レオンカヴァッロ

2020年07月11日


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『カルーソー、愛の歌声』と題されたこの作品はイタリア放送協会RAIによって2012年に制作され、二晩に亘って放送されたテレビ映画になる。

冒頭でもステファノ・レアーリ監督は「自由な脚色によるフィクション」と断り書きを入れているが、それは現在のカルーソーの家族に対する配慮かも知れない。

世紀のテノールと呼ばれたエンリコ・カルーソーの生涯にまつわるエピソードの殆んどが取り入れられているので、彼の伝記映画として観ることも可能だろう。

彼の人生を物語化した映画としてはマリオ・ランツァ主演の『歌劇王カルーソー』が良く知られたところだが、当作品は2部からなる229分の意欲作で、それだけきめ細かく多くの逸話が盛り込まれている。

また主役カルーソーにはテノール歌手のジャンルーカ・テッラノーヴァを起用したところにも前作のハリウッド映画に対する本家のこだわりが感じられる。

イタリア語以外の言語には翻訳されていないのが残念で、カルーソーの輝かしくも波乱に満ちた人生を知る上でも他国語の字幕スーパーを作る価値のある作品だと思う。

ただし万人向けのメロドラマとしての側面があることは否定できない。

それゆえ彼の最初の妻でソプラノ歌手だったアダ・ジャケッティの姿はかなりセンチメンタルに描かれているし、彼女の妹リーナ像については相当のファンタジーが織り込まれていると思われる。

しかしアダ役のヴァネッサ・インコントラーダの微妙な表情の変化による演技は魅力的だ。

尚劇中のカルーソーの声はテッラノーヴァ自身が歌ったものだが、この映画でも使われているSP録音のカルーソー本人の声とは似ても似つかないのはご愛嬌だ。

ナポリからは歴史的な著名人が多く輩出している。

それは音楽界でも同様で歌手ではカストラートのファリネッリ、作曲家ではドメニコ・スカルラッティ、チマローザ、レオンカヴァッロそして現在活躍中の指揮者ムーティもその一人だ。

ここでの主人公カルーソーは貧しい家庭の出身だったが、自分の才能ひとつでオペラ界の寵児となったサクセス・ストーリーが、何よりもナポリの人々に愛されているのは言うまでもない。

地元のサン・カルロ歌劇場でのデビューは失敗に終わり、彼は二度とナポリで歌わないことを決意して、その意志は生涯貫かれた。

彼はその後ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のドル箱スターになったが、晩年自分の死を悟ったかのように故郷に帰って来る。

彼の人生はそれ自体がまさにひとつのドラマだったと言えるだろう。

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2015年01月13日


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ヴェリズモ・オペラのひとつの指標として、長く我々の記憶に止まるであろう録音。

カラヤンがスカラ座を振ったオペラで、それが良好なステレオ録音の正規盤ということになると、この「道化師」と、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の2点のみしか存在しないように記憶する。

「道化師」が77分あまり、「カヴァレリア・ルスティカーナ」が80分あまりという演奏時間ゆえに以前は外盤の3枚組でしか入手できなかった。

1枚ずつで発売されたことをまずは歓迎したい。

どちらも1965年の録音で、筆者が初めてこのディスクを入手したとき第一に注目したのは「カラヤンがその時期に振ったスカラ座はどんな音を出したか」ということであった。

セラフィンやジュリーニ、サバタのもとでオペラを演奏するときのスカラ座は、いろんな点で指揮者の個性を受けとめつつも、開放的なパトスをその信条としていた。

想像どおりというべきか、ここでのスカラ座の音はそれらとまったく異なり、非常な美音でかつ収斂してゆく「カラヤンの音」になっている。

のちの「ボエーム」や「トゥーランドット」を演奏しているベルリン・フィル、ウィーン・フィルの音と志向するところが同じである。

このディスクでいちばん端的にそれを示す部分を挙げろと言われれば「衣裳をつけろ」のアリアから終幕にかけての間奏曲のところ、ということになる。

レオンカヴァルロの「道化師」は、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」と並ぶヴェリズモ・オペラの傑作であるが、主人公であるカニオはデル・モナコのはまり役であり、1957年に録音されたブラデッリ盤が歴史的な名盤として知られている。

しかしながら、指揮者の芸格やオーケストラの優秀さ、他の歌手陣の素晴らしさなどを考慮すれば、筆者は、本盤の方を上位に置きたいと考えている。

ということは、本盤こそ、「道化師」の随一の名演ということになる。

本演奏の成功は、何よりも、ベルゴンツィの迫真の歌唱によるところが大きい。

確かに、デル・モナコと比較して様々な批判をすることは容易であるが、これだけの熱唱を披露されると、決して文句は言えまい。

第2幕の第2場の、劇中劇と現実の見境がつかなくなる箇所の鬼気迫る歌唱は圧倒的なド迫力であり、カラヤン指揮のミラノ・スカラ座管弦楽団ともども、最高のパフォーマンスを示していると言えよう。

次いで素晴らしいのはトニオ役のタッディ。

道化師の影の主役であるトニオの屈折した性格を、絶妙な歌唱によって巧みに表現していく。

ネッダのカーライルやシルヴィオのパネライなど、脇を固める歌手陣も豪華そのものであり、ミラノ・スカラ座の合唱陣も実に優秀だ。

壮年期のカラヤンの生命力溢れるエネルギッシュな指揮ぶりもさすがと言うべきであり、前述のように、「道化師」の史上最高の超名演として高く評価したい。

シリアスな心理劇として、一味もふた味も深みを増した歌手陣の高度な演技とともに、聴き手の心理操作に長けたカラヤンの魔術に引きずり込まれる。

大指揮者が自分好みの歌手を起用して作り上げた個性的な演奏として、歴史に残る録音と言えるだろう。

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2009年08月12日


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当オペラの代表的な名盤である。

20世紀中盤を代表するイタリア・オペラのドラマティック・テノール、マリオ・デル・モナコの歌う主役カニオの絶唱は聴き手の背筋を寒くさせるほどの感動を与えてくれる。

その剛直で厳しい声を駆使して生み出すニヒリスティックなまでの役作りは、この「三面記事」的な下世話なストーリーに強烈な説得力を与えている。

19世紀的ナルシシズムとも呼べる激しい役柄に対する自己投入は、決して上品とは言えないヴェリズモの音楽にある種の気品すら感じさせてくれる。

彼の得意としたヴェルディの《オテロ》以上に、このカニオは役柄の特性とデル・モナコの個性との相性の良さを示している。

モリナーリ=プラデッリの手堅い指揮に支えられたこの名盤は、デル・モナコの芸術の真髄を記録したものであり、その生命は不滅の輝きを放っている。

デル・モナコの絶頂期の録音だけに、強靭な声と歌唱で、カニオ役に激しい怒りと悲哀だけでなく、強烈なニヒリズムを盛り込み、背筋も凍るほどの感動と戦慄を聴き手に与えてくれる。

強烈無比なパーソナリティを示す歌唱の偉大な記録。

トゥッチを始めとする他の歌手陣も水準の高い歌唱だ。

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2008年04月15日


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まず表現と音の響きの異様なまでの艶麗さに驚かされる。

この徹底して肉感的美感の追求は、1960年代のカラヤンの特徴に違いないが、その中にヴェリズモ独特の直接的・激情的なエネルギーの燃焼もほのかに感じられる。

「道化師」は1965年に録音されたもので、当時カラヤンは57歳。

その指揮は活力にあふれており、演出も極めて巧妙である。

特に第2幕は秀逸だ。

独唱陣のなかでは、タデイのトニオが傑出している。

これは、トニオの屈折した心の動きを見事に捉えた演唱で、トニオ役の最もすぐれたもののひとつに数えてよい。

マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」はレオンカヴァルロの「道化師」とともに、カラヤンが珍しくミラノ・スカラ座を指揮したディスクで、これは、その「道化師」をさらに上まわる名演である。

カラヤンは、マスカーニ固有の美しい旋律をたっぷりと情感豊かに歌わせながら、全体をドラマティックに仕上げている。

その緊張感にあふれた精巧な表現はこの人ならではのもので、ここには、ヴェリズモ・オペラの本質が万全に表出されている。

独唱陣のなかでは、コッソットのサントゥッツァが秀抜である。

サントゥッツァの感情の揺れ動きをきめこまかく的確に歌い上げているあたり、実に見事なもので、ことに「ママも知るとおり」は、聴いていると目頭の熱くなるのを覚えるほどの名唱だ。

コッソットはデビュー50周年コンサートでもこの曲を熱唱していた。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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