クイケン

2019年09月27日


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モーツァルトの4曲のフルート四重奏曲をピリオド楽器で演奏したものとしては最も安定感があり、また音楽的にも洗練された内容のCDだ。

クイケン兄弟の三男バルトルドがフラウト・トラヴェルソを吹いた1982年の録音だが、立ち上る霧のような音楽とでも言えばよいのか、幻想的な調べの美しさと表現の詩的優しさが傑出、古楽ならではの美学が結晶となっている。

テクニカルな面での巧さも格別だが、何よりも音色が素晴らしく、それは、フルートというよりは1本の笛が導き出す音と音楽のマジックであり、聴き手が一つの調べから幾千もの夢をつかみ取るような余韻の美しさを誇っている。

特にニ長調KV285はモーツァルトの天才が面目躍如たる曲想で、このようなフルート・ソロ・パートが華麗に活躍する曲ではどうしてもクイケンの鮮やかな技巧に注意が集中しがちだが、第2楽章の弱音のカンタービレの美しさや巧みなフレージングなどはシンプルであるが故に真似のできない彼ならではの表現を堪能できる。

こうした緩徐楽章にこそ真のテクニックが必要だということを痛感する。

使用楽器はA・グレンザーのワンキー・モデルで高音の軽やかさがこうしたロココ風の音楽には最適のトラヴェルソと言えるだろう。

兄シギスヴァルトのヴァイオリンは1700年製のG・グラチーノ、長兄ヴィーラントのチェロは1570年製のA・アマーティ、そしてヴィオラのルシー・ヴァン・ダールは1771年製のサミュエル・トンプソンという具合にトラヴェルソ以外は3人ともオリジナル楽器を用いている。

いずれにしても彼らの音楽性とアンサンブルの技量は高度に練り上げられていて、モーツァルトの時代のアンサンブルのあり方を再現したものとして高く評価されるべき演奏だ。

録音としては既に古典的存在となってしまったが、筆者には時代を画した永遠の名盤のように思われてならない。

以上演奏については申し分ないが、この時期のアクサン・レーベルの録音技術は、同時期のソニーに入れたクイケンの録音に比べるといまひとつ冴えない。

音質に切れがなく、臨場感にも若干欠けているのは事実で、こうした欠点はここ数年間で改善されたが残念だ。

作曲家がある特定の楽器の為の作品を書く時、その当時の名演奏家の演奏を前提にすることがしばしばある。

このCDに収められたフルート四重奏曲中3曲はフルート愛好家ドゥ・ジャンのオーダーで作曲されたが、モーツァルトとも親交があり、当時のマンハイム宮廷楽団で活躍していた著名なフルーティスト、J.B.ヴェンドリングの演奏をイメージして書かれたものだ。

モーツァルト自身手紙の中で、フルートは音程が悪くて我慢がならないが、ヴェンドリングの演奏は素晴らしく、音程にも全く問題がないと記している。

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2019年09月07日


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G.Ph.テレマンの作品の中からトラヴェルソとヴィオラ・ダ・ガンバに因んだ8曲を収録したディスクで、2001年にカナダのケベックで録音されアトマ・レーベルからリリースされた。

音質が極めて良好で楽器の特質をよく捉えた臨場感を体験できる。

タイトルのレ・ヴォワ・ユメーヌはこのアンサンブルの名称のようだ。

メンバーの中核は二人の女流ガンビスト、スージー・ナッパー及びマーガレット・リトルで通奏低音がエリック・ミルンズのチェンバロになる。

尚バルトールド・クイケンが使用しているトラヴェルソは1730年製のI.H.ロッテンブルグのコピーでピッチはa'=415だが、他のソリスト達の楽器については詳細が書かれていない。

ナッパー、リトルのコンビのアンサンブルは非常に良く練れている上に颯爽とした軽快さが感じられる。

しかもクイケンのトラヴェルソはいつものように決して重くならないので、どちらかというとモダン・バロックの響きが支配的だが、テレマンの音楽特有の喜遊性だけでなく、芸術的な深みにも欠けない優れた演奏だ。

2曲の無伴奏ファンタジーについては、クイケンは1972年に全曲録音をして以来新規にCDを出していないので、彼の近年の解釈の変化を知る上でも興味深い。

曲目はトリオ・ソナタの形式で書かれた『クワドロ』と名付けられたトラヴェルソと2つのガンバ及び通奏低音のための2曲のト長調の作品と、ガンバのための2曲の二重奏ソナタ、(この内の1曲は『カノン風』と題されている)、そしてトラヴェルソとガンバのためのソナタイ短調、トラヴェルソのソロ・ソナタホ短調、その他にニ長調とロ短調の無伴奏ファンタジーということになる。

テレマンは横笛のために膨大な作品を残しているが、またヴィオラ・ダ・ガンバを通奏低音から独立させてソロ楽器としても扱っている。

ガンバは伝統的にアンサンブルの形で使われていたが、サント・コロンブによってそのテクニックが飛躍的に高められたといわれる楽器で、テレマンもそのソロ性に着目している。

ここには収められていないが『パリ・カルテット』がその顕著な例でパリ滞在中に作曲されているのも示唆的だ。

トラヴェルソの柔らかい暖かみのある音色とガンバの雅やかな響きは非常に相性が良く、このCDではこうした特有の感性に焦点を当てた選曲に興味を惹かれる。

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2019年08月30日


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フランソワ・ドヴィエンヌはフランス革命の動乱期に活躍したフルーティスト兼作曲家でパリ音楽院の初代フルート教授を1793年から勤め、フルート教則本「フルート演奏の理論と実践」を出版するなどフルートを学ぶものにとっては重要な音楽家である。

このディスクには現在円熟期にあるバルトルド・クイケンと弦楽トリオによる4曲のフルート四重奏曲が収められている。

ヴァイオリンが寺神戸亮、ヴィオラがサーラ・クイケン、そしてチェロがヴィーラント・クイケンという家庭的なカルテットだが、寺神戸亮はこのところ古楽界でひときわ充実した演奏活動をしていて、ここでも脂の乗り切った素晴らしいリーダーシップをとっている。

全体的に良く練れた演奏で、しかも彼らの表現は自由闊達な雰囲気に溢れたアンサンブルの喜びを感じさせてくれる。

特に最後に置かれた作品66の1イ短調の終曲プレストでは、その典型的な諧謔性とトラヴェルソのヴィルトゥオジティが織り成す鮮やかなチーム・ワークが聴き所だ。

前述のように、ドゥヴィエンヌはモーツァルトと同時代のフランスの作曲家で、自らファゴットとトラヴェルソの奏者としてこれらの独奏楽器を取り入れた室内楽や協奏曲で名を馳せた。

また1790年には当時のフランス革命の世相を反映したオペラ『ル・マリアージュ グランデスタン」は大好評を得るなど一躍時代の寵児たなった。

しかし時代の激流に翻弄されまた仕事が多忙を極めるなど繊細な神経の持ち主であったドゥヴィエンヌは精神を病みパリ郊外の精神病院に入院そこで死を迎えることとなった。

曲種は典雅で軽快なロココ趣味を反映しているが、楽器の機能を知り尽くした巧みなソロの扱いや優美な音楽性が一体となった魅力的な作品を数多く残している。

ギャラントな作風でも楽器の特色をよく捉えていて、いかに当時の表現能力に限界がある楽器から魅力的な演奏が出来るように考えられている。

尚録音は2003年でそれぞれがピリオド楽器を使用しているが、因みにトラヴェルソはルドルフ・トゥッツ製作のアウグスト・グレンザー・ワンキー・モデルでピッチはa=429に調律されている。

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2019年07月04日


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同じ古楽器によるハイドン演奏でも、ブリュッヘンによるものと、その僚友(というより弟子に近い)S・クイケンのものとでは、ハイドンの音楽に対する考え方がそもそも違うようだ。

これだけ異なれば、互いに別のレコード会社にハイドンの交響曲を録音し分けることは意義がある。

どこが違うかというと、まず演奏人数で、このクイケン盤は親切にも、解説書に、曲別に全演奏者名が表記してあり、人数が少ないので、そういうことが可能なのだろう。

基本的には7/7/4/4/2の弦(プルト数ではなく人数)に2本ずつの管、それにチェンバロという編成で、わざわざ数字を書き出したのは「作曲当時の楽器と編成による再現」という誤解を防ぐためだ。

良く知られているように、ハイドンは《パリ交響曲》を、パリの大オーケストラのために作曲した。

そのオーケストラは、ヴァイオリンだけでも20名という現在でも通用する大きさを誇っていた。

もし「作曲当時」を標榜するのであれば、このクイケン盤の人数では明らかに足りない。

ブリュッヘンと18世紀オーケストラが日本でハイドンを演奏した時には、8/8/6/4/3にチェンバロなし、という、もうひと回り大きい数を要していた(それでも当時のパリの楽団には及ばない)。

それで、どういうことになったかというと、このCDに聴く《パリ交響曲》は、恐らくハイドンが意図した響きよりも小ぢんまりしたロココ風のものに変わった。

一概には比較出来ないものの、ブリュッヘンのハイドンから聴くことのできる豪奢な風格や、ユーモアのセンスも影を潜めてしまった。

しかもこれは単に人数の問題ではなく、ブリュッヘンなら、同じオーケストラを指揮してももっと大きな音楽を作るだろう。

ここでは第82番ハ長調〈熊〉の評価が難しい。

これを聴くと、慣用版にあるトランペット・パートを生かしているにもかかわらず、音楽があまり盛り上がらず、まるでマンハイム楽派か何かの出来のいいシンフォニーを聴いている気分になってくる。

《パリ交響曲》には〈熊〉〈牝鶏〉そして第85番〈王妃〉(このニックネームは作曲者のあずかり知らぬことではあるが)という動物三部作(!?)が含まれているのだから、そのようなユーモアもいくらか欲しい。

冗談はさておき、ともかく、この演奏は妥協の産物ではないかと筆者は考えている。

使われている楽譜や繰り返しの省略等は、やや慣用に傾いているのに、オーケストラの人数は作曲者が考えていた以上の緊縮型、どうも少し中途半端だ。

短調をとる〈牝鶏〉交響曲でも、再三の長・短調の交替部分も、あまり色調が変化しない。

尤も美しい部分も少なくなく、〈牝鶏〉の開始部分での奏でるオルガンのような響きや、同じ曲の第1楽章でオーボエがスタッカートで出す〈牝鶏〉主題の面白さは、現代楽器を使ったマリナー、C・デイヴィス盤からは味わえない。

古楽器を使っていることと、名演奏か否かということは当然ながら一致しないが、ただ、ハイドンの交響曲の再現には、古楽器使用が有利なので、このあたりが音楽の難しいところだ。

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2019年05月23日


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テレマンが1737年のパリ旅行中にブラヴェやギニヨンら当時の名手によって演奏され、出版された『新四重奏曲』及び以前ハンブルクで出版されたものの、1736年になってパリで再版された《クヮドリ》の12曲が収録されている。

俗にパリに因むためにパリ四重奏曲集と呼ばれる傑作であるが、ここではクイケン兄弟の揃い踏みにグスタフ・レオンハルトの通奏低音が加わった古楽の重鎮によるアンサンブルの妙味で愉しむことができる。

かつてレオンハルトにはブリュッヘン、ビルスマらが共演した録音があったが、それから30数年を経てクイケン兄弟とともに新たに録音し直したディスクがこれである。

個々の奏者の練達の技と心と優れた趣味による稀にみる名演である。

明快かつ雄弁な音楽的アイディアと互いに交わしあう音楽的対話の生き生きとしたスピリットは本当に素晴らしい。

チェンバロのレオンハルトがアンサンブルの要を押さえているのは確実だが、ソリスト3人のそれぞれのパートの演奏の巧みさと自在な掛け合いが絶妙なバランスを保っている美しさは他の追随を許さない。

またa=396に調律されたバロック室内楽特有の典雅な響きも、この曲集を一層深みのあるものにしている。

落ち着いた渋い音色を基調に繰り広げられる可憐な音楽世界はあくまで自然体で、力んだり奇を衒うことは全くないのだが、その圧倒的な音楽の力に心を奪われてしまう。

三男バルトールドが使用しているトラヴェルソはI.H.ロッテンブルク・モデルで高貴で華やかな音色が弦楽にも良く馴染んでいて秀逸。

一般的にテレマンの音楽では喜遊性が支配的だが、パリ・カルテットのような高度なアンサンブル作品では、作曲技法も非常に凝っていて、音楽性の充実がひときわ抜きん出ている。

通奏低音からガンバを独立させているのもその一例だ。

彼らのように細かな感情の機微も疎かにしない自由闊達な演奏はそうざらには聴けないし、このメンバーで全曲録音をしたことに感謝したい。

鮮明な音質でかつ楽器ごとの分離状態の理想的なソニーの録音技術の良さも特筆される。

テレマンには、この楽器の組み合わせ以外にも、様々なな編成の楽曲を残しているが、このアルバムさえあれば、テレマンの清々しい曲想やバロックの愉しさを体験できるだろう。

それは、ここに集ったレオンハルトとクイケン兄弟という古楽の重鎮たちの息の合った演奏によるところが大きい。

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2018年02月08日


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J.S.バッハの長男として生まれながら、自らの性格破綻的な傾向も手伝って、中年以降を不遇のうちに送ったW.フリーデマン・バッハの6曲のトラヴェルソ・デュエット集という珍しい曲集が、バルトールド・クイケンと彼の直弟子マルク・アンタイのトラヴェルソによって見事に演奏されている。

この曲集はピリオド楽器での演奏がごく僅かしかなく、当盤は1990年の録音だが、現在ではこの他に1999年にリリースされたコンラート・ヒュンテラーとミヒャエル・シュミット=カスドルフのCDくらいしか見出せない。

その理由は技巧的には超絶的に困難なわりに、華やかな効果が出しにくい作品の特質にあると思われる。

通常のトラヴェルソはニ長調で最も安定したスケールと均等な音色が得られるように調律されていて、フラット系の調では運指が複雑になる一方で音質が不均等になりがちなので表現が難しくなる傾向があるが、このデュエット集6曲のうち4曲までがフラットの調で書かれている。

しかも調がトラヴェルソでやりにくいのに加えて、目まぐるしい転調や半音階の動きがあって、演奏者泣かせの曲集でもある。

作曲者があえてこうした調性を取り入れたのも、その一通りでない演奏効果を目論んでいたに違いない。

J.S.バッハとは、まったく作風が違うので、時代の変遷をリアルに感じ取ることができる。

演奏者はどちらも三兄弟揃って古楽奏者という、言ってみれば根っからの古楽研究家の出身で、しかも全員がグスタフ・レオンハルトやフランス・ブリュッヘンともしばしば協演している。

こうした経験が当然彼らの演奏に説得力を与える結果になっていることは事実だ。

収録曲目はヘ長調Falck57、ト長調Falck59、変ホ長調Falck55、ホ短調Falck54、変ホ長調Falck56、ヘ短調Falck58で、彼らの使用楽器はアラン・ヴェーメルス製作のカール・アウグスト・グレンザーのワン・キー・モデルだ。

フラット調に弱いという弱点はあるにしても、高音の軽やかさと明快なメロディー・ラインを出すことに成功している。

ポリフォニーの音楽としても両者が対等に競い合っていて、トラヴェルソによる彼らの水準を凌駕するような演奏は当分期待できないだろう。

当曲集はバロック・ファン向けというより、フルートを学んでいて、難易度の高いデュエット曲をお探しの方にはうってつけのディスクかも知れない。

尚ピッチはa'=415で音質は極めて良好。

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2016年12月01日


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古楽界の重鎮であり、トラヴェルソ奏法のパイオニアでもあるバルトールド・クイケンがこれまでにリリースしてきたテレマンの作品を4枚のCDにまとめたアルバムである。

但しこのセットにはソニー音源になるクイケン3兄弟にグスタフ・レオンハルトが加わったパリ・カルテットは組み込まれていない。

彼の演奏はどの曲においても基本的にシンプルで、スリリングな部分こそないが流麗かつ柔軟な演奏にはトラヴェルソの機能を熟知した上でのテクニックの再構築を果たした揺るぎない安定感が感じられる。

尚アンサンブル・パルナッススは彼の兄弟でバロック・ヴァイオリンのシギスヴァルト、ガンバのヴィーラントにチェンバロのロベルト・コーエンが加わったピリオド・アンサンブルの草分けで、ネーデルランド派の手堅い演奏を聴かせている。

CD3及び4の『教則的ソナタ』全12曲ではテレマンによってトラヴェルソのパートは記譜と実際に演奏すべき趣味の良いサンプルが2段に分かれて示されているが、ここでもクイケンの装飾音に関する模範的な解釈を聴くことができる。

一言で言えば中庸をわきまえたイタリア式装飾だが、その再現に当たってはかなり高度なテクニックが隠されていることが理解できる。

またブレスの取り方も巧妙で、押し付けがましさや癖のない演奏は洗練された音楽家、そして勤勉な研究者としてのプロフィールだけでなく後進の指導者としても理想的な存在である筈だ。

ベルギーの古楽器製作者で自身トラヴェルソ奏者のアンドレアス・グラットによって創設されたアクサン・レーベルは、1970年代からピリオド楽器による本格的な古楽演奏をリリースしてきた。

古楽の故郷ネーデルランド出身の奏者を中心に、さまざまなソロ楽器やアンサンブルを高い音楽性で再現した当時としては画期的な企画だった。

当初の録音とその音質はそれほど理想的なものではなかったが、2000年以降機材を一新したことから見違えるほど鮮明な音質になり、ジャケットも気の利いたデザインのデジパックに替わった。

ここに収録されたクイケンの演奏は比較的初期のもので音質的には時代相応といったところだ。

例えば彼の秘蔵オリジナル楽器ロッテンブルクで演奏した『無伴奏トラヴェルソのための12のファンタジー』は初めてのピリオド楽器による全曲録音というだけでなく、トラヴェルソの音楽的な可能性を見事に蘇生させた演奏と言えるだろう。

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2016年11月07日


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ベルギー出身でレオンハルト亡き後のバロック音楽のネーデルラント派としての再現を研究し牽引してきたのがクイケン3兄弟だが、ここ数年では新録音はめっきり減って後進の指導に当たっていることが想像される。

三男のバルトールド・クイケンも現在66歳で、ここにまとめられた11枚のCDは彼がこれまでアクサン・レーベルからリリースしてきた音源のうちフランスの作曲家の作品を集めたものになり、新しい録音ではないことを断っておく必要があるだろう。

また同時にテレマンの作品をまとめた4枚組も企画されている。

クイケンがその奏法の復元を試みたトラヴェルソは、昨年亡くなったブリュッヘンのリコーダーと並ぶ古楽復興には欠かせない重要な木管楽器だったことは言うまでないが、このふたつの楽器の蘇生によって古楽黎明期を力強く支え発展させた彼らの功績は計り知れないものがある。

クイケンはトラヴェルソの欠点であった不安定な音程や少なからず混乱をきたしていた気まぐれとも言えるピッチの問題をひとまず解決に導き、ソロ楽器として充分活用できるだけの基本的なテクニックを開拓した。

そうした彼の研究と実践がこのアルバムに最良のサンプルとして示されていると言えるだろう。

クイケンのフランス物への解釈は、オットテールの演奏に代表されるように装飾音やイネガルを注意深く取り入れて誇張を避けたあくまでも軽妙洒脱な音楽を再現していることだ。

但し、ルイ王朝の奢侈や宮廷生活の思いがけない倦怠感までも描き出したバーゼルゼットの、より濃密な演奏に比べると、ややあっさりし過ぎているように感じられる。

むしろ彼の実力は2枚のルクレール・ソナタ集と最後のドゥヴィエンヌのフルート四重奏に示されている。

前者ではロマン派以降のフルーティストによって歪められてしまったバロック音楽としてのルクレールのオリジナリティーを復活させた模範的な演奏だし、後者はピリオド楽器アウグスト・グレンザーの機能を駆使した華麗なアンサンブルが聴きどころだ。

ここではまた自由闊達にバロック・ヴァイオリンを弾く寺神戸亮のリーダーシップも特筆される。

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2016年07月15日


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ラ・プティット・バンドの新録音によるJ.S.バッハの『管弦楽組曲』全曲を1枚のCDに収めたもの。

最近の彼らの演奏で顕著なことは、演奏者数を当時の宮廷楽団の慣習に則り、各パートの奏者をぎりぎりまで絞り込んで、従来の管弦楽というイメージよりもむしろアンサンブルに近い形態をとり、曲の解釈の面でもあらゆる面で誇張のない、よりインティメイトな雰囲気でのバッハの再現を試みていることであるが、その基本姿勢はこの曲集でも全く変わっていない。

リーダーだったグスタフ・レオンハルト亡き後も彼らはシギスヴァルト・クイケンを中心に衰えをみせない活動を続けているが、こうした演奏にレオンハルト譲りの厳格さと共に、彼ら自身が古楽を楽しむ洗練された究極の姿を観るような気がする。

それはまた彼らがこれまでに辿り着いた研究の成果を実践に移したものとしても興味深い。

オーケストラのそれぞれのパートを見ると、第1、第2ヴァイオリンが2名ずつ、ヴィオラ1名、通奏低音としてはバス・ドゥ・ヴィオロン2名とチェンバロのみである。

基本的にこの8人の他に曲によってバッハが指示したトランペット、ティンパニ、オーボエ、ファゴット、トラヴェルソが順次加わるが、習慣的に任意で加えることができるリュートやテオルボなどは一切省いた簡素な編成が特徴的である。

またそれほど重要でないと判断された序曲での繰り返しを避け、無駄と思われる装飾や表現も思い切って削ぎ落としたシンプルそのものの解釈で、足早のテンポ設定と相俟って現在の彼らの虚心坦懐の境地を窺わせている。

しかし響きは素朴であっても素っ気ない演奏とは違い、対位法の各声部を明瞭にしてしっかりした音楽構成を感知させている。

それだけに当時バッハがイメージしていた音像がダイレクトに伝わってくるような気がする。

組曲第2番ロ短調の「ロンド」ではフランス風のイネガルを取り入れてこの珠玉の小品に精彩を加え、終曲「バディヌリー」では逆にテンポを落としてソロの名人芸を聴かせるよりもアンサンブルとしての調和を図っているようだ。

2012年のセッションで、会場になった教会の豊かな残響をある程度取り入れているため、ごく臨場感に溢れた録音ではないが音質には透明感が感じられ極めて良好。

ピッチはa'=415Hzのスタンダード・バロック・ピッチを採用している。

アクサン・レーベルの新譜はデジパックで統一されていて、差し込まれたライナー・ノーツにはシギスヴァルト・クイケンによるバッハの『管弦楽組曲』についての歴史的な考察が掲載されている。

そこには第2番が当初トラヴェルソ用ではなく、ヴァイオリン・ソロが加わったイ短調の組曲だったことも述べられている。

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2015年09月17日


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1978年にベルギーで行われたセッションで、トラヴェルソが加わるバロック後期の5人の作曲家の作品を収録している。

演奏者パルナッスス・アンサンブルは1970年に結成された古楽器奏者の5人のメンバー、バロック・ヴァイオリンのヤンネーケ・ヴァン・デア・メーア、トラヴェルソのバルトールド・クイケン、バロック・オーボエのパウル・ドムブレヒト、バロック・チェロのリヒテ・ヴァン・デア・メーア、チェンバロのヨハン・フイスから構成されている。

この時期は古楽復興の黎明期であり、まだピリオド楽器とその奏法の復元が模索されていた。

バロック・ブームと言ってもその頃はモダン楽器か、一部古楽器を取り入れた混合編成のアンサンブルが主流で、これらの作品が作曲された時代の音響の再現に興味を抱いた人はクラシック・ファンの中でもごく一部に過ぎなかった筈だ。

それにも拘らずこの曲集では、それまで余り知られていなかったレパートリーを作曲者の時代のスピリットさえも感知させる質の高い演奏と響きを再現している。

そうした研究が彼らの出身地ネーデルランドを中心に確立されたことが、古楽の故郷と言われる所以だろう。

録音機器を一新する前のアクサン・レーベルのCDなので、臨場感では現在のものにやや劣るが音質の点では及第点だ。

5曲の中でも特に彼らがアンサンブルの実力を発揮していると思われるのが、ヤーニチュとヨハン・クリスティアン・バッハの2曲で、前者は対位法に織り込まれたバロック後期特有の憂愁を湛えている。

彼は大バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルがチェンバロを弾いていたフリードリッヒ大王の宮廷楽壇のメンバーの1人だっただけに、優れた室内楽を多く残していて、このヘ長調の四重奏曲は弦楽に管楽器を取り入れた彼の典型的なスタイルで書かれている。

ヤーニチュの作品集自体それほどリリースされていないが、この曲は現在までに録音された彼のカルテットの中でも最も美しいサンプルと言っても過言ではないだろう。

一方バッハの末っ子ヨハン・クリスティアンの作品は既に古典派をイメージさせる明快な和声と屈託のない曲想が特徴で、ギャラント様式の軽快な装飾も心地良い。

こうした音楽はある程度の洒落っ気が欠かせないが、彼らの演奏は古楽の研究者というイメージから離れた親しみ易さがあり充分に愉しませてくれる。

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2015年09月12日


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ベルギーのトラヴェルソ奏者で、ヨーロッパ古楽界を担うクイケン3兄弟の1人バルトールド・クイケンがカナダのピリオド・アンサンブル、アリオンを指揮したバロック組曲集で、2001年にケベックで録音されている。

演奏曲目はいずれもバロック盛期の作曲家4人の管弦楽のための組曲で、このうちヨハン・ベルンハルト・バッハ(1676-1749)の組曲ト短調はヴァイオリン・ソロ、そして大バッハの管弦楽組曲第2番ロ短調はトラヴェルソ・ソロが加わるが、バロック・ヴァイオリンはコンサート・マスター、シャンタル・レミヤール、トラヴェルソはクイケン門下のクレール・ギモンが受け持っている。

この曲集の選曲の面白いところは、17世紀末にルイ王朝の宮廷でリュリを中心とする作曲家達によって形成されたオペラやバレエ用序曲付管弦楽組曲が、ドイツでどのように発展したか俯瞰できることで、勿論ここに収録された4曲は総てがドイツ人の作品になる。

もうひとつ興味深い点はバッハ・ファミリーから大バッハと彼の又従兄ヨハン・ベルンハルトの曲を採り上げたことで、同時代の作曲家としてお互いに影響しあった彼らの作風と、その違いも明瞭に表れている。

近年の研究では大バッハのロ短調組曲は、当初トラヴェルソではなくヴァイオリン・ソロで構想されたという説もあり、その意味でも比較の対象に相応しい選曲だろう。

全曲とも符点音符でアクセントを強調した序奏と速いフガートが交替する、いわゆるフランス風序曲に続く舞曲を中心とする個性的ないくつかの小曲によって構成されている。

バルトールド・クイケンが自ら指揮をした曲はそれほど多くない筈だが、流石に若い頃からグスタフ・レオンハルトの下で豊富なアンサンブルの経験を積んだだけあって、解釈が手堅くやはりネーデルランド派の古楽様式を引き継いでいるが、それぞれの曲の個性も充分に引き出している。

J.S.バッハの管弦楽組曲第2番でのクレール・ギモンの飾り気のない清楚なトラヴェルソにも好感が持てる。

クイケン兄弟が要になるラ・プティット・バンドは2012年に大バッハの管弦楽組曲全集の2回目の録音を果たし、そちらではクイケン自身がトラヴェルソを吹いているが、速めのテンポでシンプルな解釈はこのCDの演奏に近いものになっている。

アトマ・レーベルのCDの音質は極めて良好で、録音会場になったサントギュスタン教会の豊かな残響の中にも古楽器の鮮明な響きを捉えている。

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2012年12月26日


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マタイ受難曲は、かつては大編成のオーケストラと合唱団による壮麗な演奏がもてはやされた時代があった。

戦前のメンゲルベルクと戦後のリヒター(旧盤)は双璧とされた名演であり、その他にもクレンペラーやカラヤンによる重厚な名演もあった。

しかしながら、最近では、ピリオド楽器を活用したり、合唱も小編成によるものが主流となり、マタイ受難曲の演奏様式もすっかりと様変わりすることになった。

それも、単に時代考証的な演奏にとどまるのではなく、芸術的な水準においても十分に満足できる極めて水準の高い名演が生まれているのは、マタイ受難曲ファンとしても大変うれしい限りだ。

そして今般、コープマンやレオンハルト、コルボなどの名演の列に、本盤のクイケン盤が加わることになった。

小編成のオーケストラ、そしてきわめて小規模な合唱団故に、スケールの小ささは否めない。

例えば、イエスが逮捕される箇所のつつましい表現など、リヒター盤やカラヤン盤のような劇的迫力を期待していると完全に肩透かしをくらわされる。

しかしながら、一聴すると淡々と進行しているように見えて、実はその曲想の描き方の何と言う純真無垢さ。

恣意的な箇所はいささかもなく、どこをとっても敬虔な祈りに満ち溢れた至高・至純の美しさを湛えていると言える。

ラ・プティット・バンドの演奏はミサ曲ロ短調を上回る素晴らしいもので、これも20数年前のレオンハルトの記念碑的名盤以来であり、もしかすると、ジギスヴァルト・クイケンのキャリアの頂点ではないだろうか。

バッハの音楽の、そして西洋キリスト教文化の奥深さに、深い感動とともに心が誘われる尊い、稀有な名盤だと思う。

残響を取り入れた録音も極上の極みであり、SACDマルチチャンネルによって、この世のものとは思えないような美しい音場が形成されるのが素晴らしい。

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2012年11月18日


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バッハのミサ曲ロ短調と言えば、筆者は、これまでリヒターやクレンペラー、カラヤンなどの壮麗にして重厚な名演に親しんできたせいか、各パート一人という小編成を売りにしている本盤を聴く前は、いささか不安に感じていたのが正直なところであった。

ところが、実際に聴いてみると、これがなかなかに魅力的な演奏であるのに大変驚かされた。

このような小編成による演奏や、いわゆるピリオド楽器を使用した演奏には、歴史考証学的には価値があると言えるものの、芸術的にはイマイチという凡演も散見されるが、このクイケン盤については、芸術性においても非常に高いレベルに達している名演と高く評価したい。

一聴すると、淡々と演奏しているようであるが、どこからともなく漂ってくる至高・至純の美しさ。

あたかも、ミサにおける敬虔な祈りの声が周囲から聴こえてくるかのようだ。

また、各パート一人であるが故に、各声部や各楽器の動きは明晰そのものであり、演奏の精緻さをより極める結果となっている点も見過ごしてはならないだろう。

この決してごまかしの効かないアプローチを行った点にも、クイケンの並々ならない自信が満ち溢れていると言える。

レオンハルト盤と聴き較べると、同じく中世の響きでもレオンハルトがフランドル楽派の合唱ポリフォニーを想起させるのに対して、クイケン盤はまるでモンテヴェルディのマドリガーレの世界にいるような錯覚すら覚え、どちらも西洋多声音楽の歴史を眼前に蘇らせる奥深い演奏だと思う。

もちろん合唱を使用していないことによる、言わずもがなの欲求は色々と感じはするし、これがミサ曲ロ短調の究極の姿ではないであろうが、少なくともこれまでに出た1パート1人のミサ曲ロ短調の演奏で、最も精緻で美しい名演であることは間違いないだろう。

レオンハルトの記念碑的演奏より20数年、ラ・プティット・バンドが未だに世界最高のバッハ演奏団体であることも実感させる。

ミサ曲ロ短調を愛する人にとっては必聴盤の1つだと思う。

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2012年02月01日


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クイケン3兄弟のフラウト・トラヴェルソの名手、バルトルドによる再録音。

オリジナル楽器による古楽復興運動のパイオニアとして早くから活動を開始し、現在も第一線で活躍を続けるクイケン3兄弟によるモーツァルトの名盤。

もう録音されてから30年近くも経つアルバムだが、ピリオド楽器を使ったこの作品の演奏としては、未だに最右翼においても良い名演である。

オリジナル楽器による演奏だが、フルートのみがコピーで、木製で直径の太いフラウト・トラヴェルソを使っている。

オリジナル楽器の奏法を完全に手中にした名人の手にかかると、音楽は、まるで我々のまわりを漂っている空気のごとく、これほども自然で人の気持ちに和むインティメイトな存在になるということを証明しているような演奏。

肌のぬくもりを感じさせるバルトルドのフラウト・トラヴェルソを中心に、お互いに手の内を知り抜いた名手揃いのクイケン3兄弟が、まるでハウスムジークをしているような気安さで楽しい音楽的語らいをしているうちに、彼等の高度の音楽性と高い技術によって、いつしか比類のないアンサンブルに結晶したという風の演奏。

この作品に込められたモーツァルトの遊び心と室内楽的対話の妙が、このアルバムほど何の作為も感じさせずに成し遂げられている例は珍しい。

この演奏を耳にしているとモーツァルトが一歩も二歩もこちらに近付いてきてくれているような印象を受ける。

見事な腕を持ちながら、これ見よがしでない自然さを感じさせるバルトルドのフラウト・トラヴェルソが素晴らしい。

このフラウト・トラヴェルソがやはり時代物の弦楽器と組んで生み出す四重奏の雰囲気は、現代楽器では絶対に得られない独特のもの。

穏やかで柔らかくて、ぬくもりがある響きが創り出す和やかなアンサンブルは、古楽器ファンならずとも心惹かれるものがある。

実に感興あふれる演奏で、時の経つのを忘れさせる。

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2011年12月06日


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クイケン兄弟にはレオンハルトと共演した録音があり(1973年)、そこではブリュッヘンではなくバルトルド・クイケンがトラヴェルソを吹いていた。

レオンハルトの迫真のソロを中心とした気魄の籠った名演だったが、これはその後1994年にクイケン兄弟が、コーネンとともに録音したディスクである。

同曲は決して難解な抽象的音楽ではなく、より「実際的な音楽」であるとジギスヴァルトが述べているように、あまたあるディスクの中でも、過分な気負いや力みのない大変にリラックスした家庭的な雰囲気のなかで奏でられる。

楽器の指定がないので、さまざまな編成で演奏されているが、4人というのは最小の編成だろう。

しかしクイケン3兄弟とチェンバロのコーネンの演奏には、少しも肩張ったり、声高などころはなく、しなやかに音楽する喜びにあふれている。

しかも、ひとりひとりが自発性にとんだ表現をすばらしい呼吸で織りなした演奏は、生き生きと豊かな表情をもち、最晩年のバッハが対位法の粋をつくした傑作の世界を余すところなく再現している。

特殊作品だからといって深刻ぶったところのない、自然体でのぞんでいるかのような彼らの演奏は、有田たちの雰囲気に近いものを感じる。

むしろ、大らかさという点ではクイケンたちの方が上か。

その意味では最もくつろいで聴けるし、親密な気分に溢れた演奏は同曲のイメージを大きく変えてしまうに違いない。

初版楽譜の曲順を採用している。

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2009年05月04日


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《音楽の捧げもの》は《ゴルトベルク変奏曲》や《フーガの技法》とともに、バッハの晩年を飾る三大傑作のひとつである。

レオンハルト夫妻/クイケン兄弟盤はオリジナル楽器による最も正統的な演奏で、しっかりとした構成美と自然で透明な響きが素晴らしく、正しく、"王の気品"を湛えた演奏だ。

オリジナル楽器の、ごく小編成による演奏で、3声/カノン/6声/トリオ・ソナタ/カノンの順に収め、3声と6声のリチェルカーレはチェンバロのソロによる。

17〜8世紀のオリジナル楽器(ただしチェンバロは1台がコピー)を用いての演奏である。

全13曲、楽器の組み合わせは様々に変化し、音色の対比が耳を慰めてくれる。

作品の性格から古楽器による演奏が多いものの、様式は様々で、聴き手に感銘を与えるのは、楽器の種類を問わず演奏者の力量であることを改めて認識させられた。

その意味で、最も優れているのはレオンハルト夫妻とクイケン三兄弟を中心とした演奏で、堅実な様式力と明晰な知性が解釈の根底にある。

楽器の奏法も正統的で、とくにアーティキュレーションが聴き手を納得させる。

いわゆるバロック奏法による演奏であるが、バロック音楽ファンならずとも愉しめる表現、表情になっている。

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2008年11月16日


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バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」のような曲が、現代の18世紀の演奏スタイルや譜面の研究の急速な進歩に伴い、日進月歩の勢いで、その音楽の新しい本質の発見に迫りつつあるのに比べれば、バッハのヴァイオリンのソロのレコードは、全く遅れていた。

これはある面では進んでいるレコード・プロデューサーたちの意識が、この面に関しては立ち遅れていたことを示している。

そんな中、バロック・ヴァイオリンによるS・クイケンの全集がますます光りを放つことになる。

バロック・ヴァイオリンによる演奏は、当然今日の楽器とは響きも異なり、奏法も異なる。

ガット弦をバロック・ボウで弾いたときの発音の鋭敏さと、響きの軽くのびやかな抜けが、曲のごく細部までの設計と陰影を明らかにしている。

それでいて演奏には少しも説明的なところや、いかにも「至高の芸術との取り組み」といった尊大さが皆無なのが何より好ましい。

その演奏は、このよく知られた作品を別の面から見たような印象を与える。

安定感でもう一歩という個所もないではないが、この強張りのないバッハには強く魅せられる。

最初は物足りなさを感じるかもしれないが、クイケンの演奏は実はそう感じることがおかしいことを説得させる。

ここでは違う美学が力強く主張されているのだ。文字通り耳洗われる演奏である。

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2007年11月12日


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こうみてくると、バロック音楽の世界では、イギリス勢が一番充実しているといってもよかった。

しかし、大陸の演奏家たちも負けてはいない。特に、オランダやベルギーの演奏家たちが良い。

例えば、オランダのオルガン奏者およびチェンバロ奏者のトン・コープマンは、今やバッハ演奏の最先端をゆく演奏家だと評してもよいだろう。

コープマンは、こうした鍵盤楽器の独奏だけでなく、アムステルダム・バロック管弦楽団を指揮して、新しいバッハやモーツァルトの演奏などを聴かせてくれる。

ベルギーには、クイケン兄弟がいる。

彼らは、特に室内楽の分野に大変な才能を発揮しているが、バロック・ヴァイオリンのジギスヴァルト・クイケンが指揮するオーケストラ、ラ・プティット・バンドは、イギリスのオーケストラとはまた違った味わい深い演奏をする。

このコンビの「ブランデンブルグ」もまた聴きものである。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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