スウィトナー

2015年11月07日


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オトマール・スウィトナーは戦後長期間に亘って旧東ドイツで演奏活動をしていたが、1970年代にNHK交響楽団から招聘されて以来彼の芸術に惚れ込んだ熱心な日本人ファンも少なくない筈だ。

奇しくも西側に拠点を置いた一歳年下のサヴァリッシュ同様、日本の聴衆を啓蒙し音楽的視野を広げてくれた功績は忘れられない。

スウィトナーはインスブルック出身でクレメンス・クラウスに師事したウィーン気質を身に付けた音楽家だったことが彼の創り上げる音楽にも良く表れている。

ここで指揮しているオーケストラは彼が音楽監督を務めたドレスデン及びベルリンの両シュターツカペレで、このセッションが行われた当時は、どちらもまだ伝統的なドイツ特有の質実剛健で厳格に統率された奏法を残していたが、スウィトナーはむしろそうした硬質な部分を巧妙に中和して、音楽的にもまた音響的にもよりカラフルで垢抜けたセンスを感じさせる独自の美学を反映させている。

決して堅物という印象はなくむしろ融通の利く、柔軟な人柄だったことが想像されるが、例えばウェーバーの序曲集では華麗な音響の中にオペラの舞台を彷彿とさせるような奥行きにその自在さが感じられる。

それはスウィトナーの豊富なオペラ上演によって培われた手腕だろう。

交響曲ではお国ものブルックナー第5番の明晰かつスケールの大きい劇的な解釈が冴えているし、スウィトナーの本業といえるオペラのジャンルからもフンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』抜粋とR.シュトラウスの『サロメ』全曲の他に、ソプラノのシルヴィア・ゲスティとのモーツァルトの演奏会用コロラトゥーラ・アリア集の目の醒めるような1枚が加わって、スウィトナーの歌物に対する強みを発揮しているが、また一方で20世紀の音楽を充実させているのも注目される。

例えばヒンデミットの『交響的変容』やマックス・レーガー作品集ではオーケストレーションの綾を克明に描き出しながらスペクタクルな臨場感を与え、更にR.シュトラウスで表現する艶やかな官能美も聴きどころのひとつだろう。

ボックスには上記のふたつのオーケストラの他にライプツィヒ放送交響楽団、ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン放送交響楽団の名称が印刷されているが、それぞれのジャケットにはCD1、3ー5、8の5枚がシュターツカペレ・ベルリン、他の6枚は総てシュターツカペレ・ドレスデンの演奏と表示されている。

音質はいずれも極めて良好で、6ページほどのパンフレットにはスウィトナー80歳を記念した簡易なコメントが独、英語で掲載されている。

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2015年08月16日


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スウィトナーがシュターツカペレ・ドレスデンと完全に協調して引き出して見せた色彩豊かな音響と柔軟な解釈が快いモーツァルトだ。

いずれも秀演で、モーツァルト解釈家としてのスウィトナーの存在を強く印象づける。

彼らは古典派の作曲家の作品としての様式感を失うことなく、かつスケールの大きい爽快なモーツァルトに仕上げている。

シュターツカペレ・ドレスデンのサウンドは味わい深く、しかも全てがよい意味での良識と中庸を感じさせる表現で、溌剌としたリズムによる流動感の豊かなモーツァルトである。

室内楽風に編成を小さくしているので音の透明度が高く、アンサンブルの細部まで透けて見えるようだ。

しかも木管などしっとりとして味わい深く、あらゆる意味でモーツァルトの美しさを満喫させる名演と言えよう。

スウィトナーにとっては自国の作曲家でもあり、彼自身モーツァルトのスペシャリストたる自負があったと思うが、この6枚組の中でも彼の実力が端的に示されているのが一連の交響曲集で、『ジュピター』に代表されるようなオーケストラを大らかに歌わせる柔軟な力強さや終楽章の迸り出るようなフーガ、またそれぞれの曲の緩徐楽章で醸し出す一種の官能的な美学は彼独自のセンスだ。

いずれも典雅でふくよか、明快な印象を与える演奏は、現代における最も円満なモーツァルト集成といってよい。

スウィトナーのすぐれた音楽性を示した演奏であり、妥当なテンポと典雅な表情、柔らかい旋律線と爽快なリズムが渾然一体となって、実に端正に音楽をつくっている。

かつての大指揮者たちのスケールの大きさはないが、古典主義的な作品の様式を素直に受けとめ、あるがままを描いており、全体はきわめて音楽的だ。

シュターツカペレ・ドレスデンの古雅で晴朗な響きと完全に息の合ったアンサンブルの美しさは、他には求められない魅力であり、モダン楽器による現代のコンサート・スタイルの演奏としては第一級の表現だ。

シュターツカペレ・ドレスデンのような日頃オペラやバレエ上演に携わるオーケストラは、その仕事の性質から個人のスタンド・プレーよりも全体の一部として演奏を支えることや、また即興性に応じる能力が習慣的に養われているものだが、ここでもそうした特色が良く表れていると同時に、彼らはスウィトナー楽長時代に随分垢抜けた演奏をするようになったと思う。

一方でドイツ伝統の重厚さや堅牢な音楽はここぞという時に発揮されるが、この時代彼らは早くも西側の指揮者との多くの共演によって、より視野の開けた演奏を可能にしたと言えないだろうか。

最後の1枚に収められている2曲のピアノ協奏曲のソロはアンネローゼ・シュミットで、彼女は如何にもドイツのピアニストらしい、やや硬質だが小気味良いタッチと飾り気のない表現が、スウィトナーの柔和で包み込むようなサポートと軽妙なコントラストをなしている。

旧東ドイツの音楽産業を一手に受け持っていたレコード・メーカー、ドイツ・シャルプラッテン社は西側の大手に較べれば日本での知名度は低かったが、クラシック・ジャンルをリリースするベルリン・クラシックスの音源には演奏水準が高く、音質の良いものが少なくなかったことは熱心なファンの間で知られていた。

このセットの録音は1961年から76年にかけて行われたものだが、録音場所は明記されていない。

おそらく彼らのレコーディング・スタジオで、オーケストラル・ワークには理想的な音響空間を持っているセント・ルカ教会と思われる。

尚ライナー・ノーツにはオーケストラ名がシュターツカペレ・ベルリンとなっているが、ボックスとそれぞれのジャケットには総てシュターツカペレ・ドレスデンと記載されているので、これは明らかにライナー・ノーツの方が誤植だろう。

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2015年08月01日


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オトマール・スウィトナーは長くNHK交響楽団を指揮をしていたので日本になじみが深かった指揮者である。

この5枚組CDでは、スウィトナーが最も得意としてきたモーツァルトのオペラ演奏の最良の録音を聴くことができる。

スウィトナーは当然ながら自国の作曲家モーツァルトを重要なレパートリーにしていたが、この5枚組の作品集はベルリン・レーベルから2セットほどリリースされているうちの劇場用作品を集めたものでオペラ序曲集、『コシ・ファン・トゥッテ』全曲、そしてバリトンのヘルマン・プライ及びテノールのペーター・シュライアーとのアリア集がそれぞれ1枚ずつ加わっている。

ちなみにもうひとつの方は交響曲を始めとする6枚組のオーケストラル・ワーク集になる。

いずれもスウィトナーの生気に満ちて機知に富んだモーツァルトが鑑賞できる理想的なアルバムとしてお薦めしたい。

オーケストラは後半の2枚のアリア集がシュターツカペレ・ドレスデンで、それ以外は総てシュターツカペレ・ベルリンとの共演になる。

序曲集での疾走感と共に気前良く引き出す音響は彼の才気を感じさせるオリジナリティーに溢れたモーツァルトだ。

スウィトナーの仕事の中でもその基礎固めになったのがドレスデンとベルリンの国立歌劇場でのカペルマイスター、つまり楽長としてシーズン中のオペラやバレエの上演と定期的なコンサートの公演をすることだった。

純粋な器楽曲に比較すれば劇場用作品は歌手やコーラス、バレエとの下稽古、演出家との打ち合わせや舞台美術を伴ったリハーサルなど、煩雑な準備を経なければ実現できない。

それゆえカペルマイスターは高い音楽性の持ち主だが厳格であるよりはむしろ融通の利く、また制作に携わる人々や出演者から信頼を得る人柄が要求される。

実際スウィトナーの音楽を聴いていると八方を見極めて俯瞰しながら音楽をまとめていく稀有な才能を感じさせるし、作品のディティールは疎かにしないが細部に凝り過ぎず、全体に一貫する大らかなトーンを生み出す手腕はモーツァルトとも極めて相性が良い。

こうした声楽を含む曲種では歌唱だけでなく感情の機微を良く心得ていたスウィトナーの人柄が滲み出たサポートを聴くことができる。

またヘルマン・プライのアリア集は手に入りにくい状態だったので、ペーター・シュライアーの1枚と共にここに収録されたことを歓迎したい。

スウィトナーの柔らかなバックでプライが自由自在に歌う、その伝説的録音があざやかな音で蘇っている。

尚スウィトナーの80歳記念にリリースされた11枚組にはシルヴィア・ゲスティのソプラノによる、やはりドレスデンとの演奏会用コロラトゥーラ・アリア集が組み込まれているが、どちらにもバス用のアリア集が欠けている。

スウィトナーはバスのテオ・アダムともモーツァルト・アリア集を録音しているが総てバリトンのレパートリーで、『後宮』のオスミンや『魔笛』のザラストロなどの本格的なバスのためのアリアをオペラ全曲盤でしか聴けないのが残念だ。

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2014年11月09日


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スウィトナーは、ドイツ・シャルプラッテンに、ブルックナーの交響曲を「第1」、「第4」、「第5」、「第7」、「第8」の5曲を録音したが、病気のためにその後の録音を断念せざるを得なかったと聞く。

「第1」を録音していることに鑑みれば、おそらくは全集の完成を目指していたものと考えられるが、録音された5曲の演奏内容の水準の高さを考えると、全集完成に至らなかったのは大変残念なことであると考える。

せめて、「第3」や「第9」を録音して欲しかったというファンは、結構多いのではないだろうか。

スウィトナーのブルックナーへのアプローチは非常に考え抜かれたものだ。

というのも、各交響曲によって、微妙にアプローチが異なるからである。

「第8」は、緩急自在のテンポ設定やアッチェレランドを駆使したドラマティックな名演であったし、「第5」は、快速のテンポによる引き締まった名演であった。

他方、「第4」では、ゆったりとしたインテンポによる作品のみに語らせる自然体の名演であった。

「第1」は、どちらかと言えば、「第4」タイプの演奏に分類されると思われるが、スウィトナーは、このように、各交響曲毎に演奏内容を変えているのであり、こうした点に、スウィトナーのブルックナーに対する深い理解と自信を大いに感じるのである。

「第7」は、「第4」と同じタイプの演奏。

つまりは、作品のみに語らせる演奏と言うことができる。

同じタイプの名演として、ブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデン盤があるが、当該盤は、オーケストラの重厚でいぶし銀の音色が名演たらしめるのに大きく貢献していた点を見過ごすことはできない。

これに対して、本盤は、技量においては申し分ないものの、音色などに特別な個性を有しないシュターツカペレ・ベルリンを指揮しての名演であることから、スウィトナーの指揮者としての力量が大いにものを言っているのではないかと考えられる。

録音も、ベルリン・イエス・キリスト教会の残響を生かしたものであり、きわめて秀逸である。

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スウィトナーは、ドイツ正統派の指揮者として、ベートーヴェンやシューベルト、ブラームスなどの交響曲全集を録音し、演奏内容もいずれも極めて高い評価を得ている。

ブルックナーについては、交響曲全集を完成させたわけではないが、第4番以降の主要な作品を録音するとともに、その演奏内容の質の高さから、スウィトナーとしても、自らの主要レパートリーとしての位置づけは十分になされていたものと考えられる。

特に、本盤の「第1」は、ブルックナー指揮者としてその名を馳せている他の指揮者でさえ、演奏を行うことは稀な曲目でもあり、スウィトナーが「第1」を録音したという厳然たる事実は、前述のような位置づけの証左と言えるのではなかろうか。

演奏内容は、いかにもドイツ正統派といった評価が適切な重厚な名演だ。

スウィトナーの指揮は、聴き手を驚かすような特別な個性があるわけでもない。

むしろ、曲想を格調高く丁寧に進めていくというオーソドックスなものであるが、かかるアプローチは、ブルックナー演奏にとっては最適のものである。

金管楽器を最強奏させているが、決して無機的になることはない。

そして、堅固な造形美は、いかにもドイツ人指揮者ならではのものであるが、フレージングの温かさやスケールの雄大さは、スウィトナーの個人的な資質によるものが大きいと考える。

シュターツカペレ・ベルリンも重心の低い深みのある音を出しており、ブルックナー演奏としても実に理想的なものと言える。

スウィトナーとシュターツカペレ・ベルリンとのコンビネーションは最高で、曲の面白さをしっかりと伝えてくれる名演である。

ベルリン・イエス・キリスト教会の豊かな残響を生かした録音も素晴らしい。

特にコアなブルックナー・ファン、スウィトナー・ファンには聴き逃すことのできない名盤と言えよう。

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2014年11月08日


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作品のみを語らせる演奏というのはそうざらにあるわけではない。

海千山千の指揮者が演奏をするわけであるから、作品の魅力もさることながら、指揮者の個性がどうしても前面に出てくることになるのが必定だ。

さりとて、個性を極力自己抑制して、作品のみに語らせる演奏を行おうとしても、それが逆に仇となって、没個性的な薄味な演奏に陥ってしまう危険性も高いのが実情だからだ。

ところが、スウィトナーはそうした単純なようで難しい至芸を見事に成し遂げてしまった。

ブルックナーの「第4」では、同様の自然体のアプローチによる名演として、ベーム&ウィーン・フィル盤とブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデン盤がある。

しかしながら、これらの両名演では、指揮者の力量も多分にあるとは思うが、それ以上に、ウィーン・フィルの深みのある優美な音色や、シュターツカペレ・ドレスデンのいぶし銀の音色による魅力が、名演に大きく貢献したという事実も忘れてはならない。

これら両オーケストラと比較すると、シュターツカペレ・ベルリンは、力量においては決して劣るものではないとは思うが、特別な個性的な音を持っているわけではない。

このような地味とも言えるオーケストラを指揮しての本演奏であるからして、スウィトナーの指揮者としての卓越した力量がわかろうというものである。

ブルックナーの「第4」の魅力を、ゆったりとした安定した気持ちで味わうことができるという意味においては、本盤は、ベーム盤やブロムシュテット盤にも匹敵し得る至高・至純の名演と高く評価したい。

シュターツカペレ・ベルリンはスウィトナーの特質に寄り添いながら、一体となったメジャー級の充実したアンサンブルと華美にならない高貴な美しい音を聴かせてくれる。

ベルリン・イエス・キリスト教会の豊かな残響を生かした録音も実に秀逸であり、美しい響きと録音で、肩肘張らずに聴いていて愉しい演奏ということでは、お薦めのブルックナーである。

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いわゆるブルックナーの演奏の定石とされている荘重なインテンポを基調とした名演ではなく、ドラマティックな要素をより多くとり入れた異色の名演と評価したい。

スウィトナーは、「第4」などでは、作品のみに語らせる自然体の演奏を行い、テンポにしても、音の強弱の設定にしても、いい意味での常識的な範疇におさめた演奏を展開していたが、この「第8」では、他の交響曲の演奏とは別人のような個性的な指揮を披露している。

各楽章のトゥッティに向けた盛り上がりにおいては、アッチェレランドを多用しているし、金管楽器も、随所において無機的になる寸前に至るまで最強奏させている。

このようなドラマティックな要素は、本来的にはブルックナー演奏の禁じ手とも言えるが、それが決していやではないのは、スウィトナーがブルックナーの本質をしっかりと鷲掴みにしているからに他ならない。

第1楽章の中間部の金管楽器の最強奏では、旋律の末尾に思い切ったリタルダントをかけるのも実に個性的であるし、第2楽章冒頭の高弦の響かせ方も、他の演奏では聴かれないものだけに新鮮味に溢れている。

トリオの美しさは出色のものであり、その情感の豊かさと朗々と咆哮するホルンの深みのある響きは、楽曲の魅力を表現し得て妙である。

第3楽章は、非常にゆったりとしたインテンポで楽想を進めていく。

弦楽合奏の滴るような厚みのある響きは美しさの極みであるし、金管楽器も木管楽器の奥行のある深い響きも素晴らしい。

終楽章は、威容のある堂々たる進軍で開始するが、ティンパニの強打が圧巻のド迫力だ。

その後も雄渾にして壮麗な音楽が続いていく。

そして、終結部の猛烈なアッチェレランドは、ブルックナーというよりはベートーヴェンを思わせるが、いささかの違和感を感じさせないのは、スウィトナーの類稀なる指揮芸術の賜物であると考える。

ベルリン・イエス・キリスト教会の豊かな残響を生かした鮮明な録音も、本盤の価値を高めるのに大きく貢献している。

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ブルックナーの「第5」については、2010年末、マークによる快速のテンポによる名演が発売された。

全体を約66分というスピードは、途轍もないハイテンポであるが、いささかも上滑りすることがない、内容豊かで重厚な名演であった。

本盤のスウィトナー盤も、マーク盤ほどではないが、全体を約69分という、ブルックナーの「第5」としてはかなり速いテンポで演奏している。

第1楽章の冒頭の弦楽器によるピツィカートは途轍もない速さであるし、その後の最強奏も畳み掛けるようなハイテンポだ。

それでいて、歌うべきところは情感を込めて歌い抜くなど、いささかも薄味の演奏には陥っていない。

スウィトナーは例によって、金管楽器には思い切った最強奏をさせているが、無機的には決して陥っていない。

第2楽章がこれまた途轍もなく速い。

冒頭のピツィカートなど、あまりの速さに、木管楽器との微妙なずれさえ感じられるが、これはいくらなんでも素っ気なさ過ぎとは言えないだろうか。

それでも、それに続く低弦による主題は、ややテンポを落として情感豊かに歌い抜いている。

その後は、速いテンポで曲想を進めていくが、浅薄な印象はいささかも受けない。

第3楽章は、一転して中庸のテンポに戻る。

その格調の高い威容は素晴らしいの一言であり、ここは本演奏でも白眉の出来と言えるのではないか。

終楽章は、比較的速めのテンポで開始されるが、第1楽章や第2楽章のように速過ぎるということはない。

その後は、低弦による踏みしめるような重厚な歩みや金管楽器の最強奏など、実に風格豊かな立派な音楽が連続する。

フーガの歩みも、ヴァントほどではないが、見事に整理し尽くされており、雄渾なスケールと圧倒的な迫力のうちに、全曲を締めくくっている。

いずれにしても、第2楽章冒頭など、やや恣意的に過ぎる解釈が聴かれないわけではないが、全体としては、名演と評価するのに躊躇しない。

ベルリン・イエス・キリスト教会の残響を生かした鮮明な録音も、本名演に華を添える結果となっている。

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2014年05月10日


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これは、スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンによるベートーヴェンの交響曲全集の中でも特筆すべきもので、「田園」という交響曲の素晴らしさをダイレクトに味わうことができる自然体の名演だ。

曲そのものを語らせることで、最大限の感動を与えてくれる稀有な演奏。

この演奏には、聴き手を驚かすような強烈な個性があるわけではない。

テンポも速すぎもせず、遅すぎもせず、中庸のテンポであり、アッチェレランドなどもいささかも見られない。

それでいて、のっぺりとした凡庸な印象はいささかも与えず、ベートーヴェンの美しい音楽の魅力を心ゆくまで安心して聴かせることに成功している点を高く評価したい。

たとえるなら、指揮者の強い個性という濃い味付けでなく曲という新鮮な素材を生かす「和」の料理のようだ。

録音は1980年であり、この当時は東ドイツという国が存在し、シュターツカペレ・ベルリンにも、現代にはすっかりと失われてしまった渋いジャーマンサウンドが生きていた。

戦後〜壁崩壊までの東独のオケらしいサウンド(ホルンや木管、弦)が上質の録音で堪能できる。

本演奏には、スウィトナーのオーストリア人ならではいくぶん柔和なアプローチと、シュターツカペレ・ベルリンの重厚で重心の低いサウンドが、最高の形で融合し、硬軟併せ持つ至高の名演に仕上がったとも言える。

併録の2曲の序曲も名演であり、熱のこもり方という意味では「田園」以上かも知れない。

ベルリン・イエス・キリスト教会の豊かな残響を生かした名録音も素晴らしい。

そして、今般、かかる名演がBlu-spec-CD化がなされたということは、本演奏の価値を再認識させるという意味においても大きな意義がある。

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2014年05月05日


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1970年当時の東独のベスト・キャストを集めた代表盤。

実に見事なモーツァルトである。

まずスウィトナーのすこぶる密度の高い、およそ余計な虚飾を持たぬ、音楽の精髄だけみたいな表現に感嘆せずにはいられない。

オーケストラはややくすんだ古雅な音色で、まるでいぶし銀のような純度と底光りを持っている。

スウィトナーの指揮はおおむね正攻法の格調高いもので、弦は堅実かつ克明にフレーズを刻み、それに管パートの素朴にして柔らかい音色が味わいを添える。

誇張感を抑えた誠実な演奏だけあって、歌唱とのアンサンブルにおいてもハーモニーのパースペクティヴがすこぶる良好で、オペラ演奏としてのナチュラルな愉悦感が聴いていて直截に伝わってくる。

6人の歌手も、スウィトナーの棒の下にきちんとひとつのスタイルに統一されたアンサンブルを形作っており、特にアダムとシュライアー、ゲスティがよいが、それぞれの歌唱を単独で考える分にはいずれも非常に立派で申し分ないが、性格対比という面でちょっとひっかかるものがある。

具体的にはフィオルディリージ役カサピエトラとドラベラ役ブルマイスターの配役がそうで、両者の歌唱を比べるとブルマイスターの方がカサピエトラよりひとまわり貞淑な感じだが、性格的にはフィオルディリージの方がドラベラよりも貞淑のはず(台本上ドラベラは第2幕5場で早々と「陥落」するのに対し、フィオルディリージは第2幕12場でようやく陥落する)で、そのあたりの対比がちょっと曖昧。

フェルランド役シュライアー、グリエルモ役ライプ、アルフォンソ役アダムはそれぞれ歌唱も上手いし芸達者ぶりも上々。

しかし芸達者という点でピカイチなのはむしろデスピーナ役ゲスティで、第1幕終盤での医者に化けてラテン語もどきをまくしたてるあたりとか、第2幕終盤で今度は公証人に化けて契約書を早口でまくしたてるあたりとか、いずれも聴いていて思わず吹き出してしまうほど面白い。

音質は年代を考えると非常に良く、下手なデジタル録音より音響的な臨場性に富んでいる。

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2014年04月30日


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ベートーヴェンの交響曲全集やブルックナーの交響曲集など、それぞれの楽曲の演奏史上でも上位に掲げられる名演奏を残しているスウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンの黄金コンビであるが、本盤に収められたシューマンの交響曲第2番&第4番についても、このコンビならではの素晴らしい名演であると評価したい。

昨今のドイツ系のオーケストラも、国際化の波には勝てず、かつて顕著であったいわゆるジャーマン・サウンドが廃れつつあるとも言われている。

奏者の技量が最重要視される状況が続いており、なおかつベルリンの壁が崩壊し、東西の行き来が自由になった後、その流れが更に顕著になったが、それ故に、かつてのように、各オーケストラ固有の音色というもの、個性というものが失われつつあるとも言えるのではないか。

そのような中で、スウィトナーが指揮をしていた当時のシュターツカペレ・ベルリンには、現代のオーケストラには失われてしまった独特の音色、まさに独特のジャーマン・サウンドが随所に息づいていると言えるだろう。

スウィトナー自身は、必ずしも楽曲を演奏するに際して個性的な解釈を施す指揮者ではなかっただけに、その演奏の魅力は、シュターツカペレ・ベルリンの重厚なジャーマン・サウンドとそれを体現する力量によるところも大きかったのではないかとも考えられるところである。

シューマンの交響曲は、後輩にあたるブラームスの交響曲と比較すると、特にオーケストレーションの華麗さには大きく譲るところがあり、どちらかと言えば、幾分くすんだような渋味のあるサウンドに支配されているとも言える。

したがって、このような楽曲には、シュターツカペレ・ベルリンの当時の音色は最適のものであると言えるところであり、筆舌には尽くし難いような味わい深さを有していると言っても過言ではあるまい。

この黄金コンビにかかると、シューマンの質実剛健ともいうべきオーケストレーションの魅力が、聴き手にダイレクトに伝わってくるとさえ言える。

もちろん、第2番には、シノーポリ&ウィーン・フィルによる演奏(1983年)、第4番には、フルトヴェングラー&ベルリン・フィルによる演奏(1953年)といった歴史的な超弩級の名演が存在しており、それらの超名演と比較して云々することは容易ではあるが、そのような超名演との比較を度外視すれば、十分に魅力的な優れた名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。

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2014年04月29日


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NHK交響楽団の名誉指揮者として、かつてたびたび来日して名演奏の数々を聴かせてくれたスウィトナーであるが、スウィトナーの遺した名演の数々の大半は、何と言っても手兵であるシュターツカペレ・ベルリンとの演奏であるというのが衆目の一致するところではないだろうか。

スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンは、現在ではすっかりと失われてしまったジャーマンサウンドを奏でている。

国際的にも奏者の技量が最重要視され、各オーケストラの音色が均質化されている今日からすれば、まさに隔世の感がある。

スウィトナーは、それほど個性的なアプローチをする指揮者ではなかったので、これは、シュターツカペレ・ベルリンの力量によるところも大きいのではないかと考える。

このような重厚なジャーマンサウンドをベースとしたシューマンの交響曲は何と言う味わい深いものであることか。

特に、第1番は、1841年の自筆譜をベースとしているだけに、シューマンの素朴とも言うべきオーケストレーションの魅力が、聴き手にダイレクトに伝わってくる。

自筆譜独自の暗鬱さや内向的性格を的確に捉え、しかも音楽的な統一感と説得力の強さはスウィトナーの巨匠性を示している。

冒頭のホルンとトランペットが現行譜より3度下で始まるほか、驚くような違いがいくつも見られるが、スウィトナーは現行譜との異同を明確に示しつつ、シューマンの音楽的本質をかつてないほど明らかにした演奏を聴かせている。

全体に静けささえ漂っているようで、シューマンはオーケストレーションが下手だったとの定説を覆すのに十分な魅力を湛えていると言える。

第3番も、外面的な華々しさとは皆無。

華麗な効果に傾斜しない陰影の濃い表現だが、旋律は幻想的に歌い、シューマンの独創性を端的に示している。

シューマンの幾分くすんだいぶし銀のオーケストレーションを、奇を衒うことなく自然体で表現することによって、楽曲本来の根源的な魅力を見事に引き出している点を高く評価したい。

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2013年02月12日


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この「第9」はまことに素晴らしい演奏で、ドイツの伝統様式を受け継ぐスウィトナーとシュターツカペレ・ベルリンの長く緊密な関係の頂点ともいうべき記念碑的録音と言えよう。

音楽史上最高傑作の一つであることもあって、ベートーヴェンの「第9」には数多くの名演が存在している。

過去の巨匠と言われる大指揮者が、数々の個性的な名演を成し遂げてきている中で、存在価値のある名演を成し遂げるのは容易なことではない。

そのような中で、本盤のような、必ずしも個性的なアプローチをとっているとは言えない演奏が、現代においてもなお名演との評価を受けているのは、ベートーヴェンの「第9」という音楽の魅力を、ゆったりとした気持ちで安心して味わうことができる点にあるのではないか。

スウィトナーの指揮は、いささかも奇を衒うことはなく、中庸のインテンポで楽曲全体を描き出しており、シュターツカペレ・ベルリンの演奏も地に足がついたいかにもジャーマンサウンド満載の重厚な重量感溢れるもの。

それでいて、まるでライヴ録音のような、生き生きとした音楽が展開されていく。

速めのテンポも良いし、ティンパニの強打、金管の強奏、木管の美しさ、弦の素晴らしいアンサンブルなど、どこをとっても非の打ち所のない素晴らしい名演だ。

さまざまな「第9」を聴き尽くし、最後にこの演奏に触れた時、「これぞ本物!」と確信できる類の名演で、良い意味での模範的な「第9」ということができるだろう。

スウィトナーの解釈そのものは何の変哲もないが、この演奏を明らかに超えるようなディスクを探すのは至難の技だろう。

録音が、残響豊かなベルリン・イエス・キリスト教会であることも功を奏しており、スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンの名演に潤いと奥行きの深さを与えていることを忘れてはなるまい。

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2012年10月07日


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スウィトナー晩年(1989年)の貴重な遺産。

原曲のピアノ連弾版よりオーケストラ版の方が広く親しまれている「ハンガリー舞曲集」全21曲を、名指揮者スウィトナーが、手際よくまとめあげた名盤。

ハンガリー舞曲は、いずれも魅力的な佳曲揃いであるにもかかわらず、後輩であるドヴォルザークが作曲したスラヴ舞曲に比較して、全集録音にはあまり恵まれているとは言い難い。

それは、ブラームスによる作曲というよりは編曲に近いということ、そして、ブラームスの手によってオーケストレーションされた曲がわずか3曲に過ぎず、様々な作曲者の手によって編曲がなされ、管弦楽曲としての均質性にいささか問題があるという点に理由があるのではないかと考えている。

スウィトナーは、こうした弱点を見事に克服し、数少ないハンガリー舞曲の全曲録音の中でも、ドイツ的な重厚さを兼ね備えた名演と言えるだろう。

とても洗練された演奏で、推進力にあふれ、何度聴いても飽きがこない。

思いのほか、ゆったりとしたテンポで、哀愁にみちた旋律を浮き彫りにしている。

各曲の描き分けも実に巧みで、「ハンガリー舞曲集」の魅力を大いに満喫することができる。

シュターツカペレ・ベルリンはスウィトナーが長年音楽監督を務めていたオケだけに、楽員たちがスウィトナーの棒に十全に応え、演奏する喜びがどの曲にも表れている。

やや速めのテンポでまとめた第1,6番、メロディをたっぷりと流した第4番、軽快に運んだ第7番、開始部の演出のうまい第12番、ジプシー調を強く打ち出した第17番など、いずれも素敵な演奏だ。

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2011年10月23日


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1986年8月22-29日、旧東ベルリン、キリスト教会での録音。

旋律はよく歌い、ドラマティックなところは最高に盛り上げてくれる演奏。

ブルックナーの交響曲には音のドラマなどないし、そんな深刻な音楽ではないので、このような指揮ぶりは失敗しやすい。

フルトヴェングラーがその例であるが、スウィトナーは見事な成功をを収めているのである。

第1楽章など実にものものしいが、他の演奏では気がつかなかった作品への新しい発見がある。

たとえば最後の宇宙の終末のような阿鼻叫喚は凄絶の一語につきよう。

第2楽章のスケルツォも表現意志がはっきりしており、強音部での金管が轟然たる持続音を吹くあたり(1:17)は悪魔的でさえある。

中間部のホルンやハープの美しさも無類だ。

第3楽章のアダージョも楽譜を徹底的に読み切り、そこに青白い感情移入を果たしていくが、スウィトナーの表現の真骨頂はフィナーレに見られる。

つまり人間的な音のドラマが連続して登場し、あるいは怒りとなり、あるいは凄まじい狂躁となる。

そして結尾部はかなり遅いテンポ開始されるが、途中で急激なアッチェレランドをかけて前進し、一気に終結してしまう。

フルトヴェングラーに近い指揮ぶりだが、あのように音楽が小さくなってしまわないのは偉とすべきであろう。

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2011年10月22日


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1987年5月12-15日、旧東ベルリン、キリスト教会に於けるデジタル録音。

筆者は正直言って、この「ブル1」は唯一スケルツォのテーマだけが胸をワクワクさせるような躍動感があり、魅力があるように思えるのだが、全体として、このスウィトナー盤を聴くまでは作品の真価を感じることができなかった。

スウィトナーの指揮は、作品の若々しさとウィーンの街ののびやかな雰囲気に通じる気分をくっきりと表している。

とにかく全体が歌に満ちた表現で、最初の低弦のリズムからさえ、もう躍動する歌が聴こえるようだ。

推進力も強く、デュナーミクのコントラストは強いが作為的ではなく、その線の太さは男性的と言えるし、オーストリア風の優美な様式が作品にふさわしい。

これがまた初期のブルックナー風でもあるのだ。

それに加えてスウィトナーの作る響きは明るく洗練されている。

スウィトナーが1964年から90年まで音楽監督を務めたシュターツカペレ・ベルリンは、さすがに指揮者の意図を完全に知り尽くしているようで、ディテールのすみずみまでよく練られたアンサンブルを聴かせる。

良い意味で常套的なスウィトナーの解釈は、楽譜に忠実であると同時に清潔でキメ細かく、しなやかで流動性が強い。

これは彼の音楽性そのものである。

現代の優れたブルックナー演奏の典型と言って良い1枚。

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2011年10月21日


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1988年10月10-14日、旧東ベルリン、キリスト教会に於けるデジタル録音。

ここで採りあげたCDは、ノヴァーク版に基づいた、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリン盤。

さて、何故この演奏を筆者は好むのか?

第4番の交響曲がブルックナーの交響曲のなかでも異色なものであり、単なる音の交響に精神的深化を加えたものではない。

音楽として演奏されるべき性格のものである。

スウィトナーの演奏は、細部に及ぶまで入念に仕上げられている。

よくある変な「りきみ」は微塵もない。

筆者は押しつけがましい精神注入的演奏を嫌う。スウィトナーの演奏は、聴いた後も爽やかな気分が残る。

スウィトナーのブルックナーには独特の味わいが感じられるが、昨今のブルックナー解釈の動向、つまり作曲家の指定が時には不自然、あるいは無理と思える個所でも、その深い意味を追求するなどということとは必ずしも一致しない。

スウィトナーはもっぱらゴーイング・マイ・ウェイで、それはそれでひとつの行き方だし、認められるべきものだ。

シュターツカペレ・ベルリンはふくよかな響きでナイーヴに演奏しており、水準も高い。

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2011年10月20日


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1989年1月23-27日、旧東ベルリン、キリスト教会に於けるデジタル録音。

スウィトナーはわが国で親しまれた指揮者の1人であった。

それはこの演奏に聴かれるように無理をしない温厚・妥当な表現法が、多くの人々に信頼されているためだろう。

またスウィトナーの解釈は趣味がよいが、それは頭で考えたものではなく、指揮者とオケが本来的に保有する体質だろう。

表情は意外なほど淡白だが、歌うべきところはさすがに息長く歌わせている。

第1楽章冒頭からすでに気迫に満ち、独自の情緒が大きなうねりとなって聴く者をブルックナーの世界に引き込んでしまう。

第2楽章などこの指揮者らしい作為のない表現だが、あたたかさとノスタルジアに満ち、共感の豊かさが自然に内向する重く沈んだ響きをつくっており、コーダも悲痛とさえいえる表現だ。

名演というべき第3楽章、堂々として自然に流れる終楽章と、いずれも緊張度が高く、充実度も高い。

ブルックナーの素朴な心情に素直に触れているのも好ましく、晴朗な抒情感と堅固な構築力をもった演奏である。

スウィトナーの純粋で高雅な音楽性がオーケストラ全体に浸透し、極めて純度の高いブルックナーを形づくっている。

シュターツカペレ・ベルリンは標準的な技術と合奏力をもち、優秀なアンサンブルを展開しているだけでなく、その柔らかく、ふくよかな響きは作品にもスウィトナーにも相応しい。

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2011年10月19日


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スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリンによるブルックナーの交響曲全曲録音は、1986年の8番にはじまり、1年1曲のペースで1、4、7、5番まで進んだところで病気により中断。

しかし、9番以外の名曲が録れたのは幸いだった。

いずれも録音はベルリン・キリスト教会で、残響が美しいのが特徴。

この「ブル5」は、1990年1月8-13日の録音で、スウィトナーは当録音の3ヵ月後に、同オケを辞任している。

ブルックナーの真髄と触れ合った秀演である。

極めて個性的で、スケールの大きい雄大な演奏だ。

スウィトナーらしく朗々と旋律を歌わせており、第1楽章はやや速めのテンポだが、晴朗で風格豊かな音楽だ。

古き良き時代のドイツの伝統に準じた解釈で、なんのケレン味もなく徹している。

第2楽章の、幅広い旋律の流れが壮大に高揚し沈潜する表現は、この楽章の様式と精神を素直な感受性で表出したものといえる。

第3楽章は素晴らしい動感と劇性の変転で聴き手を魅了し、テンポも良く、抒情的な雰囲気も良い。

第4楽章も特筆に値する演奏。軽やかなリズムと独自の歌謡性で一貫している。

そのためか緊張感がやや弱まる部分もあるが、コーダに向けて徐々に雄大さを回復していく。

ロマンティックな解釈とはひと味違うテンポに対する一貫性が保たれているが、この辺はスウィトナーの面目躍如たるものがある。

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2011年10月18日


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1974年12月17日、NHKホールでのライヴ録音。

1970-80年代N響の名誉指揮者として日本の聴衆から圧倒的人気を博したスウィトナー。

その公演回数は何と110回を超えるという。

「ブル3」はスウィトナーの初レパートリーで、スタジオ録音されなかったというだけではなく、この日がこの曲のN響初演という記念すべきライヴ録音。

ブルックナー演奏も好評だったスウィトナーだったが、残念ながら全集は途中で中断してしまった。

このN響とのライヴは、ミスは多少あるが、N響にとっても初演となるだけに気合い充分の入魂の演奏で、全体を通じて非常にテンポよく生き生きと進んでいく。

スウィトナーの表現は整理の行き届いたアンサンブルを基本に誠実かつ淡々とした足どりで全曲を通している。

第1楽章は流動感や運動性が強く、弦も管も明晰そのもので、音楽の輪郭がにじむことがない。

第2楽章は深い情念を秘めながら悠揚と進行し、正確な足どりが、優れた造形に結びついた表現だ。

後半2つの楽章も音楽がすみずみまで見通しよく広がり、金管の強奏を多用しながら、響きのバランスも崩れず、全体の均質化が実現しているのもよい。

複雑な構造をよく整理して、丹念に高揚や起伏を表現しているが、全曲を通してテンポに無理がなく、運動性の美しさ、格調高い表現も見事なものである。

また全体に落ち着きとゆとりを感じさせるのも、確かにブルックナーの本質と触れ合っているという印象を受ける。

スウィトナーのブルックナーは再認識されるべきと思わせる優れた演奏だ。

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2011年09月28日


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1964年のステレオ録音で、スウィトナーとドレスデン国立歌劇場管弦楽団の蜜月時代の素晴らしい名演。

ベリー、ローテンベルガー、プライ、ギューデン、マティス、シュライアー、ブルマイスターといった名歌手が勢揃いした超豪華歌手陣をスウィトナーが巧みに統率。

推進力と弾力性に富むアプローチが小気味よい快演を生んだ。

生き生きと躍動する序曲から素晴らしく、まさしく《フィガロ》の世界であるが、何か普通の《フィガロ》とは違うという期待感を持たせる記録。

ドイツ語版なので、最初に聴いた時は少々違和感があったが、演奏がすばらしいので聴き入ってしまった。

歌手も、オケも最高の出来であり、歌詞がドイツ語でなかったら、純音楽的には最高の名演であろう。

同時にまた、解説書に掲載の何枚かの写真に記録された、スウィトナーや名だたる歌い手たちの若々しい姿もまた、ある種の懐かしさを感じさせずにはおかない。

実際、シュライヤーやマティスは、当時まだ20代の若さであった。

テンポのよいスウィトナーの指揮、まろやかこの上ないドレスデン国立歌劇場管弦楽団の音色、ルカ教会の残響の美しさ、ホールが楽器のひとつであることを実感させる。

名匠スウィトナーと、若き歌い手たちとの快活で小気味いい、伝統のオーケストラの美音で聴いて、心地よい気分に浸りたい。

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2010年12月05日


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スウィトナー時代のシュターツカペレ・ベルリンの代表的名盤。

自然で、柔らかな表情をたたえたウェーバーで、随所でオーケストラ・ピットで培われた劇場的な雰囲気がいかされている。

なのに、このCDが目下廃盤の憂き目にあいそうなのは、定番の《魔弾の射手》や《オイリアンテ》が入っておらず、5曲のうちポピュラーなのは《オベロン》のみという事情があるのかもしれない。

しかし筆者に言わせればそれでも魅力は十分。

1曲目の《オベロン》の夢のような美しさにうっとりとさせられれば、もうそのまま最後まで聴かずにはいられなくなる。

音楽の自然な流れを大切にし、しかも卓抜な演出力の持ち主でもあるスウィトナーの特質が遺憾なく発揮されている。

スウィトナーの指揮はおよそぼってりとしたところのない、清潔で引き締まったタッチで一貫している。

それでいてどの序曲のどのページも柔らかくデリケートな表情に満ちており、それがいきいきとオペラないし劇の気分をリスニングルームいっぱいに醸し出す。

最も見事なのは《精霊の王》で、緩急と起伏を大きくつけながら、ドイツ的なコクのある音楽を作り上げている。

《オベロン》での序奏部分のファンタスティックな雰囲気の描き方が巧妙で、主部に入ってからの闊達な表情との対比も鮮やかだ。

シュターツカペレ・ベルリンも素晴らしい出来で、抜群の底力を発揮している。

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2010年09月14日


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スウィトナーは昔から、ベートーヴェンを得意にしてきた指揮者である。

オーストリア生まれのスウィトナーは1964年から90年までベルリン国立歌劇場の音楽総監督を務め上げ、全盛期を謳歌した。

この時代にオーケストラも最良の水準に到達、しなやかな弦の美しさ、潤いあふれる木管楽器、底光りするような金管楽器セクションが一つになった演奏で一世を風靡した。

1980年から83年にかけて収録されたベートーヴェンの交響曲全集はその最良の成果。

演奏はドイツの伝統様式を、現代的かつ妥当な客観性で表現し、作品自体に語らせた解釈で、全集としては最も好ましい在り方だ。

そのため各曲にはほとんど優劣がなく、抒情性と劇性、歌謡性と運動性などの相反するものを包含したうえでの中庸美を獲得している。

それは指揮者の中にある南欧的性格と、オケのプロイセン的な気質が複雑に調和した結果だろう。

第5番にギュルケ版を用いるなど、使用楽譜とその解釈において、全集としての文献的価値も高い。

しかも現代の感覚にアピールするふくよかな歌と明るい美感をそなえてもいる。

ベートーヴェンの音楽に存在する意志的な個性や普遍性を両立させ、低音をよく響かせながら、全体を実に堅固に表現している。

少しの小細工も弄することなく、正攻法で挑んでいるのがすごい。

全体に、誠実さをそのまま音にしたかのような自然で、たおやかな感動にあふれている。

なかでも最初期に収録された《田園》は何よりも表現の純度が高く、水彩画のような美しさを誇ると同時に、感動の質がどこまでも温かい。

個性やカリスマ性とは対極にある、歴史が作り出した名演である。

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2009年01月04日


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いずれも秀演で、モーツァルト解釈家としてのスウィトナーの存在を強く印象づける。

いずれも典雅でふくよか、明快な印象を与える演奏は、現代における最も円満なモーツァルト集成といってよい。

スウィトナーのすぐれた音楽性を示した演奏であり、妥当なテンポと典雅な表情、柔らかい旋律線と爽快なリズムが渾然一体となって、実に端正に音楽をつくっている。

シュターツカペレ・ドレスデンの古雅で晴朗な響きと完全に息の合ったアンサンブルの美しさは、他には求められない魅力であり、モダン楽器による現代のコンサート・スタイルの演奏としては第一級の表現だ。

オケがすばらしく優秀なので、速めのテンポをとった「ハフナー」第1楽章など唖然とするほど見事なアンサンブルを聴かせる。

室内楽風に編成を小さくしているので音の透明度が高く、アンサンブルの細部まで透けて見えるようだ。

しかも木管などしっとりとして味わい深く、あらゆる意味でモーツァルトの美しさを満喫させる名演といえよう。

特に第32番と第34番は、精彩にみちた表情でさわやかな音楽をつくっている。

第40番の素直な造形、作品の比類ない精緻な美しさを無理なく示した表情、また古典的な透明感を的確に表出した「ジュピター」、それぞれが指揮者とオケの純粋な音楽性の賜物といえよう。

サウンドは味わい深く、しかも全てがよい意味での良識と中庸を感じさせる表現だ。

はつらつとしたリズムによる流動感の豊かなモーツァルトである。

かつての大指揮者たちのスケールの大きさはないが、古典主義的な作品の様式を素直に受けとめ、あるがままを描いており、全体はきわめて音楽的だ。

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2008年12月20日


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オペラの楽しさはまず序曲から。

モーツァルトの有名なオペラの序曲がまた、音楽的に実にすぐれており、モーツァルトのオペラ入門曲としては、うってつけの音楽となっている。

このディスクはモーツァルトの有名な序曲を9曲集めたもので、選曲のよさに加えて演奏の質もきわめて高い。

スウィトナーは、これら9曲を完全に手中に収め、それぞれ趣を異にする曲の性格を鮮やかに浮き彫りにしている。

「フィガロの結婚」は心が浮き立つように音楽が息づいているし、「劇場支配人」は、その闊達な表現に魅了される。

「ドン・ジョヴァンニ」もこの曲のもつ暗い雰囲気を余すところなく表出していて見事だ。

ベルリン国立歌劇場管弦楽団の独特の響きもあって、明るく華やか!じゃないところが好ましいモーツァルト。

古き良きモーツァルトと、別に本当に古くはないのだけれど、感じてしまう。

このオーケストラの響きの、いわば長所が出ている。

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2008年12月05日


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スウィトナーのブラームス:交響曲全集では、第4番が最も素晴らしい。スウィトナーの抒情性が作品とよく一致した、きわめて流麗でとうとうと流れ、おおらかに歌う秀演だ。

この曲の情緒的な面よりも、構成的な美しさをひき出した演奏で、対位法的な手法で書かれた旋律を、巧妙に処理している。

この曲のロマン的な性格も明らかにされているが造形的にも平衡感が強く、両端楽章ではこの指揮者の円熟を反映して堂々としたスケールの大きな音楽を聴かせる。

オーケストラの渋い味わいのある響きからしてブラームス的だが、各パートのバランスをくずさずに、自然に表現しているところがよい。

第1楽章では、多くの短い動機に分解できる第1主題も、スウィトナーの手にかかるとロマン的でヒューマンな情緒を色濃く表している。

第2楽章の漂うような流れのなかにさり気なく示される立体感も美しいが、この演奏では終楽章が最も素晴らしい。

決して構えたところはないが、風格に満ち、この作品の交響性と抒情性を見事に両立させた表現だ。

スウィトナーが巨匠的な風格を身に付けていることを、まざまざと感じさせる演奏である。

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第3番は終始、正攻法で一貫した堂々とした風格のブラームスだ。

スウィトナーは遅めのテンポから悠々たる足どりを見せ、スケールの大きい立派なひびきを出し、深い呼吸をもって演奏している。

全体にテンポにゆとりがあり、オケと弦と管がみごとに溶け合ったいぶし銀のような響きを聴かせる。

ここでスウィトナーは、これらドイツ的ともいえる音楽にウィーン風の柔軟性を加えており、旋律を流麗に歌わせて、ブラームスのもつ晦渋さを柔らげている。

中間の2つの楽章は自然な流れのなかに素直な情緒をただよわせ、両端楽章は充実感とともにきれいごとでないバランスによって、渋すぎないブラームス像を描き出していく。

特に第3楽章では、ゆれるような歌がほのかなロマンをたたえ、心安らぐ美しさを表す。

スウィトナーはオーケストラを自分の楽器のように、力強くドライヴするタイプではなく、各奏者の自発性を尊びながら、音楽をまとめてゆく人である。

ここでは、そうした性格がよく生かされており、各楽章を丹念に、オーケストラのバランスを考えながら指揮している。

雄壮でありながらも抒情的なこの曲の特徴をよくつかんだ、堅実な演奏だ。

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スウィトナーはブラームスをロマン主義的作曲家の範疇でとらえているようだ。

近年ブラームスの交響曲はこうしたロマンティックなスタイルで演奏されて大きな成功を得られる傾向が強いが、スウィトナーの解釈は極めて自然で人工的なところがない。

第1番フィナーレの力強さはスウィトナー独特のもので、この演奏の骨組みががっちりしていることを主張している。

格調高く、堅牢な骨格をもったすぐれた演奏だ。

第2番も実に自然体のブラームスで、少しのてらいもなく、田園風の旋律をのびのびと歌わせた演奏である。

全体におだやかな雰囲気が田園風といわれる楽想を自然に表わしている。

スウィトナーは極端な表情を避け、たとえば第2楽章では弦を柔軟に歌わせると同時に、木管やホルンの弱音をほとんど無視して穏当なバランスを作り出し、デュナーミクの広さより各楽器の音色を大切にしていることがうかがわれる。

第3楽章では輪郭の鮮明な響きを獲得しながら、そこにデリカシーを加えることに成功している。

ドイツ・オーストリア系以外の指揮者は、この作品の流れるような歌の性格を強調しすぎることが多いが、オーストリア人のスウィトナーは、曲の対位法的な特徴をよくつかみ、入りくんだ旋律を、美しく、しっかりと聴かせている。

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2008年12月04日


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スウィトナー独特の表現スタイルを持ったモーツァルト演奏。

あたかも小さなフラスコの中で手塩にかけて醸成した高価な香水を、狭い小さな容器にいったん集約した上で、必要なだけ少しずつ、真に注意深く耳を傾ける聴き手にだけ分かち与える、といった趣がある。

その音楽は十二分に精錬されているが、決してみずからの美しさを誇示することのない、慎み深い純潔さをもったモーツァルトだ。

スウィトナーの指揮するモーツァルトの演奏は、端正で古典的な様式美にあふれているのが特色である。

この「魔笛」の演奏は、その好例で、スウィトナーは明確な棒できびきびと運びながら、モーツァルトの音楽の美しさを鮮やかに浮き彫りにしている。

シュライアーのタミーノ、ゲスティの夜の女王ら独唱陣も、スウィトナーの意図に十全にこたえた好演だ。

ドレスデンのオケも随所で夢のような音色感を出していて美しい。

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2007年12月14日


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ドヴォルザークの交響曲全集(あわせて序曲集も)はスウィトナーがお薦めである。

全曲を通して、スウィトナーの演奏は、旋律をしなやかに歌わせ、ドヴォルザークの交響曲を見事な平衡感覚で再現している。

適度に劇的であるが誇張のない表現でアンサンブルもよく整っている。

どの曲もドイツの古典交響曲を演奏するのと同じ姿勢で着実にまとめられ、しかも温かみのある音楽に仕上がっている。

第8番は数多いレコードの中でも屈指の好演で、温かい親密度が表現いっぱいに溢れ、人間のもう1つの側面の豊かな楽しみに聴き手を包み込んでくれる演奏。

全ての楽想が、その表情を存分に解放されて、のびやかに生命感を描き出しているし、しかも少しももたれることなく美しい流動感をもって柔らかい盛り上げをつくっている。

楽器のバランスにみる微妙な美しさ。オーケストラも何とうまいことか。

次いでは第3番と第6番がすぐれた演奏だ。

スウィトナーらしく、いささかも誇張のない表現で、ドイツ・ロマン派の交響曲にも通じる堅実な構築美を作っている。

「新世界より」は確信に満ち、どっしりと腰の坐った大きな実に堅実な表現で好ましい。

スウィトナーの抒情的な資質も端的に表れており、旋律線を情緒豊かに、ふくよかな響きで歌わせ、明るさを帯びた軽やかな流動感がある。

耳につきすぎるこの曲も、ふだんと違った大交響曲の偉容をもって迫ってくる。

この指揮者特有の柔らかい音楽のこなし方の上に、毅さ、激しさも加え、しかも一貫して流れゆく流動感はいっそう豊かである。

第2楽章の有名な主題は極めて沈潜的な深い心情を湛えて歌いつくされ、中間部は華やいだ色彩で盛り上げる。

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