ブリュッヘン

2016年10月25日


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2014年8月に亡くなったフランス・ブリュッヘンのテレフンケンレーベル時代の集成である。

発売から大分経過しているが、ブリュッヘンの天才に魅了され大きな影響を受けた筆者としては遅ればせながら追悼の意味で書きたい。

ブリュッヘンは旧テレフンケンの古楽レーベル、ダス・アルテ・ヴェルクにCD12枚分の音源を残している。

ブリュッヘンは1934年生まれだから、これらのセッションは28歳の時に始まり、その後1979年まで17年間続けられた。

当時古楽復興の黎明期にあってリコーダーという、まだその芸術性が確立されていなかった楽器のために、これだけ高いレベルの演奏と量を誇ったシリーズは皆無だった。

ブリュッヘンのリコーダーを支えた通奏低音奏者は幸運にも若き日のグスタフ・レオンハルト、アンナー・ビルスマ、ニコラウス・アーノンクールなどで、その後の彼らの仕事とその功績から言っても、現在ではとても考えられない豪華メンバーだし、アンサンブルとしても万全だったと思う。

やや遅れてブリュッヘンはその新境地をセオン・レーベルから再び一連の笛のための音楽としてリリースすることになるが、こちらも時を同じくしてソニー・ヴィヴァルテから10枚組で復活している。

このセットは当時のブリュッヘンのリコーダー音楽への情熱の結晶であり、それまでの古楽の概念を覆すような彼の斬新かつ鮮烈な奏法と、カリスマ的パフォーマンスで聴く者を魅了する演奏が特徴である。

この時代のブリュッヘンを知っているリコーダー・ファンであれば、懐かしさも手伝ってあの時の感慨が蘇るだろうし、古楽のパイオニアの模範的演奏として入門者にもお薦めできる。

ダス・アルテ・ヴェルクは当時から新進気鋭の演奏家を起用して、演奏内容は勿論、音質の良さとその臨場感で古楽ファンの注目するレーベルだった。

彼らの先見の明によって現在のような古楽鑑賞がごく当たり前に普及し、またその先駆をなした業績は無視できない。

しかし単独で出ていた時には価格も決して安くはなかった。

筆者自身LPで集めたものと、CDになってから買ったものとで半分くらいは持っていたが、最近の箱物ラッシュでご多分に漏れず廉価盤化されたので結局購入することになった。

ライナー・ノーツは71ページほどだが、後半約10ページにブリュッヘンの略歴が英、仏、独語で掲載されている。

残りの部分は曲目と使用楽器の明細で、この曲集総てに亘って彼らの使用楽器とその所蔵が明記されている。

それらは錚々たる名器ばかりで驚かされるが、またこうしたところにも彼のオリジナル嗜好のこだわりが良く表れている。

録音はいくらか古い音源でごく一部にノイズが聞かれるが、概ね良好で満足のいくものだ。

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2014年12月10日


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近年では古楽器演奏の大御所として、18世紀オーケストラを指揮して様々な名演を成し遂げているブリュッヘンであるが、1970年代頃までは、「リコーダーのライオン」との異名をとるほどの偉大なリコーダー(ブロックフレーテ)やフラウト・トラヴェルソのヴィルトゥオーゾであったことはあまり知られていない。

本盤に収められたヘンデルのフルート・ソナタ集は、古楽演奏家たちのアルバムを数多く制作してきた名プロデューサーであったヴォルフ・エリクソンが制作した「ヘンデル/木管のためのソナタ全集」から、ブリュッヘンがソロをつとめたもの(8曲)を抜粋したものである。

そして、バロック・チェロをアンナー・ビルスマ、チェンバロ及びオルガンをボブ・ファン・アスペレンがつとめるという豪華な布陣であり、また、使用楽器も、オルガンを除くと、1600年代〜1700年代に製作された希少な古楽器を使用しており、これはエリクソンだからこそ成し得た理想的な演奏・録音であったと言っても過言ではあるまい。

本盤の各演奏の特徴を一言で言えば、清新さということが言えるのではないだろうか。

バロック音楽の演奏にありがちな古色蒼然たる響きなどは薬にしたくもなく、どこをとっても明朗かつ伸びやかな演奏が行われており、その美しい響きは瑞々しささえ感じさせると言っても過言ではあるまい。

ブリュッヘンは、ブロックフレーテとフラウト・トラヴェルソの両楽器を巧みに吹き分けつつ、持ち前の超絶的な技量を惜しげもなく披露しているが、その演奏はあくまでも内容重視であり、いわゆる技巧臭がいささかも際立つということがなく、楽曲の美しさ、魅力だけが聴き手に伝わってくるのが素晴らしい。

古楽器奏法や古楽器(ピリオド楽器)による演奏では、音楽の歴史を紐解くにあたっては貴重な演奏ではあっても、芸術性をどこかに置き忘れた軽妙浮薄な演奏も相当数行われているという嘆かわしい状況にあるが、ブリュッヘンの演奏は前述のように芸術性の塊と言っても過言ではないところであり、近年の18世紀オーケストラを指揮して名演の数々を成し遂げている現在の大指揮者ブリュッヘンの萌芽が本盤の演奏には既に存在しているとさえ言えるだろう。

いずれにしても、本盤の演奏は、古楽器を使用したバロック音楽の演奏に清新な息吹を吹き込むとともに、その古楽器を使用した演奏を芸術的にも高いレベルに引き上げることに先鞭を付けた素晴らしい名演と高く評価したい。

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2010年09月20日


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名曲だけに多くのCDがカタログを飾っているが、現代における最もオーセンティック(本物)な演奏は、ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラであろう。

各曲の初演当時の編成と楽器を用い、オリジナルに徹したところが、極めて説得力が強い。

ブリュッヘンの指揮も、メリハリをはっきり付けたバロック的ともいえるスタイルで、オーケストラのアンサンブルも緻密そのものである。

オリジナル楽器によるベートーヴェン交響曲全集だが、内容は極めてロマンティックというか、ブリュッヘンのカリスマ性で一貫された名演といえる。

わかり易くいうと、フルトヴェングラーがオリジナル楽器のオーケストラを振っているような演奏である。

実に主観的で劇的な要素に満ち溢れ、強弱のはっきりした表現はバロック的ともいえるが、コンセプトはやはりロマンであろう。

ブリュッヘンは手段としてオリジナル楽器を用いているが、本質的にはワンマン・コントロールの古いタイプの指揮者に属している。

そこがまたこの全集の面白いところで、オールド・ワイン・ニュー・ボトル的な、新鮮な感動に誘われるのである。

そして何よりもオーケストラのメンバー全員が、自発性に富んだ演奏で応えているのが、聴く楽しさを倍増させている。

当初は「モラルとして18世紀の音楽だけ」を演奏するはずだった18世紀オーケストラが、19世紀にも足を踏み入れたのは「英雄まで」でベートーヴェンを打ち止めには出来ない強い音楽的欲求が、ブリュッヘンと楽員の両方にあったからに違いない。

記念すべきデビュー盤の第1交響曲から実に8年の歳月をかけて、1曲ずつを丹念に克明に彫琢したライヴによる全集が、「第9」をもって完成した。

進取の気質を備えたその「第9」を「新旧の楽器の混在」という形で表現したように、ブリュッヘンは9曲すべての来歴を尊重した演奏を行っている。

しかも、たんに歴史を満足させるだけでなく、現代の先鋭な解釈でもあるところが凄い。

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2010年09月17日


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当コンビのモーツァルト・シリーズの第5作で、初のセレナード録音だった。

ホグウッド盤と同じく、基本的には自筆譜に基づく新モーツァルト全集版によるものといってよい。

18世紀オーケストラの管楽器セクション(+コントラバス1名)のメンバーたちによるこの録音は、当時の管楽器を用い、きめ細かに配慮されたアンサンブルが展開されている。

モダン楽器による演奏に比べると、微妙な色合いと質朴な手応えに富んでいるのが特徴で、ハーモニーの綾がきっちり再現されている点も好ましい。

演奏そのものから受ける印象では、豊かなリリシズムとリズム感との対比がみられ、結果的にそれらの生気にみちた表現を生み出しているのが魅力だ。

映画『アマデウス』で用いられ、大人気を獲得した第3楽章でも、ブリュッヘンの指揮のもとで、メロディ・ラインを縁取っていく各楽器が絶妙な呼吸感を発揮して、伴奏音型を奏する際にもその存在感を存分に主張しているのが大きな聴きどころになっている。

第4楽章や終楽章のきわめて活力に満ちた表現は耳に残ることだろう。

また第5、6楽章では音楽のもつ対比感が巧妙に描き出されている。

慎重に、隙なくまとめられたモーツァルトはつまらない。

ことに、こうした管楽器のための合奏曲では、運動性というのか、快活な一発勝負の躍動感を求めたい。

ブリュッヘンの演奏は、各パートの巧さと積極的な表現意欲が、ブリュッヘンの冷静な、しかし豊かな感情の起伏をもつ指揮のもとに、見事な花を咲かせており、音楽的にも、また情感の盛り上がりの点でも、理想的な高みに達している。

わずかに管楽器ならではの庶民性が乏しい点が惜しいが、この作品のまずは標準的な名演ということになろう。

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2010年09月05日


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オリジナル楽器による演奏が百花繚乱を呈している現代にあって、抜群の信頼度と魅力を放っているのがブリュッヘン&18世紀オーケストラによる演奏だ。

響きの脆弱さや表現の委縮などは微塵もない。

むしろ現代楽器による演奏でもかくやと思わせるような、堂々とした風格とスケールの大きさを痛感させる。

ティンパニや低弦が力強くボリューム感もあり、耳慣れた《ハフナー》や《リンツ》でも、ワクワクさせるような押しの強い表現で肉薄している。

もはやブリュッヘンの演奏は、最も先鋭的な演奏様式による表現の新境地に足を踏み込んでいると言っても過言ではないだろう。

1曲1曲が目の覚めるような内容に塗り替えられていく、強力な刷新力がこの演奏にはある。

第38番は1988年の収録。

ブリュッヘンと18世紀オーケストラのモーツァルト・シリーズの6枚目で、1991年のモーツァルト・イヤーのためにさまざまなピリオド楽器のアンサンブルが次々とモーツァルトに取り組んでいた時期にあたる。

ピリオド楽器の特性を生かすのも大切だが、結局、最後にものを言うのは表現内容であるということを実感させたディスクだ。

つづく第39番では、初出のときベートーヴェンの交響曲とカップリングされ、次なる照準を明確に示した1枚。

18世紀オーケストラの自発性を尊重しながら、作品のスケールをありのままに表現したブリュッヘンらしい演奏だ。

細部の掘り下げも深く、モーツァルトのあまりに早い晩年の寂寞とした情緒をにじませる。

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2010年03月20日


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1934年オランダに生まれたブリュッヘンは当初、リコーダーやフラウト・トラヴェルソの名演奏家として脚光を集めたが、1981年に「18世紀オーケストラ」を組織、ハイドン、モーツァルト作品を主な対象とする新たな指揮活動を展開していった。

歴史的脈絡を大切にした作品の解釈、世界の傑出した古楽演奏家たちを結集させたオーケストラによる知的で、斬新で、情熱的な演奏は、たちまち聴き手にセンセーショナルな感動を与え、彼らは古楽オーケストラのニュー・リーダー的存在感すら見せるようになった。

その勢いはモダン・オーケストラのレパートリーからハイドン、モーツァルトを奪い取る、そんな事態すら招いたのだから、これは驚きであった。

今日では古楽オーケストラが果たした業績は広く認められ、またモダン・オーケストラに吸収される形で浸透している。

その分、過度の期待感もなくなってきたが、このハイドンのパリ交響曲集を聴くと、古楽オーケストラが達成した成果の素晴らしさに唖然とさせられる。

混濁しない響きのさわやかさ、各声部の輪郭と存在感が際立ったアンサンブル、弦楽器の優しくも鋭い表現力、対照的に雄弁かつ多彩な管楽器、目も覚めるような打楽器の活躍ぶりなどを得て、ハイドン作品は一気に情報量を拡大、聴き手に新たな姿を見せるようになった。

しかもこのコンビの素晴らしさは、こうした特質の呈示で終わるのではなく、そこから彼らの演奏の掘り下げが始まる点であろう。

その結果、交響曲はあたかも作品自らが語り出す姿を顕し、私たちが予想もしていなかった感動の世界へと誘うものとなっている。

確かに古楽演奏は主観ではなく、いわば客観主義の成果といえよう。

しかし、客観主義も徹すれば人間的な幅広さが獲得され、主観も客観も超えたもうひとつ別次元の感動の領域へと分け入っていくことが可能となる、そんな奇跡を見せた演奏と言えようか。

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2008年12月11日


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第40番はブリュッヘン/18世紀オーケストラの輝かしいCDデビュー盤となったものだが、手に触れると切れてしまうような緊張感をたたえた演奏が初々しく、また美しい。

その美しさは、1音1音を慈しむかのような愛情と責任感とで再現した演奏にかける真実性を背景とするものであり、作品をこれほどまでの切実さで描き出した例はないといってよいだろう。

各楽章、いずれもきめこまやかな演奏であり、気持ちがひとつになった第2楽章の深い息づかい、メヌエット楽章の起伏豊かな表現力に舌を巻くが、終楽章のアレグロ・アッサイへの次第に大きな山を築いていくブリュッヘンの手腕も見事で、聴き手を音のドラマに自然に引き込む吸引力が素晴らしい。

「ジュピター」は、モーツァルトが交響曲のジャンルで到達した最後の傑作を、空前の躍動感とスケール感で描き出した名演であり、ブリュッヘン/18世紀オーケストラの数あるレコーディングの中でも傑出している。

まず演奏に注がれる意気込みが異例であり、第1楽章冒頭から熱く沸騰した音楽が奔流のように流れ出して、その激しさはトスカニーニの演奏かと思わせるほどである。

大胆といいたくなる表現の振幅の大きさ、ロマン的感情表現の豊かさも特筆され、作品ばかりかモーツァルトに対する認識も改めさせる名演といっても決して過言ではないだろう。

波打つカンタービレも優しさ以上に逞しさを感じさせるし、鋼のカンタービレを歌う弦楽セクション、英雄的表情を添える管楽器、作品を鋭く引き締めるティンパニの強打にも説得力がある。

しかも、それでいて透明度の高いアンサンブルは常に柔軟で、ふくよかであり、まさに「ジュピター」の名にふさわしい。

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2008年10月22日


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ギボンズはミズーリ州生まれのアメリカの奏者。シンシナティ音楽院とニュー・イングランド音楽院に学んだ後、レオンハルトに師事している。これがデビュー盤だった。

ソリストのギボンズはレオンハルトに学んだチェンバロ奏者で、ここではアントン・ワルターが制作したハンマークラヴィーアを復元したものを弾いている。

オリジナル楽器も複数の録音があるが、その中ではギボンズ盤を選びたい。アゴーギグを細かく動かし過ぎの部分もあるが、全体としては現時点のベストだろう。

それにしても同じA・ワルター製(モデルの製作年代は15年異なるが)のコピーを使用しながら、ビルソン盤とは音が大きく異なるのが面白い。

オリジナル楽器によったオーケストラがことに、予想を遥かに超える激情の振幅と滋味を深く表現していて圧巻である。

フォルテピアノはそれに対して鮮明でクッキリとした対比を作って聴かせるが、これがより鋭い切れ込みを示したら、という面も若干残している。

第20番ではオリジナル楽器の低いピッチが響きに落ち着きを与えている。

ブリュッヘンはテンポをやや遅めに設定し、力強いリズムと明確なアーティキュレーションで演奏を進めている。

第24番は情感豊かな演奏で、ギボンズの緊張感ある音が木管の音色と美しく溶け合っている。

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