アルバン・ベルクSQ

2016年04月07日


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2008年に38年に亘った演奏活動に終止符を打ったアルバン・ベルク四重奏団が、その全盛期に録音した、彼らにとっては2度目に当たるブラームスの3曲の弦楽四重奏曲とピアノ五重奏曲へ短調を収録した2枚組リイシュー盤になる。

当時のメンバーは結成当時からの第1ヴァイオリンのギュンター・ピヒラー及びチェロのヴァレンティン・エルベンの他、第2ヴァイオリンがゲルハルト・シュルツ、ヴィオラがトマス・カクシュカで、ピアノにはブラームスのスペシャリスト、エリーザベト・レオンスカヤを迎えている。

アルバン・ベルク四重奏団のブラームスは彼ら特有の鋭い感性に貫かれた演奏であるために、ある意味で聴く人を選んでしまうかもしれない。

しかもここに収められた4曲は作曲家が推敲に推敲を重ねた結果の、ひたすら個人的な思索の所産に他ならず、多くの聴衆を想定した音楽ではないからだ。

それはベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲にも喩えられるだろう。

人によってはいたたまれないくらい厳しい曲想だろうし、また好む人にとっては逆に限りなく深みのある室内楽のエッセンスが堪能できるといった複雑なプロフィールは、聴く人におもねることのないブラームスの気質を窺わせている。

楽器の扱いにも細心の注意が払われていて、例えば第3番変ロ長調第3楽章では、ブラームスが生涯に亘って愛着を示したヴィオラをリードさせる魅力的なスケルツォが展開する。

ここではトマス・カクシュカの精緻だがエネルギッシュなヴィオラ・パートが聴きどころだ。

彼らの持ち味でもある緊密なアンサンブルや強い集中力、そして果敢な表現力が縦横に駆使された熱演だが、一方で現代的に洗練されたクールなセンスが、これらの作品を通じて新時代のブラームス像を提示しているのではないだろうか。

ピアノ五重奏曲では当時既にブラームスでは一家言を持っていたベテラン、レオンスカヤが協演しているが、主導権を握っているのはアルバン・ベルク側で、これはポリーニ、イタリア四重奏団とは好対照をなしている。

後者はあたかもピアノ協奏曲のような華やかさがあって、輝かしくスケールの大きなブラームスに仕上がっているが、レオンスカヤ、アルバン・ベルクはあくまでも室内楽という範疇でのブラームスの小宇宙を描いた演奏と言えるだろう。

彼ら自体かなり個性的なカルテットなので外部からの協演者が入ると、時としてよそよそしい雰囲気が露呈されることが無きにしも非ずだが、この曲に関しては成功しているといって間違いない。

尚音源は1987年6月21日にウィーン・コンツェルトハウスのモーツァルト・ザールで行われたライヴ録音になる。

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2015年09月18日


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アルバン・ベルク四重奏団が1999年と2000年に行ったふたつのライヴから、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番変ホ長調及び同第2番イ短調を収録した1枚。

彼ららしいクールな切込みによるアプローチでの作曲家の野心的な試みが再現されている。

アンサンブルの緻密さや豊かで変化に富んだダイナミズムはアルバン・ベルクの持ち味だが、一方でメンデルスゾーンの若書きのフレッシュな味わいはいくらか犠牲になっているのも事実だろう。

ちなみに第2番は作曲家18歳、第1番は20歳の時の作品で、いずれもベートーヴェンの死を知った彼がその強い影響下に書いた曲とされているが、そこには古典的なテクニックの修錬に加えて颯爽とした奔放さがある。

その点でアルバン・ベルクは音楽を構築し、洗練し過ぎていると思う。

その徹底した創意工夫が結果的にかなり堅牢で隙のない表現に繋がっていて、これはこれでひとつの立派な解釈には違いないが、個人的にはこうした曲では余り手を加えずにむしろ素材を活かすことの方が望ましいと思う。

何故ならこの演奏を聴いていると彼らがこうした作品を完璧に仕上げようとすればするほど、自然に湧き出るような感性から乖離してしまうというパラドックスを認めざるを得ないからだ。

手許にあったターリヒ弦楽四重奏団の同曲集と聴き比べてみたが、緻密な音楽設計とそれを実現させるテクニックではアルバン・ベルクが優っているとしても、ターリヒには流れを止めない自然な推進力と開放感がある。

2002年にリリースされたレギュラーCDからのリイシューになり、セッションに較べて録音レベルがやや低いが、拍手以外のライヴ特有の雑音は皆無で、ホールの適度な残響や楽器どうしのバランス、音質も極めて良好だ。

2曲とも第1ヴァイオリンがギュンター・ピヒラー、第2ヴァイオリンをゲルハルト・シュルツ、ヴィオラがトマス・カクシュカ、チェロ、ヴァレンティン・エルベンによる彼らの黄金期のライヴで、アルバン・ベルクが録音したメンデルスゾーンの作品はこのCDに収録された僅か2曲の弦楽四重奏曲のみなので、貴重なレパートリーのサンプルであることには違いない。

ライナー・ノーツにはエーリヒ・ジンガーによる簡易な作品解説が英、独、仏語で掲載されている。

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2015年09月11日


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解散して久しいアルバン・ベルク四重奏団の演奏活動が最も充実していた1979年から2000年にかけての演奏集を5枚のCDにまとめたセットで、当時彼らが契約していたEMIへの音源からピックアップされている。

こういうコンピレーション・アルバムではEMIはしばしば楽章ごとに抜粋したサンプラー的な編集をするが、幸いそれぞれの曲を全曲収録している。

勿論このセットに収録された曲目は殆んどが現行でも入手可能で、製造中止になっていたメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲は第1番と共に今月ワーナーからミドル・プライスでリイシューされる予定だ。

だからABQのファンであれば特に珍しいレパートリーとは言えないが、今ではメディアを通してしか鑑賞できなくなってしまった彼らへの、タイトル通りのオマージュとして感慨深いものがあるし、また若い世代の室内楽入門者にも是非お薦めしたい。

アルバン・ベルク四重奏団は1970年に結成されて以来2008年に解散するまで実に38年間に亘って活動を続けた。

この間に第2ヴァイオリンはクラウス・メッツルからゲルハルト・シュルツに、ヴィオラはハット・バイエルレからトマス・カクシュカに、そしてカクシュカが亡くなった後はイザベル・カリシウスというメンバーの交替はあったが、第1ヴァイオリンでリーダーのギュンター・ピヒラーとチェロのヴァレンティン・エルベンは、まさにこのアンサンブルに半生を捧げた貢献者と言えるだろう。

離脱したメンバーにもそれぞれ長所があったのは勿論だが、彼らの活動期間の中でもシュルツ、カクシュカの2人が内声を支えていた78年から2005年までがこの四重奏団の実質の黄金期で、この間に彼らの最も先鋭的な2種類のベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集、モーツァルトやハイドンの同曲集が録音されている。

また鮮烈な解釈を示したヤナーチェク、バルトーク、ラヴェル、ベルク、ストラヴィンスキーやリームなどの20世紀の作品群では、彼らの演奏への使命感さえ感じさせる強い情熱と同時にクールで洗練された切れの良い演奏が特徴だ。

セッション、ライヴが入り混じっているが、いずれも音質は極めて良好で充実した鑑賞ができる。

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2015年07月14日


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アルバン・ベルク四重奏団(ABQ)は、1970年に、ウィーン音楽アカデミーの4人の教授たちによって結成された。

アルバン・ベルクの未亡人から、正式にその名前をもらったという。

そうしたことからでもわかるように、この団体の演奏は、ウィーン風のきわめて洗練された表情をもち、しかも、高い技巧と、シャープな切り口で、現代的な表現を行っているのが特徴である。

数年前に惜しまれつつ解散をしてしまったABQであるが、ABQはベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を2度に渡って録音している。

最初の全集が本盤に収められた1978年〜1983年のスタジオ録音、そして2度目の全集が1989年に集中的に行われたライヴ録音だ。

このうち、2度目の録音についてはライヴ録音ならではの熱気と迫力が感じられる優れた名演であるとも言えるが、演奏の安定性や普遍性に鑑みれば、筆者としては最初の全集の方をABQによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の代表盤と評価したいと考える。

それどころか、あらゆる弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の中でも、ひとつの規範になり得るトップの座を争う至高の名全集と高く評価したい。

特筆すべきは、個々の奏者が全体に埋没することなど一切なく、かといって個々バラバラの主張では決してなく、曲の解釈、表現の統一感は徹底しており、究極のアンサンブルとしか言いようがない点だ。

この全集では、作曲年代に応じて表現を変化させ、情感豊かにひきあげているが、音楽的に深く掘り下げた演奏となっているところが素晴らしい。

本演奏におけるABQのアプローチは、卓越した技量をベースとした実にシャープと言えるものだ。

全体的に速めのテンポで展開されるが、決して中身が薄くなることはなく、むしろ濃厚である。

鬼気迫るような演奏もあって、隙がなく、ゆったりと聴くには少々疲れるかと思いきや、軽やかに音楽が流れ、十分リラックスして聴ける。

楽想を徹底して精緻に描き出して行くが、どこをとっても研ぎ澄まされたリズム感と緊張感が漂っており、その気迫溢れる演奏には凄みさえ感じさせるところである。

シャープで明快、緊迫度の高い、迫力に満ちた名演奏に聴き手はグイグイ引き込まれ、その自由で大胆、説得力あるアプローチに脱帽しまう。

それでいて、ABQがウィーン出身の音楽家で構成されていることに起因する独特の美しい音色が演奏全体を支配しており、とりわけ各楽曲の緩徐楽章における情感の豊かさには若々しい魅力と抗し難い美しさが満ち溢れている。

すべての楽曲がムラのない素晴らしい名演で、安心して聴いていられるが、とりわけABQのアプローチが功を奏しているのは第12番以降の後期の弦楽四重奏曲であると言えるのではないだろうか。

ここでのABQの演奏は、楽曲の心眼を鋭く抉り出すような奥深い情感に満ち溢れていると言えるところであり、技術的な完成度の高さとシャープさ、そして気宇壮大さをも併せ持つこれらの演奏は、まさに完全無欠の名に相応しい至高の超名演に仕上がっていると高く評価したい。

交響曲に匹敵する世界観や壮大さが、たった4人のアンサンブルの中に凝縮されている。

録音は、初期盤でもEMIにしては比較的良好な音質であったが、これほどの名演であるにもかかわらず、いまだにHQCD化すらなされていないのは実に不思議な気がする。

今後は、とりわけ第12番以降の後期の弦楽四重奏曲だけでもいいので、HQCD化、可能であればSACD化を図るなど、更なる高音質化を大いに望んでおきたいと考える。

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2015年04月14日


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アルバン・ベルク四重奏団は、1971年に第1ヴァイオリンのギュンター・ピヒラーをリーダーとして結成されたウィーンの団体で、ベルク未亡人の同意を得てこの名称を冠し、ベルクの作品でレコード・デビューを果たしたことは周知のとおり。

レヴェルの高いこのデビュー盤で、たちまちヨーロッパで一目置かれる存在となった。

ベルクにとどまらず、ウィーンとゆかりの深い作曲家の作品をレパートリーとして数々の録音を行なってきたが、このシューベルトの代表的弦楽四重奏曲2曲もそのひとつ。

これは、大変内容の充実したスケールの大きな演奏で、ウィーンの伝統に即しながら、新しい感覚で表現しているところが魅力だ。

アルバン・ベルク四重奏団は、モーツァルトやベートーヴェン、またブラームスなどのロマン派の作品、あるいはバルトークやベルク、ウェーベルンの曲にしても、かなり早い時期から独自の境地を開いており、年を経るごとに大きく変わってくるということがなかったように思われる。

そうした中でも、特にシューベルトの作品に対しては、決して構えた姿勢や力の入った表現ではとらえようとはせず、実にのびのびとした演奏を聴かせるが、それでいて、必要な内的緊迫感を見事に表現しているのが素晴らしい。

とりわけ《死と少女》は、彼らにとって決してルーティンなどになりえない、まさに唯一無二のかけがえのない世界だったようで、常に全力投球を惜しまなかった。

シューベルトの美しい旋律とハーモニーの陰に隠された恐ろしいまでの孤独と寂寥感をこのアルバン・ベルクSQの演奏は聴かせている。

第1ヴァイオリン奏者のピヒラーは、「シューベルトの音楽に表現された彼岸の世界ほど表現することが難しいものはない」とよく言っていたが、この《死と少女》の演奏は、その典型的な例と言えるところであり、これまでのウィーン流のたおやかなシューベルトのイメージを一蹴し、新風を吹き込んだ演奏である。

そのアンサンブルはきわめて緊密で、すこぶる明快、彫りの深い力感を重んじながら透明な響きで旋律をよく歌うと同時に、明晰で厳しくそして緻密にシューベルトの音楽の内面まで深く掘り下げて表現する。

したがって悲劇性と抒情性も含めてこの曲のさまざまな性格が迫真的に表現されている。

各声部の絶妙な語り口で暗いロマン的情熱を適度に引き出している第1楽章、深刻さよりも抒情性が優位に立っているような表現の第2楽章はひとつひとつの変奏もよく旋律の歌わせ方も見事であり、主部と中間部との際立った対比が巧みな第3楽章など、どこをとってみても彼ら独自の美しさが見事に表出していると思う。

この演奏には迸るような激しい情熱や異例なほどの緊張感に満ちた厳しさが溢れているだけに、その間を縫って明滅するように奏でられる抒情的な歌の彼岸の世界をくっきりと浮かび上がらせている。

シューベルトの音楽が、このように際立った鋭さと緊迫感をあらわにするのは、そう多くあることではない。

それでいて、音楽が硬直せず、洗練された情感をもっているのは、この団体の音楽性であろう。

カップリングされている《ロザムンデ》の演奏も聴き応えがあり、端正な造形で、この作品の歌と抒情とをすっきりとまとめあげていて、その爽やかさに惹かれる。

豊かな艶をもったピヒラーの第1ヴァイオリンを中心に、流麗に、そして強固に表現されたシューベルトだ。

特に第1楽章ではしなやかな歌も忘れておらず、動と静のコントラストを巧みに活用し、懐の深さを示している。

現代的な鋭利な感覚のなかに、この曲固有の優美な抒情性を無理なく共存させているところに、このSQの特色があると言えよう。

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2014年12月07日


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数年前に惜しくも解散してしまったアルバン・ベルク弦楽四重奏団(ABQ)であるが、本盤に収められたバルトークの弦楽四重奏曲全集は、ABQが遺した数々の名演の中でも最上位にランキングされる代表盤の1つであると考える。

録音から既に30年近く経過しており、本演奏に触発されたような同曲の名演も散見されるが、今もなおその存在感は色褪せていない。

本演奏においてABQは、その持ち味である卓越した技量を駆使しつつ、バルトークの複雑極まりない曲想を細部に至るまで精緻に紐解いていく。

これほど完璧に同曲を音化したことはないのではないかとさえ思われるほどの精密な演奏とさえ言える。

その徹底した精密さは、どこをとっても力強い気迫と独特の緊張感が漲る演奏に仕立て上げるのに大きく貢献しており、全体としてクールな演奏とさえ感じさせるほどだ。

しかしながら、ウィーンの音楽家で構成されたことに起因するABQの各奏者の美しい音色が、演奏全体に適度の潤いを与えることに貢献しており、クールでありながらも決して血も涙もない演奏に陥る危険性を回避している。

このような本演奏に対しては、知情兼備の完全無欠な演奏との評価もあながち言い過ぎではあるまい。

もっとも、バルトークは、盟友コダーイとともに民謡の採取を行い、採取した民謡を高度に昇華させた上で積極的に自作に取り入れており、同曲においてもそれを随所に聴くことが可能であるが、かかる民族色的な側面に重心を置いた表現という意味においては、ABQの演奏よりも優れた演奏が存在していると言えなくもない。

とある影響力の大きい某音楽評論家は、本演奏について同曲を「当たり前の音楽」にしているとして酷評しているが、かかる評価の是非はさておき、この複雑怪奇な同曲を、同曲の演奏史上初めて「当たり前の音楽」にしたことを評価するのか、それとも「当たり前の音楽」以外のもの(例えば前述のような民族色的な側面)を求めるのかによって、評価が分かれる演奏と言えるのかもしれない。

筆者としては、前述のような知情兼備の完全無欠な演奏を行うことによって、前衛的な同曲を史上初めて「当たり前の音楽」として聴き手にその魅力を認知させるとともに、その後の演奏に多大な影響を及ぼしたという意味において、ABQによる本演奏を画期的な名演と高く評価したいと考えている。

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2014年11月16日


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数年前に惜しまれながら解散したアルバン・ベルク弦楽四重奏団による名演。

アルバン・ベルク弦楽四重奏団は、ウィーン音楽大学の教授で構成されているだけに、ウィーンの音楽家ならではの非常に美しい音色を奏でるが、併せて、現代の弦楽四重奏団ならではの、卓越した技量を基にした切れ味鋭いアプローチを行っている。

要は、いい意味でのバランスが持ち味であり、様々な楽曲において、新鮮な解釈を示してくれた。

このようなアプローチならば、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲などに最適とも思われるが、残念ながら、全集を完成させないまま解散してしまった。

しかしながら、バルトークの弦楽四重奏曲全集などでは超名演を成し遂げており、2度にわたるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集(特に旧盤)でも、斬新な解釈で至高の名演を聴かせてくれた。

本盤のモーツァルトも素晴らしい。

アルバン・ベルク弦楽四重奏団によって生み出される驚異的なアンサンブルは、卓越した技量の下、完璧なハーモニーを奏でているし、加えて、ウィーンの音楽家ならではの美しい音色も実に魅惑的であり、単なる技術偏重に終始していない点が素晴らしい。

本盤の、いわゆるモーツァルトのハイドンセットは、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の得意のレパートリーであり、これは2度目の録音であるが、実に素晴らしい名演だ。

有名な第17番は、明朗で自由闊達とも言うべき生命力溢れる力強さが見事であるし、あまり有名でない第16番も、同曲の持つ魅力を聴き手に知らしめる実に素晴らしい名演と評価すべきであろう。

いずれも、卓越した技量と抜群のアンサンブルを誇っているが、それでいて、ウィーンの音楽家による演奏ならではのセンス満点の情感豊かさがあらわれており、いい意味でのバランスのとれた名演に仕上がっている点が、いかにもアルバン・ベルク弦楽四重奏団の長所と言えよう。

モーツァルトのハイドンセットは、その後のベートーヴェンの弦楽四重奏曲にも大きな影響を与えた傑作であるが、その中でも、最後の2曲である第18番と第19番は、大傑作と言えるだろう。

モーツァルトならではの哀感も加味された優美な音楽が、熟達した作曲技法の下、精緻に表現されているからである。

これだけの傑作であるが故に、これまで数多くの弦楽四重奏団によって演奏・録音が行われてきたが、近年でも群を抜いた名演は、やはり本盤に収められたアルバン・ベルク弦楽四重奏団による2度目の録音ということになるであろう。

第18番と第19番は、ベートーヴェンにも多大な影響を与えた独特のリズムや精緻な対位法などが満載であるが、アルバン・ベルク弦楽四重奏団は、ウィーンの団体ならではの優美な音色をベースとして、切れ味鋭い現代的な解釈で、テンションの高い熱い演奏を繰り広げている。

卓越した技量も聴きものであり、4人の奏者が奏でるアンサンブルの鉄壁さも、技術偏重には陥ることなく、情感豊かな温もりさえ感じさせて感動的だ。

本演奏は、まぎれもなく、アルバン・ベルク弦楽四重奏団によって再現された現代の新しいモーツァルト像を確立したと言えるところであり、本盤をして、ハイドン・セットの最高の名演の1つと評価するのにいささかも躊躇しない。

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2014年10月20日


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数年前に惜しくも解散したアルバン・ベルク弦楽四重奏団。

この四重奏団が遺してきた数々の名演を念頭に置いた時、音楽界においてこれほど残念なことはなかったと考える。

最近では、カルミナ弦楽四重奏団とかアルカント弦楽四重奏団など、切れ味鋭い、現代的センス溢れる名演を繰り広げる楽団が、全盛期を迎えつつあるとも言えるが、そうした現代的なアプローチの元祖とも言うべき存在は、このアルバン・ベルク四重奏団にある。

そして、現代隆盛の四重奏団にないものが、このアルバン・ベルク四重奏団にはある。

それは、ウィーン出身の音楽家で構成されていることを強みにした、美しい音色であろう。

こうした「美しさ」という強みによって、各楽曲へのアプローチに潤いを与えていることを見過ごしてはならない。

それ故に、どの曲を演奏しても、前衛的なアプローチをしつつも、温かみのある血も涙もある演奏に仕上がっていることに繋がっているものと言える。

本盤のブラームスの弦楽四重奏曲もそうしたアルバン・ベルク四重奏団の長所が見事にプラスに働いた名演だ。

鉄壁とも言うべきアンサンブルを駆使しつつ、楽想を抉り出の描出にいささかの不足もない。

巷間評される「ウィーンの伝統にモダンな機能美を加えたその演奏スタイルは、ウィーン古典派と新ウィーン楽派をつなぐ結節点としてのブラームスの一面を見事につかみだした」という評価は、本名演の評価として誠に当を得た表現と言える。

筆者としては、ブラームスの弦楽四重奏曲は地味な印象が強くて聴き通すことが困難であったが、アルバン・ベルク四重奏団の厳しさと華麗さが加味されて非常に良い効果を生んでおり、はじめてブラームスの四重奏が聴き通せたと言っても過言ではない。

ブラームスの弦楽四重奏曲は、交響曲と比較して人気がないようであるが、筆者はアルバン・ベルク四重奏団によって、ブラームスという作曲家のロマンティックな側面が、交響曲より強く出されていて、好きになった。

その後、何度も聴き入り、ブラームスの室内楽の良さがじわじわと染み通るかのようである。

ただし、アルバン・ベルク四重奏団のブラームスは彼ら独特の鋭い感性に貫かれた演奏である為に、ある意味で聴く人を選んでしまうかもしれない。

しかもここに収められた3曲は作曲家自身が推敲に推敲を重ねた結果の、ひたすら個人的な思索の所産に他ならず、多くの聴衆を想定した音楽ではないからだ。

それはベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲に例えることができるだろう。

人によってはいたたまれないくらい厳しい曲想だろうし、また好む人にとっては逆に限りなく深みのある室内楽のエッセンスが堪能できるといった複雑な側面は、聴く人におもねることの無いブラームスの気質を窺わせている。

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2014年10月09日


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数年前に惜しまれつつ解散をしてしまったアルバン・ベルク弦楽四重奏団(ABQ)であるが、ABQはベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を2度に渡って録音している。

最初の全集が1978年〜1983年のスタジオ録音、そして2度目の全集が本盤に収められた1989年に集中的に行われたライヴ録音だ。

このうち、演奏の安定性や普遍性に鑑みれば、筆者としては最初の全集の方をABQによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の代表盤と評価したいと考えているが、2度目の録音についてはライヴ録音ならではの熱気と迫力が感じられる優れた名演であるとも言えるところであり、こちらも捨て難い。

それどころか、あらゆる弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集の中でも、トップの座を争う至高の名全集と高く評価したい。

本演奏におけるABQのアプローチは、卓越した技量をベースとした実にシャープと言えるものだ。

楽想を徹底して精緻に描き出して行くが、どこをとっても研ぎ澄まされたリズム感と緊張感が漂っており、その気迫溢れる演奏には凄みさえ感じさせるところである。

それでいて、ABQがウィーン出身の音楽家で構成されていることに起因する独特の美しい音色が演奏全体を支配しており、とりわけ各楽曲の緩徐楽章における情感の豊かさには抗し難い美しさが満ち溢れている。

すべての楽曲がムラのない素晴らしい名演であるが、とりわけABQのアプローチが功を奏しているのは第12番以降の後期の弦楽四重奏曲であると言えるのではないだろうか。

ここでのABQの演奏は、楽曲の心眼を鋭く抉り出すような奥深い情感に満ち溢れていると言えるところであり、技術的な完成度の高さとシャープさ、そして気宇壮大さをも併せ持つこれらの演奏は、まさに完全無欠の名に相応しい至高の超名演に仕上がっていると高く評価したい。

音質は1989年のライヴ録音であるが、EMIにしては比較的良好な音質である。

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2012年01月26日


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ブラームスのクラリネット五重奏曲のレコードでは、ウィーンの伝統を最も豊かに体現したウラッハの名盤が圧倒的な支持を集めてきたが、このザビーネ・マイヤーとアルバン・ベルク四重奏団による演奏こそ、クラリネットの奏法や演奏スタイルが大きく変化し、進歩した現在を代表するにふさわしい名演というべきだろう。

マイヤーは、この曲を1990年にウィーン弦楽六重奏団のメンバーと録音して、しなやかに洗練された演奏を聴かせてくれたが、アルバン・ベルク四重奏団という最強力の共演者を得たこの1998年のライヴ録音では、いっそう熱い共感にとんだ演奏を存分に繰り広げている。

強靭にして精緻精妙な表現を自在に織りなすアルバン・ベルクの4人もすばらしいが、マイヤーもそれに劣らず雄弁な演奏を柔軟に展開しており、ふくよかで豊かな音色としなやかに強い表現が見事にひとつになっている。

モノローグのような弱奏から弦を圧倒するような熱く輝かしい強奏まで、マイヤーのクラリネットの音と表現力の幅広さも驚異的である。

しかも、卓抜な技巧と表現力をもつ5人は、少しも神経質になることはなく、実演らしい見事な集中力で克明で濃密な表現を余裕をもって展開しており、細部まで繊細な神経が行き届いた演奏は、あくまで美しく洗練され、最晩年のブラームスにふさわしい澄んだ情感にもまったく不足を感じさせない。

これほど流麗で多様なニュアンスをもつ演奏もないだろう。

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2011年11月21日


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結成当初からドヴォルザークをレパートリーにしていたABQは、この曲を2度目のベートーヴェン全集と同年に本拠のコンツェルトハウスでライヴ録音した。

ABQの《アメリカ》は最初から最後まで豊かなメロディ、親しみを感じさせるハーモニー、生気に富んだリズムが現れては消え、息つく間もないほど。

精緻なアンサンブルと透徹した表現は彼らならではのものだが、ここでの彼らは、作品への共感をまことにしなやかに、存分に歌い尽くしている。

特に4人が織りなす澄んだ歌と精妙な変化の美しさは息を飲むばかりで、その演奏は生彩にとむとともに、神韻たる深さをたたえている。

第1楽章冒頭のヴィオラが提示する第1主題をはじめ、全員の心からの共感が豊かに感じられる演奏には、まったく隙がなく、いつもながら緊密なアンサンブルも見事である。

特に、この曲にあふれる豊かな詩情がしなやかな表情とともに瑞々しく表現されていて、郷愁を誘う第2楽章も過度にならない高貴な抒情も美しく、全曲に新鮮な魅力があふれている。

奏者と作品がまさしく一体となっていることを、聴き手に強く意識させる演奏ぶりである。

まさに円熟期の彼らならではの技であり、境地だろう。

また一緒に収録されているスメタナの第1番《わが生涯より》も熱い共感が伝わってくる名演である。

《わが生涯より》は内省的な傾向をより強めているが、情熱をほとばしらせた演奏である点は《アメリカ》と同じである。

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2010年12月30日


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ヤナーチェクの死の半年前に完成し、最後の傑作となった弦楽四重奏曲第2番《ないしょの手紙》は、カミラとの出会いから、愛が芽生えて、この若い人妻へのプラトニックな愛が満たされるまでを音で書き綴った作曲者の手記のような曲である。

これをロマンティックな眼で回想的にとらえたスメタナSQ4回目の録音(1979年のライヴ)の名演も忘れ難いが、アルバン・ベルクSQがヤナーチェクの作風のなかの表現主義的な一面を前面に引き出して熱演した最新盤も、ライヴとしては最高級の録音とあいまって強烈に訴える。

《ないしょの手紙》としてはいささか雄弁すぎる表現かもしれないが、組み合わされた第1番《クロイツェル・ソナタ》の演奏はこのアルバン・ベルクSQの右に出るものはないだろう。

トルストイの禁欲主義を偽善と非難し、不倫といえども、人生にとって真実の恋に優るものはないとした内容を、表現主義のオペラのようにとらえて緻密に再現しているからだ。

すでにヤナーチェクに地方性を求めようとするのは時代遅れになっているが、秘密告白癖はそうはいかない。

鮮烈に、えぐりだすように、アルバン・ベルクSQは、ヤナーチェクの告白を響かせてしまう。

いたたまれないというか、背筋にくるというか、いささか度を越した音楽のドラマトゥルギーに拒否反応を起こすのだって、立派な聴き方ではないか。

《クロイツェル・ソナタ》も《ないしょの手紙》も、なんていやらしいんだろう、なんて露悪趣味なんだろう!

でもそう感じてしまった時、ヤナーチェクの音楽と、アルバン・ベルクSQの演奏の魔の手にとらえられてしまう怖れがある。

困ったCDというべきか。

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2009年12月27日


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ブラームスの四重奏曲の美しさを堪能させてくれる。

アンサンブルは完璧といってよいアルバン・ベルク四重奏団だが、一時期のジュリアードのように精密機械を連想させるようなものではなく、もっと人間的な血のかよった名人芸である。

その特色を列記するなら、デュナーミクの絶妙なコントロール、まったく計算されたことを感じさせない自然で自在なアゴーギグ、音色の実に繊細な変化、感情の動きそのものが孤を描くような生き生きとした旋律の歌わせ方、劇的緊迫感のあふれる推進力や遅滞のない活動性、核心をつく激しい切れ込み、ほんのわずかな乱れを見せない実に精緻なアンサンブル、まるで合奏体が一つの有機体のような自在性を持つのびやかさ、個々の奏者の自発的表現力の豊かさ、楽譜の緻密で的確な読み、楽譜の記述を細大洩らさず音に実現してしまう桁外れの技術……。

さらに音色は透明でどちらかといえば明るく、しかもこの演奏では弦楽四重奏の音色は単色的だというイメージを見事に打ち破っている。

ブラームスが丹念に書き込んだ4声部が、生き生きとした表情を持ってバランス巧みに再現されている。

それに主旋律を受け持つときの各楽器が見事で、第1ヴァイオリン以下実にしっかりした演奏ぶりで、危なげがない。

彼らの実力を見せる傑出したアルバムである。

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2009年10月20日


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アルバン・ベルク四重奏団の再録音だが、これを聴くと、1990年代に入ってからの彼らの演奏がいっそう円熟すると同時に、表現に自由な精神が、より強く反映されてきていることが感じられる。

この曲はシューベルト晩年の作品だけに、とかく悲劇的な性格をフィーチュアして解釈されるが、アルバン・ベルク四重奏団は劇的な性格と音楽の豊かさを結びつけ、さらに作曲家が室内楽でも追究した交響的な書法を完璧に再現している。

第1楽章の冒頭を聴くだけでも、アルバン・ベルク四重奏団がただの四重奏団に見られない豊かな表現力をもっていることがわかる。

第1主題を構成する2つの要素(トゥッティによる激しい楽句とやさしく愛撫するような楽句)を鮮やかに描き分けている。

これを聴いて、死の2つの面(厳しさとやさしさ)を否応なしに聴き手に印象づける。

これは、彼らの表現に誇張がないだけに、いっそうの説得力をもたらす。

第2楽章における各変奏の性格を描き分ける点も、アルバン・ベルク四重奏団は他の四重奏団の追随を許さない。

ひとつひとつの変奏が、あたかも完結した物語のように感じられる。

これは、アルバン・ベルク四重奏団のシューベルトの音楽に対する強い共感(ウィーンの伝統を引き継ぐといえるかもしれない)と、円熟した表現力が生み出した演奏であり、この曲の最高の演奏といえるだろう。

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2009年06月15日


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この曲はアルバン・ベルク四重奏団ほかの演奏が断然美しい。

若手チェリスト、シフを加えての演奏は、緊迫感にみちた劇的な表情と、豊かな抒情性を兼ね備えたもので、この大曲の持ち味を、余すところなく表現していて見事である。

極めて緊密なアンサンブルに支えられた素晴らしい熱演である。

それは第1楽章の冒頭を聴いただけでもわかる。激しくクレッシェンドして緊張を加え、ドラマを盛り上げて行く。

しかし、やがて出てくる抒情的な部分での柔らかい表現にも、この団体のスタイルがいっそううかがえる。

シューベルトがこの長大な作品にこめたドラマティックな緊張と抒情性とを、彼らは余す所なく表現しているのである。

低弦に厚みがやや不足するようにも思われるが、全編に流れる豊かな抒情性と、いつもながらの緊密なアンサンブルが一体となって秀演を繰り広げている。

特にシューベルトが自らの死を予感して作ったかのような第2楽章と第3楽章トリオは感動的で、前者でのピヒラーの第1ヴァイオリンの表情と音色の変化の速さ、艶やかさは脱帽もの。

ウィーン風の情緒を実に巧みに現代化している点も魅力的だ。

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アンサンブルがきわめて緻密で、きびきびとした演奏である。

メリハリが実にはっきりとしていて、少しの曖昧さもない。

4人の奏者がそれぞれ溌剌と弾いているが、その造形はいささかの狂いもない。

内容の充実した、まさに現代風のハイドンとモーツァルトの演奏である。

「皇帝」の第1楽章では、いくぶんテンポを動かしているが、アンサンブルの乱れはまったくない。

まるで精密機械のような演奏のなかにも、巧みな盛り上がりと精妙な旋律の歌わせ方にウィーン的な香りを感じる。

第2楽章の「皇帝賛歌」を主題とした変奏曲の演奏などその好例である。

「狩り」は、精緻なアンサンブルのなかにも、ウィーン風の甘美な音色をもったこの団体の個性を聴くことができる。

メンバーの第2ヴァイオリンが、メッツルからシュルツに変わっているが、以前にも増して切れ味のよいアンサンブルだ。

造形的にもきちんとまとめあげており、弦の響きも澄明でみずみずしい。

特に第2楽章メヌエットのきめのこまかい端正な表現は比類がない。

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2009年02月04日


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1978年から足掛け5年をかけて録音したアルバン・ベルク四重奏団の第1回目のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集で、現代におけるリファレンスともいうべき、模範的な名演として推薦しておきたい。

この団体は、1970年に、ウィーン音楽アカデミーの4人の教授たちによって結成された、比較的新しい四重奏団である。

アルバン・ベルクの未亡人から、正式にその名前をもらったという。

そうしたことからでもわかるように、この団体の演奏は、ウィーン風のきわめて洗練された表情をもち、しかも、高い技巧と、シャープな切り口で、現代的な表現を行っているのが特徴である。

アルバン・ベルク四重奏団の合奏はひとりひとりのテクニックが優れていると同時に、アンサンブルの緻密さが既製の楽団のどれをも凌駕している。

そして感覚的にも美感にあふれ、サウンドが洗練されていて、聴いていて実に美しく、また楽しい。

この全集では、作曲年代に応じて表現を変化させ、情感豊かにひきあげているが、音楽的に深く掘り下げた演奏となっているところがすばらしい。

全集全体がきわめて高水準で、ベートーヴェンの音楽が持つ独特の個性の明確な表出には、一期一会的な完成度の高さがあり、これを凌ぐ演奏はおそらく簡単には生まれないだろう。

全体にテンポはやや速めだが、決して軽薄に流れず、むしろメリハリが明確でくっきりとした輪郭を描く。

音楽が絶えず前へ前へと駆動する力にあふれているため、若々しい推進力や軽快な躍動にも欠けることがない。

各奏者の技術的、精神的な充実感も並々ならぬ高さにあり、アンサンブルの緊密度や柔軟性の高さはまさに驚異的というより他はない。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと、深遠で高級な音楽といわれ、押さえつけるようなゴリゴリした演奏を有難がる傾向もあるが、それは誤解というもので、音楽なのだからやはりまず美しくなければいけない。

そのことをアルバン・ベルク四重奏団は、改めて教えてくれるだろう。

深遠な楽想を楽しく聴かせるのが、演奏家の一番の役割と知るべきである。

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2009年01月25日


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アルバン・ベルク四重奏団が、その創設以来20世紀の音楽に大きな関心と注意を払ってきたことは、どなたにもご存じだろう。

今や現代作品のみをレパートリーとする弦楽四重奏団もあるご時勢だが、古典から同時代のものまでを等しく高い水準でこなせる団体となると、やはり彼らをおいて他にはない。

そうした彼らの現代音楽に対する実力の程が遺憾なく発揮されたのが、20世紀最高の弦楽四重奏曲集であるバルトークの全集である。

彼らが満を持して取り組んだこの全集は同曲盤のなかでも傑出したものといってもさしつかえないだろう。

まずその第一の特色は、一音符たりとも疎かにしない精密な合奏力と、眼光紙背を貫くばかりに研ぎ澄まされた全く隙のない解釈である。

そこにはバルトークが作曲時に置かれていた極限状況をまのあたりにさせるような、厳しくも鮮烈な表現が満ち満ちている。

しかしそれと並んで忘れてはならないのは、やはり彼らが持つ音色である。

核心に切り込んでくる厳しいスタイルは、とかくすさんだ響きを生み出しがちだが、かれらの響きはアタックの強い、鋭い切れ味を持ちながら、決してしなやかさを失わず、どこまでも透明感と温かさを兼ね備えている。

それがこの演奏に人間的な温もりを与えている最大の要因だろう。

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2008年07月30日


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アルバン・ベルク弦楽四重奏団が1990年代にリリースされた録音では、どれでも彼らは、緻密で切れ込みの鋭い鮮烈さに、柔軟な響きと人間感情をまるで音に移し替えたようなロマン性を加え、比類のない内面的精神の深さを引き出しているが、これら2曲でもそれが最高に生かされている。

特に「抒情組曲」はまさに空前絶後ともいえるような演奏で、それぞれの音語法は、すでに完全に彼ら自身の言葉と化しており、ベルクの音楽、それを実現する音、それを引き出してくる彼らの鮮やかな技術、その背後にあるメンバー個々の精神などがまさに一体となり、それらの間に寸分の隙も感じられない。

全編がまさに息をもつかせぬ緊迫感に支配されているが、例えば第5楽章の身の毛もよだつほどの凄まじい劇的表出力は、音楽を以て音楽を超えたといっても良いほどの核心を衝いたものである。

また続く第6楽章でも、その表現の内実の豊かさは、まるで彼らがベルクの化身と化したような錯覚さえ覚えるほどである。

もちろん作品3も劣らぬ名演で、彼らが20世紀作品の演奏にこだわってきた集約が示されているといっても良い。

この演奏で聴くと、ベルクは難解どころか、彼の言わんとすることが手に取るようにわかるのだから演奏の力とは恐ろしいものだ。

超の字を冠したいほどの名演奏である。

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2008年05月15日


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アルバン・ベルクSQのレパートリーはドイツ・オーストリアの作品が中心で、フランスものはこれが初めてだった。

ベートーヴェンとか新ウィーン楽派とかを聴いたあとの録音だったので、興味をそそられた反面、どこかミス・マッチのような感じを抱いてディスクをセットした記憶がある。

でもそれはこちらの的外れな偏見だった。あいかわらず雄弁な語り口だが、ドイツ系の作品演奏のときとはまた違った、粋な面をも見せる好演。

彼らのユニヴァーサルな適応力を感じさせる演奏だった。

全体にきびきびとした明快な演奏である。アンサンブルは精緻で、バランスもよく、その艶やかな音色には魅了される。

構成的にもがっしりとしていて表情も豊かだ。

どちらかといえばラヴェル寄りの解釈だが、ドビュッシーもいつもながらの磨き抜かれた技術と感覚、それに強靭なリズムで実に精密に演奏する。

その上で、メカニックな冷たさの一歩手前で踏みとどまる好演。

ラヴェルは理想的な出来映えで、曲のすみずみまでシャープに捉え、ラヴェルの色彩と幻想を伴った音楽作りをあますところなく表現する。

細部まで精密に造型しつくされた演奏は、この作品の解釈に新しい領域を拓いた画期的なものである。

とりわけ第3楽章の幻想と、弱音の扱いは特筆に値する。そのきわめて幻想的で、典雅な響きはたいへん美しい。

ここには、ラヴェルのもつ音楽特性が十二分に生かされている。

性格的にはかなり異なる作品だが、繊細な詩と幻想的な美しさにあふれたこの2曲は、近代フランスの室内音楽史に燦然と輝く逸品となっている。

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2008年05月02日


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モーツァルトの《宿命の調性》といわれるト短調で書かれたこの第4番は、モーツァルトが作曲した6曲の弦楽五重奏曲の中でも最高の名作として知られている。

その深い憂愁と清澄な美しさを湛えた音楽は、しばしば同時期に作曲されたオペラ「ドン・ジョヴァンニ」や晩年の傑作であるト短調交響曲と比較されている。

アルバン・ベルク四重奏団は、持ち前の精緻なアンサンブルを現代的なシャープな感覚で生かして、明快で強靭な表現力をもった演奏をつくっている。

感傷に溺れることなく、活気のある新生面を出そうという姿勢をみせている。

それは特に第1楽章と第2楽章で感じられる。

それだけに第3楽章アダージョの深く内省的な歌がいっそう印象的であり、安易な感傷に陥ることない表現が、一貫して弱音器をつけて演奏される音楽の内に秘めた不安と救済への憧憬をいっそう印象的なものにしている。

第3番は少しの弛みもない堅牢無比な音構築の中で、各楽章の特徴をよく生かし、精彩にも溢れている。

第2楽章は充分すぎるほど歌い、第4楽章では楽しい躍動感が打ち出されている。

とにかく2曲とも、その音色といい部分部分に表れる表情といい、ウィーンのカルテットならではのものだ。

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2008年02月09日


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何も言うことがないくらい素晴らしい演奏だ。

切れ味鋭い演奏技巧を駆使したアルバン・ベルクならではの演奏で、力感を重んじた、すこぶるモダンなモーツァルトを生み出している。

音質が極めて均質で見事な和声的響きの流れを聴かせ、4人の音の溶け合いと同時に各声部の旋律線が明確に聴き分けられるのも、この演奏の特徴。

それぞれの音色の美しさを保ちながら、他声部の音と重なって生み出す最高に豊かな響きのなかで結びついているのだ。

この再録音では、1977年のテルデックへの旧録音と内声部のメンバーがすっかり交替しているが、それによって演奏そのものが大きく変わったわけではない。

しなやかで典雅で、おっとりとした歌いまわしに独特の味があり、それによってヒューマンな暖かさを伝えたウィーンの数多くの先輩たちの音楽作りとは違って、切れ味の鋭い演奏技巧で力感を重んじたモダンな演奏ぶり。

こうしたスタイルは旧盤と同様だが、ここではそうした彼らの特質に加え、ウィーン情緒をも強く漂わせ、肩の力を抜いて旋律を歌わせる。

いわば音楽の上で遊ぶゆとりを身につけたことを感じさせる。

最もすぐれたモーツァルト演奏のひとつに数えられるハイドン・セットだ。

第18番での美しい響きが、ことに傑出している。

アルバン・ベルク四重奏団がついに解散するというニュースは世界に衝撃を与えた。

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2008年01月07日


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やはりアルバン・ベルク四重奏団が、気合のこもった素晴らしい名演を聴かせている。

強い伝統の壁を破って、真の新しいベートーヴェン像を打ち立てた抜群に上質の演奏だ。

かつてのウィーンでは聴くことのできなかったタイプのものであり、アルバン・ベルク四重奏団の真価がここにはっきり示されている。

彼らのシャープで明快なスタイルには、機能的な正確さに加え、張りつめた精神の緊張がある。

きわめて目の詰んだ緊密なアンサンブルは、技巧的にはこれ以上の完璧さはないと思わせるほど見事なものだし、同時に常に柔軟性に富んだ表現がベートーヴェンの音楽の本質を明快に歌いあげている。

あくまでもウィーンの伝統に根ざしながら、4人の感性が新たな、現代的なベートーヴェン像を築き上げている。

演奏はどの曲も素晴らしく、ベートーヴェンの本質をわきまえた上で、曖昧さのないシャープで明快で現代的なものだ。

これら後期の弦楽四重奏曲のもつ、ヴァラエティに富んだ性格を鮮明に描き分け、それを完璧なまでのアンサンブルとテクニックで、見事に再現させた彼らの実力には、改めて驚嘆せずにはいられない。

よくベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲は、年輪を加えたヴェテランのグループでなければ、経験不足ではロクな演奏にならないといわれるが、アルバン・ベルク四重奏団の演奏を聴くと、そうした風説はインチキではないまでも、かなり誇張した誤解に満ちているのがわかる。

とにかくこれは、素晴らしい名演であり、ベートーヴェンの優れた解釈として長く指標となる演奏である。

カペーやブッシュやブダペストを聴く前に一度は耳にされることをお薦めする。

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