マスカーニ

2022年06月15日


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



1957年録音で、メンバーはサントゥッツァがレナータ・テバルディ、トゥリッドゥはユッシ・ビョルリンク、アルフィオがエットレ・バスティアニーニ、ローラはルチア・ダー二で、いずれも全盛期、しかも絶好調のセッションになっている。

アルベルト・エレーデの指揮でオーケストラはフィレンツェ五月祭管弦楽団。

デッカからはその後1960年にメゾ・ソプラノのシミオナートがサントゥッツァを歌った、デル・モナコ、マックニール、セラフィン指揮、ローマ・サンタチェチーリア盤がリリースされることになる。

エレーデ盤はフィレンツェでの上演に沿ったレコーディングらしく、スウェーデン生まれのテノール、ビョルリンクが加わっているのが特徴だろう。

彼の歌唱は真摯で、声も素晴らしいが、シチリア島という南イタリアの中でも血の気の多い気性の表出には、それほど成功していない。

一方テバルディは通常高貴な役柄が殆どなので、片田舎の娘は適していないように見えるが、ドラマティックな歌唱で充分サントゥッツァの役を果たしている。

トゥリッドゥとの二重唱の後吐き捨てるように言う「あんたには、呪われた復活祭を!」のセリフは凄まじいものがある。

バスティアニーニの馬車屋アルフィオもヴェルディ・バリトンとしては際物的なレパートリーだが、彼の存在感はこのオペラを非常に魅力的なものにしている。

作品自体の出来栄えは、イタリアでもそれほど評判が良くない。

つまり文学的に低俗で、音楽性もそこそこ、歌手には声の負担を要求するという理由からだが、こうした欠点を補うのは豪華絢爛の名歌手の共演が欠かせない。

そうした面でもこのセッションは成功している。

エレーデの指揮は歌手陣を生かすことに主眼が置かれていて、プレリュードなどではやや冗長になるきらいがあるのも事実だ。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 19:48コメント(0) 

2022年03月26日


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



この『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ』のオペラ全曲録音の一番の特色は、大歌手時代の名だたるオペラ歌達が、とびっきりの美声とそのスタイリッシュな歌唱で歌い切った記録であり、指揮者は彼らの能力をどれだけ発揮させるかに重点を置いていて、現代のように指揮者が前面に出て、歌手を持ち駒のように扱う手法とは対照的だ。

少なくとも1980年代までは、声自体で芸ができるオペラ歌手が存在した。

指揮者ジュリーニは後年オペラから手を引いた理由に、歌手の質の劣化を忌憚なく語っている。

このディスクで異なる性質の2人の主役を歌っているジーリは、元来リリック・テナーだが、その表現力によってドラマティックな『道化師』のカニオも巧みに歌っている。

しかも『カヴァレリア・ルスティカーナ』の録音された1940年には既に50歳だったが、声の張りと瑞々しさ、コントロールされたパワフルな声量には驚くべきものがある。

それはサントゥッツァ役のソプラノ、リーナ・ブルーナ・ラーザも同様で、指揮者の存在が霞んでしまうほどの名唱と言える。

また興味深いのはシミオナートが端役のマンマ・ルチアを歌っていることで、当時30歳だった彼女がまだ主役を与えられていなかった。

彼女が主役サントゥッツァを歌うのは更に10年ほど後のことだ。

マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』は初演から熱狂的に受け入れられたが、ストーリー的には下世話な怨恨による犯罪物語で、後にトスカニーニをしてつまらない作品と言わしめた。

そうした欠点を救っていたのは、まさにその時代の大歌手達だったと言えるだろう。

作曲者マスカーニの指揮ぶりも、それほど上手いとは言えないが、ジーリなどの声の栄光によって救われた作品であることが、このCDを聴くことで理解できる筈だ。

『カヴァレリア・ルスティカーナ』の冒頭にマスカーニ自身の口上が録音されている。

彼はこの作品が作曲から50年を迎えたこと、HMVの全曲録音の勧めには、自分の音楽が生きたものとして残されることを望んで引き受けたとなどを述べている。

おりしもイタリアはファシズムの時代に突入していて、彼の口調はいくらかムッソリーニ調であることも面白い。

尚ディスクの数は2枚だが、ライナーノーツに全曲のリブレットが掲載されているので、カートン・ボックスに収納されている。

ニンバスのプリマ・ヴォーチェ・シリーズの殆どがSPレコードからの板起こし盤だが、再生機のグラモフォン(蓄音機)の音響だけでなく、再生された室内の残響も一緒に拾って録音するという方法で、かなり肉声に近いサウンドが得られている。

オーケストラはいくらか寝ぼけたような音だが、人の声域は当時の録音機器に適していたようで、他社のCD化された物より潤いがあって臨場感も得られている。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 09:49コメント(0) 

2011年01月05日


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



シノーポリの演奏は、このオペラのスコアに内包されていた新しい可能性を切り拓く画期的な名演だ。

始めから終わりまで、新鮮でユニークな発見と魅力に満ちている。

響きが透明で繊細。しかも思い切ったルバートや微妙なテンポの揺れによってフレーズがひとつひとつ生き生きと呼吸する。

マスカーニの音楽が同時代の印象主義、そしてさらに来るべき表現主義につながる。

シノーポリがスコアから引き出しているのは、激情と刺激にあふれた原色的・煽情的な、いわゆるヴェズリモ・オペラではなく、そうした外面的衣裳の内側にあるマスカーニの音楽自体の美しさだ。

オペラの分野でのシノーポリが、イタリアもので本領を発揮する人だったことを改めて実感させる切れ味鋭い名演。

透明な輝きを駆使し、スコアに内含された新たな真実を鋭いタッチで抉り出す。

そこでは自在に揺れ動くテンポがきわめて効果的。それを駆使して登場人物の心理を巧みに表現する。

緩急や強弱の幅を大きく取り、それを微妙にコントロールしながら、各場面の本質を描き出す。見事な心理学だ。

バルツァのサントゥッツァとドミンゴのトゥリッドゥが素晴らしく、この主役2人の歌に関する限り、今までの名盤のなかでもベストにあげてしかるべきだろう。

バルツァのサントゥッツァが強烈なファム・ファタール型で、男たちはドミンゴのトゥリッドゥばかりか、ポンスのアルフィオまでけっして粗野な精力家ではなく、むしろ弱さをあらわにして運命に翻弄されてゆくタイプとして表出されているのも、そうしたシノーポリの視野、解釈に見合う。

そしてインパクトある合唱が、この作品を、象徴的な近代的運命劇にまで高める。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 05:18コメント(0) 

2009年08月13日


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



ヴェリズモ・オペラの激情的特質を最も見事に表現した理想的な名演。

旋律の豊かな肉付き、感情内容の深さ、リリカルな効果の美しさ、そしてオペラティックな魅力のすべてにわたってまったく申し分ない。

ヴェリズモ・オペラの傑作のひとつ《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、レオンカヴァッロの《道化師》と共に上演される事も多い。

しかしその音楽の特質は、微妙に異なっている。

《道化師》においては、まず主役カニオの強い個性が全曲の感銘度を左右するが、こちらはサントゥッツァとトゥリッドゥのぶつかり合いとそれをまとめ上げる指揮者の力量のバランスが重要である。

その点で、この1枚は数多くのこの曲のディスクの中でも特に重要なものと言える。

シミオナートのサントゥッツァは、メゾでありながら高音部の輝かしさを持ち、かつドラマティックな表現力においては肩を並べるものがない。

デル・モナコの輝かしい力に満ちたトゥリッドゥもよい。

人間味に溢れたシミオナートのサントゥッツァに対し、利己的な役柄をドラマティックな声と剛直な歌い方でまとめるデル・モナコのトゥリッドゥを、名伯楽セラフィンが支えている。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:03コメント(0) 

2008年04月15日


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。

 

まず表現と音の響きの異様なまでの艶麗さに驚かされる。

この徹底して肉感的美感の追求は、1960年代のカラヤンの特徴に違いないが、その中にヴェリズモ独特の直接的・激情的なエネルギーの燃焼もほのかに感じられる。

「道化師」は1965年に録音されたもので、当時カラヤンは57歳。

その指揮は活力にあふれており、演出も極めて巧妙である。

特に第2幕は秀逸だ。

独唱陣のなかでは、タデイのトニオが傑出している。

これは、トニオの屈折した心の動きを見事に捉えた演唱で、トニオ役の最もすぐれたもののひとつに数えてよい。

マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」はレオンカヴァルロの「道化師」とともに、カラヤンが珍しくミラノ・スカラ座を指揮したディスクで、これは、その「道化師」をさらに上まわる名演である。

カラヤンは、マスカーニ固有の美しい旋律をたっぷりと情感豊かに歌わせながら、全体をドラマティックに仕上げている。

その緊張感にあふれた精巧な表現はこの人ならではのもので、ここには、ヴェリズモ・オペラの本質が万全に表出されている。

独唱陣のなかでは、コッソットのサントゥッツァが秀抜である。

サントゥッツァの感情の揺れ動きをきめこまかく的確に歌い上げているあたり、実に見事なもので、ことに「ママも知るとおり」は、聴いていると目頭の熱くなるのを覚えるほどの名唱だ。

コッソットはデビュー50周年コンサートでもこの曲を熱唱していた。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 03:33コメント(0)トラックバック(0) 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ