ペーター・ダム

2019年08月21日


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ヘンスラー・プロフィール・レーベルからリリースされたブロムシュテットのライヴ音源で、音質は時代相応という印象だが、客席からの雑音が若干混入しているし演奏終了後の拍手も入っている。

彼らのセッション録音はベートーヴェンの交響曲全集の他にはリヒャルト・シュトラウスの交響詩集、そしてブルックナーの2曲の交響曲が名演の名に恥じない録音だが、ライヴではその他にも多彩なレパートリーを披露していたことを示したアルバムだ。

少なくとも1990年収録のレーガーの『モーツァルトの主題による変奏曲』は彼らの唯一の音源だろう。

シューマンの『4本のホルンとオーケストラのためのコンツェルトシュテュック』は1981年のシンフォニー・コンサートで演奏されたもので、首席奏者だったペーター・ダムの大活躍に彼の健在振りとシュターツカペレでの強い存在感が窺われる。

ウェーバーの『オベロン』序曲は彼らのゼンパーオーパーでのオペラ上演で鍛えた余裕を感じさせるし、ナウマンの『テ・デウム』は滅多に演奏されない作品だが、ドレスデンゆかりの作曲家の作品を甦らせた、生気に満ちた解釈が聴きどころだ。

レーガーの『モーツァルトの主題による変奏曲』は、ピアノ・ソナタ第11番イ長調『トルコ行進曲』の第1楽章変奏曲の主題を使い二重フーガで締めくくったオーケストラ用の作品で、『ヒラーの主題による変奏曲』のような大胆な変容はなく、また規模も小振りだが、テーマのシンプルで優雅な抒情性がブロムシュテットのきめ細かい指示で、作曲家の綴れ織のようなオーケストレーションが再現されている。

シューマンの『コンツェルトシュテュック』の4人のホルン・ソロはペーター・ダム、クラウス・ピーツォンカ、ディーター・パンザ及びヨハネス・フリーメルで、ダムはこの曲を更に20年遡る1961年にコンヴィチュニー指揮、ゲヴァントハウスとも協演していて、その素晴らしいステレオ・セッション録音は最近ベルリン・クラシックスからリリースされた6枚組のペーター・ダム・ホルン演奏集に組み込まれた。

シューマン及びナウマンの録音会場となった旧クルトゥーアパラストは、コングレス用に建設された多目的ホールで、先の大戦によって大破したゼンパーオーパーの修復がまだ続いていた頃は、コンサート・ホールとしても機能していたが、音響的にはお世辞にも良いとは言えなかった。

録音に関しては高いサウンド空間を持つルカ教会が理想的だが、客席数が限定されてしまうのでライヴには不向きだし、ゼンパーオーパーは劇場としてのポリシーによって建設されているので、大編成のオーケストラには響きがデッドになる。

ドレスデンのような世界的音楽都市に今までオーケストラ専用のホールがなかったことは意外だが、大戦前の都市復元に莫大な費用と40年以上の期間を費やしたことを考えれば当然かも知れない。

幸いクルトゥーアパラストは近年殆んど再建に近い大改修を終えて、大オルガンを装備した専用のコンサート・ホールとして甦り、ドレスデン交響楽団のホームになっているので、将来録音会場としても活用されるだろう。

プロフィール・レーベルは過去の歴史的放送用音源を中心に独自のリマスタリングを行って、隠れた名演や興味深いレパートリーをリリースしているが、モノラル、ステレオ録音共に概してマスターの音質や保存状態が良く、入門者が不用意に飛びつくことは避けるべきだが比較的安価であることもメリットになっている。

昨年レーベル開設15周年の記念盤15枚組ボックスも出たが、いくらかマニアックなファン向けの選曲になっている。

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2019年06月13日


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ペーター・ダムとケンペ/シュターツカペレ・ドレスデンによるディスクは、録音が1975年とやや古い。

しかし、シュターツカペレ・ドレスデンがR・シュトラウス縁のオーケストラであることやオーボエ協奏曲がカップリングされている利点もあり取り上げた。

ホルン協奏曲第1番は、1883年の作曲なのでシュトラウス19歳の作品ということになる。

まだ後年の豊麗なオーケストレーションは見られない代わりに、まるでマンハイム楽派やモーツァルトの20番代の交響曲を思わせるような古典的で簡潔なスタイルを持っているのがかえって新鮮に聴こえる。

ダムのソロは、温かく抑制されたニュアンスで、その古典派を思わせるスタイルを見事に捉えている。

このことはバックのケンペ/シュターツカペレ・ドレスデンの縦の線をしっかりと整えていく表現にも当てはまる。

また、例えば、第1楽章の終わりなどでも必要以上に大袈裟にならず節度ある高揚でダムをよく盛り立てているなど全体にまとまりの良い端正な演奏と言え、好感が持てる。

その一方で、第2楽章の後半などでは、後のシュトラウスを予告するロマンティックで濃厚な表現もあり飽きさせない。

さらに、全曲を有機的に統一する付点リズム音型と三連符の扱いにも一貫性があり説得力がある。

第2番の協奏曲は、第1番から実に60年を経た1943年に作曲されている。

それにも拘わらず、古典派を思わせる簡潔なスタイルを持っているという点で共通する面が多い。

しかし、そこには、1人の偉大な作曲家の晩年の崇高な境地が表出されている作品でもある。

当然、演奏にもその点が如何に表現されているかがポイントとなる。

第1楽章の終わりで音楽がトランクィロになる瞬間に鮮やかに気高い表情になり、第2楽章へかけてどこまでも静寂な抒情が広がり行く部分の表現にそれが感じられる。

また、全体に室内楽的なアプローチに徹しているのも良く、特にオーケストラ・パートの木管、F管ホルンとEs管のソロ・ホルンの掛け合いやユニゾンは素晴らしい。

この点でダム盤の第2番の演奏は、第1番のシンフォニックな作りとの違いを際立たせている優れた解釈を示している。

総じて、ソロだけではなくケンペ/シュターツカペレ・ドレスデンのバックにも伝統に根ざした良い意味の職人気質が感じられ、古典的で端正なスタイルを持った温かく魅力あるR・シュトラウスになっており、独自の魅力を持っている。

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2017年07月24日


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昨年末に旧東独のドイツ・シャルプラッテン音源が50枚の高音質UHQCDシリーズとしてリイシューされた。

その1枚がブロムシュテットがペーター・ダムをソロに迎え、気心の知れた自分の所属オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンのもとで録音したモーツァルトのホルン協奏曲集になる。

本盤ではペーター・ダム独特のややメロウな響きによるのびやかな歌の味わいが格別で、バックも素朴で自然だ。

新規にリマスタリングされてCDのマテリアルも一新されたようだが、確かに雑身が払拭された澄んだ音質が得られている。

オリジナル・マスター自体がかなり良い状態であることが想像されるが、オーケストラのそれぞれの楽器の分離状態も良く、一段と磨きがかかった潤いのある音色とバランスのとれた音場が再生されている。

ペーター・ダムは1988年に同曲集をフィリップスに再録音しているが、聴き比べると音質的に全く引けを取っていない。

ちなみに2度目の録音はモーツァルト没後200周年記念として刊行された全180枚のコンプリート・エディションに組み込まれた演奏で、現在でも協奏曲だけをエクストラクトしたデッカの9枚組セットで入手可能だ。

尚今年になって本家ベルリン・クラシックスからダムの6枚組の演奏集がリリースされたが、このモーツァルトの協奏曲集は除外されている。

このホルン協奏曲集の特徴はブロムシュテット率いるシュターツカペレ・ドレスデンの精緻なサポートにある。

再録音のネヴィル・マリナー&アカデミー室内との演奏では、室内楽としての嬉遊性に富んだ溌剌とした表現が聴かれダムのソロもより自由闊達だ。

しかしモーツァルトの音楽に内包されている恒久的な安らぎという哲学的観点では、ブロムシュテットの抑制を効かせたオーケストラにダムが敬意を表しているような、両者間での完璧な調和が感じられる。

モーツァルトのピリオド的な再現という点ではマリナーとのものがより近いかも知れないが、一方で美学的な説得力ではこちらが掛け替えのない価値を持っている。

当時ダムが首席ホルン奏者だったシュターツカペレ・ドレスデンだが、あくまでも音楽性において自らの名人芸を披露するという、極めて優れた協調性に彼のインテリジェンスが窺われるアルバムだ。

ダムはホルンと管弦楽のためのロンドも両指揮者と2回の録音を果たしている。

しかしこの作品の後半60小節の自筆譜が再発見されたのが1989年なので、どちらもそれ以前の短いバージョンの演奏になっている。

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2017年07月22日


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これまでにベルリン・クラシックスから個別にリリースされていたペーター・ダムの演奏集がバジェット・ボックス6枚組にまとめられたことは高く評価したい。

ただし彼のドイツ・シャルプラッテン音源を網羅したものではなく、例えばブロムシュテットとのモーツァルトのホルン協奏曲集やバロック及びロマン派の作品集の少なくともCD3枚分が選曲から漏れている。

当時の担当レコーディング・エンジニアの違いによる結果なのかも知れない。

またダムは主だったレパートリーを複数回録音しているが、ここではその中のひとつに限定して収録されていて、シューマンの4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュックは1961年のコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス盤が選ばれている。

ちなみにこの6枚はオリジナル・レコーディングからの新規リマスタード盤で、音質が極めて良好な全曲ステレオ録音になる。

このセットの中でもCD1のR.シュトラウスの2曲とCD6の20世紀の2人の作曲家によるホルン協奏曲は圧巻だ。

前者は作曲家の得意とした歌心に溢れたメロディーを充分に生かしたダムのソロが冴え渡り、レーグナー率いるシュターツカペレ・ドレスデンの堂々たるサポートも聴きどころだ。

後者では鮮やかな超絶技巧を披露するヴィルトゥオジティと共に斬新なオーケストレーションを作曲家クルツ自身の指揮とシュターツカペレ・ドレスデン及びケーゲル&ドレスデン・フィルの高度に洗練された再現で聴くことができる。

ちなみにR.シュトラウスの方はEMIのケンペ盤もホルン愛好家にとっては有力な選択肢になるだろう。

CD2の室内楽作品集も魅力的な1枚で、ベートーヴェンのホルン・ソナタは名手による録音自体が少ない中で、最も優れた演奏に挙げられる。

CD3のコラールを中心としたホルンとオルガンのための音楽では、ダムのホルンは殆んどコルネットのような高音と軽快さを聴かせている。

これはライナー・ノーツ見開きの写真に掲載されているようにディスカント・ホルンを使っているためで、通常のホルンよりかなり小型であることが見て取れる。

名器ジルバーマンを弾くショルツェの華やかなオルガンのサウンドも効果的だ。

一方CD4のフランス物ではペーター・レーゼルとの飛びっきり洒落たセンスと軽妙洒脱な音楽を堪能できる。

旧東独でのレコーディングは1947年以来私企業だったエテルナ社が担当していたが、1955年からはその後の音楽産業を一手に取り仕切る国営ドイツ・シャルプラッテン傘下のクラシック部門ベルリン・クラシックス、エーデル・クルトゥーアに引き継がれ活動を続ける創業70年になる老舗レーベルだ。

現在でも音響効果に優れたドレスデンのルーカス教会やライプツィヒ・ゲヴァントハウスを本拠に録音を行っていて、ユニヴァーサルなどとは一線を画した独自の存在感を示している。

このセットのレコーディングは1961年から1987年にかけて行われているが、演奏内容は勿論、音質的にも西側に決して引けを取らない水準に達していたことが理解できる。

ベルリン・クラシックスは今年になってオーケストラル・ワーク、室内楽、声楽曲などの過去の名演集をまとめた19セットほどのCD及びLPの記念盤をリリースしている。

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2015年07月29日


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このセットはモーツァルト没後200周年記念として1990年にフィリップスから刊行された全180枚のCDからなる『ザ・コンプリート・モーツァルト・エディション』の第8巻「ヴァイオリン協奏曲集」及び第9巻「管楽器のための協奏曲集」として組み込まれていたもので、後に割り当てられていたCD9枚を合体させた形で再販されたが、これは更にそのリイシュー盤として独立させたものになる。

多少古いセッションだが、それぞれが既に評判の高かった名演集で録音状態も極めて良好なので、入門者や新しいモーツァルト・ファンにも充分受け入れられる優れたサンプルとしてお薦めしたい。

またオリジナルのコンプリート・エディションの方は限定盤だったために現在プレミアム価格が付いており、入手困難な状況なのでコレクションとしての価値も持ち合わせている。

シェリングのソロによるヴァイオリン協奏曲は独奏用が6曲、ジェラール・プレとの『2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネハ長調』及び2曲の『ロンド』と『アダージョホ長調』がアレクサンダー・ギブソン指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の協演で収められている。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は偽作も含めると都合7曲存在するが、ここでは完全な偽作とされている第6番変ホ長調は除外して、偽作の疑いのある第7番ニ長調は採り上げている。

シェリングの清澄で潔癖とも言える音楽作りが真摯にモーツァルトの美感を伝えてくれる演奏だ。

またCD4にはアカデミア室内のコンサート・ミストレスだったアイオナ・ブラウンと今井信子のソロ、アカデミア室内との『ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調』及び『ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための協奏交響曲イ長調』の復元版も収録されている。

CD5からの管楽器奏者達は当時一世を風靡したスター・プレイヤーが名を連ねている。

2曲の『フルート協奏曲』と『アンダンテハ長調』はいずれもイレーナ・グラフェナウアーのソロ、そして彼女にマリア・グラーフのハープが加わる『フルートとハープのための協奏曲ハ長調』、カール・ライスターによる『クラリネット協奏曲イ長調』、クラウス・トゥーネマンの『ファゴット協奏曲変ロ長調』、ペーター・ダムによる4曲の『ホルン協奏曲』と『ロンド変ホ長調』、ハインツ・ホリガーの『オーボエ協奏曲ハ長調』で、オーケストラは総てネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団がサポートしている。

中でもライスターのクラリネットは白眉で、精緻で全く隙のないテクニックに彼特有の清冽な音楽性が冴え渡る演奏だ。

尚ペーター・ダムは『ホルン協奏曲』全曲を1974年にブロムシュテット&シュターツカペレ・ドレスデンとも録音しているが、こちらは1988年の2回目のセッションで、より古典的で室内楽的なスタイルを持っている。

最後の2枚に入っている4つの管楽器のための協奏交響曲については、オーレル・ニコレのフルートとヘルマン・バウマンのホルンが加わる復元版と、現在残されているオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンのソロ楽器群による従来版の2種類が演奏されている。

パリ滞在中のモーツァルトによって作曲されたと推定されるソロ楽器はフルート、オーボエ、ファゴット、ホルンで、ここではアメリカの音楽学者ロバート・レヴィンがオーボエの替わりにフルートを入れ、クラリネットのパートをオーボエに移した復元版を採用している。

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2015年07月24日


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シュターツカペレ・ドレスデンを中心に活躍したペーター・ダムは既に現役を退いて久しいが、現代の名ホルン奏者の中でも最もヒューマンな感覚に溢れた演奏を残してくれた人ではないだろうか。

世界最古の歴史を誇る名門オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンは、現在でも伝統ある独特の音色において一目置かれる存在であるが、とりわけ東西ドイツが統一される前の1980年代頃までは、いぶし銀の重心の低い独特の潤いのある音色がさらに際立っていた。

そうした、名奏者で構成されていたシュターツカペレ・ドレスデンの中でも、首席ホルン奏者であったペーター・ダムは、かかるシュターツカペレ・ドレスデンの魅力ある独特の音色を醸し出す代表的な存在であったとも言えるだろう。

ペーター・ダムのホルンの音色は、同時代に活躍したジャーマンホルンを体現するベルリン・フィルの首席ホルン奏者であったゲルト・ザイフェルトによる、ドイツ風の重厚さを持ちつつも現代的なシャープさをも兼ね備えたホルンの音色とは違った、独特の潤いと温もりを有していたとも言えるところだ。

本盤には、ペーター・ダムが1966年から90年までにドイツ・シャルプラッテンに蓄積した音源からピックアップされたもので、アンサンブル、ホルンとオーケストラ、そしてピアノ伴奏によるソロ・ピースなどバラエティーに富んだジャンルの曲目が集められている。

歌心に溢れたリリカルな表現では他の追随を許さなかったダムの感性を堪能できるセットとして、ホルン・ファンは勿論クラシックの入門者にもお薦めしたい。

協奏曲以外でもここには日頃それほど鑑賞する機会がないホルンとオーケストラのためのサン=サーンスとシューマンの作品がそれぞれ1曲ずつ、更にロッシーニのホルン四重奏版『狩での出会い』や難曲として知られるシューマンの『アダージョとアレグロ』などでも、ダムのクリヤーでソフトな音色とその名人芸が冴えている。

またウェーバーはホルンの重音奏法を取り入れた最初の作曲家と言われているが、その『小協奏曲ホ短調』のなかで実際に2声部の短いカデンツを聴くことができる。

選曲は既に個別にリリースされていたアルバムからの再編集で、「ロマン派ホルン協奏曲集」をベースに「フランス・ホルン作品集」から4曲、その他にサン=サーンスの『ホルンとオーケストラのための小品へ短調』Op.94、シューマンの『4本のホルンと第オーケストラのためのコンツェルトシュトゥックヘ長調』Op.86、ハイドン『ホルン協奏曲ニ長調』、ハイニヒェン『2本のホルン、2本のフルート、2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ長調』、テレマン『2本のホルンと2本のオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲ニ長調』、ロッシーニ『狩での出会い』、メンデルスゾーン『男声合唱のための六つのリーダー』から第2番及び第3番のホルン用アレンジ、そしてシューマンの『ホルンとピアノのための『アダージョとアレグロ変イ長調』Op.70、ブラームスの『ホルン三重奏曲変ホ長調』Op.40が収められていて、一応バロックから現代までのホルンの名曲をカバーしているが、ペーター・ダムのソロによるモーツァルトやリヒャルト・シュトラウスの協奏曲集は現行の別のアルバムに譲っている。

ベルリン・クラシックスの企画による器楽のためのグレーテスト・ワーク・シリーズは、ピアノ、チェンバロ、オルガンも含めると既に17セットがリリースされていて、それぞれが2枚組のデジパック入りで簡易なライナー・ノーツも挿入されている。

音源は旧東独のドイツ・シャルプラッテン社の所有であるために、演奏者もドレスデンやゲヴァントハウスのオーケストラの首席クラスの名手達が勢揃いしているのが特徴である。

ネームバリューに拘らなければ実力派のセッションを良質な音質で、しかも廉価盤で鑑賞できるのがメリットだ。

なお、ペーター・ダムの魅力的なホルンの音色は、モーツァルトのホルン協奏曲集や、ホルンが大活躍するブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」においても聴くことが可能であるということを付記しておきたい。

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2015年07月08日


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シュターツカペレ・ドレスデンを中心に活躍したペーター・ダムは既に現役を退いて久しいが、現代の名ホルン奏者の中でも最もヒューマンな感覚に溢れた演奏を残してくれた人ではないだろうか。

世界最古の歴史を誇る名門オーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンは、現在でも伝統ある独特の音色において一目置かれる存在であるが、とりわけ東西ドイツが統一される前の1980年代頃までは、いぶし銀の重心の低い独特の潤いのある音色がさらに際立っていた。

そうした、名奏者で構成されていたシュターツカペレ・ドレスデンの中でも、首席ホルン奏者であったペーター・ダムは、かかるシュターツカペレ・ドレスデンの魅力ある独特の音色を醸し出す代表的な存在であったとも言えるだろう。

ペーター・ダムのホルンの音色は、同時代に活躍したジャーマンホルンを体現するベルリン・フィルの首席ホルン奏者であったゲルト・ザイフェルトによる、ドイツ風の重厚さを持ちつつも現代的なシャープさをも兼ね備えたホルンの音色とは違った、独特の潤いと温もりを有していたとも言えるところだ。

ペーター・ダムの奏法は息づくような自然なヴィブラートのかかった滑らかなカンタービレが魅力で、本盤に収められたフランスの作品集には彼のそうしたリリカルな面が縦横に発揮されている。

その一方で現代の作曲家の作品ではホルンのあらゆる技巧が披露され、テクニシャンとしても面目躍如たるものがある。

穏やかな曲ではクリアーな音色とソフトな歌心でメロディーに微妙な陰影を与え、オペラのアリアさながらに流麗だし、時として快活なエスプリを利かせた軽快さが生粋のドイツ人であってもこうしたのラテン系の作品に野暮な印象を残さない。

そこにペーター・ダムのすこぶる柔軟で洗練された感性が窺える。

ここではまたソロ・ピアニストとして活躍しているペーター・レーゼルの気の利いた、しかも手堅い伴奏が花を添えている。

冒頭に置かれたフランセの『ディヴェルティメント』ではユーモアたっぷりの表現が秀逸で、ファゴットを髣髴とさせる軽妙でおどけた急速楽章とそれに挟まれたアリアの対比も巧妙だ。

またビュセールの『サンテュベールの狩』は特有の色彩感の表出がこの小品に神秘的な趣きを醸し出しているし、いまやホルンのための古典的名曲になったデュカスの『ヴィラネル』には、どのフレーズにも楽器の特性を知り尽くしたペーター・ダムの機智が反映されていて、その変化に富んだ多彩な奏法には驚かされる。

最後の『プレリュード、主題と変奏』の作曲者ロッシーニは晩年パリに居を構えていたので、フランス趣味の作品として取り入れられているが、タイトルも『老いぼれのしでかした罪』という意味のフランス語で書かれた全14巻からなる作品集の第9巻に収められている。

カンタービレを思う存分歌ったテーマと、軽やかな高音部と豊かだが決して重苦しくならない中低音が交錯するヴァリエーションがホルンの持ち味を満喫させてくれる。

この音源はペーター・ダムが首席奏者だったシュターツカペレ・ドレスデンのレコーディング・スタジオとして使われているルカ教会で1985年に収録され、ドイツ・シャルプラッテンのクラシック部門ベルリン・クラシックスからリリースされた。

適度な残響を伴った音質は極めて良好。

なお、ペーター・ダムの魅力的なホルンの音色は、モーツァルトのホルン協奏曲集や、ホルンが大活躍するブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」においても聴くことが可能であるということを付記しておきたい。

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2010年08月18日


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旧東独を代表する名手ペーター・ダムの代表盤。

大変生真面目なモーツァルトである。

いくぶん遊びやゆとりに乏しい感じはあるものの、緩徐楽章などそうした飾り気のなさが一種の素朴な美しさとして聴き手の心を打つ。

ダムの置かれた環境(旧東独)が、過小評価の一因となっているのであれば悲劇である。

ダムは20世紀屈指のホルン奏者に数えられるべき逸材である。

音色やテクニックはいうまでもなく、音楽作りの旨さには、熟練だけでは到底及びもつかぬ天賦のものを感じる。

ダムのソロは響きが柔らかく、豊かな広がりを生み出す。

解釈も素直でソノリティともども圧迫感がない。

そのために音楽は非常に温かい雰囲気を伴って再現される。

テクニックは完璧だが、それを感じさせないところに彼のすぐれた個性がある。

テンポの設定にも無理がなく、いたずらにソロをフィーチュアする意図が感じられない。

このような演奏で聴くと、モーツァルトの音楽が実に人間的な親しみを感じさせる。

ダムのモーツァルト協奏曲集には、もっと新しいマリナー指揮アカデミーとのレコーディングもあるが、こちらは彼がドレスデンの首席になってまだ日も浅いころのもの。

そもそもシュターツカペレ・ドレスデンの美しいホルン・セクションを聴くとああダムの音だと思うくらいだから、このソロとオーケストラがしっくりと溶け合っているのは当然と言うべきか。

それにしてもこのオケは素晴らしい。

ダムのソロは決して派手ではないし、テクニックもテクニックとして目立つ類いのものではない。

しかしホルン固有のまろやかな音色や、華やかさと何とも言えぬユーモアが同居するこれらの曲の味わいを、心ゆくまで楽しませてくれる演奏である。

また、モーツァルトのホルン協奏曲を学究的な態度でとりあげたものとして、モーツァルトの研究家やこの曲の演奏を志す人にも貴重なCDといえる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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