サヴァリッシュ

2016年08月04日


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本BOXには、主に1960年代の若き日のサヴァリッシュの録音が14枚収録されている。

ブラームスの『ドイツ・レクイエム』を聴いて先ず感じることは、サヴァリッシュの指揮は自然に聴衆を引き込んで、心に沁みこんでくるような優しさと平易な音楽作りにあることだ。

それは彼が常に聴き手に分かり易い明晰な音楽の再現を心掛けるという真摯で理知的な姿勢を貫いたからだろう。

メンデルスゾーンの『エリア』にも言えることだが、ソリストを始めオーケストラやコーラスへの行き届いた統率力も見事で、洗練を極めながらクライマックスへの盛り上げでは壮麗な美しさを湛えている。

またハイドンでの屈託のない喜遊性の表出やメンデルスゾーンの交響曲で聴かせるダイナミズムの模範とも思える指揮法は、単なる描写的な音楽に堕しない普遍的な高い音楽性を示している。

一方シューベルトやブラームスの整然とした秩序の中に秘めるロマンティシズムには、やはりドイツ系の音楽としての明確なスタイルが感じられるが、全オーケストラの総奏部分では思い切った劇的な表現が試みられていて、鑑賞する側に音楽の本来の歓びを提供することを忘れなかった指揮者としての存在感は大きい。

サヴァリッシュは若い頃からの豊富な舞台音楽の経験から、歌物でも無類の実力を発揮している。

ライナー・ノーツによれば彼はバイエルン国立歌劇場のカペルマイスターだった1971年から92年までの間に1200回の演奏会をこなしていて、中でもワーグナーの『ニーベルングの指環』全曲上演は32回に上るという恐るべきキャリアを積んでいる。

そのほかにもリヒャルト・シュトラウスのオペラ全曲上演を果たしているのも周知の通りで、勿論コンサート指揮者としてもスイス・ロマンド管弦楽団、ウィーン交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団などの首席を歴任しているし、N響桂冠名誉指揮者として日本の楽壇への重要な貢献者でもある。

それに加えて彼はピアノ奏者としてシュヴァルツコップやフィッシャー=ディースカウ、プライやシュライヤーなどの伴奏や、室内楽の共演者としておよそ信じられないくらいの八面六臂の活躍が記憶に新しい。

その意味では自己のポリシーを着実に実践に移し得た、良い意味での職人気質も持ち合わせていたと言えるだろう。

強い個性で勝負するアーティストが多い中にあって、サヴァリッシュは音楽家の王道を歩んだ人で、彼の他界を惜しむ者の一人として、改めて心から追悼の意を表したい。

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2016年07月23日


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チェコ・フィルハーモニー管弦楽団としばしば共演を重ね、団員達からもチェコの音楽作品の最高の理解者の一人として信頼の厚かったヴォルフガング・サヴァリッシュが、主としてプラハのラジオ放送用に遺した未発表客演ライヴ集で、2013年の2月に亡くなった彼への追悼盤のひとつになる。

5枚のCD総てが1970年から87年までのライヴ音源で、拍手も入っているが客席の雑音は殆んどなく、またアナログ、デジタルの両方式が混在しているがリマスタリングの効果もあって音質は極めて良好だ。

一通り聴いてみたが、1970年代の初期の録音では響きがややデッドで、ごく一部に僅かなノイズが聞こえる程度で破綻のない安定した録音状態なので鑑賞に全く不都合はない。

ライナー・ノーツにも書かれているが、サヴァリッシュは稽古の時でも決して声を荒げたり、激しいジェスチャーでオーケストラを統率するようなことはなかったようだ。

一方で彼の音楽は理知的だが神経質にならず一貫した緊張感と滾るような情熱、そしてオリジナリティーにも不足していない。

そこには黙っていても団員を率いていくだけの作品に対する深い見識と高度な指揮法があった筈である。

特に後半の2枚はチェコ・フィルが他のオーケストラには譲れないお国物のレパートリーで、ヤナーチェク、マルティヌー、ドヴォルザークとエベンの作品が採り上げられている。

中でもヤナーチェクの『グラゴル・ミサ』及びマルティヌーの『戦場ミサ』は民族的な士気を高揚させる曲だけあって、オーケストラの燃焼度が高いだけでなく、声楽曲に卓越した能力を発揮したサヴァリッシュの面目躍如たる演奏だ。

『戦場ミサ』での男声合唱の水準の高さはサヴァリッシュの実力を見せつけている。

惜しむらくは『グラゴル・ミサ』でのソロを歌う歌手達が若干非力なことだろう。

最後に置かれたペトル・エベンの『プラハ・ノクターン』はこの都市で『ドン・ジョヴァンニ』を初演したモーツァルトに捧げられた曲で、大編成のオーケストラで演奏される現代のプラハへのオマージュでもある。

マルティヌーの交響曲第4番でも顕著だが、こうした現代音楽にみせるサヴァリッシュの繊細で緻密な音楽設計と音響への要求に応じて機動力を駆使するオーケストラの自在さも見事である。

ライナー・ノーツは34ページで彼のチェコ・フィルとのキャリアと短いインタビューが英、独、仏、チェコ語で掲載されているが、そこには日本での体験として日本人のクラシック音楽への感受性についても興味深いコメントがある。

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2016年07月07日


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私達はある曲が演奏される時、その曲目が良く知られていればいるほど演奏者の個性に興味を示す傾向がある。

確かに個性豊かな演奏はしばしば魅力的だが、作曲家の書いた原点に注目する場合、その個性が枷になってしまうことも往々にしてあることを忘れてはならないだろう。

サヴァリッシュの演奏は大見得を切るような個性や斬新な解釈などには殆んど無関心のように思える。

しかし作品と演奏の間には、あえて言うならば黄金比のような絶妙なバランスが常に保たれていて、しかもきめ細かな創意工夫が随所に聴かれる。

彼はその再現に徹するだけで全く恣意的な意図は感じられない。

こうした指揮者としての姿勢を貫くにはそれを裏付けるだけの作品への深い見識と豊富な経験が不可欠だろう。

例えばブラームスの第1番の冒頭は音量ではなく、音響のバランスでその荘重さを見事に感知させている。

この演奏を聴くまで筆者はこの曲の始まりの部分が、余りにも不釣合いなこけおどしのようで好きになれなかったが、サヴァリッシュがブラームスの考えていた楽想を代弁してくれたという気持ちになった経験がある。

EMIにもかなりの量の録音を遺したサヴァリッシュだが、先だってEMIコリアからその全集が彼の追悼盤としてリリースされた。

一方こちらのイコン・シリーズはベートーヴェンとブラームスの交響曲全曲を中心としたより簡易な8枚組で、サヴァリッシュの誠実で安定した至芸をロイヤル・コンセルトヘボウとロンドン・フィルの2つの名オーケストラで鑑賞できるセットとしてお薦めしたい。

ブラームスに関しては全曲セッション録音だが、ベートーヴェンでは交響曲第8番及び第9番の2曲がライヴから採られている。

サヴァリッシュらしくどの曲にも精緻な采配が行き届いているが、決してそれがスケールの小さい神経質なものにならず、また情熱にも不足していない。

ライヴで見た彼の指揮はオーケストラの団員に細かく指示を出す冷静かつ実質的なもので、決して抽象的な仕草をすることがなかったのも印象に残っている。

その指揮法は最年少指揮者としてバイロイトに登場したワーグナーのスペシャリストとしては意外かもしれないが、実際には大編成の楽劇ともなれば注意深く八方に目を配らなければならない実務的な必然性から、こうした統率力が培われたのかも知れない。

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2015年12月16日


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2013年2月惜しまれつつ鬼籍に入った指揮者サヴァリッシュの業績を偲ぶために買ったCDのひとつで、彼は早くからオペラ畑でも頭角を現したが、ピアニストとして、また室内楽の演奏家としても評価が高かった。

そうした総合的な幅広い音楽観がサヴァリッシュの指揮に良く表れていると思う。

ミュンヘン生まれの指揮者サヴァリッシュは、およそ20年間音楽監督あるいは総監督としてバイエルン国立歌劇場に在任したが、当歌劇場を去るにあたって録音したこの『マイスタージンガー』は、彼と劇場の幸せな結びつきを証明する特別のもののように思える。

彼らが分かち合ったに違いない“おらが町のオペラ”の情熱がこの名盤を生んだのだろうか。

サヴァリッシュは自身が鍛え上げた柔軟で統制のとれたオーケストラとコーラスを手足のように駆使して、平易で説得力のある素晴らしい音楽を作っている。

サヴァリッシュの指揮は分かり易いということでオーケストラのメンバーからの信頼も厚かった。

抽象的な表現や要求はできるだけ避け、より現実的で隅々まで統制の行き届いた明晰な音楽作りがサヴァリッシュの特徴だ。

その点では同僚カルロス・クライバーとは対照的だったと言えるだろう。

決して即興的な指揮はしなかった堅実で理知的な指揮者だったが、誰にも引けを取らない繊細かつ情熱的な感性を持っていたのも事実だ。

1957年バイロイト歌劇場に当時としては史上最年少の33歳で起用され『トリスタンとイゾルデ』でデビューしたのもそうしたサヴァリッシュの実力が認められたからに違いない。

このセッションが録音されたのは1993年で、既にワーグナーの作品にも熟達していたサヴァリッシュの円熟期の職人的な技が傑出した、隙なく几帳面にまとめられた如何にもサヴァリッシュらしい出来栄えになっている。

聴衆を陶酔の渦に巻き込むような幻惑的な演奏とはタイプを異にする、文学と音楽とをより有機的に結び付けたサヴァリッシュのポリシーが伝わる真摯な演奏だ。

あくまでもワーグナー的なカタルシスの魅力を求める人にとっては意見が分かれるところかも知れない。

しかし決して冷淡な演奏ではなく、控えめだが豊かな情感が随所に感じられるし、喜歌劇としての明朗さがあり、また登場人物の性格を音楽で描き分ける手腕も見事だ。

それゆえ最後まで忍耐強く聴き取ろうという人にとっては、これほど良くできたセッションもそう多くない筈だ。

歌手たちも当時としては最良のメンバーが選ばれていて、深く豊かな声を聴かせるヴァイクルのザックスは極めつけ。

またヴァルター役のテノール、ヘップナーの力強い美声とロマンティックな歌唱も特筆もので、なるほどここは明るい南ドイツだったな、それに彼だから歌試合で優勝できるのだと納得。

ステューダー(エヴァ)やロレンツィ(ベックメッサー)も適役で、同オペラの立派な選択肢のひとつとしてお薦めしたい。

尚11ページほどのライナー・ノーツは廉価盤の宿命で歌詞対訳は省かれているが、英、独、仏語による簡易な解説が掲載されている。

総合芸術と言われるオペラをまとめることは、指揮者として秀でていても容易なことではない。

うるさ型の歌手陣1人1人に自分の音楽的要求を呑み込ませ、コーラスにも目を配らなければならないし、オーケストラとの限られたリハーサルや演出家が加わる舞台稽古への立会い、バレエが組み込まれている場合の稽古など、その規模が大きくなるほど仕事は煩雑化する。

『マイスタージンガー』のように実際の上演時間が5時間を超えるものであれば尚更だ。

勿論音楽面だけでなく、総ての関係者との人間関係がうまくいった時、初めて上演を成功させることができる。

サヴァリッシュはその辺りを絶妙に心得ていて、後年その仕事の煩雑さを忌憚なく吐露しながらも、誰とも衝突を起こさなかった稀な人物であった。

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2015年09月10日


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サヴァリッシュへの追悼として聴き直したCDのひとつで、ドヴォルザークのチェロ協奏曲に対して大上段に構えた演奏ではなく、曲想のきめ細かさやリリカルな特性を精緻に追ったチェリスト、ナターリア・グートマンの解釈が秀逸。

サヴァリッシュのサポートも巧みで、オーケストラの響きは美しく、壮麗で力強く引き締まっており、サヴァリッシュの指揮も気力が充実して、両者のハッタリのない知性的な協演に好感が持てる。

全曲のあらゆる部分にグートマンの高度なテクニックが冴え渡っているが、常に節度を保ちながらツボを外さない演奏は如何にも彼女らしい。

ただしこの曲に民族的な熱血感や迫力を求める人には期待に沿わないだろう。

第2楽章では素晴らしい抒情と彼らならではの静的だが溢れ出るような瑞々しいペーソスが支配している。

サヴァリッシュもここでは一層注意深くフィラデルフィアを制御してグートマンのソロを効果的に引き立てている。

チェロと木管楽器の絡み合いは永遠の憧憬を追うような美しさを持っている。

終楽章では迸るような軽快さとメリハリのあるダイナミズムで、ソロとオーケストラの華麗な協演が繰り広げられ、決してスケールの小さい演奏でないことを証明している。

カップリングはドヴォルザークの交響曲第7番で、実はこちらの方が第1曲目として収録されているのだが、リイシューのときに同じドヴォルザークの『交響的変奏曲』に替わってリカップリングされたものだ。

この曲でもアメリカ的で開放的なパワフルなサウンドが聴けるかというとそうではない。

サヴァリッシュは金管楽器を注意深く抑えて、弦楽器や木管楽器を巧みに前面に出している。

余裕のあるパワーは充分に感じられるが力で押す演奏ではなく、あくまでもバランス技で絶妙な均衡を導く指揮が彼の流儀だ。

純度の高い表現であり、推進力が強く、軽快なリズム感によって勢いのある音楽を聴かせてくれる。

またインターナショナルなメンバーによるセッションなので、強烈な民族性というのも期待できないが、逆にこの曲を総合的に見極めた、洗練されたより古典的な美しさが特徴だろう。

1990年代初めのデジタル録音だが、全体的にやや切れが悪い音質に弱点がある。

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2015年09月06日


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1962年に行われた、バイロイト公演でのライヴ録音で、若きサヴァリッシュの素晴らしい貴重な記録である。

『タンホイザー』には1845年に、ドレスデンでこの作品が初演されたときの「ドレスデン版」と、それから16年後の1861年にパリで上演された際、第1幕冒頭のバレエ部分を拡大改訂した「パリ版」の2つの版があるが、これは、バイロイトで長らく使用されてきた「ドレスデン版」と「パリ版」とを組み合わせた演奏である。

ワーグナーのオペラのなかでは『タンホイザー』は比較的ディスクに恵まれていないのではなかろうか。

決定的名盤はと訊かれて、他の作品ならば選ぶのに苦労するほどだが、このオペラについてはすぐに思い当たる盤はない。

それは作品自体に「ドレスデン版」は音楽の説得力がやや弱く、「パリ版」は全体の統一を欠くという弱点があることと無関係ではないかもしれない。

サヴァリッシュ以来バイロイトが慣用するようになったこの折衷版がさしあたっての妥協案であろう。

そうしたなか、この1962年のバイロイト・ライヴは、当時まだ30代だったサヴァリッシュのストレートな音楽づくりと黄金期の名歌手たちが一体となった秀演と言えるだろう。

このときの公演は、今は亡きヴィーラント・ワーグナーの名演出と、当時39歳だったサヴァリッシュの、颯爽とした速めのテンポで、新鮮な感覚にあふれた表現が評判となり、大成功を収めた。

このディスクは、その充実した舞台の雰囲気を生々しく収録したもので、聴き手の心をつかんで離さない大変すぐれた演奏である。

1960年代初頭のサヴァリッシュのバイロイトでの活躍の中でも、この『タンホイザー』はとりわけ傑出している。

サヴァリッシュはバイロイトのオーケストラを的確に掌握し、ワーグナー中期作品にふさわしい瑞々しい味わいを引き出している。

サヴァリッシュの指揮は、速めのテンポで生き生きとした音楽を奏で、録音のせいか、あまり重厚さは感じないが、軽快に音楽が進んでいき、推進力がありながらも、全体を手堅くきちっとまとめている。

知がしばしば勝ちすぎることも多いサヴァリッシュだが、ここでは知と情の絶妙なバランスが、熱気を帯びたドラマを形成していく。

全盛期のヴィントガッセンの力強いタイトルロールをはじめとして、当時大きな話題を巻き起こした2人の新人、シリアとバンブリーの新鮮な若々しさ、そしてずらりと脇を固めたヴェテランたち(ヴェヒターやグラインドル)の見事な歌唱など、今もなお、雰囲気にあふれた『タンホイザー』のベスト・レコードのひとつと言える。

とりわけ、タンホイザーを歌っているヴィントガッセンの老巧でありながら輝かしく、雄弁で力強い声による歌唱がひときわ光っており、主役にぴったり。

シリアのエリーザベトや“黒いヴェーヌス”として話題となったバンブリーのヴェーヌスもこの役にふさわしく、声の鮮烈な透明さが劇を引き締めて、サヴァリッシュの棒に立派にこたえている。

録音状態も良好で、拍手はカットされているが、実際の上演を基に作成された録音のようで、実際のバイロイト祝祭劇場で聴いているような錯覚に陥るほどだ。

サヴァリッシュのバイロイト公演には、他にも『さまよえるオランダ人』(1961年)、『ローエングリン』(1962年)も遺されており、いずれもサヴァリッシュのバイロイト公演の最高の記録が刻まれている。

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2015年08月21日


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本盤はサヴァリッシュのロンドン・デビュー時代にEMIに録音された1枚で、1988年にデジタル・リマスタリングされた破綻のないステレオ・セッション録音だが、1958年の古い音源なので同時代の他の大手レーベルの音質と比べると中低音の不足と臨場感にやや欠ける嫌いがあるのも事実だ。

この序曲集はフィルハーモニア管弦楽団を指揮したサヴァリッシュ初期のアルバムで、オーケストラの街と言われるロンドンでも評価の高かったフィルハーモニアの音楽性と表現力を巧みに統率した幅広いダイナミズムが爽快な印象を与える。

ウェーバーの序曲は既にオペラの筋の展開と密接に結び付いていて、その意味で彼はワーグナーの先駆者的な存在だが、一方で起承転結を心得た明快な構成と劇的な変化を伴う曲想は、単独で演奏されても劇場空間を髣髴とさせるスペクタクルな効果を上げることができる。

サヴァリッシュのテンポは快速で、それぞれの序曲の生き生きとしたリズム感を生かしたアレグロと、シンプルに歌わせるレガートのフレージングとの対比が極めて美しい。

このCDには7曲の作品が収録されているが、中でも規模が大きく演出的効果に凝っているのが『魔弾の射手』と『オベロン』で、サヴァリッシュは几帳面にスコアを辿るだけでなく、そこに溢れんばかりの情熱を託した作曲家の熱いメッセージを伝えている。

ウェーバーの序曲集の名盤と言える録音がカラヤン&ベルリン・フィル盤、それにスウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン盤など数える程しかないので、このサヴァリッシュ&フィルハーモニア盤の存在は極めて貴重なものである。

一昨年ワーナーから彼の追悼盤としてイコン・シリーズのひとつとして交響曲集がリリースされたが、サヴァリッシュのEMI音源の中には他にも興味深い録音が多数存在する。

網羅的な録音集はコリア盤33枚組で、勿論この序曲集も含まれているがバジェット盤にしては割高なのが欠点だろう。

尚もう1枚の同アンコール・シリーズにはメンデルスゾーンの交響曲第2番『讃歌』が加わっている。

折りたたみのリーフレットに日本語によるごく簡易なライナー・ノーツが掲載されている。

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2015年08月07日


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サヴァリッシュの《リング》は、この『EMI/Wagner:THE GREAT OPERAS』に収録され、値下げ再発となっているので、本BOXを入手する方が、他のワーグナーのオペラの名演も聴くことができ、お買い得と言える。

とりわけ《リング》ビギナーの方でチョイスに迷われてるなら、是非、購入検討リストの最上位に加えて、よりビッグ・ネームの指揮者を擁する他盤とも同列に比較して頂きたいのが本盤であり、リブレットこそ付随しないが、買って失敗のない内容、と保証出来得る。

海外Amazonで、単なる盤コレクターでなく、劇場に通い慣れ目と耳が肥えた猛者たちのレビューを読んで、「種々、複数の《リング》を所有しているが、何だかんだ云って、聴きやすくて楽しめる、また、実際プレイヤーにかける機会が多いのが案外このサヴァリッシュ=バイエルン盤なんじゃないか」みたいな意見を目にしては、「やっぱり、みんな考えること、感じてることは変わらないな」と思ったりもする。

手許にある《リング》にはいずれも長短思い入れがあり、オケ/合唱、歌手陣、音質、使用言語、(映像なら)演出…と各面のケチをつけ始めればキリがなくなるが、「ツィクルス全体と捉えたときの、失点、瑕疵の少なさ故の満足度の意外な高さ」が、このCD版《サヴァリッシュ・リング》の魅力のように感じている。

このレーンホフ演出のサヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場の《リング》はNHK-BSで放送され、DVDになっている。

演出、カメラワークなどの映像製作面における失望感は、優れた歌手、指揮者らによる演奏の印象も薄くしてしまっていた。

最近のオペラは舞台をみるよりも音だけを聴いたほうがいい場合も多いが、15年近く前のこのCDを購入して聴いてまさにそう思った。

DVDの音はわからないが、CDでの音はBS放送のときよりもオーケストラが前面に出ており、リマスタリングされたため音が美しく、バイエルン国立歌劇場管弦楽団の澄み切った音色の美しさが堪能できる。

全体的に叙情的なサヴァリッシュの指揮もCDで聴いたほうが引き締まっており、このコンビによるオルフェオのブルックナーの交響曲の名演を彷彿とさせる。

目の前で展開するレーンホフの演出に疑問を感じ、反感を覚える理性と自身の内なる「荒ぶるドイツ性」との間に相当の葛藤を抱えながら、さらに、あろうことか、ベルリンでは『壁崩壊』がまさに進行中という非常事態の最中、「一時代の終焉」を劇場にいる全員が意識する中で振っていたことが「災い転じて福となった」のかどうかは知らない。

しかし、ここでのサヴァリッシュの指揮は、ひたすら高燃焼で畳み掛け「聴き手のアドレナリンの血中放出を過度に促進させる」類いの音作りではないにせよ、祝祭の華やぎの中で謙虚にスコア自体に語らせ、実に自然な呼吸で豪華歌手陣を存分に歌わせており、「老カペルマイスター」らしい貫禄、威厳ある落ち着きを強く感じさせる。

筆者としては、年々丸くなっていった感のある後期のサヴァリッシュのスタイルの特段の贔屓筋でもないが、ここでは、手練れではあっても露骨に武骨/タカ派的な方向には極力走るまいと自重する、良識派戦後西ドイツ人=サヴァリッシュらしい抑制の効いたリリカルなアプローチに、往年の奥義もバイロイトの実地で身に付けた経験豊富な正統派ワーグナー指揮者であればこそのスケールの大きさと本能的に抗い難い「暴走への欲望」を時折覗かせてくれたりもして、彼としては、1950-60年代のバイロイトやイタリアでのライヴ各種名演と並んで後世に遺る出色の名盤だと思う。

さらに1990年頃の名歌手を総動員した歌手陣は最高で、ヴィントガッセンを上回るジークフリートであるコロ、「黄昏」で邪悪なハーゲンを歌うサルミネンは特に印象深い。

おそらく歌手陣では、ショルティ、ベームの時代以降で最高であり、映像を見ないで聴けばデジタル時代でこれを超えるものがなく、もっと評価されるべきディスクであろう。

筆者にとっては、《リング》を難しく考えたくないとき、敢えて気軽に流したいときの最右翼盤となっている。

なお拍手は一部カットされており、オーディエンスノイズから推測するとゲネプロや本番の上演から編集されているようだ。

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2015年04月21日


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ドイツ音楽の正統を伝える数少ない巨匠であったサヴァリッシュによる重厚長大かつホットなブラームス演奏をまとめたボックス・セット。

NHK交響楽団との数多くの公演で我が国でも非常に有名なサヴァリッシュは、とある高名な音楽評論家などが著しく低評価を与えていたこともあり、敬遠されがちという印象があるが、実際にNHKホールにその実演に接した音楽愛好家は彼の音楽性、理知的でありながら時に踏み外して情熱的になる演奏は高く評価されている。

そのように実力に関しては申し分のないサヴァリッシュであるが、人気の方については今一つと言わざるを得ない。

我が国のオーケストラを頻繁に指揮する指揮者については、過小評価されてしまうという不思議な風潮があるのはいかがなものかとも思うが、それでもサヴァリッシュの不人気ぶりには著しいものがあると言わざるを得ない。

確かに、サヴァリッシュが外国の一流オーケストラを指揮した名演というのは殆ど存在していないというのは事実である。

唯一、現在でも素晴らしい名演とされているのは、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮してスタジオ録音(1972年)を行ったシューマンの交響曲全集であるというのは衆目の一致するところだ。

ただし、各交響曲のいずれもが様々な指揮者によるそれぞれの楽曲の演奏中のベストの名演ということではなく、全集全体として優れた演奏ということであり、まさに最大公約数的な名全集に仕上がっていたところである。

これはいかにもサヴァリッシュらしいとも言えるのではないだろうか。

サヴァリッシュは、史上最年少でバイロイト音楽祭に登場するなど、きわめて才能のある指揮者として将来を嘱望されていたにもかかわらず、その後はかなり伸び悩んだと言えなくもないところだ。

膨大な録音を行ってはいるが、前述のシューマンの交響曲全集以外にはヒット作が存在しない。

いい演奏は行うものの、他の指揮者を圧倒するような名演を成し遂げることが殆どないという、ある意味では凡庸と言ってもいいような存在に甘んじていると言っても過言ではあるまい。

本盤に収められたブラームスの交響曲全集は、目立った名演を殆ど遺していないサヴァリッシュとしては、前述のシューマンの交響曲全集に次ぐ名全集と言えるのではないだろうか。

確かに、個々の交響曲の演奏に限ってみれば、いずれの交響曲についても他に優れた演奏があまた存在していると言えるが、全集全体として見ると、水準以上の名演が揃った優れたものと言えるところだ。

サヴァリッシュの演奏は、鋭敏なバランス感覚と安全運転だけに終始しない即興性の見事な融合に特徴を見出せる。

確かに、バランス感覚が出すぎる演奏に出くわすと「安全運転」「生真面目」「平均点」という評価になることがある。

しかし、即興性が見事なバランス感覚の上に立ち現れたとき、我々はドイツ本流の指揮者による管弦楽を聴く醍醐味をこれでもか、と堪能することができる。

スケールが大きく、一点一画を揺るがせにしない、しかし全く窮屈でない、という過去のどんな指揮者の演奏に優るとも劣ることはあるまい。

堅固な造型美と重厚かつ剛毅さを兼ね備えたいかにもドイツ風の硬派の演奏と言えるが、かかる芸風はブラームスの交響曲の性格に見事に符号していると言えるところであり、ロンドン・フィルの渾身の名演奏も相俟って、素晴らしい名全集に仕上がっていると言えるだろう。

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2015年03月01日


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モーツァルトと並ぶ名作と言われているR.シュトラウスのホルン協奏曲集などを収録した、稀代のホルン奏者デニス・ブレインの不世出の才能を伝える不滅の名盤。

今でも伝説的なホルン奏者として絶大な人気を得ているデニス・ブレインのホルン奏者としては冥利に尽きる演目を収めたアルバムである。

名作だが難曲で知られる2曲のR.シュトラウス、そして作曲者との共演となったヒンデミット、{伝説}を裏づける美演だ。

デニス・ブレインのホルンは実に素晴らしい。

朗々として雄大なスケール感のある音色、そして低音の重厚さ、弱音の繊細さ、ホルンという楽器が紡ぎだす音色をすべて兼ね備えている。

あわせて、桁はずれのテクニック。

まさにデニス・ブレインひとりでホルンをソロ楽器として認知させたと言っても良く、デニス・ブレインこそは、史上最高の不世出のホルン奏者と言えるだろう。

モーツァルトもバッハも、ホルンの楽器の特性を考えたうえで作曲をしているが、ということはつまり、この楽器を演奏上の限界あるものとしているという事。

デニス・ブレインのホルンの技巧の真の姿を聴く為には、このディスクに収められたホルンの難曲を聞く必要があるだろう。

残念ながら現代の水準からいうと、驚くほどの名手とは聴こえないかもしれないが、その代わりに、最近のホルニストに無い高雅な品格を見出すことに喜びと深い満足感を得ることができる。

デニス・ブレインの演奏の特色は、一瞬の隙も残さない極めて精緻な表現でありながら、それでいて明るく屈託の無い開放的な音色にある。

R.シュトラウスのホルン協奏曲は、モーツァルトのそれと並んでホルン協奏曲史上の名作だと思うが、それにしてはCDに恵まれていない。

その意味でも、このデニス・ブレイン盤は、R.シュトラウスのホルン協奏曲史上最高の名演と評価すべきであると思う。

高音の美しさ、見事なレガート奏法、スタッカートの小気味よさといった各種表現に冴えをみせるブレインが、輝かしく意気軒昂な第1番、しっとりとした巧みな語り口をみせる第2番で自身の実力を遺憾なく発揮している。

若き日のサヴァリッシュのサポートも几帳面に曲の性格を捉えたなかなかのものだ。

同様にヒンデミットの作品も素晴らしい出来映えだ。

ヒンデミットのホルン協奏曲は、デニス・ブレインのために作曲された曲であるが、逆に言えば、デニス・ブレインにしか表現できない要素を持った難曲ということができるだろう。

表情の起伏の激しいいかにも現代曲と言った趣きであるが、デニス・ブレインの超絶的な技巧と表現力が相俟って、同曲がヒンデミットの傑作であることがよくわかる。

デニス・ブレインにしては珍しいステレオ録音というのも嬉しい限りだ。

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2014年12月09日


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最近では、ベートーヴェンの交響曲の演奏にも、ピリオド楽器を用いた演奏や古楽器奏法の波が押し寄せてきているが、サヴァリッシュによる本全集は、大編成のオーケストラを用いた重厚な演奏を披露している。

本全集の各交響曲の演奏は、確かに、巷間言われているように、厳しい造型の下、決して奇を衒わない剛毅で重厚なドイツ正統派の名演と評することが可能であるが、決してそれだけではない。

一聴すると、オーソドックスに思われる演奏ではあるが、随所にサヴァリッシュならではの個性が刻印されていると言えるだろう。

例えば、第2番では、冒頭の和音の力強さ、第2楽章のこの世のものとは思えないような美しさ、第3楽章は、他のどの演奏にも増して快速のテンポをとるなど、決して一筋縄ではいかない特徴がある。

第4番第1楽章冒頭の超スローテンポによる開始、そして第3楽章など、他のどの演奏よりも快速のテンポだが、それでいて、全体の造型にいささかの揺らぎも見られないのはさすがと言うべきであろう。

第5番の第1楽章のテンポは実にゆったりとしているが、決してもたれるということはなく、第1楽章に必要不可欠な緊迫感を決して損なうことなく、要所での音の強調やゲネラルパウゼの効果的な活用など、これこそ名匠サヴァリッシュの円熟の至芸というべきであろう。

終楽章のテンポはかなり速いが、決して荒っぽさはなく、終結部のアッチェレランド寸前の高揚感は、スタジオ録音とは思えないほどのド迫力と言えるところだ。

第6番の第1楽章は、かなりのスローテンポで、同じようなスローテンポで第2楽章もいくかと思いきや、第2楽章は流れるようなやや速めのテンポで駆け抜ける。

第3楽章に至ると、これまた凄まじい快速テンポをとるなど、必ずしも一筋縄ではいかない個性的な演奏を展開している。

第7番は、冒頭から実に柔和なタッチでゆったりとしたテンポをとり、主部に入っても、テンポはほとんど変わらず、剛というよりは柔のイメージで第1楽章を締めくくっている。

第2楽章は、典型的な職人芸であり、決して安っぽい抒情に流されない剛毅さが支配している。

第3楽章は雄大なスケールとダイナミックな音響に圧倒され、終楽章は、踏みしめるようなゆったりしたテンポと終結部の圧倒的な迫力が見事だ。

第8番は、中庸のテンポで、ベートーヴェンがスコアに記した優美にして軽快な音楽の魅力を、力強さをいささかも損なうことなく表現しているのが素晴らしい。

そして、第9番は、サヴァリッシュ&コンセルトヘボウによる偉大な本全集の掉尾を飾るのに相応しい圧倒的な超名演。

ここでのサヴァリッシュの指揮は堂々たるドイツ正統派で、奇を衒うことは決してしない堂々たるやや遅めのインテンポで、愚直なまでに丁寧に曲想を描いているが、悠揚迫らぬ歩みによるいささかも微動だにしない風格は、巨匠サヴァリッシュだけに可能な圧巻の至芸と言えるだろう。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団も、サヴァリッシュによる確かな統率の下、最高のパフォーマンスを発揮していると評価したい。

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2014年09月27日


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これは、サヴァリッシュによる最高のスタジオ録音と言えるのではないだろうか。

シューマンの交響曲全集の他の指揮者による様々な名演などと比較しても、上位にランキングされる素晴らしい名全集と高く評価したい。

大抵の全集の場合、4曲の交響曲の演奏の中には、どうしても出来不出来が出てきてしまうものであるが、本全集の場合は、各交響曲の演奏の出来にムラがなく、すべて高水準の名演に仕上がっているのが見事である。

もちろん、各交響曲の演奏それぞれについて見ると、それぞれにより優れた名演が存在しているのは否めない事実であるが、最大公約数的に見れば、本全集ほどに高水準の名演で構成されているものは、他にも殆ど類例を見ないと言っても過言ではあるまい。

このような名全集に仕上がった理由はいろいろとあると思われるが、第一に掲げるべきは、サヴァリッシュとシューマンの楽曲の抜群の相性の良さということになるのではないだろうか。

シューマンの交響曲は、必ずしも華麗なオーケストレーションを全面に打ち出したものではない。

むしろ、質実剛健とも言うべき、ある種の渋さを持った作品とも言えるところであるが、こうした楽曲の性格が、サヴァリッシュのこれまた派手さを一切排した渋みのある芸風と見事に符号するということではないだろうか。

サヴァリッシュは、交響曲全集の他にも、ミサ曲などにおいても名演を成し遂げていることに鑑みれば、こうしたシューマンの楽曲の相性の良さは本物のような気がしてならないところだ。

次いで、オーケストラがシュターツカペレ・ドレスデンであるということだろう。

東西ドイツが統一された後、東独にあった各オーケストラの音色もよりインターナショナルなものに変貌しつつあるが、本盤の演奏当時の1972年頃は、東独のオーケストラには、独特の個性的で重心の低い独特の音色を有していた。

こうした、当時のシュターツカペレ・ドレスデンの独特の音色が、シューマンの楽曲に見事に適合していると言えるところであり、ただでさえ素晴らしいサヴァリッシュによる演奏を、更に魅力的なものに仕立て上げるのに大きく貢献していると言えるところだ。

いずれにしても、本全集は、併録の「マンフレッド」序曲も含め、サヴァリッシュ&シュターツカペレ・ドレスデンによる最高の名演奏、最高のパフォーマンスがなされていると言えるところであり、前述のように、これまで多くの指揮者によって成し遂げられてきたシューマンの交響曲全集の中でも、上位にランキングされる素晴らしい名全集として高く評価したい。

音質は、1972年のスタジオ録音であるが、EMIにしては従来CD盤でも十分に合格点を与えることが可能な良好な音質であった。

また、数年前にはリマスタリングが施されるとともに、HQCD化がなされるに及んで、より一層良好な音質に生まれ変わったと聴感されるところであり、筆者としては当該HQCD盤を愛聴している。

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2014年09月12日


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ドイツ・ロマン派の権威でもあるサヴァリッシュが、シューマンの演奏機会の少ない作品で見事な演奏を聴かせる。

最近までほとんど聴かれることのなかったシューマンの「レクイエム」だが、40歳を超えたころに作曲された美しい曲であり、こうした曲に光を当てるあたりは、さすがにサヴァリッシュの見識と言えそうだ。

モーツァルトやフォーレの同名作品と比べても見劣りするどころか、こちらのほうが魅力を湛えているように感じられる部分がたくさんあって、仰々しい音で飾り立てるのでなく、情熱の限りをぶつけるわけでもない。

特に『怒りの日』における、モーツァルトやヴェルディのような性急なテンポで荒々しい表現をとるのではなく、じわじわと運命の日が歩み寄ってくるかのような神秘的な表現としたのは素晴らしいの一言。

シューマンのこの分野の作品に急速に光が当てられるようになってきたのは、現代というあらゆる分野での感覚の解放が進み、先入観やタブーが取り払われ、狂気や彼岸など未知の領域に新しい感覚の冒険を敢行したシューマンの音楽の革新性が理解される条件がようやく整ってきたからであろう。

このCDでもサヴァリッシュの演奏は、これら2曲のもつ異空間感覚の魅力を、透徹した感覚の冴えと緻密な分析力で驚くほど明晰かつ色彩的に浮かび上がらせている。

サヴァリッシュは、合唱の各声部を巧みにコントロールし、声の色合いを微妙に変えながら、ふと現れる深い淵のような静かな響きも交え、うねりのような名演を展開する。

歌手陣も一貫して充実したかがやきのあるひびきを示している。

特にクレー指揮の〈レクイエム〉以来2度目の挑戦であるヘレン・ドナートは、シューマンの演奏に必要な熱っぽさと高貴さとを失わず、見事に歌い上げている。

彼女にとって初めての〈ミニョン〉も期待にそむかぬ歌いぶりで、彼岸との触れ合いに戦慄する魂の高揚を聴き手に伝えてくる。

バイエルン放送交響楽団、合唱、独唱のメンバーは一体となってサヴァリッシュ指揮のもと、全体に風格のあるスケールの大きな演奏を実現している。

そして、シューマンのこれら晩年の作品が、一部の通好みだった秘曲としてのヴェールをぬいで、現代に呼吸する作品となったのである。

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2014年07月08日


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ギレリスとゲルバー、2大巨匠がN響と共演した貴重なライヴ。

どちらもそのスケールの大きさと円熟ぶりで聴衆に強い感銘を与え、今日でも語り草となっている。

一点も曖昧にしないギレリスの完璧さ、独特のナイーヴな煌めきに満ちたゲルバー、ともに絶品と言えるものであり、その幻の音源が初登場。

サヴァリッシュ指揮のN響ともども、まるでヨーロッパに於けるコンサートを聴いているような感にとらわれる。

ギレリスのライヴ録音は、スタジオでの録音に比べ、ある程度勢いに任せるため、聴いていて面白い場合が多い。

格調の高さと激しさをもった「皇帝」で、ギレリスの元来の特長である音符一つ一つを弾き逃すまいとする姿勢と、ライヴゆえの熱気からくる堅い強音が感じられる演奏である。

特に、第1楽章中間部の強音は凄まじいものがあり、肺腑にくるほどで、また、技巧でねじ伏せるような一面も見せている。

素早く、大きなクレッシェンドで飾られたアルペジオは聴く者を演奏に引きずり込み、後期ソナタ集で見られた禁欲的な音楽ではない。

非常に興に乗った演奏であるが、派手一辺倒な演奏ではなく全体の構成に沿った演奏内容となっており、不自然さがない。

また、テンポをいじることもなく、標準的なテンポ〜少し遅いくらいで纏められており、こういった部分に筆者はギレリスの生真面目さを感じる。

バックについては可もなく不可もないといったところだが、金管の使い方が面白い場面がいくつかあった。

基本的にはピアノの方針に沿った、きっちりと刻むようなリズム中心の音楽づくりで、さっぱりとしている。

ギレリスの歌い回しが少々堅いので、その差分を補給している点は良い。

得意であるらしいバッハのピアノ編曲物が付いているのもうれしい。

一方、ゲルバーは、技巧やパワーは申し分がないが、一番すぐれているのは歌い回しであろう。

強烈に引き付けられるわけではないが、魅力的であり、対旋律の弾き方にも個性が表れている。

本人はこれに気づいていないようであり、どこで盛り上げるかばかりに気を使っているようで、狙いを定めたようにギヤを変えるので何が起こるのかが透けてしまうのだ。

フォルテの部分では惜しげもなく力を注ぐと言った印象で、雑に聴こえる個所もある。

そういった部分をここで聴くと出来が悪いわけではないが、一気に聴いていると気になってしまうのだ。

見得を切ること主眼に置いた演奏と言えるかもしれず、そうした場面での語彙の少なさも見受けられた。

文字どおりガンガン弾いていて若々しいと言い訳できるレベルではあるが、その弾き方がはまる部分は実にスリリングで熱い。

バックはギレリスとの演奏と殆ど同じで、可もなく不可もないといったところである。

両演奏とも音質は、他のN響85周年記念シリーズと同程度で、大手レーベルのスタジオ録音の様な明瞭さはないにしても、音楽を楽しむという点のみに目的を絞れば全く問題ないレベルといって良く、残響が強めのFM録音といった感じである。

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2012年06月20日


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サヴァリッシュは、史上最年少でバイロイト音楽祭に登場するなど、きわめて才能のある指揮者として将来を嘱望されていたにもかかわらず、その後はかなり伸び悩んだと言えなくもないところだ。

膨大な録音を行ってはいるが、シュターツカペレ・ドレスデンとのシューマンの交響曲全集(1972年)以外にはヒット作が存在しない。

いい演奏は行うものの、他の指揮者を圧倒するような名演を成し遂げることが殆どないという、ある意味では凡庸と言ってもいいような存在に甘んじていたと言っても過言ではあるまい。

しかし、本盤に収録されたブラームスの交響曲全集は、目立った名演を殆ど遺していないサヴァリッシュとしては、シューマンの交響曲全集に次ぐ名全集と言えるのではないだろうか。

確かに、個々の交響曲の演奏に限ってみれば、いずれの交響曲についても他に優れた演奏があまた存在していると言えるが、全集全体として見ると、水準以上の名演が揃った優れたものと言えるところだ。

堅固な造型美と重厚かつ剛毅さを兼ね備えたいかにもドイツ風の硬派の演奏と言えるが、かかる芸風はブラームスの交響曲の性格に見事に符号していると言えるところであり、NHK交響楽団の渾身の名演奏も相まって、素晴らしい名全集に仕上がっていると言えるだろう。

交響曲第1番については、NHKホールのこけらおとし公演の記録ということであるが、その意味でも大変貴重な存在と言える。

そして併録の悲劇的序曲が各交響曲以上に圧倒的な超名演だ。

冒頭のたたきつけるような和音からして、これがあのサヴァリッシュかというほどのとてつもない強靭な迫力を誇っており、その後の気迫と生命力溢れる力演にはただただ圧倒されるのみである。

音質は、名指揮者の来日公演の高音質での発売で定評のあるアルトゥスレーベルがマスタリングを手掛けているだけに、1970年代前半のライヴ録音とは思えないほどの十分に満足できる良好な音質に仕上がっているのが素晴らしい。

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2012年06月08日


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廉価盤なのであまり期待をせず購入したディスクであるが、幸いなことに、この演奏は第一級の超名演であり、1970年代に録音されたレコード用オペラ演奏の中でも、特筆に値する奇跡の名盤である。

サヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場管は、擬音効果をふんだんに用いたリアルな表現で、今まで聴いた中で最も雰囲気のある演奏。

モル(Bs)のザラストロ、シュライヤー(T)のタミーノ、モーザー(S)の夜の女王、ローテンベルガー(S)のパミーナ、ベリー(Bs)のパパゲーノといったキャストで、1970年代を代表する歌唱陣も優れたもので、特にアンサンブルに素晴らしい出来を示している。

今は、こんな贅沢なキャストを集めることは、不可能。

シュライヤーのタミーノも、デイヴィス指揮の新盤の衰えはみられず、美声で若々しく歌っていて見事である。

歌手もオケも録音も、そしてもちろんサヴァリッシュの指揮も、全く隙なく素晴らしい。

伝統的かつ洗練された内容で、テンポも良いし軽快でいて繊細、演奏全体としてはこれまで聴いた中で一番流麗かもしれない。

これまでいろいろな《魔笛》を聴いてきたが、生き生きとした、ひたすら音楽を楽しいと感じさせるこのパフォーマンスを上回る録音を知らない。

《魔笛》のスコアに語らせた、自然体のスタイルで、サヴァリッシュの代表的名盤の第一に指折りたい録音である。

《魔笛》があまり好きではない、という人にも推薦できる。きっと新しい魅力を発見できることであろう。

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2011年01月25日


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サヴァリッシュ&バイエルン国立o.のブルックナー/交響曲シリーズの第1作。

サヴァリッシュはドイツ=オーストリア音楽の名匠だが、意外にも1981年10月に録音された当盤がブルックナー交響曲の初録音だった。続いて第1、9番なども録音した。

ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場の音楽総監督として大きな足跡を残したサヴァリッシュは、アカデミー・コンサートと呼ばれるシンフォニー・コンサートでも牽引役をつとめた。

このディスクはそうした面での成果の一つで、素晴らしく端麗で晴朗なブルックナーである。

ブルックナーのあまり目立たない作品で彼らの持ち味を遺憾なく発揮している。

これほど知的に整理され、平衡感の強い造形を持つ演奏はLP初期以来無いといってもよいほど透徹したブルックナーで、ディテールのすみずみまで磨きつくされている。

知的なコントロールが行き届いた解釈で、作品のありのままの姿を浮き彫りにするやり方はこの指揮者特有のもの。

しかも、過度に客観的になることなく、音楽は熱気をはらんでいる。

オーケストラも全く素晴らしく、透明な響き、南ドイツ的な明るさも作品に極めて似つかわしい。

オルガンのストップを変えたときのような、金管楽器の音色の変化が絶妙なアクセントをもたらす。

ブルックナーとしてはいくぶん都会的かもしれないが、彼の音楽が国際化した現在、この録音は今後のブルックナー演奏の様式を示唆するものといえる。

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2009年12月25日


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交響曲第1番は比較的客観的な表現で、サヴァリッシュはやはり新古典主義が一世を風靡した時代に生きてきた指揮者であることを感じさせる。

第1楽章では豪快な力感が全体をしっかりと支えており、第2楽章は伝統的な様式に立脚した客観性といえるものがある。

第3楽章も何の変哲もない表現だが、各パートが明確に表出され、クセのない音楽が作品の姿を誤りなく伝えている。

「運命の歌」も感興豊かな好演だ。

交響曲第2番は実に格調高く、聴くほどに味わいのある演奏だ。

第1楽章の旋律の高雅な歌わせ方、動機の的確な処理はドイツの指揮芸術を代表する指揮者ならではだし、第2楽章の木管のバランス、中間部のたゆたうような表現など、どれをとっても大人の芸術である。

フィナーレも構築美が際立っており、ひたひたと最後の盛り上がりへと進む運びはさすが。

「ハイドン変奏曲」も味わい深い。

交響曲第3番はサヴァリッシュの円熟を証明するに足る、見事な演奏だ。

第1楽章は落ち着いたテンポで演奏されているが、それによって細部を克明に表出し、端正・堅固な造形でまとめながら、そこに非常な気迫を感じさせる。

第2楽章は情緒の表現が美しく、第3楽章の馥郁としたロマンの香り、、第4楽章の劇性の表現もそれぞれ見事なものだ。

「大学祝典序曲」も明晰な表情でまとめた品のよい演奏である。

交響曲第4番は真正面から堂々と力強く表現した演奏だ。

第1楽章は鮮明な輪郭で音楽の形をよく整え、晴朗な響きで各部を画然と表出し、第2楽章の内面感情の揺れを表す計算も心憎い。

第3楽章も均衡間が強く、第4楽章は明快そのものだが、血の通った線の太さがあり、ヒューマンな息吹を伝えるところにサヴァリッシュの特色がある。

「悲劇的序曲」は剛健といえるほど、充実した力を感じさせる音楽だ。

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2009年05月01日


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メンデルスゾーンは、それまで忘れられていたバッハの宗教曲を蘇演しただけでなく、みずからもすぐれた宗教音楽を数多く作曲している。

その中でも、特に有名なのが、死の前年に当たる1946年に完成したこのオラトリオ「エリア」だ。

「エリア」とは、旧約聖書に登場する予言者のことで、フェニキアの女王と結婚したため、国民に異教神の信仰を強要したイスラエル王に対して立ち上がったエリアが、やがてエホバ信仰を確立したのち、昇天するまでを、メンデルスゾーンらしい色彩感あふれた音楽で壮大に描いた畢生の大作である。

このメンデルスゾーンの大作は、ドイツ・ロマン派中期のみずみずしさの中に、メンデルスゾーンのバッハへの敬意を含めた、香り高い作品だ。

バッハを敬愛したメンデルスゾーンらしい深い宗教感のただようこの大曲を、サヴァリッシュは、きわめてがっちりとした構成で、力強くまとめていて、聴く者の感動をさそう。

凡庸な指揮者だと、どうしても途中がダレてしまうが、さすがはサヴァリッシュ。

作品の弱いところをよく知っていて、シャープな切り口をみせながら、一気呵成、頂点へと追い上げていく。

歌手陣もよくそろっていて、水準の高い出来だ。

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2009年02月03日


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サヴァリッシュ盤は、録音の物理的な条件にもう少しクリアーさを求めたい部分があるが、全体としては最もバランスの良い名演と言える。

いわゆる原典版による全集だが、全体にいかにもシュターツカペレ・ドレスデンらしい、渋くて重厚なシューマン演奏になっている。

このオケ特有の木の温もりにも譬えられる響きの特質を生かした爽やかさと自然な流れがあり素晴らしい。

細かなことだが、ティンパニの皮が決してビニールではなく、本物の皮革だというのが、聴いているとたちどころに分かる。

その音の響きの深いこと、全体の構成の見事なこと、サヴァリッシュの数ある録音の中で、1、2を争う名盤といっていいだろう。

特に第1番「春」の軽快なフットワーク、第3番「ライン」の重厚な響きなど、現在に至るもまだこれに優る演奏にはお目にかかったことがない。

シュターツカペレ・ドレスデンの魅力を天下に知らしめる恰好の交響曲全集といえるだろう。

本当は、とりあえずシューマンの交響曲を聴こうというのなら、サヴァリッシュの全集があれば事足りる。

知的造形感とパッションが一体となったときのサヴァリッシュには、ほとほと感服させられるし、オーケストラの底力にも恐れ入る。

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2009年01月19日


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サヴァリッシュの音楽は、どちらかといえば"理"が勝って、情的部分の稀薄が時には気になるが、ここではサヴァリッシュの円熟といおうか、情感の広がりがスラヴ的聖母哀傷の世界を見事に描き出している(スターバト・マーテル)。

これはおそらくチェコ・フィルの音質がものをいっているせいもあろう。

歌手ではベニャチコヴァーが素晴らしく、ドヴォルスキーもオペラの世界を遠く離れた真摯な歌いぶりだ。

「レクイエム」でのサヴァリッシュは、この作品の中に漂うスラヴ的悲傷の世界を見事にすくい取っている。

オケと合唱と指揮とが一体化してドヴォルザークの悲しみを共にしている。

ソプラノのベニャチコヴァーの真摯な歌いぶりも感動的である。

テノールのモーザーは無理のない歌いぶり、バスのローテンリングも清潔な歌唱を聴かせる。

骨組といい、情感といい、これはサヴァリッシュの円熟ぶりをうかがわせる名演である。

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2008年11月27日


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「タンホイザー」には、初演された際の「ドレスデン版」と、16年後にパリで上演された時に、第1幕冒頭のバレエの部分を、当時の聴衆の好みに合わせて大幅に手を加えた「パリ版」の2つがある。

これは「ドレスデン版」と「パリ版」とを組み合わせたもので、1962年に行われたバイロイト音楽祭でのライヴ録音である。

この時の公演は、今は亡きヴィーラント・ワーグナーの名演出と、当時39歳の若さだったサヴァリッシュの新鮮な感覚にあふれた表現が評判となり、大成功を収めたが、これは、その舞台の雰囲気を生々しく伝える貴重なディスクである。

1960年代初頭のサヴァリッシュのバイロイトでの活躍の中でも、この「タンホイザー」はとりわけ傑出している。

全盛期のヴィントガッセンの力強く貫禄のあるタイトルトールをはじめとした、当時大きな話題を巻き起こした2人の新人、シリアとバンブリーの新鮮な若々しさ、そしてずらりと脇を固めたヴェテランたちの見事な歌唱など、今もなお、「タンホイザー」のベスト・レコードのひとつといえる。

ことに知的でみずみずしいシリアのエリーザベト姫は魅力的だ。

これは聴き手の心をつかんではなさない、名演奏だ。

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2008年11月24日


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「カプリッチョ」は1941年に完成されたR.シュトラウスの最後のオペラであり、シュトラウス自身「この変ニ長調の最終和音は、劇場に捧げられた私の一生の最良の結末」と述べ、「私の遺書である」と語った。

台本を書いたのは、あの名指揮者クレメンス・クラウスで、「クレメンス・クラウスとリヒャルト・シュトラウスによる音楽についての一幕の対話劇」という副題を持つ。

演奏はサヴァリッシュが若い頃の録音がベスト。シュヴァルツコップ、ヴェヒター、ホッター、F=ディースカウ、ケッダ、ルートヴィヒといった名歌手の饗宴が何よりの聴きもの。

とはいえ、シュヴァルツコップとホッターは当時すでに名歌手と呼ばれるにふさわしい存在だった。

他の人たちは20代後半から30代はじめという若さ。

シュトラウスのオペラのなかでも、最も表現の困難な最後のオペラをこれほどまでに演じ切ることはまったく驚異的だ。

録音当時まだ30代半ばだったサヴァリッシュの指揮には、さすがにまだ熟達のマエストロの風格はないが、シュトラウスの名解釈者の片鱗はすでに随所で見せている。

特に、室内楽的な緻密な書法を見事に表現する手腕などは特筆に値する。

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