デュメイ

2016年06月21日


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マリア=ジョアン・ピリスがエラートからドイツ・グラモフォンに移籍した後の、アンサンブルの録音をまとめた12枚組で、彼女がこの頃意欲的に取り組んだ他の演奏家との多彩な能力を示した興味深い演奏になる。

このセットのうち9枚までがヴァイオリニスト、オーギュスタン・デュメイとの協演でベートーヴェン及びブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲を始めとするゲルマン系作曲家の作品を中心に収録している。

同時期彼らは集中的なアンサンブルを行っていて、ラテン系の演奏家2人がドイツ物にフレッシュな感性で対応したデュエットに仕上がっている。

デュメイは官能的な表現を得意としているが、ここでも彼の美しい音色を活かして流麗に歌うカンタービレは、フランコ=ベルギー派を受け継ぐ典型的なヴァイオリン奏法だ。

それ故このセットの白眉はCD11のフランク、ラヴェル、ドビュッシーを収めたフランスの作曲家の作品集で、感性を共有するピリスの繊細かつ情熱的な伴奏に、水を得た魚のように大胆で、しかも妖艶な雰囲気を漂わせた魅惑的な演奏を披露している。

彼らの音楽作りには特有の抑揚があって、ベートーヴェンに関しては哲学的な演奏ではないにしても、より自由に解き放たれた演奏と言うことができるだろう。

ドイツ物ではむしろ憂愁に包まれた歌謡性を持ったブラームスのヴァイオリン・ソナタの方が両者には合っているかも知れない。

その意味でCD5でジャン・ワンが入るブラームスのピアノ三重奏曲のドラマティックな展開やCD9で更にヴァイオリンのルノー・カピュソン、ヴィオラのジェラール・コセが加わるシューマンのピアノ五重奏曲は、彼らの濃厚なロマンティシズムの表出で秀逸だ。

しかし一方でCD8のモーツァルトの3曲のピアノ三重奏曲も均整のとれた古典的な演奏が模範的だし、意外にもCD6のグリーグの3曲のヴァイオリン・ソナタが、柔軟に捉えた北欧の舞曲や抒情を湛えた映像的な描写で優れている。

尚最後はチェロのアントニオ・メネセスとのウィグモア・ホールでのジョイント・コンサート・ライヴで、これも気の利いたプログラムによる捨て難い1枚だ。

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2015年09月20日


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オーギュスタン・デュメイの感性が余すところなく示されたフランスの作曲家によるヴァイオリン作品集で、彼は持ち前の美音だけでなく、それとは対照的な激しい擦弦音を交錯させて自身の濃厚な感性を作品のデフォルメに至る寸前まで追い求める。

デュメイにとってヴァイオリンは美しく歌うだけではなく、人間の心情の総てを表現し得る楽器としての可能性を試みているように思われる。

冒頭に置かれたショーソンの『詩曲』では狂おしいほど燃え盛る情念を抉り出しているし、また『タイスの瞑想曲』ではこれまでに誰も再現し得なかったほどのパトスが感じられる。

それは師匠グリュミオーの演奏ほど格調は高くないにしても、デュメイにしかできない甘美な哀愁の表現だ。

最後に置かれたラヴェルの『ツィガーヌ』は恐るべき演奏で、ハープが入るまでの長い導入を多彩な音色で妖艶なまでに歌いこみ、後半部は拍車のかかったオーケストラと丁々発止のやり取りをする。

そこではヴァイオリンのテクニックの限界に挑む、殆んど狂気にも似た熱狂がある。

ここではラヴェルの華麗なオーケストレーションも聴きどころのひとつだ。

指揮者のマニュエル・ローゼンタールはモーリス・ラヴェルの弟子でもあり、作曲家としても活動したパリ生まれのマエストロで、グリュミオーとも同様の作品集を残している。

録音当時既に80歳の高齢だったにも拘らずデュメイのソロを活かす情熱的な指揮で、それぞれの作品の聴かせどころを巧みに引き出している。

オーケストラはモンテ・カルロ・フィルハーモニー管弦楽団で、指揮者とデュメイの目まぐるしいアゴーギクの変化にぴったりついて奮闘している。

彼らは以前の同国立歌劇場管弦楽団で、団員にはまだ上達の余地があるにしても、フランス的な暖色系の音色に魅力があり、またオペラ上演にも慣れているためか融通の利く機動力を備えているのが特徴だ。

1984年の録音で、リマスタリングの効果で音質はきわめて良好。

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2015年08月29日


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フランスのヴァイオリニスト、デュメイとポルトガルのピアニスト、ピリスによるグリーグのヴァイオリン・ソナタ全3曲を収録したアルバム。

グリーグ生誕150年記念として、1993年にベルリンで録音され大絶賛を受けた傑作である。

グリーグの3つのヴァイオリン・ソナタはいずれも美しい作品であるが、なぜか録音される機会が少なく、最も高名な第3番でも、新録音のニュースにはあまりお目にかからない。

これらのソナタにはしばしば構造的な欠点が指摘される。

その「欠点」は、これらのソナタに、と言うより、グリーグの作品全般に言われることだが、対位法的な処理があまり行われず、音楽が展開力に乏しいことであるが、逆にグリーグの美点として「美しいメロディ」を創作する能力があった。

そのため、グリーグの全作品を俯瞰すると、圧倒的に多いのが「小品」であり、メロディだけに紡がれた、大きな展開のない音楽だ。

逆に本格的なソナタ形式を踏襲するような規模の大きい作品は極端に少なく、交響曲は習作とされる1曲のみだし、ピアノ・ソナタとピアノ協奏曲がいずれも名品だけれど、たったの1曲ずつ。

そのような背景にありながら、なぜかヴァイオリン・ソナタだけは3曲もあり、この事実は結構重要な気がする。

グリーグが自ら「不向き」と考え、ごく限られたインスピレーションのみを還元していたジャンルにあって、なぜかヴァイオリン・ソナタのみが豊作なのである。

「ヴァイオリン」と「ピアノ」という2つの「歌う」楽器の合奏に、メロディ主体で楽曲を構成できる調和を見出したのかもしれない。

しかしそのヴァイオリン・ソナタも、よく構造的な欠陥が指摘されており、例えば、1つの主題から別の主題に移る際の音楽的な処理は、しばしば「カット」され、ただの「ジャンプ」になってしまっていたりする。

しかし、これらのヴァイオリン・ソナタを彩る旋律は本当に美しいのだ。

だから、上記の様な不自然な音楽的欠陥があっても、筆者はこれらのソナタをとても楽しむことができるし、いろいろな想像をかきたてさせてくれるものだと思っている。

それで、その入手可能なディスクで有力な大御所による録音となると、このデュメイとピリスによるものとなる。

デュメイの演奏は、持ち前の超絶的な技巧をベースに、緩急自在のテンポ設定、思い切った強弱の変化、心を込め抜いた節回しや時として若干のアッチェレランドなどを交えつつ、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした演奏を展開しており、その情感豊かで伸びやかな表現は自由奔放で、なおかつ即興的と言ってもいいくらいのものである。

そして、このようなデュメイの個性的なヴァイオリン演奏をうまく下支えしているのがピリスのピアノ演奏である。

ピリスのアプローチは、各楽曲の北欧風の詩情に満ち溢れた旋律の数々を、瑞々しささえ感じさせるような透明感溢れるタッチで美しく描き出していくというものだ。

その演奏は純真無垢とさえ言えるものであり、世俗の穢れなどはいささかも感じさせず、あたかも純白のキャンバスに水彩画を描いていくような趣きさえ感じさせると言えるだろう。

特に緩徐楽章の郷愁に満ちたメロディが、清涼感に満ちた爽やかな佇まいをもって示されているのは、たいへん好ましいと思う。

作為を感じさせない自然なニュアンスに満ちていて、まるで夏の木陰で、涼やかな風を受けているような心地よい響きなどたいへん魅惑的な演奏だ。

ソナタ第2番の終楽章の輝かしさも忘れ難い。

それにしても、もっと多くのヴァイオリニストに、これらのグリーグのヴァイオリン・ソナタを録音してほしいと願う。

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2015年06月22日


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本盤には、デュメイがピリスと組んで1997〜2002年にかけてスタジオ録音を行ったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集のうち、爽やかな明るさやロマン的な幸福感に溢れる第5番「春」と劇的緊張感と圧倒的な迫力が充実した世界を形作る第9番「クロイツェル」という最も有名な2曲が収められている。

デュメイとピリスという息の合った名コンビが全10曲の録音に5年もの長期間を要したということは、デュメイ、そしてピリスがいかに慎重を期してベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの演奏・録音に望んだのかを窺い知ることが可能だ。

デュメイとピリスの音楽的出会いから、その後の12年にわたる2人の歩みが結実したベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集。

ふたりが1990年代の初頭に初めて共演して意気投合した作品がベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタであったことを裏付けるような、深い味わいを湛えた演奏を繰り広げている。

ところで、常々のデュメイのヴァイオリン演奏は超個性的である。

持ち前の超絶的な技量をベースに、緩急自在のテンポ設定、思い切った強弱の変化、思い入れたっぷりの濃厚な表情づけや、時としてアッチェレランドなども駆使するなど、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした演奏を展開しており、その躍動感溢れるとともに伸びやかで情感豊かな表現は、即興的で自由奔放と言ってもいいくらいのものだ。

しかしながら、本演奏では、楽曲がベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタだけに、その片鱗を感じさせる箇所は散見されるものの、どちらかと言えば他の楽曲の演奏のような奔放さは影を潜めていると言えるのではないだろうか。

むしろ、演奏全体の基本的なスタンスとしては、真摯に、そして精緻に楽想を描いていくのに徹しているようにさえ感じられる。

しかしながら、スコアの音符の表層をなぞっただけの薄味な演奏にいささかも陥っておらず、各フレーズの端々にはフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいが満ち溢れており、このような演奏全体を支配している気品と格調の高さは、フランス人ヴァイオリニストでもあるデュメイの真骨頂であると言えるだろう。

そして、かかるセンス満点のデュメイのヴァイオリン演奏の魅力を、より一層引き立てているのがピリスによる名演奏である。

常々のピリスのピアノ演奏は、瑞々しささえ感じさせるような透明感溢れるタッチで曲想を美しく描き出していくというものであり、シューベルトやショパンなどの楽曲においてその実力を十二分に発揮しているが、本盤のベートーヴェンの演奏においては、そうした繊細な美しさにとどまらず、強靱さや重厚さも垣間見られるところであり、いい意味での剛柔バランスのとれた堂々たるピアニズムを展開していると言えるだろう。

そして、ピリスの場合は、いかなるフォルティッシモに差し掛かっても、1音1音に独特のニュアンスが込められるとともに、格調の高さをいささかも失うことがないのが素晴らしい。

この素晴らしい名コンビの演奏は、常に聴き手の心をあたたかくし、深い感動を呼び起こす。

いずれにしても、本演奏は、様々な同曲の演奏の中でも、フランス風のエスプリ漂う洒落た味わいや格調の高い美しさを湛えた素晴らしい名演と高く評価したい。

音質は、従来盤でも十分に満足できるものであったが、今般のSHM−CD化によって、デュメイのヴァイオリンの弓使いやピリスのピアノタッチがより鮮明に再現されるとともに、音場がより一層幅広くなったように思われる。

いずれにしても、デュメイ、そしてピリスによる至高の名演を、SHM−CDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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2014年08月20日


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本盤には、デュメイがピリスと組んでスタジオ録音を行った、フランク及びドビュッシーのヴァイオリンソナタ、そしてラヴェルのツィガーヌ等といった、フランスを代表するヴァイオリン曲が収められている。

いずれも、至高の超名演と高く評価したい。

デュメイのヴァイオリン演奏は超個性的だ。

持ち前の超絶的な技巧をベースに、緩急自在のテンポ設定、思い切った強弱の変化、心を込め抜いた節回しや時として若干のアッチェレランドなどを交えつつ、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした演奏を展開しており、その情感豊かで伸びやかな表現は自由奔放で、なおかつ即興的と言ってもいいくらいのものである。

楽曲のトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫や生命力にも申し分のないような力強さが漲っており、かかる強靭さや繊細な抒情に至るまで、表現力の幅は桁外れに広い。

また、各フレーズに込められたフランス風のエスプリ漂う美しい情感は、いかにもフランス人ヴァイオリニストならでは瀟洒な味わいに満ち溢れており、デュメイの自由奔放とも言うべき即興的な超個性的演奏に、気品と格調の高さを付加しているのを忘れてはならない。

そして、このようなデュメイの個性的なヴァイオリン演奏をうまく下支えしているのがピリスのピアノ演奏である。

ピリスのアプローチは、各楽曲のフランス風の詩情に満ち溢れた旋律の数々を、瑞々しささえ感じさせるような透明感溢れるタッチで美しく描き出していくというものだ。

その演奏は純真無垢とさえ言えるものであり、世俗の穢れなどはいささかも感じさせず、あたかも純白のキャンバスに水彩画を描いていくような趣きさえ感じさせると言えるだろう。

もちろん、柔和な表情を見せるのみならず、重厚な強靭さにおいてもいささかも不足はなく、いい意味での剛柔バランスのとれた名演奏を行っていると評価したい。

そして、このようなデュメイのヴァイオリンとピリスのピアノという両者の極上の名演奏が見事に融合した結果、おそらくは本盤に収められた各楽曲の演奏史上最も格調が高く、そしてフランス風のエスプリ漂う美しさの極みとも言うべき至高の超名演を成し遂げるに至ったのだと考える。

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2014年04月02日


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本盤には、デュメイがピリスと組んで1997〜2002年にかけてスタジオ録音を行ったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集が収められている。

全10曲の録音に5年もの長期間を要したということは、デュメイ、そしてピリスがいかに慎重を期してベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの演奏・録音に望んだのかを窺い知ることが可能だ。

常々のデュメイのヴァイオリン演奏は超個性的であると言える。

持ち前の超絶的な技量をベースに、緩急自在のテンポ設定、思い切った強弱の変化、思い入れたっぷりの濃厚な表情づけや、時としてアッチェレランドなども駆使するなど、楽曲の細部に至るまで彫琢の限りを尽くした演奏を展開しており、その躍動感溢れるとともに伸びやかで情感豊かな表現は、即興的で自由奔放と言ってもいいくらいのものだ。

しかしながら、本演奏では、楽曲がベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタだけに、その片鱗を感じさせる箇所は散見されるものの、どちらかと言えば他の楽曲の演奏のような奔放さは影を潜めていると言えるのではないだろうか。

むしろ、演奏全体の基本的なスタンスとしては、真摯に、そして精緻に楽想を描いていくのに徹しているようにさえ感じられる。

しかしながら、スコアの音符の表層をなぞっただけの薄味な演奏にいささかも陥っておらず、各フレーズの端々にはフランス風のエスプリ漂う瀟洒な味わいが満ち溢れており、このような演奏全体を支配している気品と格調の高さは、フランス人ヴァイオリニストでもあるデュメイの真骨頂であると言えるだろう。

そして、かかるセンス満点のデュメイのヴァイオリン演奏の魅力を、より一層引き立てているのがピリスによる名演奏である。

常々のピリスのピアノ演奏は、瑞々しささえ感じさせるような透明感溢れるタッチで曲想を美しく描き出していくというものであり、シューベルトやショパンなどの楽曲においてその実力を十二分に発揮しているが、本盤のベートーヴェンの演奏においては、そうした繊細な美しさにとどまらず、強靱さや重厚さも垣間見られるところであり、いい意味での剛柔バランスのとれた堂々たるピアニズムを展開していると言えるだろう。

そして、ピリスの場合は、いかなるフォルティッシモに差し掛かっても、一音一音に独特のニュアンスが込められるとともに、格調の高さをいささかも失うことがないのが素晴らしい。

いずれにしても、本演奏は、様々な同曲の演奏の中でも、フランス風のエスプリ漂う洒落た味わいや格調の高い美しさを湛えた素晴らしい名演と高く評価したい。

音質は、従来盤でも十分に満足できるものと言える。

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2011年02月03日


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ブラームスの《ヴァイオリン・ソナタ》全3曲を収めたこのアルバムで、絶妙なアンサンブルを聴かせるのは、オーギュスタン・デュメイとマリア・ジョアン・ピリス。

ヴァイオリン、ピアノとも、このところ著しい充実を如実に示した演奏の出来ばえだ。

デュメイはラテン的で洗練された表現力と包容力豊かな音楽性、磨きぬかれた美音を駆使して、上品で味わい深い音楽を語りついでいくヴァイオリニスト。

ピリスは明快なタッチによる清冽な音と響き、シャープな感受性と緻密な表現力で集中力の高い演奏を聴かせるピアニストである。

デュメイの語り口はのびやかで、細部まで神経が行き届き、ふくよかな表情が美しい。

ピリスははつらつとしており、感覚の冴えをみせ、前向きの姿勢に貫かれていて、音楽をひきしめている。

両者の呼吸の整えかたも好ましい。

デュメイとピリスはともにラテン的な感性を持ち、それが合わさって従来の重厚なイメージのブラームスの音楽を大きく塗り替えることに成功した。

しかし、注意深く耳を傾けると両者の個性はかなり異なっていることにも気付く。

洗練された表現によって美しく旋律を歌わせるデュメイに対し、ピリスのピアノはもっと磨き澄まされた切れ味の鋭さがあるのだ。

その両者の持ち味の違いが時に協奏的に個性を主張し、デュオをより重層的なものにしているのである。

本質的に異質の2人が密度の高いデュオを実現させ、個性豊かなブラームスを繰り広げている。

ブラームスの音楽の構造をしっかりと守りながら、そこに巧みに色彩を付与したこの演奏を、南の世界への憧れを抱いていたブラームスが聴いたならばきっとおおいに喜んだことだろう。

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2010年07月04日


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交響曲となっているものの、実際には協奏曲の性格をもつ当作品は、スペイン出身のヴァイオリニスト、サラサーテからの依頼により作曲された。

スペイン色を濃厚にもつ作品をラロがかいたのは、そうした事情があったせいだろう。

だから当作品の演奏にあたっては、スペイン色との対応のしかたも大きな要素となってくる。

ここにおけるデュメイとプラッソンとは、そうしたローカル色を特に強調するようなことなく、洗練されたスタンスを保ちながら、柔軟性をもって対応しており、無理がない。

明るいトーン、素直でのびやかな表情などが効果的にいきている。

大向こうを意識するような大柄な性格ではないものの、細やかなよさをもつ内容だ。

デュメイのソロは音色が美しく、特に引き締まった高音が魅力的だ。

アーティキュレーションにも強い自信が反映され、旋律を歌わせるときには緩急の細かいニュアンスを生かしている。

このように自在で、洗練された感覚を発散するスペイン交響曲の演奏は珍しい。

協奏曲第1番では、オケののびやかな演奏とデュメイの引き締まったソロが鮮やかな対照を示し、豊かな雰囲気をもたらす。

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