるかも知れない。

サラサーテもパールマンの代表的な名演で、次々と登場する技巧の粋の見事さに、しばし時間を忘れてしまう。

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メンデルスゾーンは、あくまでもリラックスして、美音を浪費するかのような、いかにもパールマンらしい伸びやかな素晴らしい名演といえる。

パールマンはヴァイオリンの特性を生かした、朗々と歌う美しい演奏を展開している。

テクニックの優秀さは言うに及ばず、音色の透明なことと歌に感情がこもっていることでも、他に比肩する演奏はちょっと見当たらない。

あまりに美しくてうますぎて、内面性に乏しいなどと、贅沢なケチもつけたくなるほどの、完全無欠な演奏なのである。

ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管も、パールマンにピッタリと付けて遺漏がない。

チャイコフスキーも文句のつけようがない名演。

快刀乱麻を断つような技巧の冴えと、磨き抜かれた美しい音色、そしてヴァイオリンをヴァイオリンらしく歌わせる、そのセンスの良さは、パールマンの天性の賜物だろう。

少しも難曲らしくなく、自然で融通無碍な演奏だ。

またここでのオーマンディの指揮も見事の一語に尽き、「協奏曲の神様」と謳われた巨匠の面目が躍如としている。

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2009年05月28日


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パールマンの同曲集初録音で、40歳を契機としての録音である。

現代ヴァイオリン界の鬼才パールマンの才能がぞんぶんに発揮された演奏だ。

パールマンは、きわめて自然に音楽の流れをつくりあげているが、そこには彼の円熟した、深い芸術性が示されている。

パールマンの演奏は、クレーメルとは対照的で、いかにもヴァイオリン的な美感を謳歌した、肉感的ともいえるなまめかしさが、これまた実に魅力的である。

徹頭徹尾享楽的でありながら、音楽としては完璧に近く、また技術的にも申し分のない名演になっている。

パールマンは感覚的で外向的、いや楽天的といってもいいほど、天真爛漫な曲との戯れさえ窺える。

そして何よりも音色が美しいのが、彼の演奏の最大の良さでもあろう。

ここには、パールマンのこれまでの演奏家としての実績が集大成されている。

のびのびとした自然体で音楽に向かう態度からは、バッハを征服しようといった気負いはまったく感じられない。

それだけに、作品はバロックの産物といった時代性を超えて、まさにいま生きている音楽として、聴き手にアピールする。

パールマンの卓越したテクニックと音楽性の前に、聴き手はこの作品の演奏の困難さを忘れ、音楽そのものをじっくりと聴かされることになる。

この曲の現代における最高の名盤といえよう。

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2009年02月05日


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まず、パールマンとアシュケナージのふたりの卓越した技巧と美しい音色に魅了されてしまう。

パールマンのヴァイオリンは、やや線が細いが、美しく流麗に弾きあげており、アシュケナージの明快で力強いピアノが、しっかりと支えている。

ふたりの呼吸がぴったりと合った端正な演奏である。

両者とも卓越した技巧を示しているが、それが単に表面的な技巧にとどまらず、素晴らしい熱気や内面的充実感をもっている。

時には2人が極めて奔放に演奏しているかのように思わせながら、少しも粗さを感じさせない。

「クロイツェル」のほうが断然素晴らしく、その気概と熱気に圧倒されるが、抒情ときらめくような輝かしさもある。

熱っぽい迫力で全曲を弾き通し、手に汗を握らせる緊迫感を見せるが、デモーニッシュな魅力と変化にやや不足する。

とはいえ、フレッシュな情熱をぶつけた真摯な演奏ぶりには好感がもてる。

「春」も素晴らしく、よく歌う演奏だが、節度と端正さが音楽を引き締めている。

ふたりがともに豊かな美音と、決して深刻ぶらない表現をとるタイプだけに、この「春」は特に理想的な名演となっている。

透明感に溢れたアシュケナージのピアノに乗って、パールマンがまさに自在に多彩な表情を聴かせるが、特に緩徐楽章の美しさは絶品。

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2008年11月30日


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2つの協奏曲は作曲された時期も性格もかなり違うが、パールマンはそれぞれの特徴を生かしながら安定した演奏を展開する。

彼のテンペラメントからすれば当然かもしれないが、彼の成長を示すものといえよう。

美しい音色を存分に生かしながら、あざやかな技巧で弾きあげた演奏である。

パールマンというと、どちらかといえば、甘美でロマンティックな作品を得意としているように思われがちだが、「第1番」のような鋭角的な力強さにあふれた曲もうまい。

きわめて急進的な作風で書かれたこの曲を、現代的な感覚で、はつらつと弾きあげているところにひかれる。

ことに第1楽章の激しく劇的な曲想のもりあげかたは巧妙だ。

だたしプロコフィエフの音楽ならではの諷刺的な味つけはもうひとつだ。

保守的な作風で書かれた「第2番」は、作品の旋律的な美しさを豊かに表出している。

民族的な色合いをフレッシュで素直に表現しているところもよい。

ロジェストヴェンスキーの指揮も成功の原因の1つで、リズム処理に抜群のうまさを発揮していてひきつける。

ソロを支えるリズム型1つにも深々とした表情を与えるが、現代の"業師"の組み合わせならではの魅力だ。

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2008年04月13日


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フランク:ヴァイオリン・ソナタの屈指の名盤である。

パールマンは、1945年にテル・アヴィヴで生まれたイスラエル出身のヴァイオリニストである。

1958年にアメリカの人気テレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」に出演して一躍有名になり、ニューヨークのジュリアード音楽院で名教師ガラミアンとディレイに師事した。

現在、彼は主にニューヨークを中心に、欧米各地で活躍しており、ズーカーマンやチョン・キョンファ、クレーメルらとともに、現代のヴァイオリン界をリードしている逸材のひとりである。

一方、アシュケナージは、最近は指揮者としても活動しているが、ピアニストとしても近年ますます円熟味を増してきている。

これは、現在、最高の2人の名コンビによる二重奏である。

両者ともたいへん音色的に美しく、テクニックも完璧で、アンサンブルも精妙だ。

こまかな部分にも神経がよく行き届いており、そのデリケートな表情には魅了される。

この作品のもつ古典美と詩情とをこれほど見事に表出した演奏というのも珍しい。

なかでも、第1楽章の落ち着いた気品のある表現や第2楽章の情熱にあふれる演奏は素晴らしい。

アシュケナージのピアノが演奏の大きな支柱となっており、室内楽奏者としての鋭敏さとデリカシーが光っている。

彼の姿勢に呼応するパールマンの姿勢も見事で、耽美と抒情にあふれている。

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2008年02月08日


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EMI盤はヴァイオリンもピアノも、ブラームスのロマンティシズムに共鳴しながら、ニュアンスに富んだ演奏を繰り広げている。

アシュケナージの熟達したピアノには、深い精神性の裏付けが感じられる。

パールマンも表情や音色を抑えて、音楽の核心に迫ろうという姿勢が好ましい。

特に、第2番は抒情性豊かな作品だけに、2人の昂揚した気分がみなぎった演奏で、一段と光彩を放っている。

実に情感豊かな熱気のこもった表現である。

ソニー・クラシカル盤はパールマンとバレンボイムという天才肌の二重奏ならではの味わいにあふれ、潤いに満ちたブラームスの世界が広がる。

パールマンの音には繊細な美しさに加えて、表情の落ち着きがあり、耳に極めて快い。

彼の音楽センスのよさは抒情的な歌の旋律を過剰に歌い回さないことにあるが、それでいて旋律は十分に表情豊か。

その点がバレンボイムの気質とも見事な一致をみせ、ブラームスの室内楽の本質的な美を引き出している。

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